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【発明の名称】 ポリエチレンパイプの継手
【発明者】 【氏名】高橋 勉

【要約】 【課題】

【解決手段】
【特許請求の範囲】
【請求項1】 中心部にポリエチレンパイプの挿着穴を有する継手の上層部をポリプロピレン層または架橋ポリエチレン層に形成するとともに下層部をポリエチレン層に形成し、下層部のポリエチレン層中に電熱線コイルまたはポリエチレンを被覆した電熱線コイルを埋設して、電熱線コイルの両端を上層部のポリプロピレン層または架橋ポリエチレン層を貫通して外部に突出させて接点とし、かつ、上層部のポリプロピレン層または架橋ポリエチレン層中に、孔径1.5〜2.0mmのポリエチレン溶出確認用の通孔を、その下端が下層部のポリエチレン層と0.1〜0.5mmの間隔を保持して穿孔するポリエチレンパイプの継手。
【請求項2】 下層部のポリエチレン層中に中空状のスリットを設けてポリエチレンパイプを挿着するとともに、下層部のポリエチレン層の中心部に通液穴を形成する請求項1記載のポリエチレンパイプの継手
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の利用分野】本発明は、建物の給水管、給湯管等として使用するポリエチレンパイプの継手に関するものである。
【0002】
【従来の技術】建物の給水管、給湯管等としてポリエチレンパイプが使用されているが、このポリエチレンパイプを接続する際に使用する従来の継手の一つとしては、図1に示すように、チューブ状の継手1の中心部に通液穴2を有するものであって、チューブ状の継手1の上層部を架橋ポリエチレン層3、下層部をポリエチレン層4で形成し、上層部の架橋ポリエチレン層3と下層部のポリエチレン層4の境界面5に電熱線コイル6を埋設して、その電熱線コイル6の両端を上層部の架橋ポリエチレン層3を貫通して外部に突出させて接点7aと7bとしたものが存在する。
【0003】そして、前述したチューブ状の継手1の中心部の通液穴2と間隔を置いて、下層部の架橋ポリエチレン層5中に、給水管としてのポリエチレンパイプ8を挿着する中空状のパイプ挿入スリット9を設け、また、チューブ状の継手1には孔径1.5〜2.0mmのポリエチレン溶出確認用の通孔10を穿孔するが、この確認用の通孔10は、上層部のポリプロピレン層11を貫通して、下層部のポリエチレン層4に達する状態に設けられている。
【0004】チューブ状の継手1の中空状のスリット9に給水管であるポリエチレンパイプ8を挿着して、接点7aと7bより電熱線コイル6に通電して加熱すると、電熱線コイル6と接触する下層部のポリエチレン層4の上方より溶解が開始し、徐々に、ポリエチレン層4の下方へと溶解が進行し、ポリエチレンパイプ8の表面に融着して、ポリエチレン層4の上方より溶解が開始し、徐々に、ポリエチレン層4の下方へと溶解が進行し、ポリエチレンパイプ8に融着して両者が一体化するという時点で、ポリエチレン層4の一部のポリエチレンが確認用の通孔10より継手1の外部に溶出するようになっており、このポリエチレンの溶出をチェックして電熱線コイル6への通電を中止してポリエチレン層4にポリエチレンパイプ8を融着するという機構になっている。
【0005】しかし、電熱線コイル6に通電してポリエチレン層4の溶解を開始すると、ポリエチレン層4の上方が溶解して下方へと溶解が進行する段階で、溶解した上方のポリエチレンの一部が確認用の通孔10より継手1の外部に溶出することになり、これをチェックして電熱線コイル6への通電を中止するために、ポリエチレン層4の下方部分の溶解が不充分で、ポリエチレンパイプ8との融着状態が不完全になり、ポリエチレンパイプ8が継手1より剥離して脱落したり、漏水する欠点があった。
