| 【発明の名称】 |
耐油性多層ホースおよびその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】下清水 義久
【氏名】鈴木 進
【氏名】梶山 時雄
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| 【要約】 |
【課題】内管と同質の材料を配合した材料によって接着層を兼用させた外管を形成して、接着層形成工程を省略し、コストを低減させた耐油性多層ホースおよびその製造方法を提供することを課題とする。
【解決手段】ブタジエン系ゴム材料により形成した内管と、その内管の外周面に編み付けた補強糸と、この補強糸を編み付けた内管に外嵌させて一体化させたクロロプレン系ゴム材料に前記ブタジエン系ゴム材料を 25 〜 35 重量%配合した混合材料により形成した外管とからなるように構成する。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】ブタジエン系ゴム材料により形成した内管と、その内管の外周面に編み付けた補強糸と、この補強糸を編み付けた内管に外嵌させて一体化させたクロロプレン系ゴム材料に前記ブタジエン系ゴム材料を 25 〜 35 重量%配合した混合材料により形成した外管とからなることを特徴とする耐油性多層ホース。 【請求項2】前記ブタジエン系ゴム材料がアクリロニトリル・ブタジエン共重合物であることを特徴とする請求項1記載の耐油性多層ホース。 【請求項3】前記アクリロニトリル・ブタジエン共重合物におけるアクリロニトリルの結合量が 15 %以上であることを特徴とする請求項2記載の耐油性多層ホース。 【請求項4】ブタジエン系ゴム材料を混練りしたものを押出成形して内管を形成し、この内管の外周に補強糸を編み付け、この補強糸を編み付けた内管にクロロプレン系ゴム材料に前記ブタジエン系ゴム材料を 25 〜 35 重量%配合して混練りした混合材料の外管でカバーリングし、加硫処理して補強糸を介装して内管と外管とを一体に接合した多層ホースを形成したことを特徴とする耐油性多層ホースの製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、内側に耐油性を持たせるとともに外側に耐候性を持たせた耐油性多層ホースおよびその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】近年、ゴムホース、例えば燃料ホース、フィラーホース、エバポレーションホース、バキュームホース等、内面側には耐油性、耐ガソリン性、耐溶剤性等が要求され、その外面側では耐オゾン性や耐薬品性等が要求されてきており、機能の異なる材料を多層に形成して、前記要求を効果的に満足させる多層ホースが開発されている。 【0003】通常、多層ホースは、内層、接着層、外層の各層をそれぞれの独自に設備された装置を用いて各別に形成するように製造する。すなわち、各層を形成する材料をその配合量に従い計量して混練し、その混練した材料をリボン状に成形して、それぞれ各層毎の素材を準備する。そして、まず内層用の素材を押出成形機に投入して内管を成形し、成形された内管を1次マンドレルへ挿入してパレットに載置して次工程に投入されるまで待機させる。次に、1次マンドレルへ挿入した内管を接着層カバーリング機械へ装着し、内管の外周に接着層を被覆させる。引き続いて、ブレード機に装着し、補強糸を接着層の外周から巻き付けて補強糸層を形成する。補強糸層を設けたものを表皮層カバーリング機械へ装着し、補強糸層の外周に外管を被せて架橋前の多層ホースを形成する。その後、架橋前の多層ホースを1次マンドレルから抜き、用途に応じた長さに裁断して2次マンドレルに挿入し、所定の形状に屈曲させた状態で加硫釜(蒸気缶)へ収容して所定の条件で架橋させて目的の形状に形成させた多層ホースを完成させる(例えば、特開平 6− 101791 号公報)。 【0004】また、内層、接着層、外層の各層を連続的に多層化させる一体化された装置を用いて製造する多層ホースの製造方法では、同軸的に配置された複数の押出ヘッドから内管層と接着層と表皮層とを連続的かつ順に押し出して形成する。この場合には、最内部に配置された押出ヘッドから溶融柔軟状態の内管形成用素材を押し出し、その外側の押出ヘッドから柔軟状態の接着層形成用素材を押し出し、さらに補強糸層を形成するためのブレーダーにより接着層の外側に補強糸編み込みを行い、そして、最外部に配置された押出ヘッドから溶融柔軟状態の外管形成用素材を押し出して、各層が順に同軸的に形成される。その後、所定寸法に裁断され、所定形状に屈曲させた状態で加硫釜に収容して架橋することにより、半溶融状態の各層が架橋されて硬化し、内管と表皮層を形成する外管とが接着層により補強糸層を挟んで一体に接着された所定形状の多層ホースが形成される(例えば、特開平10−38151 号公報)。 【0005】このように製造された多層ホースは、図4,5に示すように、内面側には耐油性、耐ガソリン性、耐溶剤性等を有する内管1と、その外面側には耐オゾン性や耐薬品性等を有する外管2との間に、両者を接着する接着層3と、耐圧性を高める補強糸層4とを介装して、内面と外面とに互いに異なる性質を有する多層ホースを形成する。 【0006】〔問題点〕このような従来の多層ホースでは、内管1と外管2とで機能の異なる材料を使用するため、それぞれ各層に材質の異なる材料を使用することになり、それらを効果的に接合させるためには両者の間に接着層を設けて強固に接着させる必要があった。