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【発明の名称】 管継ぎ手構造及びその製造方法
【発明者】 【氏名】六田 充輝

【氏名】駒田 肇

【氏名】野里 暢宏

【氏名】稲垣 厚

【氏名】松元 眞一

【氏名】平石 政憲

【要約】 【課題】被接続管又は機器との様々な接続手段の採用を可能としつつも、管継ぎ手構造に加わる振動や曲げ、ねじれ等の大きな力や瞬間的な衝撃に対する耐久性を飛躍的に向上させた管継ぎ手構造を安価に提供すること。

【解決手段】パイプ本体3の両端部5、9に、1つの被接続管Pともう1つの被接続管P又は機器との接続手段をそれぞれ具備した管継ぎ手構造1であって、パイプ本体3が、中間部分13を弾性樹脂として、その中間部分13の両側部分を硬質熱可塑性樹脂として熱可塑的に一体に成型されてなる管継ぎ手構造1。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 パイプ本体の両端部に、1つの被接続管ともう1つの被接続管又は機器との接続手段をそれぞれ具備した管継ぎ手構造であって、パイプ本体が、中間部分を弾性樹脂として、その中間部分の両側部分を硬質熱可塑性樹脂として熱可塑的に一体に成型されてなる管継ぎ手構造。
【請求項2】 パイプ本体の両端部のいずれか1つの一方端部に具備される被接続管との接続手段が、パイプ本体の前記いずれか1つの一方端部に形成された皿状のテーパ面及びその端部の外周に形成されたねじ部と、このねじ部に螺合され、被接続管が差し込まれる差し込み口を備えた管状の袋ナットと、この袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合した管状のスリップリングと、このスリップリングとパイプ本体の皿状のテーパ面との間に介挿され、袋ナットの差し込み口にスリップリングを介して被接続管を挿入し袋ナットをパイプ本体に締め込むと、パイプ本体の前記テーパ面から押圧を受けて変形し、被接続管の胴面に押圧接触し、被接続管とパイプ本体をシール接続可能な管状のシール部材とからなる請求項1に記載の管継ぎ手構造。
【請求項3】 パイプ本体の両端部のもう1つの他方端部に具備される被接続管との接続手段が、パイプ本体の前記もう1つの他方端部に形成された皿状のテーパ面及びその端部の外周に形成されたねじ部と、このねじ部に螺合され、もう1つの被接続管が差し込まれる差し込み口を備えた管状の袋ナットと、この袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合した管状のスリップリングと、このスリップリングとパイプ本体の皿状のテーパ面との間に介挿され、袋ナットの差し込み口にスリップリングを介してもう1つの被接続管を挿入し袋ナットをパイプ本体に締め込むと、パイプ本体の前記テーパ面から押圧を受けて変形し、もう1つの被接続管の胴面に押圧接触し、もう1つの被接続管とパイプ本体をシール接続可能な管状のシール部材とからなる請求項2に記載の管継ぎ手構造。
【請求項4】 硬質熱可塑製樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂又はAS系樹脂である請求項1から3のいずれか1つに記載の管継ぎ手構造。
【請求項5】 ポリフェニレンエーテル系樹脂がポリブチレンテレフタレート、又はポリフェニレンエーテルと耐衝撃性ポリスチレンとの混合物である請求項4に記載の管継ぎ手構造。
【請求項6】 弾性樹脂が、ブタジエン−アクリロニトリル系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、天然ゴム、エチレンプロピレン系ゴム、シリコン系ゴム又はこれらの混合物である請求項1から3のいずれか1つに記載の管継ぎ手構造。
【請求項7】 スリップリングを硬質熱可塑性樹脂とし、シール部材を弾性樹脂とし、スリップリングとシール部材が熱可塑的に一体に成型されてなる請求項2又は3に記載の管継ぎ手構造。
【請求項8】 スリップリングの硬質熱可塑製樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂又はAS系樹脂である請求項7に記載の管継ぎ手構造。
