トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 離脱防止管継手
【発明者】 【氏名】桜井 祥己

【氏名】川久保 知一

【氏名】中山 章

【要約】 【課題】伸縮性能と離脱防止性能とを兼備した耐震型の管継手において、ロックリングを押圧するためのセットボルトを省略できるようにする。

【解決手段】シール材6よりも開口側の受口2の内周に形成されたロックリング収容溝13に環状のロックリング14を収容する。挿口4の外周に、ロックリング14よりも軸心方向の幅が広い環状溝20を形成して、この環状溝20にロックリング14を締まり状態ではめ合わせる。ロックリング14における受口開口側の側部と受口奥側の側部とに外周向きのテーパ面を17、18を形成する。ロックリング収容溝13における受口開口側の側部と受口奥側の側部とに、ロックリング14のテーパ面17、18に対応した内周向きのテーパ面15、16を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 受口の内周と挿口の外周との間で環状のシール材を圧縮するようにした管継手であって、シール材よりも開口側の受口の内周にロックリング収容溝を形成し、このロックリング収容溝に環状のロックリングを収容し、挿口の外周に、ロックリングよりも軸心方向の幅が広い環状溝を形成して、この環状溝にロックリングを締まり状態ではめ合わせ、ロックリングにおける受口開口側の側部と受口奥側の側部とに外周向きのテーパ面を形成し、ロックリング収容溝における受口開口側の側部と受口奥側の側部とに、ロックリングのテーパ面に対応した内周向きのテーパ面を形成したことを特徴とする離脱防止管継手。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は離脱防止管継手に関する。
【0002】
【従来の技術】水道管に使用されているダクタイル鋳鉄管のうち、耐震型と呼ばれる継手構造を有するものには、その継手に伸縮性能と離脱防止性能とが付与されている。伸縮性能は、地震時の地盤の移動に合わせて継手部が伸縮し、それによって管に不要な応力を発生させない性能である。離脱防止性能は、地盤が継手の伸びを上回る伸びを示した際に、地盤から継手に作用する離脱力に抗してその抜けを防止する性能である。
【0003】継手にこのような伸縮性能と離脱防止性能とを兼備させるために、従来においては、一方の管の受口の内周のロックリング収容溝に周方向一つ割りのロックリングを収容し、受口に挿入される他方の管の挿口の外周に広幅の環状溝を形成し、受口の外周からこの受口の壁部を貫通してロックリング収容溝にねじ出される周方向に複数のセットボルトによりロックリングの外周面を押圧して、このロックリングをロックリング収容溝に収容されたままの状態で挿口の環状溝に締まり付かせている。そして、ロックリングと環状溝とを互いに軸心方向に摺動可能として、ロックリングよりも広い環状溝の幅寸法の範囲で、受口挿口間の伸縮すなわち継手の伸縮が行えるように構成している。また、地盤から継手に大きな離脱力が作用した場合には、ロックリング収容溝とロックリングと環状溝とが互いに軸心方向に引っ掛かり合うことで、所要の離脱防止性能が発揮されるように構成されている。
【0004】ロックリングによる離脱防止性能を確実に発揮させるためには、次の各点を実現させる必要がある。・ロックリングが環状溝から浮き上がらず、この環状溝との引っ掛かりが維持できるところに位置すること。
【0005】・受口と挿口とが偏心していないこと。
・離脱力を作用したときにロックリングにねじれなどが生じないこと。
従来においては、上述のように周方向に複数のセットボルトによりロックリングの外周面を押圧することで、これらの必要事項を実現させている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところで、近年、これらの伸縮機能と耐震機能とを兼備した耐震型の継手を有するダクタイル鋳鉄管を、トンネル内配管や既設管路内配管に使用したいという要望がユーザから寄せられている。
【0007】しかし、これらトンネル内や既設管路内では、一般に新設のダクタイル鋳鉄管とトンネルや既設管路の内面との間が狭く、管どうしの接合時に受口の外面からセットボルトを施工するのが困難であるという問題点がある。
【0008】そこで本発明は、このような問題点を解決して、セットボルトを省略した構成の、伸縮性能と離脱防止性能とを兼備した耐震型の管継手を実現することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】この目的を達成するため本発明は、受口の内周と挿口の外周との間で環状のシール材を圧縮するようにした管継手において、シール材よりも開口側の受口の内周にロックリング収容溝を形成し、このロックリング収容溝に環状のロックリングを収容し、挿口の外周に、ロックリングよりも軸心方向の幅が広い環状溝を形成して、この環状溝にロックリングを締まり状態ではめ合わせ、ロックリングにおける受口開口側の側部と受口奥側の側部とに外周向きのテーパ面を形成し、ロックリング収容溝における受口開口側の側部と受口奥側の側部とに、ロックリングのテーパ面に対応した内周向きのテーパ面を形成したものである。
