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【発明の名称】 ホース用継手金具
【発明者】 【氏名】北村 和夫

【氏名】松村 友博

【氏名】藤脇 信昭

【要約】 【課題】スリーブの端壁をニップルに形成した環状膨出部によって把持固定する構造の金具では、シール性が劣りロー付をしないと液漏れのおそれがあった。

【解決手段】スリーブの端壁の内面に軸心に対して傾斜する角度の異なる2つのテーパ面θ2とテーパ面θ3を形成すると共に、前記テーパ面の交差部を環状角部となし、前記スプールを断面略三角形状に膨出させて形成してビード側の側面を平滑なテーパ面となし、前記スプールのテーパ面の角度θ1は、前記スリーブ端面の2つのテーパ面の角度θ2とθ3の中間の大きさの角度であり、前記環状角部をスプールのテーパ面に圧着してなることを特徴とする。前記テーパ面の角度は、θ2>θ1>θ3の関係となり、前記スプールのビード側とは反対側の側面を軸心に対してほぼ直角となる垂直面に形成することが好ましい。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ニップルとスリーブとからなり、スリーブの端壁をニップルの外周を膨出させて形成したビードとスプールによる取付部に固着してなるホース用継手金具において、スリーブの端壁の内面に軸心に対して傾斜する角度の異なる2つのテーパ面を形成すると共に、前記2つのテーパ面の交差部を環状角部となし、前記スプールを断面略三角形状に膨出させて形成してビード側の側面を平滑なテーパ面となし、前記スプールのテーパ面の角度θ1は、前記スリーブ端面の2つのテーパ面の角度θ2とθ3の中間の大きさの角度であり、前記環状角部をスプールのテーパ面に圧着してなることを特徴とするホース用継手金具。
【請求項2】 前記テーパ面において、軸心に対する角度は、θ2>θ1>θ3であることを特徴とする請求項1記載のホース用継手金具。
【請求項3】 前記スプールのビード側とは反対側の側面を軸心に対してほぼ直角となる垂直面に形成したことを特徴とする請求項1又は請求項2記載のホース用継手金具。
【請求項4】 ニップルとスリーブとからなり、スリーブの端壁をニップルの外周を膨出させて形成したビードとスプールによる取付部に固着してなるホース用継手金具において、スリーブの端壁の内面にテーパ面を形成するとともに、前記テーパ面の適宜の位置に環状突起を形成し、一方、前記スプールを断面略三角形状に膨出させて形成してビード側の側面を平滑なテーパ面となし、前記環状突起をスプールのテーパ面に圧着してなることを特徴とするホース用継手金具。
【請求項5】 前記スリーブの端壁の内面に形成したテーパ面は、環状突起を挟んでその両側のテーパ面の角度が異なることを特徴とする請求項4記載のホース用継手金具。
【請求項6】 前記スリーブの端壁の内面に形成したテーパ面は、環状突起を挟んで同一の角度に形成されていることを特徴とする請求項4記載のホース用継手金具。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、圧力流体の供給側金属パイプとゴムホースとを連結する継手金具に係り、詳しくは、金属パイプからなるニップルにスリーブを取り付け、スリーブを加締めることによりゴムホースを固着するホース用継手金具に関する。
【0002】
【従来の技術】自動車や高圧流体用機器に用いられるホース用継手金具、例えば、パワーステアリングホース、オイルホース、フューエルホース等に用いられる継手金具には、液漏れを防止するために継続的な高いシール性が要求される。このようなホース用継手金具の代表例として、特開昭57−57988号公報、特開昭57−69197号公報記載のものがある。
【0003】前記特開昭57−57988号公報記載のホース用継手金具は、外筒部分の端壁の中心に金属パイプを締着する孔が設けられており、金属パイプには前記孔との接合位置で半径方向外方に膨出するビードが形成されている。そして、金属パイプに外筒部分を取り付けるには、外筒部分の端壁の孔に金属パイプを挿入するとともに、外筒部分の端壁の内側に設けられたリング状溝にビードを嵌合させ、さらに前記端壁の外側を同金属パイプに形成したもう一つのビードにより把持固定することによって一体に取り付けられている。
