| 【発明の名称】 |
積層燃料系ホース |
| 【発明者】 |
【氏名】安松 一二三
【氏名】大賀 繁人
【氏名】笠本 忠志
【氏名】三宅 努
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| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】内層部と外層部とからなる燃料系ホースであり、内層部は、熱可塑性の燃料低透過性樹脂の単層又はこの燃料低透過性樹脂を熱可塑性の樹脂で被覆した複層によって肉厚0.3mm以上で構成され、外層部は、熱可塑性エラストマーで構成され、内層部と外層部とが常態で0.6kgf/cm以下の接着力で積層されていることを特徴とする積層燃料系ホース。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 内層部と外層部とからなる燃料系ホースであり、内層部は、熱可塑性の燃料低透過性樹脂の単層又はこの燃料低透過性樹脂を熱可塑性の樹脂で被覆した複層によって肉厚0.3mm以上で構成され、外層部は、熱可塑性エラストマーで構成され、内層部と外層部とが常態で0.6kgf/cm以下の接着力で積層されていることを特徴とする積層燃料系ホース。 【請求項2】 内層部の最内層が静電対応されたものである請求項1に記載の積層燃料系ホース。 【請求項3】 燃料低透過性樹脂が、フッ素系樹脂である請求項1〜2いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項4】 フッ素系樹脂が、TFE、HFP及びVDFの3元共重合体である請求項3に記載の積層燃料系ホース。 【請求項5】 燃料低透過性樹脂が、脂肪族ポリケトン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂のいずれかである請求項1〜2いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項6】 燃料低透過性樹脂を被覆する樹脂が、フッ素系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン系樹脂のいずれかである請求項1〜5いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項7】 外層部が、TPO、熱可塑性NBR系アロイ、熱可塑性塩素化ポリエチレン系アロイのいずれかで構成される請求項1〜6いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項8】 ブロー成形によって内層部と外層部とが同時成形される請求項1〜7いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項9】 両端部の肉厚が、中央部の肉厚よりも20〜90%の範囲で薄く形成されている請求項1〜8いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項10】 中央部が蛇腹状に形成されるものであり、この蛇腹形状が一定の方向に向かって鎧戸(鋸刃)状に形成される請求項1〜9いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項11】 内層部と外層部との間に相互に嵌合してずれを防ぐ係合構造が施される請求項1〜10いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項12】 端部の内層部の内周に端部シール部材が嵌合されるものであり、この端部シール部材に内層部に係止して抜けを防ぐ係止構造が施される請求項1〜11いずれかに記載の積層燃料系ホース。 【請求項13】 端部シール部材の内周の適所に潤滑剤が焼き付け塗布される請求項12に記載の積層燃料系ホース。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車等に用いられる積層燃料系ホースに関するものである。 【0002】 【従来の技術】自動車を含めて各種の燃料タンクから燃料が蒸散するのはオゾン層破壊等につながって好ましくない。このため、この蒸散を規制する方向にあり、既に、米国では、自動車に対して2g/24hrの蒸散規制が敷かれている。