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【発明の名称】 液化石油ガスのバルク供給装置
【発明者】 【氏名】菅信 敏

【氏名】山岸 正樹

【要約】 【課題】高圧部での流路長の短縮化および高圧部での接続部分の減少を図るとともに、ガス放出防止器を設けることによるLPガスの再液化を防止し、圧力調整器毎に容量を考慮することなくガス放出防止器を使用できるようにする。

【解決手段】液化石油ガスを収容するバルク容器にガス取出弁13を装着し、このガス取出弁13に接続する配管17に設けた一次圧力調整器19と二次圧力調整器23との間に、規定以上のガス通過流量でガスの供給を停止させるガス放出防止器21を設けた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液化石油ガスを収容するバルク容器にガス取出弁を装着し、このガス取出弁に接続する配管系に設けた一次圧力調整器と二次圧力調整器との間に、規定以上のガス通過流量でガスの供給を停止させるガス放出防止器を設けたことを特徴とする液化石油ガスのバルク供給装置。
【請求項2】 ガス放出防止器は、常時は弾性部材により弁体を押圧してガス流路を開放し、規定以上のガス通過流量が発生したときに前記弾性部材に抗して前記弁体を移動させて前記ガス流路を遮断する構成であることを特徴とする請求項1記載の液化石油ガスのバルク供給装置。
【請求項3】 ガス放出防止器は、弁体によって開閉されるガス流路の上流側と下流側との間を連通するバイパス流路を備え、このバイパス流路を開閉可能なガス供給復帰手段を備えていることを特徴とする請求項2記載の液化石油ガスのバルク供給装置。
【請求項4】 ガス放出防止器と、一次圧力調整器および二次圧力調整器とを、フランジ接合させて締結具により結合固定したことを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の液化石油ガスのバルク供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、液化石油ガスを収容する液化石油ガスのバルク供給装置に関する。
【0002】
【従来の技術】家庭用あるいは業務用の液化石油ガス(以下、LPガスと呼ぶ)は、シリンダ形のLPガスボンベを宅配して交換するシリンダ供給方式が一般的である(例えば、実開平4−136399号公報、実開平5−27500号公報参照)。
【0003】ところが、この方式は、人手不足による配送員の高齢化、配送コストの高騰などの問題があり、工業用あるいは自動車用などのLPガスに従来から適用されている、バルク供給方式が採用される傾向にある(例えば、特開昭59−74091号公報、特開昭60−251083号公報参照)。このバルク供給方式は、工場や給油所などに設置したバルク容器や各種機器からなるバルク供給装置に、バルクローリ車よりLPガスを充填するものである。
【0004】図4は、バルク供給装置の一部断面を含む正面図で、バルク容器1に収容されているLPガスの液相部Lの上部に気相部Gが存在している。バルク容器1の側部には、気相部GからLPガスを取り出すためのガス取出弁3が設けられ、ガス取出弁3に一端が接続された取出パイプ5の他端は、気相部G内に開口している。
【0005】そして、上記ガス取出弁3に接続される配管系には、図5に示すように、ガス放出防止器7,一次圧力調整器9および二次圧力調整器11が順次接続され、これらはプロテクタ12によって覆われている。なお、上記したガス放出防止器7,一次圧力調整器9および二次圧力調整器11は、図4では省略してある。
【0006】上記したガス放出防止器7は、何らかの異常によりLPガスの流量が過流状態となって規定以上のガス通過流量となったときに、ガスの供給を停止させるもので、民生用バルク供給装置において、設備の安全性向上のため設置が義務づけられている。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】ところで、上記したように、ガス放出防止器7をガス取出弁3と一次圧力調整器9との間に配置した場合には、ガス取出弁3と一次圧力調整器9との間における高圧部の流路が長くなるとともに、高圧部での接続部分も増えることから、振動や急激な温度変化などによるねじ部の緩みなどから生じるガス漏れの可能性も高くなって信頼性の低下を招く。また、ガス取出弁3のすぐ下流でガス流路の絞り機構(ガス放出防止器7)が入ることとなるため、長時間連続でガスの通過があると、この部分での温度低下により、LPガスの再液化と気化の繰り返しが起こり、ガス放出防止機構部の経時劣化を早め、誤遮断の可能性も高くなる。
【0008】また、ガス放出防止器は、上記した外付式のほかに、ガス取出弁に内蔵するものもあるが、いずれの場合であっても、その下流側に接続される圧力調整器の容量によってそれぞれ採用機種を選択する必要があり、常に圧力調整器とのセット化による煩雑な変更交換の可能性がある。
【0009】そこで、この発明は、高圧部での流路長の短縮化および高圧部での接続部分の減少を図るとともに、ガス放出防止器を設けることによるLPガスの再液化を抑制し、かつ圧力調整器毎に容量を考慮することなくガス放出防止器を使用できるようにすることを目的としている。