このため、多層ゴムホースの製造工程が多くなり、コストが高くなっているという問題点が生じていた。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】本発明は、従来の技術における前記問題点に鑑みてなされたもので、それを解決するため具体的に設定した課題は、内管と同質の材料を配合した材料によって接着層を兼用させた外管を形成して、接着層形成工程を省略し、コストを低減させた耐油性多層ホースおよびその製造方法を提供することにある。 【0008】 【課題を解決するための手段】前記課題を効果的に解決できる具体的に構成された手段としての、本発明における請求項1に係る耐油性多層ホースは、ブタジエン系ゴム材料により形成した内管と、その内管の外周面に編み付けた補強糸と、この補強糸を編み付けた内管に外嵌させて一体化させたクロロプレン系ゴム材料に前記ブタジエン系ゴム材料を 25 〜 35 重量%配合した混合材料により形成した外管とからなることを特徴とするものである。 【0009】また、請求項3に係る耐油性多層ホースは、前記ブタジエン系ゴム材料がアクリロニトリル・ブタジエン共重合物であることを特徴とする。 【0010】また、請求項3に係る耐油性多層ホースは、前記アクリロニトリル・ブタジエン共重合物におけるアクリロニトリルの結合量が 15 %以上であることを特徴とする。 【0011】また、請求項4に係る耐油性多層ホースの製造方法は、ブタジエン系ゴム材料を混練りしたものを押出成形して内管を形成し、この内管の外周に補強糸を編み付け、この補強糸を編み付けた内管にクロロプレン系ゴム材料に前記ブタジエン系ゴム材料を 25 〜 35 重量%配合して混練りした混合材料の外管でカバーリングし、加硫処理して補強糸を介装して内管と外管とを一体に接合した多層ホースを形成したことを特徴とするものである。 【0012】 【発明の実施の形態】以下、本発明における実施の形態を、ブタジエン系ゴム材料がNBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)である場合について詳細に説明する。ただし、この実施の形態は、発明の趣旨をより良く理解させるため具体的に説明するものであり、特に指定のない限り、発明内容を限定するものではない。 【0013】実施の形態における耐油性多層ホースを図1,2に示す。この図に示すように、NBRからなる内管11の外周にポリエステル製の補強糸12を編み付け、その外周にCR(クロロプレンゴム)にNBRを 25 〜 35重量%配合したCR/NBR混合材料の外管13をカバーリングして多層ホース10を形成する。 【0014】CR/NBR混合材料は、NBR製内管11に対する接着性と使用環境に対する耐オゾン性等に代表される耐候性との両立を考慮して、CRに対してNBRを25 〜 35 重量%に配合したものが良く、その範囲内で、NBRのN(アクリロニトリル)結合量を 15 %以上とすることが耐油性および耐オゾン性を良くするためには好ましい。 【0015】CR/NBR混合材料において、NBRの配合量が 35 重量%を越えるようになると多層ホース表面における亀裂発生が速くなり、また 25 重量%未満になると内管との接着性が悪くなるため、利用上好ましくない。また、この配合範囲のNBRでは、N結合量が 15 %未満になると耐油性が悪くなるため、利用上好ましくない。 【0016】このような耐油性多層ホースを製造するには、■内層、外層をそれぞれ独自に設備された装置を用いて各別に形成するように製造する方法と、■内層、外層を連続的に多層化させる一体化された装置を用いて製造する方法のどちらであっても適用できる。 【0017】■の方法では、まず内管を形成するNBRの原材料を、その配合量に従い計量して混練機で混練し、その混練した材料をリボン状に分出して、内管用素材を保管位置に備蓄し、また、同様に、外管を形成するCR/NBR混合材料を、その配合量に従い計量して混練し、リボン状に分出して、外管用素材を保管位置に備蓄して、それぞれ各層毎の素材を準備する。 【0018】そして、まず内管用素材を内管層押出成形機に投入して所定条件(温度 80 〜100 ℃)で内管11を成形し、成形された内管11を1次マンドレルへ挿入してパレットに載置し、待機させる。待機させていた1次マンドレル挿入内管11をブレード機に装着してポリエステル製の補強糸12を適当な張力( 100〜200 g)を与えながら内管11の外周に編み付ける。補強糸12を編み付けた内管11を表皮層カバーリング機械へ装着し、補強糸12を編み付けた内管11の外周面に所定条件(温度 80 〜100 ℃)で外管13を被せて架橋前の多層ホースを形成する。 【0019】その後、架橋前の多層ホースを1次マンドレルから抜き、用途に応じた長さに裁断してから所定形状に形成された2次マンドレルに挿入し、所定形状に屈曲させた状態で加硫釜に収容し、所定条件(温度 157℃、圧力 4.8kg/cm2 G、20 分)で架橋させて、目的の形状を有する多層ホース10を完成させる。 【0020】また、■の方法では、■の方法と同様に各層毎の素材が準備された後、最内部に配置された押出ヘッドから溶融柔軟状態の内管形成用素材を押し出して内管11を形成し、その後にブレーダーにより内管11の外周面に補強糸12の編み込みを行い、さらに最外部に配置された押出ヘッドから溶融柔軟状態の外管形成用素材を押し出して外管13を形成し、補強糸12を編み付けた内管11に外管13を同軸に形成する。 