トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F17 ガスまたは液体の貯蔵または分配




【発明の名称】 液化ガスの貯蔵供給設備
【発明者】 【氏名】大西 幹男

【要約】 【課題】既存の設備を上手く利用して、冷媒を無駄にすることなく、簡易な装置構成にて、複雑な制御を伴わずに液体アルゴン貯槽を冷却して圧力上昇を防止できる液化ガスの貯蔵供給設備を提供する。

【解決手段】液体窒素を断熱・貯蔵するための液体窒素貯槽10と、その液体窒素貯槽10に高圧ポンプ11を介して接続された蒸発器12と、その蒸発器12の下流側に接続された窒素ガス供給部13とを備えると共に、液体アルゴンを断熱・貯蔵するための液体アルゴン貯槽20と、その液体アルゴン貯槽20に接続されたアルゴン供給手段とを備える液化ガスの貯蔵供給設備において、前記液体アルゴン貯槽20内に冷却用の熱交換器25を設けると共に、その熱交換器25の冷媒導入部を前記高圧ポンプ11の出口側に、冷媒排出部を前記蒸発器12の入口側に接続してあることを特徴とする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 液体窒素を断熱・貯蔵するための液体窒素貯槽と、その液体窒素貯槽に高圧ポンプを介して接続された蒸発器と、その蒸発器の下流側に接続された窒素ガス供給部とを備えると共に、液体アルゴンを断熱・貯蔵するための液体アルゴン貯槽と、その液体アルゴン貯槽に接続されたアルゴン供給手段とを備える液化ガスの貯蔵供給設備において、前記液体アルゴン貯槽内に冷却用の熱交換器を設けると共に、その熱交換器の冷媒導入部を前記高圧ポンプの出口側に、冷媒排出部を前記蒸発器の入口側に接続してあることを特徴とする液化ガスの貯蔵供給設備。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、液体窒素貯槽と液体アルゴン貯槽と、それらに貯蔵した液化ガスを外部に供給する供給部とを備える液化ガスの貯蔵供給設備に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、液化アルゴンガスや液化窒素ガスを貯蔵するための貯槽(タンク)は、外槽と内槽の2槽構造になっており、外槽と内槽の間にパーライト等の無機断熱材が充填された上、真空化(減圧)による断熱が行われている。そして、内槽に貯蔵された液化ガスは、例えば充填用ポンプによって蒸発器に導入されて気化した後、小容器(ガスボンベ)等に供給される。
【0003】しかし、上記のような断熱が行われていても、貯蔵中に外部から熱が徐々に進入するため、液化ガスが一部蒸発して貯槽内の圧力が徐々に上昇する。そして、内部圧の上昇により、圧力が貯槽の設計圧を越えると、蒸発したガスを大気放出して、圧力を下げる必要があった。また、内部圧の上昇はポンプの運転に支障をきたす場合があり、特にアルゴンガスのような高価なガスでは、大気放出以外の方法で、内部圧の上昇を防止する必要があった。
【0004】このため、図2に示すように、液体アルゴン貯槽20内の上部空間に凝縮器25(冷却器)を設けて、液体窒素貯槽10から液体窒素を冷媒として供給することで、蒸発したアルゴンガスを冷却・液化させて、内部圧の上昇を防止する装置が存在した。この装置では、冷媒供給のための配管は、隣接して存在する液体窒素貯槽10から、わざわざ個別に配管し、貯槽内の圧力を利用して液体窒素を凝縮器25に供給した後、大気放出していた。その際、液体アルゴン貯槽20内の圧力に基づいて制御弁26で凝縮器25への供給量を調節しながら、大気放出側の配管に設けた圧力調整器27で圧力を制御して、凝縮器25の冷媒温度を調節するのが一般的であった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の装置では、冷媒として使用された液体窒素は、大気放出されるため経済的でなく、また、冷却の温度差を十分大きくできないため、気液混合状態で放出され易くなり、その分だけ余分なロスが生じていた。更に、液体窒素の供給経路が、ワンパスで大気放出するものであるため、液体窒素の供給量を多くし過ぎると、その分が無駄になるので、供給量を適切に制御する必要があり、上記のような付加装置が必要となっていた。
