| 【発明の名称】 |
セラミックス管接合構造 |
| 【発明者】 |
【氏名】高橋 秀雄
【氏名】前野 裕史
|
| 【要約】 |
【課題】十分な接合強度を維持出来かつ接合部からの含塵ガスの漏れを防止出来る信頼性のあるセラミックス管接合構造を提供する。
【解決手段】セラミックス管1の右端には円筒状の段差1aが施されている。また、セラミックス管2の左端にも同様の段差2aが施されている。セラミックス管1、セラミックス管2と接合材4、また、接合材4と筒状継ぎ手3の接合断面は階段状になるため、接合力の増大と一部接合材充填不良部から発生した界面剥離の断面貫通を防ぐことが可能となる。筒状継ぎ手3の内周に形成した膨出部3bは、セラミックス管1及びセラミックス管2の管端部の段差にちょうど嵌合するように設ける。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 第1のセラミックス管と第2のセラミックス管との接合構造であって、前記第1のセラミックス管の少なくとも一端側に所定長を有する第1のセラミックス管接合部と、前記第2のセラミックス管の少なくとも一端側に所定長を有する第2のセラミックス管接合部と、所定高さの膨出部を周状に内側に有する前記第1のセラミックス管接合部及び第2のセラミックス管接合部の外周に配設される筒状継ぎ手とを備え、前記第1のセラミックス管接合部若しくは第2のセラミックス管接合部と筒状継ぎ手との対向するこれらのいずれか少なくとも一表面には、周方向に所定の断面形状で、径方向に所定深さ及び軸方向に所定幅を有する少なくとも一つの溝部が形成され、該溝部を含む前記第1のセラミックス管接合部、第2のセラミックス管接合部及び筒状継ぎ手の各間に形成された少なくとも一箇所の隙間には所定の接合材が存在することを特徴とするセラミックス管接合構造。 【請求項2】 前記溝部は、前記所定の断面形状が四角形となるように、前記第1のセラミックス管の一端及び/又は前記第2のセラミックス管の一端より径方向に所定深さと軸方向に所定幅削って形成され、前記第1のセラミックス管の一端と前記第2のセラミックス管の一端とは、前記所定の接合材を介して固着され、前記筒状継ぎ手の膨出部は、前記溝部内に嵌装された請求項1記載のセラミックス管接合構造。 【請求項3】 前記筒状継ぎ手の膨出部は、前記第1のセラミックス管の一端及び前記第2のセラミックス管の一端の間に挟まれるように配設された請求項1記載のセラミックス管接合構造。 【請求項4】 前記溝部の所定深さは、前記第1のセラミックス管又は前記第2のセラミックス管の厚みの10%以上60%以下である請求項1、2又は3記載のセラミックス管接合構造。 【請求項5】 前記溝部は、断面形状が底辺を前記第1のセラミックス管接合部、第2のセラミックス管接合部及び前記筒状継ぎ手の対向する面に一致させた三角形であり、前記底辺に対する先端角は90度以上である請求項1、2、3又は4記載のセラミックス管接合構造。 【請求項6】 前記溝部の所定深さは、前記第1のセラミックス管又は前記第2のセラミックス管の厚みの10%以上60%以下であり、かつ前記軸方向の所定幅は、該所定深さ以上で前記第1のセラミックス管接合部の所定長又は前記第2のセラミックス管接合部の所定長の50%未満である請求項2記載のセラミックス管接合構造。 【請求項7】 前記第1のセラミックス管及び前記第2のセラミックス管がコーディエライト質セラミックスからなる請求項1、2、3、4、5又は6記載のセラミックス管接合構造。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明はセラミックス管接合構造に係わり、特に十分な接合強度を維持出来かつ接合部からの含塵ガスの漏れを防止出来る信頼性のあるセラミックス管接合構造に関する。 【0002】 【従来の技術】セラミックス管を用いた除塵装置(以下セラミックスフィルタという)は、石炭を燃料とした次世代のクリーンで高効率な発電方式である加圧流動床複合発電及び石炭ガス化発電を実用化する上でのキーテクノロジーと考えられており、世界各国でその開発競争が繰り広げられている。さらに、近年問題が顕在化しているダイオキシンに代表される環境汚染の観点から、ゴミ及び産業廃棄物の焼却炉への適用も検討されている。 