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【発明の名称】 ロックリング及びその製造方法
【発明者】 【氏名】林 延彦

【氏名】中村 剛一

【要約】 【課題】継手内に挿入された樹脂製のパイプの裂き傷や切断を防止することができるとともに、パイプへの規制片の所要量の食い込みを確保することができるロックリング及びその製造方法を提供する。

【解決手段】ロックリング34は環状に形成されたベースリング35と、そのベースリング35から内方へ同一長さで突出する複数の規制片36とより構成されている。切欠き部39は隣接する全ての規制片36間の中央に形成されている。V字状をなすスリット40は前記切欠き部39の底部中央からベースリング35にかけて所定深さだけ形成されている。規制片36の縁部は半径が0.02〜0.2mmの円弧状にバレル加工法により面取りされるとともに、プレス成形時に発生するバリが除去されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 筒状をなす継手本体内に設けられた環状の受け面に係合されるとともに、筒状の押圧体の雄ねじ部を継手本体内に形成した雌ねじ部に螺合して構成される継手内に押圧体により位置決め固定され、樹脂製のパイプを押圧体内を介して継手本体内に設けられた当接面に当接するまで挿入したとき、パイプの端部の継手からの抜けを防止するロックリングにおいて、前記受け面に係合されるベースリングと、そのベースリングから内方へほぼ同一長さで突出する複数の規制片とを備え、前記規制片の少なくともパイプに食い込む内端縁及び規制片のパイプに食い込むのを制限する部分に面取りを施したロックリング。
【請求項2】 前記面取りを半径が0.02〜0.2mmの範囲内の円弧状をなすように施した請求項1に記載のロックリング。
【請求項3】 請求項1に記載のロックリングにおける規制片の少なくともパイプに食い込む内端縁及び規制片のパイプに食い込むのを制限する部分をバレル加工法、ショットピーニング法又はサンドブラスト法により面取りするロックリングの製造方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、水道配管、温水配管、床暖房、ロードヒーティング等に使用される樹脂製のパイプの端部を継手内から抜け出るのを防止するロックリング及びその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のロックリングとしては、特許第2685105号公報に開示されるパイプ継手に配設されるものが知られている。パイプ継手は、筒状をなしパイプの差込を許容するソケットと、その内部に設けられた内径拡大部に配設されるロックリング、バックアップリング及びシールリングと、ソケットの外周に螺合され、各リングのパイプ継手からの抜け出しを防止するキャップとより構成されている。
【0003】ロックリングは、環状をなすベースリングと、そのベースリングからその周方向に所定間隔をおいて突出する複数の規制片とがプレス成形法により形成される。また、各規制片の先端部には所定長さの爪が内方へ突出形成され、規制片の両側には規制片の幅方向へ突出する突部が形成されている。
【0004】そして、パイプを継手内に挿入したとき、ロックリングの規制片の爪が所要量だけパイプに食い込み、パイプ継手からのパイプの抜けを防止するとともに、突部により爪のそれ以上の食い込みを阻止して規制片がパイプ壁を貫通するのを防止するようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ロックリングをプレス成形法により形成するため、規制片の爪及び突部の縁部は尖っているとともに、バリが残っている。そのため、継手内に挿入されたパイプに引き抜き方向への外力が作用した場合、規制片の尖った縁部又はバリにより、パイプの規制片が食い込んだ部分に裂き傷が形成されてしまという問題があった。しかも、パイプの引き抜き方向への外力が増加した場合、裂き傷がさらに大きくなってパイプが切断され、その部分から輸送流体が漏出してしまうという問題があった。