【0004】そして、前記公報記載の継手金具では、外筒部分の内周面に形成した縦断面形で台形の複数のリング状溝にゴムホースの外周面を押し込めるとともに、金属パイプの外周面に形成したリング状突起をゴムホースの内周面に食い込ませることによって密封作用を確実に行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】前記公報記載の継手金具は、外筒部分の端壁の孔に金属パイプを挿入し、金属パイプに形成した半径方向外方に突出する二つのビードによって端壁を把持固定することによって金属パイプに外筒部分を取り付けているにすぎない。従って、金属パイプの外周面とゴムホースの内周面との間を浸透して外筒部分の端壁に達した液体は、前記端壁の孔から容易に外部に漏出するおそれがある。
【0006】そこで、シール性を高めるための常套手段としては、外筒部分の端壁と金属パイプとをロー付けする方法がある。しかしながら、ロー付けは手間がかかると共に、それだけコストアップとなる。
【0007】また、前記公報記載の継手金具は、外筒部分の端壁の孔に金属パイプを挿入するとともに、突出する二つのビードによって端壁を把持固定しているにすぎないから、パイプと外筒部分とは常に同芯度を正確に保つことができない。同心度のバラツキをなくすために外筒部分の端壁の孔を金属パイプの外径と同一にすると金属パイプの挿入が困難になり組立作業性が悪くなる。また、反対に外筒部分の孔を大きくすると、金属パイプの挿入は容易になるものの、同芯度のバラツキが大きくなり液体が漏出し易くなるという問題がある。
【0008】この発明はかかる現況に鑑みてなされたもので、金属パイプからなるニップルとスリーブとの組立作業が容易であるばかりでなく、液体の漏出を防止しシール性が極めて高いホース用継手金具を提供することを目的とする。 。
【0009】
【課題を解決するための手段】この発明は上記目的を達成するために次のような構成とした。即ち、この発明に係るホース用継手金具は、ニップルとスリーブとからなり、スリーブの端壁をニップルの外周を膨出させて形成したビードとスプールによる取付部に固着してなるホース用継手金具において、スリーブの端壁の内面に軸心に対して傾斜する角度の異なる2つのテーパ面を形成すると共に、前記2つのテーパ面の交差部を環状角部となし、前記スプールを断面略三角形状に膨出させて形成してビード側の側面を平滑なテーパ面となし、前記スプールのテーパ面の角度θ1は、前記スリーブ端面の2つのテーパ面θ2とθ3の中間の大きさの角度であり、前記環状角部をスプールのテーパ面に圧着してなることを特徴とする。従って、前記テーパ面の関係は、θ2>θ1>θ3となる。また、前記スプールのビード側とは反対側の側面を軸心に対してほぼ直角となる垂直面に形成することが好ましい。
【0010】また、この発明に係るホース用継手金具は、ニップルとスリーブとからなり、スリーブの端壁をニップルの外周を膨出させて形成したビードとスプールによる取付部に固着してなるホース用継手金具において、スリーブの端壁の内面にテーパ面を形成するとともに、前記テーパ面の適宜の位置に環状突起を形成し、一方、前記スプールを断面略三角形状に膨出させて形成してビード側の側面を平滑なテーパ面となし、前記環状突起をスプールのテーパ面に圧着してなることを特徴とする。前記スリーブの端壁の内面に形成したテーパ面は、環状突起を挟んでその両側のテーパ面の角度が異なるように形成してもよいし、環状突起を挟んで同一の角度に形成してもよい。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、図面に示す実施形態に基づいてこの発明を詳細に説明する。図1において、1は金属パイプにより構成したニップル、3は前記ニップルの外周部に取り付けられるスリーブであって、前記ニップル1は他端を油圧機器等に接続可能に構成されている。前記ニップル1とスリーブ3は、スリーブ3を金属パイプの一部を環状に膨出させて形成したスリーブ取付部5に一体に組み立てることによってホース用継手金具を形成する。前記ニップル1とスリーブ3の間にゴムホースを挿入してスリーブ3を加締めることによってゴムホースを固着する。