【0003】一方、セラミックスフィルタはセラミックスの持つ脆性に起因した脆さから、使用前の取り扱いや使用中の各種負荷によって破壊が生じることがあり、実使用時の長期信頼性の確保が重要な問題となっている。セラミックス管素材そのものの改善による強度の改善や、使用前の材料出荷検査技術の開発などの努力が進められているが、まだ解決すべき問題も多い。 【0004】セラミックス管を製造する上で、ばらつきの少ない高品質の単体を作る大きさは、最大でも約1mである。セラミックス製造プロセス技術としては押し出し成型など、連続的に長尺の均一断面形状のセラミックス成型体を製造する技術は存在するが、ある程度の重量のあるセラミックス体では、焼成時の材料収縮に起因する歪みにより、欠陥が発生する間題があり、特にフィルタとして機能するために多孔質化した場合には焼結体強度が低く、製造時長さに限界がある。 【0005】一方、セラミックス管をフィルタとして使用する場合には、上下端を保持する必要性があり、装置全体の大きさを勘案した経済性から、フィルタ管にはある程度の長さ(たとえば3〜4m)が必要となる。このため、焼成されたセラミックス管を何本かつないで一本にする接合技術が不可欠である。 【0006】セラミックス管の接合方法としては、特開平7−138081に、セラミックス接合用組成物と接合方法が提案されている。このセラミックス管の接合方法を図6に示す。図6において、セラミックス管1及びセラミックス管2の外周に、内側に膨出部3aが設けられた筒状継ぎ手3を配置し、この膨出部3aを2本のセラミックス管1、2の端面で挟むようにセラミックス管1、2を筒状継ぎ手3に勘合する方法が提案されている。セラミックス管1、2及び筒状継ぎ手3の間には接合材4が充填されている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、かかる構造では、発生数は少ないものの、接合後の接合部試験において、接合部抜けが起こったり、また、実使用時に同接合部の接合材充填が不十分な位置に接合部剥離が発生し、その部分から含塵ガスが漏れうることが明らかになった。 【0008】セラミックス管の接合に用いる接合材4は、多孔質のセラミックス管に目詰まりしないよう、あまり低粘度のものを使用することはできない。その結果、ある程度の隙間への充填性を犠牲にせざるを得ず、完全に接合材4を筒状継ぎ手3とセラミックス管1、2の隙間に充填できないために、ごくまれに接合不十分箇所が発生することがある。 【0009】また、接合材4は接合施工時には糊の様にある程度の粘りを持ち、セラミックス管1、2の室温取り扱い強度を有し、かつその後の熱処理により焼結して高温強度を発現する。この熱処理工程ではどうしてもセラミックス固有の焼結収縮が起こり、接合材4内部に亀裂を生じてしまう。この亀裂が接合面剥離の一つの原因である。 【0010】したがって、この焼成収縮に起因する亀裂や剥離は完全に除去することが困難であり、たとえ一部にでも接合材4の充填が不十分な部分や接合面剥離があっても十分な接着強度と、含塵ガスの漏れを防止する接合構造の開発が不可欠となっていた。 【0011】本発明はこのような従来の課題に鑑みてなされたもので、十分な接合強度を維持出来かつ接合部からの含塵ガスの漏れを防止出来る信頼性のあるセラミックス管接合構造を提供することを目的とする。 【0012】 【課題を解決するための手段】このため本発明(請求項1)は、第1のセラミックス管と第2のセラミックス管との接合構造であって、前記第1のセラミックス管の少なくとも一端側に所定長を有する第1のセラミックス管接合部と、前記第2のセラミックス管の少なくとも一端側に所定長を有する第2のセラミックス管接合部と、所定高さの膨出部を周状に内側に有する前記第1のセラミックス管接合部及び第2のセラミックス管接合部の外周に配設される筒状継ぎ手とを備え、前記第1のセラミックス管接合部若しくは第2のセラミックス管接合部と筒状継ぎ手との対向するこれらのいずれか少なくとも一表面には、周方向に所定の断面形状で、径方向に所定深さ及び軸方向に所定幅を有する少なくとも一つの溝部が形成され、該溝部を含む前記第1のセラミックス管接合部、第2のセラミックス管接合部及び筒状継ぎ手の各間に形成された少なくとも一箇所の隙間には所定の接合材が存在することを特徴とする。 