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【発明の名称】 耐震用管継手端部の防食構造とその成形方法
【発明者】 【氏名】平田 祥一

【氏名】岡本 芳樹

【要約】 【課題】切り管の挿し口を防食化しつつ耐震構造とするためには煩瑣な作業性や管内圧の損失などの障害が伴い易い。

【解決手段】切り管の挿し口1の切り口11および傾斜面12へ先端緩衝材3を全面添着被覆すると共に、挿し口リング2の露出した内側面21、隠れた内側面22へそれぞれバックアップリング6、溝部緩衝材4を添着し、該先端緩衝材3の全面から挿し口リング2の露出面とバックアップリング6にかけて薄板の耐食性金属を成形してなる防食カバー5を被冠し、バックアップリング6の下端部と溝部緩衝材4の上端部を離脱不能に係合した構成とする。防食塗装の削り取られた非塗装面や露出した挿し口リング2外面を防食カバー5で被覆して発錆を阻止すると共に、バックアップリング6と溝部緩衝材4の共働きによって、抜け止め作用と残る非塗装面の嵌合溝側面を発錆から守る。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 切り管を含む耐震用管継手において、切り管の挿し口1の切り口11および傾斜面12よりなる非塗装面へ先端緩衝材3を全面に添着被覆すると共に、挿し口リング2の露出した内側面21にはバックアップリング6を、また嵌合溝13内に嵌まって露出しない内側面22と該溝側面との間隙には溝部緩衝材4をそれぞれ取り付け、該先端緩衝材3の全外周面から挿し口リング2の露出面およびバックアップリング6の内側面61にかけて薄板の耐食性金属を成形してなる防食カバー5を被冠し、バックアップリング6の下端部と溝部緩衝材4の上端部を離脱不能に係合したことを特徴とする耐震用管継手端部の防食構造。
【請求項2】 請求項1において、溝部緩衝材4は断面がほぼL形の弾性環状体で形成し、前記間隙内へ嵌入する本体41の頂面から水平に突出しテーパ面42で終る横向き突部43を具え、一方、バックアップリング6の下底面も水平に突出してテーパ面62を含む横向き突部63を具え、溝部緩衝材4のテーパ面42、横向き突部43をバックアップリング6のテーパ面62、横向き突部63が圧縮しつつ離脱不能に係合していることを特徴とする耐震用管継手端部の防食構造。
【請求項3】 請求項1または2において、挿し口リング2を開き勝手の一つ割環状体で形成し、その分割面23近くの内側面21へ絞り孔24を設けたことことを特徴とする耐震用管継手端部の防食構造。
【請求項4】 請求項1乃至3の何れかにおいて、防食カバー5の外周面のうち、先端緩衝材3の外周面を被覆する範囲を除いた残りが、挿し口リング2の許容される最大外径Dと最小外径dとを交互に繰り返した波形の凹凸面よりなる筒体であることを特徴とする耐震用管継手端部の防食構造。
【請求項5】 請求項1乃至4の何れかにおいて、先端緩衝材3および防食カバー5が挿し口先端の切り口11の内周面で折り返して挿し口内周面14の一部まで連続的に添着していることを特徴とする耐震用管継手端部の防食構造。
【請求項6】 切り管を含む耐震用管継手端部の防食構造の成形方法において、切り管の挿し口1の端部外周面で挿し口リング2用の嵌合溝13および傾斜面12を切削して成形し、挿し口外周面15上へ溝部緩衝材4とバックアップリング6とを預け、前記嵌合溝13へ挿し口リング2を嵌合すると共に、切り口11、傾斜面12の非塗装面を全面的に被覆する先端緩衝材3を取り付け、あらかじめ後端面51を除く所定の形状通りに成形した防食カバー5を前記先端緩衝材3および挿し口リング2の外周面に亘って被冠した後、挿し口リング2の上方に露出した内側面21に接して溝部緩衝材4を、また嵌合溝13内に嵌まって露出しない内側面22に接してバックアップリング6をそれぞれ添着して相互に離脱不能に係合固定し、さらに防食カバー5の後端部を屈折してバックアップリング6を押圧する後端面51を成形して締め付けることを特徴とする耐震用管継手端部の防食構造の成形方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は地下に埋設して水道用の管路を形成する鋳鉄管の管継手、特に標準規格の鋳鉄管同士の接続ではなくて、現場施工時の寸法調整のため鋳鉄管を途中で切断したときに生じる切り管を含む耐震用管継手端部の防食構造に係る。
【0002】
