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【発明の名称】 内部分割チューブの製造方法と内部分割チューブ
【発明者】 【氏名】波多野 八州治

【要約】 【課題】材料の無駄がないプレート状隔壁の確実なレーザ溶着を容易に達成する内部分割チューブの製造方法を提供すること。

【解決手段】1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブの製造方法において、円筒チューブ1の内面にプレート状隔壁2の端面2a,2aを密着して設定する隔壁設定工程と、円筒チューブ1の外側から照射するレーザ光をプレート状隔壁2の端面想定位置6に沿って移動させると共に端面想定位置6を境に左右に振る走査により円筒チューブ1とプレート状隔壁2を溶着する溶着工程と、を備えている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブの製造方法において、円筒チューブの内面にプレート状隔壁の端面を密着して設定する隔壁設定工程と、円筒チューブの外側から照射するレーザ光をプレート状隔壁の端面想定位置に沿って移動させると共に端面想定位置を境に左右に振る走査により円筒チューブとプレート状隔壁を溶着する溶着工程と、を備えていることを特徴とする内部分割チューブの製造方法。
【請求項2】 請求項1記載の内部分割チューブの製造方法において、前記隔壁設定工程を、円筒チューブを左右側面からの押し力により弾性変形範囲内にて楕円状の変形させ、長径部にプレート状隔壁を設定し、押し力を解除することによる円筒チューブのスプリングバックにより円筒チューブの内面にプレート状隔壁の端面を密着して設定する工程としたことを特徴とする内部分割チューブの製造方法。
【請求項3】 請求項1または請求項2記載の内部分割チューブの製造方法において、前記溶着工程を、プレート状隔壁が密着して設定された円筒チューブを固定設置とし、レーザ光を出力するレーザヘッドをプレート状隔壁の端面想定位置に沿って移動させながら左右に振ることで円筒チューブとプレート状隔壁を溶着する工程としたことを特徴とする内部分割チューブ。
【請求項4】 請求項1ないし請求項3記載の内部分割チューブの製造方法において、前記溶着工程でのレーザ光の左右振り幅を、プレート状隔壁の板厚の1〜3倍としたことを特徴とする内部分割チューブ。
【請求項5】 1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブにおいて、プレート状隔壁が円筒チューブの断面流路を2分割する直径位置に設定され、円筒チューブとプレート状隔壁とが、プレート状隔壁の端面想定位置に沿ってジグザグに照射されたレーザ光により溶着固定されていることを特徴とする内部分割チューブ。
【請求項6】 請求項5記載の内部分割チューブを、自動車の排気マニホールドに連結され、各排気ポートの集合部を車両後方側に持ってゆく自動車排気系の上流側排気チューブとして適用したことを特徴とする内部分割チューブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の排気チューブ等として適用される内部分割チューブの製造方法と内部分割チューブの技術分野に属する。
【0002】
【従来の技術】従来、内部分割チューブとしては、例えば、実開昭60−58985号公報や実開昭63−196425号公報に記載のものが知られている。
【0003】前者の公報には、図5() に示すように、プレート状隔壁が円筒チューブの断面流路を2分割する直径位置に設定され、円筒チューブに対しプレート状隔壁が、金属ロー材をプレート状隔壁の密着端面の両側に添着して加熱して溶着された内部分割チューブが記載されている。
【0004】後者の公報には、図5() に示すように、両端部を折り曲げたZ字状隔壁を円筒チューブに対し溶接固定した内部分割チューブが記載されている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図5() に示す従来の内部分割チューブにあっては、円筒チューブの内側からの作業となるロー付けによりプレート状隔壁を固定するものであるため、製造工数が多大となり、結果的に高コストとなるし、ロー付けの場合、耐熱温度が低く、高温となる自動車の排気系チューブとしては適用できない。
【0006】また、図5() に示す従来の内部分割チューブにあっては、曲げ幅が設定されることでレーザ溶接時に溶接ビードのズレによる溶着不具合を防止することができるものの、隔壁を製造する場合に曲げ工数が加わるし、しかも、材料も曲げ分の無駄がある。また、製造された直管状の内部分割チューブを曲げる時に芯金を使用する場合、特殊形状となるため、シワ等が出易くなる。
【0007】本発明が解決しようとする課題は、材料の無駄がないプレート状隔壁の確実なレーザ溶着を容易に達成する内部分割チューブの製造方法と内部分割チューブを提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】(解決手段1)上記課題の解決手段1(請求項1)は、1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブの製造方法において、円筒チューブの内面にプレート状隔壁の端面を密着して設定する隔壁設定工程と、円筒チューブの外側から照射するレーザ光をプレート状隔壁の端面想定位置に沿って移動させると共に端面想定位置を境に左右に振る走査により円筒チューブとプレート状隔壁を溶着する溶着工程と、を備えていることを特徴とする。