【請求項9】 ポリフェニレンエーテル系樹脂がポリブチレンテレフタレート又はポリフェニレンエーテルと耐衝撃性ポリスチレンとの混合物である請求項8に記載の管継ぎ手構造。
【請求項10】 シール部材の弾性樹脂が、ブタジエン−アクリロニトリル系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、天然ゴム、エチレンプロピレン系ゴム、シリコン系ゴム又はこれらの混合物である請求項7に記載の管継ぎ手構造。
【請求項11】 パイプ本体を接続手段と同時に及び/又は別途に成型し、組み合わせて管継ぎ手構造を得る管継ぎ手構造の製造方法において、少なくともパイプ本体を成型する工程が、硬質熱可塑性樹脂注入用の樹脂注入口と弾性樹脂注入用の樹脂注入口をそれぞれ備える複数に分割可能な1組の金型により形成された管状のキャビティに硬質熱可塑性樹脂の溶融材料と弾性樹脂の溶融材料を前記樹脂注入口からそれぞれ略同時に注入し、パイプ本体の中間部分を弾性樹脂として、その中間部分の両側部分を硬質熱可塑性樹脂として熱可塑的に一体に成型する工程である管継ぎ手構造の製造方法。
【請求項12】 パイプ本体を接続手段と同時に及び/又は別途に成型し、組み合わせて管継ぎ手構造を得る管継ぎ手構造の製造方法において、少なくともパイプ本体を成型する工程が、(1)複数に分割可能な1組の金型により間隔を開けて形成された複数の管状のキャビティに硬質熱可塑性樹脂の溶融材料を注入し、中間部分の両側部分を成型する両側部分成型工程と、(2)前記金型又は別の金型により、前記両側部分成型工程で成型された両側部分の間に同軸に形成された管状のキャビティに弾性樹脂の溶融材料を注入し、前記両側部分とそれぞれ熱可塑的に一体に中間部分を成型する中間部分成型工程とからなる管継ぎ手構造の製造方法。
【請求項13】 接続手段が、パイプ本体の一方端部に形成された皿状のテーパ面及びその端部の外周に形成されたねじ部と、このねじ部に螺合され、被接続管が差し込まれる差し込み口を備えた管状の袋ナットと、この袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合した管状のスリップリングと、このスリップリングとパイプ本体の皿状のテーパ面との間に介挿され、袋ナットの差し込み口にスリップリングを介して被接続管を挿入し袋ナットをパイプ本体に締め込むと、パイプ本体の前記テーパ面から押圧を受けて変形し、被接続管の胴面に押圧接触し、被接続管とパイプ本体をシール接続可能な管状のシール部材とからなり、前記パイプ本体、袋ナット、スリップリング及びシール部材をそれぞれ成型し、その成型された袋ナットに、成型されたスリップリング及びシール部材を係合させ、更にその袋ナットをパイプ本体に螺合させて管継ぎ手構造を得る管継ぎ手構造の製造方法であって、スリップリング及びシール部材を成型する工程が、(1)複数に分割可能な1組の金型によって管状のキャビティを形成し、そのキャビティ内に硬質熱可塑性樹脂の溶融材料を注入し、スリップリングを成型するスリップリング成型工程と、(2)前記1組の金型又は別の1組の金型によって前記スリップリング成型工程により得られたスリップリングの一端から同軸に延びる管状のキャビティを形成し、そのキャビティ内に弾性樹脂の溶融材料を注入し、前記スリップリング成型工程により得られたスリップリングと熱可塑的に一体にシール部材を成型するシール部材成型工程とからなる請求項11又は12に記載の管継ぎ手構造の製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、管継ぎ手構造及びその製造方法に関し、更に詳しくは、振動や曲げ、ねじれ等の大きな力に対する高い耐久性(強度)を備えた管継ぎ手構造及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】近年の合成樹脂成型品の普及に伴い、管継ぎ手構造の分野においても合成樹脂からなるものが様々なところで用いられるようになっている。これは合成樹脂からなる管継ぎ手構造が金属加工品に比べて価格においても安価で、軽量であり、しかも耐腐食性が高いという優れた点が広く認められているためである。しかしながら、合成樹脂からなる管継ぎ手構造の問題点として、振動や曲げ、ねじれ等の機械的な大きな力が徐々に又は瞬間的に加わる場合、特に瞬間的に加わる場合(衝撃)には、それに対する耐久性に乏しいということが挙げられる。そこで、従来の管継ぎ手構造においては、振動や曲げ、ねじれ、ずれ等の大きな力が加わる可能性のある部分の肉厚を増加させる等の手段が採用されてきたが、これらの大きな力に対する弱さは、合成樹脂の宿命ともいえるものであり、上記の問題点を根本的に解消するには至っていない。