【0006】この発明は、このような従来技術に存在する問題に着目してなされたものである。その目的とするところは、継手内に挿入された樹脂製のパイプの裂き傷や切断を防止することができるとともに、パイプへの規制片の所要量の食い込みを確保することができるロックリング及びその製造方法を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記の目的を達成するために、請求項1に記載のロックリングは、筒状をなす継手本体内に設けられた環状の受け面に係合されるとともに、筒状の押圧体の雄ねじ部を継手本体内に形成した雌ねじ部に螺合して構成される継手内に押圧体により位置決め固定され、樹脂製のパイプを押圧体内を介して継手本体内に設けられた当接面に当接するまで挿入したとき、パイプの端部の継手からの抜けを防止するロックリングにおいて、前記受け面に係合されるベースリングと、そのベースリングから内方へほぼ同一長さで突出する複数の規制片とを備え、前記規制片の少なくともパイプに食い込む内端縁及び規制片のパイプに食い込むのを制限する部分に面取りを施したものである。
【0008】請求項2に記載のロックリングは、請求項1に記載の発明において、前記面取りを半径が0.02〜0.2mmの範囲内の円弧状をなすように施したものである。
【0009】請求項3に記載のロックリングの製造方法は、請求項1に記載のロックリングにおける規制片の少なくともパイプに食い込む内端縁及び規制片のパイプに食い込むのを制限する部分をバレル加工法、ショットピーニング法又はサンドブラスト法により面取りするものである。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態について詳細に説明する。
(第1実施形態)図1及び図2に示すように、パイプ11は、架橋ポリエチレン又はポリブテンにより円筒状に形成され、水道の配管等に使用される。継手本体12は、真鍮又は青銅により筒状に形成され、その一端外周には第1雄ねじ部13が形成され、水道配管等の管体10に螺合可能になっている。ナット部14は継手本体12の他端外周に形成されている。そして、継手本体12と水道配管等の管体10の螺合及びその解除を行うとき、ナット部14にスパナ等を係合することにより、継手本体12を容易に回動させることができるようになっている。
【0011】第1雌ねじ部15は、継手本体12の他端側内周に形成されている。当接面16は、継手本体12内奥部に継手本体12の軸線と直交するように円環状に設けられている。傾斜面17は前記当接面16に連なる内周面の外端縁より、その内径が第1雌ねじ部15に向うに従い大きくなるように、継手本体12内に環状に形成されている。受け面18は、その傾斜面17の外周縁に、継手本体12の軸線と直交するように、継手本体12内に円環状に形成されている。
【0012】導入路45は継手本体12内の一端から当接面16にかけて形成され、継手本体12を水道配管等の管体10に螺合したとき、液体が導入路45を通過してパイプ11内へ流通するようになっている。傾斜壁46はナット部14側の導入路45の内周面が、前記第1雌ねじ部15側に向かうに従い、その内径を縮径するように形成されている。縮径部47は前記傾斜壁46の第1雌ねじ部15側の内周縁から、その内径が前記導入路45の内径より小さく形成されている。
【0013】押圧体19は、真鍮又は青銅により形成された円筒部20と前記継手本体12のナット部14の外形より小さく形成された把持部21とより構成されている。第2雄ねじ部22は、前記円筒部20の外周面に形成され、前記継手本体12の第1雌ねじ部15に螺合可能になっている。一対の係止部23は、前記把持部21の端部外周の対向する位置に切り欠き形成されている。そして、押圧体19を継手本体12に螺合及びその解除を行うとき、係止部23にスパナ等を係合することにより、押圧体19を容易に回動させることができるようになっている。
【0014】外周溝部24は、押圧体19の外周面中央に形成され、そこにはシール部材として、ゴムにより円環状に形成された第1シールリング25が嵌着されている。そして、押圧体19を継手本体12に螺合したとき、第1シールリング25が、押圧体19と継手本体12との隙間をシールするようになっている。第1内周溝部26は、押圧体19の内周中央よりやや把持部21側に形成され、そこにはシール部材としての断面円形状の第2シールリング27が嵌着されている。
