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【発明の名称】 媒体移動式水素吸放出装置
【発明者】 【氏名】河原崎 芳徳

【氏名】竹田 晴信

【氏名】佐藤 幸雄

【氏名】野家 和雄

【氏名】河合 政征

【要約】 【課題】水素吸蔵合金を用いた水素吸放出装置の構造を簡略化するとともに、装置効率を改善する。

【解決手段】特定の熱媒が収容される複数の熱交換槽6、7、8を円周方向に並設し、該熱交換槽と高さ位置を異にして水素吸蔵合金収容体15A、15Bを配置し、熱交換槽と水素吸蔵合金収容体とを相対的に、円周方向および上下方向に移動できるようにする。前記熱交換槽には水素吸蔵合金収容体が上下方向に出入できるように収容体出入部を設け、水素吸蔵合金収容体15A、15Bには外部に伸張する水素移動路22A、22Bを連結する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 それぞれ特定の熱媒が収容される複数の熱交換槽が円周方向に並設されているとともに、該熱交換槽と高さ位置を異にして水素吸蔵合金を含んだ水素吸蔵合金収容体が配置されており、これら熱交換槽と水素吸蔵合金収容体とは相対的に、円周方向に移動可能で、少なくとも互いに上下に揃った位置で上下に移動できるように構成されており、さらに前記熱交換槽は水素吸蔵合金収容体が上下方向に出入できるように収容体出入部が設けられており、水素吸蔵合金収容体には外部に伸張する水素移動路が設けられていることを特徴とする媒体移動式水素吸放出装置【請求項2】 熱交換槽と水素吸蔵合金収容体とは同軸の円周上に配置されているとともに、該熱交換槽と水素吸蔵合金収容体の少なくとも一方は、上記円周に沿って回転可能であり、さらにこれらの少なくとも一方は互いに上下に揃った位置で昇降可能であることを特徴とする請求項1記載の媒体移動式水素吸放出装置【請求項3】 円周方向に回転して停止位置を変える回転部材に、その円周に沿って前記熱交換槽が配置・固定され、該円周上方に前記水素吸蔵合金収容体が配置されており、さらに、前記回転部材は上下に揃った前記熱交換槽に水素吸蔵合金収容体を出入りさせるべく該熱交換槽を昇降させる昇降手段を有することを特徴とする請求項2記載の媒体移動式水素吸放出装置【請求項4】 熱交換槽は、低温槽と高温槽と顕熱回収槽とからなり、これら熱交換槽は顕熱回収槽を間にして低温槽と高温槽とが交互に位置するように等角度間隔で配置され、水素吸蔵合金収容体は2つを1対として複数有し、対となる水素吸蔵合金収容体は近接する低温槽と高温槽の角度差と同じ角度間隔で配置されていることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の媒体移動式水素吸放出装置
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水素吸蔵合金の水素吸放出反応を利用した水素吸放出装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、水素吸蔵合金の発熱又は吸熱を伴う水素吸放出反応を利用して水素を吸放出させる水素吸放出装置が実用化されている。この装置の一例を図12に示す。この装置では、連続して水素の吸放出を行うため2つの水素吸蔵合金容器を有している。水素吸蔵合金容器50、51は、内部に水素吸蔵合金(図示しない)を収容して、該水素吸蔵合金との間で熱交換(加熱、冷却)を行うように容器50、51内に熱媒を導入し、容器50、51に連結した水素移動路52を通して容器間で水素の吸放出を行う。水素移動路52には、水素の流れ方向を変える開閉バルブ53…53とコンプレッサ54とが設けられている。また、熱媒の導入、排出は、冷却用ポンプ55、冷熱利用部56およびブラインポンプ57との間で熱媒移動路を通して行われるが、容器50、51でこれら機器を共用するため、熱媒移動路にはバルブ(この例では三方弁60〜63)を設け、これらを制御して熱媒流路を切り換えている。また、冷却用ポンプ55に接続されている熱媒移動路には顕熱回収用に熱媒を容器50、51間で移動させるように、顕熱回収用バルブ64が設けられている。
