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【発明の名称】 ガス容器及びその製造方法
【発明者】 【氏名】桐ヶ谷 清一

【氏名】芹沢 高之

【要約】 【課題】ガス容器本体の強度を維持しつつスカート部を接合できるとともに、耐衝撃性や搬送性の良いガス容器及びその製造方法を提供することを目的としている。

【解決手段】ガス容器1は、ほぼ有底円筒状のガス容器本体2と、このガス容器本体2の下部胴直部6に圧入によって嵌合されたほぼ有底円筒状の合成樹脂からなるスカート部5とを備えている。このスカート部5は、底部5b内面に均一に配された複数の突起10と、底部5bの平面中心近傍に形成された貫通孔11と、底部5b外面に円環状に設けられた脚部7とを備えている。ガス容器1の下部に作用する衝撃などは突起10を備えたスカート部5によって吸収される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 有底筒状に形成され断面輪郭円形状の胴体部を有するアルミニウム合金製のガス容器本体と、前記胴体部の下部に圧入によって装着された合成樹脂またはゴムからなる円筒状のスカート部とを備えたことを特徴とするガス容器。
【請求項2】 請求項1に記載のガス容器であって、前記ガス容器本体の上部には、縮径した開口部としてのネック部と前記胴体部とをつなぐ肩部が形成されており、この肩部近傍には、ほぼ円環状に形成されるとともにその外径が前記スカート部の外径とほぼ等しいゴム製の肩部保護部が圧入によって装着されていることを特徴とするガス容器。
【請求項3】 アルミニウム合金製の素材をプレス加工あるいは鍛造加工により有底筒状の円筒体に成形する円筒体形成工程と、前記円筒体の開口部を加工に適合な温度に加熱し、前記開口部の外周面にネック形成部材を押圧させて前記開口部の直径を縮小させることによりネック部を形成してガス容器本体とするネッキング工程と、前記ガス容器本体の下部とほぼ有底円筒状に形成された合成樹脂製またはゴム製のスカート部の開口部とを対向させつつ押圧して前記ガス容器本体の下部に前記スカート部を嵌め込むスカート部圧入工程と、前記ガス容器本体のネック部とほぼ円環状に形成されたゴム製の肩部保護部とを対向させつつ押圧して、前記ガス容器本体のネック部と胴体部とをつなぐ肩部に前記肩部保護部を嵌め込む肩部保護部圧入工程とを備えていることを特徴とするガス容器の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ガス容器本体を補強するためのスカート部を備えたガス容器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、液化石油ガスや酸素等のガスを収容するためのガス容器は垂直に立てられた状態で搬送及び設置される。そしてガス容器には、搬送や設置時の衝撃からの保護や、安定した直立状態を保つために、例えば図11に示すように、ガス容器本体100下部に補強用のスカート部101が設けられる。
【0003】図11において、アルミニウム合金製のガス容器本体100の下部には、このガス容器本体100下部を補強するための円環状のスカート部101が設置されている。また、上部にはガス容器本体内部のガスを排出する部分であるガス排出機構103が設けられている。
【発明が解決しようとする課題】
【0004】このガス容器本体100とスカート部101とは一般にアーク溶接によって接合させる。このとき、元々アルミニウム合金はアーク溶接に適していないため、溶接部104近傍は溶接による熱によって強度が低下し、搬送時などに作用される衝撃に耐えられない場合が生じる。さらに、このガス容器を所定場所に設置するときや搬送するときに、例えば底部105に石などがぶつかり、底部105は直接衝撃を受けてしまう。また、ガス容器本体100や溶接部104の強度を高めようとすると、ガス容器本体100やスカート部101の肉厚を大きくする必要があり、重量が重くなって搬送時等に取扱いが不便になったり、材料費が増えることによってコストの増加につながる。
【0005】さらに、このようなガス容器は一般に戸外に設置される場合が多く、風雨や日光にさらされて、ガス容器自体やガス容器内部の収容物に悪影響が及ぼされる。
