| 【発明の名称】 |
耐摩耗性金属管及びその製造方法 |
| 【発明者】 |
【氏名】松原 洋一
【氏名】曽地 義信
【氏名】藤田 正継
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| 【要約】 |
【課題】耐摩耗性に優れ、且つ管端に溶接接合を支障なく施すことの可能な耐摩耗性金属管を提供する。
【解決手段】金属管1を構成する管体2の、管端への溶接時の熱影響を大きく受ける領域を除いた管体中央部分2aの内面には耐摩耗性被覆5を形成して耐摩耗性を向上させ、両側の管端には、被覆5を形成する代わりに肉厚を大きくした厚肉部2bを設け、摩耗によって肉厚減少しても十分な肉厚を確保できるようにし、その厚肉部2bを利用して支障なく溶接接合可能な構成とする。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 金属の管体の両端部分の、管端を含む小区間に、該小区間に挟まれた管体中央部分よりも肉厚を大きくした厚肉部を設けるとともに、前記管体中央部分の管内面又は管外面若しくは管の内外面に耐摩耗性を向上させる冶金的処理を施したことを特徴とする耐摩耗性金属管。 【請求項2】 前記厚肉部の肉厚を前記管体中央部分の肉厚の1.2〜3倍とした請求項1記載の耐摩耗性金属管。 【請求項3】 前記厚肉部の区間長さを25〜150mmとした、請求項1又は2記載の耐摩耗性金属管。 【請求項4】 前記耐摩耗性を向上させる冶金的処理が、耐摩耗性被覆の形成であり、前記厚肉部の、厚肉化に伴う管体の出っ張り高さを、前記被覆を施した側の面に関して該被覆の膜厚以上、厚肉部の肉厚増加分以下とした、請求項1から3のいずれか1項記載の耐摩耗性金属管。 【請求項5】 前記厚肉部の前記管体中央部分に接する側に、肉厚が管体中央部分側を起点として漸増するテーパー部を設けた、請求項1から4のいずれか1項記載の耐摩耗性金属管。 【請求項6】 前記厚肉部を熱間据込み増肉加工によって形成する、請求項1〜5記載の耐摩耗性金属管の製造方法。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、耐摩耗性に優れた金属管及びその製造方法に関する。 【0002】 【従来の技術】鋼管には、その用途によって内面や外面に優れた耐摩耗性を要求されることがあり、従来より耐摩耗性を向上させるために、焼入れを行うとか、溶射や回転ライニングにより金属系耐摩耗性被覆を形成するといった冶金的処理が採られていた。 【0003】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、鋼管に焼入れを施すと、耐摩耗性は向上するものの、溶接接合時に割れる恐れが生じ、このため、管端にフランジを溶接接合するとか、配管時に管端同志を突き合わせて溶接接合するという作業を行うことが困難になるといった問題があった。また、自溶合金などの金属系耐摩耗性被覆を形成した場合においても、溶接接合時に耐摩耗性被覆が割れる恐れがあり、やはり溶接作業が困難になるという問題があった。 【0004】なお、フランジ付鋼管を製造する場合には、あらかじめ鋼管にフランジを溶接接合し、そのフランジ付鋼管に対して、焼入れを施すとか、耐摩耗性被覆を形成することで、耐摩耗性に優れたフランジ付鋼管を製造することは可能である。しかしながら、フランジ付鋼管に対する焼入れ操作や、耐摩耗性被覆の形成操作は高能率化が図りにくく、コスト高となるという問題がある。 【0005】本発明はかかる問題点に鑑みてなされたもので、管端に対して溶接を施すことの可能な且つ管内面又は外面若しくは管の内外面に必要な耐摩耗性を備えた耐摩耗性金属管及びその製造方法を提供することを目的とする。 【0006】 【課題を解決するための手段】本発明の耐摩耗性金属管は、管端における溶接接合を可能とするため、焼入や金属系耐摩耗性被覆の形成といった耐摩耗性を向上させる冶金的処理を、管端の溶接時の熱影響を大きく受ける領域を除いた管体中央部分に施し、管端を含む小区間には管体中央部分よりも肉厚を大きくした厚肉部を設けることによって、摩耗による肉厚減少を補償する構成としたものである。 