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【発明の名称】 水撃防止器
【発明者】 【氏名】坂根 豊彦

【要約】 【課題】従来の水撃防止器はスプリングや不活性ガスなどを緩衝材として水撃を吸収するものであるところ、構造が複雑で組み立てに手間がかかっていた。

【解決手段】外面にリブや突起を設けたゴム製の内筒と、この内筒を収容可能なゴム製の外筒とからなり、内筒を突起等が外筒の内面に接触しないクリアランスをもって外筒に収容固定するという手段を用いた。従って、水撃をその大きさに応じて、内筒のみの変形による吸収、空気層による吸収、外筒の変形による吸収というように段階的に吸収することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】外面に突起を設けたゴム製の内筒と、この内筒を収容可能なゴム製の外筒とからなり、内筒は上記突起が外筒の内面に接触しないクリアランスをもって外筒に収容固定されることを特徴とした水撃防止器。
【請求項2】内筒は、外面にリブを周設して蛇腹状とした請求項1記載の水撃防止器。
【請求項3】外筒は内筒よりも硬質のゴムで成型した請求項1又は2記載の水撃防止器。
【請求項4】外筒をケーシングで被覆した請求項1、2または3記載の水撃防止器。
【請求項5】外筒とケーシングとの間にクリアランスを設けた請求項1〜4のうちいずれか一項記載の水撃防止器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、給水管に接続して開閉栓時に生じる水撃を防止する水撃防止器に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の水撃防止器は、受圧面をスプリングで支持して水撃を吸収するスプリング式、あるいは、受圧面を密封した不活性ガスで支持することにより水撃を吸収する気体封入式に大別される。また、不活性ガスの密封室にスプリングを内蔵して、両者で受圧面を摺動自在に支持したものもある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかし、上記従来技術のうち、スプリング式の場合は経時的にスプリングの弾性力が低下するため、スプリングを交換しなければならず、手間、コスト的な問題があった。また、気体封入式の場合は、気体を密封しなければならず、構造が複雑化したり、組み立てに手間がかかるという課題があった。また、スプリングおよび不活性ガスの双方を緩衝材として採用したものにあっては、上述した3種のうち最も水撃防止器としての機能が高い反面、その分、構成が複雑化するという問題がある。
【0004】本発明は、上述した課題に鑑みなされたもので、その目的とするところは、構造および組み立てが簡単でありながら、水撃を有効に防止できる水撃防止器を開示することである。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために本発明では、外面に突起を設けたゴム製本体の開口端に連結部を設けてなる内筒と、ゴム製本体と開口端に上記連結部と連結可能な連結部を設け、上記内筒を収容可能な外筒とからなり、内筒は突起と外筒の内面との間に、所定のクリアランスをもって外筒に収容固定するという手段を用いた。
【0006】当該手段による水撃防止器において、内筒の内部は給水管等と連通しており、水撃が発生した場合にはゴム製本体の弾性力によりこれを吸収する。なお、内筒と給水管等に対する接続構造は、特に限定されるものではなく、公知の技術を採用することができる。また、内筒は突起の分だけ外表面が大きくなるので、変形可能な範囲が広く、通常起こり得る水撃のほとんどを吸収することができる。また、内筒と外筒の間に形成された空気層も水撃を吸収する。さらに、外筒は内筒の変形だけで吸収しきれなかった水撃により内筒が破裂するのを防止すると共に、このような大きい水撃が発生した場合には内筒の突起に押されて外筒のゴム製本体が変形し、これを吸収する作用を併有する。また、内筒を外力や紫外線等から保護するケーシングとしても機能する。
【0007】請求項2に係る発明では、上記手段において、内筒は外面にリブを周設して蛇腹状とする手段を用いた。つまり、例えば円錐状の突起を設けた場合に比べて、外筒との接触面積が大きくなり、外筒による水撃吸収を確実なものとすることができる。また、上記円錐状突起の場合に比べて、成型も容易である。
【0008】請求項3に係る発明では、外筒を内筒よりも硬質のゴムで成型するという手段を用いた。つまり、通常起こる水撃は内筒および空気層で吸収できるので、外筒に耐久性を持たせることにより、ケーシングとしての機能を強化させ、内筒を破裂や外力からより確実に保護するためである。