【0006】本発明は、このような事情に鑑みてなされたもので、ガス容器本体の強度を維持しつつスカート部を接合できるとともに、耐衝撃性や搬送性の良いガス容器及びその製造方法を提供することを目的としている。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するため、請求項1に記載の発明は、有底筒状に形成され断面輪郭円形状の胴体部を有するアルミニウム合金製のガス容器本体と、前記胴体部の下部に圧入によって装着された合成樹脂またはゴムからなる円筒状のスカート部とを備えたことを特徴とする。
【0008】本発明によれば、ガス容器本体の下部はスカート部によって保護される。そして、ガス容器の底部側からの衝撃や下部側壁部側からの衝撃などはこのスカート部によって吸収される。そして、このスカート部を合成樹脂製またはゴム製にしたことにより、材料自体の弾性力によってガス容器本体の保護は安定して行われる。また、ガス容器全体の軽量化を実現することができるとともに、ガス容器のスカート部を例えば建造物など他の対象物にぶつけてしまっても、その対象物の損傷を最小限に抑えることができる。さらに、ガス容器本体とスカート部とは圧入によって嵌合されるので、従来のような溶接工程は必要が無くなり、溶接の熱による強度の低下は無くなる。そして、ガス容器本体に圧入する場合においても、スカート部は合成樹脂製またはゴム製であるので半径方向に弾性変形されるため、圧入を容易に行うことができる。
【0009】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のガス容器であって、前記ガス容器本体の上部には、縮径した開口部としてのネック部と前記胴体部とをつなぐ肩部が形成されており、この肩部近傍には、ほぼ円環状に形成されるとともにその外径が前記スカート部の外径とほぼ等しいゴム製の肩部保護部が圧入によって装着されていることを特徴とする。
【0010】本発明によれば、ガス容器本体下部はスカート部によって保護されるとともに、上部にある肩部近傍も肩部保護部によって保護される。さらに、スカート部と肩部保護部とのそれぞれの外径をほぼ同径に形成させたため、ガス容器は、例えば横に寝かせてから転がすことによって荷の積み卸しをすることもでき、搬送を容易に行うことができる。また、肩部保護部はゴム製であるため、仮にガス容器をあやまって倒してしまった場合においても、肩部保護部が緩衝材となり、ガス容器は保護される。そして、この肩部保護部は圧入によって装着されるため、溶接工程は必要が無くなり、熱による脆弱化を防止することができる。また、肩部保護部はゴム製であり、半径方向に弾性変形されるので、圧入を容易に行うことができる。
【0011】請求項3に記載の発明は、アルミニウム合金製の素材をプレス加工あるいは鍛造加工により有底筒状の円筒体に成形する円筒体形成工程と、前記円筒体の開口部を加工に適合な温度に加熱し、前記開口部の外周面にネック形成部材を押圧させて前記開口部の直径を縮小させることによりネック部を形成してガス容器本体とするネッキング工程と、前記ガス容器本体の下部とほぼ有底円筒状に形成された合成樹脂製またはゴム製のスカート部の開口部とを対向させつつ押圧して前記ガス容器本体の下部に前記スカート部を嵌め込むスカート部圧入工程と、前記ガス容器本体のネック部とほぼ円環状に形成されたゴム製の肩部保護部とを対向させつつ押圧して、前記ガス容器本体のネック部と胴体部とをつなぐ肩部に前記肩部保護部を嵌め込む肩部保護部圧入工程とを備えていることを特徴とするガス容器の製造方法である。
【0012】ガス容器本体とスカート部及び肩部保護部との接合は圧入によって行われるため、従来のようなアーク溶接工程は必要無くなり、ガス容器の溶接の熱による強度の低下は防止される。また、スカート部を合成樹脂製またはゴム製としたため、ガス容器本体とスカート部との圧入工程の際、スカート部は半径方向に弾性変形されるため、例えばガス容器本体下部やスカート部の形状が若干異なっていても、圧入は安定して行われる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施形態によるガス容器を図面を参照して説明する。図1は本発明のガス容器の第1実施形態を示す側方断面図である。