【0015】第2内周溝部28は、前記第1内周溝部26より円筒部20側に形成され、第2内周溝部28の継手本体12の軸線方向への長さが第1内周溝部26と同じに、深さが第1内周溝部26より深く形成されている。
【0016】第2内周溝部28内には、第2シールリング27と同じ大きさの断面円形状のシール部材としての第3シールリング29が嵌着されている。そのため、押圧体19内にパイプ11が挿入されていない状態のとき、第2シールリング27は第3シールリング29より押圧体19の内方へ突出している。また、パイプ11の端部が押圧体19内に挿入されるとき、第3シールリング29に加わる抵抗は、第2シールリング27よりも低減されるようになっている。
【0017】その結果、押圧体19内を介して継手本体12内にパイプ11を挿入したとき、第2シールリング27及び第3シールリング29により、パイプ11と押圧体19との隙間をシールするようになっている。
【0018】図3に示すように、コアリング30は、真鍮又は青銅により形成された筒部31と、その一端に形成された鍔部32とより構成されている。環状部42は鍔部32の内端面32aから外端面32bにかけて環状に形成されている。斜状面43は環状部42の外端縁より、内方へ向かうに従い縮径するように形成されている。このとき、環状部42の外端縁からコアリング30の軸線方向へ延びる直線Lを仮想したとき、直線Lと斜状面43の外周とがなす角度θは30度に設定されている。また、コアリング30の軸線方向における環状部42の長さと、斜状面43の長さの比は1:2に設定されている。
【0019】筒部31は、パイプ11内に嵌入され、パイプ11が熱膨張等により内側へ変形するのを防止するようになっている。また、斜状部33は筒部31の基端部側から先端部に向かうに従いわずかに縮径するように形成されている。
【0020】そして、図5に示すように、筒部31はパイプ11の内側に嵌入されるようになっている。このとき、斜状部33によりパイプ11の内径のばらつきに対応することができるとともに、筒部31をパイプ11内に挿入しやすくしている。鍔部32の内端面32aがパイプ11の端面11aに係合する。
【0021】さらに、図6に示すように、その状態でパイプ11を継手本体12内に挿入したとき、斜状面43により、鍔部32が第2シールリング27及び第3シールリング29に引っかかることなく、円滑に挿入することができるようになっている。このとき、第2シールリング27は第3シールリング29より押圧体19の内方へ突出しているため、第2シールリング27のパイプ11に対する押圧力は、第3シールリング29より強くなっている。
【0022】そのため、パイプ11が第2シールリング27を通過するときの勢いにより、パイプ11は第3シールリング29を容易に通過することができ、パイプ11内に嵌入されたコアリング30の鍔部32の外端面32bを継手本体12内の当接面16に容易に当接させることができる。また、外端面32bは平面状に形成されているため、当接面16に密接してシール機能を発揮できるようになっている。
【0023】このとき、図1に示すように、コアリング30の内径と前記導入路45に形成された縮径部47の内径とが同じになるように構成されている。そのため、例えば、バルブの急激な開閉、気体の混入などによって、管体10内の流速が急変し、管体10内に異常圧力が発生するウォーターハンマー現象が生じた際、傾斜壁46によりコアリング30の鍔部32の外端面32bに異常圧力がかかるのを防止することができるようになっている。また、縮径部47により、異常圧力をコアリング30の内周面からパイプ11方向へ逃がすことができる。そのため、ウォーターハンマー現象等により、パイプ11が継手本体12内から抜け出るのを防止することができるようになっている。
【0024】また、図1に示すように、コアリング30が嵌入されたパイプ11の端部を押圧体19内を介して継手本体12内に挿入し、鍔部32の外端面32bを継手本体12内の当接面16に当接させたとき、押圧体19の端面とコアリング30の筒部31の端面とは同じ位置になるようになっている。そのため、コアリング30の端面と押圧体19の端面の位置関係を半透明のパイプ11の外部から目視することにより、鍔部32の外端面32bが継手本体12内の当接面16に当接しているか否かを確認することができるようになっている。