【0006】また、電熱線コイル6と接触しているポリエチレン層4の上方の溶解したポリエチレンの一部が確認用の通孔10より継手1の外部に溶出すると、電熱線コイル6の周囲に空隙部分が発生して、隣接する電熱線コイル6同志が接触してショートを起こし、継手の内部損傷や溶着不良等の異常事態になり、前述した継手へのポリエチレンパイプ8の溶着作業を中断せざるをえなく、作業効率が悪化する等の不都合もあった。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、電熱線コイルに通電して下層部のポリエチレン層の溶解してポリエチレンパイプを継手に融着するについて、ポリエチレン層の上方は無論のこと、ポリエチレン層の下方も十分に溶解させた段階において、ポリエチレン層の上方の溶解したポリエチレンの一部を確認用の通孔より継手の外部に溶出させ、この時点を把握して電熱線コイルへの通電を中止して、継手の下層部のポリエチレンとポリエチレンパイプとを完全に融着し、ポリエチレンパイプを継手に確固に装着することに目的がある。
【0008】また、本発明は、ポリエチレン層の上方と下方とを十分に溶解させた段階で、ポリエチレン層の上方の溶解したポリエチレンの一部を確認用の通孔10より継手1の外部に溶出させることによって、電熱線コイルの周囲に空隙部分を発生させず、隣接する電熱線コイルの接触を無くし、継手の内部損傷や溶着不良等を防止して、継手へのポリエチレンパイプの溶着作業効率を向上させることに目的がある。
【0009】さらに、本発明は、下層部のポリエチレン層中に中空状のスリットを形成するとともにその中心部に通液穴を形成してポリエチレンパイプを安定に確固に挿着することに目的がある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は、ポリエチレンパイプの継手に関するもので、中心部にポリエチレンパイプの挿着穴を有する継手の上層部をポリプロピレン層または架橋ポリエチレン層に形成するとともに下層部をポリエチレン層に形成し、下層部のポリエチレン層中に電熱線コイルまたはポリエチレンを被覆した電熱線コイルを埋設して、その電熱線コイルの両端を上層部のポリプロピレン層または架橋ポリエチレン層を貫通して外部に突出させて接点とし、かつ、上層部のポリプロピレン層または架橋ポリエチレン層中に、孔径1.5〜2.0mmのポリエチレン溶出確認用の通孔を、その下端が下層部のポリエチレン層と0.1〜0.5mmの間隔を保持して穿孔することによって、継手のポリエチレンとポリエチレンパイプとを完全に確固に融着することに特徴がある。
【0011】また、本発明は、前述したポリエチレンパイプの継手において、下層部のポリエチレン層中に中空状のスリットを設けてポリエチレンパイプを挿着するとともに、下層部のポリエチレン層の中心部に通液穴を形成することによって、継手のポリエチレンとポリエチレンパイプとを安全に確固に融着することに特徴がある。
【0012】本発明の実施態様を建物の給水管であるポリエチレンパイプを例として、図2に従って説明すると、チューブ状の継手1は、その中心部にポリエチレンパイプ8の挿着穴12を有するものであって、継手1の上層部をポリプロピレン層13で形成するとともに、下層部をポリエチレン層5で形成し、この下層部のポリエチレン層5中に電熱線コイル6を埋設する。なお、継手1の上層部はポリプロピレン層13で形成することが望ましいが、場合によっては、従来の継手と同じように架橋ポリエチレン層で形成してもかまわない。
【0013】本発明の継手1においては、電熱線コイル6を埋設するについて、これを下層部のポリエチレン層4中に完全に埋設することに特徴があり、このことが従来の継手と異なる第1点(従来の継手では図1のように上層部の架橋ポリエチレン層3と中層部のポリエチレン層4の境界面に電熱線コイル6を埋設)である。電熱線コイル6の両端は上層部をポリプロピレン12を貫通して継手1の外部に突出させて接点7aと7bとし、また、継手1の中心部にはポリエチレンパイプ8の挿着穴13を設けて、この挿着穴13にポリエチレンパイプ8を挿着する。
