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【発明の名称】 副弁付回転弁の開閉装置
【発明者】 【氏名】笠波 幸夫

【要約】 【課題】歯車機構以外で、セルフロック機能を有して、1本の操作軸により主副弁軸3、5を選択的に回転させる。

【解決手段】弁箱固定のケーシングに弁軸3、5に直交方向のねじ軸11を回転自在に設け、このねじ軸11を外部から操作して回動させ、そのねじ軸11にねじ込んだスライドブロック16を軸方向に移動させる。スライドブロック16と主副弁軸3、5はスコッチ・ヨーク機構によってそれぞれ連結する。スライドブロック16の移動につれて、スコッチ・ヨーク機構のヨーク溝24、25とローラ26、27の位置関係により、副弁が開放した後、主弁が開放する。その開閉位置はストッパー30a、30b、31a、31bで規制する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 主弁体2の中心部に副弁体4を設け、前記主弁体2の主弁軸3に前記副弁体4の副弁軸5を貫通し、その主副弁軸3、5を選択的に回すことにより、主弁体2及び副弁体4を選択的に回転させる副弁付回転弁Vの開閉装置Aであって、弁箱1に固定したケーシング10に上記主弁軸3の直交方向のねじ軸11をその軸心周りに回転自在に設け、このねじ軸11にスライドブロック16をその軸方向に移動自在にねじ込み、ケーシング10外部から前記ねじ軸11を回転操作することにより、前記スライドブロック16を移動させ、その移動により、主副弁軸3、5を回転させて主弁体2及び副弁体4を選択的に回転させる副弁付回転弁の開閉装置。
【請求項2】 上記スライドブロック16の直線移動から主副弁軸3、5の回転への変換をスコッチ・ヨーク機構により構成し、そのスコッチ・ヨーク機構は、上記主弁軸3及び副弁軸5に設けたそれぞれ横方向の主ヨーク22及び副ヨーク23と、その両ヨーク22、23の溝24、25にそれぞれ摺動自在に嵌め込んだ上記スライドブロック16上のスライダ26、27とから成って、前記両ヨーク22、23の溝24、25はそれぞれく字状に屈曲してその両く字状が逆向きになっており、弁全閉時、両ヨーク22、23の溝24、25は、それぞれ主副弁軸3、5側からその弁軸の弁閉回転方向に上記ねじ軸11に対し45度傾いて上記スライドブロック16まで至り、その後、主弁用ヨーク22の溝24は前記ねじ軸11の軸方向に延びるとともに、副弁用ヨーク23の溝25は前記ねじ軸11に直交する方向に伸び、上記主弁用スライダ26は前記溝24の屈曲点24aから離れた軸方向の溝24内に位置するとともに、上記副弁用スライダ27は前記溝25の屈曲点25aに位置し、弁全開時、上記主弁用スライダ26は上記溝24の屈曲点24aに位置するとともに、上記副弁用スライダ27は上記溝25の屈曲点25aから離れた上記直交方向の溝25内に位置することを特徴とする請求項1に記載の副弁付回転弁の開閉装置。
【請求項3】 上記ケーシング10と主弁軸3及び副弁軸5の間に弁全開及び弁全閉用ストッパー30a、30b、31a、31bをそれぞれ設け、このストッパは前記ケーシング10にねじ込まれて両ヨーク22、23の突部32a、32b、33a、33bに当接することにより弁全開位置及び全閉位置を定めることを特徴とする請求項2に記載の副弁付回転弁の開閉装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、主弁体の中心部に副弁体を設け、その両弁体を1つの操作軸により回転させて弁を開閉する副弁付回転弁の開閉装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】副弁付回転弁は、この発明の一実施例を示す図1乃至図8を参照して説明すると、弁箱1内に主弁体2を設けてその主弁軸3を弁箱1外に導くとともに、主弁体2の中心部に副弁体4を設けてその副弁軸5を主弁軸3に貫通したものであり、その主副弁軸3、5を選択的に回すことにより、主弁体2及び副弁体4を選択的に回転させて弁を開閉する。
【0003】例えば、図4(a)に示すように、両弁体2、4を閉じることにより、弁Vを完全に閉じ、開弁時、図5、6(a)に示すように、まず副弁体4を開放し、つづけて図7、8(a)に示すように主弁体2を開放する(弁全開)。この開放時、副弁体4の前もっての開放により主弁体2の開放は容易である(図6(a)参照)。一方、閉弁時には、まず、副弁体4が開放した状態で主弁体2が閉じ、つづけて副弁体4が閉じる(弁全閉)。このとき、副弁の開放状態での主弁の閉止のため、急速閉止しても水撃圧が大幅に緩和される。また、副弁の開閉度合で流量の微調整を行うこともできる。