【0007】 【発明の実施の形態】本発明の耐摩耗性金属管は、金属の管体の両端部分の、管端を含む小区間に、該小区間に挟まれた管体中央部分よりも肉厚を大きくした厚肉部を設けるとともに、前記管体中央部分の管内面又は管外面若しくは管の内外面に耐摩耗性を向上させる冶金的処理を施したことを特徴とするものである。耐摩耗性金属管に使用する管体は、通常は鋼管であるが、それ以外の溶接接合可能な金属管を用いても良い。管体の形態は、円筒状、角筒状等任意であり、且つ直管、曲がり管のいずれでもよい。以下、図面を参照して本発明の実施の形態を詳細に説明する。 【0008】図1は、スラリー等の管体内面を摩耗させやすい流体輸送に供される、本発明の一実施形態による耐摩耗性金属管(以下金属管と略称する)1を示す概略断面図、図2はその金属管1の管端近傍を拡大して示す概略断面図である。金属管1は鋼管からなる管体2を有しており、その管体2は一定肉厚の管体中央部分2aを備えると共に、管体2の両端部分の、管端を含む小区間(長さLで示す小区間)に、該小区間に挟まれた管体中央部分2aよりも肉厚を大きくした厚肉部2bを設けている。管体2の管体中央部分2aの内面には、耐摩耗性を向上させる冶金的処理として金属系の耐摩耗性被覆5を施している。なお、金属管1の用途によっては、外面に耐摩耗性を要求される場合(例えば、金属管を砂漠等に敷設し、砂嵐等に外面がさらされて摩耗しやすい場合、金属管が熱交換器等に設けられ、外面側を高速で燃焼ガスなどが流れて摩耗しやすい場合等)があり、その場合には耐摩耗性被覆を管体中央部分2aの外面に設ける。また、金属管の内外面に耐摩耗性を要求される場合には、当然耐摩耗性被覆は管体中央部分2aの内外両面に設ける。 【0009】管体2の管端に設ける厚肉部2bは、図3に示すように、フランジ7を溶接金属8によって溶接接合するとか、図4に示すように管端同志を突き合わせ、溶接金属9によって溶接接合するために使用されるものであり、溶接時に割れ等のトラブルを生じることのないよう、焼入等の硬化処理は行っていない。このため、この厚肉部2bは摩耗しやすいが、その肉厚を大きくすることで、必要な耐用年数を確保している。換言すれば、図2において厚肉部2bの肉厚tは、金属管1をあらかじめ設定した耐用年数(例えば、3年)に渡って使用し、管体内面が内部を流れる流体で摩耗しても、必要な強度を確保しうる肉厚(通常、管体中央部分2aの肉厚t0 に等しい)を確保できるように定めている。この肉厚tは、設定する耐用年数によっても異なるが、一般的には、寿命増メリットと増肉加工のコストとの兼合から、管体中央部分2aの肉厚t0 の1.2〜3倍程度に設定することが好ましい。厚肉部2bの区間長さLは、管端に対する溶接作業時の熱影響が耐摩耗性被覆5に大きく及んでその耐摩耗性被覆5に割れ等のトラブルを生じることがないように定めるものであり、25〜150mm程度に選定することが好ましい。 【0010】耐摩耗性被覆5は管体2の耐摩耗性を向上させるために設けたものであり、当然管体2よりも耐摩耗性の大きい材料が選定される。具体的には、耐摩耗性被覆5としては、Ni基又はCo基等の自溶合金被覆、或いはその自溶合金にタングステンカーバイド等のセラミックを混合した被覆等を挙げることができる。耐摩耗性被覆5の形成位置は少なくとも肉厚の薄い管体中央部分2aとするが、必要に応じて厚肉部2bに、管端の溶接接合の影響を受けて亀裂等が生じない区間ないしは厚さの範囲で形成してもよい。耐摩耗性被覆5の肉厚t1 は、金属管1の所望の耐用年数を確保しうるように(例えば、所望の年数の使用により耐摩耗性被覆5が摩耗しきって管体中央部分2aの管体の摩耗が始まらないよう、予想摩耗量よりも若干大き目に)、定めるものであり、具体的には管体2の内径、肉厚等によっても異なるが、耐用年数と施工適性との兼合から0.5〜5mm程度に定めることが好ましく、また、管体の耐摩耗性との関係では管体中央部分2aの肉厚に対する比率を0.1〜0.5程度に選定することが好ましい。 