| 【発明の名称】 |
管継ぎ手構造及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】野里 暢宏
【氏名】稲垣 厚
【氏名】松元 眞一
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| 【要約】 |
【課題】シール部材のズレ及びねじれを根本的に解消して管継ぎ手の性能及び信頼性を向上させるとともに、製造工程の簡易化を達成しつつコストダウンを図ること。
【解決手段】一方開口5の端面に皿状のテーパ面11を備えたパイプ本体3と、このパイプ本体3の前記一方開口5に螺合され、被接続管Pが差し込まれる差し込み口21を備えた管状の袋ナット13と、この袋ナット13の差し込み口21に慴動回転可能に係合した管状のスリップリング23と、このスリップリング23とパイプ本体3の皿状のテーパ面11との間に介挿され、袋ナット13の差し込み口21にスリップリング23を介して被接続管Pを挿入し袋ナット13をパイプ本体3に締め込むと、パイプ本体3の前記テーパ面11から押圧を受けて変形し、被接続管Pの胴面に押圧接触し、被接続管Pとパイプ本体3をシール接続可能な管状のシール部材29とからなりスリップリング23とシール部材29とが、前者を硬質熱可塑性樹脂とし、後者を弾性樹脂として熱可塑的に一体に成形されたことを特徴とする管継ぎ手構造1。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一方開口の端面に皿状のテーパ面を備えたパイプ本体と、このパイプ本体の前記一方開口に螺合され、被接続管が差し込まれる差し込み口を備えた管状の袋ナットと、この袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合した管状のスリップリングと、このスリップリングとパイプ本体の皿状のテーパ面との間に介挿され、袋ナットの差し込み口にスリップリング介して被接続管を挿入し袋ナットをパイプ本体に締め込むと、パイプ本体の前記テーパ面から押圧を受けて変形し、被接続管の胴面に押圧接触し、被接続管とパイプ本体をシール接続可能な管状のシール部材とからなりスリップリングとシール部材とが、前者を硬質熱可塑性樹脂とし、後者を弾性樹脂として熱可塑的に一体に成形されたことを特徴とする管継ぎ手構造。 【請求項2】 パイプ本体が、その他方開口の端面にもう1つの皿状のテーパ面を備え、前記他方開口にも請求項1と同一構成の袋ナット、スリップリング及びシール部材を更に具備してなる請求項1に記載の管継ぎ手構造。 【請求項3】 スリップリングの硬質熱可塑性樹脂が、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂又はAS系樹脂である請求項1又は2に記載の管継ぎ手構造。 【請求項4】 ポリフェニレンエーテル系樹脂が、ポリブチレンテレフタレート、又はポリフェニレンエーテルと耐衝撃性ポリスチレンとの混合物である請求項3に記載の管継ぎ手構造。 【請求項5】 シール部材の弾性樹脂が、ブタジエン−アクリロニトリル系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、天然ゴム、エチレンプロピレン系ゴム、シリコン系ゴム又はこれらの混合物である請求項1又は2に記載の管継ぎ手構造。 【請求項6】 パイプ本体、袋ナット、スリップリング及びシール部材をそれぞれ成形し、その成形された袋ナットに、成形されたスリップリング及びシール部材を係合させ、更にその袋ナットをパイプ本体に螺合させて管継ぎ手構造を得る管継ぎ手構造の製造方法であって、スリップリング及びシール部材を成形する工程が、(1)複数に分割可能な1組の金型によって管状のキャビティを形成し、そのキャビティ内に硬質熱可塑性樹脂の溶融材料を注入し、スリップリングを成形するスリップリング成形工程と、(2)前記1組の金型又は別の1組の金型によって前記スリップリング成形工程により得られたスリップリングの一端から同軸に延びる管状のキャビティを形成し、そのキャビティ内に弾性樹脂の溶融材料を注入し、前記スリップリング成形工程により得られたスリップリングと熱可塑的に一体にシール部材を成形するシール部材成形工程とからなる管継ぎ手構造の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】この発明は、管継ぎ手構造及びその製造方法に関し、更に詳しくはパイプ本体とパイプ本体の端部に螺合される袋ナットとから主としてなり、袋ナットを締め込むことにより、袋ナットに差し込まれる被接続管のパイプ本体に対する液密又は気密なシール