【従来の技術】鋳鉄管は外面塗装と内面ライニングによって全面的に防食機能を具え、地中に敷設されて管外周面で接する土砂の含有水分やその他の腐食性雰囲気に取り囲まれ、管内では常に流水と接していても、容易に腐食が進行しないように保護されている。したがって通常の敷設工事のように鋳鉄管の受口内へ別の鋳鉄管の挿し口を挿入し、適当な止水用のパッキングなどを介装して水封状態で相互に接合すれば、ほとんど完全に水分の侵入する機会がなく、良質の飲料水を需要者まで届けるのに何の懸念も起こらない。
【0003】しかし、管路の敷設が常に定寸法の鋳鉄管の接合だけで終わるとは限らない。ほとんどの敷設工事では、その工区の最後となる接合地点が鋳鉄管の定寸法で終わることは稀であり、所定の長さとなるように途中で切断した鋳鉄管で半端となった工事範囲を完結する場合が通常の態様である。
【0004】途中で工事の都合によって現地切断した切り管は、少なくとも切り口では防食塗料が削り取られ、管路を地下に敷設して腐食性雰囲気に曝されたときには、露呈した鋳鉄地肌が集中的に腐食作用を受けるウィークポイントとなる。他の表面が如何に防食機能で保護されていようとも、1箇所でも金属面の曝露した弱点が存在すれば、全体としての防食性は完全に失われ、腐食が集中して発錆部が急速に成長し、鋳瘤状に膨出した欠陥となって管内の通水を赤く汚濁し、赤水を家庭に届けるという不手際に発展する懸念が高くなる。
【0005】現地において所望の寸法にダクタイル鋳鉄管を切断して継ぎ足す方式は現状では避け難いから、この切り口の防水性を確保するための手段が要請されることは当然の成行きである。最も原始的には切り管の切り口で切断時に欠けた防食塗料を補修するために現地で再塗布し、防食機能を回復する施工方法があるが、その他、切り管の切り口に樹脂製の防錆カバーを添着し、露出した鋳鉄の表面を被覆して防食機能を回復する例なども実施されている。
【0006】図12(A)(B)は実開平4−138195号公報で提示された従来技術であって、接続する相手の管は図(B)からも窺えるように標準形状の受口であり、この受口に対して切り管の先端を挿し口として接合する場合を想定としている。対象とする管の内径よりやや小径の筒体101は、周方向に連続する環状フィン102を軸方向に定間隔毎に複数個設け、中央にストッパとしての環状突条103を突設した弾性ゴム材からなるシール部材104と、該シール部材104の内面に、軸方向に連続した切開部を有する金属製筒105が同軸一体に嵌合した複合層を要旨とする。この可撓性を具えたシール部材104の弾性変形と、背後を支える金属筒105に切り込んだ切開部が許容する変形によって、管の許容公差による内径のばらつきを吸収し、ゴム材の強度的な弱点は背後に嵌合する金属筒の強度によって補完するという発想である。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】一方、先年の阪神大震災において得られた教訓として、耐震構造の配管系の威力をまざまざと見せつけられ今後の水道管敷設工事には不可欠の要件となった。耐震構造には種々の型式があるが、たとえば、スリップオンタイプとして図13に示すダクタイル鋳鉄管のNS形継手では、受口202に予め芯出し用ゴム251とロックリング205を嵌入し、さらに挿し口201に挿し口リング212を突設し、最も抜け出した位置ではロックリング205と挿し口リング212が係止してそれ以上の抜け出しを阻止する一方、最も挿し込んだ位置で挿し口先端211と受口202の最深部に相当する段差221が係止してそれ以上の突っ込みを阻止するから、この範囲において地震などの揺動、振動に遭遇しても管が離脱しないような構成を示している。
【0008】ここで例示した従来技術のうち、現地での再塗装については塗料材の調合、塗布作業を塗装の専門家で実施するわけではなく、作業性や塗装面の品質の点で一抹の不安がないわけではない。加えて施工が寒冷地や厳冬期における管路敷設工事であるケースも当然起こり得るから、塗装後の乾燥に長い時間を費やし作業性の低下を招く要因に挙げられることも稀ではない。さらに現地作業では施工後の検査も不十分となる虞れがあり得るので、塗り残しを見落したり、塗膜が適性ではないため折角施した防食機能が完全に発揮されずに局部的な発錆を生じる懸念も残る。