【0014】図1において、アルミニウム合金からなるガス容器1は、ガス容器本体2と、ガス容器本体2の下部に装着されるスカート部5とを備えている。また上部にはガス容器本体2内部に充填されたガスを排出する部分であるガス排出機構3が縮径された開口部であるネック部12に設けられており、ガス排出機構保護部4によって保護されている。
【0015】ガス容器本体2はほぼ有底円筒状に形成されており、その底部2bは曲面状に形成されている。ガス容器本体2の上部には、断面輪郭円形状に形成されたガス容器本体2の胴体部2aとネック部12とを連結する肩部13が形成されており、下部には胴体部2aより小径に形成された下部胴直部6が直胴状に設けられている。
【0016】図1、図2、図3に示すように、下部胴直部6に装着されるスカート部5はほぼ有底円筒状に形成されている。このスカート部5の底部5b外面には円筒軸方向下方に向かって脚部7が円環状に形成されているとともに地面などの載置面8との間には空間部9が形成されている。また、スカート部5の底部5bの平面中心近傍には、ガス容器本体2の底部2bの面積より小さく形成された貫通孔11が設けられている。
【0017】スカート部5の側壁部5aは下部胴直部6の周壁面6aとほぼ隙間無く当接されている。また、スカート部5の底部5bの内面、つまりガス容器本体2の底部2bと当接される側の面には、底部2b側に向かって複数の突起10が形成されている。突起10はスカート部5の底部5b全体にわたってほぼ均一に配されており、その先端はそれぞれ球面状に形成されている。そして、突起部10の先端はガス容器本体2の底部2bに当接されている。また、下部胴直部6はガス容器本体2より、スカート部5の側壁部5aの肉厚以上に縮径されているため、例えば、このガス容器1をトラック等に複数個立てた状態で搬送する場合においても、スカート部5が邪魔となることなく、ガス容器本体2どうしを密接させて搬送でき、搬送の効率、安定性を増すことができる。
【0018】このスカート部5は合成樹脂によって形成されており、使用可能な合成樹脂としては、例えばポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂など種々の材料を挙げることができる。また、使用可能なゴムとしては、ネオプレンゴム、シリコンゴムなどを挙げることができる。
【0019】次に、このような構成を持つガス容器1の製造方法の一実施形態について説明する。はじめに、アルミニウム合金を連続鋳造法で鋳造し、スラグ等の不純物を取り除く。そして、連続鋳造したスラブの表面に形成された不純物を切削、除去し、このスラブを圧延機で圧延しつつローリングして薄板にする。そして、図6(a)に示すように、この薄板にシェア切断(あるいは打ち抜き加工)を施して、円板状の板材20を形成する。得られた円板状の板材20には不純物の混入がほとんどないので、比較的加工性が良く、また加工中に亀裂も発生しない。そして、円板状の板材20を焼鈍することにより、深い絞り加工を行うプレス工程に適するように軟質化させる。
【0020】次に、図6(b)に示すように、円板状の板材20をプレスして有底状の円筒形に成形する。すなわち、所定の厚さ及び直径の板材20の表面に潤滑材を塗布して円筒状のダイス21の上に置き、板材20の上部からポンチ22を下降させて、板材20の中央部をプレスして、有底状の第1の円筒体23を形成する(1次プレス工程)。必要に応じて、中間焼鈍を行う場合もある。
【0021】この後、図6(c)に示すように、1次プレス工程によって得られた第1の円筒体23をリング状のワーク支持部材24上に載せ、小径のポンチ25を下降させ、第1の円筒体23の中央部をプレスして、有底状の第2の円筒体26を形成する(2次プレス工程)。そして、図6(d)に示すように、型26aにより第2の円筒体26を絞り成形してその底面を曲面にする。
【0022】なお、この円筒体26は、図9に示すように鍛造によって形成することも可能である。すなわち、図9に示すように、鍛造型30にアルミニウム合金素材31を載置し、このアルミニウム合金素材31を適宜の雄型32によって後方に押し出し(矢印33側)、円筒体26とする後方押し出し鍛造を行ってもよい。