【0003】上記装置では、例えば容器50から容器51へ水素を移動させるときは、コンプレッサ54の吸込み側が容器50、吐出側が容器51になるように開閉バルブ53…53を開閉操作してコンプレッサ54を動作させる。このとき、容器51内の水素吸蔵合金は水素を吸って高温、高圧となるため冷却ポンプ55の動作により冷却媒体を流して冷やす必要がある。一方、容器50内の水素吸蔵合金が水素を放出して低温になるため、ブラインポンプ57の動作によりブラインを導入して冷熱を取り出し、冷熱利用部56に供給する。上記動作においては、バルブ60〜64を制御して容器50、51に必要な機器を連結させる。なお、容器51から容器50へ水素を移動させるときは、バルブ60〜64を制御して、上記とは逆に容器50側で水素吸蔵合金を冷却し、容器51側で冷熱を取り出して冷熱利用部56に冷熱を供給する。また、容器50、51間で水素の吸放出を切り換える際に、水素を放出した側の冷熱の顕熱を回収して、その後、水素を放出する予定の容器側に供給するために、顕熱回収バルブ64を制御して、熱媒を容器50、51間で移動させる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記した水素吸放出装置では、容器1基につき切換用バルブ(3方弁)が2個必要となり、システム全体では顕熱回収用バルブを含めて計5個のバルブが必要となり、部品点数が増大し、また制御が煩雑になる。さらに配管も複雑となることからコスト高になるという問題がある。また、容器、配管内の熱媒を入れ換える操作が必要であり、操作に手間がかかるとともに熱媒の混合による熱媒や容器構造体、配管等の熱損失が大きく、結果として装置のCOP(成績係数)を悪化させるという問題がある。本発明は、上記事情を背景としてなされたものであり、バルブ点数の減少や配管の簡略化等により構造が簡略になり、その一方で、成績係数に優れた水素吸放出容器を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、本発明の媒体移動式水素吸放出装置のうち第1の発明は、それぞれ特定の熱媒が収容される複数の熱交換槽が円周方向に並設されているとともに、該熱交換槽と高さ位置を異にして水素吸蔵合金を含んだ水素吸蔵合金収容体が配置されており、これら熱交換槽と水素吸蔵合金収容体とは相対的に、円周方向に移動可能で、少なくとも互いに上下に揃った位置で上下に移動できるように構成されており、さらに前記熱交換槽は水素吸蔵合金収容体が上下方向に出入できるように収容体出入部が設けられており、水素吸蔵合金収容体には外部に伸張する水素移動路が設けられていることを特徴とする。
【0006】第2の発明の媒体移動式水素吸放出装置は、第1の発明の媒体移動式水素吸放出装置において、熱交換槽と水素吸蔵合金収容体とが同軸の円周上に配置されているとともに、該熱交換槽と水素吸蔵合金収容体の少なくとも一方は、上記円周に沿って回転可能であり、さらにこれらの少なくとも一方は互いに上下に揃った位置で昇降可能であることを特徴とする。
【0007】第3の発明の媒体移動式水素吸放出装置は、第2の発明の媒体移動式水素吸放出装置において、横方向に回転して停止位置を変える回転部材に、その円周に沿って前記熱交換槽が配置・固定され、該円周上方に前記水素吸蔵合金収容体が配置されており、さらに、前記回転部材は上下に揃った前記熱交換槽に水素吸蔵合金収容体を出入りさせるべく該熱交換槽を昇降させる昇降手段を有することを特徴とする。
【0008】第4の発明の媒体移動式水素吸放出装置は、第1〜第3の発明の媒体移動式水素吸放出装置において、熱交換槽が、低温槽と高温槽と顕熱回収槽とからなり、これら熱交換槽は顕熱回収槽を間にして低温槽と高温槽とが交互に位置するように等角度間隔で配置され、水素吸蔵合金収容体は2つを1対として複数有し、対となる水素吸蔵合金収容体は近接する低温槽と高温槽の角度差と同じ角度間隔で配置されていることを特徴とする。