【0009】継ぎ足し配管時に専用の継手用防食コアを適用することは前記手作業の低い信頼性を確実に改善する。しかし図12のような専用の継手用防食コアを図13のような耐震用管継手の切り管に適用することは極めて難しい。すなわち切り管はどこで切るかあらかじめ不明であり、図13のように挿し口リングをダクタイル鋳鉄管製造の時点であらかじめ挿し口に周設しておくことはできない。必ず敷設工事現場において寸法切り後に切り口近くに凹溝を加工刻設し、その溝内へ挿し口リングを挿嵌する方式を採らざるを得ない。このため切り口の他に溝部全面にも非塗装面が現われ、同時に耐震機能を保証するためには、図13のように挿し口先端が受口内のある範囲に亘って相対的に移動し得る構造でなければならない。この可動範囲を図12の防食用コアを適用してカバーしようとすれば、図14のように極めて広い範囲に亘る長さが必要となる。現実的にこのような長い区間に亘って管内径が短縮することは、圧力損失を招くという管路としての本質的欠陥に繋がり、また防食コアの製造や接合作業の上でも煩瑣であり、工程上の大きな負担となる懸念が高い。
【0010】本発明は以上の課題を解決するため現地の敷設工事で切り口を使用した耐震構造の接合が容易であり、優れた作業性を具えた耐震用管継手の端部の防食構造の提供を目的とする。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る耐震用管継手端部の防食構造は、切り管の挿し口1の切り口11および傾斜面12よりなる非塗装面へ先端緩衝材3を全面添着被覆すると共に挿し口リング2の露出した内側面21にはバックアップリング6を、また嵌合溝13内に嵌まって露出しない内側面22と該溝側面との間隙には溝部緩衝材4をそれぞれ取り付け、該先端緩衝材3の全面から挿し口リング2の露出面およびバックアップリング6の内側面61にかけて、薄板の耐食性金属を成形してなる防食カバー5を被冠し、バックアップリング6の下端部と溝部緩衝材4の上端部を離脱不能に係合したことを特徴とする。
【0012】この防食構造を成形する方法としては、切り管の挿し口1の端部外周面で挿し口リング2用の嵌合溝13および傾斜面12に切削して成形し、挿し口外周面15上へ溝部緩衝材4とバックアップリング6とを預け、前記嵌合溝13へ挿し口リング2を嵌合すると共に、切り口11、傾斜面12の非塗装面を被覆する先端緩衝材3を取り付け、あらかじめ後端面51を除く所定の形状通りに成形した防食カバー5を前記先端緩衝材3および挿し口リング2の外周面に亘って被冠した後、挿し口リング2の上方に露出した内側面21に接してバックアップリング6を、また嵌合溝13内に嵌まって露出しない内側面22に接して溝部緩衝材4をそれぞれ添着して相互に離脱不能に係合固定し、さらに防食カバー5の後端部を屈折してバックアップリング6を押圧する後端面51を成形して締め付ける手順によって達成される。
【0013】本発明に係る防食構造は、現地で管路長の調整のため生じた切り管の切り口11、傾斜面12よりなる挿し口端部の切削加工面、すなわち製管時に塗装された防食塗料が削り取られた被塗装面、および外部に露出した挿し口リング2の外周面に至る全面を防食カバー5で被覆し、外部との接触を断って発錆を阻止すると共に、挿し口リング2と嵌合溝13との間隙に溝部緩衝材4を嵌入した上で、溝部緩衝材4とバックアップリング6とを上下で離脱不能にする抜け止め作用を発揮させ、さらに両部材上へ防食カバー5の後端面51で圧迫して遮水作用をより完全に強化し、併せて残る非塗装面である嵌合溝刻設の側面からの発錆を防止する。
【0014】防食構造の成形方法は図2のように、挿し口1に挿し口リング2、先端緩衝材3、溝部緩衝材4、バックアップリング6をそれぞれ所定の位置へ取り付けた上、後端面51だけを未成形でその他の部分は所定の形状にあらかじめ成形プレスなどで塑性変形した防食カバー5を被冠する[図(A)]。ここで防食カバー5を軸方向に押圧して固定し、防食カバー5の後端部を簡単な治具によって屈折して後端面51を成形する。成形後、押圧力を解除すると、防食カバーは先端緩衝材3と挿し口先端の切り口11との間で発生する緩衝材の反撥力を受けることになり、防食カバー5をより確実に挿し口先端に固定すると共に、非塗装面への水の侵入を防止する[図(B)]。
【0015】
【発明の実施の形態】図1は本発明の実施形態を示す一部縦断正面図(A)と、図(A)における要部(円形で区切った範囲)の拡大図(B)、およびさらに図(B)における要部(円形範囲)の拡大図(C)である。一方のダクタイル鋳鉄管の受口7には、管端側からゴム輪71、ロックリング芯出し用ゴム81によって均等に付勢される一つ割のロックリング8が取り付けられ、一方、切り管の挿し口1には嵌合溝13が刻設されて、この溝内へ挿し口リング2が嵌合して移動の最終段階では挿し口リング2とロックリング8とが衝き当ってストッパの役割を果し、典型的な離脱防止の耐震構造を形成する基本条件に変りはない。