【0003】また、振動や曲げ、ねじれ等の大きな力や瞬間的な衝撃が使用上必然的に加わる分野の管継ぎ手構造においては、ゴムからなる管部の両端に、別体の金属又は合成樹脂からなるフランジを備えるものがあったが、このような構造の管継ぎ手構造は、振動や曲げ、ねじれ、ずれ等の大きな力に対する耐久性には優れるものの、被接続管との接続手段としては、被接続管の端部に備えられたフランジとの螺着による接続手段によるほかなかった。このため、利用できる分野が比較的大型の被接続管を用いる分野に限定され、その他の様々な接続手段を採用する分野の管継ぎ手構造には利用できなかった。
【0004】この発明は、上記の合成樹脂からなる管継ぎ手構造全般における問題点に鑑みてなされたものであり、従来の管継ぎ手構造において、振動や曲げ、ねじれ等の大きな力や瞬間的な衝撃が加わる可能性のある部分の樹脂の肉厚を増加させる等の消極的な手段によらずとも、根本的に上記の問題点を解消できる全く新しい手段によって、様々な接続手段の採用を可能としつつも、管継ぎ手構造に加わる振動や曲げ、ねじれ、ずれ等の大きな力、特に瞬間的な衝撃に対する耐久性を飛躍的に向上させた管継ぎ手構造を安価に提供することをその主な課題とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】この発明は、パイプ本体の両端部に、1つの被接続管ともう1つの被接続管又は機器との接続手段をそれぞれ具備した管継ぎ手構造であって、パイプ本体が、中間部分を弾性樹脂として、その中間部分の両側部分を硬質熱可塑性樹脂として熱可塑的に一体に成型されてなる管継ぎ手構造を提供する。すなわち、この発明における管継ぎ手構造は、そのパイプ本体の両側部分を硬質熱可塑性で構成するのに対し、中間部分を弾性樹脂で一体に構成することによって、管継ぎ手構造に加わる大きな力を簡単な構成にて吸収できるようにし、それによって安価に耐久性と安全性を向上させようとするものです。
【0006】まず、この発明に係る管継ぎ手構造の構成について詳細に述べる。この発明に係る管継ぎ手構造を構成するパイプ本体は、管状の硬質熱可塑性樹脂からなる両側部分と、これらの両側部分を接続する管状の弾性樹脂からなる中間部分とから構成される。そして、この硬質熱可塑性樹脂からなる両側部分の一方端面と弾性樹脂からなる中間部分の一方端面及び他方端面とが熱可塑的に一体に成型されている。このように熱可塑的に一体に成型されることにより、硬質熱可塑性樹脂からなる両側部分と弾性樹脂からなる中間部分とが分離又は剥離することはなく、そこから流体の漏れが発生することはない。
【0007】そして、硬質熱可塑性樹脂からなるパイプ本体の両側部分、詳しくはパイプ本体の両端部には、硬質熱可塑性樹脂の高い成形性を利用して様々な接続手段を備えることができるが、その例としては、両端部の外周面(外周)に雄ねじ部(ねじ部)を備え、かつその両端部が皿状のテーパ面となっているパイプ本体と、一方開口の内周面にパイプ本体の雄ねじ部に螺合される雌ねじ部を備え、かつ他方開口に被接続管の差し込み口を備える管状の合成樹脂製の袋ナットと、一端が前記袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合し、他端が袋ナットの内部に位置し、袋ナットがパイプ本体に締め込まれた時にシール部材(ゴム輪)を介して被接続管の胴面を押圧してシール接続するために、その一端から遠位へ向かうに従い内径が徐々に大きくなるテーパ状の内周面となっている管状の合成樹脂製スリップリング(テーパリング)と、このスリップリングの内周面とパイプ本体のテーパ面との間に配置され、袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合するスリップリングを介して挿入された被接続管とパイプ本体とをシール接続するゴム製のシール部材とから構成される接続手段を挙げることができる。
