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【発明の名称】 圧力容器
【発明者】 【氏名】鈴木 哲也

【氏名】入山 要次郎

【氏名】石川 卓

【要約】 【課題】ライナーと口金との隙間を防止して、口金取付部における気密シールの信頼性を高めるようにする。

【解決手段】本発明の圧力容器1は、端部に取付穴6を有する合成樹脂製のライナー2と、取付穴6を貫通する筒状のボス部3a及び該ボス部3aの外周に突設されてライナー2の内面に当接するフランジ部3bを含む口金3とを備えた圧力容器において、ライナー2は、口金3に触れない状態で成形されたものであり、口金3は、フランジ部3bとボス部3aとのコーナと、ライナー2の内面と取付穴6の内周面とのコーナとの間にOリング12を介して、ライナー2に取り付けられたことを特徴としている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 端部に取付穴を有する合成樹脂製のライナーと、前記取付穴を貫通する筒状のボス部及び該ボス部の外周に突設されて前記ライナーの内面に当接するフランジ部を含む口金とを備えた圧力容器において、前記ライナーは、前記口金に触れない状態で成形されたものであり、前記口金は、前記フランジ部と前記ライナーの内面との間又は前記ボス部と前記取付穴の内周面との間にシール部材を介して、前記ライナーに取り付けられたことを特徴とする圧力容器。
【請求項2】 前記ボス部の外周に外挿されて前記ライナーの外面に当接し前記フランジ部との間で前記ライナーを挟着する挟着金具を備えた請求項1記載の圧力容器。
【請求項3】 前記挟着金具は、かしめ又はネジ部材により前記ボス部に締結された請求項2記載の圧力容器。
【請求項4】 前記ライナーの変形を規制するための係合部と被係合部とを前記挟着金具と前記ライナーの外面とに相対的に設けた請求項2又は3記載の圧力容器。
【請求項5】 前記シール部材は、Oリング、平板状パッキン又はボス部若しくはフランジ部に設けられたゴム皮膜である請求項1〜4のいずれか一項に記載の圧力容器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、CNG(圧縮天然ガス)等の各種圧縮ガス、LNG(液化天然ガス)、LPG(液化石油ガス)等の各種液化ガス、その他の各種加圧物質を充填するための圧力容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、図7に示すように、CNG用の圧力容器50として、CNGが透過しにくいポリエチレン製のライナー51に金属製の口金52を取り付け、ライナー51の外面を所定の耐圧規格を満たすFRP補強層53で被覆したものが知られている。この圧力容器50によれば、本体部の気密を合成樹脂製のライナー51で保持しているため、自動車の燃料タンク等として用いる場合に、車両重量を軽量化できる利点がある。また、口金取付部の気密を保持するために、口金52をインサートとして型にセットしておき、ライナー51を回転成形法により口金52に接着するようにインサート成形し、ライナー51に口金52を内側から覆う被覆部51aを設け、CNGの内圧で被覆部51aを口金52のボス部52a及びフランジ部52bの内面に圧接させるようになっている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、従来の圧力容器50によると、合成樹脂製のライナー51を金属製の口金52にインサート成形して溶融点直下の温度で接着しているため、双方の線膨張係数の相違により、成形時又は使用時の温度変化に伴い、ライナー51の被覆部51aに歪が発生しやすかった。また、金属に対する樹脂の接着力が弱いことから、図8に示すように、歪によって被覆部51aが口金52から剥離し、双方間に隙間54が発生することもあった。このため、従来の圧力容器50は、口金取付部における気密シールの信頼性が不充分であった。
【0004】そこで、本発明の目的は、ライナーと口金との隙間を防止して、口金取付部における気密シールの信頼性を高めることができる圧力容器を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、本発明の圧力容器は、端部に取付穴を有する合成樹脂製のライナーと、前記取付穴を貫通する筒状のボス部及び該ボス部の外周に突設されて前記ライナーの内面に当接するフランジ部を含む口金とを備えた圧力容器において、前記ライナーは、前記口金に触れない状態で成形されたものであり、前記口金は、前記フランジ部と前記ライナーの内面との間又は前記ボス部と前記取付穴の内周面との間にシール部材を介して、前記ライナーに取り付けられたことを特徴としている。ここで、「前記フランジ部と前記ライナーの内面との間又は前記ボス部と前記取付穴の内周面との間」とは、前記フランジ部と前記ボス部とのコーナと、前記ライナーの内面と前記取付穴の内周面とのコーナとの間を含む。
