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【発明の名称】 圧力媒体供給装置
【発明者】 【氏名】カール ヒーシュタント

【要約】 【課題】圧力媒体を、位置固定して配置されている部材から回転駆動可能な部材へ供給するための圧力媒体供給装置において、構成が非常に簡潔であり、よって経済的に製造できるばかりでなく、半径方向の密封隙間の幅が確実に自動的に調整され、しかも伝達されるべき圧力媒体の作動圧力と、位置固定して配置されている部材と回転駆動可能な部材の間の相対回転数とに関係なく調整されるような圧力媒体供給装置を提供する。

【解決手段】位置固定して配置されている部材(2)の変位可能に保持されるリング(13)は、密封隙間(11)側の端面(16)に、密封隙間(11)の環状溝(18)に対して半径方向に間隔を持って配置される中間圧力室(31)を有している。中間圧力室(31)は、軸線方向に変位可能なリング(13)に形成した管路(36,37)を介して調整圧力室(35)と常時連通している。
【特許請求の範囲】
【請求項1】圧力媒体を、位置固定して配置されている部材(2;62)から回転駆動可能な部材(3;63)へ供給するための圧力媒体供給装置(1;61)であって、両部材(2;62;3;63)の間に半径方向に指向する密封隙間(11)が設けられ、両部材(2;62;3;63)の互いに対向する端面(16,17)に、位置固定して配置されている部材(2;62)に形成された圧力媒体供給管路(23,26,27;68,69)または回転駆動可能な部材(3;63)に設けられた管路(28;72)に接続されて圧力媒体を搬送する、互いに連通した環状溝(12,13;70,71)が穿設され、位置固定して配置される部材(2;62)が互いに相対回転不能に結合される二つのリング(12,13;65,66)を有し、そのうち密封隙間(11;81,81’)を画成しているほうのリング(13;66)が軸線方向へ変位可能に保持され、両リング(12,13;65,66)の間に少なくとも1つの調整圧力室(35;84)が設けられている前記圧力媒体供給装置において、位置固定して配置されている部材(2)の変位可能に保持されるリング(13)が、密封隙間(11)側の端面(16)に、密封隙間(11)の環状溝(18)に対して半径方向に間隔を持って配置される中間圧力室(31)を有し、または位置固定して配置されている部材(12;62)の軸線方向に変位可能なリング(13”;66)と回転駆動可能な部材(3;63)の間において、リング(13”;66)と回転駆動可能な部材(3;63)によって取り囲まれ、有利には軸線方向へ傾斜した環状隙間(52;83)から成る中間圧力室(31;51;82)が形成されていること、中間圧力室(31;51;82)が、軸線方向に変位可能なリング(13,13”;66)に形成した管路(36,37;85)を介して調整圧力室(35;84)と常時連通していることを特徴とする圧力媒体供給装置。
【請求項2】回転駆動可能な部材(3)が、位置固定して配置されている部材(2)に挿入される軸(14)、有利には中空軸と、この軸から半径方向へ突出している突出部材(15)とを有していることを特徴とする、請求項1に記載の圧力媒体供給装置。
【請求項3】位置固定して配置されている部材(2)の変位可能なリング(13)が、それぞれ軸線方向に指向する穴(24)内に配置される1個または複数個の挿入部材(25)で保持され、挿入部材(25)が、位置固定して配置されている部材(2)に装着され、または位置固定して配置されている部材(2)が2つの部分から構成されている場合には該部材(2)に挿着されていることを特徴とする、請求項1または2に記載の圧力媒体供給装置。
【請求項4】挿入部材(25)の1つが、位置固定して配置されている部材(2)の両リング(12,13)に形成された圧力媒体供給ダクト(23;27)と連通しているリードオーバー管路(26)を備えていることを特徴とする、請求項3に記載の圧力媒体供給装置。
【請求項5】軸線方向へ変位可能なリング(13)が、球面状等に形成された外面(30)を介して、該リング(13)を収容している定置のリング(12)で振動可能に支持されていることを特徴とする、請求項1から4までのいずれか一つに記載の圧力媒体供給装置。
【請求項6】調整圧力室(35,35’)が、変位可能なリング(13)または定置のリング(12’)で支持されている1個または複数個のピストン(34,34’)により形成され、ピストンは、両リング(12,13)に穿設された穴(32,33または32’,33’)に挿入されていることを特徴とする、請求項1から5までのいずれか一つに記載の圧力媒体供給装置。
【請求項7】調整圧力室(35)が定置のリング(12’)内に配置され、ピストン(34)が、中間圧力室(31)を調整圧力室(35)と連通させている管路(37)を備えていることを特徴とする、請求項6に記載の圧力媒体供給装置。
