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【発明の名称】 低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置
【発明者】 【氏名】高橋 歳男

【氏名】高橋 伸之

【氏名】石川 直良

【要約】 【課題】低温液化ガスを輸送するに際して、低温液化ガスを製造工場から輸送用の断熱貯槽に、又該断熱貯槽から使用先に、移充填可能なように、断熱貯槽圧力を、断熱貯槽内の気化ガスを大気放出せずに効率良く圧力降下し得る低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置の提供。

【解決手段】タンクローリ車に搭載して製造工場より使用先に低温液化ガスを輸送運搬するため、送液加圧用の蒸発器14又は加圧送液ポンプP等を備えた断熱貯槽1よりなる低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置30で、断熱貯槽1の上方気層空間部Sに冷却用冷媒を流通せしめる管よりなる熱交換器31を、その管端31a、31bが槽壁を気密に貫通して設けた冷媒導入管32及び冷媒導出管35に連結して設けて、断熱貯槽1内が所定以上の圧力の時、熱交換器31に冷媒を流して、断熱貯槽1内の気化ガスを冷却凝縮せしめて圧力を降下せしめる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 低温液化ガスを貯蔵して使用先に輸送して、送液するための加圧手段を具備してなる断熱貯槽装置であって、断熱貯槽の内槽内の上方気層空間部に位置して冷却用冷媒を流通せしめる管よりなる熱交換器を配し、その管端が槽璧を気密に貫通して槽外に延びて配設されてなることを特徴とする低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置。
【請求項2】 熱交換器はアルミニウムでなり、その管端はステンレス鋼でなる配管が連結されてなることを特徴とする請求項1に記載の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置。
【請求項3】 具備している加圧手段が、貯液されている液化ガスを気化してこれを貯槽の内槽内に送気する蒸発器であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置。
【請求項4】 具備している加圧手段が内槽内と連通してなる加圧送液ポンプであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、低温液化ガスを輸送してこれを使用先の貯蔵タンクに送液充填する、タンクローリー車の如き貯蔵と送液機能を備えた低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置に関する。
【0002】
【従来の技術】空気の組成分である酸素ガス、窒素ガス、アルゴンガス等のガスは、これらの単一成分の高純度ガスとして、鉄鋼、溶接、食品、半導体製造等々あらゆる産業分野で使用されている。そして、これらの単一の成分は、空気を液化して前記空気成分の沸点の差異によって分離する、いわゆる空気液化分離装置によって分離採取している。又、かかる装置で分離採取されたこれらの前記した単一成分のガスの使用に当っては、その使用する量の規模に適応した使用形態が採用されている。
【0003】例えば、使用頻度が少ない場合には、ガスを充填した容器、即ちガスボンベを使用場所に配して使用している。又、他方使用頻度が高く大量に使用する場合には、そのガス使用先の工場の近接場所に空気液化分離装置を設置し、ガスの分離採取と共に消費先に供給して使用している。そして、これらの中間的規模の使用量の場合には、使用先である工場に前記ガスを液体状態で貯蔵する断熱貯槽タンクを設置して、この断熱貯槽タンクに、前記した空気液化分離装置で液体状態で採集した前記単一成分の低温液化ガスをタンクローリ−車等で輸送して、充填貯蔵し、使用時にはこれを蒸発器により気化して使用している。