【0008】もちろん、以上の接続手段を必ずしもパイプ本体の両端部に備える必要はなく、管継ぎ手構造の用途によっては、両端部のいずれか1つの端部のみに上述の接続手段を備え、もう1つの端部には別の接続手段を備えることもできる。また、このような接続手段を採用する場合には、この発明の特徴である硬質熱可塑性樹脂と弾性樹脂の一体成型の技術を流用して、スリップリングとシール部材をそれぞれ硬質熱可塑性樹脂と弾性樹脂で成型し、両者を熱可塑的に一体に成型することが好ましい。このようにすることによって、管継ぎ手構造の組み立て工程の簡易化を図るとともに、使用時におけるシール部材のズレやねじれの防止を図り、被接続管との接続作業の容易化、シール性能の向上を図ることができる。
【0009】また、その他の接続手段としては、パイプ本体の両端部にフランジ部を備え、被接続管の端部に備えられたフランジ部との螺着による接続手段や、両端部の内周面に管状のシール部材を配し、このシール部材に被接続管を挿入し、シール部材から受ける押圧によって被接続管を接続する接続手段が挙げられる。また更には、両端部又はいずれか1つの端部の外周面に雄ねじ部を成型し、機器等へ直接螺合によって装着することも可能である。
【0010】以上のような構成とすることにより、管継ぎ手構造が受ける振動や曲げ、ねじれ、ずれ等の大きな力、特に瞬間的な衝撃は弾性樹脂からなる中間部分がその弾性を利用して吸収してしまうので、管継ぎ手構造の耐久性が飛躍的に向上するのである。また管継ぎ手構造の両端部は高い成型性を備える硬質熱可塑性樹脂で製造されるので、様々な分野の管継ぎ手構造において用いられてきた各種の接続手段をそのまま備えることができ、現在管継ぎ手構造が利用されている様々な分野における、より耐久性の高い管継ぎ手構造として利用することができる。更には、現在まで、振動や曲げ、ねじれ、ずれ等の大きな力、特に瞬間的な衝撃に対する耐久性不足から、管継ぎ手構造の利用が見送られてきた分野における新たな利用も期待できる。
【0011】次に、この発明の管継ぎ手構造において用いられる素材について説明する。この発明に係る管継ぎ手構造において以下に記す硬質熱可塑性樹脂が用いられるのは、弾性樹脂との熱可塑的な一体成型が必要とされる部分であり、パイプ本体の両側部分、更には上述の接続手段の例で説明したスリップリングを挙げることができる。そして、その硬質熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂又はAS系樹脂を挙げることができるが、具体的には、ポリフェニレンエーテル系樹脂としてはポリブチレンテレフタレート、又はポリフェニレンエーテルと耐衝撃性ポリスチレンとの混合物が好ましいものとして挙げられ、ポリアミド系樹脂としてはポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド610等が好ましいものとして挙げられる。
【0012】一方、この発明に係る管継ぎ手構造において以下に記す弾性樹脂が用いられるのは、上述の硬質熱可塑性樹脂を用いて成型された部分との熱可塑的な一体成型が必要とされる部分であり、具体的にはパイプ本体の中間部分、上述の接続手段の例で説明したシール部材を挙げることができる。そして、弾性樹脂として、ブタジエン−アクリロニトリル系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、天然ゴム、エチレンプロピレン系ゴム、シリコン系ゴム又はこれらの混合物を挙げることができるが、具体的には、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(ニトリルブタジエンゴム)等のジエン系エラストマー、イソブチレン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等の非ジエン系エラストマー、スチレンとブタジエン又はイソプレンとのブロック共重合体等の熱可塑性系エラストマー、天然ゴム等が好ましいものとして挙げられる。これらのエラストマーは加硫されていてもよい。またアクリル酸、メタクリル酸、ソルビン酸等によりカルボキシル基を導入してもよい。