【0016】本発明の特徴である防食構造は、切り管の挿し口1の端面である切り口11から、挿し口外周面を斜めに切削して円滑な挿入を図った傾斜面12[図中、クロスマークが連続した範囲(×××……)が切り管作成によって新たに生じた非塗装面]、この傾斜面12に連続した勾配を保つ挿し口リング2の傾斜面26、最大の外径となる挿し口リング2の頂面25、および挿し口リングの外部へ露出した内側面21にかけて緊密に被覆する耐食性金属板の防食カバー5が外界との接触を断つことによって基本的に形成される。
【0017】さらにこの防食カバー5が直接挿し口外周面や挿し口リング外周面に添着するのではなく、腐食の虞れがある露出した非塗装面へ弾性の先端緩衝材3、バックアップリング6、および嵌合溝内へ嵌まり込んだ非塗装面には溝部緩衝材4を介装し、その弾性と圧縮係合の共働きによって強固な遮水作用と離脱防止機能を併発させることはすでに記載した通りである。部材別に実施形態の詳細を例示すれば、図3は防食カバー5の取り付け前の縦断正面図(A)、側面図(B)、縦断正面図の要部の拡大図(C)、およびさらに図(C)の一部(円形範囲)の拡大図(D)、並びに図(C)における矢視側面の部分図(E)である。すなわち、あらかじめ挿し口先端から挿し口リングにかけてフィットするように成形プレスなどによって先端面52、傾斜面53、54、および水平面55、56を成形しておく。後方の水平面56の所定の位置、すなわち挿し口リングの内側面21に対応する箇所に内周面から内溝57を設けて屈折の位置決めと容易に成形できるように図ることも望ましい。
【0018】図(C)において水平面56の後端から矢視した側面の一部を示すのが図(E)であり、筒体の断面は完全な円形ではなく連続した波形で凹凸面を形成した特殊な構造とする。この場合、防食カバーの最大内径(山部頂点)は挿し口リングの許容最大公差の外径Dに等しく、防食カバーの最小内径(谷部底点)は挿し口リングの許容最小公差の外径dと等しいように設定しておくと、挿し口リング2の上へ防食カバー5を嵌め込むとき、防食カバーの波形外周面の谷部が挿し口リング外周に沿った形で円周方向に伸びるから、挿し口リングの最大最小の寸法公差を吸収して防食カバーが隙間なく密着して被覆する作用が現われる。
【0019】図4は防食カバー5を先端緩衝材3および挿し口リング2の外周面(何れもここでは図示せず)上へ被冠した後、後端を屈折して後端面51を成形した後の形状を示し、縦断正面図(A)、側面図(B)、断面要部の拡大図(C)および図(C)の要部(円形範囲)の拡大図(D)である。後端を屈折するにはハンマーなど簡単な工具を使用すれば足りる。材質としては耐食性、強度、成形性など、通常接水する部材としての要件と同様に、ステンレス鋼、銅または銅合金などから選択することが望ましい。
【0020】図5は先端緩衝材3の縦断正面図(A)、部分側面図(B)、図(A)における要部(円形範囲)の拡大図(C)であり、挿し口端面の非塗装面を被覆して防食する。実施上は水道用ゴム輪として使用されている合成ゴムの中から適当なものを選択すればよい。形状的には先端の内向き突部31のゴム厚を勾配面32、水平面33に比べて大きく形成し、防食カバー5の押圧成形時に防食カバーの先端面52と挿し口の切り口11間に挾圧されてゴムの反撥力が十分に発生し、防食カバーをより確実に切り口に固定するように図ることが望ましい。
【0021】図6は溝部緩衝材4の縦断正面図(A)、部分側面図(B)、図(A)における要部(円形範囲)の拡大図(C)であり、嵌合溝13へ嵌まり込んだ挿し口リング2の外部へ露出しない内側面22と溝側面間に不可避的に生じて「水みち」となる間隙を埋める断面ほぼ長方形の本体41を主体として、本体41より薄肉の横向き突部43の先端を形成するテーパ面42を本体頂面のから突設した弾性体で形成している。
【0022】図7はバックアップリング6の縦断正面図(A)、一部側面図(B)および図(A)における要部(円形範囲)の拡大図(C)であり、溝部緩衝材4を上方から圧縮係止して離脱できないように拘束する剛性の環状体である。材質としてはステンレス鋼、銅または銅合金などの耐食性金属で製作する。形状的には防食カバー5の後端面51と圧着する内側面61と、内側面61の下端から水平に突出して溝部緩衝材4の横向き突部43を上から圧縮する横向き突部63とからなる。横向き突部63は下底面を若干屈折してなるテーパ面62を具え、下方に位置する溝部緩衝材4のテーパ面42と係合するので、両部材は圧接して溝部緩衝材4が離脱することを阻止する。