【0009】本願発明は、水素吸蔵合金の水素吸放出反応を利用した装置に関するものであり、該装置の適用においては、水素の貯蔵や移動を行うシステムに利用したり、あるいは吸放出の際の反応熱を利用して熱エネルギの貯蔵や移動を行うシステムに利用したり、加熱または冷却装置等に利用することができる。ただし、本願発明としては、水素の吸放出を行うものであれば、その用途は特に限定されない。
【0010】本願発明の装置では、複数の熱交換槽を円周上に配置する。この熱交換槽の数、種別は特に限定されるものではなく、適宜の種類の熱交換槽を適宜数配置でき、また、同種の熱交換槽を複数配置することが可能である。上記熱交換槽の種別としては例えば高温槽、低温槽、顕熱回収槽が挙げられる。高温槽、低温槽では熱媒との熱交換により、水素吸蔵合金を加熱したり、冷却したりすることができ、また、熱媒との熱交換により、高温の熱や冷熱を取り出すこともできる。なお上記した熱交換槽にはその種別に従って特定の熱媒が収容されるが、通常は、熱交換槽に熱媒出入口を設け、該熱媒出入口に熱媒管路等を介して外部の熱媒供給部を接続する。熱媒供給部は、熱媒貯蔵タンクや上下水道等の供給源と熱媒ポンプにより構成することができ、該熱媒貯蔵タンクに熱交換槽に合わせた熱媒を貯蔵する。熱交換槽では、常時、熱媒を収容しておく他に、必要なときに上記熱媒供給部から熱交換槽に熱媒を供給して一時的に収容し、不要なときには、熱媒供給部に戻すように構成することもできる。
【0011】一方、該熱交換槽と高さ位置を異にして水素吸蔵合金収容体を配置する。この水素吸蔵合金収容体は、通常は、周囲と隔離された空間を有する収容容器等の内部に水素吸蔵合金を収容した構成を有している。この収容容器としては箱形形状の容器や多数のチューブを並設したものが挙げられるが本発明としては特に構成が限定されるものではない。該水素吸蔵合金収容体は、外部に伸張する水素移動路が設けられており、該移動路を通して水素吸蔵合金との間で水素の授受が行われる。したがって、水素吸蔵合金収容体では水素の通気性が確保されている必要があり、このため、水素吸蔵合金収容体内に粉末状の水素吸蔵合金を収容するとともに水素吸蔵合金収容体内に通気管や通気材を配置する方法を採ったりする。
【0012】この水素吸蔵合金収容体の配置数は任意であり、適宜数を配置することができる。なお、複数の水素吸蔵合金収容体を配置したものでは、各水素吸蔵合金収容体で同時期に水素の吸放出を行うものでもよく、また、時期をずらして水素吸放出を行うものであってもよい。例えば時期をずらした複数の水素吸蔵合金収容体で1サイクルの吸放出がなされるように設定することができる。水素吸蔵合金収容体は、上記したように熱交換槽と高さ位置を異にして配置されるが、熱交換槽との相対的な円周方向での移動によって、各熱交換槽間を順次移動できるように配置する。なお、熱交換槽と水素吸蔵合金収容体とは、高さ位置を異にする同軸の円周上に配置するのが望ましい。また、上記のように熱交換槽を円周上に配置するに際し、低温槽と高温槽と顕熱回収槽とからなる熱交換槽を、顕熱回収槽を間にして低温槽と高温槽とが交互に位置するように等角度間隔で配置し、対となる水素吸蔵合金収容体は近接する低温槽と高温槽の角度差と同じ角度間隔で配置するのが望ましい。これにより、最小の回転角度によって対となる水素吸蔵合金収容体で水素の吸放出、顕熱回収を繰り返し行うことができる。また、上記に際して低温槽、高温槽を同数として、この数と同数の対数で水素吸蔵収容体を配置すれば、回転に際し、良好なバランスが保たれ、回転、昇降が円滑になされる。
【0013】上記水素吸蔵合金収容体と熱交換槽を相対的に円周方向に移動させる場合、水素吸蔵合金収容体には、外部に水素移動路が伸張しており、これら機器では厳格に気密な状態を維持することが必要とされるので、熱交換槽側を円周方向に移動させるのが望ましく、さらに上下移動においても熱交換槽側で行うのが望ましい。この上下動の駆動方法としては、熱交換槽を回転部材に固定して、該回転部材に熱交換槽を昇降させる昇降手段を設ける方法が挙げられる。この昇降手段は、回転部材はそのままにして熱交換槽のみを昇降させるものであってもよく、また、回転部材全体または一部が熱交換槽とともに昇降するものであってもよい。昇降手段としては、例えば、モータ、油圧装置等の適宜の駆動源にリンク機構等の動力伝達機構を組み合わせた公知のものを使用することができる。