【0013】以上のごとき硬質熱可塑性樹脂及び弾性樹脂をパイプ本体の両側部分と中間部分、更にはスリップリングとシール部材の材料としてそれぞれ組み合わせることによって、両者を熱可塑的に一体接合できる。これらの材料の更なる具体例及び組み合わせの条件などの詳細については、特開昭62−21244号、特開平1−149854号、特開平2−150439号、特開平3−133631号、特開平3−138144号、特公平5−30182号、特開平7−11013号及び特公平8−18412号の各に記載されている。
【0014】次に、両側部分と、これらの両側部分と熱可塑的に一体に接合した状態で中間部分を成型するパイプ本体成型工程について説明する。パイプ本体成型工程においては、硬質熱可塑性樹脂注入用の樹脂注入口と弾性樹脂注入用の樹脂注入口をそれぞれ備えた複数に分割可能な1組の金型により形成された管状のキャビティに前記のそれぞれの樹脂注入口を介して硬質熱可塑性樹脂と弾性樹脂の溶融材料をそれぞれ略同時に注入し、硬質熱可塑性樹脂からなる両側部分と、これらの両側部分と熱可塑的に一体に接合した状態の弾性樹脂からなる中間部分を同時に成型する。
【0015】このような成型方法により製造されたパイプ本体は、硬質熱可塑性樹脂からなる両側部分と弾性樹脂からなる中間部分との境界面が存在せず、硬質熱可塑性樹脂からなる部分と弾性樹脂からなる部分との一体成型という面において非常に好ましいものとなる。
【0016】また、従来の製造設備を用いて同様のパイプ本体を得ることのできる別のパイプ本体の製造方法としては、両側部分を成型する両側部分成型工程と、これらの両側部分を接続する中間部分を成型する中間部分成型工程とからなるパイプ本体成型工程を挙げることができる。まず、両側部分成型工程においては、複数に分割可能な1組の金型により両側部分成型用の管状のキャビティを金型内に間隔を開けて複数形成し、これらのキャビティ内に硬質熱可塑性樹脂の溶融材料を注入し、両側部分を成型する。次に、中間部分成型工程においては、前記1組の金型又は別の1組の金型により、中間部分成型用のキャビティを前記両側部分成型工程で成型された両側部分と同軸に形成し、このキャビティ内に弾性樹脂の溶融材料を注入し、前記両側部分成型工程により成型された両側部分と熱可塑的に一体に接合した状態で中間部分を成型し、結果として、上述のパイプ本体の成型方法で得られたのと同様のパイプ本体を得ることができる。なお、この成型方法によっても硬質熱可塑性樹脂からなる部分と弾性樹脂からなる部分との境界面は存在せず、両部分が分離又は剥離して流体の漏れを起こすことはない。
【0017】次に、上述の接続手段の例で説明したスリップリングとシール部材を熱可塑的に一体に成型するスリップリング成型工程とシール部材成型工程について説明する。まず、スリップリング成型工程においては、複数に分割できる1組の金型によって管状のキャビティを形成し、そのキャビティ内に硬質熱可塑性樹脂の溶融材料を注入してスリップリングを成型する。その後、シール部材成型工程において、上述のスリップリング成型工程を経て得られたスリップリングの一端から同軸に延びる管状のキャビティをもう一つの別の金型によって形成し、そのキャビティ内に弾性樹脂の溶融材料を注入し、シール部材をスリップリングと熱可塑的に一体に接合した状態で成型する。なお、上述のスリップリング及びシール部材とともにシール接続構造を構成する袋ナットの成型については、従来通りの成型方法で成型できるので、ここではその説明を省略する。