【0010】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、請求項1の発明は、液化石油ガスを収容するバルク容器にガス取出弁を装着し、このガス取出弁に接続する配管系に設けた一次圧力調整器と二次圧力調整器との間に、規定以上のガス通過流量でガスの供給を停止させるガス放出防止器を設けた構成としてある。
【0011】このような構成の液化石油ガスのバルク供給装置によれば、ガス取出弁と一次圧力調整器との間の高圧部にガス放出防止器を設けていないので、その分高圧部の流路長が短縮されるとともに、高圧部における接続部分も減少する。また、ガス放出防止器を配置してある一次圧力調整器と二次圧力調整器との間の中圧部は、高圧部に比べて圧力範囲が狭く、このためガス放出防止器は、圧力調整器毎に容量を考慮して用意する必要がない。
【0012】請求項2の発明は、請求項1の発明の構成において、ガス放出防止器は、常時は弾性部材により弁体を押圧してガス流路を開放し、規定以上のガス通過流量が発生したときに前記弾性部材に抗して前記弁体を移動させて前記ガス流路を遮断する構成である。
【0013】上記構成によれば、ガス取出弁から取り出されたLPガスは、一次圧力調整器を経てガス放出防止器に達し、ガス放出防止器では、弾性部材に押された弁体により開放状態のガス流路を通過して二次圧力調整器に流れる。ここで、ガス取出弁から取り出されたLPガスの流量が過流状態となってガス通過流量が規定以上に達すると、このガス通過流量により弁体が弾性部材に抗して押されてガス流路が閉じ、高圧のガスの供給が停止される。
【0014】請求項3の発明は、請求項2の発明の構成において、ガス放出防止器は、弁体によって開閉されるガス流路の上流側と下流側との間を連通するバイパス流路を備え、このバイパス流路を開閉可能なガス供給復帰手段を備えている。
【0015】上記構成によれば、弁体によりガス流路が開放されてガスが供給されている通常の状態では、バイパス流路はガス供給復帰手段によって閉塞されており、ガス通過流量が規定以上となってガス流路が遮断された状態の後、ガス供給を復帰させる際には、ガス供給復帰手段によりバイパス流路を開くことで、弁体によって遮断されているガス流路の上流側と下流側との間が連通状態となり、この結果弾性部材による押圧方向の力が弁体の遮断方向の力に勝り、弁体が開放する。
【0016】請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかの発明の構成において、ガス放出防止器と、一次圧力調整器および二次圧力調整器とを、フランジ接合させて締結具により結合固定してある。
【0017】上記構成によれば、ガス放出防止器と、一次圧力調整器および二次圧力調整器との接続部が強固なものとなる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施の形態を図面に基づき説明する。
【0019】図1は、この発明の実施の一形態に係わる液化石油ガスのバルク供給装置におけるガス取出弁13および、このガス取出弁13から下流側のガス供給設備15の正面図である。上記したガス取出弁13は、前記図5に示したものと同様に、図6に示したようなバルク容器1に直接取り付けられて、バルク容器1内の気相部GからLPガスを取り出す。
【0020】ガス供給設備15は、ガス取出弁13に一端が接続される配管17に、ガス取出弁13側から一次圧力調整器19、ガス放出防止器21および二次圧力調整器23が順次接続されて配置されるものである。
【0021】図2は、一次圧力調整器19と二次圧力調整器23との間に接続された状態のガス放出防止器21の内部構造を示す断面図で、ボディ25内の図中で上下方向に貫通するガス流路27には、弁体29が上下動可能に収容されている。弁体29は、ガス流路27におけるノズル部31を開閉可能であり、弾性部材としてのスプリング33によって図中で上方、すなわち開放側へ押し付けられている。
【0022】ノズル部31の上流側と下流側との間はバイパス流路35により連通可能となっており、このバイパス流路35の中心部に連通するピン挿入孔35aが、ボディ25の右側端部に開口して形成されている。ピン挿入孔35aには、バイパス流路35を開閉可能なように図中で左右方向に移動可能なガス供給復帰手段としての開閉ピン37が挿入されている。開閉ピン37は、バイパス流路35を閉塞するピン部37aと、ピン挿入孔35aの開口側にねじ結合するねじ部35bと、ボディ25の外部に露出している頭部37cとを備えている。また、頭部37cを覆うキャップ41がボディ25に着脱可能に設けられている。
【0023】ガス放出防止器21と、一次圧力調整器19および二次圧力調整器23との接続は、一次圧力調整器19および二次圧力調整器23側にそれぞれ設けたフランジ19aおよび23aを利用して締結具としてのボルト43および45により締結固定してある。つまり、ガス放出防止器21と、一次圧力調整器19および二次圧力調整器23とは、フランジ接合によって強固に固定されることとなる。
【0024】上記したガス放出防止器21は、通常は図2に示すように開閉ピン37がバイパス流路35を閉じるとともに、弁体29はスプリング33に押されてノズル部31を開放しており、この状態で一次圧力調整器19から流れてくる中圧に減圧されたLPガスは、矢印で流れ方向を示すように、上部から下部に向けて弁体29とノズル部31との隙間を通って流れている。
