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【発明の名称】 円筒型貯槽の下部構造
【発明者】 【氏名】石田 和雄

【氏名】田附 英幸

【要約】 【課題】従来の円筒型貯槽の下部構造にかわって、大きな地震加速度によって横滑りをおこさない円筒型貯槽の下部構造を提供しようとする。

【解決手段】従来の円筒型貯槽の下部構造に代えて、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝(52b)又は褶動用突起(51b)を上面に有し円筒型貯槽を支持する基礎構造(3)と、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起又は褶動用溝を下面に有する底構造(2)とを備え、褶動用突起が褶動用溝に褶動可能に嵌合する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 円筒型貯槽の下部構造であって、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝(52b)を上面に有し円筒型貯槽を支持する基礎構造(3)と、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起(51b)を下面に有する底構造(2)とを備え、褶動用突起(51b)が褶動用溝(52b)に褶動可能に嵌合する、ことを特徴とする円筒型貯槽の下部構造。
【請求項2】 円筒型貯槽の下部構造であって、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起を上面に有し円筒型貯槽を支持する基礎構造(3)と、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝を下面に有する底構造(2)とを備え、褶動用突起が褶動用溝に褶動可能に嵌合する、ことを特徴とする円筒型貯槽の下部構造。
【請求項3】 床構造(2)が、底板(21)とその下面に上記褶動用溝又は上記褶動用突起(51b)を有する底板介在板(51)とを有し、底板介在板(51)の上面が底板(21)の下面に嵌合したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の円筒型貯槽の下部構造。
【請求項4】 基礎構造(3)が、基礎(62)とその上面に上記褶動用溝(61b)又は上記褶動用突起を有する基礎介在板(61)とを有し、基礎介在板(61)の下面が基礎(62)の上面に嵌合したことを特徴とする請求項1または請求項2に記載の円筒型貯槽の下部構造。
【請求項5】 上記円筒型貯槽が内槽(20)と外槽(10)とを有する多重円筒型貯槽の内槽であって、上記基礎構造が外槽(10)の底板(11)上面に敷き詰められた内槽(20)の支持構造であり、上記底構造が内槽(20)の底板(21)である、ことを特徴とする請求項1乃至請求項4のいずれかの円筒型貯槽の下部構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、円筒型貯槽の下部構造に係り、更に詳しくは、貯槽が温度変化により膨張又は収縮しても過大な局部応力が貯槽構造に生じず、かつ、地震等により大きな水平荷重が及んでも貯槽の横移動を防止できる円筒型貯槽の下部構造に関する。
【0002】
【従来の技術】液体を貯蔵するために、円筒型貯槽が用いられる。例えば、石油等を貯蔵するために単槽の円筒型貯槽や、液化天然ガス等を貯蔵するために図6に例示する外槽10と内槽20とを備える二重円筒型貯槽がある。二重円筒型貯槽の内槽の下部構造を例にとり、円筒型貯槽の下部構造を説明する。図7、図8に示すように、二重円筒型貯槽の内槽の下部構造は、底構造2と基礎構造3とから成る。底構造2は底板21から成り、底板21の下面が基礎構造3の上面に直接に接して、基礎構造3が貯蔵の重量を支持する。基礎構造3は断熱材料でできており、外周部断熱部材31と中央部断熱部材32と下部断熱部材33とを有する。下部断熱部材33が、外槽10の底板11の上に設けられる。外周部断熱部材31と中央部断熱部材32とが、下部断熱部材33の上に設けられる。中央部断熱部材32が外槽10の底部11の中央部に敷き詰められ、外周部断熱部材31がその周囲に敷き詰められる。内槽20の底板21が、外周部断熱部材31と中央部断熱部材32との上に設けられる。