【0021】その後、所定寸法に裁断され、所定形状に屈曲させた状態で加硫釜に収容して架橋することにより、半溶融状態の内管11と外管13とが架橋されて硬化し、内管11と表皮層を形成する外管13とが補強糸12を挟んで一体に接合された所定形状の多層ホース10が形成される。 【0022】このように形成させた多層ホース10では、内管材料として耐油性の高いNBRを使用し、外管材料として耐オゾン性に代表される耐候性の高いCRを使用した場合でも、外管材料を適当なNBR配合量のCR+NBRとしたことにより、内管のNBRと架橋させて接合できるようになり、従来のNBRとCRとの中間にNBRとCRとの混合ゴムからなる接着層を介在させて内管と外管とを接着できるようにする接着層付与工程を省略することができ、また耐油性や耐オゾン性等の相反する性質を内外面に分離して保持させることができ、製造および設備に係るコストを効果的に削減することができる。 【0023】 【実施例】以下に、実施例を具体的に説明する。外管13の材料であるCRとNBRとの配合量を表1に示す配合量にするとともにNBR中のN配合量を 26 %にして、各種物性試験を行い、その結果を表1に示す。 【0024】この各種物性試験では、常態物性としてHs(硬さ)、Tb(引張り強さ)、Eb(伸び)を測定し、熱老化後の物性についてはΔHs(ポイント)、ΔTb(%)、ΔEb(%)で、耐油性をΔV(%)で相対評価し、剥離力についてはその値(kg/cm)で、耐オゾン性は基準測定時間内における亀裂発生の有無によって評価した。 【0025】 【表1】
【0026】このうち、耐油性、剥離力および耐オゾン性についてはNBRの配合量に対する結果を図3にグラフ化して示す。この結果、耐オゾン性に関するNBR配合量に対する亀裂発生時間は、NBR配合量がおよそ 35 %を越えると、加速度的に短縮される傾向が強く現れ、実用上はこのような値よりも小さなNBR配合量にする必要があることが分かる。 【0027】〔別態様〕以上の実施の形態は、発明の趣旨を理解し易くするため具体的に説明しているが、発明内容を限定するものでないから特に説明されていない別の態様を制限するものではなく、適宜変更しても良い。このような意味で発明の趣旨に沿う幾つかの別態様を示す。 【0028】例えば、補強糸12にはポリエステル繊維を使用したが、これに限らず、ポリ塩化ビニル、麻、絹、あるいは金属等によって作製された繊維を使用しても良い。また、NBRの他、SBR(スチレンブタジエンゴム)を使用することもできる。 【0029】 【発明の効果】以上のように本発明における請求項1に係る耐油性多層ホースでは、外管をクロロプレン系ゴム材料に内管に使用したブタジエン系ゴム材料を 25 〜 35 重量%配合した混合材料により形成したから、内面に耐油性を高くするとともに外面を耐オゾン性等の耐候性を高くすることができ、また、接着層を付与する必要がなくなるため製造および設備に係るコストを大幅に削減することができる。 【0030】また、請求項2に係る耐油性多層ホースでは、前記ブタジエン系ゴム材料がアクリロニトリル・ブタジエン共重合物であることにより、自動車用部品としての各種ゴムホースを容易かつ安価に製造でき、使用条件の厳しい多層ホースのコスト低減に寄与することができる。 【0031】また、請求項3に係る耐油性多層ホースでは、前記アクリロニトリル・ブタジエン共重合物におけるアクリロニトリルの結合量が 15 %以上であることにより、外管における耐オゾン性等の耐候性と耐油性との両特性を向上させることができる。 【0032】また、請求項4に係る耐油性多層ホースの製造方法では、ブタジエン系ゴム材料を混練りしたものを押出成形して内管を形成し、この内管の外周に補強糸を編み付け、この補強糸を編み付けた内管にクロロプレン系ゴム材料に前記ブタジエン系ゴム材料を 25 〜 35 重量%配合して混練りした混合材料の外管でカバーリングし、加硫処理して補強糸を介装して内管と外管とを一体に接合した多層ホースを形成したことにより、接着層付与工程が削減できるとともにこの関係の製造設備が不要となり、製造および設備に係るコストが大幅に低減させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】591144578 【氏名又は名称】株式会社東京ゴム製作所
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| 【出願日】 |
平成10年12月10日(1998.12.10) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075199 【弁理士】 【氏名又は名称】土橋 皓
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| 【公開番号】 |
特開2000−170960(P2000−170960A) |
| 【公開日】 |
平成12年6月23日(2000.6.23) |
| 【出願番号】 |
特願平10−351169 |
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