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【発明の名称】 LNG可搬式貯槽
【発明者】 【氏名】桜井 民雄

【要約】 【課題】輸送中のLNGタンク内の圧力上昇を低減させる。

【解決手段】ローリ車やコンテナ等に積載されたLNG可搬式貯槽1において、LNGタンク2の上部のベーパ層7に熱交換器8を設け、その熱交換器8にLNGよりも低沸点の液化ガスを冷媒として供給して循環させるべく冷媒供給機構9を接続した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ローリ車やコンテナ等に積載されたLNG可搬式貯槽において、LNGタンクの上部のベーパ層に熱交換器を設け、その熱交換器にLNGよりも低沸点の液化ガスを冷媒として供給して循環させるべく冷媒供給機構を接続したことを特徴とするLNG可搬式貯槽。
【請求項2】 上記冷媒供給機構が、上記熱交換器に対して取外し自在に接続された請求項1記載のLNG可搬式貯槽。
【請求項3】 上記冷媒が、液体窒素である請求項1または2いずれかに記載のLNG可搬式貯槽。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ローリ車やコンテナ等に積載されたLNG可搬式貯槽に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ローリ車やコンテナに積載されたLNG可搬式貯槽においては、LNGの輸送中にLNGタンク内が外気等によって加熱され、ボイルオフガス(BOG)が発生する。このボイルオフガスはLNGタンク外には排出せず、LNGタンク内に蓄圧されるようになっている。
【0003】そのため、従来のLNG可搬式貯槽は、LNGタンクが気密状態に保たれており、蓄圧されたボイルオフガスの圧力に耐え得るように、適度な耐圧強度を有する構造となっている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】従来のLNG可搬式貯槽においては、近距離の輸送であれば輸送時間が短く、発生するボイルオフガスは少量であるので、LNGタンク内の圧力上昇は小さく、その内圧は、LNGタンクの設計耐圧値を超えることはなかった。
【0005】しかしながら、ローリ車やコンテナでの陸上長距離輸送やコンテナでの海上輸送を行う場合には、輸送時間が長くなるので、ボイルオフガスの発生量が多くなり、LNGタンク内の圧力上昇が大きくなってしまう。
【0006】そのため、LNGタンクの耐圧強度を大きくしたり、過剰に蓄圧されたボイルオフガスを抜くための設備を設けなければならず、LNGタンクの重量増加やコストアップという問題があった。
【0007】そこで、本発明は上記問題を解決するために案出されたものであって、その目的は、輸送中のLNGタンク内の圧力上昇を低減させることができるLNG可搬式貯槽を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために本発明は、ローリ車やコンテナ等に積載されたLNG可搬式貯槽において、LNGタンクの上部のベーパ層に熱交換器を設け、その熱交換器にLNGよりも低沸点の液化ガスを冷媒として供給して循環させるべく冷媒供給機構を接続したものである。
【0009】上記構成によれば、冷媒によって、LNGタンク内のボイルオフガスが冷却されて再液化されるので、LNGタンク内の圧力上昇を低減させることができ、LNGの長時間輸送が可能となる。
【0010】そして、上記冷媒供給機構が、上記熱交換器に対して取外し自在に接続されたものが好ましい。
【0011】また、上記冷媒が、液体窒素であるものが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好適な実施の形態を添付図面に基づいて詳述する。
【0013】図1は本発明に係るLNG可搬式貯槽の実施の形態を示した概略図である。
【0014】まず、本発明に係るLNG可搬式貯槽の構成を説明する。
【0015】図示するように、上記LNG可搬式貯槽1には、LNGタンク2が設けられている。LNGタンク2は、気密二重構造に形成されており、内槽と外槽との間には保冷用パーライト粒等が充填され断熱されている。LNGはLNGタンク2内で、約−160℃で高圧貯蔵されている。
【0016】また、LNGタンク2上部にはLNGの液送管3が設けられ、下部にはLNGの払出し管4が設けられている。さらに、LNGタンク2には、圧力計5とLNGの液位を計測するレベル計6とが設けられており、LNGタンク2内を管理するようになっている。
【0017】本発明においては、LNGタンク2の上部のベーパ層7に熱交換器8を設け、その熱交換器8にLNGよりも低沸点の液化ガスを冷媒として供給して循環させるべく、熱交換器8に冷媒供給機構9を接続したことを特徴とする。
【0018】熱交換器8は、LNGタンク2の天井部を貫通してLNGタンク2の内部に挿入され、上部のベーパ層7を循環した後、再度天井部を貫通して外部に出る循環路11に複数のフィン(図示せず)を取り付けて構成されている。
【0019】冷媒供給機構9には、冷媒として用いられる液体窒素を貯蔵する冷媒タンク12が設けられている。冷媒タンク12は、気密二重構造に形成されており、内槽と外槽との間は、パーライト真空断熱等の保冷措置によって断熱されており、その内部に液体窒素が、約−196℃で常圧で貯蔵されている。