【0010】このような構成において、地盤に移動が生じたときには、ロックリングと、このロックリングよりも軸心方向の幅が広い環状溝とが互いに軸心方向に摺動することで、継手の伸縮が許容される。
【0011】地盤から継手に大きな離脱力が作用した場合には、環状溝の受口奥側の側部がロックリングに引っ掛かって、ロックリングのテーパ面がロックリング収容溝のテーパ面を押圧する。すると、その反作用によってロックリング収容溝のテーパ面からロックリングに径方向に沿った内向きの力が付与され、ロックリングが環状溝に強く押圧されて確実に軸心方向に引っ掛かることになって、所要の離脱防止性能が発揮される。
【0012】地盤から継手に大きな押し込み力が作用したときも、同様にテーパ面の作用によってロックリングが環状溝に引っ掛かる。このため、挿口が必要以上に受口の内部に入り込んで環状溝がシール材の内周に達することでシール性能が低下するような事態の発生が、確実に防止される。
【0013】したがって本発明によると、伸縮性能と離脱防止性能とを兼備した耐震型の管継手を、ロックリングを押圧するためのセットボルトを用いることなしに実現することができる。
【0014】
【発明の実施の形態】図1および図2において、地中において互いに接合された一方のダクタイル鋳鉄管1の端部には受口2が形成され、他方のダクタイル鋳鉄管3の端部には、受口2の内部に挿入される挿口4が形成されている。
【0015】受口2の内周にはシール材収容溝5が形成され、このシール材収容溝5には環状のゴム性のシール材6が収容されている。シール材収容溝5におけるシール材6よりも受口奥側の部分には、環状の周方向一つ割りの金属製の押輪7が設けられている。そして、この押輪7の周方向の複数の位置においてこの押輪7からねじ出される押圧ボルト8の頭部9が、シール材収容溝5における受口奥側の側部10を押圧することで、その反作用によって、シール材6が、押輪7と、シール材収容溝5における受口開口側の側部11と、シール材収容溝5の底面と、挿口4の外面との間で圧縮され、それによって受口挿口間に所定のシール性能が発揮される。なお、管1、3の口径があまり大きくない場合には、押輪7を用いなくても、受口2のシール材収容溝5の底面と挿口4の外面との間でシール材6を単に圧縮するだけで、所要のシール性能を発揮させることが可能である。
【0016】シール材収容溝5よりも開口側の受口2の内周にはロックリング収容溝13が形成され、このロックリング収容溝13には、環状の周方向一つ割りの金属製のロックリング14が収容されている。ロックリング収容溝13における受口開口側の側部と受口奥側の側部とには、それぞれ内周向きのテーパ面15、16が形成されている。これらテーパ面15、16は、たとえば管径方向に対して30度の角度で傾斜するように形成されている。そして、ロックリング14における受口開口側の側部と受口奥側の側部とには、収容溝13のテーパ面15、16に対応した、たとえば収容溝13のテーパ面15、16と同じ角度で形成されてこれらテーパ面15、16に接触可能な、それぞれ外向きのテーパ面17、18が形成されている。
【0017】挿口4の外周には、ロックリング14が締まり状態で外ばめされる環状溝20が形成されている。ロックリング14には、環状溝20の側部21、22に引っ掛かることができる引っ掛かり部23、24が径方向に形成されている。そして、環状溝20は、その軸心方向の幅が、ロックリング14の幅よりも大きくなるように形成されている。そして、環状溝20の幅は、図1に示すように挿口4が受口2の奥側に入り込んで環状溝20の側部21がロックリング14の引っ掛かり部23と引っ掛かったときにも、この環状溝20がシール材6の内周に到達せず、また、図2に示すように挿口4が受口2から抜け出して環状溝20の側部22がロックリング14の引っ掛かり部24と引っ掛かったときにも、挿口4の先端部がシール材6の内周から外れないような寸法とされている。換言すると、環状溝20の幅は、受口2に対して挿口4が抜き差しされたときにも、シール材6が受口2と挿口4との間で確実に圧縮されて所要のシール機能を維持できるような寸法とされている。
【0018】挿口4の先端部の外周には、テーパ面25が形成されている。また、図示のようにロックリング14が挿口4の環状溝20に締まり付き状態で外ばめされたときに、このロックリング14の外周面と収容溝13の内周面との間には、このロックリング14が弾性的に拡径するための拡径代となる空間26が設けられている。すなわちロックリング14は、外部からの拡径力が作用していない状態においては、ロックリング収容溝13に収容されてはいるが、その外径がロックリング収容溝13の内径よりも小さくなる寸法で形成されている。