【0003】一般に、内槽20の下部構造は、内槽20が水平方向へ移動するのを拘束する手段を備えていない。従って、貯槽が暖められて膨張したり、冷やされて収縮した時は、内槽20の底板21の下面と支持構造の上面が相対的に滑る。従って、大きな拘束力が内槽20に生じない。また、地震等によって水平加速度が生じ、大きな水平荷重が貯槽に及んだとき、底板21の下面と基礎構造3の上面の摩擦力がその水平荷重に逆らって内槽20の水平移動を防止する。
【0004】尚、液化天然ガス等を貯蔵する2重円筒型貯槽の内槽は、アンカーストラップ41を備えている。アンカーストラップ41は、内槽20の側板22の周囲と基礎40とを繋ぐ長い金属帯である。貯槽に液化天然ガスが貯蔵されている時に、地震等の水平加速度が貯槽に生じ転倒モーメントが貯槽に作用したとき、内槽20が基礎構造から浮き上がるのを防止する。以上の対策をとれば、関東大震災クラスの地震がきても貯槽が動くことはない。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかし、貯槽の近年の新たな設計基準では、関東大震災クラスよりもさらに大きな地震に対しても対策をとるべきとの考えが生じている。関東大震災クラスよりもさらに大きな地震規模を想定すると、地震等による水平加速度によって大きな水平荷重が内槽に作用し、水平荷重の大きさが貯槽の底板の下面と基礎構造の上面の摩擦力の大きさに勝って、貯槽が水平移動をしてしまうおそれがある。すなわち、単槽の円筒型貯槽や二重円筒型貯槽の内槽のような貯槽の下部構造を設計する時、以下の2つの命題を満足させねばならないという問題が生じた。第1の命題として、貯槽はその温度変化により膨張又は収縮した際に、貯槽の底板と基礎構造の間の相対的な滑りを許容する様にしなければならない。第2の命題として、貯槽底板と基礎構造との摩擦力を越える水平力を生ずる様な水平加速度が貯槽に生じたときに、貯槽が水平移動しないようにしなければならない。
【0006】本発明は以上に述べた問題点に鑑み案出されたもので、従来の円筒型貯槽の下部構造にかわって、上記の2つの命題を満足させる円筒型貯槽の下部構造を提供するものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため本発明に係る円筒型貯槽の下部構造は、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝(52b)を上面に有し円筒型貯槽を支持する基礎構造(3)と、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起(51b)を下面に有する底構造(2)とを備え、褶動用突起(51b)が褶動用溝(52b)に褶動可能に嵌合するものとした。
【0008】上記本発明の構成により、基礎構造は、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝(52b)を上面に有し、円筒型貯槽を支持する。底構造は、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起(51b)を下面に有する。この褶動用突起が褶動用溝に嵌合し、褶動用溝に案内され褶動できる。
【0009】又、本発明に係る円筒型貯槽の下部構造は、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起を上面に有し円筒型貯槽を支持する基礎構造(3)と、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝を下面に有する底構造(2)とを備え、褶動用突起が褶動用溝に褶動可能に嵌合するものとした。
