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【発明の名称】 推進管の接続構造及び接続方法
【発明者】 【氏名】増田 敏一

【氏名】足立 明

【氏名】藤本 智也

【要約】 【課題】接続した直後から水密性を確保し、かつ長期に亘って良好な水密性を確保することができる推進管の接続構造及び接続方法を提供する。

【解決手段】後行管の先頭端に先行管内径に遊合する差込管を取付け、その込管先端部に円錐テーパ面を設け、パッキング座を先行管内に設け、差込管外周と先行管内周との間に硬い材質の円筒状の第1の水膨張ゴムを介装し、差込管の先端部とパッキング座との間に軟質のリング状の第2の水膨張ゴムを介装した。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 埋設用推進管の接続構造において、後行管の先頭端に先行管内径に遊合する差込管を設け、該差込管の先端部に円錐テーパ面を設け、該円錐テーパ面に対面する突設リングを先行管内周に設けるとともに、差込管外周と先行管内周との間隙、差込管先端部と前記突設リングとの間隙、及び先行管後端面と後行管先端面との間隙の3カ所の間隙のうち2カ所以上の間隙にそれぞれ全周に渡って水膨張ゴムを介装したことを特徴とする推進管の接続構造。
【請求項2】 埋設用推進管の接続構造において、後行管の先頭端に先行管内径に遊合する差込管を設け、差込管外周と先行管内周との間隙及び、先行管後端面と後行管先端面との間隙にそれぞれ全周に渡って水膨張ゴムを介装したことを特徴とする推進管の接続構造。
【請求項3】 後端面より一定距離の位置にリングを内周に突設した先行管に対し、円錐テーパ面を先端に有し外径が先行管の内径に遊合する差込管を先端部に取り付けた後行管を接続するにあたり、差込管外周部、先行管の前記リングの後方部、及び後行管先端面部の3カ所のうち2カ所以上の部位にそれぞれ全周に渡って水膨張ゴムを装着し、前記差込管を先行管内に挿入して推進管を接続することを特徴とする推進管の接続方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、鋼製推進管の接続構造及び接続方法に関する。
【0002】
【従来の技術】推進工法に用いられる鋼製推進管は接続部に差込管を取付け、この差込管の外周に複数列の円周溝を設け、その溝内にOリング等のリング状パッキングを嵌めてシールし水密性を確保するようになっているのが通常である。また、浸水した時膨張する水膨張パッキングも知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】従来の推進管の接続部は複数列のシールを備えていても、複数列のシールはすべて同様なシール効果を有するもので、水密性の確保の信頼性に欠ける場合があった。また、シール溝の加工に手間を要するものであった。また、水膨張ゴムからなるパッキングも用いられているが、複数であっても経時的に類似の効果を有するものが用いられ、例えば接続初期には必ずしも良好な水密性が保たれなかった。
【0004】本発明は上記問題点を解決し、接続した直後から水密性を確保し、かつ長期に亘って良好な水密性を確保することができる推進管の接続構造及び接続方法を開発し、これを提供することを目的とするものである。
【0005】
【課題を解決するための手段】本発明は、上記問題点を解決するためになされたもので、次の技術手段を講じたことを特徴とする。
【0006】すなわち、本発明は、順次連結されて地中に推進される埋設用推進管の接続構造において、後行管の先頭端に先行管内径に遊合する差込管を取付け、この差込管の先端部に円錐テーパ面を設け、この差込管を先行管内に差込んだとき、差込管の円錐テーパ面と対面してパッキング座を形成する突設リングを先行管内周に設けるとともに、差込管外周と先行管内周との間隙(間隙B)、差込管の先端部と前記リングとの間隙(間隙A)、及び先行管後端面と後行管先端面との間隙(間隙C)の3カ所の間隙のうち2カ所以上の間隙にそれぞれ全周に渡って水膨張ゴムを介装したことを特徴とする推進管の接続構造である。
【0007】また、本発明の別の形態は、埋設用推進管の接続構造において、後行管の先頭端に先行管内径に遊合する差込管を設け、差込管外周と先行管内周との間隙(間隙B)及び、先行管後端面と後行管先端面との間隙(間隙C)にそれぞれ全周に渡って水膨張ゴムを介装したことを特徴とする推進管の接続構造である。
【0008】ここで間隙Aは差込管の円錐テーパ面と一定の距離をおいたリングとの間の間隙であり、止水用パッキングとして水膨張ゴムを間に挟んで圧縮できる程度の間隙でよい。通常は円錐テーパ面とリングの内周の後方端との距離で0〜10mm程度となる。また間隙Cも同様に水膨張ゴムを間に挟んで圧縮できる程度の距離であり、通常は先行管後端面と後行管先端面との距離で0〜10mm程度となる。間隙A、Cに介装された水膨張ゴムは先行管と後行管の接続操作である差込管の挿入時において、管軸方向に圧縮力を受ける。一方間隙Aに介装された水膨張ゴムは差込管外周と先行管内周との間で剪断力を受ける。
