トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 冷媒輸送用ホース
【発明者】 【氏名】鍬本 賢二

【氏名】高野 伸和

【要約】 【課題】最内層の耐冷媒透過性を損なうことなく柔軟性を高め、優れた耐冷媒透過性と柔軟性を兼備する冷媒輸送用ホースを提供する。

【解決手段】樹脂層1よりなる最内層を備える冷媒輸送用ホース10。該樹脂層1は6ナイロン:58〜72重量部とポリオレフィン:42〜28重量部とを含み、海相が6ナイロンであり、島相がポリオレフィンであり、かつ、該ポリオレフィンの島相中に6ナイロンが散点状に分散されて構成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 樹脂層よりなる最内層を備える冷媒輸送用ホースにおいて、該樹脂層は6ナイロン:58〜72重量部とポリオレフィン:42〜28重量部とを含み、海相が6ナイロンであり、島相がポリオレフィンであり、かつ、該ポリオレフィンの島相中に6ナイロンが散点状に分散されて構成されていることを特徴とする冷媒輸送用ホース。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車用のカークーラーやエアコン等の配管用ホースとして好適な冷媒輸送用ホースに係り、特に耐冷媒透過性に優れ、しかも柔軟性にも優れる冷媒輸送用ホースに関する。
【0002】
【従来の技術】自動車用エアコン等の配管等に用いられる冷媒輸送用ホースは、一般に、冷媒(フレオン)の透過を防ぐ目的で、6ナイロン等のポリアミドを主体とした樹脂よりなるガスバリア層を最内層として配置した複合構造とされている。しかし、ポリアミド系樹脂層では、冷媒の透過を防止することはできるものの、ホースの柔軟性が低下するため、従来、柔軟性付与剤としてのポリオレフィンをポリアミド系樹脂に添加している。
【0003】図3は、このポリアミド−ポリオレフィン系複合樹脂のモルフォロジーを示す模式図である。図示の如く、従来の冷媒輸送用ホースの最内層を構成する6ナイロン−ポリオレフィン系複合樹脂は、6ナイロンの海相21と、この海相21内に分散するポリオレフィンの島相22とで構成されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、6ナイロンの海相21内にポリオレフィンの島相22が分散した6ナイロン−ポリオレフィン系複合樹脂では、ポリオレフィンの配合で、柔軟性は向上するものの、ポリオレフィン自体の耐冷媒透過性が6ナイロンよりも劣るため、結果として複合樹脂の耐冷媒透過性が損なわれるという欠点がある。
【0005】本発明は上記従来の問題点を解決し、最内層の耐冷媒透過性を損なうことなく柔軟性を高めることで、優れた耐冷媒透過性と柔軟性を付与した冷媒輸送用ホースを提供することを目的とする。
【0006】
【課題を解決するための手段】本発明の冷媒輸送用ホースは、樹脂層よりなる最内層を備える冷媒輸送用ホースにおいて、該樹脂層は6ナイロン:58〜72重量部とポリオレフィン:42〜28重量部とを含み、海相が6ナイロンであり、島相がポリオレフィンであり、かつ、該ポリオレフィンの島相中に6ナイロンが散点状に分散されて構成されていることを特徴とする。
【0007】なお、本発明においては、6ナイロンとポリオレフィンとの合計で100重量部とする。
【0008】本発明の冷媒輸送用ホースの最内層を構成する6ナイロン−ポリオレフィン系複合樹脂のモルフォロジーを図2に示す。
【0009】図示の如く、本発明に係る6ナイロン−ポリオレフィン系複合樹脂は、6ナイロンの海相11内にポリオレフィンの島相12が分散し、かつ、このポリオレフィンの島相12中に6ナイロン相13が散点状に散在している。
【0010】本発明では、このように、ポリオレフィンの島相12中に6ナイロン相13が散点状に散在しているため、ポリオレフィンの島相12は、ポリオレフィン本来の体積よりも内部に存在する6ナイロン相13の分だけ、見掛け上の体積分率が大きくなる。このようにポリオレフィンの島相12の見掛けの体積分率が大きくなると、ポリオレフィンの配合量を増した場合と同様の柔軟性付与効果の向上効果が得られる。このため、実際のポリオレフィンの配合量は低く抑えて、従って、ポリオレフィンの配合による耐冷媒透過性の低下を引き起こすことなく、良好な柔軟性の向上効果を得ることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】以下に、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。
【0012】図1は本発明の冷媒輸送用ホースの実施の形態を示す斜視図である。
【0013】この冷媒輸送用ホース10は、樹脂層1及び内管ゴム層2よりなる内管層3が、補強糸を含む中間ゴム層4を介して外被ゴム5で被覆されて構成されている。なお、必要に応じて樹脂層1と内管ゴム層2との間には接着剤層を設けても良い。
【0014】本発明においては、内層のガスバリア層である樹脂層1は、6ナイロン:58〜72重量部及びポリオレフィン:42〜28重量部を含む樹脂で構成される。
