| 【発明の名称】 |
耐熱性ホース |
| 【発明者】 |
【氏名】野田 達人
【氏名】古井 謙一郎
【氏名】岩田 貴博
【氏名】北岡 克司
|
| 【要約】 |
【課題】耐熱性ホース20は、耐熱温度を高くし、生産性に優れるとともにその外表面にエンジンオイルなどが滲み難くくすることにある。
【解決手段】耐熱性ホース20は、ターボチャージャなどに接続されるホースであり、高温ガス流体を流す流路22aを形成する内管ゴム層22と、内管ゴム層22上に積層されシリコンから形成された下ゴム層24と、下ゴム層24上に補強糸26aを巻回することにより形成された補強糸層26と、補強糸層26上に積層され、シリコンゴムからなる上ゴム層28と、を備え、上記内管ゴム層22は、フッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴムまたはこれらの重合体から形成されている。内管ゴム層22は、押出工程の際に円筒形状を維持して、マンドレルMdを挿入して補強糸を巻回する工程をとることを可能とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 高温ガス流体を流す耐熱性ホースにおいて、上記高温ガス流体を流す流路を形成する内管ゴム層と、内管ゴム層上に積層され、シリコンから形成された下ゴム層と、下ゴム層上に補強糸を巻回することにより形成された補強糸層と、補強糸層上に積層され、シリコンゴムまたはアクリル化合物系ゴムからなる上ゴム層と、を備え、上記内管ゴム層は、フッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体から形成されていることを特徴とする耐熱性ホース。 【請求項2】 高温ガス流体を流す耐熱性ホースの製造方法において、内管ゴム層とシリコンゴムからなる下ゴム層とを押し出すことにより、上記内管ゴム層の内側に流路を有する押出体を形成する工程と、上記押出体の流路にマンドレルを挿入して押出体を支持する工程と、マンドレルで支持した押出体の外周部に補強糸を巻回することにより補強糸層を形成する工程と、補強糸層上に、シリコンゴムまたはアクリル化合物系ゴムからなる上ゴム層を積層する工程と、を備え、上記内管ゴム層は、フッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体から形成することを特徴とする耐熱性ホースの製造方法。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、自動車のエンジンなどに使用され、高温ガスを流通させるための耐熱性ホース及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】従来、この種の耐熱性ホースとして、たとえば、ターボチャージャを搭載したエンジンにおいて、ターボチャージャで加給された吸気ガスをエンジンの吸気管側へ送るためのホースに使用されている。図9は耐熱性ホース100を示す半断面図、図10は図9の10−10線に沿った断面図である。図9及び図10において、耐熱性ホース100は、シリコンゴムからなるホース本体102内に補強糸層104を埋設することにより、600kPaまでの耐圧性を備えている。また、耐熱性ホース100は、ターボチャージャにより加給された高温の吸気ガスにも耐えるようにシリコンゴムから形成されている。シリコンゴムは、耐熱性に優れているが、その未加硫時の粘度が低いことから、通常のホースのように押出工程により製造することが難しい。このため、図11に示すように、手作業による巻き付け工程により製造されていた。すなわち、未加硫のシリコンゴム板110に、補強糸層104を形成するための布112を重ね合わせ、これをロール114に巻回し、その後に加硫することにより製造されている。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかし、従来の耐熱性ホース100の製造工程は、手による巻き付け作業であるので、生産性が低く、製品のコストアップの要因になっている。また、ホース本体102を形成するシリコンゴムは、オイルの透過性が高いという性質をもっている。このため、ターボチャージャから送られる吸気ガスにエンジンオイルがミスト状態で混入している場合に、オイルが耐熱性ホース100のシリコンゴム内を浸透して、耐熱性ホース100の外表面にまで滲み出ることがある。このようなオイルは、耐熱ホース100の外表面で斑点などの模様となるために外観を損なうという問題があった。 