【0010】上記本発明の構成により、基礎構造は、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起を上面に有し、円筒型貯槽を支持する。底構造は、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝を下面に有する。褶動用突起が褶動用溝に嵌合し、褶動用溝に案内され褶動できる。
【0011】さらに、本発明に係る円筒型貯槽の下部構造の床構造(2)が、底板(21)とその下面に上記褶動用溝又は上記褶動用突起(51b)を有する底板介在板(51)とを有し、底板介在板(51)の上面が底板(21)の下面に嵌合したものとした。上記本発明の構成により、底部構造が、底板と底板介在板とを備える。底板介在板(51)がその下面に上記褶動用溝又は上記褶動用突起を有し、底板介在板の上面が底板の下面に嵌合する。
【0012】さらに、本発明に係る円筒型貯槽の下部構造の基礎構造(3)が、基礎(62)とその上面に上記褶動用溝(61b)又は上記褶動用突起を有する基礎介在板(61)とを有し、基礎介在板(61)の下面が基礎(62)の上面に嵌合したものとした。上記本発明の構成により、底部構造が、基礎と基礎介在板とを備える。基礎介在板の上面が上記褶動用溝又は上記褶動用突起を有し、基礎介在板の下面が基礎上面に嵌合する。
【0013】またさらに、本発明に係る円筒型貯槽の下部構造が、上記円筒型貯槽が内槽と外槽とを有する多重円筒型貯槽の内槽であって、上記基礎構造が外槽の底板上面に敷き詰められた内槽の支持構造であり、上記底構造が内槽(20)の底板(21)であるものとした。上記本発明の構成により、内槽と外槽とを有する多重円筒型貯槽の内槽の基礎構造は、円筒型貯槽の内槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝又は褶動用突起を上面に有し、円筒型貯槽の内槽を支持する。内槽と外槽とを有する多重円筒型貯槽の内槽の底構造は、円筒型貯槽の内槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起又は褶動用溝を下面に有する。褶動用突起が褶動用溝に嵌合し、褶動用溝に案内され褶動できる。
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施形態を図面を参照して説明する。なお、各図において、共通する部分には同一の符号を付し、重複した説明を省略する。
【0014】本発明の円筒型貯槽の下部構造の第1の実施の形態を、内槽10と外槽20とを備えた二重円筒型貯槽において、内槽20の下部構造に適用した例で説明する。図1は、本発明の第1の実施形態の正面図であり、図2はその側面の断面図であり、図3は平面図(一部切り欠きあり。)である。
【0015】二重円筒型貯槽は、外槽10と内槽20と断熱部材30とを備える。外槽10は、外槽底板11と外槽側板12とを備える。円形形状の外槽底板11の周囲が円筒形状の外槽側板12の下端と結合している。内槽20は、内槽底板21と内槽側板22とを備え、底板介在板51がその内槽底板の下面に嵌合している。内槽底板21は、中心部底板と中心部底板の外周に接合された外周部底板(以下、アニュラープレートと呼ぶ。)とを有する。円形形状の内槽底板21の周囲が円筒形状の内槽側板22の下端と結合している。断熱部材30は、側部断熱部材34と基礎構造3を備え、その基礎構造3は、外周部断熱部材31と中央部断熱部材32と下部断熱部材33とを有する。仕切り板55が、基礎構造3の周囲を囲っている。
【0016】内槽の下部構造は、床構造2と基礎構造3とから成る。以下に下部構造の詳細を説明する。基礎構造3は、外周部断熱部材52と中央部断熱部材32と下部断熱部材33とで構成される。下部断熱部材33は、外槽底板11の上面に設けられる。下部断熱部材33は、内槽底板21よりやや大きい直径の円板形状を有する。外周部断熱部材52と中央部断熱部材32とが、下部断熱部材33の上に配置される。外周部断熱部材52は、特殊コンクリート製の断熱材ブロックで構成され、内槽底板21の外周部に敷き詰められる。外周部断熱部材52は、その上面にN個の褶動用溝52bを有する。その褶動用溝52bは、内槽中心部から円周均等N分割して中心から延びる放射線上に配置されている。外周部断熱部材52の断熱材ブロックは、その下面に位置決め用切り欠き52cを有する。位置決めブロック53が、その位置決め用切り欠き52cに嵌まる。位置決め用ブロック53は基礎ボルト54により外槽10の基礎40に結合する。中央部断熱部材32は、外周部断熱部材52で囲まれた内側に敷き詰められる。