【0023】円筒体26が形成されたら、図7(a)に示すように、容器本体をその軸線回りに高速回転させながら(矢印D)、その開口部外周を加工温度(例えば470℃程度)で加熱した後、自身の軸線回りに回転する(矢印E)ネック形成部材である駆動ローラ27を円筒体26の外面より内向きに向けて徐々に移動させることにより胴体部2aに比べてかなり厚いネック部12を形成する(ネッキング工程)。このように、円筒体26の上端部はネック形成により著しく縮径され、すなわち、材料が寄せ集められる結果、他の部分より厚肉のネック部12が形成される。ここで、図7(b)に示すように、切断機28によりネック部12部分の先端を切断して、所定のネック高さに形成する。なお、このネッキング工程の前後に、必要に応じて円筒体26を洗浄してもよい。下部胴直部6は、ネッキング工程の前に段の付いたポンチを円筒体26に押し込んで成形する。また、ネッキング工程と同様、円筒体26の下部を加熱しながら駆動ローラ(下部胴直部形成部材)を押し当てつつ回転させて形成させてもよい。
【0024】そして、図7(c)に示すように、必要に応じて、円筒体26を熱処理することにより強度を高める。この後、円筒体26のネック部12の内周面に螺子部29を形成してガス容器本体2とし、この螺子部29にガス排出機構3を螺合させる。このとき、円筒体26のネック部12は胴体部2aに比べてその直径が小さくて十分な厚みを有しているので、螺設加工は容易に行われる。
【0025】ガス容器本体2の形成が終わったら、ガス容器本体2の下部にスカート部5を圧入によって嵌合させる。このとき、合成樹脂製のスカート部5は、射出成形やその他合成樹脂の成形に一般的な方法によって形成される。ガス容器本体2とスカート部5とは、図8に示すようにガス容器本体2の底部2bとスカート部5の開口部とを対向させ、それぞれを容器支持部34とスカート部支持部35とで支持させる。そしてそれぞれを接近させて押圧し、ガス容器本体2の底部2bとスカート部5の底部5b内面に形成された突起10の先端とが当接するまでガス容器本体2をスカート部5に押し込んで、スカート部5にガス容器本体2の下部胴直部6を嵌め込むことによりガス容器1は製造される。
【0026】このように、ガス容器1は、ガス容器本体2の下部に側壁部5aと底部5bとを備えたほぼ有底円筒状のスカート部5を設けたため、側壁部5a側や底部5b側からの衝撃、例えば地面に載置した際起こり得る石との衝突などといった、外部から作用される力は吸収されるようになっており、ガス容器1の破損は防止される。
【0027】そして、スカート部5の底部5b内面側に、ガス容器本体2の底部2bと当接するように複数の突起10を均一に設けたため、ガス容器1に対して底部2b側から作用する衝撃は分散されるため、十分に衝撃を吸収することができる。
【0028】スカート部5の底部5bに、ガス容器本体2の底部2bの面積より小さい貫通孔11を設けたことにより、例えばガス容器本体2とスカート部5とを嵌合した際に胴体部2a周壁面とスカート部5側壁部5a内面との間に隙間が生じこの隙間に例えば雨水等が浸入した場合においても、この雨水等は貫通孔11から空間部9側に排出されるようになっている。そのため、ガス容器1が、例えば風雨にさらされる戸外に設置された場合でも、雨水等はスカート部5内部に溜まらないようになっており、この雨水等に起因する腐食をはじめとするガス容器1の劣化は防止される。
【0029】スカート部5の底部5b外面側には、軸線方向下向きに形成された円環状の脚部7が設けられたため、ガス容器1はぐらついたりせず安定して載置される。さらに、脚部7の内側には空間部9が形成されているため、例えばガス容器1を載置させたい場所に小石などの異物があった場合でも、この異物を空間部9に収容させるようにしてガス容器1を載置させればよく、様々な載置場所に対応することができる。
【0030】また、ガス容器1を人手で搬送する際、ガス容器1を斜めに支持しつつ底部の角部を地面に当接させながら転がして搬送する場合が多いが、この場合もスカート部5及びそれに形成された脚部7を地面に当接して転がせばよいため、搬送は安定し、ガス容器本体2は損傷されない。
【0031】さらに、スカート部5内部に溜まってしまった雨水等は前記貫通孔11から空間部9に排出されるようになるため、スカート部5内部には常に水が溜まらないようになっている。つまり、底部5bは脚部7によって載置面8から離間するようになっており、貫通孔11は載置面8によって塞がれない状態となっている。そのため、雨水等は貫通孔11から空間部9に安定して排出される。