【0013】第1のセラミックス管の少なくとも一端側に第1のセラミックス管接合部を配設する。この第1のセラミックス管接合部は、一端より軸方向に所定長を有している。同様に、第2のセラミックス管にも第2のセラミックス管接合部を配設する。また、これらの第1のセラミックス管接合部及び第2のセラミックス管接合部の外周には、筒状継ぎ手を配設する。 【0014】筒状継ぎ手の内側には、周状に所定高さの膨出部が設けられている。そして、第1のセラミックス管接合部、第2のセラミックス管接合部及び筒状継ぎ手の対向する面の内のいずれか少なくとも一面には周方向に所定の断面形状で、径方向に所定深さ及び軸方向に所定幅を有する少なくとも一つの溝部を形成する。 【0015】溝部の断面形状は、三角形、四角形、円弧等である。溝部を含む第1のセラミックス管接合部、第2のセラミックス管接合部及び筒状継ぎ手の各間に形成された少なくとも一箇所の隙間には、所定の接合材を充填する。少なくとも一箇所としたのは、例えば第2のセラミックス管接合部と筒状継ぎ手の膨出部間には、接合材を充填しないような場合を想定したからである。 【0016】以上により、セラミックス管接合部の引張強度を向上させるとともに、一部の接合部剥離が起こった場合でも、含塵ガスがセラミックス管の外部へ漏れるのを防止出来る。なお、セラミックス管及び筒状継ぎ手は、円筒状に限定するものではない。 【0017】また、本発明(請求項2)は、前記溝部は、前記所定の断面形状が四角形となるように、前記第1のセラミックス管の一端及び/又は前記第2のセラミックス管の一端より径方向に所定深さと軸方向に所定幅削って形成され、前記第1のセラミックス管の一端と前記第2のセラミックス管の一端とは、前記所定の接合材を介して固着され、前記筒状継ぎ手の膨出部は、前記溝部内に嵌装されたことを特徴とする。 【0018】溝部は、所定の断面形状が四角形となるように、第1のセラミックス管の一端及び/又は第2のセラミックス管の一端より、径方向に所定深さと軸方向に所定幅削りとることで形成する。そして、第1のセラミックス管の一端と第2のセラミックス管の一端とは、所定の接合材を介して固着する。筒状継ぎ手の膨出部は、溝部内に嵌装させる。 【0019】このことにより、セラミックス管接合部の引張強度を向上させるとともに、一部の接合部剥離が起こった場合でも、含塵ガスがセラミックス管の外部へ漏れるのを防止出来る。 【0020】更に、本発明(請求項3)は、前記筒状継ぎ手の膨出部は、前記第1のセラミックス管の一端及び前記第2のセラミックス管の一端の間に挟まれるように配設されたことを特徴とする。第1のセラミックス管及び第2のセラミックス管の端部は、筒状継ぎ手の膨出部を介して接合する。 【0021】更に、本発明(請求項4)は、前記溝部の所定深さは、前記第1のセラミックス管又は前記第2のセラミックス管の厚みの10%以上60%以下であることを特徴とする。 【0022】溝部の所定深さは、セラミックス管の厚みの10%以下の浅いものでは、接合強度の増大効果が小さい。また、深さがセラミックス管の厚みの60%以上の深いものでは、セラミックス管の強度が低下してしまい、接合部の曲げ強度が低下してしまう。このため、溝部の所定深さは、第1のセラミックス管又は第2のセラミックス管の厚みの10%以上60%以下のものが望ましい。 【0023】更に、本発明(請求項5)は、前記溝部は、断面形状が底辺を前記第1のセラミックス管接合部、第2のセラミックス管接合部及び前記筒状継ぎ手の対向する面に一致させた三角形であり、前記底辺に対する先端角は90度以上であることを特徴とする。 【0024】溝部は、断面形状を三角形とする。三角断面の先端角の角度は、セラミックスが応力集中による破壊に弱いことから、90度以上の鈍角とすることが望ましい。 【0025】更に、本発明(請求項6)は、前記溝部の所定深さは、前記第1のセラミックス管又は前記第2のセラミックス管の厚みの10%以上60%以下であり、かつ前記軸方向の所定幅は、該所定深さ以上で前記第1のセラミックス管接合部の所定長又は前記第2のセラミックス管接合部の所定長の50%未満であることを特徴とする。 