トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F17 ガスまたは液体の貯蔵または分配




【発明の名称】 メタンガス貯蔵方法
【発明者】 【氏名】日比野 光悦

【要約】 【課題】メタンガスを低い圧力で安定的に貯蔵することができるメタンガス貯蔵方法を提供する。

【解決手段】断面五角形の圧力容器10の中に吸着材24を収容し、この吸着材の間隙が水で満たされるまで水14を導入する。このような水14と活性炭24とを攪拌装置12により攪拌しながらメタンガス20を導入し、メタンハイドレートを生成させる。メタンハイドレートは吸着材24の細孔内で生成が開始され、生成されたメタンハイドレートはより高い温度、低い圧力まで安定して存在することができる。このため、メタンハイドレートによるメタンガスの貯蔵をより安定して行うことができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 容器に水を収容し、これにメタンガスを吹き込んで貯蔵するメタンガス貯蔵方法であって、前記容器は断面が多角形であることを特徴とするメタンガス貯蔵方法。
【請求項2】 請求項1記載のメタンガス貯蔵方法において、前記容器は断面が五角形であることを特徴とするメタンガス貯蔵方法。
【請求項3】 容器に水を収容し、これにメタンガスを吹き込んで貯蔵するメタンガス貯蔵方法であって、前記容器の内壁にカーボンをコートすることを特徴とするメタンガス貯蔵方法。
【請求項4】 容器に吸着材を収容し、前記吸着材の間隙が水で満たされる状態となるまで前記容器に水を導入し、これにメタンガスを吹き込んで貯蔵することを特徴とするメタンガス貯蔵方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はメタンガス貯蔵方法、特に水と共存させるメタンガス貯蔵方法の改良に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、メタンは水と共存させることによりメタンハイドレートとなることが知られている。例えば、PETROTECH第18巻第7号(1995年)にも、メタンハイドレートは、水分子による五角形及び六角形の平面で囲まれた立体網状構造の中にメタンガス分子が包摂された構造となっていることが開示されている。このような構造をとることにより、メタンガスが水分子に囲まれた状態で安定的に存在できることになる。このように、メタンをメタンハイドレートの形とすれば、比較的低い圧力で安定して貯蔵することができると考えられる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上述したメタンハイドレートを利用した貯蔵法については、いまだ改良の余地が多く、メタンハイドレートを利用したより低圧で安定したメタンガス貯蔵方法の開発が望まれている。
【0004】本発明は、上記従来の課題に鑑みなされたものであり、その目的は、メタンガスを低い圧力で安定的に貯蔵することができるメタンガス貯蔵方法を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は、容器に水を収容し、これにメタンガスを吹き込んで貯蔵するメタンガス貯蔵方法であって、容器は断面が多角形であることを特徴とする。
【0006】また、上記メタンガス貯蔵方法において、容器は断面が五角形であることを特徴とする。
【0007】また、容器に水を収容し、これにメタンガスを吹き込んで貯蔵するメタンガス貯蔵方法であって、容器の内壁にカーボンをコートすることを特徴とする。
【0008】また、メタンガス貯蔵方法であって、容器に吸着材を収容し、吸着材の間隙が水で満たされる状態となるまで容器に水を導入し、これにメタンガスを吹き込んで貯蔵することを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態(以下実施形態という)を、図面に従って説明する。
【0010】図1には、本発明に係るメタンガス貯蔵方法を実施するための装置の断面図が示される。図1において、圧力容器10には攪拌装置12が取付けられている。この圧力容器10の中に水14を収容する。この水14は純水であることが望ましい。また、圧力容器10は、シリコンオイル等の冷媒16が収容された恒温槽18の中に保持されている。
【0011】以上のような構成により、圧力容器10中に収容された水14の温度を一定に維持しながら攪拌装置12でその水14を攪拌しつつメタンガス20を圧力容器10に導入する。このような方法により、所定の温度及び所定のメタンガスの圧力の下で、メタンガス20と水14とがメタンハイドレートを形成する。これにより、メタンガス20を安定した状態で圧力容器10の中に貯蔵することができる。なお、メタンハイドレートは、一般に、より高い圧力、より低い温度の方が安定して存在できる。
【0012】図2には、圧力容器10の断面図が示される。図2に示されるように、圧力容器10は、その断面が五角形の形状となっている。このように、圧力容器10の断面を五角形にすることにより、この形状の角部にメタンハイドレートの核ができやすくなり、この角部からメタンハイドレートが発生していく。このため、圧力容器10の断面を円形とした場合に比べ、その断面を五角形とした場合の方がメタンハイドレートを発生しやすい。これは、圧力容器10の断面を五角形とした場合の方が、断面を円形とした場合よりも、より低い圧力でメタンハイドレートを発生できることを意味する。メタンハイドレートが発生する圧力を低くできれば、それだけメタンガスをメタンハイドレートの形でより安定的に貯蔵することができる。