【0004】そこで、上記した低温液化ガスの輸送運搬にあたっては、空気液化分離装置を設備しているガス製造工場の大型断熱貯槽に低温の液体状態で貯液してある低温の液化ガスを、断熱が施された貯槽を搭載したタンクローリ車の如き輸送用断熱貯槽装置に充填収容して、前記使用先の工場迄運搬し、該使用先工場に設置してある断熱貯槽タンクにこれを送液して移充填して、貯蔵する。しかるに、ガスの使用先の工場に設置してある断熱貯槽タンクにおいては、低温液化ガスを使用作業現場に送液する必要から貯槽内の圧力を一般に6〜10kgf/cm2(ゲージ圧力)にして使用しているのが実情である。
【0005】一方タンクローリー車に搭載された低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置では、製造工場での貯蔵用の大型貯槽よりの移充填のし易さと、運搬時の安全性を考慮して、貯槽内圧力を0〜2kgf/cm2(ゲージ圧力)を保持するこことが好ましく、そしてこのようにして運搬されている。従って、タンクローリー車の低温液化ガス輸送用断熱貯槽で運搬されてきた低温液化ガスを使用先の工場の断熱貯槽タンクに送液して移充填するためには、前記低温液化ガス断熱貯槽内の圧力を0〜2kgf/cm2(ゲージ圧力)より、使用先の工場の貯槽内の圧力6〜10kgf/cm2(ゲージ圧力)より高い圧力に昇圧して行っている。その昇圧圧力は液化ガスのスムースな流れを形成して移充填を容易にするため、通常一般に13〜14kgf/cm2(ゲージ圧力)の圧力として行っている。
【0006】しかるに、タンクローリー車に搭載する従来の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置は図2に図示する如き構造よりなっている。図2は従来のタンクローリー車に搭載する低温液化ガス輸送用の断熱貯槽装置の一例を説明する構成系統概略図であり、断熱貯槽装置20は外槽2と内槽3とを断熱層4を間に介在せしめて二重壁構造としている断熱貯槽1と該貯槽の内槽3内と連通する各種の配管類よりなっている。なお、符号5は外槽2の天頂部に設けられた安全板で、漏洩等で断熱層4部が特定圧力に上昇した時、高圧にならないうちにいち早く破裂して被害を可及的に小さくするようにし、複数個所に設けることにより破裂力を分散せしめ得る。なお、前記断熱層4の断熱手段としてはパーライト等の粉末断熱材を充填すると共に真空排気してなる真空粉末断熱方式、銀等の金属箔−薄紙を多重積層状にして配すると共に真空排気してなる、いわゆるスーパーインシュレイション方式、単なる真空断熱方式、更には単なる断熱材を充填した断熱材断熱方式等々の断熱方式が適宜採用することが出来る。
【0007】前記内槽3内に連通する配管として、低温液化ガスLの導入管6が、その一端を内槽3内の上部に配した複数の細孔7aが下方に向けて穿孔されてなるシャワー状噴出管7に連結し、その他端を内槽3の壁と外槽2の壁を気密に貫通して外部に延設されて弁8を介して導出入主管9に連結して、設けられている。又、内槽3の底部には低温液化ガスLを供給先に導出するための導出管10がその一端を底部に開口せしめ、他端を内槽3の壁と外槽2の壁を気密に貫通して外部に延設されて弁11を介して導出入主管9に連結するようにして設けられている。そして、導出入主管9には出入弁Vが設けられている。
【0008】更に、低温液化ガスLを導出する際、内槽3内を加圧するための加圧用の配管として、加圧用抽出管12がその一端を内槽3の底部に開口し、他端を内槽3の壁と外槽2の壁を気密に貫通して外部に延設されて弁13を介して蒸発器14の一端に連結し、そして蒸発器14の他端より弁15を介して連結された加圧用気体導入管16がその端部を外槽2と内槽3の壁を気密に貫通して内槽3内の上方に開口せしめて設けられている。なお、前記加圧用気体導入管16は、その途中で放出管17を分岐し、その端部は弁18を介して、好ましくは車体床下部に沿って延設されて大気に開放されている。
【0009】又、内槽3に充填貯液されている低温液化ガスLの液量を確認するため、内槽3の底部に一端が開口し、他端が外槽3の壁を気密に貫通して延設せしめた管19の管端と、内槽3の頂部の気層空間部Sにその一端が開口して、他端が外槽3の壁を気密に貫通して延設せしめた管21の管端とを例えば差圧式液面計の如き液面計22に連結している。そして、前記内槽3の気層空間部Sに連通する管21には槽内圧力を確認するための圧力計23が設置されている。又更に、内槽3内には、所定量以上の低温液化ガスLを充填しない様に、所定の液面高さ位置に一端が開口し他端が内槽3及び外槽2の壁を気密に貫通して外部に延設されて弁24を介して大気に開口するように配された過充填防止配管25が設けられている。