【0025】ロックリング34はステンレス鋼をプレス成形法により所定形状に成形した成形品を、研磨剤及び直径20mm以下の砥粒とともにロックリング34を容器内に投入し、必要に応じて水を加えながら50時間以内容器を振動又は回転させるバレル加工法、金属製の玉を高速でロックリング34にぶつけるショットピーニング法又はロックリング34にガラスビーズ等の研磨剤を吹き付けるサンドブラスト法のいずれかの方法により表面研磨して得られる。
【0026】サンドブラスト法はガラスビーズ等の微細な研磨剤を吹き付けるため、面取り能力が低く好ましくない。ショットピーニング法は金属製の玉を高速でロックリング34にぶつけることにより、ロックリング34が硬化するため好ましくない。従って、確実に面取りを施すことができるバレル加工法が好ましい。また、バレル加工法のうち、水を加えながら容器を高速回転させてロックリング34の面取りを行う湿式の高速回転バレル加工法が好ましい。
【0027】湿式の高速回転バレル加工法を採用した場合、直径が5mm以下の砥粒を使用し、水を加えながら容器を200〜2000r・p・mの回転数の範囲内で3時間以内回転させるのが好ましい。
【0028】その結果、ロックリング34の表面全体及び縁部を面取りすることができるとともに、プレス成形の際に生じるバリを除去することができるようになっている。回転又は振動時間が5時間を超えると、ロックリング34の表面全体及び縁部の面取りが過剰になり、パイプ11に食い込んだロックリング34の規制片36が抜けてしまい好ましくない。
【0029】そして、得られたロックリング34は、所定の強度を保持するために、厚さが0.2〜0.6mmの範囲内に形成されるのが好ましく、0.3〜0.5mmの範囲内に形成されるのがさらに好ましい。また、図4(a)、(b)に示すように、ロックリング34は環状に形成されたベースリング35と、そのベースリング35から内方へ同一長さで突出する複数の規制片36とより構成されている。各規制片36の先端部には円弧状をなし、パイプ11に食い込む食い込み部36aが形成され、基端部には規制片36がパイプ11に所要量以上食い込むのを制限する角部36bが形成されている。そして、規制片36はベースリング35の内周縁からベースリング35に対して45度で延びるように折り曲げ形成されている。そして、規制片36の基端部側から先端部側へパイプ11を挿入しやすくし、挿入されたパイプ11が抜けるのを規制するようになっている。
【0030】切欠き部39は隣接する全ての規制片36間の中央に、規制片36側からベースリング35側にかけて、規制片36がパイプ11に食い込む深さに対応するように円弧状に切欠き形成されている。切欠き部39の深さは、規制片36の先端から切欠き部39の底部までが、パイプ11に食い込んだとき、パイプ11の抜けを防止することができるように設定されている。
【0031】V字状をなすスリット40は前記切欠き部39の底部中央からベースリング35にかけて所定深さ、つまりパイプ11がロックリング34に挿入されたとき、規制片36の変形を許容する深さだけ形成されている。
【0032】図4(c)、(d)に示すように、ロックリング34の各規制片36の食い込み部36a及び角部36bの縁部はバレル加工法により面取りが施されている。このとき、食い込み部36a及び角部36bの縁部は、食い込み部36aが食い込んだパイプ11の部分に裂き傷が形成されるのを防止するとともに、所要量以上の食い込みを防止する角部36bが食い込むのを防止するために、半径が0.02〜0.2mmの円弧状に面取りされるのが好ましく、0.02〜0.1mmの円弧状に面取りされるのが特に好ましい。半径が0.2mmを越える円弧状に面取りが施されると、食い込み部36aがパイプ11から抜け出てしまい好ましくない。
【0033】そのため、ロックリング34にパイプ11の端部を挿入したとき、パイプ11に食い込む規制片36の食い込み部36aの内端縁及びその角部36bにより、パイプ11に裂き傷やさらには切断が生ずるのを防止することができるとともに、パイプ11のロックリング34からの抜けを防止するようになっている。