【0011】前記したように、厚肉部2bの肉厚tも耐摩耗性被覆5の肉厚t1 も共に金属管1に設定する耐用年数を考慮して定めるものであるので、両者の肉厚はそれぞれの摩耗速度から次のように定めることもできる。すなわち、自溶合金からなる耐摩耗性被覆5の摩耗速度は、厚肉部2bを普通鋼で焼入を行わないとした場合の摩耗速度の約1/4であるものとして、厚肉部2bの肉厚増加分(=t−t0)は、耐摩耗性被覆5の肉厚t1 の約4倍程度とすればよい。例えば、管体中央部分2aの肉厚t0 を4mm、耐摩耗性被覆5の肉厚t1 を1mmとした場合には、厚肉部2bの肉厚増加分は耐摩耗性被覆5の肉厚t1 の4倍即ち4mm程度とすればよく、従って、厚肉部2bの肉厚tは8mm(元の肉厚の2倍)としておけばよい。更に一般的には、耐摩耗性被覆5の摩耗速度を、厚肉部2bの摩耗速度の1/nとすると、厚肉部2bの肉厚tは耐摩耗性被覆5の肉厚t1 に対して次式を目安として定めればよい。 t=t0 +nt1 ・・・(1) 【0012】図2において、管体2の管端に形成した厚肉部2bは、管内外に出っ張る形状としているが、本発明はこれに限らず、管内外の一方にのみ出っ張る形状としてもよい。厚肉部2bを耐摩耗性被覆5を形成した側に出っ張らせる場合には、厚肉化に伴う管体の出っ張り高さを、前記被覆を施した側の面に関して耐摩耗性被覆5の膜厚以上、厚肉部2bの肉厚増加分以下とすることが好ましい。この構成とすると、使用開始時における厚肉部2b内面の出っ張り高さが極端に大きくなるとか、長期間の使用後における摩耗による厚肉部2bの内面の凹みが極端に大きくなるということを防止でき、管内の流れに対する悪影響が避けられるという利点が得られる。また、厚肉部2bの管体中央部分2aに接する側に、肉厚が管体中央部分側を起点として漸増するテーパー部2cを設けることが好ましい。このようなテーパー部2cを設けると、管内の流れが乱されにくくなり、また、管体の強度、剛性が急激に変化する領域がなく、管体の応力集中を防止できる利点が得られる。 【0013】次に、上記構成の金属管1の製造方法を説明する。まず、一定肉厚t0 の鋼管を用意し、その両端に増肉加工を施して厚肉部2bを形成する。この増肉加工は熱間、冷間のいずれで行っても良いが、熱間据込み増肉加工を採用することが、加工のための圧縮力を小さくでき、従って圧縮装置を小型化でき且つ残留応力を少なくできるので好ましい。ここで、熱間据込み増肉加工とは、加工すべき領域を塑性変形容易な温度(通常、赤熱温度以上、例えば、鋼管に対しては、900〜1300°C程度が好ましい)に加熱し、管軸方向の圧縮力を加えて増肉させる方法である。この熱間据込み増肉加工の具体的方法としては、次の3つの方法を挙げることができ、いずれを採用してもよい。 【0014】(1)連続式熱間据込み増肉加工方法この方法は、図5に示すように、増肉加工すべき鋼管である管体2の一端を支持部材10で支え、反対端から押圧装置(図示せず)で管体2に矢印Fで示す管軸方向の圧縮力を加えた状態で、管体2の狭い幅の区間11を誘導コイル12によって塑性変形容易な温度に加熱して増肉させると共にその誘導コイル12を管体2に対して矢印A方向に連続的に相対移動させ且つ後ろ側の増肉直後の部分に冷却媒体13を吹き付けて冷却固化させることで、管体2を連続的に増肉させ、所望長さの厚肉部2bを形成する方法である。この連続式では、管体2の内外面を型具で規制しないフリーの状態でも安定した増肉加工が可能であり、内外面にほぼ同様に出っ張った厚肉部を形成できる。なお、管体の内外面への出っ張り量を規制したい場合には、内外面のいずれかを型具で規制すればよい。 【0015】(2)逐次式熱間据込み増肉加工方法この方法は、増肉加工すべき管体の加工すべき領域内の狭い幅の区間を塑性変形容易な温度に加熱し、管軸方向の圧縮力を加えて、その区間を増肉させて厚肉部を形成し、その厚肉部が冷却して固化した後、隣接した区間を塑性変形容易な温度に加熱し、その部分に圧縮力を作用させて増肉させるという動作を繰り返し、所望長さの厚肉部を形成する方法である。