【0006】これに対し、特開平7−151300号公報には、液体窒素内槽タンクと液体アルゴン内槽タンクとを備え、液体アルゴン内槽タンク内に凝縮器を設けて液体窒素内槽タンクの液体窒素を供給することで、液体アルゴン内槽タンクの圧力上昇を防止しつつ、冷媒として使用した液体窒素を小容器等に供給できる一体型・コールドエバポレータが記載されている。この装置によると、冷媒である液体窒素の利用が図れるものの、凝縮器内の圧力が液体窒素内槽タンクとほぼ同じになるため、凝縮器内での液体窒素の蒸発を抑制しながら安定した充填を行うには、加圧蒸発器と圧力調整弁とを用いて液体窒素内槽タンクの圧力を一定圧以上に制御する必要があった。
【0007】一方、上記の如き液化ガスの貯蔵供給設備では、液体窒素貯槽と液体アルゴン貯槽とが併設されるのが一般的であり、また、高圧での供給が可能なように充填用の高圧ポンプを備える場合が多い。
【0008】そこで、本発明の目的は、既存の設備を上手く利用して、冷媒を無駄にすることなく、簡易な装置構成にて、複雑な制御を伴わずに液体アルゴン貯槽を冷却して圧力上昇を防止できる液化ガスの貯蔵供給設備を提供することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上記目的は、次の如き本発明により達成できる。即ち、本発明は、液体窒素を断熱・貯蔵するための液体窒素貯槽と、その液体窒素貯槽に高圧ポンプを介して接続された蒸発器と、その蒸発器の下流側に接続された窒素ガス供給部とを備えると共に、液体アルゴンを断熱・貯蔵するための液体アルゴン貯槽と、その液体アルゴン貯槽に接続されたアルゴン供給手段とを備える液化ガスの貯蔵供給設備において、前記液体アルゴン貯槽内に冷却用の熱交換器を設けると共に、その熱交換器の冷媒導入部を前記高圧ポンプの出口側に、冷媒排出部を前記蒸発器の入口側に接続してあることを特徴とする。ここで、高圧ポンプとは、出口圧が10MPa以上のポンプを指す。
【0010】[作用効果]本発明によると、液体アルゴン貯槽内の冷却用の熱交換器に、液体窒素が冷媒として供給されるため、液体アルゴン貯槽内を冷却して、その圧力上昇を防止することができる。その際、熱交換器から排出される液体窒素は、蒸発器を経て窒素ガス供給部から外部に供給可能であり、しかも高圧のため、冷媒として使用後の液体窒素の工業的利用を図ることができる。また、冷媒の供給経路がワンパスで大気放出するものでないため、供給流量を厳密に制御する必要がなく、そのための付加設備も不要となる。しかも、冷媒が高圧にて供給されるため、熱交換器内で蒸発が生じにくいので、厳密な圧力制御の必要がなく、安定した窒素ガスの供給が行え、既存の設備に熱交換器と配管を付加するだけでよい。このように、液体アルゴン貯槽の冷媒として液体窒素を利用する場合、両者の沸点が近いために、従来技術では微妙な制御が必要になるところ、本発明ではそのための複雑な装置や制御を不要にした点で、技術的意義は大きい。なお、夜間等において、窒素ガスの充填等が長時間行われない場合、冷媒の供給停止により、冷却が中断して一時的な昇圧が少々起こるが、日中に充填等を再開することで、長期的には問題の無いレベルに液体アルゴン貯槽内の圧力上昇を防止できる。その結果、既存の設備を上手く利用して、冷媒を無駄にすることなく、簡易な装置構成にて、複雑な制御を伴わずに液体アルゴン貯槽を冷却して圧力上昇を防止できる液化ガスの貯蔵供給設備を提供することができた。そして、液体アルゴン貯槽の冷却により、貯蔵時のみならず、液体アルゴン供給時においても蒸発によるロスを少なくすることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態について、図面を参照しながら説明する。
【0012】本発明の液化ガスの貯蔵供給設備は、図1に示すように、窒素側充填設備とアルゴン側充填設備とで構成される。窒素側充填設備は、液体窒素を断熱・貯蔵するための液体窒素貯槽10と、その液体窒素貯槽10に高圧ポンプ11を介して接続された蒸発器12と、その蒸発器12の下流側に接続された窒素ガス供給部13とを備える。
【0013】液体窒素貯槽10は、外槽と内槽の2槽構造になっており、外槽と内槽の間にパーライト等の無機断熱材が充填された上、真空化(減圧)による断熱が行われている。高圧ポンプ11は、低温液体用のポンプであり、窒素ガスの充填圧に対応した出口圧(例えば16〜22MPa)のものが使用される。蒸発器12も高圧に対応できるものであればよく、大気等を熱媒とする種々の型式のものが採用できる。窒素ガス供給部13は、小容器14との接続部と弁などで主に構成される。なお、各装置を接続するための配管のうち、断熱が必要な部分には、断熱配管が通常使用される。また、液体窒素貯槽10にはガス抜き弁16が設けられており、内部圧が一定以上になった場合などに、ガスのパージが行われる。