【0032】また、スカート部5を合成樹脂製としたことにより、材料自体のクッション性によってガス容器1に作用する衝撃を吸収することができ、ガス容器1の保護は安定して行われる。また、このガス容器1を搬送する途中に、例えばコンクリート製やタイル製などの階段その他建造物等の対象物にぶつけてしまっても、材料自体のクッション性によりこれら対象物の損傷を防止することができる。さらに、ガス容器1全体の軽量化を実現することができ、搬送性や取扱いが良好となる。スカート部5をゴム製にしても同様な効果が得られる。
【0033】そして、これらガス容器本体2とスカート部5とは圧入によって嵌合されるので、従来のような溶接工程は必要無くなり、溶接の熱による強度の低下を無くすことができる。また、スカート部5を合成樹脂製としたため、ガス容器本体2とスカート部5とを圧入させる際、スカート部5は半径方向に弾性変形されるので、例えばガス容器本体2下部やスカート部5が真円どうしでなくても、嵌合は容易且つ確実に行われる。
【0034】次に、本発明のガス容器の第2実施形態について説明する。なお、この第2実施形態のうち、ガス容器本体2は第1実施形態と同様に形成されたものである。すなわち、この第2実施形態のガス容器本体2は、ほぼ有底円筒状に形成され、直胴状の胴体部2aと、この胴体部2aより小径に形成された下部直胴部6と、断面円弧状に形成された底部2bと、ガス容器本体2の上部に縮径されて設けられたネック部12と、このネック部12と胴体部2aとをつなぐ肩部13と、ネック部12に装着されたガス排出機構3と、このガス排出機構3を保護するためのガス排出機構保護部4とを備えている。
【0035】スカート部40は図4に示すように、ほぼ有底円筒状に形成されており、第1実施形態同様、合成樹脂から形成されているとともに、側壁部40aと底部40bとを備えている。そして、底部40bの平面中心近傍には、ガス容器本体2の底部2bの面積より小さい貫通孔41が形成されている。
【0036】本発明の第2実施形態におけるガス容器本体2に嵌合されるスカート部40は、側壁部40aの内面に円筒軸方向に沿って形成された縦リブ45が、スカート部40の半径方向内側に向けられて周方向に均一に複数形成されている。そして、このスカート部40を下部胴直部6に嵌合させたとき、それぞれの縦リブ45の先端は、下部胴直部6の周壁面6aに均等に当接されるようになっている。
【0037】このように形成されたガス容器は、第1実施形態に示した製造方法と同様な方法によって形成される。すなわち、アルミニウム合金製の素材をプレス加工あるいは鍛造加工により有底筒状の円筒体26を形成し、この円筒体26の開口部を加工に適合な温度に加熱し、前記開口部の外周面にネック形成部材である駆動ローラ27を押圧させて前記開口部の直径を縮小させることによりネック部12を形成してガス容器本体2を形成する。
【0038】次いで、このガス容器本体2の下部とスカート部40の開口部とを対向させつつ押圧して、ガス容器本体2の下部にスカート部40を嵌め込むことにより、ガス容器は製造される。
【0039】このような構成を持つ第2実施形態におけるガス容器は、その下部に側壁部40aの内面に複数の縦リブ45を有するほぼ有底円筒状のスカート部40を備えたことにより、ガス容器の下部に作用された衝撃などは確実に吸収されるとともに、スカート部40の側壁部40a内側や下部胴直部6の断面輪郭が真円でなくても、下部胴直部6の周壁面6aと縦リブ45の先端部分とが確実に当接することによって、ガス容器本体2とスカート部40とは安定して嵌合される。さらに、スカート部40を合成樹脂製とし、半径方向に弾性変形可能としたことによって、嵌合は容易且つ確実に行われる。
【0040】そして、雨水等の浸入を防ぐため、少なくともスカート部40の上部全周にわたって封止材Sとしてエポキシ樹脂、ウレタン樹脂、アクリル樹脂等を塗布する。一般的にこれらの樹脂は接着性を有するため、スカート部40の接合性を高める。また、スカート部40上部から雨水等が浸入する場合があっても、スカート部40の底部40bに貫通孔41を形成したことにより、雨水等はスカート部40内部に溜まらずに貫通孔41から外部に排出されるため、ガス容器本体2の劣化を防止することができる。