接続を行うことができる管継ぎ手構造及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術及び発明が解決しようとする課題】従来の水道等の配管同志のシール接続に用いられる管継ぎ手構造は、例えば、一方開口の外周面に雄ねじ部を備え、かつその一方開口の端面が皿状のテーパ面となっている合成樹脂製のパイプ本体と、一方開口の内周面にパイプ本体の雄ねじ部に螺合される雌ねじ部を備え、かつ他方開口に被接続管の差し込み口を備える管状の合成樹脂製の袋ナットと、一端が、前記袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合し、他端が袋ナットの内部に位置し、袋ナットがパイプ本体に締め込まれた時に後述のシール部材(ゴム輪)を介して被接続管の胴面を押圧してシール接続するために、その一端から遠位へ向かうに従い内径が徐々に大きくなるテーパ状の内周面となっている管状の合成樹脂製スリップリング(テーパリング)と、このスリップリングの内周面とパイプ本体のテーパ面との間に配置され、袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合するスリップリングを介して挿入された被接続管とパイプ本体とをシール接続するゴム製のシール部材とから構成されるものであった。 【0003】ここでこのような従来の管継ぎ手構造について具体的に説明する。図10は従来の管継ぎ手の構造を示す断面図であり、両端に同一構造の被接続管とのシール接続構造を備えている。図10において、管継ぎ手構造91は、一方開口95及び他方開口97の外周面に雄ねじ部99を備え、かつ一方開口95及び他方開口97の端面が皿状のテーパ面101となっている合成樹脂製のパイプ本体93と、一方開口105の内周面に前記パイプ本体93の雄ねじ部99に螺合される雌ねじ部107を備え、かつ他方開口109に被接続管Pが差し込まれる差し込み口111を備える管状の合成樹脂製の袋ナット103と、一端115が、この袋ナット103の差し込み口111に慴動回転可能に係合し、他端117が袋ナット103の内部に位置し、前記一端115から遠位へ向かうに従いその内径が大きくなるテーパ状の内周面119を備える合成樹脂製のスリップリング113と、このスリップリング113の内周面119とパイプ本体93の一方開口95及び他方開口97のテーパ面101との間に位置する管状のシール部材121(ゴム輪)とから構成されている。 【0004】この管継ぎ手構造91は水道の配管と配管との液密な接続に主として用いられているものであり、使用時には袋ナット103がパイプ本体93に対して緩んだ状態で、被接続管Pとなる配管を袋ナット103の差し込み口111に慴動回転可能に係合するスリップリング113を介し、その先端がパイプ本体93の端部よりも遠位となる位置まで挿入し、その後、袋ナット103をパイプ本体93に対して締め込み、パイプ本体93と被接続管Pとを液密にシール接続して使用するものである。 【0005】更に、上記の管継ぎ手構造91と被接続管Pとの液密なシール接続構造について詳述する。まず、袋ナット103をパイプ本体93に対して締め込むと、ゴム製のシール部材121は、パイプ本体93の一方開口95のテーパ面101と、袋ナット103の差し込み口111に回転可能に係合しているスリップリング113のテーパ状の内周面119の両方から主としてシール部材121の長手方向の長さを縮める方向に押圧を受ける。そしてこの時には、スリップリング113は袋ナット103に対して相対回転しており、パイプ本体93に対しては相対回転していない。このスリップリング113の袋ナット103に対する相対回転は、袋ナット103を締め込んだ際に発生するスリップリング113の内周面119及びパイプ本体93の一方開口95のテーパ面101とシール部材121との摩擦(密着)により、袋ナット103の締め込み(回転)が影響を受けないようにするために設けられているものであって、後述の本発明の管継ぎ手構造においてもそれは同様である。 【0006】また、この状態では、未だパイプ本体93と被接続管Pは液密なシール接続状態にはなっていない(位置決め段階)。そして、さらに袋ナット103をパイプ本体93に締め込むと、シール部材121は、パイプ本体93の一方開口95のテーパ面101とスリップリング113のテーパ状の内周面119の両面から更に強い押圧を受け、その直径を縮める方向に押圧を受ける。この時、被接続管Pの胴面がシール部材121の内周面123から押圧を受け、一方パイプ本体93の端部のテーパ面101がシール部材の外周面125から押圧を受けることにより、パイプ本体93と被接続管Pとの液密なシール接続が達成される構造になっている。 