(解決手段2)上記課題の解決手段2(請求項2)は、請求項1記載の内部分割チューブの製造方法において、前記隔壁設定工程を、円筒チューブを左右側面からの押し力により弾性変形範囲内にて楕円状の変形させ、長径部にプレート状隔壁を設定し、押し力を解除することによる円筒チューブのスプリングバックにより円筒チューブの内面にプレート状隔壁の端面を密着して設定する工程としたことを特徴とする。
(解決手段3)上記課題の解決手段3(請求項3)は、請求項1または請求項2記載の内部分割チューブの製造方法において、前記溶着工程を、プレート状隔壁が密着して設定された円筒チューブを固定設置とし、レーザ光を出力するレーザヘッドをプレート状隔壁の端面想定位置に沿って移動させながら左右に振ることで円筒チューブとプレート状隔壁を溶着する工程としたことを特徴とする。
(解決手段4)上記課題の解決手段4(請求項4)は、請求項1ないし請求項3記載の内部分割チューブの製造方法において、前記溶着工程でのレーザ光の左右振り幅を、プレート状隔壁の板厚の1〜3倍としたことを特徴とする。
(解決手段5)上記課題の解決手段5(請求項5)は、1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブにおいて、プレート状隔壁が円筒チューブの断面流路を2分割する直径位置に設定され、円筒チューブとプレート状隔壁とが、プレート状隔壁の端面想定位置に沿ってジグザグに照射されたレーザ光により溶着固定されていることを特徴とする。
(解決手段6)上記課題の解決手段6(請求項6)は、請求項5記載の内部分割チューブを、自動車の排気マニホールドに連結され、各排気ポートの集合部を車両後方側に持ってゆく自動車排気系の上流側排気チューブとして適用したことを特徴とする。
【0009】
【発明の実施の形態】(実施の形態1)実施の形態1は請求項1〜請求項6に記載の発明に対応する内部分割チューブの製造方法と内部分割チューブである。
[内部分割チューブの製造方法について]図1は実施の形態1の内部分割チューブの製造方法を示す図で、1は円筒チューブ、2はプレート状隔壁、2aは端面、3はレーザヘッド、4はレーザ光、5はレーザ光軌跡、6は端面想定位置である。
【0010】1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブの製造方法は、隔壁設定工程と溶着工程による方法で、各工程について説明する。
【0011】前記隔壁設定工程は、図1() に示すように、円筒チューブ1の内面にプレート状隔壁2の端面2a,2aを密着して設定する工程で、円筒チューブ1を左右側面からの押し力により弾性変形範囲内にて楕円状の変形させ(図1() の点線にて示す)、長径部にプレート状隔壁2を設定し、押し力を解除することによる円筒チューブ1のスプリングバックにより円筒チューブ1の内面にプレート状隔壁2の端面2a,2aを密着して設定する。
【0012】前記溶着工程は、図1() に示すように、円筒チューブ1の外側から照射するレーザ光4をプレート状隔壁2の端面想定位置6に沿って移動させると共に端面想定位置6を境に左右に振る走査により円筒チューブ1とプレート状隔壁2を溶着する工程で、プレート状隔壁2が密着して設定された円筒チューブ1を固定設置とし、レーザ光を出力するレーザヘッド3をプレート状隔壁2の端面想定位置6に沿って移動させながら左右に振ることで円筒チューブ1とプレート状隔壁2を溶着する。この溶着工程で端面想定位置6に沿ってジグザグに照射されるレーザ光の左右振り幅Wは、実際の端面位置と端面想定位置6との多少のズレを許容するようにプレート状隔壁2の板厚の1〜3倍とされる。また、送りピッチPは、プレート状隔壁2のほぼ全体を溶着させるようにビード溶融幅の0.5〜1.5倍程度とされる。なお、プレート状隔壁2の全体を溶着させる必要がない場合には送りピッチPをもっと大きく取っても良い。
【0013】よって、隔壁設定工程では、溶材を用いないレーザ溶着で溶着品質を保つ条件である2部材管の密着がなされる。また、溶着工程では、溶着不良を解消するレーザ光のジグザグ照射がなされる。例えば、レーザ光をプレート状隔壁の端面想定位置に沿って直線状に移動させるのみである場合に実際の端面位置と端面想定位置とのズレにより溶着不良となることがある。この結果、材料の無駄がないプレート状隔壁2の確実なレーザ溶着が容易に達成される。
[内部分割チューブについて]図2は実施の形態1の内部分割チューブの製造方法により製造された内部分割チューブを示す斜視図である。
【0014】1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブAは、図2に示すように、プレート状隔壁2が円筒チューブ1の断面流路を2分割する直径位置に設定され、円筒チューブ1とプレート状隔壁2とが、プレート状隔壁2の端面想定位置6に沿ってジグザグに照射されたレーザ光により溶着固定されている。