【0034】図1に示すように、ベースリング35は継手本体12の受け面18上に係合され、規制片36は傾斜面17との間に隙間を有するように位置している。そして、押圧体19を継手本体12に螺合したとき、押圧体19の円筒部20の先端部が、ベースリング35を位置決め固定するようになっている。そのため、ロックリング34が軸方向及び周方向へ移動するのを防止することができるようになっている。
【0035】また、パイプ11の端部をロックリング34に挿入したとき、規制片36はわずかに外方へ拡がり、その食い込み部36aから角部36bまでの所要量だけパイプ11の外周に食い込む。このとき、隣接する全ての規制片36間にはスリット40が形成されているため、規制片36の外方への拡がりを容易にしている。その結果、パイプ11が継手本体12に抜け止め規制されるようになっている。
【0036】しかも、規制片36の食い込み部36aは円弧状に形成されているため、規制片36のパイプ11への食い込み面積を小さくすることができるとともに、剪断力を低減することができる。また、隣接する全ての規制片36間には切欠き部39が形成されるとともに、角部36bが形成されている。そのため、規制片36の根元までパイプ11に食い込むのを防止するとともに、食い込みにより形成された裂き傷がつながるのを防止することができるようになっている。
【0037】そして、上記継手本体12、ロックリング34、コアリング30、押圧体19等により継手37が構成されている。次に、継手37にパイプ11を接続する方法について説明する。
【0038】まず、継手本体12の第1雄ねじ部13を水道配管等の管体10に螺合させ、スパナ等によりナット部14を螺進させ、継手本体12を管体10に締め付け固定する。次に、継手本体12内にロックリング34を嵌入し、そのベースリング35を継手本体12内の受け面18上に係合するとともに、規制片36を傾斜面17との間に隙間を有するようにする。
【0039】そして、押圧体19の第2雄ねじ部22を、継手本体12の第1雌ねじ部15に螺合させ、スパナ等を係止部23に係止して押圧体19を継手本体12に螺合する。このとき、ロックリング34が押圧体19の円筒部20の先端部により軸方向及び周方向に移動不能に位置決め固定されるとともに、第1シールリング25により、継手本体12と押圧体19との隙間がシールされる。
【0040】続いて、図5に示すように、コアリング30を、その斜状部33から筒部31をパイプ11に嵌入し、鍔部32の内端面32aがパイプ11の端面11aに係合するまで押し込む。このとき、斜状面43により、鍔部32が第2シールリング27及び第3シールリング29に引っかかることなく、円滑に挿入することができる。
【0041】また、第2シールリング27は第3シールリング29より押圧体19の内方へ突出しているため、第2シールリング27のパイプ11に対する押圧力は、第3シールリング29より強くなっている。そのため、パイプ11が第2シールリング27を通過するときの勢いにより、パイプ11は第3シールリング29を容易に通過することができる。
【0042】そして、図6に示すように、コアリング30が嵌入された側のパイプ11の端部を押圧体19内を介して継手本体12内に挿入する。このとき、コアリング30の筒部31の端面と押圧体19の端面との位置関係を目視し、それらが同じ位置になるまでパイプ11を押し込み、鍔部32の外端面32bを継手本体12内の当接面16に当接させる。
【0043】その結果、図1に示すように、第2シールリング27及び第3シールリング29により、パイプ11と押圧体19との隙間がシールされるとともに、パイプ11の端部は継手37に対して気密に接続される。また、ロックリング34によりパイプ11が継手37内に抜け止め規制される。
【0044】以上のように、この第1実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
・ 第1実施形態によれば、ロックリング34の各規制片36及びベースリング35はバレル加工法により、その縁部に面取りが施されるとともに、バリが除去される。そのため、ロックリング34にパイプ11の端部を挿入したとき、パイプ11に食い込む規制片36の食い込み部36aの内端縁及び角部36bにより、パイプ11に裂き傷、さらには切断が生ずるのを防止することができる。