【請求項8】調整圧力室(35’)が軸線方向へ変位可能なリング(13)内に配置され、且つリング(13)に形成した管路(36’)を介して中間圧力室(31)と連通していることを特徴とする、請求項6に記載の圧力媒体供給装置。
【請求項9】調整圧力室(35,35’;84)の、圧力媒体によって付勢される面が、中間圧力室(31)の半径方向の面よりも大きく、場合によっては、軸線方向へ変位可能なリング(13)に穿設された環状リング(18)の半径方向の面をも含めた面よりも大きいことを特徴とする、請求項1から8までのいずれか一つに記載の圧力媒体供給装置。
【請求項10】調整圧力室(35,35’)の少なくとも1つが流出絞り(46)を備えていることを特徴とする、請求項1から9までのいずれか一つに記載の圧力媒体供給装置。
【請求項11】調整圧力室(35’)の流出絞り(46)は、ピストン(34’)の1つが定置のリング(12’)の穴(33’)に半径方向に遊びを持って挿入され、且つ調整圧力室(35’)が軸線方向へ変位可能なリング(13)内に配置されている場合にはそれぞれ連通ダクト(37’)を備えていることによって形成され、またはピストン(34’)の1つが調整圧力室(35’)に接続されている絞り管路(46)を有していることによって形成されていることを特徴とする、請求項10に記載の圧力媒体供給装置。
【請求項12】半径方向の密封隙間(11)の最大隙間サイズを調整するため、変位可能なリング(13)の位置調整経路が1個または複数個の機械的なストッパー(40)により制限されていることを特徴とする、請求項1から11までのいずれか一つに記載の圧力媒体供給装置。
【請求項13】機械的なストッパー(40)が、軸線方向へ変位可能なリング(13)に挿入され定置のリング(12’)と協働するピストン(34)によって形成され、ピストン(34)が調整圧力室(35)側の端面に突起(39)を備えていることを特徴とする、請求項12に記載の圧力媒体供給装置。
【請求項14】軸線方向へ変位可能なリング(13’;66)に穿設されている環状溝(18;70)に、この環状溝とは逆の側で両リング(12’,13’;65,66)により取り囲まれ且つ環状溝または圧力媒体供給管路(68)と連通する補償室(41;73)が付設され、補償室の、環状溝(18;70)の方向に付勢される面が、有利には環状溝(18;70)の半径方向の環状面とほぼ同じ大きさであることを特徴とする、請求項1から13までのいずれか一つに記載の圧力媒体供給装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明が属する技術分野】本発明は、圧力媒体を、位置固定して配置されている部材から回転駆動可能な部材へ供給するための圧力媒体供給装置であって、両部材の間に半径方向に指向する密封隙間が設けられ、両部材の互いに対向する端面に、位置固定して配置されている部材に形成された圧力媒体供給管路または回転駆動可能な部材に設けられた管路に接続されて圧力媒体を搬送する、互いに連通した環状溝が穿設され、位置固定して配置される部材が互いに相対回転不能に結合される二つのリングを有し、そのうち密封隙間を画成しているほうのリングが軸線方向へ変位可能に保持され、両リングの間に少なくとも1つの調整圧力室が設けられている前記圧力媒体供給装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】ドイツ連邦共和国特許公開第2408801号公報から知られている液圧シリンダ装置では、上記の種類の装置を用いて圧力媒体が二分割形成され位置固定して配置されている部材から半径方向に指向する密封隙間を介して回転シリンダ内へ送入される。この場合、軸線方向へ変位可能なリングを常時接触できるようにするため、このリングと位置固定されている部材の他のリングとの間に、予め緊張せしめられた複数個の圧縮ばねが挿入されている。さらに、リングの間に設けられた調整圧力室には付加的な圧力媒体用接続部を介して別個に圧力媒体を供給できる.
【0003】上記の調整圧力室には、伝達されるべき媒体の作動圧力に依存した圧力媒体を供給できるので、この調整圧力室を用いて、媒体の流体力学的摩擦によって半径方向の密封隙間に生じる軸線方向の高い力に反作用を及ぼすことができるが、この公知の装置の場合、半径方向の密封隙間の幅を自動的に調整することはできない。すなわち、予め緊張せしめられた圧縮ばねにより軸線方向へ変位可能なリングに対し常時圧力が作用するため、このリングは付加的に一定の力で回転シリンダに対して押圧され、その結果、特に圧力媒体が小さな作動圧力で伝達する場合、軸線方向へ変位可能なリングがシリンダに接触するのを回避できないからである.とりわけ欠点なのは、圧力媒体の伝達が行なわれなくなると、軸線方向へ変位可能なリングが圧縮ばねの力により回転シリンダに接触することである.このような作動状態では金属摩擦が発生するため、環状溝領域での磨耗が著しく大きくなり、したがってこの圧力媒体伝達装置では長期にわたる寿命が保証されていない.
