| 【発明の名称】 |
既設配管の更正用パイプ及び既設配管更正工法 |
| 【発明者】 |
【氏名】八木 秀一
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| 【要約】 |
【課題】既設配管内に合成樹脂パイプを挿入して、この管路内に新管を形成することによって既設配管の更正を行う際に、既設配管内に挿入する合成樹脂パイプの経時的な変形を簡易に防止し、挿入パイプの充分な開口径を長期的に確保する。また、屈曲した既設配管の更正に適用した場合でも、円滑な更正パイプの挿入と、屈曲部における充分な強度を確保する。
【解決手段】既設配管に挿入する更正用パイプ1を、高弾性且つ高強度のナイロン製パイプ10を基材とし、その外周面に蛇腹溝1aを形成して、この蛇腹溝1aの凹部内に接着層20を形成した。ナイロン製パイプ10の外周面に形成した熱溶融性の接着層20によって既設管路の内面に強固に固定するので、挿入した更正用パイプ1が経時的に変形して開口が減ぜられるような不都合が生じない。また、既設管路に挿入する更正用パイプは高弾性且つ高強度のナイロン製パイプであるので、その肉厚を極力薄くでき、更生後の管路口径を充分確保できる。外周面の蛇腹溝1aによって屈曲管への対応が可能である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 既設配管に挿入して管路の更正を行う更正用パイプにおいて、外周面に凹部が形成される蛇腹溝を有するナイロン製パイプとし、上記蛇腹溝の凹部内に接着層を形成したことを特徴とする既設配管の更正用パイプ。 【請求項2】 既設配管内に合成樹脂パイプを挿入して管路の更正を行う既設配管更正工法において、上記合成樹脂パイプを上記管路の内径より若干小径の外径から成り且つ外周面に凹部が形成される蛇腹溝を有するナイロン製パイプとし、上記管路への挿入前に該パイプにおける上記蛇腹溝の凹部内に接着層を形成し、上記管路への挿入後に上記パイプ内を加熱加圧することによって、上記パイプを上記管路内面に接着固定することを特徴とする既設配管更正工法。 【請求項3】 既設配管内に合成樹脂パイプを挿入して管路の更正を行う既設配管更正工法において、上記合成樹脂パイプを外周面に凹部が形成される蛇腹溝を有するナイロン製パイプとし、上記管路への挿入前に該パイプにおける上記蛇腹溝の凹部内に接着層を形成し、上記パイプを縮径変形させながら上記管路内に挿入し、上記管路への挿入後に上記パイプ内を加熱加圧することによって、上記パイプを上記管路内面に接着固定することを特徴とする既設配管更正工法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ガス導管等の既設配管内に合成樹脂パイプを挿入して、この管路内に新管を形成することによって既設配管の更正を行う既設配管の更正用パイプ、及びこれを用いた既設配管更正工法に関するものである。 【0002】 【従来の技術】既設配管の所定区間全域に対して漏洩対策を施す方法としては、■既設配管内面に樹脂ライニング膜を形成する方法、■既設配管の内面に内貼り材を接着する方法、■既設配管内に新管を挿入する方法が良く知られている。この中で、過度に老朽化した配管或いはガス導管等の高圧配管の更正には、確実な漏洩防止が可能で且つ耐圧性も高いことから上記■の方法が有効である。また、上記■の方法は、大規模な地震によって完全に破損した既設配管の更正や地震対策としての補修工法として有効であることから、震災への関心が高まっている近年において特に注目されている。上記■の方法によってガス導管等の鋼管に対する更正補修を行う一般的な工法としては、既設配管内に所定厚のポリエチレン樹脂パイプを挿入する工法が知られている。 【0003】この従来工法について説明すると、硬質の合成樹脂パイプであるポリエチレン樹脂パイプを円筒形のままで管路内に挿入することは極めて困難であることから、ポリエチレン樹脂パイプを管路内に挿入し得る形状に縮小変形して、これを管路内に挿入した後加熱加圧して管路内で円筒形に膨らませ、管路内面に沿わせることが行われている。上記の縮小変形の代表的な例は、ポリエチレン樹脂パイプを押し出し成型した後、直ちにそのパイプを扁平に折り畳み、更にその扁平パイプを二つ折りにするもの(米国特許第4867921号明細書等参照)、或いは長尺円筒状に成型されたポリエチレン樹脂パイプを加熱し断面U又はV字状に折り曲げ変形するもの(特開平11−42707号公報等)がある。