【0014】さらに、本発明の継手1には、従来の継手と同じように、孔径1.5〜2.0mmの確認用の通孔10を穿孔するが、この通孔10は上層部の耐熱ポリプロピレン層13を貫通せず、下層部のポリエチレン層4に達しない状態、すなわち、通孔10の下端と下層部のポリエチレン層4の表面との間に0.1〜0.5mmの間隔を保持して、ポリプロピレン層13の封鎖層13aを形成することに特徴があり、このことが従来の継手と異なる第2点(従来の継手では図1のように確認用の通孔10は上層部のポリプロピレン層11を貫通して下層部のポリエチレン層4に達する状態に設置)である。
【0015】次に、本発明の継手に給水管であるポリエチレンパイプ8を溶着する作業について説明すると、継手1の中心部に形成した中空状の挿着穴12にポリエチレン製パイプ8を挿入した後、チューブ状の継手1より突出している接点7aと7bより電熱線コイル6に通電(AC100V)して加熱を開始すると、5〜10秒が経過した時点で、電熱線コイル6によって周辺のポリエチレン層4の溶解が始まり、12〜30秒が経過した時点で、ポリエチレン層4は110℃になって液状に溶解して、挿着穴12に挿入しているポリエチレン製パイプ8の表面に融着する。
【0016】前述したように、12〜30秒経過した段階では、電熱線コイル6周囲のポリエチレン層4は液状に溶解しているが、ポリプロピレン層11は電熱線コイル6の加熱によっては溶解されず、不溶性の封鎖層11aとして存在するために、液状に溶解したポリエチレンは、封鎖層11aによってシールされ、確認用の通孔10に溶出することを阻止されて、継手1の外部に流出することはないために、電熱線コイル6は液状のポリエチレンに満たされてショートを起こすことはなく、また、液状化したポリエチレンはポリエチレンパイプ8の表面に完全に融着して、継手1のポリエチレンとパイプ8のポリエチレンとは分子結合によって完全、確実に一体化する。
【0017】しかし、約30秒経過した段階では、ポリエチレン層4の液状に溶解したポリエチレンは、電熱線コイル6の継続する加熱によって膨張して内部圧力を高め、前述した封鎖層11aを破壊して、確認用の通孔10に溶出して継手1の外部に流出するので、この事実をチェックして、即座に電熱線コイル6への通電を中止して、適当な時間継手1を冷却して継手1へのポリエチレンパイプ8の溶着を終了する。
【0018】ポリエチレンパイプの継手1の外径や挿着穴12の口径は、溶着するポリエチレンパイプ8の口径等によって適宜決定するが、通常の場合、継手1の外径は20〜100mm、挿着穴12の口径は13〜60mmにするとよく、また、ポリエチレンパイプ8の外径は13〜60mmにするとよく、さらに、継手1の上層部のポリプロピレン層11と下層部のポリエチレン層5の層高は、継手1とポリエチレンパイプ8の溶着処理条件や電熱線コイル6の設置条件等によって適宜決定するが、通常の場合、上層部のポリプロピレン層11は4〜15mm、下層部のポリエチレン層5は0.1〜1mmに形成することが望ましい。
【0019】中層部のポリエチレン層4中に埋設する電熱線コイル6の線径は、ポリエチレン層4の層高やポリエチレンの溶解処理条件等によって適宜決定するが、通常の場合、この線径は0.1〜5mmであることが望ましく、また、電熱線コイル6の巻数とピッチは、継手1の長さやポリエチレン層4の層高によって適宜決定するが、通常の場合、この巻数は8〜20巻、ピッチは1〜3mmあれば十分であり、図3に示すように、ポリエチレン層4中に電熱線コイル6をポリエチレンで被覆して埋設した場合は、このピッチは0.3〜0.5mmあれば十分である。
【0020】継手1の上層部のポリプロピレン層11に穿孔する確認用の通孔10の孔径は1.5〜2.0mmにする必要があり、この通孔10の孔径が1.5mm未満であると、液状に溶解した粘性の高いポリエチレンが通孔10を通過する際の通液抵抗が増大して継手1の外部に流出し難くなる難点があり、また、この通孔10の孔径が2.0mmを超えると、液状に溶解したポリエチレンの継手1の外部への流出量が増大する不都合がある。