【0015】ここで、6ナイロンが58重量部より少ないと、たとえ図2に示すモルフォロジーであっても耐冷媒透過性が劣るものとなる。逆に、6ナイロンが72重量部よりも多いと、たとえ図2に示すモルフォロジーであっても柔軟性に劣るものとなる。
【0016】本発明に係る6ナイロン−ポリオレフィン系複合樹脂は、上記6ナイロン−ポリオレフィン配合組成を有し、かつ、図2に示す如く、6ナイロンの海相11内にポリオレフィンの島相12が分散すると共に、このポリオレフィンの島相12内に6ナイロン13が散点状に分散したものである。
【0017】本発明において、6ナイロン−ポリオレフィン系複合樹脂が上記本発明の組成範囲であっても、図2に示すようなモルフォロジーを示さない場合には、良好な耐冷媒透過性及び柔軟性を得ることができない。この耐冷媒透過性及び柔軟性を共に最良なものとするためには、特に、全6ナイロン(海相11を構成する6ナイロンとポリオレフィンの島相12内に散点状に存在する6ナイロン相13との合計)に対するポリオレフィンの島相12内に散点状に存在する6ナイロン相13の割合(以下、その割合を「散点状分散率」と称す。)が2.5〜30重量%程度であることが好ましい。この割合が2.5重量%未満では、ポリオレフィンの島相12内に6ナイロン相13を散点状に存在させることによる本発明の効果を十分に得ることができず、逆に30重量%を超えると、海相11としての6ナイロン相が少なくなり過ぎて耐冷媒透過性が低下するおそれがある。
【0018】また、ポリオレフィンの島相12の大きさ及びこのポリオレフィン島相12内の6ナイロン相13の大きさは、図2に示す如く、ポリオレフィン島相12の大きさがほぼ0.4〜1.5ミクロン、6ナイロン相13の大きさが0.05〜0.5ミクロン程度である。
【0019】本発明において、ポリオレフィンとしては、変性EPR(エチレン−プロピレン共重合体)、変性EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、アイオノマー、α−オレフィン共重合体、変性IR(イソプレンゴム)、変性SEBS(スチレン−エチレン−ブチレン−スチレン共重合体)、ハロゲン化イソブチレン−パラメチルスチレン共重合体、エチレン−アクリル酸変性体及び、それらを主成分とする混合物等が挙げられる。
【0020】また、本発明において、最内層を構成する6ナイロン−ポリオレフィン系複合樹脂には、必要に応じて老化防止剤、酸化劣化剤等の添加剤を加えても良い。
【0021】なお、本発明において、図2に示すようなモルフォロジーを形成する方法としては、■ 6ナイロンとポリオレフィンとを所定の配合比にして混練りし、マスターバッチを作った後、そのマスターバッチと6ナイロンを混練りする方法。
■ 6ナイロン及びポリオレフィンブレンド物を高剪断により溶融混練りする方法。
【0022】等がある。
【0023】本発明の冷媒輸送用ホースのその他の構成については、特に制限はなく、通常の冷媒輸送用ホースの構成を採用することができる。
【0024】例えば、図1に示す冷媒輸送用ホース10において、内管ゴム層2及び外被ゴム5を構成するゴムとしては、一般にブチルゴム(IIR)、塩素化ブチルゴム(C1−IIR)、塩素化ポリエチレン、クロロスルホン化ポリエチレン、臭素化ブチルゴム(Br−IIR)、イソブチレン−ブロモパラメチルスチレン共重合体、EPR(エチレン−プロピレン共重合体)、EPDM(エチレン−プロピレン−ジエン三元共重合体)、NBR(アクリロニトリルブタジエンゴム)、CR(クロロプレンゴム)、水素添加NBR、アクリルゴム、これらのゴムの2種以上のブレンド物或いは、これらのゴムを主成分とするポリマーとのブレンド物、好ましくはブチル系ゴム、EPDM系ゴムが用いられる。これらのゴムには、通常用いられる充填剤、加工助剤、老化防止剤、加硫剤、加硫促進剤等の配合処方を適用できる。
【0025】なお、内層ゴム層2のゴム種と外被ゴム5のゴム種は同種のものであっても、異種のものであっても良い。
【0026】また、中間ゴム層4のゴムは、内管ゴム層2及び外被ゴム5との接着性が良いものであれば良く、特に制限はない。
【0027】補強系についても、通常用いられるものであれば特に制限はない。一般的には、ポリエステル、全芳香族ポリエステル、ナイロン、ビニロン、レーヨン、アラミド、ポリアリレート、ポリエチレンナフタレート及びこれらの混撚り糸が用いられる。
【0028】本発明において、樹脂層1の厚さは、耐冷媒透過性及び柔軟性の兼ね合いから0.05〜0.3mm程度とするのが好ましい。内管ゴム層2の厚さは、柔軟性の面から0.8〜4mm程度とするのが好ましい。更に、補強糸を含む中間ゴム層4の厚さは0.5〜5mm程度、外被ゴム層5の厚さは1〜2mm程度とするのが好ましい。
【0029】このような本発明の冷媒輸送用ホースは、常法に従って、マンドレル上に各構成層の材料を所定の厚さに押し出して積層し、140〜170℃で30〜120分間加硫することにより製造することができる。
【0030】
【実施例】以下に、実施例及び比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明はその要旨を超えない限り、以下の実施例に限定されるものではない。
【0031】なお、以下の実施例及び比較例において用いた内層ゴム層、中間ゴム層及び外被ゴム層のゴム割合は下記表1〜3に示す通りである。
【0032】
【表1】