また、既設配管の管路口径より小口径のポリエチレン樹脂パイプを挿入し、その後高圧状況下で加熱することによってポリエチレン樹脂パイプを拡径して既設配管の内面に密着させる工法も提案されている(特開平1−295828号公報)。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】上述したように、既設配管の更生修理のために管路内に合成樹脂パイプを挿入する工法では、パイプ材料として一般にポリエチレン樹脂が使用される。このようなポリエチレン樹脂は、表面自由エネルギーが低く、結晶質で溶剤にも溶けないことから、一般に接着剤で接着するには放電処理或いは薬剤処理といった表面処理を必要となる。そのため、既設配管内に挿入した後には、接着処理はされない状態となり、二重管のような状態になる。 【0005】ところで、上述したようなポリエチレン管挿入後の配管に対して、切断・分岐等の作業を行う場合、既設配管とポリエチレン管とがそれぞれ独立しているため、既設配管とポリエチレン管との作業(工具)を別々に行わなくてはならず、作業時間が長時間化してしまう問題点がある。また、特に分岐作業にて、分岐開口部を形成する際に、切断するためにポリエチレン管に過度な圧力を負荷すると、該ポリエチレン管が変形してしまい、適正に分岐開口部が形成できない問題点も派生する。 【0006】また、上述したポリエチレン樹脂パイプを挿入する工法によって屈曲した既設配管の更正修理を行う場合は、挿入時にある程度は曲がるものの、曲率に限界があり、曲がりの大きい既設管路に対しては挿入できない。さらに挿入時にポリエチレン樹脂パイプを加熱し軟化した状態で挿入することが考えられるが、適度な軟質状態とすることは困難で、屈曲部で挿入パイプがつぶれてしまう問題があり、また、挿入時にパイプを加熱する設備を必要とすることから、施工コストが嵩むと共に設備が大規模化して狭い施工現場しか確保できない場所では施工が困難になるという問題があった。 【0007】本発明は、上述のような事情に対処するために提案されたものであって、既設配管内に合成樹脂パイプを挿入して、この管路内に既設配管と一体化できる新管を形成し、さらに屈曲した既設配管の更正にも適した既設配管の更正用パイプ、及びこれを用いた既設配管更正工法を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、本発明は以下の構成を備える。 【0009】第1に、既設配管の更正用パイプとして、既設配管に挿入して管路の更正を行う更正用パイプにおいて、外周面に凹部が形成される蛇腹溝を有するナイロン製パイプとし、上記蛇腹溝の凹部内に接着層を形成したことを特徴とする。 【0010】第2に、既設配管内に合成樹脂パイプを挿入して管路の更正を行う既設配管更正工法において、上記合成樹脂パイプを上記管路の内径より若干小径の外径から成り且つ外周面に凹部が形成される蛇腹溝を有するナイロン製パイプとし、上記管路への挿入前に該パイプにおける上記蛇腹溝の凹部内に接着層を形成し、上記管路への挿入後に上記パイプ内を加熱加圧することによって、上記パイプを上記管路内面に接着固定することを特徴とする。 【0011】第3に、既設配管内に合成樹脂パイプを挿入して管路の更正を行う既設配管更正工法において、上記合成樹脂パイプを外周面に凹部が形成される蛇腹溝を有するナイロン製パイプとし、上記管路への挿入前に該パイプにおける上記蛇腹溝の凹部内に接着層を形成し、上記パイプを縮径変形させながら上記管路内に挿入し、上記管路への挿入後に上記パイプ内を加熱加圧することによって、上記パイプを上記管路内面に接着固定することを特徴とする。 【0012】上記本発明によると、既設配管内に挿入する合成樹脂パイプを高強度で高弾性を有するナイロン製パイプとし、予めこのナイロン製パイプの外周面に形成される蛇腹溝の凹部に接着層を形成しておき、既設管路に挿入後に加熱加圧することによって、合成樹脂パイプを強固に既設管路内面に接着固定するものである。ナイロン製パイプはポリエチレン樹脂パイプと比較して接着特性が高い。したがって、施工後の長期間に亘って既設管路とナイロン製パイプを一体化することができる。また、ナイロン製パイプはポリエチレン樹脂パイプと比較して引張り等に対して高強度であることから、パイプの肉厚を薄くすることができ、これによって充分な口径の確保が可能になる。 【0013】また、既設配管への挿入前にナイロン製パイプ外周面に形成される接着層は外周面の凹部にのみ形成されるので、挿入する際に接着層は既設管路の内周面に触れることが無く、挿入抵抗が大きくなることはない。