【0026】セラミックス管の軸方向の所定幅は、第1のセラミックス管接合部又は第2のセラミックス管接合部の所定長の50%以上になると施工上の問題としてセラミックス管の位置決めが難しくなる。また、セラミックス管接合部強度も低下することから、セラミックス管の厚みの10%以上60%以下とした溝部の所定深さ以上で、セラミックス管接合部の所定長の50%未満とするのが望ましい。 【0027】更に、本発明(請求項7)は、前記第1のセラミックス管及び前記第2のセラミックス管がコーディエライト質セラミックスからなることを特徴とする。 【0028】 【発明の実施の形態】以下、本発明の実施形態を図面に基づいて説明する。本発明の実施形態に用いられるセラミックス管は、たとえば加圧流動床ボイラ、石炭ガス化炉、ゴミ及び産業廃棄物焼却炉などから排出される、高温ガス中の塵埃を除去するフィルタとして使用される。 【0029】本発明の第1実施形態の全体構成図を図1に示す。また、本発明の第1実施形態の縦断面図を部分拡大したものを図2に示す。図1及び図2において、セラミックス管1の右端には円筒状の段差1aが施されている。また、セラミックス管2の左端にも同様の段差2aが施されている。段差1a及び段差2a共に、半径方向に所定深さh、軸方向に所定幅wだけ周状に削り取られて形成されている。削り取られた部分9及び10は溝部に相当する。 【0030】図2に示すように、筒状継ぎ手3の内側中央には、円周状に所定高さの膨出部3bが軸方向に長さd3で形成されている。セラミックス管1、セラミックス管2及び筒状継ぎ手3の隙間には、接合材4が厚みd1(=d2)で充填されている。 【0031】そして、この筒状継ぎ手3によりセラミックス管1とセラミックス管2が連結されるようになっている。セラミックス管1の外周が筒状継ぎ手3と面する長さl1の部分は、第1のセラミックス管接合部に相当する。また、セラミックス管2の外周が筒状継ぎ手3と面する長さl2の部分は、第2のセラミックス管接合部に相当する。 【0032】次に、本発明の第1実施形態の作用を説明する。図2において、セラミックス管1、セラミックス管2と接合材4、また、接合材4と筒状継ぎ手3の接合断面が階段状になる。このため、接合力の増大と一部接合材充填不良部から発生した界面剥離の断面貫通を防ぐことが可能となる。 【0033】ここで、セラミックス管接合部を外部から包む筒状継ぎ手3の内周に形成した膨出部3bは、セラミックス管1及びセラミックス管2の管端部の段差にちょうど嵌合するように設ける。また、膨出部3bは図6に示す特開平7−138081に述べられている筒状接合継ぎ手に規定されている突起と異なり、セラミックス管の内周まで到達させない。 【0034】次に、本発明の第2実施形態の部分縦断面図を図3に示す。尚、図2と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。図3において、セラミックス管1の外周が筒状継ぎ手3と面する長さl1の第1のセラミックス管接合部には、セラミックス管1の外周に断面形状が三角形である溝部11が周方向に形成されている。同様に、筒状継ぎ手3の内周にも断面形状が三角形である溝部11が周方向に形成されている。 【0035】このときの三角形の先端角はα度である。また、この溝部11の深さはhdである。セラミックス管2側の第2のセラミックス管接合部等にも同様に三角形の溝部11が形成されている。筒状継ぎ手3の内周に形成された膨出部3cは、セラミックス管1、セラミックス管2の内周まで到達して構成されている。溝部11を含むセラミックス管1、セラミックス管2及び筒状継ぎ手3間の隙間には、接合材4が厚みd1(=d2)で充填されている。 【0036】次に、本発明の第2実施形態の作用を説明する。図3において、三角形の溝部11を設けたことで、筒状継ぎ手3、セラミックス管1及びセラミックス管2と接合材4とが接する面積を増大させ、接合力の増加をもたらすことが出来る。また、接合界面が単一面ではなく、ジグザグ状になることから、接合材の一部が剥離した場合も貫通した連続孔にならず、含塵ガスの漏れを防止することが可能となる。 【0037】次に、本発明の第3実施形態の部分縦断面図を図4に示す。尚、図2と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。