【0017】床構造2は、内槽底板21とN個の底板介在板51とで構成される。内槽底板21は、耐低温金属材料で製造され、その下面の外周部にN個の嵌合用突起21aを有する。その嵌合用突起21aは、内槽底板21を円周均等N分割して中心から延びる放射線上に配置され、かつ、内槽底板21と内槽側板22との接合部(隅角部)の曲げモーメントの影響のある部分から離れたタンク中心よりに設置されている。底板介在板51は、木または耐低温金属材料で製造され、略四辺形の板状をし、内槽底板21の外周長をN分割した寸法の幅と、アニュラープレートの半径方向寸法と略等しい寸法の長さを有する。底板介在板51は、その上面に上記嵌合用突起21aに嵌合する嵌合用窪み51aを有する。N個の底板介在板51は、内槽底板21の下面外周部にその幅方向を相互に隣接する様に配置される。内槽底板21下面の勘合用突起21aが、底板介在板51の上面の勘合用窪み51aに嵌合する。さらに、底板介在板51は、その下面に褶動用突起51bを有する。その褶動用突起51bは、矩形断面を有する角柱形状をし、底板介在板の中央部の長手方向全長に設けられる。
【0018】従って、内槽底板21とN個の底板介在板51は、一体化して、床構造2となる。その床構造2は、その下面に褶動用突起51bを有し、その褶動用突起51bは、内槽底板21を円周均等N分割して内槽中心から延びる放射線上に配置されている。床構造2の下面の褶動用突起51bが、基礎構造の上面の褶動用溝51bに嵌合する。
【0019】次に、本発明の円筒型貯槽の下部構造の第2の実施の形態を、内槽20と外槽10とを備えた二重円筒型貯槽において、内槽の下部構造に適用した例で説明する。図4は、本発明の第1の実施形態の正面図であり、図5はその側面の断面図である。
【0020】二重円筒型貯槽は、外槽10と内槽20と断熱部材30とを備える。外槽10は、外槽底板11と外槽側板12とを備える。円形形状の外槽底板11の周囲が円筒形状の外槽側板12の下端と結合している。内槽20は、内槽底板21と内槽側板22とを備える。内槽底板21は、中心部底板と中心部底板の外周に配置された外周部底板(以下、アニュラープレートと呼ぶ。)とを有する。円形形状の内槽底板21の周囲が円筒形状の内槽側板22の下端と結合している。断熱部材30は、側部断熱部材35と基礎構造3とを備え、その基礎構造3は、外周部断熱部材62と中央部断熱部材32と下部断熱部材33と基礎介在板61とを有する。仕切り板55が、基礎構造3の周囲を囲っている。
【0021】内槽の下部構造は、床構造2と基礎構造3とを備える。以下に下部構造の詳細を説明する。基礎構造3は、外周部断熱部材62と中央部断熱部材32と下部断熱部材33とN個の基礎介在板61とで構成される。下部断熱部材33は、外槽底板11の上面に設けられる。下部断熱部材33は、内槽底板21と略同径の円板形状を有する。外周部断熱部材61と中央部断熱部材32とが、下部断熱部材33の上に配置される。外周部断熱部材62は、特殊コンクリート製の断熱材ブロックで構成され、内槽底板21の下部の外周に敷き詰められる。外周部断熱部材62は、その上面に嵌合用窪み62aを有する。嵌合用窪み62aは、内槽の中心から円周均等N分割して中心から延びる放射線上に配置されている。基礎介在板61は、木または耐低温金属材料で製造され、略四辺形の板状をし、内槽底板21の外周長をN分割した寸法の幅と、アニュラープレートの半径方向寸法と略等しい寸法の長さを有する。基礎介在板61は、その下面に上記嵌合用窪み62aに嵌合する嵌合用突起61aを有する。勘合用突起61aは、基礎介在板62の長手方向中心線状に設けられる。N個の基礎介在板61は、その幅方向を相互に隣接する様に外周部断熱部材62の上面に配置される。基礎介在板61の下面の勘合用突起61aが、外周部断熱部材62の上面の勘合用窪み62aに嵌合する。さらに、基礎介在板61は、その上面に褶動用溝61bを有する。その褶動用溝61bは、矩形断面を有し、基礎介在板61の中央部の長手方向全長に設けられる。外周部断熱部材62の断熱材ブロックは、その下面に位置決め用切り欠き62cを有する。位置決めブロック63が、その位置決め用切り欠き62cに嵌まっている。位置決め用ブロック63は基礎ボルト64により外槽10の基礎40に結合する。中央部断熱部材32は、外周部断熱部材62の内周部に敷き詰められる。