【0045】・ 第1実施形態によれば、パイプ11に食い込む各規制片36の食い込み部36aの内端縁及び角部36bの面取りは、円弧の半径が0.02〜0.2mmの範囲内となるように設定されている。そのため、規制片36の内端縁のパイプ11への所要量の食い込みを確保することができ、継手本体12からパイプ11が抜け出るのを防止することができる。
【0046】・ 第1実施形態によれば、研磨剤及び直径が5mm以下の砥粒とともにロックリング34を容器内に投入し、水を加えながら容器を200〜2000r・p・mの回転数の範囲内で3時間以内回転させる湿式の高速回転バレル加工法により、ロックリング34の各規制片36の食い込み部36a及び角部36bの縁部の面取り確実に行うことができるとともに、バリを確実に除去することができる。
【0047】(第2実施形態)第2実施形態においては、前記第1実施形態と異なる点を主に説明する。図7及び図8に示すように、継手本体12内の受け面18上には、一対のロックリング34a、34bのベースリング35が、それらの間にスペーサ48を介装して係合されている。
【0048】図9(a)〜(d)に示すように、一対のロックリング34a、34bの各規制片36の先端部には、パイプ11に食い込む食い込み部36aが四角形状に形成され、その縁部はバレル加工法により面取り及びバリ取りが施されている。切欠き部39は隣接する全ての規制片36間の中央に、規制片36側からベースリング35に達するように切欠き形成されている。図9(c)に示すように、食い込み制限部36bは食い込み部36aの両側縁のテーパ部に形成され、食い込み部36aがパイプ11に食い込んだとき、規制片36がそれ以上パイプ11に食い込まないように制限している。
【0049】ロックリング34の各規制片36及びベースリング35の縁部はバレル加工法により面取りが施されている。このとき、規制片36の食い込み部36a及び食い込み制限部36bの縁部は、規制片36のパイプ11への所要量以上の食い込みを防止するために、半径が0.02〜0.2mmの円弧状に面取りされるのが好ましく、0.02〜0.1mmの円弧状に面取りされるのが特に好ましい。また、ロックリング34の表面全体及び縁部はバレル加工法により研磨されるとともに、プレス成形時に発生するバリが除去されている。
【0050】そのため、ロックリング34にパイプ11の端部を挿入したとき、パイプ11に食い込む規制片36の食い込み部36aの内端縁及び食い込み制限部36bにより、パイプ11に裂き傷さらには切断が生ずるのを防止することができるようになっている。
【0051】図8に示すように、スペーサ48は一対のロックリング34a、34b間に介装されるようになっている。このスペーサ48はその耐衝撃性等の強度を向上させるために、ステンレス鋼、真鍮又は樹脂により形成するのが好ましく、ステンレス鋼又は真鍮により形成するのが特に好ましい。また、スペーサ48は厚さ0.3〜1.0mmの環状に形成され、その環部48aの幅は、前記一対のロックリング34a、34bのベースリング35の幅と対応するようになっている。
【0052】図7及び図8に示すように、一対のロックリング34a、34bにおいて、一方のロックリング34aは、そのベースリング35が継手本体12の受け面18上に係合され、規制片36は傾斜面17との間に隙間を有するように位置している。スペーサ48は一方のロックリング34aのベースリング35を介して受け面18上に係合される。そして、他方のロックリング34bは、そのベースリング35が一方のロックリング34aのベースリング35及びスペーサ48を介して受け面18上に係合される。
【0053】このとき、他方のロックリング34bの規制片36は、スペーサ48の厚みにより一方のロックリング34aの規制片36との間に隙間を有するように、それらの内側に位置している。従って、一対のロックリング34a、34bにより、規制片36が2段に形成される。
【0054】そして、押圧体19を継手本体12に螺合したとき、押圧体19の円筒部20の先端部が、一対のベースリング35の間にスペーサ48を介装した状態で、一対のロックリング34a、34bを受け面18上に位置決め固定するようになっている。そのため、一対のロックリング34a、34bが軸方向及び周方向へ移動するのを防止することができるようになっている。また、パイプ11の端部を一対のロックリング34a、34bに挿入したとき、2段に位置する規制片36はそれぞれわずかに外方へ拡がり、その先端部がパイプ11の外周に2段に係合される。その結果、パイプ11が継手本体12に抜け止め規制されるようになっている。
