トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 電線引き入れ用パイプ
【発明者】 【氏名】沢田 広隆

【氏名】吉野 明

【氏名】村山 元久

【氏名】上條 哲也

【氏名】増井 暁

【氏名】片山 英治

【氏名】高原 克二

【要約】 【課題】電線、電力ケーブル、光ケーブルなどを引き入れる際に、引き入れ張力を軽減でき、かつ優れた難燃性を有し、燃焼時にハロゲン含有ガスを発生しない電線引き入れ用パイプを得る。

【解決手段】ハロゲン元素を含まず、酸素指数22以上で、摩擦係数0.4以下の樹脂組成物からパイプを構成する。この樹脂組成物には摩擦係数の低減ために、ステアリン酸などの滑剤あるいはシリコーン変性ポリエチレンを添加したものが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ハロゲン元素を含まず、酸素指数が22以上で、摩擦係数が0.4以下の樹脂組成物からなる電線引き入れ用パイプ。
【請求項2】 上記樹脂組成物が、ポリオレフィン系ポリマーからなるベースポリマーに滑剤を添加したものである請求項1記載の電線引き入れ用パイプ。
【請求項3】 上記樹脂組成物が、ポリオレフィン系ポリマーからなるベースポリマーにシリコーン変性ポリエチレンを添加したものである請求項1記載の電線引き入れ用パイプ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電線、電力ケーブル、光ケーブルなどを収納配線するための電線引き入れ用パイプに関し、引き入れ時の張力を軽減でき、かつ難燃性であり、燃焼時に有害ガスを発生しないようにしたものである。
【0002】
【従来の技術】電線引き入れ用パイプ(以下、引入パイプと略記する。)としては、従来からアスベストセメント管、コンクリート管、鋼管、合成樹脂管等が用いられており、合成樹脂管としては、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、ガラス繊維強化樹脂(FRP)などからなるものが用いられている。
【0003】ところで、電線等を引入パイプに引き入れる際の引き入れ張力T(kgf)は、電線等と引入パイプとの間の摩擦係数μ、電線等の単位長さ当たりの重量W(kg/m)、引入パイプの長さL(m)の三者の積(T=μ×W×L)で表される。 よって、引き入れ時の張力を低減するためには摩擦係数を小さくすればよく、これにより施工時の省力化、施工期間の短縮、電線等へのダメージの低減、管路長の長距離化などの効果が得られる。
【0004】一方、引入パイプを洞道や建物内に敷設した場合には、防災上の観点から難燃性が求められ、万一燃焼した場合にはハロゲン含有ガスなどの有害ガスが発生しないことが望まれている。しかしながら、上述の従来の合成樹脂製の引入パイプでは、低摩擦係数であり、難燃性を有し、かつ燃焼時に有害ガスを発生しないと言う3つの要件を具えたものはなかった。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】よって、本発明における課題は、低摩擦係数であって、高い難燃性を有し、燃焼時に有害ガスを発生しない引入パイプを得ることにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】かかる課題は、ハロゲン元素を含まず、酸素指数が22以上で、静摩擦係数が0.4以下の樹脂組成物で引入パイプを構成することで解決される。上記樹脂組成物には、ポリオレフィン系ポリマーのベースポリマーに滑剤またはシリコーン変性ポリエチレンを添加したものが好ましい。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳しく説明する。本発明の引入パイプを構成する樹脂組成物のベースポリマーには、フッ素、塩素などのハロゲン元素を含まないポリマーが用いられる。このようなポリマーには、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−エチルアクリレート共重合体などのポリオレフィン系ポリマー、ナイロン12、ナイロン11などのポリアミド、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリオキシメチレン、ポリカーボネート、ポリメチルメタクリレートなどのポリ(メタ)クリレート、ポリスチレン、ABS樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、熱可塑性シリコーン樹脂などの熱可塑性のものが用いられる。これらは1種または2種以上のブレンドポリマーで用いられる。これらのポリマーのなかでも軽量、安価であるポリエチレン、ポリプロピレンが好ましい。
【0008】このベースポリマーには、酸素指数を22以上とするために難燃剤が添加される。この難燃剤には、燃焼時に有害なハロゲン含有ガスを発生しないノンハロゲンのものが用いられ、水酸化マグネシウム、水酸化アルミニウムなどの金属水和物、シリコーン樹脂粉末、硼酸亜鉛、酸化モリブデン、ポリリン酸アンモニウム、アルキルフォスフェート、マレイミド系化合物などが用いられる。
【0009】これら難燃剤の配合量は、限定されることはなく、要求される難燃性、ベースポリマーの易燃性、成形加工性などの点を考慮して定められるが、過剰となると機械的特性が大きく低下するので、ベースポリマー100重量部当たり200重量部程度が上限となる。樹脂組成物の酸素指数が22未満では難燃性が不足し、好ましくは25以上、さらに好ましくは28以上とすることが好ましい。