【0010】以上のような構造よりなるタンクローリー車に搭載された低温液化ガス輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1に、低温液化ガスLを該低温液化ガスLの製造工場の大型断熱貯槽から充填する時は、弁24を開にして内槽3内を過充填防止配管25を介して大気と連通せしめて、出入弁V及び弁8を開き、その他の弁は閉とする。そして貯槽内圧力0.5〜1kgf/cm2(ゲージ圧力)に保持されている製造工場の大型断熱貯槽より、これに連結した導出入主管9に、ポンプにより約6kgf/cm2(ゲージ圧力)に昇圧して低温液化ガスLが導入され、そして出入弁V、弁8を経て導入管6より内槽3内の上方に設けたシャワー状噴出管7に流入し、複数の細孔7a、…、…より低温液化ガスLがシャワー状に内槽3内に供給され、内槽3を均一に冷却しながら効率良く充填される。
【0011】そして充填と共に内槽3内に低温液化ガスLが貯液されて行くが、安全性の面から内槽3内に低温液化ガスLが過充填されないように、例えば内槽3の容積の90%以上に容積に充填されると、それ以上に充填される(過充填)低温液化ガスLは過充填防止配管25の先端開口25aより該管25に流入して弁24を経て断熱貯槽1外に放出されるようになっている。即ち、断熱貯槽1の内槽3の上部には常に内槽3の容積の最低でも10%の気層空間部Sを形成維持する構造となっている。又、この内槽3に貯液されている低温液化ガスLの液量は、内槽3の底部に開口して連結されている管19と、内槽3の気層空間部Sに開口して連結した管21との管端が連結されている、例えば差圧式の液面計22により確認される。そして又、内槽3内の圧力は前記内槽3の気層空間部Sに開口して連結した管21に設けた圧力計23により確認するようになっている。充填の終了時には、出入弁V、弁8、弁18及び弁24を閉じる。なお、内槽3内の圧力が設定した所定圧力以上に達した場合には、放出管17に設けた安全弁26が適宜作動して、内槽3内を常に所定圧力[最高圧力約14kgf/cm2(ゲージ圧力)]以内にに保つようにされている。通常一般には内槽3内圧力は0〜2kgf/cm2(ゲージ圧力)に保持されることが好ましい。
【0012】このようにして、低温液化ガスLを充填して貯液した断熱貯槽装置20はタンクローリー車に搭載されて、内槽3内圧力を0〜2kgf/cm2(ゲージ圧力)に保持して使用先に運搬される。そして、使用先の断熱貯槽タンクに移充填される。そして、移充填にあたっては、先ず断熱貯槽装置20の断熱貯槽1の内槽3内の圧力を、移充填すべき使用先に設置してある断熱貯槽タンク内の保持圧力以上の圧力に昇圧せしめる。一般に低温液化ガスLの使用先の断熱貯槽タンク内の圧力は、供給むらが無く均一に継続して確実に供給維持し得るようにするため、6〜10kgf/cm2(ゲージ圧力)に保持されているのが実情である。このためタンクローリーに搭載されてきた輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1内の圧力を、使用先の断熱貯槽タンク内の圧力6〜10kgf/cm2(ゲージ圧力)より高い圧力好ましくは12〜14kgf/cm2(ゲージ圧力)に昇圧する必要があった。
【0013】これは、弁13、弁15を開にして、その他の弁は閉として、内槽3内の低温液化ガスLを底部から加圧用抽出管12により導出して弁13を介して蒸発器14に導入せしめ、該蒸発器14でこれを気化せしめて、気化した気体を弁15を経て加圧気体導入管16により内槽3内の気層空間部Sに導入して、内槽3内の圧力を上昇せしめる。そして、前記した如く12〜14kgf/cm2(ゲージ圧力)の所定の圧力に達したら、弁11及び出入弁Vを開いて低温液化ガスLを内槽3の底部から導出管10により導出し、弁11及び出入弁Vを介して導出入主管9により使用先の断熱貯槽タンクに供給送液し、移充填貯液する。
【0014】