【0012】スリーブ取付部5は、金属パイプを環状に膨出させてなるビード5aとスプール5bとを互いに一定の間隔をもって平行に形成することによって構成されている。前記ビード5aは断面略円弧状に膨出させることによって形成されているが、スプール5bは断面略三角形状に膨出させることによって形成されている。さらに、スプール5bは、ビード5a側の側面を平滑なテーパ面50とし、反対側の側面を軸心に対してほぼ垂直となる垂直面51としている。テーパ面50の角度θ1は任意に決定することができるが、図示する実施形態では軸心に対して約45度に形成されている。
【0013】ニップル1のゴムホースへの差し込み口となる先端部には、環状凹溝7が形成されている。前記環状凹溝7は、スリーブ3を加締めたときホースの内面ゴムが入り込むが完全には充填されない幅と深さに形成されており、例えば、溝幅は1〜5mm、深さは1〜3mmとし、上端角部は内面ゴムが切れないように0.1〜1Rとすることが望ましい。前記環状凹溝7は、スリーブを加締めたときホースの内面ゴムがニップル先端へ逃げるのを吸収して、ニップル先端面で内面ゴムが環状に膨出するバルジの発生を防止する。
【0014】一方、スリーブ3は、ニップル1と同芯の円筒形である加締め部30と、前記加締部30の一端面に端壁31を設けることによって構成されている。前記端壁31の中心にはニップル1を挿通し、加締め部30と同芯の挿通孔33が穿設されている。端壁31が前記スリーブ取付部5に嵌合されてニップル1とスリーブ3は一体に組み立てられる。前記端壁31の肉厚は、図示する実施形態では加締め部30の肉厚よりも厚く形成されている。スリーブ3の端壁31をニップル1のスリーブ取付部5に嵌合させたとき、内側面35とスプール5bの垂直面51とがほぼ同一面となるように形成されている。
【0015】前記端壁31の外側面は軸心に対して垂直面に形成されているが、内側面35の一部は二つのテーパ面37とテーパ面39により形成されている。軸芯に対するテーパ面37の角度θ2はスプール5bのテーパ面50の角度θ1より大きい角度であって、図示する実施形態では軸心に対して約48度に形成されている。一方、軸芯に対するテーパ面39の角度θ3はテーパ面50の角度θ1よりも小さく、図示する実施形態では軸心に対して約42度に形成されている。上記の通り、テーパ面37とテーパ面39との交差部は突出した環状角部40に形成され、各テーパ面の角度の関係は、θ2>θ1>θ3となる。各テーパ面の角度が、θ2>θ1>θ3の関係にあれば、各角度は任意に決定することができる。
【0016】従って、スリーブ3の端壁31をニップル1のスリーブ取付部5に嵌合させると、端壁31の外側面がビード5aに押さえられて、ビード5aとスプール5bとの間で把持固定される。テーパ面37とテーパ面39とはテーパ面50と接合することなく環状角部40による線接触となる。環状角部40はテーパ面50に線状に食い込むようにして圧着することになるから、スリーブ3の端壁31とニップル1のスプール5bとは確実にシールされることになる。しかも、前記環状角部40はスプール5bのテーパ面50と接合させるので、ニップル1とスリーブ3との同芯度が確実に保持されることになり、線接触と相まって極めて高いシール性が得られる。
【0017】図3及び図4は、この発明の第2実施形態を示すもので、図1の実施形態とはニップルの形状は同一であるが、スリーブの端壁の内面に切欠部が設けられている点が異なる。従って、同一構成については同一の符号を付してその説明を省略する。スリーブ3の端壁31の内面には、切欠部41が設けられており、前記切欠部41に続いてテーパ面37及びテーパ面39が形成されている。前記切欠部41はスプール5bを嵌合させることができる大きさであって、環状角部40をスプール5bのテーパ面50に当接したとき、内側面35とスプール5bの垂直面51とがほぼ同一面となるように形成されている。