【0007】しかし、この構造の管継ぎ手構造91においては次のような問題がある。まず第一に、シール部材121の配置において、シール部材121は、パイプ本体93の一方開口95及び他方開口97のテーパ面101とスリップリング113の間で挟まれて位置しているだけなので、管継ぎ手91の製造時及び使用時のいずれの場合においてもシール部材121のズレが生じやすいことである。このため、被接続管Pとのシール接続前にはシール部材121のズレが生じていないか確認してから作業をすすめる必要があった。 【0008】また、被接続管Pを接続後、袋ナット103をパイプ本体93に対し締め込む際、上述のズレが生じたままで締め込みを行うと、ズレを増大させ、シール部材121のねじれを引き起こし、被接続管Pの胴面を均等に押圧できずパイプ本体93と被接続管Pとの液密な接続が達成できない場合もあった。また、被接続管Pとのシール接続前にシール部材121が適正な位置に位置していても、被接続管Pを挿入し、袋ナット103を締め込んで固定する際に、過剰なトルクで締め込むと、シール部材121の変形が過剰になり、シール部材121はその行き場を求めて適正な位置からズレていくことがあった。このため、実際の作業者は、この袋ナット103の締め込みの際の適正な締め込みトルクを経験等により会得しなければならず、被接続管Pと管継ぎ手構造91を接続する作業者によって接続状態が不完全になることもあった。 【0009】この発明は、上記の問題に鑑みてなされたものであり、安価で信頼性の高い管継ぎ手構造を提供することを主要な目的の一つとする。 【0010】 【課題を解決するための手段】この発明は、一方開口の端面に皿状のテーパ面を備えたパイプ本体と、このパイプ本体の前記一方開口に螺合され、被接続管が差し込まれる差し込み口を備えた管状の袋ナットと、この袋ナットの差し込み口に慴動回転可能に係合した管状のスリップリングと、このスリップリングとパイプ本体の皿状のテーパ面との間に介挿され、袋ナットの差し込み口にスリップリング介して被接続管を挿入し袋ナットをパイプ本体に締め込むと、パイプ本体の前記テーパ面から押圧を受けて変形し、被接続管の胴面に押圧接触し、被接続管とパイプ本体をシール接続可能な管状のシール部材とからなりスリップリングとシール部材とが、前者を硬質熱可塑性樹脂とし、後者を弾性樹脂として熱可塑的に一体に成形(成型)されたことを特徴とする管継ぎ手構造を提供する。すなわちこの発明による管継ぎ手構造は、硬質熱可塑性樹脂製のスリップリングと弾性樹脂製のシール部材を熱可塑的に一体に成形することにより、従来の管継ぎ手の問題点であった、シール部材のズレ及びねじれを根本的に解消し、更には部品点数の減少、製造工程の簡易化を可能とし、コストダウンを達成しつつも信頼性及び性能の向上を達成するものである。 【0011】ここで、この発明に係る管継ぎ手構造に使用される材料については、パイプ本体、袋ナット及びスリップリングにおいては硬質熱可塑性樹脂、スリップリングと一体に成形されるシール部材においては弾性樹脂が用いられるが、パイプ本体及び袋ナットに用いられる素材としては硬質の素材、例えば硬質熱可塑性樹脂、鉄、アルミ、真鍮等の金属であれば特に限定されないが、重量や水分に対する耐腐食性等の観点からすれば硬質熱可塑性樹脂であることが望ましい。 【0012】そして、上記の熱可塑性樹脂として、ポリフェニレンエーテル系樹脂、ポリアミド系樹脂、ポリエステル系樹脂、ポリ塩化ビニル系樹脂又はAS系樹脂を挙げることができるが、具体的には、ポリフェニレンエーテル系樹脂としてはポリブチレンテレフタレート、又はポリフェニレンエーテルと耐衝撃性ポリスチレンとの混合物が好ましいものとして挙げられ、ポリアミド系樹脂としてはポリアミド46、ポリアミド6、ポリアミド66、ポリアミド12、ポリアミド612、ポリアミド610等が好ましいものとして挙げられる。 【0013】一方、上記の弾性樹脂として、ブタジエン−アクリロニトリル系ゴム、スチレン−ブタジエン系ゴム、ニトリル系ゴム、天然ゴム、エチレンプロピレン系ゴム、シリコン系ゴム又はこれらの混合物を挙げることができるが、具体的には、ブタジエンゴム、スチレン−ブタジエンゴム、クロロプレンゴム、ブタジエン−アクリロニトリルゴム(ニトリルブタジエンゴム)等のジエン系エラストマー、イソブチレン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、クロルスルホン化ポリエチレン、塩素化ポリエチレン等の非ジエン系エラストマー、スチレンとブタジエン又はイソプレンとのブロック共重合体等の熱可塑性系エラストマー、天然ゴム等が好ましいものとして挙げられる。