【発明が解決しようとする課題】このようにして、使用先の工場の断熱貯槽タンクに低温液化ガスLを移充填した後に、次いで他の使用先へと低温液化ガスLを運搬するため、輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1に、引き続いて低温液化ガスLの製造工場の大型断熱貯槽から、低温液化ガスLを再充填することとなる。しかるに、このときタンクローリー車に搭載されている断熱貯槽装置20の断熱貯槽1の内槽3内の圧力は、前記先の使用先工場の断熱貯槽タンクへの充填にあたって12〜14kgf/cm2(ゲージ圧力)にまで昇圧されており、低温液化ガス製造工場の低温液化ガスLの大型断熱貯槽内の払い出し圧力6kgf/cm2(ゲージ圧力)より極めて高い圧力になっていて、この状態では圧力の低い低温液化ガス製造工場の低温液化ガスLの大型断熱貯槽より、圧力の高い輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1に低温液化ガスLを送液することができない。
【0015】そこで、この送液を可能にして移充填をするには、低温液化ガス製造工場の大型の断熱貯槽内の圧力を昇圧せしめるか、輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1内の圧力を降圧せしめることが必要である。しかし、大型の断熱貯槽の圧力を高い圧力に昇圧せしめることは、安全性確保の点から好ましくないばかりか、断熱貯槽自体の容積が大きいため、昇圧するために多くの時間を要して作業効率の点でも問題がある。このため、輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1内の圧力を降圧せしめる方法が採用されているが、この方法は、弁18を開にして、加圧気体導入管16より分岐している放出管17を経て、断熱貯槽1内の気層空間Sの気体を導出して液化器に導いて再液化して回収したり、又ただ単に大気に放出せしめる方法が採られていた。
【0016】しかるに、前記再液化して回収する方法にあっては、高価な液化器を別途に設置することとなって装置価格が大幅に上昇することと、運転操作が煩雑となる等の問題が生じる。従って、断熱貯槽1内の気層空間Sの気体を導出して、大気に放出せしめているのが実情である。それ故に、有効で高価なガスを無駄にして大きな損失を招いているばかりか、所定の低い圧力にするための大気放出に多くの時間を費やすという大きな問題があった。
【0017】又、上記した図2に図示した輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1内の低温液化ガスの導出送液を、内槽3内を蒸発器14で気化した気体で加圧するのに代えて、加圧送液ポンプを配設して搭載する装置がある。この場合蒸発器14に代えて、点線で表示する如く加圧送液ポンプPを導出管10に配設するもので、断熱貯槽1内の 低温液化ガスLを底部より加圧送液ポンプPで吸引導出せしめて、該加圧送液ポンプPで昇圧せしめ、使用先工場の断熱貯槽タンクへと送液するので、断熱貯槽1の使用圧力を低く抑えることが可能であり、送液にあたって輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1内の圧力を昇圧せしめることなく送液することができる。従って、このような場合、断熱貯槽1の最高使用圧力は4kgf/cm2(ゲージ圧力)と低い圧力に設計されている。そして、この種の装置の場合、断熱貯槽1より低温液化ガスLを導出して、使用先に移充填するための送液にあたっては、移充填前に加圧送液ポンプPを予冷する必要があり、出入弁Vを閉状態にし、弁11及び弁8を開状態にして、断熱貯槽1より低温液化ガスLを加圧送液ポンプPに送液し、これを冷却する。そして、加圧送液ポンプPを冷却した結果、気化する低温液化ガスの気化ガスは弁8、管6介して断熱貯槽1内に戻して回収している。