【0004】また、他の従来の技術では、シリコンゴムの代わりにアクリル系ゴム材料だけから形成されているものも知られているが、120℃くらいまでの耐熱性しか得られておらず、160℃くらいまでの温度で長期間の耐熱性を要請されていた。 【0005】本発明は、上記従来の技術の問題を解決するものであり、耐熱温度を高め、生産性に優れるとともに、その外表面にエンジンオイルなどが滲み難い耐熱性ホースを提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上記課題を解決するためになされた第1の発明は、高温ガス流体を流す耐熱性ホースにおいて、上記高温ガス流体を流す流路を形成する内管ゴム層と、内管ゴム層上に積層され、シリコンから形成された下ゴム層と、下ゴム層上に補強糸を巻回することにより形成された補強糸層と、補強糸層上に積層され、シリコンゴムまたはアクリル化合物系ゴムからなる上ゴム層と、を備え、上記内管ゴム層は、フッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体から形成されていることを特徴とする。 【0007】第1の発明にかかる耐熱性ホースでは、高温ガス流体を流す流路を有する内管ゴム層の外周側に、下ゴム層、補強糸層及び上ゴム層が順次積層されている。下ゴム層は、シリコンゴムから形成されて、高温ガス流体に対する耐熱性を高めている。また、内管ゴム層は、フッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体から形成されている。ここで、フッ素化合物系ゴムとは、ビニリデンフロライド・ヘキサフロロプロピレン・テトラフロロエチレン共重合物:FKM等をいう。また、アクリル化合物系ゴムとは、アルキル酸エステルと2−クロルエチルビニルエステルとの共重合体:ACMをいう。内管ゴム層を形成するフッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体は、耐オイル浸透性が大きく、オイルが高温流体に混入していても下ゴム層、補強糸層、上ゴム層へ浸透するのを防止することができる。よって、耐熱性ホースの外表面に斑点などの模様が表われて外観を損なうことがない。 【0008】また、第2の発明は、高温ガス流体を流す耐熱性ホースの製造方法において、内管ゴム層とシリコンゴムからなる下ゴム層とを押し出すことにより、上記内管ゴム層の内側に流路を有する押出体を形成する工程と、上記押出体の流路にマンドレルを挿入して押出体を支持する工程と、マンドレルで支持した押出体の外周部に補強糸を巻回することにより補強糸層を形成する工程と、補強糸層上に、シリコンゴムまたはアクリル化合物系ゴムからなる上ゴム層を積層する工程と、を備え、上記内管ゴム層は、フッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体から形成することを特徴とする。 【0009】第2の発明は、耐熱性ホースの製造方法にかかり、押出機によりフッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体を押し出すことにより、押出体が形成される。この押出体は、アクリル化合物系ゴムなどから形成されているので、シリコンゴムに比べて粘度が高く、押出加工を施すことができるうえに、自重によりつぶれることがなく、管形状が維持される。そして、押出直後の押出体の流路に、マンドレルを挿入して、該マンドレルで支持した状態にて、補強糸を押出体の外周部に巻回して補強糸層を形成する。このように、押出体を支持した状態にて、補強糸を巻回することができるので、耐熱性ホースの製造工程は、押出工程に続いて連続的な補強糸層を形成する工程をとることができ、生産性に優れている。 【0010】 【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。 【0011】図1は本発明の一実施の形態にかかる耐熱性ホース20を長手方向に切断した半断面図、図2は図1の2−2線に沿った断面図である。図1及び図2において、耐熱性ホース20は、図示しない自動車のエンジンのターボチャージャと吸気管とを接続するホースであり、4層に積層されることにより耐熱性及び耐圧性を有するように形成されている。すなわち、耐熱性ホース20は、流路22aを有する内管ゴム層22と、下ゴム層24と、補強糸層26と、上ゴム層28とを備えている。耐熱性ホース20は、160℃で10,000時間以上の耐熱性、600kPaまでの耐圧性、耐オイル浸透性及び形状保持性を得るために、各層の材質が定められている。 