【0018】以上のような成型工程、すなわち製造方法により製造されたパイプ本体を用いる管継ぎ手構造の形状としては、材料に熱可塑性樹脂と弾性樹脂を用いるので、その成型自由度が高く、様々な形状の管継ぎ手構造とすることが可能である。例としては、L字状(エルボ)、T字状(ティー)、U字状(ユー)、X字状(クロス)等の管継ぎ手構造を挙げることができる。また、中央部を蛇腹状に成型し、管継ぎ手構造の振動や曲げ、ねじれ、ずれ等の大きな力、特に瞬間的な衝撃に対する耐久性を更に向上させることもできる。また、この発明に係る管継ぎ手構造は、その両端部に備える被接続管との接続手段により液体、気体を問わず様々な流体について使用可能である。例としては、水、油、圧縮空気等を挙げることができる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、この発明に係る管継ぎ手構造の具体的な構成、構造及びその製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて詳述する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。図1はこの発明に係る管継ぎ手構造の1つの実施の形態を示す断面図である。図2は図1に示す管継ぎ手構造を構成するパイプ本体の両側部分の成型に使用する金型を後述の図3のA−A線に沿って切断した状態を示す断面図である。図3は図2の金型の底面図である。図4は図2及び図3に示す金型を用いて成型された両側部分を接続する中間部分の成型に用いる金型を後述の図5のB−B線に沿って切断した状態を示す断面図である。図5は図4の金型の底面図である。図6は図1に示す管継ぎ手構造を構成する袋ナットの成型に使用する金型を後述の図7のC−C線に沿って切断した状態を示す断面図である。図7は図6の金型の底面図である。図8は図1に示す管継ぎ手構造を構成するスリップリングの成型に使用する金型を後述の図9のD−D線に沿って切断した状態を示す断面図である。図9は図8の金型の底面図である。図10は図8及び図9に示す金型を用いて成型されたスリップリングの他端と熱可塑的に一体に接合した状態でシール部材を成型する金型を後述の図11のE−E線に沿って切断した状態を示す断面図である。図11は図10の金型の底面図である。
【0020】図1において、この発明に係る管継ぎ手構造1は、パイプ本体3が、ポリブチレンテレフタレート(以下単にPBTと称す)からなる両側部分、詳しくは端部5の一方端面7及び端部9の一方端面11と、ニトリルブタジエンゴム(以下単にNBRと称す)からなる中間部分13の一方端面15及び他方端面17がそれぞれ熱可塑的に一体に接合された状態で成型されている。なお図面において、端部5及び端部9の一方端面7及び11と中間部分13の一方端面15及び他方端面17が実線で表されているが、これは理解の便宜上実線を用いて表しているものであり、実際には両部分の間に境界面は存在しない。また、端部5及び端部9の外周面19には雄ねじ部21が形成され、その端部5及び端部9の他方端面23及び25が皿状のテーパ面27となっている。
【0021】次に、PBTからなり、前記パイプ本体3の端部5及び端部9に螺合される袋ナット29は、その一方開口31の内周面33に雌ねじ部35が形成され、他方開口37に被接続管Pが差し込まれる差し込み口39を備えている。PBTからなるスリップリング41は、前記袋ナット29の被接続管差し込み口39にその一端43が慴動回転可能に係合し、他端45が袋ナット29の内部に位置している。そして、NBRからなるシール部材49は、前記スリップリング41の他端45と熱可塑的に一体に成型されている。なお図面において、スリップリング41の他端45が実線で表されているが、これも理解の便宜上のものであり、実際にはスリップリング41とシール部材49との間に境界面は存在しない。
【0022】この発明に係る管継ぎ手構造1は、以上の部材から構成されるが、その使用時には、袋ナット29がパイプ本体3に対して緩んだ状態で、被接続管Pがパイプ本体3の他方端面23よりも遠位の位置に達するまで、袋ナット29の差し込み口39に慴動回転可能に係合するスリップリング41を介してパイプ本体3内へ差し込み、その後、袋ナット29をパイプ本体3に対して締め込むと、袋ナット29の内部に位置するシール部材49がパイプ本体3のテーパ面27から押圧を受けてその直径を縮められ、被接続管Pの胴面を押圧してシール接続する構造になっている。