【0018】しかるに、この輸送用断熱貯槽装置では、使用先の断熱貯槽タンクに低温液化ガスLを送液して移充填するにあたって、出入弁Vを開状態にして加圧送液ポンプPを駆動している間、断熱貯槽1内の液面の降下に伴い加圧送液ポンプPの入り口圧力が降下するのを防ぐため、弁8を微開にして、加圧送液ポンプPの出口圧力を断熱貯槽1内に回収して、断熱貯槽1内の圧力を一定に維持している。このようなことにより、使用先の断熱貯槽タンクに送液して移充填が終了した時点では、輸送用の断熱貯槽装置20の断熱貯槽1内の圧力は3〜3.5kgf/cm2(ゲージ圧力)となっている。そして又、輸送中の振動や外部熱の侵入による気化ガスの発生によって、設計した最高使用圧力の4kgf/cm2(ゲージ圧力)以上に、断熱貯槽1内の圧力が上昇することは避けることができない。従って、このような加圧送液ポンプPを配設した輸送用の断熱貯槽装置20であっても、断熱貯槽1内の圧力を降下せしめるため、断熱貯槽1内気体を大気に放出しなくてはならないという前記した問題を避けることできなかった。
【0019】上記した現状に鑑み、本発明は低温液化ガスを製造工場より使用先に輸送する断熱貯槽装置において、上昇した断熱貯槽内の圧力を、断熱貯槽内の気体を大気に無駄に放出することなく降圧することを目的とし、そして、そのため断熱貯槽内の気体を大気に放出することなく再液化して回収することを可能として、輸送用断熱貯槽から使用先の断熱貯槽タンクへの移充填と、その後の製造工場の大型断熱貯槽から輸送用断熱貯槽への送液移充填とを、適宜行なうことが可能な圧力になるように、輸送用断熱貯槽の圧力調整を無駄なく運転操作するこを可能とした低温液化ガスの輸送用断熱貯槽装置の提供を本発明の課題とする。
【0020】
【課題を解決するための手段】上記した問題点を解消し、本発明の課題を解決するため、請求項1に係る発明は、低温液化ガスを貯蔵して使用先に輸送して、送液するための加圧手段を具備してなる断熱貯槽装置であって、断熱貯槽の内槽内の上方気層空間部に位置して冷却用冷媒を流通せしめる管よりなる熱交換器を配し、その管端が槽璧を気密に貫通して槽外に延びて配設されてなることを特徴とする低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置としたものであり、請求項2に係る発明は、熱交換器はアルミニウムでなり、その管端はステンレス鋼でなる配管が連結されてなることを特徴とする請求項1に記載の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置としたものであり、請求項3に係る発明は、具備している加圧手段が、貯液されている液化ガスを気化してこれを貯槽の内槽内に送気する蒸発器であることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置としたものであり、請求項4に係る発明は、具備している加圧手段が内槽内と連通してなる加圧送液ポンプであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置としたものである。
【0021】
【発明の実施の形態】本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置の実施の形態について図1を参照して説明する。図1はタンクローリー車に搭載する本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置の一例を説明する構成系統概略図である。なお、図1において図2と共通する構成部分は、図2の符号と同一の符号を付してその詳細な説明は省略する。図1に図示する如く、本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置30の特徴は、前記した図2で説明した従来の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置20における断熱貯槽1の内槽3内の上部気層空間部Sに液体窒素の如き極低温液化ガスの冷媒が流通する管路よりなる熱交換器31を設けた点にある。
【0022】即ち、本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置30は、断熱層4を介在してほぼ同軸に配された外槽2と内槽3とよりなる断熱貯槽1の内槽3内の上部に形成される気層空間部Sに、低温液化ガスの如き冷媒が流通可能な管よりなる熱交換器31が設けられている。そして、その一方の管端31aは内槽3の壁、断熱層4、外槽2の壁を気密に貫通して外部に延びて逆止弁33、開閉弁34を配設してなる冷媒導入管32に連結されている。又、他方の管端31bは、同様に内槽3の壁、断熱層4、外槽2の壁を気密に貫通して外部に延びて熱交換器内を一定圧力に保持するための保圧弁36を配設してなる冷媒導出管35に連結されている。なお、符号37は冷媒導出管35に連結して設けた圧力計で、熱交換器31の管路内の圧力を監視するものである。