【0009】請求項4に係る発明では、外筒をプラスチック製あるいは金属製等のケーシングで被覆するという手段を用いた。従って、外筒もまた当該ケーシングにより紫外線や外力から保護される。さらに、請求項5に係る発明では、外筒とケーシングとの間にクリアランスを設けたので、このクリアランスによって外筒の変形が許容される。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の好ましい実施の形態を添付した図面に従って説明する。図1は第一の実施形態を示したもので、1は外面にリブ1a…1aを周設してなる蛇腹状の内筒、2は内筒を収容可能なゴム製の外筒であって、いずれもゴム製である。また、内筒1と外筒2とは、上記ゴムの成型部分を本体として、その開口端に金属製の連結具1b・2aがそれぞれ設けられており、両者1b・2aを螺合することによって、内筒1を外筒2に収容固定できるように構成している。なお、内筒1のリブ1aは外筒2の内面に接触しない高さに突出し、リブ1aの先端と外筒2の内面との間に所定のクリアランスKを設けている。3は本水撃防止器を所望の配管(図示せず)に取り付けるためのニップルであって、その先端は内筒1の連結具1bに螺合される。また、4は一定のクリアランスkをもって外筒2を覆うプラスチック等からなるケーシングであって、上記ニップル3に螺合されたナット5に締付固定したものである。
【0011】上記構成の水撃防止器によれば、内筒1の内部1cは配管と連通し、水撃が発生したときの圧力室として機能する。そして、当該圧力室1cが膨張して水撃を吸収するのであるが、比較的圧力の小さい水撃の場合は、リブ1aが外筒2の内面と接触する範囲、即ちクリアランスKの範囲で圧力室1cが膨張して、当該水撃を吸収する。このとき内筒1の外面と外筒2の内面とで形成される空気層6も水撃吸収層として機能する。また、この実施形態では内筒1の外面をリブ1aにより蛇腹状とし、外表面を大きくしているため、リブ1aを有しない場合に比べて内筒1(圧力室1c)の変形範囲が大きく、通常起こり得る水撃のほとんどを内筒1の変形だけで吸収することができる。
【0012】一方、強い水撃が発生した場合には、内筒1の圧力室1cが膨張した後、リブ1aが外筒2を内面から押圧し、外筒2を変形させることにより、当該水撃を吸収するものである。ただし、外筒2の変形範囲はケーシング4とのクリアランスkである。
【0013】このように上記水撃防止器によれば、内筒1と外筒2の二重構造からなるので、内筒1の膨張変形、空気層、外筒2の膨張変形というように段階的に水撃を吸収することができる。より詳しくは、内筒1の膨張変形は、リブ1aが外筒2の内面に接触するまでと、当該接触後、外筒2を変形させるまでとに、分けることができる。また、ケーシング4によりゴム製の外筒2は紫外線や傷から保護されるので、本防止器の耐久性を増すことができる。
【0014】なお、本実施形態では内筒1のゴムとしてSBR80°、外筒2のゴムとしてSBR90°を採用し、外筒2に内筒1よりも硬質のゴムを採用した。これによって、内筒1のリブ1aが外筒2の内面に接触した後、外筒2が変形するまでは、内筒1の膨張変形が確保されるので、水撃のほとんどを内筒1の当該膨張変形によって吸収することができる。ただし、内筒1・外筒2の素材および硬度は上記実施形態に限定されず、使用環境等に応じて他のゴムまたは弾力性を有する合成樹脂から選択し、またその硬度を調整するものである。ここで合成ゴムは天然ゴムよりも弾性力や硬度の調整が行い易く好ましい。また、内筒1と外筒2とは同一素材とする必要もなく、異なる素材であってもよい。さらに、内筒1により水撃のほとんどを吸収し、外筒2はその補完的機能を果たすという観点からすれば、外筒2は内筒1より硬質で弾性力が小さい素材を選択することができる。
【0015】一方、上記実施形態では、内筒1の外面をリブ1aにより蛇腹状としたが、上記リブ1aに代えて、例えば突起を形成してもよく、当該突起によっても本発明の目的を達成することができる。また、上記実施形態では外筒保護のためにケーシング4を構成したが、これを省略することも可能である。ここで、ケーシング4の採用を前提とするならば、図2に示したように、ケーシング4の取り付け具7として内筒1における連結具1bとナット5を一体成型したものを採用することも有利である。
【0016】
【発明の効果】以上説明したように、本発明の水撃防止器は外筒に内筒を収容固定した構成であるので、水撃防止器の組み立てが簡単である。また、水撃もその大きさによって、内筒の変形による吸収、空気層による吸収、外筒の変形による吸収というように段階的であるので、耐久性に優れた水撃防止器とすることができた。また、外筒をケーシングで被覆することにより紫外線や傷から保護し、耐久性のさらなる向上を図ることができた。
【出願人】 【識別番号】598146986
【氏名又は名称】宇都宮製作株式会社
【出願日】 平成10年10月9日(1998.10.9)
【代理人】 【識別番号】100095647
【弁理士】
【氏名又は名称】濱田 俊明
【公開番号】 特開2000−120975(P2000−120975A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−303423