【0014】一方、アルゴン側充填設備は、液体アルゴンを断熱・貯蔵するための液体アルゴン貯槽20と、その液体アルゴン貯槽に接続されたアルゴン供給手段とを備え、アルゴン供給手段は高圧ポンプ21と蒸発器22とアルゴンガス供給部23とで主に構成されている。アルゴン側充填設備を構成する各装置は、窒素側充填設備と同様であるが、一般にアルゴンの使用量がより少ないため、通常、窒素側充填設備と比較して小型のものが使用される。
【0015】本発明は、上記の貯蔵供給設備において、液体アルゴン貯槽20内に冷却用の熱交換器を設けると共に、その熱交換器の冷媒導入部を高圧ポンプ11の出口側に、冷媒排出部を蒸発器12の入口側に接続してあることを特徴とする。本実施形態では、前記熱交換器が、液体アルゴン貯槽20内の上部空間に設けられている凝縮器25である例を示す。このように構成することにより、蒸発したアルゴンガスを直接冷却して液化できるため、液体アルゴンを冷却する場合と比較して、圧力の低減効果が大きくなる。
【0016】凝縮器25は高圧対応可能な各種型式のものが使用できるが、液体アルゴン貯槽20内への入熱量と、液体窒素の供給量、それによる伝熱量などを考慮した伝熱面積を有するものが好ましい。なお、貯蔵供給設備の使用時において、液体窒素貯槽10から凝縮器25に導入される冷媒(液体窒素)は、高圧ポンプ11を経てもわずかしか昇温しておらず、液体アルゴン貯槽20内の上部空間の温度に対し、十分な温度差(各々の貯蔵圧にもよるが、例えば10〜25℃程度)にて導入することができる。
【0017】また、高圧ポンプ11の下流側のバイパス経路に設けられた弁15は、過度の冷却を避けたい場合などのバイパス用として使用できるが、常時には当該バイパス経路及び弁15は不要である。
【0018】次に、本発明の液化ガスの貯蔵供給設備の充填操作等について説明する。小容器14を窒素ガス供給部13の接続部に接続し、弁を開けた状態で高圧ポンプ11を作動させると、弁15が閉じていると、高圧ポンプ11の流量に相当する液体窒素が、凝縮器25の冷媒導入部より導入され、液体アルゴン貯槽20内の上部空間を冷却して、アルゴンガスを冷却・液化させる。伝熱で温度上昇した液体窒素は、冷媒排出部より排出され、蒸発器12に導入されて蒸発した後、窒素ガス供給部13から小容器14へと充填される。一方、小容器24をアルゴンガス供給部13の接続部に接続し、弁を開けた状態で高圧ポンプ21を作動させると、液体アルゴンが蒸発器22に導入されて蒸発した後、アルゴンガス供給部23から小容器24へと充填される。なお、夜間等において、窒素ガスの充填が長時間行われない場合、冷媒の供給停止により、冷却が中断して一時的な昇圧が少々起こるが、日中に充填を再開することで、長期的には問題の無いレベルに液体アルゴン貯槽20内の圧力上昇を防止できる。
【0019】(他の実施形態)
(1)先の実施形態では、熱交換器として、液体アルゴン貯槽内の上部空間に凝縮器を設けた例を示したが、液体アルゴン貯槽内の液中に冷却器を設けてもよい。このように構成することにより、液体アルゴンを直接冷却できるため、液体アルゴンを低温化する効果が大きく、液体アルゴンを液体のまま充填等する場合のロスをより低減できるようになる。
【0020】(2)先の実施形態では、アルゴン供給手段が高圧にてアルゴンガスを充填するものである例を示したが、液体アルゴン貯槽内の液体アルゴンを液体のまま充填するアルゴン供給手段を併設あるいは単独で設けてもよい。その場合、アルゴン供給手段として、例えば低圧の充填用ポンプが使用される。
【0021】(3)先の実施形態では、液体窒素貯槽と液体アルゴン貯槽とを独立して設置する例を示したが、それぞれの貯槽を1つの外槽内に内槽として設置してもよい。その場合、高圧ポンプ、蒸発器、供給部等が外槽の外部に配置される。
【出願人】 【識別番号】000109428
【氏名又は名称】日本エア・リキード株式会社
【出願日】 平成11年3月29日(1999.3.29)
【代理人】 【識別番号】100092266
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴木 崇生 (外4名)
【公開番号】 特開2000−283395(P2000−283395A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−85723