【0010】また、摩擦係数を0.4以下とするために滑剤が添加される。この滑剤には、ポリエチレンワックスなどのワックス、ステアリン酸、ベヘニン酸などの高級脂肪酸、ステアリン酸アミド、オレイン酸アミド、エルカ酸アミドなどの脂肪酸アミド、ステアリルアルコール、セチルアルコールなどの高級アルコール、ステアリン酸ブチル、ステアリン酸モノグリセリドなどの脂肪酸エステル、ステアリン酸カルシウム、ステアリン酸マグネシウムなどの金属石けん、シリコーンオイル、プロセルオイルなどのオイルなどが単独もしくは2種以上混合して用いられる。
【0011】この滑剤の配合量は、要求される摩擦係数、成形加工性、滲出性などを考慮して定められるが、ベースポリマー100重量部に対して0.01重量部以上、5重量部を上限とすることが望ましく、これを越えると成形加工性、強度などが劣ることになる。
【0012】また、滑剤の代わりにシリコーン変性ポリエチレンを用いることができる。このシリコーン変性ポリエチレンは、低密度ポリエチレンなどのポリエチレンに対してポリオルガノシロキサンを、グラフト重合や化学変性などの手法を用いて、化学的に結合させたものであり、具体的には、「ポリファインVMFE02」(商品名、(株)トクヤマ製)などが用いられる。シリコーン変性ポリエチレンは、高分子であるので、滑剤に比べてベースポリマーとの相溶性、特にポリオレフィン系ポリマーからなるベースポリマーとの相溶性が良く、成形後の滲出が少なく好ましいものである。シリコーン変性ポリエチレン中のシリコーン成分量(変性量)は、重量比で1〜10%の範囲とされる。
【0013】このシリコーン変性ポリエチレンの配合量は、ベースポリマー100重量部に対して10〜100重量部の範囲で、要求される摩擦係数、成形加工性、滲出性などを考慮して定められるが、10重量部未満では低摩擦にはならず100重量部を越えると難燃性が低下する。この場合、シリコーン変性ポリエチレン自体は難燃性に劣るため、シリコーン変性ポリエチレンが添加されない状態の樹脂組成物の酸素指数を28以上としておくことが、最終の樹脂組成物の酸素指数を22以上とするために必要となる。このためには、金属水和物などの上述の難燃剤を増量すればよい。
【0014】本発明での摩擦係数は、傾斜法によって求められる静摩擦係数を言う。上記樹脂組成物を成形してなるシートと、電線、ケーブル等の外被(シース)をなすポリエチレン、ポリ塩化ビニルなどのプラスチックからなるブロックとを用い、傾斜板上に上記シートを貼付し、このシート上に上記ブロックを置き、傾斜板を水平から徐々に傾斜させて、ブロックが滑り落ちる時の傾斜板の角度Aを求め、tanAの値を静摩擦係数とするものである。この摩擦係数が0.4を越えると、電線等の引き入れ時の張力が大きくなって好ましくない。
【0015】また、上記樹脂組成物には、必要に応じて炭酸カルシウム、タルク、酸化ケイ素、酸化チタンなどの無機充填剤、フェノール系、フォスファイト系の老化防止剤、着色剤などを適宜配合することもできる。また、架橋系とすることもでき、これにはジクミルパーオキサイドなどの有機過酸化物、トリアリルイソシアヌレートなどの架橋助剤などを添加すればよく、架橋することで耐熱性のみならず、難燃性も向上し、望ましいものとなる。
【0016】このような樹脂組成物は、押出成形法によって所望の寸法のパイプに成形されて本発明の電線引き入れ用パイプとされる。引入パイプの形状としては、直管のみならず、波付けを施したコルケード管であってもよい。また、90度エルボ、45度エルボなどの継手も本発明の引入パイプに包含される。
【0017】以下、具体例を示す。
(実施例1)表1に示す配合組成の樹脂組成物を押出成形してシートサンプルを作成した。このシートサンプルについて、酸素指数(JIS K 7201)、水平燃焼試験(JIS C 3005)、静摩擦係数(傾斜法、相手材料;低密度ポリエチレン)を測定した。結果を表1に示す。
【0018】また、樹脂組成物を外径50mm、内径45mm、長さ30mのパイプに押出成形して引入パイプを作成した。この引入パイプに外径20mmの電力ケーブル(シース材;低密度ポリエチレン)を引き入れ、その際の引き入れ張力を測定して引き入れ性を評価した。引き入れ張力が10kgf以下のものを引き入れ性良とし、10kgfを越えるものを引き入れ性不良とした。結果を表1に示す。
【0019】
【表1】

【0020】(実施例2)また、表2に示す樹脂組成物についても、実施例1と同様にシートサンプルと引入パイプを作成し、同様の試験を実施した。表2でのシリコーン変性ポリエチレンには、「ポリファインVMFE02」(商品名、(株)トクヤマ製、シリコーン含有量5重量%)を、使用した。結果を表2に併せて示す。
【0021】
【表2】

【0022】表1および表2の結果から、本発明の引入パイプは、電線等の引き入れ性が良好であり、優れた難燃性を有することがわかる。
【0023】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の電線引き入れ用パイプにあっては、低摩擦であって電線、ケーブル等の引き入れに際して引き入れ張力を軽減できる。また、優れた難燃性を有し燃えにくく、燃焼した際には有害なハロゲン含有ガスを発生することがない。
【出願人】 【識別番号】000005186
【氏名又は名称】株式会社フジクラ
【出願日】 平成11年8月27日(1999.8.27)
【代理人】 【識別番号】100064908
【弁理士】
【氏名又は名称】志賀 正武 (外3名)
【公開番号】 特開2000−193158(P2000−193158A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平11−242362