【0004】
【発明が解決しようとする課題】したがって本発明の課題は、冒頭で述べた種類の、圧力媒体を、位置固定して配置されている部材から回転駆動可能な部材へ供給するための圧力媒体供給装置において、構成が非常に簡潔であり、よって経済的に製造できるばかりでなく、半径方向の密封隙間の幅が確実に自動的に調整され、しかも伝達されるべき圧力媒体の作動圧力と、位置固定して配置されている部材と回転駆動可能な部材の間の相対回転数とに関係なく調整されるような圧力媒体供給装置を提供することである。軸線方向へ変位可能なリングをある程度浮動支持し、半径方向の密封隙間をその都度最小値に設定することにより、位置固定して配置されている部材と回転駆動可能な部材の間に金属摩擦がほとんど生じないようにし、漏れ損を少なくさせることをも課題とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】この課題は、本発明によれば、圧力媒体を、位置固定して配置されている部材から回転駆動可能な部材へ供給するための圧力媒体供給装置において、位置固定して配置されている部材の変位可能に保持されるリングが、密封隙間側の端面に、密封隙間の環状溝に対して半径方向に間隔を持って配置される中間圧力室を有し、または位置固定して配置されている部材の軸線方向に変位可能なリングと回転駆動可能な部材の間において、リングと回転駆動可能な部材によって取り囲まれ、有利には軸線方向へ傾斜した環状隙間から成る中間圧力室が形成されていること、中間圧力室が、軸線方向に変位可能なリングに形成した管路を介して調整圧力室と常時連通していることにより解決される。
【0006】この場合、回転駆動可能な部材が、位置固定して配置されている部材に挿入される軸、有利には中空軸と、この軸から半径方向へ突出している突出部材とを有し、位置固定して配置されている部材の変位可能なリングを、それぞれ軸線方向に指向する穴内に配置される1個または複数個の挿入部材で保持し、挿入部材が、位置固定して配置されている部材に装着され、または位置固定して配置されている部材が2つの部分から構成されている場合には該部材に挿着されているのが合目的である。この場合、挿入部材の1つは、位置固定して配置されている部材の両リングに形成された圧力媒体供給ダクトと連通しているリードオーバー管路を備え、軸線方向へ変位可能なリングは、球面状等に形成された外面を介して、該リングを収容している定置のリングで振動可能に支持されている。
【0007】さらに、調整圧力室が、変位可能なリングまたは定置のリングで支持されている1個または複数個のピストンにより形成され、ピストンは、両リングに穿設された穴に挿入されているのが有利である。調整圧力室が定置のリング内に配置されている場合には、ピストンは、中間圧力室を調整圧力室と連通させている管路を備えているべきである。
【0008】調整圧力室の、圧力媒体によって付勢される面は、中間圧力室の半径方向の面よりも大きく、場合によっては、軸線方向へ変位可能なリングに穿設された環状リングの半径方向の面をも含めた面よりも大きい。また、調整圧力室の少なくとも1つは流出絞りを備えているべきである。調整圧力室の流出絞りは、ピストンの1つが定置のリングの穴に半径方向に遊びを持って挿入され、且つ調整圧力室が軸線方向へ変位可能なリング内に配置されている場合にはそれぞれ連通ダクトを備えていることによって、形成され、またはピストンの1つが調整圧力室に接続されている絞り管路を有していることによって形成されている。
【0009】半径方向の密封隙間の最大隙間サイズを調整するためには、変位可能なリングの位置調整経路が1個または複数個の機械的なストッパーにより制限されているのが好ましい。これを実現するため、機械的なストッパーは、軸線方向へ変位可能なリングに挿入され定置のリングと協働するピストンによって形成され、ピストンが調整圧力室側の端面に突起を備えている。
【0010】さらに、軸線方向へ変位可能なリングに穿設されている環状溝に、この環状溝とは逆の側で両リングにより取り囲まれ且つ環状溝または圧力媒体供給管路と連通する補償室が付設され、補償室の、環状溝の方向に付勢される面が、有利には環状溝の半径方向の環状面とほぼ同じ大きさであるのが有利である。
【0011】
【発明の効果】圧力媒体を位置固定して配置されている部材から回転駆動可能な部材へ供給するための圧力媒体供給装置を本発明にしたがって構成すると、中間圧力室と調整室により常に圧力平衡が行なわれるので、半径方向に指向する密封隙間は自動的に最大の軸線方向幅に調整される。これにより、位置固定して配置されている部材の軸線方向へ変位可能なリングが回転部材に接触すること、よって金属部品が互いに摩擦しあうことが確実に回避される。したがって、本発明により構成された圧力媒体伝達装置の故障のない作動が長期間にわたって保証されている。また、漏れが少ないのも有利である。したがって、伝達されるべき媒体の作動平均圧力に依存せず、また位置固定して配置されている部材と回転駆動可能な部材との回転数の差にも依存しない確実な圧力媒体伝達が実現される。