【0041】さらに、第1実施形態同様、搬送中に建造物などの対象物にぶつけてしまってもこの対象物の損傷を最小限に抑えることができるとともに、ガス容器1に作用する衝撃を確実に吸収することができるため、安全な搬送及び安定した設置を行うことができる。また、ガス容器本体2とスカート部40とは圧入によって嵌合されるので溶接工程の必要は無くなり、熱による脆弱化は防止される。
【0042】次に、本発明のガス容器の第3実施形態について図5を用いて説明する。図5において、ほぼ有底円筒状に形成されたガス容器本体50は、曲面状の底部50bまで直胴状に設けられた胴体部50aと、ガス容器本体50の上部に縮径されて設けられたネック部52と、このネック部52と胴体部50aとをつなぐ肩部53と、ネック部52に装着されたガス排出機構54と、このガス排出機構54を保護するためのガス排出機構保護部55とを備えている。
【0043】このガス容器本体50の下部には、ほぼ有底円筒状に形成されたスカート部60が嵌合されている。このスカート部60は、側壁部60aと底部60bとを備えており、底部60bの平面中心近傍には、ガス容器本体50の底部50bの面積より小さい貫通孔61が形成されている。さらに、このスカート部60からは、円筒軸線方向下方に向かって円環状に形成された脚部67が設けられており、地面などの載置面68との間に空間部69を形成している。
【0044】ガス容器本体50上部の肩部53近傍には、ほぼ円環状に形成された肩部保護部70が嵌合されている。この肩部保護部70の外径は、スカート部60の外径とほぼ等しくなるように形成されている。そして、これらスカート部60及び肩部保護部70は、ゴムから形成されている。このときスカート部60を合成樹脂製とすることも可能である。
【0045】このように形成されたガス容器は、第1、第2実施形態に示した製造方法と同様な方法によって形成される。すなわち、アルミニウム合金製の素材をプレス加工あるいは鍛造加工により有底筒状の円筒体26を形成し、この円筒体26の開口部を加工に適合な温度に加熱し、前記開口部の外周面にネック形成部材である駆動ローラ27を押圧させて前記開口部の直径を縮小させることによりネック部52を形成してガス容器本体50を形成する。
【0046】次いで、このガス容器本体50の下部とスカート部60の開口部とを対向させつつ押圧してガス容器本体50の下部にスカート部60を嵌め込み、次いで、ガス容器本体50の上部とゴム製の肩部保護部70とを対向させつつ押圧して、ガス容器本体50の肩部53近傍に肩部保護部70を嵌め込むことにより、ガス容器は製造される。
【0047】このような構成を持つ第3実施形態におけるガス容器は、ガス容器本体50の下部にスカート部60を設け、さらに上部の肩部53近傍にスカート部60の外径とほぼ等しい外径を有した円環状の肩部保護部70を圧入によって嵌合させたため、ガス容器本体50下部は衝撃から保護されるとともに、上部にある肩部53近傍も衝撃から保護される。
【0048】さらに、スカート部60の外径と肩部保護部70の外径とをほぼ同径に形成したため、このガス容器を搬送する場合、例えば完全に寝かせてから転がして搬送することも可能となる。また、仮にこのガス容器を倒してしまっても、肩部保護部70が緩衝材となり、ガス容器を保護することができる。
【0049】また、ガス容器本体50の上部及び下部にそれぞれスカート部60及び肩部保護部70を設けたため、例えばこのガス容器をトラック等に複数個立てた状態で搬送する場合においても、隣接するガス容器どうしはこれらスカート部60及び肩部保護部70どうしで緩衝されるため、ガス容器は搬送時や保管時にがたついたりせず、安定した搬送、保管を行うことができる。
【0050】なお、第1、第2、第3実施例に示したスカート部5、40、60及び肩部保護部70に用いられるものとしては、前述したような、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂、塩化ビニル樹脂などの合成樹脂や、ネオプレンゴム、シリコンゴムなど種々の材料を挙げることができる。このうち、使用される材料に望まれる性能として、耐衝撃性はもちろん、安全性の観点から燃焼性や、さらに戸外で風雨や日光にさらされる状況に十分に対応しなければならないため耐候性、耐熱性などが求められる。こういった観点から、塩化ビニル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ナイロン樹脂などが好適である。