【0023】なお、この管継ぎ手構造1は水道の配管同志をシール接続するのに好適なものであり、実際には地中等に埋められて使用されることもあるが、この管継ぎ手構造1のパイプ本体3は、上述のようにPBTからなる端部5及び端部9の一方端面7及び11とNBRからなる中間部分13の一方端面15と他方端面17が熱可塑的に一体に接合した状態で成型されているので、実際の使用において大地震等による振動や曲げ、ねじれ、ずれ等の大きな力、特に瞬間的な衝撃が管継ぎ手構造1に加わっても、その大きな力や衝撃の大部分はNBRからなる中間部分13がその弾性変形により吸収するので、管継ぎ手構造1の損壊は未然に防止されるのである。
【0024】次に、図1に示す管継ぎ手構造1の製造方法について説明する。まず、パイプ本体3を構成する両側部分、すなわち端部5及び端部9を成型する両側部分成型工程について説明する。図2及び図3において、金型51は、外型53及び55と、内型57及び59とからなり、図1に示す端部5及び端部9を成型するための管状のキャビティ61及び63を形成している。外型53と55は金型51の長手方向の中心軸を通る面で2分割でき、内型57と59は上下に2分割できる。なお、内型57は更に割り型57a、57b、57c、57dとこれらの割り型の中心に位置する割り型57eとから構成されている。また、内型59も同様に割り型59a、59b、59c、59dとこれらの割り型の中心に位置する割り型59eとから構成されている。なお、65及び67は図1に示す端部5及び端部9の材料となるPBTの溶融材料をそれぞれ注入するための樹脂注入口であり、69は後述の中間部分成型工程において、同じく図1に示す中間部分13の材料となるNBRの溶融材料を注入するための樹脂注入口である。そしてまず両側部分を成型するために樹脂注入口65及び67からPBTの溶融材料を注入する。
【0025】次に中間部分成型工程について図4及び図5に基づいて説明する。まず、上述の両側部分成型工程で用いた内型57と59を取り外し、別の内型71及び73に交換する。この内型71及び73に交換することにより、中間部分を成型するためのキャビティ75が上述の両側部分成型工程で成型された端部5及び端部9と同軸に延伸して形成される。このキャビティ75内にNBRの溶融材料を上述の樹脂注入口69から注入し、上述の両側部分成型工程で成型された端部5及び端部9と熱可塑的に一体に接合した状態で中間部分を成型する。その後、全ての金型、すなわち外型53及び55と内型71及び73を取り外し、樹脂注入口65、67及び69に注入されて固まった余分な樹脂部分を取り除き、図1に示すパイプ本体3を得る。
【0026】次に、袋ナット成型工程について説明する。図6及び図7において、金型75は、外型77及び79と、内上型81と内下型83とからなり、管状のキャビティ85を形成している。外型77と79は金型75の長手方向の中心軸を通る面で2分割でき、内上型81と内下型83は上下に2分割できる。なお、内下型83は更に割り型83a、83b、83c、83dとこれらの割り型の中心に位置する割り型83eとから構成されている。また、87は樹脂注入口である。この樹脂注入口87からキャビティ85内にPBTの溶融材料を注入し、注入した樹脂が固まった後、全金型、すなわち外型77及び79と、内上型81と内下型83を取り外し、樹脂注入口87に注入されて固まった余分な樹脂部分を取り除き、図1の袋ナット29を得る。なお、内下型83は上述のように複数の割り型から構成されてもよいが、割り型を用いないで単一の型としてもよい。このように単一の型とした場合の内下型83は、その取り外しの際に、成型された袋ナット29に対して内下型83自体を左回しで回転させることにより、成型された袋ナット29の内周面33の雌ねじ部35からボルトを抜くような要領で取り外すことができる。
【0027】次に、スリップリング成型工程について説明する。図8及び図9において、金型89は、外型91及び93と、内上型95と内下型97とからなり、管状のキャビティ99を形成している。外型91と93は金型89の長手方向の中心軸を通る面で2分割でき、内上型95と内下型97は上下に2分割できる。なお、内下型97は更に割り型97a、97b、97c、97dとこれらの割り型の中心に位置する割り型97eとから構成されている。また、101はスリップリングの材料となるPBTの溶融材料を注入する樹脂注入口であり、103は後述のシール部材成型工程でシール部材の材料となるNBRの溶融材料を注入するための樹脂注入口である。そして、まずスリップリングを成型するために樹脂注入口101からPBTの溶融材料を注入する。