これらのエラストマーは加硫されていてもよい。また、アクリル酸、メタクリル酸、ソルビン酸等によりカルボキシル基を導入してもよい。 【0014】以上の熱可塑性樹脂と弾性樹脂をそれぞれスリップリングとシール部材の素材として用いることにより、スリップリングとシール部材を熱可塑的に一体に成形することが可能となる。これらの素材の更なる具体例及び組み合わせの条件などの詳細については、特開昭62−21244号、特開平1−149854号、特開平2−150439号、特開平3−133631号、特公平3−138144号、特公平5−30182号、特開平7−11013号及び特公平8−18412号の各に記載されている。 【0015】この発明は、別の観点からすれば、パイプ本体、袋ナット、スリップリング及びシール部材をそれぞれ成形し、その成形された袋ナットに、成形されたスリップリング及びシール部材を係合させ、更にその袋ナットをパイプ本体に螺合させて管継ぎ手構造を得る管継ぎ手構造の製造方法であって、スリップリング及びシール部材を成形する工程が、(1)複数に分割可能な1組の金型によって管状のキャビティを形成し、そのキャビティ内に硬質熱可塑性樹脂の溶融材料を注入し、スリップリングを成形するスリップリング成形工程と、(2)前記1組の金型又は別の1組の金型によって前記スリップリング成形工程により得られたスリップリングの一端から同軸に延びる管状のキャビティを形成し、そのキャビティ内に弾性樹脂の溶融材料を注入し、前記スリップリング成形工程により得られたスリップリングと熱可塑的に一体にシール部材を成形するシール部材成形工程とからなる管継ぎ手構造の製造方法を提供する。 【0016】この発明に係る管継ぎ手構造の製造方法について更に詳しく説明する。まず、パイプ本体と袋ナットの成形においては、従来通りの方法及び設備で製造することができる。すなわち、複数に分割できる1組の金型によって管状のキャビティ(空隙)を形成し、そのキャビティ内に硬質熱可塑性樹脂の溶融材料を注入してパイプ本体及び袋ナットを成形する。なお、この際にパイプ本体と袋ナットが螺合する雄ねじ部と雌ねじ部が同時に成形される。 【0017】次に、スリップリング成形工程及びシール部材成形工程について説明する。まず、スリップリング成形工程においては、上記のパイプ本体及びコネクタの成形と同様にして、複数に分割できる1組の金型によって管状のキャビティ(空隙)を形成し、そのキャビティ内に硬質熱可塑性樹脂の溶融材料を注入してスリップリングを成形する。その後、シール部材成形工程において、上述のスリップリング成形工程を経て得られたスリップリングの一端から同軸に延びる管状のキャビティをもう一つの別の金型によって形成し、そのキャビティ内に常温から240℃に加熱した弾性樹脂の溶融材料を注入し、シール部材をスリップリングと熱可塑的に一体に接合した状態で成形する。 【0018】以上のようにして成形されたそれぞれの部材の組み立て工程では、袋ナットの被接続管差し込み口に、熱可塑的に一体に成形されたスリップリング及びシール部材を慴動回転可能に係合させた後、パイプ本体の一方開口又は両開口に前記の袋ナット又はその一対を螺合させることによりこの発明に係る管継ぎ手が完成するが、この組み立て工程において、従来の管継ぎ手の組み立て工程で必要であった、所定の位置に所定の向きでシール部材を別途配置する工程を無くすことができ、コストダウンを図ることができる。 【0019】また、この発明に係る管継ぎ手構造は、シール部材がスリップリングと熱可塑的に一体に成形され、常にシール部材が適正な位置にあるので、実際の使用においても従来の管継ぎ手構造のようにシール部材のズレ及びねじれに対する注意は必要でなく、水道の配管等の被接続管をパイプ本体の端部よりも遠位の位置まで差し込み、袋ナットを締め込むだけで、スリップリングと一体に成形されたシール部材の内周面が被接続管の胴面に均等に押圧接触し、同時にシール部材の外周面がパイプ本体の端面のテーパ面を均等に押圧することにより被接続管との液密又は気密なシール接続を確実に行うことができる。これは、管継ぎ手構造の信頼性及び性能の向上につながる。また仮に適正なトルクを上回るトルクで袋ナットを締め込もうとしても、シール部材はある一定以上の変形を受け付けず、また行き場を求めてズレることもできないので、袋ナットはそれ以上締め込めなくなる。これにより、作業者の熟練に頼らない容易な作業性が達成できる。 【0020】なお、この発明に係る管継ぎ手構造においては、その具体的な使用箇所や使用目的により、管継ぎ手の両端に同じシール接続構造を備えることもできるが、一端のみに被接続管とのシール接続構造を備え、他端はその他のシール接続構造、すなわち雄ねじ部のみを成形して加圧機器に直接螺合によって接続する等の様々なシール及び固定構造を採用することができ、その組み合わせは自由である。