【0012】すなわち、内管ゴム層22は、後述するように、主に形状保持性と耐オイル浸透性を得るために、フッ素化合物系ゴム(FKM)または、フッ素化合物系ゴム(FKM)/アクリル化合物系ゴム(ACM)のブレンドゴム、またはこれらの重合体から形成されている。ここで、形状保持性は、押出体を管状に形成した場合に自重による潰れ難さをいう。また、下ゴム層24は、主として耐熱性を高めるためにシリコンゴムから形成されている。さらに、補強糸層26は、耐圧性を高めるために形成され、アラミド系樹脂、芳香族ポリアミドなどの繊維糸を下ゴム層24上にブレードすることにより形成されている。さらに、上ゴム層28は、耐環境性を得るためにシリコンゴムの単一層またはアクリル化合物系ゴムの単一層から形成されている。この上ゴム層28の材料の条件は、下ゴム層24と加硫接着が可能な材料であることが好ましい。なお、上ゴム層28は、内管ゴム層22及び下ゴム層24の断熱作用により、温度上昇が抑えられるために耐熱性はさほど要求されない。 【0013】耐熱性ホース20の各層の厚さも、耐熱性、耐オイル浸透性などを考慮して定められており、たとえば、耐熱性ホース20の内径φを30〜70mm、肉厚tを4〜8mmとした場合において、下ゴム層24が2〜4mm、補強糸層26が0.1〜1mm、上ゴム層28が2〜4mmの範囲に定めることができる。なお、内管ゴム層22の厚さについては、後述する。 【0014】次に、耐熱性ホース20の製造方法について説明する。耐熱性ホース20は、周知の方法により、つまりゴム押出工程、補強糸の巻回工程及び加硫工程を施すことにより製造することができる。図3はホース製造装置30を説明する説明図である。 【0015】図3において、ホース製造装置30は、第1押出機40と、ブレード装置50と、第2押出機60とを備えている。第1押出機40は、ゴム材料を共押出しすることにより押出体20A(内管ゴム層22及び下ゴム層24)を形成するための装置である。ブレード装置50は、押出体20A上に補強糸層26を形成するための装置であり、ドラム52aに装着されたボビンキャリア(図示省略)を備え、該ボビンキャリアから補強糸26aを繰り出しつつ押出体20A上にブレードすることにより補強糸層26を形成する装置である。また、第2押出機60は、上ゴム層28を形成するための装置であり、外管押出部61からゴム材料を押し出して上ゴム層28を形成する。 【0016】次に、図3を用いて、ホース製造装置30による耐熱性ホース20の一連の製造工程について説明する。第1押出機40から、フッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体からなるゴム材料、及びシリコンゴムを同軸上で押し出すことにより、2層の円筒状の押出体20Aが形成される。そして、押出体20Aが押し出されると、この押出体20Aの流路を形成するスペース20aに、マンドレルMdが挿入される。 【0017】続いて、押出体20Aは、ブレード装置50に送られて、ブレード装置50のドラム52aの回転によりボビンから補強糸26aが繰り出され、これにより押出体20A上に補強糸層26が形成される。つまり、第1押出機40により押し出された直後の押出体20AがマンドレルMdで支持された状態にて、補強糸層26が形成される。このとき、押出体20Aは、マンドレルMdで支持されているので潰れることがない。次に、第2押出機60により、上ゴム層28を形成するためのシリコンゴムまたはアクリル化合物系ゴム(ACM)が補強糸層26上に積層される。すなわち、上ゴム層28を形成するためのゴム材料は、補強糸層26上に直接供給することにより行なう。 【0018】続いて、加硫工程を行なう。加硫工程の条件として、140〜170℃で20〜60分に設定する。この加硫工程により、内管ゴム層22、下ゴム層24及び上ゴム層28は、通常の加硫接着が行なわれて接合される。これにより、耐熱性ホース20が一体化して形成される。 【0019】上記実施例による耐熱性ホース20の製造方法において、第1押出機40により押し出される押出体20Aの内管ゴム層22は、フッ素化合物系ゴムまたは、フッ素化合物系ゴム/アクリル化合物系ゴムのブレンドゴム、またはこれらの重合体から形成され、シリコンゴムだけで形成するより機械的強度が高められているので、自重によってつぶれにくい。このため、押出直後の押出体20AにマンドレルMdを挿入することができ、マンドレルMdで押出体20Aを支持した状態にて、ブレード装置50により補強糸26aを巻回することができる。したがって、耐熱性ホース20の製造工程は、押出工程に続いて連続的な補強糸層26を形成する工程をとることができ、生産性に優れている。 【0020】次に、上述した押出体20Aの厚さについて説明する。