【0014】上記の上下動により、水素吸蔵合金収容体は熱交換槽内を出入りして、所定の熱媒との間で熱交換される。この出入りのため、熱交換槽には水素吸蔵合金収容体のための出入り部を設ける。この出入り部としては、例えば、熱交換槽の上部を開口して、この開口部分を出入り部とするものを例示することができる。この出入り部によれば、上記上下動により水素吸蔵合金収容体を熱交換槽内との間で容易に出入りさせることができる。なお、水素吸蔵合金収容体を収容した状態で熱交換槽の開口部を塞ぐように水素吸蔵合金収容体の上部に蓋材を固定しておき、水素吸蔵合金収容体が熱交換槽に入るに従って熱交換槽の開口部が該水素吸蔵合金収容体の蓋材によって塞がれるように構成することもできる。また、水素吸蔵合金収容体を熱交換槽に収容する際に、両者を適当な固定手段でクランプ等により固定するのが望ましい。これは、熱交換槽内で水素吸蔵合金収容体によって発生する浮力が昇降装置に加わって大きな負荷がかかるのを防ぐためである。
【0015】本願発明では、各熱交換槽と水素吸蔵合金収容体とを相対的に円周方向に移動させて、上下に揃った状態で上下移動させることにより、水素吸蔵合金収容体を熱交換槽間で移動させることができ、熱交換槽に特定の熱媒との間で能率的に熱交換を行うことができ、他の熱媒と熱交換する際にも、上下動と円周方向移動とによって速やかに変更することができる。また、この際に、熱交換槽だけでなく、熱媒の経路も熱媒ごとに独立したものとすることができるので、熱媒の混合や熱交換槽、経路での熱損失を少なくすることができ、装置の効率を向上させる。
【0016】
【発明の実施の形態】(実施形態1)以下に、本発明の一実施形態を図1〜図7に基づき説明する。4本の縦支柱とこれら縦支柱間に掛け渡した横支柱とからなる支持枠1に天板2(図1では省略)が固定され、該支持枠1内下部に、回転部材として回転板3が配置されている。該回転板3はリフタ4上に配置され、図示しない回転駆動装置によりリフタ4上で回転移動するように構成されている。なお、回転駆動装置としては、モータや駆動力伝達機構等により構成することができるが、本発明としては特にその構成が限定されるものではなく、手動による回転であってもよい。なお、リフタ4は、リンク機構4aと油圧シリンダ4bとによって構成されており、回転板3を後述する熱交換槽とともに昇降させる。回転板3を昇降させる構成についても本発明としては上記に限定されるものではない。さらに、上記回転板3上には、回転軸を中心とする円周上に等角度間隔(90度間隔)で4つの熱交換槽が配置されており、その対向する2つの熱交換槽は、合金冷却槽6と冷熱取出槽7とからなり、その間にそれぞれ熱交換槽である顕熱回収槽8、8が配置されている。これら熱交換槽は上部が開口した有底の円筒容器形状からなり、上部開口端にはフランジが全周に亘って設けられている。なお、各熱交換槽には、収容した熱媒の放熱を防止するため、図5に示すように放熱防止用のプラスチックボール21…21を多数浮かせてある。このボール21…21は、水素吸蔵合金収容体が熱交換槽内に入り込んだら、底まで押されて熱交換の支障となることはない。
【0017】また、合金冷却槽6および冷熱取出槽7には、それぞれ熱媒が出入りする熱媒移動管6a、6aおよび7a、7aが対になって上下位置に連結されている。これら熱媒移動管6a、6a、7a、7aは、熱交換槽近傍においてはフレキシブル素材で構成されており、接続された熱交換槽の180度の回転を許容している。該熱媒移動管6a、6aの他端側は、熱交換器10に接続されており、一つの接続管6aに開閉弁6bおよび循環ポンプ6cが介設されている。また熱交換器10には、冷水管10a、10aが対になって接続されており、熱媒移動管6a、6aとの間で熱交換がなされるように構成されている。冷水管10a、10aは、冷水を循環させるべく、クーリングタワー12に接続されており、一方の冷水管10aに開閉弁10bおよび循環ポンプ10cが介設されている。一方、熱媒移動管7a、7aには、冷凍庫13が接続されており、一方の熱媒移動管7aには、該冷凍庫13の間で冷凍ブラインを循環させるべく開閉弁7bおよび循環ポンプ7cが接続されている。また、上記顕熱回収槽8、8間には、連結管8a、8aが対になって連結されており、その一方の連結管8aには、開閉弁8bと循環ポンプ8cとが介設されている。