【0025】ここで、何らかの異常が発生してLPガスの流れが過流状態となり、弁体29の上流側の圧力が規定以上に達すると、その上流側の圧力がスプリング33の押付力に打ち勝って弁体29がノズル部31を閉じ、これによりガスの供給が停止される。ガスの供給を復帰する場合には、キャップ41を取り外した状態で、開閉ピン37を引き抜く方向に回転させ、ピン部37aによるバイパス流路35の閉塞状態を解除し、バイパス流路35を介してノズル部31の上下流間相互を連通状態とする。これにより、弁体29はスプリング33に押されて元の図2に示す状態に戻り、ガスの供給が可能となる。
【0026】このように構成された液化石油ガスのバルク供給装置によれば、ガス放出防止器21が、一次圧力調整器19の下流の中圧部に配置されているので、従来配置されていたガス取出弁13の下流の高圧部の流路長が短縮化され、高圧部における接続部分も減少する。このため、振動や急激な温度変化などによるねじ部の緩みなどから生じるガス漏れの可能性も低くなり信頼性が向上する。
【0027】また、ガス取出弁13のすぐ下流に、ガス流路の絞り機構が入ることになるガス放出防止器21を配置していないので、長時間連続でガスの通過があっても、この部分での温度低下によるLPガスの再液化が回避され、このためガス放出防止機構部の経時劣化を抑制し、誤遮断の可能性も低いものとなる。
【0028】ガス放出防止器13を配置してある一次圧力調整器19下流の中圧部は、取出弁13の下流の高圧部に比べて圧力範囲が狭く、作動流量が非常に安定している。このため、圧力調整器の容量毎に専用のガス放出防止器を選定するという煩雑な作業が不要となり、共通化が図れてコスト低下に寄与できる。
【0029】図3は、一次圧力調整器19の下流の中圧部に配置する中圧用のガス放出防止器および、ガス取出弁13の下流の高圧部に配置する高圧用のガス放出防止器の、入口圧力と作動流量との相関図である。これによれば、中圧用のガス放出防止器は、高圧用のものに比べて作動流量範囲が狭く、高圧用では圧力調整器の例えば容量Q=30kg/hおよび50kg/hに対して個別に必要であるが、中圧用では一つのもので対応できる。
【0030】このように中圧用は、高圧用に比べて作動流量範囲が狭く、例えば1/10以下に抑えることが可能であり、このためあらかじめ高流量域に遮断流量を設定することが可能であり、これにより誤遮断を最小限に抑えることができる。
【0031】また、ガス放出防止器13は、一次圧力調整器19および二次圧力調整器23に対し、フランジ19a,23aを利用して強固に接続固定してあるので、ねじの緩みなどによるガス漏れを確実に抑えることができる。
【0032】
【発明の効果】以上説明してきたように、請求項1の発明によれば、液化石油ガスを収容するバルク容器に装着したガス取出弁に接続する一次圧力調整器と二次圧力調整器との間の中圧部に、規定以上のガス通過流量でガスの供給を停止させるガス放出防止器を設けたため、ガス取出弁と一次圧力調整器との間の高圧部の流路長が短縮されるとともに高圧部での接続部分も減少し、これにより振動や急激な温度変化などによるねじ部の緩みなどから生じるガス漏れの可能性も低くなり、信頼性を向上させることができる。また、ガス取出弁のすぐ下流に、ガス流路の絞り機構が入ることになるガス放出防止器を配置していないので、長時間連続でガスの通過があっても、この部分での温度低下による液化石油ガスの再液化が回避され、このためガス放出防止機構部の経時劣化を抑制し、誤遮断の可能性も低いものとすることができる。さらに、ガス放出防止器を配置してある一次圧力調整器の下流の中圧部は、ガス取出弁の下流の高圧部に比べて圧力範囲が狭く、作動流量が非常に安定しているため、圧力調整器の容量毎に専用のガス放出防止器を選定するという煩雑な作業が不要となり、共通化が図れてコスト低下に寄与できる。
【0033】請求項2の発明によれば、ガス放出防止器は、常時は弾性部材により弁体を押圧してガス流路を開放し、規定以上のガス通過流量が発生したときに弾性部材に抗して弁体を移動させてガス流路を遮断する構成であるため、ガス供給の停止を確実に行うことができる。
【0034】請求項3の発明によれば、ガス放出防止器は、弁体によって開閉されるガス流路の上流側と下流側との間を連通するバイパス流路を備え、このバイパス流路を開閉可能なガス供給復帰手段を備えているため、ガス供給停止の後、ガス供給を復帰する際には、ガス供給復帰手段により、バイパス流路を開放することで容易に行うことができる。
【0035】請求項4の発明によれば、ガス放出防止器と、一次圧力調整器および二次圧力調整器とをフランジ接合させて締結具により結合固定したため、これらの接続部が強固なものとなり、信頼性が向上する。
【出願人】 【識別番号】000006895
【氏名又は名称】矢崎総業株式会社
【出願日】 平成11年4月7日(1999.4.7)
【代理人】 【識別番号】100083806
【弁理士】
【氏名又は名称】三好 秀和 (外8名)
【公開番号】 特開2000−291896(P2000−291896A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−100387