図4において、第1のセラミックス管接合部には、セラミックス管1の外周に断面形状が四角形である溝部13が複数個周方向に形成されている。同様に、筒状継ぎ手3の内周にも断面形状が四角形である溝部13が周方向に形成されている。 【0038】溝部13の設置間隔は、等間隔であってもよいし、また図4に示すように等間隔で無くてもよい。一方、セラミックス管2側の第2のセラミックス管接合部及び筒状継ぎ手3の内周には、断面形状が円弧状の溝部15が周方向に形成されている。 【0039】次に、本発明の第3実施形態の作用を説明する。セラミックス管1の第1のセラミックス管接合部に形成する溝部13の断面形状と、セラミックス管2の第2のセラミックス管接合部に形成する溝部15の断面形状は図4のように異ならせてもよい。かかる場合でも、本発明の第2実施形態と同様の効果が期待出来る。 【0040】次に、本発明の第4実施形態の部分縦断面図を図5に示す。尚、図2と同一要素のものについては同一符号を付して説明は省略する。図5において、第1のセラミックス管接合部には、セラミックス管1の外周に断面形状が円弧状である溝部15が3個周方向に形成されている。同様に、筒状継ぎ手3の内周にも断面形状が円弧状である溝部15がセラミックス管1の外周に配設された溝部15と位置を一致させて周方向に形成されている。 【0041】一方、セラミックス管2側の第2のセラミックス管接合部に対しても、断面形状が円弧状の溝部15が3個周方向に形成されている。筒状継ぎ手3の内周に形成された膨出部3cとセラミックス管1間の隙間はd1で接合材4が充填されている。一方、膨出部3cとセラミックス管2間に隙間はない。 【0042】次に、本発明の第4実施形態の作用を説明する。図5において、溝部15を3個周方向に形成する。このことにより、充填された接合材4との界面の面積が増大するため、膨出部3cとセラミックス管2間に隙間が無くても、十分に接合強度は維持出来る。 【0043】なお、以上に述べた第1実施形態〜第4実施形態の各溝部9、10、11、13、15の形状は、深さh若しくはhdが管の厚みHの10%未満の浅いものでは、接合強度の増大効果が小さい。また、深さh若しくはhdが管の厚みHの60%より深いものでは、セラミックス管の強度が低下してしまい、セラミックス管接合部の曲げ強度が低下してしまう。このことから、深さh若しくはhdは、セラミックス管の厚みの10%以上60%以下、特には30%以上50%以下であるものが望ましい。 【0044】また、セラミックス管の端部に設ける溝部の幅wはセラミックス管接合部の長さl1若しくはl2の半分以上になると施工上の問題としてセラミックス管の位置決めが難しくなり、また、セラミックス管接合部強度も低下することから、溝部の深さh以上、セラミックス管接合部長さl1若しくはl2の半分以下が望ましい。 【0045】なお、溝部の断面が三角である場合、先端角αの角度は、セラミックスは応力集中による破壊に弱いことから、90度以上好ましくは120度以上の鈍角とすることが望ましい。また、溝部の断面が三角又は四角であるとき、その角は円弧状に面取りしてあることが望ましい。 【0046】本発明のセラミックス管の接合構造は、筒状継ぎ手にフィルタ管を嵌合した状態で、筒状継ぎ手の内側とフィルタ管の外周の間に隙間を設け、この隙間に接合材を充填し、固化させることにより得られる。 【0047】本発明のセラミックス管の接合構造は、特に限定されないが、例えばアルミナ質、コーディエライト質、ムライト質または炭化珪素質等のセラミックス管に適用できる。なかでも、熱膨張係数の小さいコーディエライト質のセラミックス管に適用するのが好ましい。 【0048】また、本発明における接合材としては、特に限定されずセメントの硬化を利用するもの、リン酸塩系溶液の脱水縮合反応による硬化を利用するもの等が用いられるが、コーディエライト質のセラミックス管を接合する場合は、同じくコーディエライト質の粒子を主成分とする接合材を用いるのが好ましい。 【0049】通常、コーディエライト質のセラミックス管同士を接合材を用いて接合する場合、接合材を焼結させて接合を行うが、一般的に接合材は焼結したときの熱膨張係数が、コーディエライト質セラミックス管の熱膨張係数より大きいため、セラミックス管接合部分には焼結後に収縮が起こり亀裂が発生しやすい。 