【0055】また、パイプ11の端部を挿入するとき、一対のロックリング34a、34bの間にはスペーサ48が介装されているため、2段に位置する規制片36が重なるのを防止して、パイプ11の端部の挿入を容易にすることができるようになっている。
【0056】そして、上記継手本体12、一対のロックリング34a、34b、スペーサ48、コアリング30、押圧体19等により継手37が構成されている。以上のように、第2実施形態によれば、次のような効果が発揮される。
【0057】・第2実施形態によれば、継手本体12内の受け面18上には、一対のロックリング34a、34bのベースリング35が係合され、パイプ11の外周には一対のロックリング34a、34bにより2段に形成された規制片36が係合している。これら一対のロックリング34a、34bはいずれもバレル加工法により面取りが施されている。そのため、一対のロックリング34a、34bの規制片36の食い込み部36a及び食い込み制限部36bによるパイプ11の裂き傷や切断が生ずるのを防止しつつ、継手37からパイプ11が抜け出るのを確実に防止することができる。
【0058】・第2実施形態によれば、パイプ11の外周には一対のロックリング34a、34bにより2段に形成された規制片36が係合している。そのため、ロックリング34が1枚の場合と比較して、各規制片36にかかるパイプ11の抜け方向への力が低減する。その結果、ロックリング34の規制片36が金属疲労等により折れ曲がるのを防止して、ロックリング34の寿命を長期化させることができる。
【0059】尚、前記実施形態を次のように変更して具体化することも可能である。
・ 各実施形態において、ロックリング34の面取りを、乾式の回転バレル加工法により施すこと。又は、ロックリング34の面取りを、湿式又は乾式の振動バレル加工法により施すこと。このように構成した場合も、ロックリング34の縁部の面取り及びバリ取りを行うことができる。
【0060】・ 各実施形態において、ロックリング34の面取りを、金属製の玉をロックリング34にぶつけるショットピーニング法により行う、又はロックリング34にガラスビーズ等の研磨剤を吹き付けるサンドブラスト法により行うこと。このように構成した場合も、ロックリング34の縁部の面取り及びバリ取りを行うことができる。
【0061】・ 第1実施形態に使用されるロックリング34を2〜5個のいずれかとし受け面18上に係合すること。又は受け面18上に係合されるロックリング34の個数を2〜5個のいずれかにし、ロックリング34間にスペーサ48を任意又は交互に介装させること。このように構成した場合、パイプ11に係合されるロックリング34の規制片36の量が増加して、継手37からパイプ11が抜け出るのをより確実に防止することができる。
【0062】・ 第2実施形態に使用されるロックリング34を1個又は3〜5個のいずれかとし受け面18上に係合すること。又は受け面18上に係合されるロックリング34の個数を3〜5個のいずれかにし、ロックリング34間にスペーサ48を任意又は交互に介装させること。このように構成した場合、パイプ11に係合されるロックリング34の規制片36の量が増加して、継手37からパイプ11が抜け出るのをより確実に防止することができる。
【0063】・ 第1実施形態のロックリング34において、少なくとも隣接する一対の規制片36間の中央に、規制片36側からベースリング35にかけて、円弧状に切欠き部39を形成し、一対の隣接する規制片36の両側に前記切欠き部39より深い凹部を形成する。さらに、切り欠き部39の底部中央からベースリング35にかけて所定深さ、つまりパイプ11がロックリング34に挿入されたとき、規制片36の変形を許容する深さだけ形成すること。このように構成した場合、規制片36をパイプ11に所要量だけ食い込ませることができるとともに、継手37からパイプ11が抜け出るのを防止することができる。
【0064】・ 第1実施形態において、V字状のスリット40を線状のスリット40に変更すること。このように構成した場合も、スリット40により、パイプ11の端部をロックリング34に挿入したとき、規制片36の外方への拡がりを許容して、パイプ11のロックリング34への挿入を容易に行うことができる。