この逐次式でも、管体の内外面を型具で規制しないフリーの状態でも安定した増肉加工が可能であり、又、管体の内外面への出っ張り量を規制したい場合には、内外面のいずれかを型具で規制すればよい。 【0016】(3)一発式熱間据込み増肉加工方法この方法は、管体の加工すべき領域全体を塑性変形容易な温度に加熱し、管軸方向の圧縮力を加えて、全体を同時に増肉させて厚肉部を形成する方法である。一発式では、座屈等を生じることなく安定した増肉加工を行うため、通常管体の内外面の一方又は双方を規制する型具を使用する。 【0017】上記したように管体2に対して増肉加工を施して両端に厚肉部2bを形成した後、厚肉部2bの端部近傍を切断して管端の整形を行う(なお、この動作は後述する被覆形成後に行っても良い)。次に、両端の厚肉部2bで挟まれた管体中央部分2aに耐摩耗性被覆5を形成する。耐摩耗性被覆5の形成は公知の技法を適宜使用可能であり、耐摩耗性被覆5を形成する材料に適した方法を採用すればよい。例えば、自溶合金或いはセラミックを含有した自溶合金からなる耐摩耗性被覆5を形成するには、溶射法、回転ライニング法等を挙げることができる。ここで回転ライニング法とは、管体2を回転させながら、その内周面に耐摩耗性被覆を形成するための粉末金属を供給し、管体2を加熱して粉末金属を管体内面に付着させ、被覆を形成する方法である。溶射法、回転ライニング法等によって形成した自溶合金による被覆に対しては、自溶合金を再度溶融させて気孔を無くし且つ母材に対する接合を確実とするよう再溶融処理を施すことが好ましい。回転ライニング法を採用する場合には、特公平5−471号公報、特公平5−33307号公報、特許第2727450号公報に記載されている方法を採用することが、粉末金属の焼結被覆の形成及びそれに続き再溶融処理を1工程で行い、気孔のない緻密な耐摩耗性被覆5を生産性よく形成できるので好ましい。 【0018】以上のようにして図1に示す金属管1が製造される。この構成の金属管1は、図3に示すように、その端部にフランジ7を溶接接合し、フランジ付金属管として使用される。また、図4に示すように、管端同志を直接突き合わせ、溶接接合して使用することもできる。いずれの使用においても、焼入などの処理が施されていない管端の厚肉部2bを、割れ等を生じることなく支障なく溶接接合することができ、配管作業が容易となる。また、厚肉部2bを長くしておけば、配管施工現場において、管端の厚肉部2bの一部を切り落とし、金属管1の全長を所望の取付長さに応じて調整することもでき、作業性が一層よくなる。 【0019】この金属管1の使用中において、内部を流れる流体によって金属管内面に摩耗が生じ、厚肉部2bでは耐摩耗性向上のための処理を施していないのでその摩耗量が大きくなるが、厚肉部2bは肉厚を大きくしているので、摩耗が多くても必要な肉厚を確保できる。このため、厚肉部2bも耐摩耗性被覆5を形成している管体中央部分2aと同様な耐用年数を確保でき、所望の年数に亘って支障なく使用できる。 【0020】上記した実施形態では、金属管1の管体中央部分2aの内面に、耐摩耗性を向上させる冶金的処理として耐摩耗性被覆5を施しているが、本発明における冶金的処理としては耐摩耗性被覆5を形成する場合に限らず、焼入、浸炭等によって管体自体の耐摩耗性を向上させる冶金的処理を行っても良い。図6はその実施形態による金属管1Aの管端部分を拡大して示すものであり、管体2の端部には厚肉部2bを形成しており、管体中央部分2aには焼入を施している(焼入を施した領域はハッチングで示している)。この実施の形態においても、管体中央部分2aの肉厚t0 及び厚肉部2bの肉厚tは、金属管1Aに要求される使用寿命を考慮して定めるものであり、例えば、次のように定めることができる。 【0021】管体中央部分2aの肉厚t0 は、所望の年数の使用後においても必要な強度を確保しうる肉厚が残るように設定する。