【0018】上記実施形態のように、スリーブ3の端壁31の内面にスプール5bを嵌合する切欠部41を設けた場合には、端壁31とスプール5bとの間に凹部がなくなるから、ゴムの流入を防止することができる。
【0019】図5は、この発明の第3実施形態を示すもので、第2実施形態と同様に、スリーブの端壁の内面形状が異なる。従って、同一構成については同一の符号を付してその説明を省略する。この実施形態においては、スリーブ3の端壁31の内側面35の一部をスプール5bのテーパ面50の角度θ1と同じ角度のテーパ面43に形成し、前記テーパ面43の適宜の位置に環状突起45を突設してなる。スリーブ3の端壁31とニップル1のスプール5bとを突き合わせると、前記環状突起45がテーパ面50に線状に食い込むようにして圧着することになるから、端壁31とスプール5bとは確実にシールされることになる。
【0020】尚、前記第3実施形態において、スリーブ3の端壁31の内側面35のテーパ面は、スプール5bのテーパ面50の角度θ1と同じ角度に形成したが、第1及び第2実施形態と同様に、テーパ面は環状突起45を挟んでその両側において異なるように形成してもよく、例えば、テーパ面37とテーパ面39として形成してもよい。また、環状突起45を挟んで一方側をテーパ面50と同じ角度とし、他方側のみをテーパ面37またはテーパ面39としてもよい。
【0021】次に、上記ニップル1とスリーブ3からなるホース用継手金具の製造方法の一例を第1実施形態について説明する。まず、図6に示すように、予め、金属パイプにスプール5bと環状凹溝7を形成したニップル1と、スリーブ3とを製作しておく。ニップル1のスプール5bは、一方側をテーパ面50と同じ角度のテーパ面を有するチャックに適当な長さだけ突出させて固定し、パンチ部材を軸心方向に押圧することにより形成することができる。また、環状溝7は、前記のようなプレス加工によって形成することができるほか、ローレット加工によって形成しても良い。また、スリーブ3は切削等による公知の方法で製造すればよい。
【0022】次いで、スリーブ3の孔33に金属パイプを挿入し、スリーブ3の端壁31の内面に設けたテーパ面とスプール5bのテーパ面50とを突き合わせ、環状角部40を当接させる。その後、図7に示すように、これらの当接状態をもってパンチ部材を軸心方向に押圧することによってビード5aを形成する。ビード5aの形成によってスリーブ3の端壁31はスプール5bとの間で把持固定される。このようにしてなるホース用継手金具にゴムホースを固着するには、ニップル1とスリーブ3との間にゴムホースを挿入し、スリーブを加締めることによって固着すればよい。
【0023】尚、スリーブ3を加締めたときにニップルの変形を防止するために、図1に仮想線で示すように、ニップル1内にインナーチューブを挿入してもよい。ニップル1内にインナーチューブを挿入した場合には、環状溝7のニップル内への膨出部にインナーチューブの先端が当接して係止されるから、インナーチューブをニップル1の所定位置に確実に挿入することができるとともに、挿入したインナーチューブのズレを防止することができる。
【0024】
【発明の効果】上記説明から明らかなように、この発明によれば、ニップル1のスプール5bとスリーブ3の端壁31の内面とは環状に線接触させる構成としたから、高いシール性が得られ液体の漏出を防止することができる。また、金属パイプとスリーブとはテーパ面同士を突き合わせる構成としたから、両者の組立において同芯度が向上し一層高いシール性が得られる。
【出願人】 【識別番号】000155229
【氏名又は名称】株式会社明治ゴム化成
【出願日】 平成10年10月19日(1998.10.19)
【代理人】 【識別番号】100081329
【弁理士】
【氏名又は名称】関根 光生
【公開番号】 特開2000−120959(P2000−120959A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−315384