【0022】従って、外周部断熱部材62と中央部断熱部材33と下部断熱部材63とN個の基礎介在板61は、一体化して基礎構造となる。その基礎構造は、その上面にN個の褶動用溝62bを有する。その褶動用溝62bは、基礎構造3を円周均等N分割して中心から延びる放射線上に配置されている。
【0023】床構造2は、内槽底板21で構成される。内槽底板21は、そのアニューラープレート下面にN個の褶動用突起21aを有する。その褶動用突起21aは、内槽底板21を円周均等N分割して中心から延びる放射線上に配置されている。褶動用突起21aは、内槽底板21と内槽側板22との接合部(隅角部)の曲げモーメントの影響のある部分から離れたタンク中心よりに設置され、アニュラープレートの半径方向寸法より短い長さを有する。その褶動用突起21aは、矩形断面を有する角柱形状をする。床構造の下面の褶動用突起21aが、基礎構造の上面の褶動用溝62aに嵌合する。
【0024】以下に、本実施の形態の作用を説明する。2重円筒型貯槽は、液化天然ガス等の低温液体を貯蔵するのに用いられる。初めて液化天然ガスを2重円筒型貯槽にいれる時、二重円筒型貯槽の内槽20の温度は外気温度から極低温度に低下する。このとき内槽20は熱収縮をする。貯槽の温度が緩やかに変化する様に液化天然ガスをゆっくり入れるので、内槽20は局部的な温度の差異が生じない。内槽20の全体の温度が均一に変化し、内槽20の全体が均一に熱収縮する。従って、内槽底板21はその中心を固定点として、中心に向かって熱収縮する。この際、底構造2の褶動用突起51b、21bは基礎構造3の褶動用溝52b、61bに案内されて褶動するので、内槽の底板に局部的な異常な応力が生じることがない。
【0025】また、液化天然ガスを2重円筒型貯槽から抜いた時、二重円筒型貯槽の内槽20の温度は極低温度から外気温度に上昇する。このとき内槽20は熱膨張をする。貯槽の温度が緩やかに変化する様に液化天然ガスをゆっくり抜くので、内槽20は局部的な温度の差異が生じない。内槽20の全体の温度が均一に変化し、内槽20の全体が均一に熱膨張する。従って、内槽底板21はその中心を固定点として、周囲に向かって熱膨張する。この際、底構造2の褶動用突起51b、21bは基礎構造3の褶動用溝52b、61bにそって褶動するので、内槽21の底板に局部的な異常な応力が生じることがない。
【0026】2重円筒型貯槽のある地域に地震が生じた時、2重円筒型貯槽に水平加速度が生ずるので、大きな水平荷重が低温液体を貯蔵する内槽20に作用する。この際、内槽20の底板21の中心を移動させようとする力が内槽20にかかる。内槽21の床構造に設けられた褶動用突起51b、21bが褶動用溝52b、61bの溝壁に支えられ、内槽底板21が横移動するのを防止する。水平荷重は、内槽の下部構造に設けられたN個の褶動用溝52b、61bと褶動用突起51b、21bに分散されるので、底構造や基礎構造の一部に異常な応力が生じることがない。
【0027】本実施形態の円筒型貯槽の下部構造を用いれば、二重円筒型貯槽の内槽が温度変化により膨張しても、内槽が自由に膨張でき、内槽に過大な局部応力が生じない。又、二重円筒型貯槽の内槽が温度変化により収縮しても、内槽が自由に収縮でき、内槽に過大な局部応力が生じない。さらに地震による大きな水平荷重が二重円筒型貯槽の内槽に作用しても、二重円筒型貯槽の内槽は横移動をせず、内槽に過大な局部応力が生じない。また、内槽底板と底部断熱部材の間に底部介在板や基礎介在板を介在させるので、特殊コンクリート製の断熱部材に過大な面圧力を生じさせることがなく、かつ底部には小さな褶動用突起や嵌合用窪みを設けるだけでよく、施工が容易になる。また、底板介在板を設けずに、底板に直接に褶動用溝や褶動用突起を設けてもよいし、基礎介在板を設けずに、基礎構造に直接に褶動用溝や褶動用突起を設けてもよい。