【0051】なお、図10にスカート部5、40、60として使用するのに好ましい合成樹脂を挙げる。この実施例として用いた合成樹脂は、・ポリカーボネート樹脂:ユーピロンN−3(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)
・ポリブチレンテレフタレート樹脂:5010N6(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)
・ポリブチレンテレフタレート樹脂:5010GN3(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)
・ナイロン樹脂:3010N(三菱エンジニアリングプラスチック株式会社製)
である。なお比較対象としてアルミニウムを併記する。
【0052】ここで図10に示した各材料は十分な耐熱性(荷重たわみ温度)を有しており、スカート部60(5、40)の使用に十分に適応できる耐熱性、耐候性を備えている。また、アイゾット衝撃値も高い値を示しており、各材料は十分な耐衝撃性を有したものである。燃焼性の評価はUL規格のうち高分子燃焼性評価(UL94)に基づくものであり、このうちV−0はUL94規格のうち最も難燃性を示す評価結果である。実施例に示した各材料は全て難燃性であり、ガス容器に設置した場合の安全性を満たしている。
【0053】
【発明の効果】本発明のガス容器及びその製造方法は、以下のような効果を有するものである。
【0054】請求項1に記載の発明によれば、ガス容器本体の下部はスカート部によって保護される。そして、ガス容器の底部側からの衝撃や下部側壁部側からの衝撃などはこのスカート部によって吸収される。そして、このスカート部を合成樹脂製またはゴム製にしたことにより、材料自体の弾性力によってガス容器本体の保護は安定して行われる。また、ガス容器全体の軽量化を実現することができるとともに、ガス容器のスカート部を例えば建造物など他の対象物にぶつけてしまっても、その対象物の損傷を最小限に抑えることができる。さらに、ガス容器本体とスカート部とは圧入によって嵌合されるので、従来のような溶接工程は必要が無くなり、溶接の熱による強度の低下は無くなる。そして、ガス容器本体に圧入する場合においても、スカート部は合成樹脂製またはゴム製であるので半径方向に弾性変形されるため、圧入を容易に行うことができる。
【0055】請求項2に記載の発明によれば、ガス容器本体下部はスカート部によって保護されるとともに、上部にある肩部近傍も肩部保護部によって保護される。さらに、スカート部と肩部保護部とのそれぞれの外径をほぼ同径に形成させたため、ガス容器は、例えば横に寝かせてから転がすことによって荷の積み卸しをすることもでき、搬送を容易に行うことができる。また、肩部保護部はゴム製であるため、仮にガス容器をあやまって倒してしまった場合においても、肩部保護部が緩衝材となり、ガス容器は保護される。そして、この肩部保護部は圧入によって装着されるため、溶接工程は必要が無くなり、熱による脆弱化を防止することができる。また、肩部保護部はゴム製であり、半径方向に弾性変形されるので、圧入を容易に行うことができる。
【0056】請求項3に記載の発明によれば、ガス容器本体とスカート部及び肩部保護部との接合は圧入によって行われるため、従来のようなアーク溶接工程は必要無くなり、ガス容器の溶接の熱による強度の低下は防止される。また、スカート部を合成樹脂製としたため、ガス容器本体とにスカート部との圧入工程の際、スカート部は半径方向に弾性変形されるため、例えばガス容器本体下部やスカート部の形状が若干異なっていても、圧入は安定して行われる。
【出願人】 【識別番号】000006264
【氏名又は名称】三菱マテリアル株式会社
【出願日】 平成11年3月11日(1999.3.11)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外8名)
【公開番号】 特開2000−266290(P2000−266290A)
【公開日】 平成12年9月26日(2000.9.26)
【出願番号】 特願平11−65586