【0021】通孔10の下端と下層部のポリエチレン層4の表面との間の間隔、すなわち、ポリプロピレン層11の封鎖層11aの層高を0.1〜0.5mmにするのは、封鎖層11aの層高が0.1mm未満であると、液状化したポリエチレンがポリエチレンパイプ8と完全に融着して継手1と確実に一体化する前に、封鎖層11aを突き破って確認用の通孔10に溶出して継手1の外部に流出することになって、これをチェックして電熱線コイル6への通電を中止すると、継手1へのポリエチレンパイプ8の溶着が不完全になるために不適当であり、また、封鎖層11aの層高が0.5mmを超えると、液状化したポリエチレンがポリエチレンパイプ8と完全に融着して継手1と確実に一体化しても、封鎖層11aを突き破れず、確認用の通孔10に溶出して継手1の外部に流出しないために、チェックできずに無駄な電力を消費するという不都合が発生する。
【0022】また、図4に示すように、チューブ状の継手1の中心部に形成した通液穴2と間隔を置いて、下層部のポリエチレン層5に中空状のスリット9を形成するとともに、この下層部のポリエチレン層5に通液穴2を形成し、中空状のスリット9にポリエチレンパイプ8を挿着して、前述したようなポリエチレン層の融着処理を行うと、継手1とポリエチレンパイプ8とを一層安定して確固に融着させることができる。この場合、継手1の中心部の通液穴2と間隔を置いて下層部の架橋ポリエチレン層4に設ける中空状のスリット9の内径と外径は、挿着するポリエチレンパイプ8の内径と外径に応じて適宜決定すればよい。
【0023】
【発明の効果】本発明によると、電熱線コイルに通電して中層部のポリエチレン層の溶解してポリエチレンパイプを継手に融着するについて、ポリエチレン層の全体を十分に溶解させて、ポリエチレンとポリエチレンパイプとを完全に融着し、ポリエチレンパイプを継手に一体化させた時点で、溶解したポリエチレンの一部を確認用の通孔より継手の外部に溶出させてチェックして電熱線コイルへの通電を中止できるので、従来問題になっていた、溶着不良や液漏れ等を起こさず、かつ、無駄な電力を消費せずに、ポリエチレンパイプを継手に確固に溶着することができる利点がある。
【0024】また、本発明は、ポリエチレン層の全体を十分に溶解してポリエチレンとポリエチレンパイプとを完全に融着した時点まで、ポリエチレン層を確認用の通孔より継手1の外部に溶出させないので、電熱線コイルの周囲は液状のポリエチレンによって満たされて、隣接する電熱線コイル同志の接触がないため、継手の内部損傷や溶着不良等を防止することが可能であり、継手へのポリエチレンパイプの溶着作業効率を向上させる長所がある。
【0025】さらに、本発明によると、電熱線コイルに通電して下層部のポリエチレン層の溶解してポリエチレンパイプを継手に融着するについて、電熱線コイルをポリエチレンで被覆すると、ポリエチレン全体をより確実に溶解させて、ポリエチレンとポリエチレンパイプとをより完全に融着してポリエチレン製パイプを継手に確固に溶着できるとともに、隣接する電熱線コイル同志の接着を完全に阻止して、継手の内部損傷や溶着不良等を一段と安全に防止できるメリットがある。
【0026】さらに、本発明によると、継手の中心部に形成した通液穴と間隔を置いて、下層部のポリエチレン層に中空状のスリットを形成するとともに、この下層部のポリエチレン層に通液穴を形成してポリエチレンパイプを挿着すると、継手とポリエチレンパイプとを一層安定して確固に融着させる利点がある。
【出願人】 【識別番号】394024835
【氏名又は名称】株式会社カスタムプラミング
【出願日】 平成10年12月7日(1998.12.7)
【代理人】 【識別番号】100063761
【弁理士】
【氏名又は名称】高橋 章
【公開番号】 特開2000−170984(P2000−170984A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−347581