【0013】図3には、断面が円形の圧力容器10と断面が五角形の圧力容器10とを使用した場合の、メタンハイドレートの分解開始圧力が示される。すなわち、圧力容器10として断面が五角形及び円形のステンレス製圧力容器を使用し、これに水14(純水)を20cc入れ、これを攪拌しながらメタンガス20を導入し、いったんメタンハイドレートを発生させた後、各温度でメタンハイドレートの分解が発生する圧力を測定して図3に示す結果を得た。図3に示されるように、断面が円形の圧力容器10よりも断面が五角形の圧力容器10の方がメタンハイドレートの分解が開始する圧力が低くなっている。これは、断面五角形の圧力容器10の方が、より低い圧力までメタンハイドレートの状態を維持できることを示している。従って、断面五角形の圧力容器10の方がより低い圧力でメタンハイドレートの状態でのメタンガスの貯蔵を実現することができる。
【0014】なお、圧力容器10の断面形状としては五角形に限られるものではなく、メタンハイドレートの発生が開始しやすい角部を有する多角形であればよい。
【0015】前述したように、メタンハイドレートは高い圧力でかつ低い温度の方が生成しやすいが、圧力容器10の断面形状を多角形とすることにより、これをより低い圧力であるいは同じ圧力ならばより高い温度でメタンハイドレートの状態を維持することができる。
【0016】図4には、本発明に係るメタンガス貯蔵方法に使用する圧力容器10の変形例が示される。図4において、圧力容器10の断面は、図2と同様に五角形となっており、その内壁にカーボン22がコートされている。メタンハイドレート分子とカーボン22とは親和性が高いので、圧力容器10の内壁にカーボン22をコートすると、メタンハイドレートが安定化される。これにより、メタンハイドレートの分解圧力が低下するとともに、分解温度も上昇する。従って、カーボン22をコートした圧力容器10を使用することにより、より高温、低圧でメタンハイドレートの状態を維持することができる。
【0017】このような、内壁をカーボン22でコートした圧力容器10として、内壁が五角形のステンレス製圧力容器を2分割し、その内壁にスパッタによりカーボンを200nmの厚さでコートした物を使用し、これに純水を20cc入れ、メタンガス20を導入しながら容器全体を冷却してメタンハイドレートを生成させた。このとき発生したメタンハイドレートの分解圧力を図3と同様にして測定した結果が図5に示される。図5からわかるように、断面が円形あるいは五角形の圧力容器の場合に比べ、内面を五角形としたうえでカーボン22をコートした圧力容器の場合の分解圧力が最も低くなっている。これにより、カーボン22を内面にコートした場合には、より高温、低圧までカーボンハイドレートを維持することができ、カーボンハイドレートの状態でより安定してメタンガスを貯蔵することができることがわかる。
【0018】図6には、本発明に係るメタンガス貯蔵方法の他の例が示される。図6において、断面が五角形の圧力容器10の中には、吸着材24が収容されており、この吸着材の間隙が水で満たされる状態となるまで圧力容器10の中に水14が導入されている。この水の量としては、例えば水14と吸着材24とを攪拌装置12により攪拌できる程度とする。このような圧力容器10の中にメタンガス20を吹き込むことにより、メタンハイドレートを生成させてメタンガスを貯蔵する。この場合、メタンガス20は吸着材24の細孔内に進入し、この中でメタンハイドレートを生成すると考えられる。吸着材24の細孔内でメタンハイドレートが生成する場合には、吸着材24がない場合に比べよりメタンハイドレートが生成しやすい状態となっているものと考えられる。このため、より高温かつ低圧でメタンハイドレートを生成することができる。また、このような吸着材24を使用した場合には、使用しない場合に比べてメタンハイドレート中のメタンガスの貯蔵量が増加することがわかった。これにより、メタンハイドレートの分子形状が吸着材24の細孔内で変形を受け、よりメタンガスを取り込む量が増えているものと予想される。なお、吸着材24としては、例えば活性炭等を使用することが可能である。
【0019】以上のような本実施形態の実施例として、断面五角形の圧力容器10の中に活性炭6ccを入れ、真空脱気した後水14を10cc加え、これを攪拌装置12で攪拌しながらメタンガスを導入し同時に冷却を行った。この結果、従来より低い圧力でメタンハイドレートを生成することができた。この場合、活性炭を使用しない時には、メタンガスの貯蔵量が140cc/cc程度であるのに対し、活性炭を使用した時にはこの貯蔵量が175cc/cc程度まで向上した。
【0020】図7には、以上のようにしてメタンハイドレートを生成した場合のメタンハイドレートの分解圧力が示される。図7からわかるように、断面円形状の圧力容器10に純水を入れた状態に比べ、活性炭を水14とともに使用した場合の方が分解圧力が大きく低下している。これにより、活性炭等の吸着材24を使用した場合には、より高温、低圧までメタンハイドレートを安定した状態で維持できることがわかる。
【0021】
【発明の効果】以上説明したように、本発明によれば、より高温かつ低圧までメタンハイドレートを安定して維持することができるので、メタンガスをメタンハイドレートの状態で安定貯蔵することが容易となる。
【0022】さらに、水の中に吸着材を入れた状態でメタンハイドレートを生成させた場合には、特に安定化効果が大きくなり、しかもメタンハイドレートの状態で貯蔵できるメタンガスの量を増加させることができる。
【出願人】 【識別番号】000003207
【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
【出願日】 平成10年10月21日(1998.10.21)
【代理人】 【識別番号】100075258
【弁理士】
【氏名又は名称】吉田 研二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−120995(P2000−120995A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−300156