【0023】図8は溝部緩衝材4、防食カバー5、バックアップリング6の3部材が係合して相互に拘束して離脱不能に組合わされた態様を示し、図(A)は防食カバー5の後端面付近、図(B)はバックアップリング6、図(C)は溝部緩衝材4のそれぞれの断面図、図(D)はこれら3部材が取り付けた後に緊密に係合している状態を示す。防食カバー5の後端面51と挿し口リング2の露出した内側面21との間にバックアップリング6を挾在させ、嵌合溝13内へ嵌め込まれて露出しない挿し口リング内側面22と嵌合溝側面間には溝部緩衝材4を挾在させ、かつバックアップリング6の下端面と溝部緩衝材4の上端面とを圧着係止した構造とすることによって、非塗装面(クロスマーク)への遮水機能と抜け止め機能が併発するように設定したものである。
【0024】図9は本発明に適用した挿し口リング2の断面図(A)、一部側面図(B)、および図(B)におけるB−B断面矢視図(C)である。挿し口リング2は開き勝手の一つ割の環状体で作成されているが、その分割面23近くの内側面21に1箇所の絞り孔24を設け、防食カバー5を被冠する施工時にこの絞り孔24へ適当な工具を差込んで円周方向に絞り込み、防食カバー5が挿し口リングの外周面に容易に被さるようにしておくと、作業が容易となる利点が得られる。
【0025】図10各図は本発明の施工手順を示したものである。
■図(A)において、切り管の傾斜面12と嵌合溝13の切削加工後、溝部緩衝材4、バックアップリング6を挿し口1の外周面15上に預け入れる。
■図(B)において、挿し口リング2を嵌合溝13へ嵌合した後、先端緩衝材3を所定の位置にセットする。
■図(C)において、挿し口リング2の絞り孔24に簡単な治具を差込んで絞り込み、防食カバー5をその上へ挿入して固定する。
■図(D)において、溝部緩衝材4、バックアップリング6を取付け、ハンマーなどを使って防食カバー5の端面を所定の幅だけ90°屈折して後端面51を成形する。その後、防食カバー5を固定していた治具を取り外して施工を終了する。
【0026】図11は別の実施形態を示す一部縦断正面図であり、先端緩衝材3Aの先端と防食カバー5Aの先端を切り口11の被覆面からさらに直角に屈折して挿し口1の内周面14の一部に及んだ形態である。
【0027】
【発明の効果】本発明は以上に述べた通り管路の現地敷設工事において生じた切り管を使って受口へ接合する管継手を耐震化するに当り、不可避的に生じる非塗装部分だけを防食カバーで被覆する構成であるから■防食カバー取り付け後は通常の手順通りに施工できる。
■従来技術(図12)のように挿し口内周面に部材を挿入しないので、管内径を縮径することなく圧力損失の問題も起こらない。
■管接合後、地盤変動などの原因により継手部が伸縮した場合でも、防食カバーが挿し口リングと共に移動するから、防食機能に何の影響も与えずそのまま維持される。
■防食カバーの外周面を波形に成形することによって、施工時に考えられる切り管の挿し口リング2の許容される最小、最大の寸法公差を吸収し、工事を容易に進めると共に、防食カバーが挿し口端部に密着して遮水性を一層向上する一因となる。
【0028】とくに本発明の特徴は、従来技術の防食カバーなどに比べると拘束力が強いため離脱を防止する機能が高く、管路に振動、震動、衝撃などの外力が加えられても防食作用が保証される利点が大きい。また、切り管は管路の敷設工事の最終段階に生じることが多いが、本発明の防食構造を施工する手順が簡単容易で、作業者の特別な熟練度を前提とせず、個人差による品質のバラツキもない。治具、工具も簡単な手持ち品で足り、堅牢で遮水性に優れた接合部を現場的に容易に施工できる上、優れた特性がそのまま持続する効果は従来技術を遥かに凌駕するものである。
【出願人】 【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【出願日】 平成10年7月28日(1998.7.28)
【代理人】 【識別番号】100089439
【弁理士】
【氏名又は名称】青野 順三
【公開番号】 特開2000−46271(P2000−46271A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−228706