【0028】本発明は以上に述べた実施形態に限られるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲で各種の変更が可能である。例えば、実施例では嵌合用突起と嵌合用窪みは、矩形断面の角柱状のものとしたが、これに限定されない。例えば、無数の小さな嵌合用窪みと勘合用窪みを設けてもよい。また、実施例は、二重円筒型貯槽の内槽の下部構造を例にとって説明したが、これに限定されず、単槽の下部構造にも適用できる。また、底板と底板介在板の嵌合方法は、嵌合用突起と嵌合用窪みとの組み合わせに限られず、例えば、接着剤によって接合されてもよい。放射状突起と溝の設置位置をアニュラー板下部以外に、中央部底板の適切な位置に追加して、二重リング方式にしてもよい。
【0029】
【発明の効果】以上説明したように本発明の円筒型貯槽の下部構造は、その構成により、以下の効果を有する。円筒型貯槽を支持する基礎構造が、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝を上面に有し、底構造が、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起を下面に有する。その褶動用突起がその褶動用溝に嵌合し、褶動用溝に案内され褶動できるので、円筒型貯槽は、円筒型貯槽の中心を固定点として収縮と膨張をすることができ、円筒型貯槽の中心を移動させようとする外力に対して、円筒型貯槽の移動を妨げることができる。また、円筒型貯槽を支持する基礎構造が、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起を上面に有し、底構造が、円筒型貯槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝を下面に有する。その褶動用突起がその褶動用溝に嵌合し、その褶動用溝に案内され褶動できるので、円筒型貯槽は、円筒型貯槽の中心を固定点として収縮と膨張をすることができ、円筒型貯槽の中心を移動させようとする外力に対して、円筒型貯槽の移動を妨げることができる。さらに、底部構造が、底板と底板介在板とを備え、底板介在板が、その下面に上記褶動用溝又は上記褶動用突起を有し、底板介在板の上面が底板下面に嵌合するので、施工が容易になり、また底板の材料に比べ耐面圧力の小さな材料を使用した基礎構造が大きな力を支えることができる。さらに、底部構造が、基礎と基礎介在板とを備え、基礎介在板が、その上面に上記褶動用溝又は上記褶動用突起を有し、基礎介在板の下面が基礎の上面に嵌合するので、施工が容易になり、また底板の材料に比べ耐面圧力の小さな材料を使用した基礎構造が大きな力を支えることができる。またさらに、内槽と外槽とを有する多重円筒型貯槽の内槽の基礎構造は、円筒型貯槽の内槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用溝又は褶動用突起を上面に有し、円筒型貯槽の内槽を支持し、内槽と外槽とを有する多重円筒型貯槽の内槽の底構造は、円筒型貯槽の内槽の中心から延びる放射線上に設けられた褶動用突起又は褶動用溝を下面に有する。その褶動用突起がその褶動用溝に嵌合し、その褶動用溝に案内され褶動できるので、多重円筒型貯槽の内槽の基礎構造に上記すぐれた効果を奏することができる。従って、従来の円筒型貯槽の下部構造にかわって、大きな地震加速度によって横滑りをおこさない円筒型貯槽の下部構造を提供することができる。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年5月11日(1999.5.11)
【代理人】 【識別番号】100097515
【弁理士】
【氏名又は名称】堀田 実 (外1名)
【公開番号】 特開2000−320800(P2000−320800A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−129513