【0018】さらに、天板2の下面側には、上記熱交換槽と同軸の円周位置に180間隔で水素吸蔵合金収容体15A、15Bが配置され、上記天板2に吊り下げ固定されている。該水素吸蔵合金収容体15A、15Bは、上記熱交換槽に上部から出入りして熱交換槽内に収まる大きさ、形状を有しており、具体的な構造としては、図5に示すように円形状の上部扁平中空部15aの下方に連結して下方に伸張させた多数のチューブ15b…15bを円柱状に配置したものである。なお、中空部15aの外周壁には水平フランジが全周に亘って形成されており、該フランジは、外周部が熱交換槽のフランジと同寸形状を有しており、水素吸蔵合金収容体15A、15Bを熱交換槽に収めた状態ではフランジ同士が重なって、中空部15aが熱交換槽の開口部を塞いで蓋材の役割を果たすように構成されている。
【0019】上記各チューブ15b…15bは、下端が閉じられており、内部には粉末状の水素吸蔵合金が収納され、さらに通気性を確保するために、チューブ15bに沿って通気材や通気細管(図示しない)が収められている。また、水素吸蔵合金収容体15A、15Bには、図6に示すようにチューブ15b…15b群が貫通するようにして、チューブ群よりも大径な弓形の水平バッフル板16…16が所定間隔で配置されており、該バッフル板16…16は交互に異なる方向が切り欠かれている。このバッフル板16…16は、円筒材15から突出している側を熱交換槽の内面に貼ったシリコンゴム等の円筒状の接触材20に密着させて、熱交換槽内で熱媒がバッフル板16に沿って蛇行して流れるようにすることを目的としている。なお。水素吸蔵合金収容体15A、15Bを熱交換槽に対し円滑に出し入れでき、また、熱交換槽内に収めた状態でバッフル板16と接触材20とが確実に接するように、接触材20の内面壁を下方に行くに従って内径が小さくなるテーパ面形状としており、前記バッフル板16は、このテーパ面形状に従って下方に行くにしたがってチューブ群からの突出量を徐々に小さくしている。
【0020】上記各中空部15b、15bには、天板2の上方に配置した水素移動管22A、22Bが水素移動路として連結されており、該水素移動管22A、22Bは、開閉弁22b、22bを介して、他端側がコンプレッサ装置23に接続されている。コンプレッサ装置23は、図4に示すように水素移動管22A、22B間に4つの開閉弁23a…23aを直並列に配置し、該開閉弁23a…23aの接続点間にコンプレッサ23bを接続して、開閉弁23aの開閉操作によってコンプレッサ23bによる流体の流れ方向を変えるように構成されている。
【0021】次に、上記装置の動作について説明する。予め水素吸蔵合金収容体15A側の水素吸蔵合金に水素が吸蔵され、水素吸蔵合金収容体15B側の水素吸蔵合金では水素放出後の状態にあるものとする。なお、この状態は、これに先立ってコンプレッサ装置23の作動によって水素吸蔵合金収容体15B側の水素吸蔵合金から水素が放出され、この水素が水素吸蔵合金収容体15A側に供給され、該収容体15A側の水素吸蔵合金で水素が吸蔵されたることにより得られるものである。上記の状態において、図示しない回転駆動装置により回転板3を回転させ(この実施形態では図1、図7示反時計回り)、水素吸蔵合金収容体15Aの直下に冷熱取出槽7、水素吸蔵合金収容体15Bの直下に合金冷却槽6を位置させる(図7(A))。なお、この際にはリフタ4は作動しておらず、回転板3および各熱交換槽は、低位置に在るまま回転する。次いで、上記状態でリフタ4を作動させ、その油圧シリンダ4bおよびリンク機構4aによって各熱交換槽を回転板3とともに上昇させ、水素吸蔵合金収容体15Aを冷熱取出槽7、水素吸蔵合金収容体15Bは合金冷却槽6内に収める。リフタ4の動作停止は、リミットスイッチの作動による停止制御や予め定めた移動量制御等により行うことができる。なお、上記収容により、水素吸蔵合金収容体15A、15Bの中空部15aのフランジと合金冷却槽6、冷熱取出槽7の上端フランジとが重なり合い、合金冷却槽6および冷熱取出槽7の開口部が中空部15a、15aで塞がれる。このとき、両フランジを図示しない適当な固定手段でクランプ等により固定してリフタ4に過大な荷重がかからないようにするのが望ましい。