【0028】次に、シール部材成型工程を図10及び図11に基づいて説明する。上述のスリップリング成型工程で注入されたPBTの溶融材料が固まった後、金型89の内下型97を取り外し、別の内下型105に交換する。この内下型105に交換することにより、シール部材を成型するためのキャビティ107が形成される。そして、上述の樹脂注入口103からキャビティ107内にNBRの溶融材料を注入し、注入したNBRの溶融材料の加硫反応が完了し、その形状が固まった後、全金型、すなわち外型91及び93と、内上型95と内下型105を取り外し、樹脂注入口101及び103に注入されて固まった余分な樹脂部分を取り除き、図1のスリップリング41と、そのスリップリング41の他端45と熱可塑的に一体に成型された状態のシール部材49を得る。
【0029】以上のようにして得られたスリップリング41を袋ナット29の他方開口37の差し込み口39に回転可能に係合させた後、袋ナット29の一方開口31の内周面33に成型された雌ねじ部35をパイプ本体3の端部5及び端部9の雄ねじ部21に螺合させて、図1のこの発明に係る管継ぎ手構造1が完成する。なお、上述の差し込み口39へのスリップリング41の係合を容易にするために、スリップリング41の一端にはV字状の切り欠き部47を対向して成型しておくことが望ましい。
【0030】このようにして得られた図1のこの発明による管継ぎ手構造は全長が約165mm、パイプ本体の直径が約35mm、重量が約300グラムであり、この管継ぎ手構造を2つ、被接続管を3本用いて試験用の配管を用意した。そして、流体となる水を10kg/cm2で通水したところ、パイプ本体の硬質熱可塑性樹脂からなる両側部分と弾性樹脂からなる中間部分との一体成型部分や、管継ぎ手構造と被接続管Pとの接続手段部分等からの流体の漏れは生じず、その高いシール性を確認することができた。また、この水圧を保ったまま、管継ぎ手構造の袋ナット部分を持って、約3センチの振幅で30分間試験用配管に擬似振動を与えたが、振幅の殆どを弾性樹脂からなる中央部がその変形によって逃がすので、流体の漏れは生じず、振動に対する高い耐久性を実証することができた。また、この水圧を保ったまま、試験用配管の管継ぎ手構造1つを選択し、この管継ぎ手構造の一端の袋ナットに対して他端の袋ナットを5°ねじり、その後もとの位置に戻すという操作を1回として、同様の操作を3分間に36回繰り返したが、やはり流体の漏れが生ずることはなく、ねじれに対する高い耐久性を実証することができた。また、この水圧を保ったまま、試験用配管の管継ぎ手構造1つを選択し、この管継ぎ手構造の袋ナット部分を持って、管継ぎ手構造の軸方向に対して垂直方向に急激に約5センチずらしたが、管継ぎ手構造に損壊は無く、流体の漏れも発生しなかった。更に、同じ管継ぎ手構造に対し、軸方向に対して水平に強く急激に引っ張りを加えたが、やはり管継ぎ手構造に損壊は無く、流体の漏れも発生せず、瞬間的な衝撃にも高い耐久性を備えていることを実証することができた。
【0031】
【発明の効果】この発明によれば、パイプ本体の両側部分を硬質熱可塑性で構成するのに対し、中間部分を弾性樹脂で一体に構成することによって、管継ぎ手構造に加わる大きな力を簡単な構成にて吸収できるようにし、それによって安価に耐久性と安全性を向上させることができる。
【出願人】 【識別番号】000108982
【氏名又は名称】ダイセル・ヒュルス株式会社
【識別番号】391007943
【氏名又は名称】三国プラスチックス株式会社
【識別番号】000002901
【氏名又は名称】ダイセル化学工業株式会社
【出願日】 平成10年12月1日(1998.12.1)
【代理人】 【識別番号】100065248
【弁理士】
【氏名又は名称】野河 信太郎
【公開番号】 特開2000−170967(P2000−170967A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−342038