【0009】間隙Aと間隙Bに水膨張ゴムを介装した場合、間隙Bの水膨張ゴムは間隙Aの水膨張ゴムよりも硬い材質とするのが好ましい。これは間隔Bでは、差込管の挿入時に剪断力を受けるので、それによる破損を生じないようにするためである。一方、間隙Aの水膨張ゴムは柔らかいゴムとして、差込管の挿入時に管軸方向の圧縮力を受けると変形し、水密性を確保することができる。これら水膨張ゴムは水分を吸収することで経時的に膨張して水密性が高まる。すなわち、接続当初は比較的柔らかい水膨張ゴムを圧縮することでゴムの弾性を利用して水密性を高めるとともに、長期的には比較的硬い水膨張ゴムが水分を吸収して膨張する性質を利用して、間隙を埋め、水密性を高めることができるのである。かくして両者の協働によって、接続初期から半永久的に水密性を確保することができ、好適である。硬い水膨張ゴムにはクロロブロン系水膨張ゴムシール材、比較的柔らかい水膨張ゴムには粘着ブチルゴム系水膨張シール材等が好適に使用できる。
【0010】間隙Bと間隙Cに水膨張ゴムを介装した場合、間隙Bの水膨張ゴムを間隙Cの水膨張ゴムよりも硬い材質とするのが好ましい。間隙Cには差込管の挿入時に先行管後端面と先行管先端面との間で圧縮力を受けることができるからである。
【0011】間隙Aと間隙Cに水膨張ゴムを介装した場合にはいずれの箇所にも差込管挿入時に圧縮力を働かせることができるが、この場合にも両者のうちのいずれかを硬い水膨張ゴム、もう一方を柔らかい水膨張ゴムとすると上記した両者の協働によって、接続初期から半永久的に常に水密性を確保することができ、好適である。
【0012】さらに、間隙A、間隙B、間隙Cのいずれにも水膨張ゴムを介装することもできる。この場合にも間隙Bに比較的硬い水膨張ゴムを介装することが好ましい。この接続構造において、差込管の外周の間隙Bに介装する水膨張ゴムよりも先端側にリング状のスペーサを設置することが好ましい。なお、スペーサは管の全周に連続している必要はなく、周方向に分割して部分的に設置してもよい。このスペーサにより差込管の挿入時における間隙Bに介装される水膨張ゴムが、先行管と後行管の軸心のずれにより局部的な変形を受けて、円周方向で不均一に破損するのを防ぐことができる。このスペーサはリング状の鋼材あるいは樹脂などを溶接あるいは接着したものが好ましい。
【0013】また上記接続構造を形成する方法は、内周の尾端より一定距離の位置にパッキング座を形成するリングを突設した先行管に対し、該パッキング座に対向する円錐テーパ面を先端に有し外径が先行管の内径に遊合する差込管を先端部に取り付けた後行管を接続するに当たり、差込管外周部(部位B)、該パッキング座部(部位A)、および後行管先端面部(部位C)、の3カ所のうち、2カ所以上の部位にそれぞれ全周に渡って水膨張パッキングを装着しながら、前記差込管を先行管内に挿入して推進管を接続することを特徴とする推進管の接続方法である。
【0014】このとき上記部位A、Cのいずれかは水膨張パッキングが密に圧縮されるように接続することが好ましい。
【0015】また、部位Bに装着する水膨張パッキングは他の部位に装着する水膨張パッキングよりも硬い材質のものを使用することが好ましい。
【0016】部位A、Cのみに水膨張パッキングを装着するときは、どちらか一方のパッキングは他方に比べて硬い材質のものを使用することが好ましい。このようにすることで接続当初は柔らかいパッキングによる止水効果が大きいからである。
【0017】また前記差込管の外周に巻付ける水膨張パッキングは平板状とし、このパッキングを締まり勝手に差込管外周に巻きつけることとすれば、容易に施工することができる。ここで、平板状のパッキングを締まり勝手に差込管外周に巻きつけるというのは、差込管が転動する時、パッキングの重なり部分が、ゆるまない方向に重ねることである。
【0018】
【発明の実施の形態】以下図面を参照して本発明の実施の形態を説明する。
【0019】図4は本発明の実施例の推進管1の縦断面図である。推進管1の先頭端側のA部拡大図を図2に、B部拡大図を図3に示した。図1は間隙A、Bに水膨張ゴムを介装した接続構造を示すもので先行の推進管(先行管)1aと後行の推進管1との接合部の縦断面図である。