【0022】次いで、開閉弁6b、7b、11bを開き、循環ポンプ6c、7c、11cを作動させて、冷熱取出槽7に冷凍ブラインを供給し、冷凍庫13との間でブラインを循環させる。また、クーリングタワー12と熱交換器10との間で冷水管10aを介して冷水が循環し、この冷水によって冷却された冷却水が熱媒移動管6aを通して合金冷却槽6に供給され、熱交換器10との間で循環する。これと同時にコンプレッサ装置23を動作させ、開閉弁23a…23aの開閉操作により、水素吸蔵合金収容体15Aから水素を吸引し、これを水素吸蔵合金収容体15Bに向けて圧送する。水素吸蔵合金収容体15Aでは、上記吸引による圧力の低下に伴って、チューブ15b…15b内の水素吸蔵合金から水素が放出されて、中空部15a、水素移動管22Aを通してコンプレッサ23bに吸引される。コンプレッサ23bの吐出側では、水素移動管22Bを通して該水素が水素吸蔵合金収容体15B側の中空部15aに圧送され、チューブ15b…15b内の水素吸蔵合に供給されて該水素吸蔵合金に水素が吸蔵される。
【0023】上記においては、水素吸蔵合金収容体15A側では、水素吸蔵合金での水素の放出反応に伴って吸熱が起こり、この吸熱は水素吸蔵合金収容体15Aと接触している冷熱取出槽7内の熱媒に冷熱(例えば−30℃)として伝達される。該熱媒は循環ポンプ7cで移動して冷凍庫13で冷熱利用(冷凍作用)される。一方、水素吸蔵合金収容体15B側では、水素吸蔵合金による水素吸蔵反応により発熱するため、合金冷却槽6内に供給される熱媒(冷却水)との接触によってチューブ15b…15b内の水素吸蔵合金を冷却(例えば30℃)して水素の吸蔵を促進させる。上記により、水素吸蔵合金収容体15A側の水素吸蔵合金から水素を連続的に取り出し、水素吸蔵合金収容体15B側の水素吸蔵合金に連続的に吸蔵させて冷凍作用を継続して得ることができる。
【0024】その後、次行程の顕熱回収のため、リフタ4を作動させて回転板3および各熱交換槽を下降させ、下降定位置に達した後、または水素吸蔵合金収容体15A、Bと干渉しない位置にまで下降した後、図示しない回転駆動装置を作動させて回転板3を上記とは逆に90度時計回り(図1、7示)に回転させ、水素吸蔵合金収容体15A、15Bの直下に顕熱回収槽8、8を位置させる(図7(B))。その後、上記と同様にリフタ4にて熱交換槽を上昇させ、水素吸蔵合金収容体15A、15Bを顕熱回収槽8、8に収めて、開閉弁8bを開け、循環ポンプ8cを作動させることにより、顕熱回収槽8、8間で熱媒を循環させ、水素吸蔵合金収容体15A、15Bの顕熱を回収する。これにより水素吸蔵合金収容体15A、15Bは両者の中間温度(例えば10℃)になる。その後は、再度、回転板3および熱交換槽を下降させ、回転板3を上記と同方向に90度回転させる(図7(C))。この状態では、水素吸蔵合金収容体15Aの直下に合金冷却槽6が位置し、水素吸蔵合金収容体15Bの直下に冷熱取出槽7が位置している。次いで、上記と同様にリフタ4によって熱交換槽を上昇させ、合金冷却槽6に水素吸蔵合金収容体15Aを収め、冷熱取出槽7に水素吸蔵合金収容体15Bを収める。次いで、循環ポンプ6c、7cによって合金冷却槽6に冷却水、冷熱取出槽7にブラインを供給する。また、コンプレッサ装置23を作動させ、開閉弁23a…23aの開閉操作により、上記により水素を吸蔵した水素吸蔵合金収容体15Bから水素を吸引し、上記により水素を放出した水素吸蔵合金収容体15Bに向けて水素を圧送する。これにより、上記とは逆に水素吸蔵合金収容体15B側で水素の放出によって冷熱がブラインに取り出され、水素吸蔵合金収容体15A側では水素の吸蔵による発熱が冷却水に冷却される。この間に、上記と同様に冷凍庫13では冷凍作用が継続的に得られている。