今、初期の肉厚t0 の2/3が使用後にも確保されるように設定するものとすると、許容される摩耗量はt0 ×1/3である。一方、厚肉部2bでは、焼入処理を施した管体中央部分2aに比べて摩耗速度が大きく、普通鋼では約2倍である。従って、厚肉部2bの摩耗量は、管体中央部分2aの摩耗量(t0 ×1/3)の約2倍であり、これだけの摩耗が生じた時にも厚肉部2bには管体中央部分2aの残りの肉厚(t0 ×2/3)以上の肉厚が残っている必要がある。従って、厚肉部2bの初期肉厚tは、 t0 ×2/3+t0 ×2/3=t0 ×4/3 以上即ち元の肉厚t0 の4/3倍以上とすればよい。 【0022】図7は本発明をを曲げ管に適用した実施形態を示すものであり、金属管1Bは両端に直管部を残し、中央部分を曲げ部とした管体2を有している。この実施形態における管体2も、管端に溶接を施す際に過大な熱影響を受ける部分に厚肉部2bを形成し、両端の厚肉部2b、2b間の管体中央部分2aは肉厚の薄いままとしている。そして、その管体中央部分2aの内面に、耐摩耗性を向上させる冶金的処理として耐摩耗性被覆5を形成している。この場合にも、被覆5を形成する代わりに、管体中央部分2aに、焼入等の耐摩耗性を向上させる冶金的処理を施しても良い。この構成の金属管1Bも図1〜図4に示す金属管1と同様に、端部にフランジを溶接接合してフランジ付金属管として使用するとか、管端同志を突き合わせ、溶接接合して使用される。 【0023】次に、曲げ部を有する金属管1Bの製造方法を説明する。まず、直管状の金属管1の製造と同様に、一定肉厚の真っ直ぐな鋼管管体の両端に増肉加工を施して厚肉部2bを形成し、次いでその鋼管の内面に耐摩耗性被覆5を形成する。その後、その金属管に対して曲げ加工を行う。曲げ加工の方法としては、公知の方法を適宜用いればよいが、中でも、図8に示す誘導加熱を利用した連続熱間曲げ加工方法を採用することが好ましい。この連続熱間曲げ加工方法は、図8に示すように、曲げ加工すべき管体2の曲げ先端側を支点Oを中心として旋回可能な曲げアーム23で把持し、その管体2の長手方向の小領域24を誘導コイル25で塑性変形容易な温度(例えば赤熱温度)に誘導加熱し、その管体2を矢印B方向に連続的に押すことによって、曲げアーム23を旋回させ、加熱した小領域24に曲げモーメントを付与して曲げ変形させ、同時に曲げ変形した直後の部分に誘導コイル25から冷却水等の冷却媒体26を噴射して冷却、固化させる方法であり、直管の所望領域に所望曲げ角度の曲げ加工を容易に行うことができるという利点を有している。 【0024】なお、連続熱間曲げ加工を行う際には管体を高温に加熱するので、加熱温度の設定によっては、管体内面に形成している自溶合金の耐摩耗性被覆5を再溶融処理することも可能である。従って、曲げ加工に供すべき、自溶合金の耐摩耗性被覆5を備えた金属管1Bを製造するに当たっては、直管状の管体の内面に自溶合金の耐摩耗性被覆5を形成する際、再溶融処理まで済ませておいてもよいが、溶融処理は行わず、単に溶射或いは回転ライニングによって焼結状態の被覆を形成し、その管体を連続熱間曲げ加工する際に曲げ加工と同時に被覆を再溶融処理して被覆中の気孔を無くし、緻密な耐摩耗性被覆5とする方法(特許第2607088号公報参照)を採用することもできる。この方法を採用すると、工程を簡略化してコストダウンを図ることができる。 【0025】また、図8に示す連続熱間曲げ加工方法では、加熱直後の領域に冷却媒体26を吹き付けて冷却しているため、この時の冷却速度の調整により、管体に焼入処理を施すことができる。従って、管体中央部分2に耐摩耗性を向上させる冶金的処理として焼入を行う場合には、直線状の管体に対しては焼入処理を施さず、曲げ加工の際に同時に焼入を行うことが、工程を簡略化してコストダウンを図ることができるので好ましい。 【0026】図7に示す実施の形態の金属管1Bでは、両端の厚肉部2bを直管部とし、管体中央部分2aを曲げ部としているが、厚肉部2bの一部も曲げ部とするように変更するとか、図9に示す金属管1Cのように厚肉部2bに続く管体中央部分2aの一部迄を直管部とするように変更してもよい。