【0015】よって、内部分割チューブ構造としては、円筒チューブ1とプレート状隔壁2による最も簡単な構造となり、この直管状の内部分割チューブAに曲げ加工を施す場合、プレート状隔壁2に直交する方向での曲げ応力が低く安定していて、曲げ加工の安定化を達成できる。
[排気系への適用について]自動車エンジンの出力向上手法として、各排気ポートの集合部をなるべく車両後方側に持ってゆく手法がある。しかし、エンジン周りの空間スペースが狭い車の場合、エンジンルームや床下に複数のチューブを配置することが難しくなっている。そこで、1本のチューブ内を分割し、2本のチューブとした内部分割チューブが排気系に使われるようになった。
【0016】実施の形態1の内部分割チューブAは、図3に示すように、曲げ加工を施して設計形状とし、両端部にフランジ14,15が固定される。そして、自動車の排気マニホールド16に連結され、各排気ポートの集合部を車両後方側に持ってゆく自動車排気系の上流側排気チューブとして適用される。
【0017】よって、曲げ加工のし易い内部分割チューブAを、自動車排気系の上流側排気チューブとして適用することで、エンジン周りの空間スペースが狭い自動車であってもエンジンの出力向上を図ることができる。
(その他の実施の形態)実施の形態1では、隔壁設定工程において、スプリングバックを利用して円筒チューブ1の内面にプレート状隔壁2の端面2a,2aを密着して設定する例を示したが、円筒チューブの内面にプレート状隔壁を圧入し、プレート状隔壁の端面を密着して設定するような例としても良い。
【0018】実施の形態1では、溶着工程において、レーザヘッドを振ってレーザ光のジグザグ照射を行なう例を示したが、レーザヘッドは固定とし、プレート状隔壁を設定した円筒チューブを設置しているテーブルを振ってレーザ光のジグザグ照射を行なう例としても良いし、さらに、図4に示すように、レーザ光をレンズ17を経過してミラー18により反射させ、ミラー18を往復揺動させることでレーザ光のジグザグ照射を行なう例としても良い。
【0019】
【発明の効果】請求項1記載の発明にあっては、1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブの製造方法において、円筒チューブの内面にプレート状隔壁の端面を密着して設定する隔壁設定工程と、円筒チューブの外側から照射するレーザ光をプレート状隔壁の端面想定位置に沿って移動させると共に端面想定位置を境に左右に振る走査により円筒チューブとプレート状隔壁を溶着する溶着工程と、を備えているため、材料の無駄がないプレート状隔壁の確実なレーザ溶着を容易に達成する内部分割チューブの製造方法を提供することができる。
【0020】請求項2記載の発明にあっては、請求項1記載の内部分割チューブの製造方法において、隔壁設定工程を、円筒チューブを左右側面からの押し力により弾性変形範囲内にて楕円状の変形させ、長径部にプレート状隔壁を設定し、押し力を解除することによる円筒チューブのスプリングバックにより円筒チューブの内面にプレート状隔壁の端面を密着して設定する工程としたため、請求項1記載の発明の効果に加え、簡単で高い端面密着性を持たせることができる。
【0021】請求項3記載の発明にあっては、請求項1または請求項2記載の内部分割チューブの製造方法において、溶着工程を、プレート状隔壁が密着して設定された円筒チューブを固定設置とし、レーザ光を出力するレーザヘッドをプレート状隔壁の端面想定位置に沿って移動させながら左右に振ることで円筒チューブとプレート状隔壁を溶着する工程としたため、請求項1または請求項2記載の発明の効果に加え、軽量で小さなレーザヘッドを動かすアクチュエータを設けるだけで、レーザ光のジグザグ照射を達成できる。
【0022】請求項4記載の発明にあっては、請求項1ないし請求項3記載の内部分割チューブの製造方法において、溶着工程でのレーザ光の左右振り幅を、プレート状隔壁の板厚の1〜3倍としたため、請求項1ないし請求項3記載の発明の効果に加え、実際の端面位置と端面想定位置との多少のズレがあっても溶着切れのない確実なレーザ溶着を達成することができる。
【0023】請求項5記載の発明にあっては、1本の円筒チューブ内を隔壁により分割し2つの流路を形成した内部分割チューブにおいて、プレート状隔壁が円筒チューブの断面流路を2分割する直径位置に設定され、円筒チューブとプレート状隔壁とが、プレート状隔壁の端面想定位置に沿ってジグザグに照射されたレーザ光により溶着固定されているため、材料の無駄がないプレート状隔壁の確実なレーザ溶着を容易に達成する方法により製造でき、しかも、曲げ加工性が安定した内部分割チューブを提供することができる。
【0024】請求項6記載の発明にあっては、請求項5記載の内部分割チューブを、自動車の排気マニホールドに連結され、各排気ポートの集合部を車両後方側に持ってゆく自動車排気系の上流側排気チューブとして適用したため、請求項5記載の発明の効果に加え、エンジン周りの空間スペースが狭い自動車であってもエンジンの出力向上を図ることができる。
【出願人】 【識別番号】000004765
【氏名又は名称】カルソニック株式会社
【出願日】 平成10年7月24日(1998.7.24)
【代理人】 【識別番号】100105153
【弁理士】
【氏名又は名称】朝倉 悟 (外1名)
【公開番号】 特開2000−46252(P2000−46252A)
【公開日】 平成12年2月18日(2000.2.18)
【出願番号】 特願平10−209789