【0033】
【表2】

【0034】
【表3】

【0035】実施例1〜4、比較例1〜5下記の手順で図1に示す構成の冷媒輸送用ホースを製造した。
【0036】直径11mmのマンドレル上に、6ナイロン(宇部興産(株)製「1030B」)とポリオレフィン(三井石油化学(株)製「タフマーA4085」)を表4に示す割合で溶融混練りしてペレット化したものを押し出して厚み約0.13mmの内面樹脂層の被覆層を形成した後、表1に示す内層ゴムを厚み1.2mmに押し出した。この上に、3000デニールのポリエステル補強糸を24本引き揃えてスパイラル状に巻き付け、この補強糸層上に表2に示す中間ゴムを厚み0.3mmに押し出し、更に、その上に3000デニールのポリエステル補強糸を24本引き揃えて、上記と逆方向にスパイラル状に巻き付けた。次いで、この上に表3に示す外被ゴムを厚み1.3mmに押し出し、150℃で90分間加硫して冷媒輸送用ホースを得た。
【0037】得られた冷媒輸送用ホースについて、下記の方法で耐冷媒透過性及び柔軟性を調べ、結果を表4に示した。
【0038】なお、表4には、6ナイロン−ポリオレフィン系複合樹脂の6ナイロンの散点状分散率を併記したが、この散点状分散率は、透過型電子顕微鏡画像により求めた値である。また、実施例及び比較例において、樹脂のモルフォロジーは、6ナイロンとポリオレフィンの溶融混練り時に練りスクリュウ回転数と練り温度を変えることにより制御した。
【0039】[耐冷媒透過性試験]JRA(日本冷凍空調工業界規格)に準ずる。ホースを長さ500nmに切断し、内容積60%のフロンR−134aを封入して両端を密封した。温度100℃で96時間放置し、24時間後と96時間後の間のガス透過量を測定し、g/m/72Hrで数値を換算した。2.3g/m/72Hr以下を良好(○)、2.3g/m/72Hr以下を不良(×)とした。
【0040】[柔軟性試験]2個のローラを200mmスパンに配置し、その上に上述のホースを架け渡して置いた。ローラ間距離の中央部を速度500mm/minで押してホースがキンクするまで撓みを与え、そのときに発生する最大圧力(kgf)を測定した。試験温度は室温25℃で実施した。1.7kgf以下を良好(○)とし、1.7kgf以上を超えるものを不良(×)とした。
【0041】
【表4】

【0042】表4より、本発明の冷媒輸送用ホースは耐冷媒透過性及び柔軟性に優れることがわかる。
【0043】
【発明の効果】以上詳述した通り、本発明によれば、耐冷媒透過性及び柔軟性が共に良好な冷媒輸送用ホースが提供される。
【0044】このような本発明の冷媒輸送用ホースは、自動車用エアコン配管等として極めて有用である。
【出願人】 【識別番号】000005278
【氏名又は名称】株式会社ブリヂストン
【出願日】 平成10年10月16日(1998.10.16)
【代理人】 【識別番号】100086911
【弁理士】
【氏名又は名称】重野 剛
【公開番号】 特開2000−120944(P2000−120944A)
【公開日】 平成12年4月28日(2000.4.28)
【出願番号】 特願平10−295471