また、この発明に係る管継ぎ手構造はシール性が高いので、使用可能な流体についても水だけに限定されず、その他の液体又は気体等様々な流体の液密又は気密なシール接続に用いることができる。 【0021】 【発明の実施の形態】以下、この発明に係る管継ぎ手構造の具体的な構成、構造及びその製造方法について、図に示す実施の形態に基づいて詳述する。なお、これによってこの発明が限定されるものではない。図1はこの発明に係る管継ぎ手構造の具体的な実施の形態を示す断面図、図2はパイプ本体の製造に使用する金型を後述の図3のA−A線に沿って切断した状態を示す断面図、図3は図2の金型の底面図、図4は袋ナットの製造に使用する金型を後述の図5のB−B線に沿って切断した状態を示す断面図、図5は図4の金型の底面図、図6はスリップリングの製造に使用する金型を後述の図7のC−C線に沿って切断した状態を示す断面図、図7は図6の金型の底面図、図8は図6及び図7の金型を使用して成形されたスリップリングの他端にシール部材を熱可塑的に一体に成形するための金型を後述の図9のD−D線に沿って切断した状態を示す断面図、図9は図8の金型の底面図である。 【0022】まず、図1において管継ぎ手構造1は、一方開口5及び他方開口7の外周面に雄ねじ部9が形成され、その一方開口5及び他方開口7の端面が皿状のテーパ面11となっているパイプ本体3と、一方開口15の内周面に雌ねじ部17が形成され、他方開口19に被接続管Pが差し込まれる差し込み口21を備える袋ナット13と、一端25がこの袋ナット13の差し込み口21に慴動回転可能に係合し、他端27が袋ナット13の内部に位置する管状のスリップリング23と、このスリップリング23の他端27と熱可塑的に一体に成形される管状のシール部材29とから構成されている。なお、パイプ本体3、袋ナット13、スリップリング23は、それぞれ、ポリブチレンテレフタレート(以下単にPBTと称す)からなり、シール部材29はニトリルブタジエンゴム(以下単にNBRと称す)からなっている。そして、使用時には、袋ナット13がパイプ本体3に対して緩んだ状態で、被接続管Pがパイプ本体3の端部よりも遠位の位置に達するまで、袋ナット13の差し込み口21に慴動回転可能に係合するスリップリング23を介してパイプ本体3内へ差し込み、その後、袋ナット13を締め込むことにより、パイプ本体3と被接続管Pとの液密又は気密なシール接続が完了する。 【0023】この袋ナット13の締め込みによりパイプ本体3と被接続管Pとの液密又は気密なシール接続が達成される構造について詳述すると、袋ナット13を締め込むことにより袋ナット13はパイプ本体3の側へ相対移動する。この相対移動により、袋ナット13の差し込み口21に回転可能に係合しているスリップリング23及びそのスリップリング23の他端27と熱可塑的に一体に成形されているシール部材29もパイプ本体3の側へ相対移動する。そしてシール部材29の端部がパイプ本体3の両端のテーパ面11に突き当たる。更に、袋ナット13の締め込みが継続され、パイプ本体3の側へ相対移動を続けると、シール部材29はパイプ本体3の端部のテーパ面11に沿ってその直径を縮められる方向に押圧を受ける。このようにして縮められたシール部材29の内周面31が被接続管Pの胴面(外周面)に均等に押圧接触し、一方、シール部材29の外周面33がパイプ本体3の両端のテーパ面11を押圧することにより、パイプ本体3と被接続管Pの液密又は気密なシール接続が達成されるのである。 【0024】次にこの発明に係る管継ぎ手構造の製造方法について図2〜図9に基づいて説明する。まず、パイプ本体成形工程について説明する。図2及び図3において、金型41は、外型43及び45と、内型47及び49とからなり、管状のキャビティ51を形成している。外型43と45は金型41の長手方向の中心軸を通る面で2分割でき、内型47と49は上下に2分割できる。なお、53は樹脂注入口である。この樹脂注入口53からキャビティ51内にPBTの溶融材料を注入し、注入した樹脂が固まった後、全金型、すなわち外型43及び45と、内型47と49を取り外し、図1のパイプ本体3を得る。 【0025】次に、袋ナット成形工程について説明する。図4及び図5において、金型55は、外型57及び59と、内上型61と内下型63とからなり、管状のキャビティ65を形成している。外型57と59は金型55の長手方向の中心軸を通る面で2分割でき、内上型61と内下型63は上下に2分割できる。