【0006】前記圧力容器は、前記ボス部の外周に外挿されて前記ライナーの外面に当接し前記フランジ部との間で前記ライナーを挟着する挟着金具を備えた態様を例示できる。この場合、挟着金具をインサートとしてライナーをインサート成形することにより、ライナーを挟着金具に接着してもよく、或いは、挟着金具に触れない状態でライナーを成形した後、挟着金具をライナーに取り付けてもよい。
【0007】前記挟着金具は、かしめ又はネジ部材により前記ボス部に締結された態様を例示できる。
【0008】前記ライナーの変形を規制するための係合部と被係合部とを前記挟着金具と前記ライナーの外面とに相対的に設けることが好ましい。
【0009】前記シール部材としては、特に限定されないが、Oリング、平板状パッキン又はボス部若しくはフランジ部に設けられたゴム皮膜を例示できる。これらのシール部材の2つ以上を併用してもよい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明をCNG用の圧力容器に具体化した実施形態を図面に基づいて説明する。図1に示すように、この実施形態の圧力容器1は、合成樹脂製のライナー2と、ライナー2の両端に取り付けられた金属製の口金3,4と、ライナー2の外面を被覆するFRP補強層5とから構成されている。
【0011】ライナー2は円筒状の周壁部2aの両端にカップ状の端壁部2b,2cを溶着により接続して一体化されている。端壁部2b,2cは、口金3,4に触れない状態で成形されたものであり、その中心には口金3,4の取付穴6が形成されている。ライナー2の樹脂材料としては、CNGが透過しにくいポリエチレン、又は、それよりもガス不透過性能が高い樹脂(例えば、脂肪族ポリケトン(シェルジャパン株式会社の商品名「カリロン」))等を使用できる。
【0012】FRP補強層5は、ライナー2の外周にカーボン、ガラス又はアラミド樹脂からなる補強繊維を巻き付けた後に、補強繊維中のエポキシ等の含浸樹脂を加熱硬化させることによって成形されている。
【0013】一方の口金3は圧力調整バルブ又は配管用ジョイント(図示略)を接続するもので、他方の口金4は密閉栓として機能するものである。これらの口金3,4は、後で詳述するように、端壁部2b,2cの内側から取付穴6に挿入され、挟着金具7,8を介してライナー2に取り付けられている。口金3,4及び挟着金具7,8の金属材料としては、軽量化を図る観点からアルミニウムが好ましい。口金3,4の端壁部2b,2cへの取付構造は同様であるので、以下、口金3についてのみ説明する。
【0014】図2及び図3に示すように、口金3は、取付穴6を貫通する筒状のボス部3a及び該ボス部3aの外周に突設されてライナー2の内面に当接するフランジ部3bを含んでいる。ボス部3aとフランジ部3bとのコーナには、シール部材としてのゴム製のOリング12が装着されている。ボス部3aの内面には圧力調整バルブ又は配管用ジョイントが接続される雌ネジ10が設けられ、ボス部3aの先端には薄肉片11が形成されている。
【0015】端壁部2bの中心には係合部としての環状壁13が突設され、その内側に取付穴6が形成され、外側には突起14が設けられている。端壁部2bの内面と取付穴6の内周面とのコーナには、Oリング12の着座部15が端壁部2bの内面側に拡径するテーパ状に形成されている。
【0016】挟着金具7には、口金3のボス部3aの外周に外挿される筒状部7aと、端壁部2bの外面に下面が当接するスカート部7bとが設けられている。スカート部7bの下面には環状壁13が係合する被係合部としての環状凹部16が凹設されている。そして、環状壁13と環状凹部16との係合によってライナー2の変形を規制するようになっている。
【0017】端壁部2bへの口金3の取り付けにあたっては、まず、環状凹部16を環状壁13に無理嵌めして、挟着金具7を端壁部2bの外周に外挿する。次いで、Oリングをボス部3aとフランジ部3bとのコーナに装着する。次いで、ボス部3aを端壁部2bの内側から取付穴6に挿入し、Oリング12を介してフランジ部3bを端壁部2bの内面に接合する。次いで、Oリング12を圧縮した状態で、薄肉片11をかしめ、ボス部3aを挟着金具7に締結し、スカート部7bとフランジ部3bとの間に端壁部2bを挟着する。その後、薄肉片11の周縁をコーキング18で挟着金具7に密着させ、筒状部7aとボス部3aとの接合部を密封する。このように、口金3は、ボス部3aとフランジ部3bとのコーナと、取付穴6の着座部15との間にOリング12を介して、ライナー2に取り付けられる。
【0018】本実施形態の圧力容器1によれば、合成樹脂製のライナー2の端壁部2bが口金3に触れない状態で成形しているので、成形時の端壁部2bの歪を除去した後で口金3を取り付けることができる。
【0019】また、挟着金具7の環状凹部16と、端壁部2bの環状壁13とが係合することによりライナー2の変形を規制しているため、圧力容器1にCNGを充填したときにCNGの内圧で端壁部2bを口金3から引き離す力が作用しても、取付穴6とボス部3aとの間に隙間が生じるおそれがない。