【0012】
【発明の実施の形態】次に、位置固定して配置されている部材と回転駆動可能な部材とを有する本発明の圧力媒体供給装置の二つの実施形態について詳細に説明する。
【0013】図1ないし図5に図示した装置1は圧力媒体(たとえば油圧油)を、位置固定して配置されている部材2から、中空締付けシリンダ4が固定されている回転駆動可能な部材3へ供給するために用いられ、位置固定して配置されている部材2を形成しているリング12と13と、半径方向に突出している突出部材15を備えた、前記回転駆動可能な部材3としての中空軸14とを有している。リング13と突出部材15の間には、半径方向に向けられた密封隙間11が設けられている。中空締付けシリンダ4に供給される圧力媒体は、伝達の際にこの密封隙間11を介してリング13から突出部材15へ流れる。このため、リング13または突出部材15の互いに対向している端面16と17には、互いに連通し周回している環状溝18または19が形成されている。環状溝18または19は、定置の部材2のリング12に設けられた接続管21と連通し、または管路28を介して、シリンダ4に設けられ且つシリンダ4に挿入されるピストン5によって形成された圧力室7と連通している。中空軸として形成されたピストン棒6を介して、圧力媒体の供給による付勢の際に軸線方向において図の左側へ移動可能なピストン5がたとえばチャックの操作部材に連結されている。
【0014】リング13の環状溝18内への圧力媒体の供給は、挿入部材25を介して行なわれる。挿入部材25は、リング13に穿設された穴24に挿入され、このためにねじ20により固定されているカバー12’を有するリング12内に軸線方向に間隔を持って保持されている。挿入部材25には、リング12と13に設けられた管路23または27と連通する管路26が穿設されている。
【0015】この場合管路23は接続管21と連通し、管路27は環状溝18と連通しており、挿入部材25とリング12の間に管路23と26を密封するパッキン29が設けられているので、環状溝18にはロスなしに圧力媒体を供給可能である。
【0016】定置の部材2のリング18には、特に図2からわかるように、周方向に配分して配置される他の穴32が穿設されている。穴32には段付きピストン34が1つの終端部材により挿着されている。ピストン34の他の終端部材はカバー12’に穿設した穴33に係合している。したがって、リング13はピストン34によりカバー12’と相対回転不能に結合され、よって部材2とも相対回転不能に結合されている。さらに、ピストン34はカバー12’とともにそれぞれ1つの調整圧力室35を形成している。これらの調整圧力室35には、圧力媒体がリング13に設けられた管路36とピストン34に穿設された管路37とを介してリング状の中間圧力室31から供給される。リング状の中間圧力室31は、環状溝18に対して半径方向に間隔を持ってリング13の端面16に形成されている。調整圧力室35はピストン34に挿着されたパッキン38により密封され、且つリング13はピストン34によって相対回転不能に、しかし軸線方向に変位可能に挿入部材25で保持されるとともに、球面状の外面30を介してリング12で支持されているので、中間圧力室31内の軸線方向の力と調整圧力室35内に生じるスラスト力の間に平衡状態が生じる。
【0017】装置1を介して圧力媒体が中空締付けシリンダ4に供給されると、圧力媒体は管路23,26,27を介して、まずリング13に穿設した環状溝18内へ流入し、その後部材3が回転しても環状溝19と管路28を介して圧力室7内へ流動する。この場合、伝達されるべき圧力媒体は環状溝18と19内にある。というのは、管路18は絞りとして作用し、特に圧力室7内に発生する圧力により圧力状態にあるためで、したがってリング13にはスラスト力が作用し、このスラスト力によりリング13はわずかに右側へ変位し、このリング13と突出部材15の間の密封隙間11が開口する。この軸線方向の変位のために、圧力媒体は環状溝18から密封隙間11を通って内側へ、特に外側へも流出することができ、したがって中間圧力室31内へ達し、中間圧力室31から管路36と37を介して調整圧力室35内へ達する。調整圧力室35内に発生する圧力により、ピストン34およびこれとともにリング13も環状溝18および中間圧力室31内の力に抗して同様に左側へ変位し、その結果半径方向に指向している密封隙間11の幅が小さくなり、調整圧力室35内への圧力媒体の供給が減少する。リング13およびピストン34がこの作動状態にあるとき調整圧力室35内の圧力は漏れにより、または制御されて解消されるので、平衡状態がなくなると上記の運動過程が常時繰り返され、リング13は2つの終端位置の間をある程度振動する。