なお、内下型63は更に割り型63a、63b、63c、63dとこれらの割り型の中心に位置する割り型63eとから構成されている。また、67は樹脂注入口である。この樹脂注入口67からキャビティ65内にPBTの溶融材料を注入し、注入した樹脂が固まった後、全金型、すなわち外型57及び59と、内上型61と内下型63を取り外し、図1の袋ナット13を得る。なお、内下型63は上述のように複数の割り型から構成されてもよいが、割り型を用いない単一の型としてもよい。このように単一の型とした場合の内下型63は、その取り外しの際に、成型された袋ナット13に対して内下型63自体を左回しで回転させることにより、成型された袋ナット13の内周面の雌ねじ部17からボルトを抜くような要領で取り外すことができる。 【0026】次に、スリップリング成形工程について説明する。図6及び図7において、金型69は、外型71及び73と、内上型75と内下型77とからなり、管状のキャビティ79を形成している。外型71と73は金型69の長手方向の中心軸を通る面で2分割でき、内上型75と内下型77は上下に2分割できる。なお、内下型77は更に割り型77a、77b、77c、77dとこれらの割り型の中心に位置する割り型77eとから構成されている。また、81はスリップリングの材料となるPBTの溶融材料を注入する樹脂注入口であり、83は後述のシール部材製造工程でシール部材の材料となるNBRの溶融材料を注入するための樹脂注入口である。そして、まずスリップリングを成形するために樹脂注入口81からPBTの溶融材料を注入する。 【0027】次に、シール部材成形工程を図8及び図9に基づいて説明する。上述のスリップリング成形工程で注入されたPBTの溶融材料が固まった後、金型69の内下型77を取り外し、別の内下型85に交換する。この内下型85に交換することにより、シール部材を成形するためのキャビティ87が形成される。そして、上述の樹脂注入口83からキャビティ87内に240℃に加熱したNBRの溶融材料を注入し、注入したNBRの溶融材料の加硫反応が完了し、その形状が固まった後、全金型、すなわち外型71及び73と、内上型75と内下型85を取り外し、図1のスリップリング23と、そのスリップリング23の他端27と熱可塑的に一体に成形された状態のシール部材29を得る。 【0028】以上のようにして、得られたスリップリング23を袋ナット13の他方開口19の差し込み口21に回転可能に係合させた後、袋ナット13の一方開口15の内周面に成形された雌ねじ部17をパイプ本体3の一方開口5及び他方開口7の雄ねじ部9に螺合させて、図1の本発明の管継ぎ手構造1が完成する。なお、上述の差し込み口21へのスリップリング23の係合を容易にするために、スリップリング23の一端25にはV字状の切り欠き部35を対向して成形しておくことが望ましい。 【0029】このようにして得られた図1のこの発明による管継ぎ手1の両端に被接続管Pを上述のようにしてシール接続したのち、流体となる水を25kg/cm2 で通水したところ、漏れは生じず、その高いシール性を確認することができた。また、作業経験のない複数人による接続作業を実施後、同様の通水試験を行ったが、やはり漏れは生じず、容易な作業性を実証することができた。 【0030】 【発明の効果】この発明によれば、従来の管継ぎ手構造においてそれぞれ別体の部材であった、スリップリングとシール部材を熱可塑的に一体に成形することにより、製造時及び使用時のシール部材のズレやねじれを無くすことができ、管継ぎ手構造の信頼性及び性能の向上を達成することができるとともに、部品点数の減少、組み立て工程の簡易化による生産性の向上及びコストダウンを達成することができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】391007943 【氏名又は名称】三国プラスチックス株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年12月1日(1998.12.1) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100065248 【弁理士】 【氏名又は名称】野河 信太郎
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| 【公開番号】 |
特開2000−170966(P2000−170966A) |
| 【公開日】 |
平成12年6月23日(2000.6.23) |
| 【出願番号】 |
特願平10−342040 |
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