【0025】その後は、上記と同様に熱交換槽の下降、回転板3の図1、7示反時計回りへの90度回転(図7(D))、熱交換槽の上昇によって水素吸蔵合金収容体15A、15Bを顕熱回収槽8、8に収めて上記と同様に顕熱を回収する。その後は、熱交換槽の下降、図1、7示反時計回りへの回転板3の90度回転により、再度図7(A)の状態にして水素の吸放出を行う。上記各行程に従って、水素の吸放出、顕熱回収が繰り返し行われ、冷凍庫で冷熱が継続的に利用される。上記の一連の行程では、熱媒同士の混合や配管での顕熱損失が避けられるので装置全体の熱効率が向上している。また、弁の数が少なく、煩雑な弁操作も不要になるので、装置構造が簡略になっている。また、水素吸蔵合金収容体の相対的移動も、回転、上昇動作により行うことができるので、複雑な構造が不要であり、装置を簡略に構成できる。また、上記のように対となる水素吸蔵合金収容体で交互に水素の吸放出を行うように装置を構成すれば、装置の重量バランスが良好に保たれ、駆動のための構造を簡略にすることができる。
【0026】(実施形態2)次に、他の実施形態を図8〜図11に基づき説明する。なお、この実施形態では、各熱交換槽の形状、および水素吸蔵合金収容体の形状、構造に相違がある点を除いては、基本的には、上記実施形態と同構造を有するものであり、同様の構造については同一の符号を付して、その説明を省略または簡略化する。具体的には、熱交換槽は、角箱型の合金冷却槽26、冷熱取出槽27および顕熱回収槽28からなり、90度間隔で回転板3上に固定されている。一方、天板2の下面側には、上記熱交換槽の形状、位置に合わせて180度間隔で2つの水素吸蔵合金収容体25A、25Bが吊り下げ固定されている。水素吸蔵合金収容体25A、25Bでは、横方向に配置された方形状の中空部25aの一端下方部に縦に配置したバッファ室25bを連結し、該バッファ室25bに多数の水平チューブ25cの一端を連結しており、これら部材により熱交換室に収まる略直方体形状をなしている。水平チューブ25cは、前記実施形態と同様に粉末の水素吸蔵合金と通気材または通気細管とが収容されている。また、この実施形態では、水素吸蔵合金収容体を熱交換槽を収容した際に、互いのフランジをクランプして水素吸蔵合金収容体を熱交換槽に固定するクランプ装置29…29が天板2に固定されている。クランプ装置29は、図11に示すように油圧シリンダ29aの先端部にコ字状のクランプ部材29bを取り付けたものであり、油圧シリンダ29aを伸縮させてクランプ部材29bを押し込んで両フランジを挟持することにより水素吸蔵合金収容体と熱交換槽を固定する。この実施形態においても、図9、10に示すように回転板3による回転とリフタ4による昇降とによって水素吸蔵合金収容体25A、25Bを各熱交換槽間で順次移動させて継続的に水素の吸放出反応を利用して冷熱を取り出している。
【0027】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の媒体移動式水素吸放出装置によれば、それぞれ特定の熱媒が収容される複数の熱交換槽を円周方向に並設するとともに、該熱交換槽と高さ位置を異にして水素吸蔵合金を含んだ水素吸蔵合金収容体を配置し、これら熱交換槽と水素吸蔵合金収容体とを相対的に、円周方向に移動可能で、少なくとも互いに上下に揃った位置で上下に移動できるように構成し、さらに前記熱交換槽に水素吸蔵合金収容体が上下方向に出入できるように収容体出入部を設け、水素吸蔵合金収容体には外部に伸張する水素移動路を設けたので、多くのバルブや複雑な配管を必要とすることなく水素の吸放出を継続して行うことができる。また、容器、配管内の熱媒を入れ換える操作が不要であり、熱媒の混合による熱媒や容器構造体、配管等の熱損失も防止できるので、効率の良い装置を得ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004215
【氏名又は名称】株式会社日本製鋼所
【出願日】 平成11年5月11日(1999.5.11)
【代理人】 【識別番号】100091926
【弁理士】
【氏名又は名称】横井 幸喜
【公開番号】 特開2000−320797(P2000−320797A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−130560