【0018】しかし、ピストン34に作用する圧力により、環状溝18および中間圧力室31内に発生する軸線方向の力ばかりでなく、半径方向の密封隙間11内へ排流される圧力媒体の流体力学的摩擦によって発生する力も反作用を受ける。密封隙間11の幅を制限するため、ピストン34にはカバー12’側に突起39が一体成形されている。これらの突起39は、カバー12’と協働するストッパー40を形成している。ころ軸受9により中空軸14で支持されているリング12に形成した接続部22を介して、半径方向に指向する密封隙間11を介して排流される圧力媒体は循環系へ戻される。
【0019】図3に図示した変形実施形態の場合、調整圧力室35’はリング13の内部に設けられている。ピストン34’は、リング13に穿設した穴32’とカバー12’に設けた穴33’とに挿入されており、したがってリング13は相対回転不能に保持されている。よって圧力媒体は管路36’を介して中間圧力室31から直接調整圧力室35’内へ流動する。調整圧力室35’は、ピストン34’に挿着したパッキン38’により密封されている。
【0020】調整圧力室35’内の圧力を制御して減圧させるため、ピストン34’の1つには中心部に管路37’が形成され、穴33’に係合する領域には外側面に絞り管路46が形成されている。したがって、互いに中間圧力室31を介して連通している調整圧力室35’内の圧力は、絞り管路46を介して流出する圧力媒体により遮断される。図3からわかるように、定置の部材2は一点鎖線で示した保持体10により機械の一部分に支持させることができ、よって回転部材3に直接支持されない。
【0021】図4によれば、環状溝18に補償室41が付設されている。補償室41は、リング13’の環状溝18とは逆の側に設けられている。補償室41を形成するため、カバー12’とリング13’とはそれぞれ軸線方向へ突出する突出部材42または43を備えている。これらの突出部材により補償室41が取り囲まれる。パッキン44により密封されている補償室41は、管路45を介して、リング13’に設けられた管路27に接続されている。
【0022】補償室41により、該補償室内にスラスト力が発生し、このスラスト力の方向は環状溝18内に発生するスラスト力とは逆の方向である。これによりこれらスラスト力が平衡状態になり、よってリング13’を戻すために必要な力はわずかで済む。
【0023】図5に図示したように、調整圧力室35と連通している中間圧力室51は、回転部材3の軸14とリング13”の間に設けられている軸線方向の隙間52によっても形成することができる。したがって、半径方向に指向する密封隙間11’,11”は互いに側方へずれた2つの密封隙間に分割されている。
【0024】図6に示すように、位置固定して配置される部材62から回転駆動される部材63およびこの回転駆動される部材と連結されるシリンダ74に圧力媒体を伝達させるための装置61の場合も、定置の部材62は二つのリング65と66から構成されている。これらリングはピン67を介して互いに相対回転不能に結合されているが、リング66はリング65に対して軸線方向へ変位可能に配置されている。さらに、半径方向へ指向する密封隙間81,81’は二つの部分領域に分割されており、これらの部分領域の間には、軸線方向に延びる環状隙間により形成された中間圧力室82が設けられている。リング66に形成した管路85を介して中間圧力室82は周回している調整圧力室84と連通している。
【0025】さらにこの実施形態の場合、補償室73が設けられている。補償室73は環状溝70と同じ径範囲にある。環状溝70により、圧力媒体はリング66から、回転部材63に形成され管路72を介してシリンダ64と連通している環状溝71へ伝達される。管路68と69を介して圧力媒体は接続管74から環状溝70へ供給可能である。
【0026】シリンダ64への圧力媒体の供給と、リング66の常時の振動とは、図1または図5の装置1の場合と同様にして行なわれる。密封隙間81,81’から流出する圧力媒体は、この実施形態の場合も復路管75またはこの復路管の前に配置されている復路管路86を介して再び循環系へ供給される。
【出願人】 【識別番号】594197344
【氏名又は名称】カール ヒーシュタント
【出願日】 平成11年7月14日(1999.7.14)
【代理人】 【識別番号】100063130
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 武久 (外1名)
【公開番号】 特開2000−46275(P2000−46275A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平11−200658