【0023】このように断熱貯槽1の内槽3内の気層空間部Sに熱交換器31を配した本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置30を用いて、低温液化ガスLの製造工場の大型断熱貯槽から本発明断熱貯槽1への低温液化ガスLの受け入れ移充填作業、及び当該断熱貯槽装置30によって運搬してきた低温液化ガスLを断熱貯槽1から使用先工場の断熱貯槽タンクに送液して移充填する作業は、いずれも前記図1で説明した従来の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置20での作業操作と同じ作業操作で行うものである。
【0024】そして、これらの作業操作の間に、輸送用断熱貯槽装置30の断熱貯槽1の内槽3内の圧力が上昇して、低温液化ガス製造工場の低圧の大型断熱貯槽から断熱貯槽1への低温液化ガスLの送液移充填が困難になった時は、開閉弁34を開にして、断熱貯槽1に貯液されている低温液化ガスLより沸点の低い低温液化ガスを冷媒として冷媒導入管32に導入して熱交換器31に流通せしめ、冷媒導出管35より保圧弁36を介して導出する。このようにして、冷媒を熱交換器31に連続して流して、気層空間部Sに滞留する気体を冷却してこれを凝縮液化せしめ、内槽3内に流下せしめて回収する。その結果、昇圧していた内槽3内の圧力は降下し、低温液化ガス製造工場の大型断熱貯槽から輸送用断熱貯槽装置30の断熱貯槽1に、低温液化ガスLを受け入れる移充填を極めて容易に行なうことが出来る。なお、導出管35で導出した冷媒は回収し循環再使用することが望ましい。
【0025】上記した冷媒としては、輸送運搬する低温液化ガスLが、例えば液体酸素(沸点:1気圧で−182.8℃)、液体アルゴン(沸点:1気圧でー185.5℃)である場合には、冷媒としてはこれらより沸点の低い液体窒素(沸点:1気圧で−195.6℃)、液体ヘリウム(沸点:1気圧で−268.7℃)や液体水素(沸点:1気圧で−252.6℃)等の低温液化ガスがが好適に使用し得る。そして、この冷媒はこれらに限定されるもので無く、断熱貯槽装置30で輸送運搬される低温液化ガスLによって、その低温液化ガスLの沸点より低い沸点を有する低温液化ガスを冷媒として適宜選択して使用すれば良いことは勿論である。
【0026】又、前記断熱貯槽1内に配設する熱交換器31は、加工の容易性と、当該低温分野での塔槽類や配管類に通常一般に使用されているステンレス鋼を同様に使用し、これを、同様にステンレス鋼でなる冷媒の導入・出管32、35と結合して、同一の材料のステンレス鋼の一体配管にして形成して設置した。 しかし、より熱交換効率を高めて熱交換させるために、熱交換器31の配管をアルミニウム製にしたり、配管にフィンを付設せしめたりするとより効果的である。又、内槽3内に配する熱交換器31のみを熱伝導率の良いアルミニウム製として、これに連設する導入・出管32、35を熱伝導率の低いステンレス鋼とすると、これに流通せしめる冷媒をより一層効率良く使用することができる。
【0027】
【実施例】次に、本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置30をタンクローリーに搭載して使用し、そして、その断熱貯槽1に低温液化ガスLを製造工場の大型断熱貯槽から受け入れ貯蔵し、これを使用先工場に輸送運搬して該使用先工場の断熱貯槽タンクに送液して移充填した実施例について説明する。なお,使用した本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置30の仕様諸元は以下の通りである。
【0028】●使用した断熱貯槽1の仕様諸元・外槽2:材質をステンレス鋼とした。
・内槽3:材質をステンレス鋼とし、積載容積を5,500m3とした。
・断熱層4:外槽2と内槽3との間の約150mmの空間に、パーライト粉末を充填するとともに、空間内を5×10-2Torr.以下の真空度に保持するようにした。