【0020】冷媒タンク12には、天井部を貫通して内部に挿入され、その下端が底部近傍まで延出した液体窒素の供給管14が設けられている。この供給管14は、所定高さまで立ち上げられており、冷媒タンク12内の液体窒素が気化してその内圧が上昇したときに、液体窒素が供給管14内で押し上げられて供給されるようになっている。また、供給管14は、上記循環路11の上流端に取外し自在に接続されている。
【0021】なお、冷媒タンク12内に、その内圧を補助的に上昇させるための加圧器を設けるようにしてもよい。
【0022】供給管14には、液体窒素の供給を開始及び停止させる制御装置15が設けられている。この制御装置15は、開閉弁(図示せず)を有すると共に、LNGタンク2のベーパ層7内に設けられた温度センサ21が接続されており、LNGタンク2内の温度が設定値より上昇したときに開閉弁を開けて液体窒素の供給を開始し、温度が低下したときに開閉弁を閉じて液体窒素の供給を停止するようになっている。
【0023】また、冷媒供給機構9には、熱交換器8内で気化した液体窒素を外気に放出するための放出管16が設けられている。この放出管16は、一端が循環路11の下流端に取外し自在に接続されており、他端が外気に開放されている。放出管16には、開閉弁17が設けられており、放出管16内の圧力が上昇したときに、開閉弁17を開けて気化した液体窒素を放出するようになっている。
【0024】また、放出管16には、分岐して冷媒タンク12の上部に接続された分岐管18が設けられている。分岐管18にも開閉弁19が設けられており、冷媒タンク12内の圧力が低下したときに、放出管16の開閉弁17を閉じて、分岐管18の開閉弁19を開けることによって、冷媒タンク12内の圧力を上昇させるようになっている。
【0025】次に上記構成によるLNG可搬式貯槽1の作用を説明する。
【0026】上記LNG可搬式貯槽1によって、LNGの長時間輸送を行う際には、冷媒供給機構9を熱交換器8に接続して、液体窒素を冷媒タンク12に貯蔵する。
【0027】輸送を行ううちに、外気によってLNGタンク2内のLNGと冷媒タンク12内の液体窒素とが加熱されて気化して、その内部の圧力がそれぞれ上昇する。
【0028】そして、LNGタンク2のベーパ層7の温度が設定値より上昇すると制御装置15によって液体窒素の供給が開始される。このとき、液体窒素は冷媒タンク12内の圧力の上昇によって供給管14に押し出される。
【0029】押し出された液体窒素は、熱交換器8に供給されて循環し、そこでベーパ層7から吸熱して気化する。これに伴って、ベーパ層7内の温度が低下して、ボイルオフガスが再液化されることとなり、ボイルオフガスの総量が減少され、LNGタンク2内の圧力を下げることができる。ベーパ層7の温度が所定値まで低下すると制御装置15によって液体窒素の供給が停止される。
【0030】このようにベーパ層7の温度に応じて液体窒素の供給の開始及び停止を行うようにしたので、LNG可搬式貯槽1の蓄圧圧力を一定範囲で低めに抑えることができ、LNGタンク2の耐圧強度を大きくする必要はないので、LNGタンク2の重量化を防止できる。
【0031】また、ボイルオフガスを再液化して、LNG内に戻すため、従来のように、過剰に蓄圧されたボイルオフガスを外部に放出する必要はないので、エネルギー損失を防止でき、輸送のエネルギー効率を向上させることができる。
【0032】このLNG可搬式貯槽1をローリ車に積載した場合には、ボイルオフガスの蓄圧量が少ないことから長時間の輸送が可能となるので、長距離輸送が達成されると共に、輸送経路の自由度が増加する。
【0033】また、LNG可搬式貯槽1をコンテナに積載して海上輸送を行う場合には、ボイルオフガスを大気に放出せずに、長時間輸送を達成することができる。
【0034】さらに、上記冷媒供給機構9をLNGタンク2に取外し自在に接続したことによって、短時間輸送時等の冷媒供給機構9が不要なときには、その装置を取り外して、ローリ車やコンテナ等の軽量化が図れ、輸送燃料の省エネルギー化が達成される。
【0035】熱交換器8に供給された液体窒素は、気化した後、放出管16へと循環して、開閉弁17を開けることによって外気に放出される。このとき、冷媒として液体窒素を使用したので、問題なく外気に放出することができ、新たにガスを抜くための設備を設ける必要はない。
【0036】なお、上記実施の形態においては、制御装置15に温度センサ21を接続して、液体窒素の供給の開始及び停止を制御するようにしたが、LNGタンク2に設けられた圧力計5の検出値を元に、液体窒素の供給の開始及び停止を制御するようにしてもよい。
【0037】また、上記実施の形態においては、冷媒として液体窒素を使用したが、LNGよりも低沸点の液化ガスであれば適用可能である。但し、コスト面や外気に放出できる点を考慮すれば、液体窒素が最適である。
【0038】
【発明の効果】以上要するに本発明によれば、冷媒を介してベーパ層内の温度を低下させて、ボイルオフガスを再液化することができるので、LNGタンク内の圧力上昇を低減させることができ、長時間輸送を達成することができるという優れた効果を発揮する。
【出願人】 【識別番号】000000099
【氏名又は名称】石川島播磨重工業株式会社
【出願日】 平成11年3月16日(1999.3.16)
【代理人】 【識別番号】100068021
【弁理士】
【氏名又は名称】絹谷 信雄
【公開番号】 特開2000−266294(P2000−266294A)
【公開日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【出願番号】 特願平11−70158