そして、接着層をパイプ外周面の全面に形成する場合に比べて経済的である。 【0014】更に、高強度且つ高弾性のナイロン製パイプに蛇腹溝を形成したことで、挿入する際に必要な適度の強度を有しつつ、柔軟な屈曲弾性を呈するようになり、屈曲部を有する既設管路に対しても円滑な挿入が可能であると共に、屈曲部においてパイプがつぶれるような不都合も生じない。 【0015】挿入方法としては、上記第2発明における工法のように、上記合成樹脂パイプの外径を上記管路の内径より若干小径とし、引き込み又は押し込みによって挿入することもできるし、或いは上記第3発明における工法にように、上記パイプを縮径変形させながら上記管路内に挿入することもできる。 【0016】既設配管の管路内に上記の合成樹脂パイプを挿入した後は、この合成樹脂パイプ内を加熱加圧することによって管路内面に密着させる。これによって、接着層の形成された合成樹脂パイプ外周面の凹部はパイプ内から圧迫されて接着層が押し出され、合成樹脂パイプの外周面を管路内面に強固に接着固定する。 【0017】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。 【0018】図1は本発明の一実施形態に係る既設配管更正用パイプを示す説明図であって、同図(a)がパイプの縦断面図、同図(b)がそのAA断面図である。既設配管更正用パイプ1は弾性を有するナイロン製パイプ10を基材とする。このナイロン製パイプ10は、その外周面に凹部が形成される蛇腹溝1aを有する。そして、その外周面に形成される凹部内に接着層20が形成されている。ナイロン製パイプ10の素材としては、周知のように、ナイロン46,6,66,610,612,11,12などを採用することができる。また、接着層20としては、熱可塑性樹脂を主成分とする熱溶融性の樹脂材が使用され、例えば、ナイロン系の樹脂を溶剤で溶かして接着剤としたもので、ナイロン製パイプ10より融点が低いものが適する。一例を挙げると、ナイロン製パイプ10をナイロン66(融点約260℃)として、接着層20をナイロン12(融点約200℃)とすればよい。また、接着層20の材質としては、上記の例に特定されるものではなく、鋼材とナイロンとを強固に接着するものであればよく、接着性ポリオレフィン、特に、マレイン酸,無水マレイン酸,アクリル酸などで変性したポリエチレン、ポリプロピレン等の熱可塑性のもの、或いはエポキシ系の樹脂接着層を用いることができる。 【0019】ナイロン製パイプ10の外周面に形成された凹部内に接着層20を形成するには、上述した接着性の樹脂材をナイロン製パイプ10の外周面に形成された凹部に塗布して、その後乾燥させる。そして形成された接着層が硬化状態に至った後に更正用パイプ1を既設管路に挿入させる。 【0020】図2に、上記の更正用パイプ1を屈曲部を有する既設配管の管路2内に挿入した状態を示す。更正用パイプ1における蛇腹溝1aが屈曲部において有効に作用し、挿入を円滑化すると共に、屈曲部におけるパイプのつぶれを防止している。 【0021】図3〜5によって、既設管路への更正用パイプ1の挿入工程について説明する。図3は、既設管路の内径に対して挿入する更正用パイプ1の外径が若干小さい場合の例を示している。更正用パイプ1を施工現場に搬入し、その先端を引き込みロープ3に固定し、この引き込みロープ3を巻き取りウインチ4で巻き取ることによって、更正用パイプ1を既設管路2内に挿入する。この場合、更正用パイプ1の外周面に形成された凹部内の接着層は既設管路2の内周面に直接接触しない。したがって、挿入に際して、接着層の存在が特に挿入抵抗を増大させるようなことはなく、スムースな挿入が可能である。また、ここでは、巻き取りウインチ4による引き込みについて説明したが、既設管路2の挿入口側から順次更正用パイプ1を押し込んでもよい。 【0022】図4は、既設管路の内径と挿入する更正用パイプ1の外径がほぼ等しい場合の挿入例を示している。図3と同様に、更正用パイプ1を施工現場に搬入し、その先端を引き込みロープ3に固定し、この引き込みロープ3を巻き取りウインチ4で巻き取ることによって、更正用パイプ1を既設管路2内に挿入するものであるが、既設管路2の挿入口手前で更正用パイプ1が縮径具5を通過する。これによて、弾性を有するナイロン製パイプ10を基材とする更正用パイプ1は、弾性的に縮径変形し、この変形が縮径具5によって保持された状態で既設管路1内に挿入される。