【0050】しかし、本発明によれば、仮にセラミックス管接合部分の一部に亀裂が発生したとしても、セラミックス管接合部分がジグザグ状であることから亀裂が生じた部分が貫通した連続孔にはならないため、フィルタとして用いた場合にガス漏れが起こらない。 【0051】 【実施例】図2に示す接合構造を有するセラミックス管の接合体の評価試験を行った。以下に試験方法を示す。セラミックス管としてはコーディエライト質からなるものを用い、接合材としては同じくコーディエライトを主成分とするものを用いた。 【0052】図2において、セラミックス管1、2の厚みHは14mmである。セラミックス管1、2と筒状継ぎ手3間の隙間d1(=d2)は4mmであり、充填された接合材4の厚みはいずれの箇所でもほぼ4mmである。この隙間d1は充填される接合材の粒度と粘度から決定した。筒状継ぎ手3の長さLは75mmで、セラミックス管1、2のセラミックス管接合部長さl1、l2は約30mmである。 【0053】セラミックス管1、2の端部に設けた溝部9、10の深さhと幅wは、表1に示す組み合わせについて実施、検討した(実施例1、2、3)。また、図5に示す接合構造を有するセラミックス管接合体(実施例4、5)、図3に示す接合構造を有するセラミックス管接合体(実施例6)、更に図6のようにセラミックス管に溝を設けないもの(比較例)についても検討した。 【0054】評価項目としては、接合後に接合したセラミックス管の両端を引っ張り破壊させ、セラミックス管接合部の引張強度をテンシロン型試験器を用いて測定した。また、接合したセラミックス管の端部に2点の支点を置き、セラミックス管接合部中央に負荷を与えて3点曲げの要領で行った曲げ試験により、セラミックス管接合部の曲げ強度を測定した。支点の間隔は60cmとした。 【0055】さらに含塵ガスの漏れを検討するために、実際の補集灰高圧空気(含塵ガス)を接合管の内部に導入し、含塵ガスの漏れの有無をチェックした。含塵ガスの圧力は、セラミックス管でのろ過速度が5cm/秒となるように設定した。この含塵ガスの漏れの試験では、セラミックス管接合部不良のモデルとして、セラミックス管接合部に曲げ破断荷重のおよそ70%を繰り返し負荷し、セラミックス管接合部に損傷を与えた接合体を使用した。以上の結果を表1に示す。 【0056】 【表1】
【0057】表1に示すとおり、セラミックス管接合部に円周状の溝部を設けた場合には、セラミックス管の端部に溝のない比較例と比較して、セラミックス管接合部の引張強度が最大27%向上(実施例1)しており、接合断面を階段状あるいはジグザグ状にすることにより接着強度が改善されていることがわかる。 【0058】溝部の深さh若しくはhdはセラミックス管の厚みHの半分程度以下、また、溝部の幅wは溝部の深さh若しくはhdと同程度以上あることが好ましいことがわかる。 【0059】 【発明の効果】以上説明したように本発明によれば、第1のセラミックス管接合部、第2のセラミックス管接合部及び筒状継ぎ手の対向する面に周方向に溝部を形成したので、第1のセラミックス管及び第2のセラミックス管の接合部の引張強度を向上させるとともに、一部の接合部剥離が起こった場合でも、含塵ガスのセラミックス管外部への漏れを防止することが出来る。これは、石炭発電など、長期連続運転が要求される用途への応用において、長期信頼性を確保する上で、非常に大きな利点であり、産業上の利用効果は多大である。 【0060】
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000000044 【氏名又は名称】旭硝子株式会社
|
| 【出願日】 |
平成10年10月12日(1998.10.12) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100105201 【弁理士】 【氏名又は名称】椎名 正利
|
| 【公開番号】 |
特開2000−120946(P2000−120946A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−289314 |
|