【0020】図2に示すように、推進管1の先頭端に先行管の内径に遊合する差込管2を取付けてある。この差込管2は外径が推進管1の内径より小さく、隙間3を持っている。この隙間3は管径に応じて、定められるもので、例えば1〜3mmである。差込管2の推進管1への取付け部は、推進管の管端より内部の位置に取付け、推進管1の内径と差込管2の外径との間に隙間3を持たせておくことが好ましい。この隙間3で差込管外周に施すパッキングを差し込んで仮固定することができる。差込管2はこの隙間3を保って推進管1の内径に溶接等により固定されている。差込管2の先端には、円錐テーパ面4が形成されている。この円錐テーパ面4は、例えば、頂角が150〜90度の円錐台状をなしている。図3に示すように、推進管1(先行管1a)の尾端には、端部11から一定距離内部に入った位置にリング状の突起12が固定されている。この突起12の尾端側の面は、パッキングの座13をなすもので、ほぼ管軸に直角な面を有している。このパッキングの座13は、差込管2を差込んだとき、差込管2の先端の円錐テーパ面4と対向しており、図1に示すように、リング状パッキング14を保持するパッキング保持部を形成している。リング状パッキング14は推進管の推進力により強く圧縮されて止水するため、推進管の接続部に目違いが生じた場合でもパッキングが離脱することは全くなく、完全に漏水を遮断する。
【0021】差込管2の外周には、水膨張ゴムからなるパッキング5が施してある。この差込管2の外周に円筒状に形成されるパッキング5は、板状のパッキングを差込管2の外周に巻つけて接着してある。差込管2を先行管1aの端部に挿入することによって施工する。この施工の際、差込管2と推進管1の内周との間に隙間3を設けた場合は、この板状のパッキング5を隙間3に挟み込んで固定することができる。このパッキング5には水膨張ゴムを用い、後日、シール性能を向上させるようになっているが、推進管を接続する時点では硬いゴムを用いて、推進管接続時に変形や損傷を生じないようにする。
【0022】推進管の施工に当たっては、先行管のパッキング座13にリング状の水膨張パッキング14を装着すると共に、差込管2の外周に水膨張パッキング5を巻付け差込管を先行管内に挿入してリング状の水膨張パッキング14を密に圧縮して、推進管を接続する。差込管2の外周に装着する水膨張パッキング5は平板状とし、パッキングを締まり勝手に差込管2に巻きつける。平板の片面に突起を有する水膨張パッキングを差込管2の外周に1周だけ張りつけてもよい。
【0023】図5、図6は別の実施例を示すもので、間隙A、B、Cに水膨張ゴムを介装した接続構造を示す図面である。図5に示すように間隙Cは先行管1aの後端面と後行管1bの先端面との間隙になるため、ここに介装された水膨張ゴムは差込管2を挿入する際に圧縮力を受ける。先行管1aの後端面は図6に示すように、内面に向かって広がるテーパ面とすることができる。このようにすることで間隙Cに介装する水膨張ゴムの量を多くすることができ、水密性を向上できる。同様に後行管1bの先端面にテーパ面を形成することもできる。
【0024】また、図7に示すように差込管の外周の間隙Bに介装する水膨張ゴムよりも先端側にリング状のスペーサを設置することも好ましい。このスペーサはリング状の鋼材あるいは樹脂などを溶接あるいは接着するなどして形成できる。
【0025】差込管2に巻つけた平板状パッキングの締まり勝手を図8により説明する。推進管の推進時のカッターや回転トルクによる反力として接続部には回転方向と逆向きのローリング力が作用する。図8は板状のパッキング5を差込管2に巻きつけた状態を模式的に示す横断面図である。差込管2はローリング力の方向6のようにローリングする。板状パッキング5は巻き始め端部7からローリング力の方向6と同方向に巻きつけ、巻終り端8が巻始め端の外周側に重なるように巻きつけると、締まり勝手となる。
【0026】外径2350mm、肉厚16mmで材質SM490Aからなる下水道用推進鋼管に本発明を適用したリング状パッキングに粘着ブチルゴム系水膨張ゴムシール材を用い、板状パッキングにクロロプレン系水膨張ゴムシール材を用い、鋼管に接着剤を用いて貼着した。止水効果はきわめてすぐれた成績を示している。
【0027】
【発明の効果】本発明の推進管の接続構造及び接続方法は以上のように構成されているので、接続時点ではリング状のパッキングが水密性を保ち時間の経過と共に円筒状のパッキングが水密性を保ち、常に安全、確実な止水機能を保持するという優れた効果を奏する。
【出願人】 【識別番号】000001258
【氏名又は名称】川崎製鉄株式会社
【識別番号】591205536
【氏名又は名称】川鉄テクノコンストラクション株式会社
【出願日】 平成10年7月31日(1998.7.31)
【代理人】 【識別番号】100079175
【弁理士】
【氏名又は名称】小杉 佳男 (外1名)
【公開番号】 特開2000−46269(P2000−46269A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−217736