ただし、図9に示す構成の金属管1Cを製造するための曲げ加工として、図8に示す曲げ装置を用い、曲げ加工と同時に内面の被覆5の再溶融処理も行おうとすると、図8の装置では、管体中央部分2aのうち直管部となる部分の被覆5の再溶融処理を行うことができない。そこで、その場合には、図10(a)に示す方法を採用すればよい。 【0027】すなわち、図10に示すように、誘導コイル25を管軸方向に移動可能としておき、まず、図10(a)に示すように、管体2を曲げアーム23にセットし静止させた状態で、誘導コイル25を厚肉部2bの内側の端部から矢印Cで示すように直管部を構成する管体中央部分2aに沿って移動させて、その部分の被覆5の再溶融処理を行い、誘導コイル25が曲げ基準線O−P上に到達した時点で、図10(b)に示すように誘導コイル25を停止させ、同時に管体2を矢印B方向に前進させて曲げ加工を開始し、曲げ加工と被覆の再溶融処理を行う。そして、図10(c)に示すように、管体2の所定の範囲の曲げ加工が終了した時点で、管体2の移動を停止し、誘導コイル25を矢印Cで示すように直管部を構成する管体中央部分2aに沿って移動させて、その部分の被覆5の再溶融処理を行う。以上の動作により、曲げ部及びその両側の直管部に延びる管体中央部分2aの全長の被覆5を再溶融処理することができる。被覆の代わりに焼入を行う場合も同様である。 【0028】 【発明の効果】以上のように、本発明の耐摩耗性金属管は、焼入や金属系耐摩耗性被覆の形成といった耐摩耗性を向上させる冶金的処理を、管端の溶接時の熱影響を大きく受ける領域を除いた管体中央部分の管内面又は管外面若しくは管の内外面に施し、管端を含む小区間には管体中央部分よりも肉厚を大きくした厚肉部を設けるという構成としたことにより、管端に対して溶接接合を支障なく行うことができ、フランジを溶接接合してフランジ付金属管として使用するとか、管端同志を突き合わせて溶接接合するという使用方法を採用することができ、施工が容易となり、使用時には厚肉部が摩耗しても肉厚が大きいため耐摩耗処理を施している管体中央部分と同等の期間に亘って必要な肉厚を確保でき、耐用年数を長くすることができるという効果を有している。管体内面側に耐摩耗処理を施した金属管は、内部を流れる流体に対する耐摩耗性に優れるため、固形粒子を含むスラリー(例えば、コンクリート、水砕粉、コークス、セラミック等を含むスラリー)の輸送に好適である。 【0029】本発明の製造方法は、一定肉厚の鋼管等の管体の両端に熱間据込み増肉加工を施して肉厚部を形成しているので、低コストで両端に厚肉部を有する管体を製造でき、且つその厚肉部とそれに挟まれた管体中央部分とは継ぎ目のない完全に一体な構造であるので、継ぎ目による強度低下、品質むら等が発生せず、強度、品質の安定した管体を製造でき、結局、強度、品質の安定した耐摩耗性金属管を低コストで製造できるという効果を有している。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000208695 【氏名又は名称】第一高周波工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成10年10月20日(1998.10.20) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100075971 【弁理士】 【氏名又は名称】乗松 恭三
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| 【公開番号】 |
特開2000−120939(P2000−120939A) |
| 【公開日】 |
平成12年4月28日(2000.4.28) |
| 【出願番号】 |
特願平10−297683 |
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