【0020】また、挟着金具7と口金3のフランジ部3bとの間に端壁部2bを挟着することで、口金3がライナー2に強固に取り付けられている。
【0021】また、口金3のボス部3aとフランジ部3bとのコーナにOリングを装着しているので、次の効果を得ることができる。
(1)CNGの内圧で口金3が上方に突き上げられると、前記コーナと、着座部15とによって形成される断面三角形の空間の中でOリング12が上方に押し付けられて変形し、隙間をふさぐことにより口金から漏れるガスを遮断する。
(2)ライナー2と口金3との線膨張係数が異なるため、使用環境温度や内部圧力の変化による温度変化等によりライナー2と口金3との間の隙間が変化するが、Oリング12がこの変化に追随して隙間をシールする。
【0022】以上のように、本実施形態の圧力容器1によれば、ライナー2と口金3との隙間を防止して、口金取付部の気密シールに万全を期すことができる。
【0023】次に、図4は、第二実施形態に係る圧力容器を示しており、該圧力容器は、挟着金具7のスカート部7bの下面に形成した被係合部としての環状凹部16と該環状凹部16に係合する係合部としての端壁部2bの環状突部17とを断面Ω形に形成した点においてのみ、第一実施形態と相違している。挟着金具7をインサートとして端壁部2bをインサート成形することにより、端壁部2bを挟着金具7に接着している。
【0024】次に、図5及び図6は、第三実施形態に係る圧力容器を示している。本実施形態では、口金3のボス部3aがネジ部材としてのナット21により挟着金具22に締結されている。第一実施形態と同様に、ライナー2の端壁部2bは、口金3及び挟着金具22に触れない状態で成形されている。
【0025】端壁部2bの中心には係合部としての環状壁23が挟着金具22の筒状部22aの内面を覆うように突設されており、該環状壁23は上端側ほど厚さが厚くなるように断面テーパ状に形成されている。環状壁23の内側に取付穴6が形成されており、端壁部2bの内面と取付穴6の内周面とのコーナには、Oリング12の着座部15が端壁部2bの内面側に拡径するテーパ状に形成されている。本実施形態では、筒状部22aの内面と、ボス部3aの外面とが係合部としての環状壁23に係合する被係合部を形成している。また、ボス部3aの中間部には別のOリング24がバックアップリング25を介して装着され、一対のOリング12,24で取付穴6を確実に密封できるようになっている。
【0026】端壁部2bへの口金3の取り付けにあたっては、まず、環状壁23の外周に挟着金具22を外挿する。次いで、口金3のボス部3aを端壁部2bの内側から取付穴6に挿入し、フランジ部3bをOリング12を介し端壁部2bの内面に当接する。ナット21をボス部3aの雄ネジ26に締め付け、Oリング12を圧縮するとともに、挟着金具22を押さえ付けて、そのスカート部22bとフランジ部3bとの間に端壁部2bを挟着する。こうすれば、ナット21の締め加減によりライナー2に対する口金3の締結力を容易に調整することができる。しかも、環状壁23は上端側ほど厚さが厚くなるように断面テーパ状に形成されているため、筒状部22aの内面と、ボス部3aの外面とによって形成される被係合部に強力に係合し、ライナー2の変形を規制するようになっている。その他の構成並びに作用効果は前記実施形態と同様である。
【0027】なお、本発明は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば以下のように、発明の趣旨から逸脱しない範囲で適宜変更して具体化することもできる。
(1)第一及び第三実施形態の口金取付構造において、挟着金具7をインサートとして端壁部2bをインサート成形することにより、端壁部2bを挟着金具7に接着すること。
【0028】(2)シール部材として、パッキンを端壁部2bとフランジ部3bとの間に介装すること。
【0029】(3)シール部材として、ゴム皮膜をフランジ部3bに設け、これを端壁部2bの内面に接合させて、端壁部2bと口金3との間をシールすること。
【0030】(4)挟着金具7,22のスカート部7b,22bに係合部を設け、ライナー2の外面に該係合部が係合する被係合部を設けること。
【0031】
【発明の効果】以上詳述した通り、請求項1〜5の発明に係る圧力容器によれば、ライナーと口金との隙間を防止して、口金取付部における気密シールの信頼性を高めることができるという優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成11年4月7日(1999.4.7)
【代理人】 【識別番号】100096116
【弁理士】
【氏名又は名称】松原 等
【公開番号】 特開2000−291887(P2000−291887A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−99819