ところが、2004年車からは、これを一挙に4倍厳しくすることが提起されている。自動車における燃料の蒸散は、主として燃料系ホースから起こることから、従来の燃料系ホースは、内層に燃料低透過性の樹脂系素材を用いた多層ホースによっているが、この厳しい規制に対応するためには、その素材や構成により一層の工夫が求められる。 【0003】又、最近では、各種資材のリサイクルも叫ばれている。前記した燃料系ホースは、このホースに一方で要求される柔軟性、耐候性、耐炎性等を達成するために、通常、外層にゴムが使われている。しかし、ゴムのリサイクルは非常に難しくてコストの高いものになる上、従来のホースにおいては、樹脂類の内層とゴムの外層とを強固に接着又は溶着していることから、このようなものでは、本来、リサイクルが簡単な樹脂類のリサイクルをも困難なものとする。 【0004】蒸散防止を目的とした燃料系ホースは、特開平6−221481号公報や特開平7−205327号公報に見られるが、これらは、大きく分けて以下の構成をとっている。 (A)FKM(フッ素ゴム)用いた多層ゴムホースによるもの(B)ナイロン系樹脂ホースの外周をゴムホースでカバーしたもの(C)ゴムホースの内周にナイロン系樹脂を融着したもの【0005】 【発明が解決しようとする課題】このうち(A)は、FKMは、本来はゴムであるから、耐透過性において劣り、これで新規制に対応するためには、肉厚を相当厚くしなければならず、そうすると、大幅なコストアップや重量増大を来す。又、リサイクルも難しい。これに対して(B)は、ナイロン系樹脂では、基本的にアルコールに対応できないし、又、ブロー成形でナイロン系樹脂を成形する場合、ドローダウンが激しくて肉厚コントロールが難しい。但し、内層と外層とは接着されていないから、内層のナイロン系樹脂だけは、リサイクルが可能であるものの、外層のゴムはリサイクルが困難である。更に(C)は、ナイロン系樹脂が使用されている点で上記(B)と同じであるのに加え、この場合のナイロン系樹脂は、ゴムホースに融着されているから、ゴム共々リサイクルを非常に困難なものにする。 【0006】本発明は、このような課題を解決するものであり、新しい蒸散規制をクリアできるとともに、リサイクルを容易に可能にし、併せて軽量化も果たす積層ホースを提供するものである。 【0007】 【課題を解決するための手段】以上の課題の下、本発明は、内層部と外層部とからなる燃料系ホースであり、内層部は、熱可塑性の燃料低透過性樹脂の単層又はこの燃料低透過性樹脂を熱可塑性の樹脂で被覆した複層によって肉厚0.3mm以上で構成され、外層部は、熱可塑性エラストマーで構成され、内層部と外層部とが常態で0.6kgf/cm以下の接着力で積層されていることを特徴とする積層燃料系ホースを提供したものである。 【0008】以上の積層燃料系ホースによれば、内層部は、燃料低透過性樹脂の単層をしているか或いはこの燃料低透過性樹脂を熱可塑性の樹脂で被覆した複層を構成していることにより、少なくとも、最内層には、燃料低透過性樹脂が採用されているから、新規制にも対応できるものとなる。又、いずれの内層部であっても、その肉厚は0.3mm以上に設定されるので、形状保持のための強度、剛性において不足のないものとなる。一方、外層部は、ゴムライクな熱可塑性エラストマーで構成されているから、この種のホースに要求される柔軟性や耐衝撃性及び耐候性を充たすものとなる。 【0009】加えて、これら内層部と外層部とは、常態で0.6kgf/cm以下の接着力で積層されているから、内層部と外層部が剥離できるものとなり、それぞれにリサイクルが可能である。尚、ここでいう接着力とは、JIS K6330−6に基づく剥離強さのことであり、この値が0.6kgf/cm以下とは、積極的な接着処理を施さないことは勿論、内層部と外層部とを同時成形するとき等に発生する熱による自然の接着力であり、手で剥がすと容易に剥離する程度の接着力である。 【0010】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は本発明に係る積層燃料系ホースの一例を示す一部断面側面図であるが、製品となった燃料系ホース(以下、ホースという)は、直筒状の両端部10の間に中央部12を有するものである。両端部10を直筒状としたのは、この種のホースは相手パイプに外挿されて使用されるのが通常であるから、これを確実にするためである。 