・配管類:材質をステンレス鋼の配管を使用した。
【0029】●設置した熱交換器31の仕様諸元・材質:ステンレス鋼の管を使用した。
・配管寸法:外径13.8mm、肉厚1.65mm、長さ30mの管を蛇行せしめて配した。
【0030】●加圧方式は蒸発器14を使用した。
・材質:アルミニウム。
・形式:スターフィン型空温式蒸発器。
【0031】上記した仕様諸元よりなる本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置30の断熱貯槽1に、導出入主管9を低温液化ガス製造工場の大型断熱貯槽に連結し弁8を開いて、大型断熱貯槽より、該槽で2.0kgf/cm2(ゲージ圧力)にて貯液されている液体アルゴンを、導出入主管9、弁8、導入管6及びシャワー状噴出管7を介して5,500m3の量を1.5kgf/cm2(ゲージ圧力)の圧力にして充填し貯蔵した。これを、タンクローリー車により使用先工場に運搬輸送して、該使用先工場に設置してある断熱貯槽タンクに移充填する。移充填に先だって使用先工場の断熱貯槽タンクの圧力を確認したところ、8kgf/cm2(ゲージ圧力)であった。
【0032】そこで、低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置30の断熱貯槽1の圧力を、弁13、弁15を開にして蒸発器14に加圧用抽出管12を介して液体アルゴンを導入してこれを気化せしめ、次いで気化した気体アルゴンを加圧気体導入管16を介して断熱貯槽1に戻し、13kgf/cm2(ゲージ圧力)の圧力まで昇圧せしめた。そして引き続き、弁11を開いて断熱貯槽1の底部より導出管10を介して液体アルゴンを導出し、更に弁11を介して導出入主管9から8kgf/cm2(ゲージ圧力)の高い圧力に保持されている使用先工場の断熱貯槽タンクに送液し得て、移充填をすることが出来た。移充填後の輸送用断熱貯槽装置30の断熱貯槽1の圧力は、そのままの13kgf/cm2(ゲージ圧力)の圧力を保持しており、又内槽3内には約500m3の液体アルゴンが残って、なお貯液されていた。
【0033】このようにして、使用先工場の断熱貯槽タンクに液体アルゴンを充填供給した後、本発明の輸送用断熱貯槽装置30は、更に他の使用先工場に液体アルゴンを輸送運搬するため、液体アルゴンを製造している低温液化ガス製造工場の大型断熱貯槽に戻り、再び大型断熱貯槽より液体アルゴンを受け入れ充填することとした。この時本発明の輸送用断熱貯槽装置30の断熱貯槽1内の圧力は、帰りの運行中に液体アルゴンの過冷却によって気層部空間Sに存在する気体アルゴンが凝縮して再液化して滴下し、8kgf/cm2(ゲージ圧力)の圧力まで降圧していた。しかし、未だ低温液化ガス製造工場の大型断熱貯槽での液体アルゴン払出し圧力6kgf/cm2(ゲージ圧力)より高い圧力なので、この払出し圧力6kgf/cm2(ゲージ圧力)の大型断熱貯槽から、これより高い圧力8kgf/cm2(ゲージ圧力)を保持している輸送用の断熱貯槽1に、液体アルゴンを送液して移充填することはできない。
【0034】そこで、輸送用の断熱貯槽1の圧力8kgf/cm2(ゲージ圧力)を、低温液化ガス製造工場の大型断熱貯槽の払出し圧力6kgf/cm2(ゲージ圧力)以下に降下せしめるため、熱交換器31に連結されている冷媒導入管32を別途設けてある液体窒素貯槽に連結して弁34を開き、液体窒素を弁34、逆止弁33を介して冷媒導入管32により熱交換器31に導入した。そして、断熱貯層1の上部気層空間部Sを冷却せしめて、冷媒導出管35より保圧弁を36を介して外部に導出して回収するようにして液体窒素を熱交換器31に約3kgf/cm2(ゲージ圧力)の圧力で流通せしめた。
【0035】その結果、約30リットルの液体窒素を熱交換器31に流通せしめることにより、約45分の時間で、輸送用の断熱貯槽1の圧力を、8kgf/cm2(ゲージ圧力)から5.5kgf/cm2(ゲージ圧力)の圧力に降下せしめることができ、断熱貯槽1内の高価な気体アルゴンを無駄に大気に放出することなく回収すると共に、短時間で断熱貯槽1内の圧力を所望する低い圧力に降圧することが出来た。そして、引き続き手際良く、払出し圧力6kgf/cm2(ゲージ圧力)の低温液化ガス製造工場の大型断熱貯槽より輸送用の断熱貯槽1に液体アルゴンを送液し得て充填することができた。このようにして、タンクローリー車に搭載された輸送用の断熱貯槽装置30の断熱貯槽1に充填された液体アルゴンは別の使用先工場に運ばれ、当該工場の断熱貯槽タンクに、前記した如き蒸発器による加圧操作をして液体アルゴンを送液移充填した。