押出体20Aの厚さは、補強糸層26を形成できる形状保持性と耐オイル浸透性とを考慮して定める。つまり、第1に、押出体20Aの厚さは、補強糸層26を形成するためにマンドレルMdを挿入できるようにすることを考慮して、扁平率K(%)から求めた。図4は扁平率Kを説明する説明図であり、aが垂直方向の距離、bが水平方向の距離を示し、扁平率K(%)は、K=(1−a/b)×100で表わされる。図5は扁平率Kと押出体20Aの内管ゴム層22の肉厚tとの関係を示すグラフである。なお、押出体20Aの厚さ、つまり内管ゴム層22と下ゴム層24との合計の厚さは、2.5mmとした。ここで、扁平率Kが50%以下であると、マンドレルMdの挿入が可能であることから、内管ゴム層22の肉厚tは、0.25mm以上必要であることが分かった。このような内管ゴム層22の厚さに設定することにより、押出体20Aは潰れることなく形状保持性を高くすることができ、補強糸26aを巻回することができる。 【0021】また、内管ゴム層22の肉厚tは、耐オイル透過性の点から、フッ素化合物系ゴム(FKM)で0.5mm、フッ素化合物系ゴム(FKM)/アクリル化合物系ゴム(ACM/FKM)では、FKM/ACMブレンド比が70/30の場合で1.0mm以上とすることが好ましい。これにより、耐オイル透過性に対して十分な性能を得ることができる。 【0022】一方、内管ゴム層22が2mmを越えると、フッ素化合物系ゴムなどの高価な材料の使用量が多くなることから、コストダウンの観点から内管ゴム層22は、2mm以下であることが好ましい。 【0023】次に、耐熱性ホース20に用いる材料の耐熱性についての実験を行なった。この耐熱性の実験は、下記の材料で成形した短冊状のゴム片を所定の温度雰囲気内に所定時間放置し、2倍に伸ばしたときに破断した時間を調べることにより行なった。その結果を図6に示す。図6において、1点鎖線がシリコンゴムを、実線がACMを、2点鎖線がFKMを、破線がFKM/ACMブレンドゴム(ブレンド比70/30)をそれぞれ示す。ここで、耐熱性が160℃以上で10,000時間以上を適合範囲とした。この適合範囲は、車両の通常の走向時における温度で、30万km(平均時速30km/h)を越える条件を意味している。図6から、内管ゴム層22、下ゴム層24に適用するFKM、FKM/ACMブレンドゴム、シリコンゴムは適合基準を満たすことが確認できた。 【0024】また、耐熱性ホースのオイル透過量を調べる実験を行なった。実験は、全長200m、内径φ34mm、厚さ5mmのホースにディーゼルオイルを充填し、145℃の雰囲気下におけるオイル透過量を調べた。図7は横軸に測定したときの経過時間、縦軸にシリコン(第1比較例)の24時間後の透過量を1とした場合の比率を示す。また、図8は各試料の厚さtのデータを示す。図7に示すように、従来の技術に相当するシリコンゴムは、オイル透過量が時間の経過とともに減少し難いのに対して、第1実施例、第2実施例は時間の経過とともにオイル透過量が減少し、ホース外表面にオイルの滲みがなくなったことが目視できた。なお、耐熱性ホース20の流路22a内に、ミスト状のオイルを混入した吸気ガスを流通させても、内管ゴム層22に耐オイル透過性に優れた材料を使用しているので耐熱性ホース20の外周面に斑点などの模様が表われることがなく、内管ゴム層22の耐オイル浸透性の効果が得られていることが分かった。 【0025】なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。 【0026】(1) 耐熱性ホース20は、上ゴム層28をすべてシリコンゴムにより形成してもよいが、耐熱性ホースを使用する雰囲気温度が低い場合にはACMを使用してもよい。この場合において、ACMは、シリコンゴムとの溶着性に優れるとともに、形状保持性が高く、傷が付き難いという特長を加えることができる。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000241463 【氏名又は名称】豊田合成株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年12月24日(1998.12.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100097146 【弁理士】 【氏名又は名称】下出 隆史 (外1名)
|
| 【公開番号】 |
特開2000−193152(P2000−193152A) |
| 【公開日】 |
平成12年7月14日(2000.7.14) |
| 【出願番号】 |
特願平10−366529 |
|