【0011】これに対して中央部12は、直筒状のものもあるが、一般的には、衝突時における可撓性や振動吸収性を考慮して蛇腹状に形成される。本発明のように、全てが樹脂類を使用するホースでは、硬くて可撓性に欠けることから、この蛇腹形状は必要である。尚、蛇腹形状も、同一形状の山と谷が規則的に配置される通常のものよりもこのように鎧戸(鋸刃)形状にするのが、燃料の流通に(図1で矢印方向に流通させた場合)抵抗が少なくて好ましい。更に、ホースは、真っ直ぐなものだけではなく、最初から曲げてあるものもある。 【0012】ホースの成形は、押出成形、ブロー成形を問わない。両成形方法とも、異なる素材からなる複層のものを同時に成形できるが、ブロー成形は、複雑な製品形状をとれて肉厚コントロールも容易にできるから、このホースには、このブロー成形が適する。一般に、厚肉の樹脂をブロー成形する場合、ドローダウンを起してその肉厚を正確にコントロールできないといったことがあるが、本発明のように、熱可塑性樹脂系素材の周囲を熱時の粘性低下の少ない熱可塑性エラストマーで被覆して同時ブローすることにより、樹脂系素材のドローダウンが防止できて肉厚を高精度にコントロールできるといった利点もある。 【0013】本発明に係るホースは、内層部14と外層部16とが積層されている。このうち、内層部14は、燃料の耐透過性を確保するとともに、形状保持を図るためのものであり、本発明では、これを単層又は複層で構成している。単層の場合は、すべてを燃料低透過性樹脂で構成しており、これで燃料の耐透過性と形状保持を図っている。この燃料低透過性樹脂としては、フッ素系樹脂が最も優れており、中でも、TFE(テトラフルオロエチレン)、HFP(ヘキサフルオロプロピレン)、VDF(ビニリデンフロライド)の3元共重合体のもの(ダイネオン社より商品名THVとして市販されている)が好ましい。THVは、軟らかくて加工が容易であり、勿論、優れた耐透過性を有している。 【0014】燃料低透過性樹脂としては、この他に脂肪族ポリケトン樹脂、エチレン・ビニルアルコール共重合体樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂等であってもよい。これらであっても、新規制に対応する燃料の耐透過性を有している。 【0015】これに対して複層の場合は、燃料低透過性樹脂を他の樹脂で被覆して構成しており、形状保持の部分を他の樹脂で担わせている。他の樹脂としては、フッ素系樹脂、ナイロン系樹脂、ポリエチレン系樹脂といったものが考えられる。これによると、コストを安くできる利点がある。尚、この場合も、高価なフッ素系樹脂が含まれているが、このフッ素系樹脂はリサイクルしたものでもよく、その場合のコストは安く抑えられる。尚、複層にしても、内層を構成する燃料低透過性樹脂は、十分な燃料耐透過性を有する肉厚に設定されることは勿論である。 【0016】これら内層部14の合計肉厚は0.3mm以上に設定する。これだけの肉厚があれば、形状保持に必要な強度、剛性が確保できる。尚、上限については制限はないが、あまり厚くすると、硬くなりすぎ、又、材料も無駄になるので、3mm以下が一般的である。加えて、以上の内層部14の最内層には、導電粒子を添加する等して静電対応をさせたものが好ましい。燃料流通時における引火による爆発を防止できるからである。 【0017】外層部16は、内層部14を保護するためのものであり、柔軟性、耐衝撃性、耐候性、難燃性等が求められる。本発明では、この外層部16に熱可塑性エラストマーを用いている。ここでいう熱可塑性エラストマーとは、熱可塑性樹脂に完全加硫或いは半加硫したゴムを配合したもので、非常にゴムライクな性質を有するものである。熱可塑性エラストマーの具体的例としては、TPO(熱可塑性オレフィン)、熱可塑性NBR(ニトリルブタジエンゴム)系アロイ、熱可塑性塩素化ポリエチレン系アロイ等がある。以上の外層部16の厚みは、2〜3mm程度に設定される。 【0018】このホースは、ブロー成形によって内層部14と外層部16が同時成形できること、ブロー成形では肉厚コントロールが容易にできることは前述したが、このとき、両端部10の肉厚を中央部12の肉厚よりも薄くすることが好ましい。具体的には、両端部10の厚みを中央部12のそれよりも20〜90%薄くするのが適する。 