【0036】上記実施例では、タンクローリー車で低温液化ガスを該低温液化ガス製造工場の大型断熱貯槽から使用先工場の断熱貯槽タンクに輸送運搬する場合の輸送用の断熱貯槽1内の圧力上昇の対応について説明した。又、このほかの例として、休日等の輸送運搬を長期にわたって休業して、外部からの侵入熱により断熱貯槽1内に貯液してある低温液化ガスが気化して、これにより断熱貯槽1内の圧力が上昇した場合にも、熱交換器31を有効に活用して、同様に高価な気体を大気に放出することなく有効に液化回収して、断熱貯槽1内の圧力を所望する低い圧力に降下せしめることができる。
【0037】本発明の低温液化ガスの輸送用断熱貯槽装置30は以上のように実施されるが、上記実施例では、輸送する低温液化ガスLとして液体アルゴンを例示して説明したが、本発明の低温液化ガスの輸送用断熱貯槽装置30は液体アルゴンの運搬輸送のみの使用に限定されるもので無く、如何なる低温液化ガスの輸送運搬に用いることができるのは勿論である。そして、この場合、内槽3内に配した熱交換器31に流す冷媒は、この断熱貯槽装置30で輸送運搬される低温液化ガスLによって、その低温液化ガスLの沸点より低い沸点を有する低温液化ガスを冷媒として適宜選択して使用すれば良い。
【0038】又、内槽3内に配設した熱交換器31として、上記実施例ではステンレス鋼製の管を使用した例を例示したが、本発明はこれに限定されるもので無く、より熱交換効率を高めて熱交換させるために、熱交換器31の配管をアルミニウム製にしたり、配管にフィンを付設せしめたりするともできる。又、内槽3内に配する熱交換器31のみを熱伝導率の良いアルミニウム製として、これに連設する導入・出管32、35を熱伝導率の低いステンレス鋼とすると、これに流通せしめる冷媒の冷熱をより一層効率良く使用することができる。なお又、本発明の輸送用の断熱貯槽装置30では、断熱貯槽1より使用先工場の断熱貯槽タンクに低温液化ガスを送液する加圧手段として、前記実施例では加圧用の蒸発器14を使用した例を説明したが、これに代えて導出管10に加圧送液ポンプを配設した断熱貯槽装置30であっても、断熱貯槽1内の圧力が上昇した場合に、これを降圧せしめるのに同様に有効に活用し得るものである。
【0039】
【発明の効果】本発明の低温液化ガス輸送用断熱貯槽装置は以上のような形態で実施され、以下の如き効果を奏する。即ち、本発明のタンクローリー車に搭載して使用する、低温液化ガス輸送用の断熱貯槽装置は、低温液化ガスを貯液する断熱貯槽の内槽内の気層空間部に冷媒を流通せしめる熱交換器を配設したので、断熱貯槽内に貯液してある低温液化ガスより沸点の低い冷媒を熱交換器に流通せしめることにより、断熱貯槽内の圧力が上昇しても、高価な低温液化ガスが気化して断熱貯槽の内槽内に滞留する気体を、前記熱交換器で冷却して再液化して回収すると共に、断熱貯槽内の圧力を降下せしめることができる。
【0040】従って、高価な低温液化ガスを大気に放出することなく、断熱貯槽内の圧力を容易に所望する低い圧力に降下せしめることが出来るので、低温液化ガスの損失が低減されて輸送効率を向上せしめるばかりか、圧力の調整操作が容易となって、低温液化ガスの移充填作業効率が向上すると共に低温液化ガスの輸送運行効率を高めることが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000231235
【氏名又は名称】日本酸素株式会社
【識別番号】591169995
【氏名又は名称】日酸工業株式会社
【出願日】 平成11年3月17日(1999.3.17)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外8名)
【公開番号】 特開2000−266292(P2000−266292A)
【公開日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【出願番号】 特願平11−72744