【0019】このような構成において、受口2と挿口4とを接合する際には、シール材収容溝5にシール材6と押輪7とを収容するとともに、ロックリング収容溝13にロックリング14を収容した状態の受口2の内部に挿口4を挿入する。すると、挿口4の先端のテーパ面25の作用によってロックリング14とシール材6とを押し拡げながら、この挿口4が受口2の奥側ヘ入り込む。
【0020】環状溝20がロックリング14に対応する位置まで挿口4が挿入されたなら、ロックリング14はその弾性によって環状溝20にはまり込み、この環状溝20の外周に締まり状態ではまり合い、図2と同様の状態となる。このとき、挿口4の先端は、シール材6の内周に位置するが、押輪7における少なくとも押圧ボルト8の頭部9の内周にはまだ到達していない位置となる。そこで、作業者が管内に入って押輪7から押圧ボルト8をねじ出すことによって、図示のようにシール材6を圧縮して所要のシール性能を発揮させることができる。
【0021】このようにして受口2と挿口4との接合が完了するが、この状態においては、収容溝13内のロックリング14と挿口4の環状溝20とが互いに軸心方向に摺動することで、受口2と挿口4との間の伸縮が可能となる。すなわち、図1に示すように挿口4が受口2の内部に入り込んだ状態と、図2に示すように挿口4が受口2から抜け出した状態との間で、継手の伸縮が可能となる。詳細には、図1に示す状態では、環状溝20の側部21がロックリング14の引っ掛かり部23に引っ掛かるとともに、ロックリング14のテーパ面18が収容溝13のテーパ面16に当たっている。また、図2に示す状態では、環状溝20の側部22がロックリング14の引っ掛かり部24に引っ掛かるとともに、ロックリング14のテーパ面17が収容溝13のテーパ面15に当たっている。
【0022】したがって、地震の際に地盤が移動したときには、上述の摺動範囲内での継手の伸縮性能が発揮されることになる。地盤から継手に大きな離脱力が作用した際には、図2に示す状態で挿口4に大きな抜け出し力がはたらく。すると、環状溝20に引っ掛かった状態のロックリング14のテーパ面17が収容溝13のテーパ面15を強く押し、その反作用によってテーパ面15からロックリング14に径方向に沿った内向きの力が付与される。このため、ロックリング14が環状溝20に強く押圧されて、その引っ掛かり部24が確実に環状溝20の側部22に引っ掛かることになって、所要の離脱防止性能が発揮されることになる。
【0023】反対に地盤から継手に大きな押し込み力が作用した場合には、図1に示すようにロックリング14のテーパ面18が収容溝13のテーパ面16を強く押すことになって、同様にロックリング14と環状溝20との引っ掛かりが確実なものとなる。このため、挿口4が必要以上に受口2の内部に入り込んで環状溝20がシール材6の内周に達することでシール性能が低下するような事態の発生が、確実に防止されることになる。
【0024】このようにして、収容溝13とロックリング14とのテーパ面15〜18によって、次のように、従来のセットボルトの役割を代替させることができる。
・上述のように離脱力が作用したときの環状溝20からのロックリング14の浮き上がりを防止できる。
【0025】・離脱力が作用したときの受口2と挿口4との偏心が抑制される。
・ロックリング14に環状溝20への押し付け力が付与されるため、離脱力が作用したときにロックリング14にねじれが発生しにくく、このため大きな離脱防止性能を期待できる。
【0026】したがって、伸縮性能と離脱防止性能とを兼備した耐震型の管継手を、ロックリング14を押圧するためのセットボルトを用いることなしに実現することができる。このため、この種の耐震型の管継手を、容易にトンネル内配管や既設管路内配管に使用することができる。
【0027】
【発明の効果】以上のように本発明によると、シール材よりも開口側の受口の内周のロックリング収容溝に環状のロックリングを収容し、挿口の外周に、ロックリングよりも軸心方向の幅が広い環状溝を形成して、この環状溝にロックリングを締まり状態ではめ合わせ、ロックリングにおける受口開口側の側部と受口奥側の側部とに外周向きのテーパ面を形成し、ロックリング収容溝における受口開口側の側部と受口奥側の側部とに、ロックリングのテーパ面に対応した内周向きのテーパ面を形成したため、伸縮性能と離脱防止性能とを兼備した耐震型の管継手を、ロックリングを押圧するためのセットボルトを用いることなしに実現することができ、このため、この種の耐震型の管継手を、容易にトンネル内配管や既設管路内配管に使用することができる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成10年12月3日(1998.12.3)
【代理人】 【識別番号】100068087
【弁理士】
【氏名又は名称】森本 義弘
【公開番号】 特開2000−170968(P2000−170968A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−343495