図5に、上記縮径具5の断面図を示す。この縮径具5は、円筒形の枠5a内に1つ又は複数個のローラ5b(図においては2個)が軸支されている。これによって、縮径具5を更正用パイプ1が通過すると、ローラ5bの押圧作用によって更正用パイプ1の断面形状が図に示すように縮径変形する。 【0023】次に、図6,7によって、挿入した更正用パイプ1を既設管路2の内面に接着固定する工程について説明する。既設管路2内に挿入された更正用パイプ1は、全長が縮径具5の拘束から外れるとパイプの弾性によって円筒状に復元する。それから、既設管路2に対して挿入した更正用パイプ1の両端が突出する長さに更正用パイプ1を切断する。 【0024】図6に示す例は蒸気を用いて加熱加圧を行うものである。まず、更正用パイプ1の両端に封止栓5を装着してパイプ内を密封する。そして、この封止栓5の一方端には一端開放の配管63がバルブ64を介して接続され、封止栓5の他端にはバルブ62を介する配管61が接続される。また、配管61は加熱蒸気を更正用パイプ1内に供給するための加熱蒸気発生装置6に接続される。この状態で、バルブ64を閉じて、バルブ62を開き、加熱蒸気を更正用パイプ1内に圧入する。これによって、既設配管2内に挿入された更正用パイプ1は蒸気の圧力で既設配管2の内面に圧接される。一方、更正用パイプ1の外周面に形成された凹部内の接着層は蒸気による加熱で溶融し、また、凹部がパイプ内から圧迫されることで接着層が押し出され、更正用パイプ1の外周面を既設配管2の内面に接着固定する。 【0025】図7には、加熱加圧部材を用いる例を示す。既設配管2に挿入された更正用パイプ1に対して一方側から他方側に向けて加熱加圧部材7を挿通させる。加熱加圧部材7は既設配管2の内径と同等の外径を有し、更正用パイプ1を加熱しながら既設配管2の内面に押圧するもので、上述したと同様の引き込みロープ3及び巻き取りウインチ3を使用する。また、この加熱加圧部材7には電力供給装置8から電気コード81を介して電力供給がなされる。この加熱加圧部材の加熱温度は、更正用パイプ1におけるナイロン製パイプ10の融点より低く、且つ接着層20の溶融温度以上に設定される。 【0026】上述した本発明によると、ナイロン製の更正用パイプ1に熱変形を施すことなく既設配管2内に挿入し、しかもナイロン製パイプ10の外周面に形成した接着層20によって既設管路2の内面に強固に固定するので、挿入した更正用パイプ1が経時的に変形して開口が減ぜられるような不都合が生じない。また、既設管路2に挿入する更正用パイプ1は高弾性且つ高強度のナイロン製パイプであるので、その肉厚を極力薄くでき、更生後の管路口径を充分確保できる。 【0027】また、ナイロン製パイプ10の外周面に形成される接着層20は蛇腹溝1aの凹部にのみ形成されるので、挿入する際に接着層20は既設管路の内周面に触れることが無く、挿入抵抗が大きくなることはない。そして、接着層20をパイプ外周面の全面に形成する場合に比べて経済的である。そのため接着層20は熱溶融性のもの、または熱硬化性のもののどちらでもよい。 【0028】更に、ナイロン製パイプ10に蛇腹溝1aを形成したことで、挿入する際に必要な適度の強度を有しつつ、柔軟な屈曲弾性を呈するようになり、屈曲部を有する既設管路2に対しても円滑な挿入が可能であると共に、屈曲部においてパイプがつぶれるような不都合も生じない。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000220262 【氏名又は名称】東京瓦斯株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年3月29日(1999.3.29) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100063565 【弁理士】 【氏名又は名称】小橋 信淳
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| 【公開番号】 |
特開2000−283349(P2000−283349A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月13日(2000.10.13) |
| 【出願番号】 |
特願平11−86014 |
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