【0065】・ 各実施形態において、ベースリング35の外周縁から各規制片36にかけて、各規制片36の中央に位置するように凹所を切り欠き形成すること。このように構成した場合、パイプ11をロックリング34に挿入したとき、規制片36は軸線方向へ拡がりやすくなるため、パイプ11をロックリング34に容易に挿入させることができるとともに、材料の節約を図ることができる。
【0066】・ 各実施形態において、ロックリング34のベースリング35の内周縁から内方へ複数の規制片36を突出形成し、折り曲げ形成しないこと。このように構成した場合、パイプ11をロックリング34に挿入したとき、規制片36は軸線方向へ折れ曲がり、弾性力によりもとに戻り、その先端部をパイプ11の外周に食い込ませ、パイプ11を抜け止め規制することができる。
【0067】・ 各実施形態において、ロックリング34の材質をアルミニウム、鉄等に変更すること。このように構成した場合も、ロックリング34の機能を確実に発揮させることができる。
【0068】・ 各実施形態において、パイプ11を押圧体19内を介して継手本体12内に挿入したとき、ロックリング34の規制片36の食い込み部36aが係合するパイプ11の外周面に、予め環状の溝を形成すること。このように構成した場合、パイプ11を押圧体19内を介して継手本体12内に挿入したとき、ロックリング34の規制片36の食い込み部36aがパイプ11の溝に係合するため、パイプ11が抜け出るのを確実に防止することができる。
【0069】さらに、前記実施形態より把握される技術的思想について以下に記載する。
・ さらに前記ロックリングの各規制片の少なくともパイプに食い込む内端縁及び規制片のパイプに食い込むのを制限する部分をほぼ同じ半径の円弧状に面取りした請求項1又は請求項2に記載のロックリング。このように構成した場合、各規制片の少なくともパイプに食い込む内端縁及び規制片のパイプに食い込むのを制限する部分からパイプが切断されるのを確実に防止することができる。
【0070】・ 前記規制片の先端部を円弧状又は四角形状に形成した請求項1又は請求項2に記載のロックリング。規制片の先端部が円弧状の場合、規制片がパイプに所要量以上食い込むのを防止することができ、パイプの切断を防止することができる。四角形状に形成した場合、規制片をパイプに確実に食い込ませることができ、継手からパイプが抜け出るの防止することができる。
【0071】・ 筒状をなす継手本体内に設けられた環状の受け面を設け、環状をなし内方へ突出する面取りされた複数の規制片を備えたロックリングを前記受け面に係合し、そのロックリングを位置決め固定する筒状の押圧体の雄ねじ部を継手本体内に形成した雌ねじ部に螺合するとともに、樹脂製のパイプを押圧体内を介して継手本体内に設けられた当接面に当接するまで挿入してパイプの端部を前記ロックリングの規制片に係合させて抜け止め規制するように構成した継手。このように構成した場合、ロックリングの面取りされた規制片により樹脂製のパイプが切断されるのを防止することができるとともに、パイプが継手から抜け出るのを確実に防止することができる。
【0072】
【発明の効果】この発明は、以上のように構成されているため、次のような効果を奏する。請求項1に記載の発明のロックリングによれば、継手内に挿入された樹脂製のパイプの裂き傷や切断を防止することができるとともに、パイプへの規制片の所要量の食い込みを確保することができる。
【0073】請求項2に記載の発明のロックリングによれば、請求項1に記載の発明の効果をより確実に発揮させることができる。請求項3に記載の発明のロックリングの製造方法によれば、規制片の少なくともパイプに食い込む内端縁及び規制片のパイプに食い込むのを制限する部分を面取りしたロックリングを容易かつ確実に製造することができる。
【出願人】 【識別番号】000128968
【氏名又は名称】株式会社オンダ製作所
【出願日】 平成10年7月24日(1998.7.24)
【代理人】 【識別番号】100068755
【弁理士】
【氏名又は名称】恩田 博宣
【公開番号】 特開2000−46282(P2000−46282A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−209580