【0019】内層部14は、弾力性の乏しい樹脂で構成されており、且つ、両端部10の内層部14は、相手パイプに外挿されて接続されるから、その挿入部である両端部10の肉厚を厚くすると、この挿入がうまく行かない場合があるからである。挿入が不良であると、接続性に劣るのは勿論、この部分から燃料が蒸散するおそれがある。加えて、本発明の場合、燃料耐透過性を有する内層部14は、この挿入部に亘って設けられているから、燃料がここから蒸散するのを防ぐ。これに対して前記した従来ホースの中には、この挿入部をゴムだけで構成しているものがあり、それによると、燃料は、このゴム部に浸透してその端から蒸散して行くのが避けられないものとなる。 【0020】このシール性をより補完するため、両端部10の内層部14の内周に端部シール部材18を挿入することが考えられる。図2はその例を示すホースの一部断面側面図であるが、ゴム等の弾力性のある部材で製作した端部シール部材18を内層部14の端から挿入しておくのである。このときの端部シール材18も、リサイクルを考えると、内層部14に接着等をするのは好ましくなく、挿入して固定するのが適する。その代わり、端部シール部材18には、内層部14に係止して軸方向の移動が規制される適当な係止構造20を設けておくのが好ましい。尚、この係止構造20は、両端部10で同じ構造とし、端部シール部材18を共用できるようにしておくのが好ましい。 【0021】そして、このとき、端部シール材18の外径を両端部10内径よりも若干大きめにしておけば、シール性をより確実なものにすることができる。この他、各界面にシーラントを入れると、この効果は更に確実なものとなる。更に、端部シール部材18の内表面の適所に潤滑剤を塗布しておくと、相手パイプへの挿入が容易になる。この塗布は、焼き付け塗布が剥離が少なくて好ましい。 【0022】内層部14は、それ自体で形状保持に必要な強度、剛性が確保されており、外層部16はこの内層部14を保護するプロテクターの役割を果たせば十分であることは前述したが、大きな外力が付与されて内層部14と外層部16相互にずれを起こすと、外観の美観を損なうことがある。このため、内層部14と外層部16の相互に係合構造を施しておくのが適する。図3はこれを示す要部の断面図であるが、成形用の型の表面に凹みを設けておけば、外層部16、内層部14共にこの凹みに入り込み、相互に凹凸嵌合する係合構造22を形成できる。尚、これら係合構造22の形状は、図示したものに限らないのは勿論、これを施す部位は、両端部10、中央部12のどこであってもよいし、更に、その数も問わない。 【0023】 【発明の効果】以上、本発明に係るホースによれば、次のような効果が期待できる。 1.内層部の内表面には、燃料低透過性の樹脂が使用されているから、厳しい蒸散規制もクリアできる。又、外層部は、熱可塑性エラストマーで構成されているから、柔軟性、耐衝撃性及び耐候性等を有するものとなる。 2.内層部、外層部共に樹脂系素材であるから(ゴムを使用していない)、リサイクルが可能であるし、各層は強固に接着されていないから、個別にリサイクルできる。特に、高価なフッ素系樹脂がリサイクルできないとすれば、コストに大きく反映するが、本発明では、これを再生できる。 3.ゴムは、使用されていないか或いは端部シール部材としてきわめて少量に使用されているのみであるから、軽量化が可能である。 4.内層部と外層部とは、接着を必要としないものであるから、その素材の選択の余地が拡がり、種々の組合せが可能になる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000157278 【氏名又は名称】丸五ゴム工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年5月20日(1999.5.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100088993 【弁理士】 【氏名又は名称】板野 嘉男
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| 【公開番号】 |
特開2000−329266(P2000−329266A) |
| 【公開日】 |
平成12年11月30日(2000.11.30) |
| 【出願番号】 |
特願平11−139588 |
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