【0004】この副弁付回転弁において、多くのものは、上記主弁体2と副弁体4をそれぞれ別の操作軸で回すようにしているが、コンパクト化の点などから、1つの操作軸で行う技術(弁開閉装置)が特許第2655380号公報などに開示されている。その弁開閉装置は、欠歯歯車の間欠的な噛み合いなどによって、上記の主副弁の開閉作用を行うとともにセルフロックを行うものである。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】上記従来の1つの操作軸による弁の開閉装置は、主弁体2と副弁体4の一連の規定動作の微調整を副弁軸5と副弁用大平歯車との接合部に設けた調整リングで実施している。このため、長時間使用による経年変化や副弁への異物の噛込み等で、その調整リングに過大荷重が作用すると、両弁体のセット位置に変化が生じて、主弁体2と副弁体4の一連の規定動作が崩れる。また、過大荷重により主弁体2の全閉位置ロック機能の歯が欠損すると同様に主弁体2と副弁体4の一連の規定動作が崩れる。
【0006】さらに、副弁体4は独立した副弁動作後は主弁動作と連動して同一の動作をするため、主弁全開時には副弁も全開となって水流れに突出するため、弁全開時の圧力損失が大きくなる。また、副弁の漏水が発生すると、噛み合いゆえの構造的な面から副弁体4の全閉位置を外部から容易に調整して止水することが出来ない。
【0007】この発明は、歯車機構によらずに、セルフロック機能をもって一つの操作軸により、主弁軸及び副弁軸を回転し得るようにすることを課題とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するために、この発明は、まず、操作軸となるねじ軸の回転により、そのねじ軸にねじ込まれたスライドブロックを直線状に移動させ、その移動を主副弁軸に伝達するようにしてセルフロック機能を得るようにしたのである。このように、ねじ込み構造であると、主副弁軸が回転しようとしても、スライドブロックは動き得ず、セルフロックがなされる。
【0009】つぎに、この発明は、上記スライドブロックから主副弁体への力伝達をスコッチ・ヨーク機構により成したのである。スコッチ・ヨーク機構は、直線運動を回転運動に変換し得る。このため、スライドブロックの直線移動を主副弁軸の回転に変換し得る。
【0010】
【発明の実施の形態】この発明の実施形態としては、主弁体の中心部に副弁体を設け、前記主弁体の主弁軸に前記副弁体の副弁軸を貫通し、その両弁軸を選択的に回すことにより、主弁体及び副弁体を選択的に回転させる副弁付回転弁の開閉装置において、弁箱に固定したケーシングに上記主弁軸の直交方向のねじ軸をその軸心周りに回転自在に設け、このねじ軸にスライドブロックをその軸方向に移動自在にねじ込み、スコッチ・ヨーク機構により、そのスライドブロックと主副弁軸を連結し、そのスコッチ・ヨーク機構は、主弁軸及び副弁軸に設けたそれぞれ横方向の主ヨーク及び副ヨークと、その両ヨークの溝にそれぞれ摺動自在に嵌め込んだ前記スライドブロック上のスライダとから成って、前記両ヨークの溝はそれぞれく字状に屈曲してその両く字状が逆向きになっており、上記主副弁体の全閉時、両ヨークの溝は、それぞれ主副弁軸側からその弁軸の弁閉回転方向に上記ねじ軸に対し45度傾いて上記スライドブロックまで至り、その後、主弁用ヨークの溝は前記ねじ軸の軸方向に延びるとともに、副弁用ヨークの溝は前記ねじ軸に直交する方向に延び、上記主弁用スライダは前記溝の屈曲点から離れた軸方向の溝内に位置するとともに、上記副弁用スライダは前記溝の屈曲点に位置し、上記主副弁体の全開時、上記主弁用スライダは上記溝の屈曲点に位置するとともに、上記副弁用スライダは上記溝の屈曲点から離れた上記直交方向の溝内に位置する構成とし、ケーシング外部から上記ねじ軸を回転操作することにより、上記スライドブロックを移動させ、その移動により、主副弁軸を回転させて主弁体及び副弁体を選択的に回転させる構成を採用し得る。
【0011】この構成であれば、弁全閉時から、ねじ軸を弁開放方向に回転操作すると、スライドブロックの移動につれてその上の両スライダも動く。この動きにおいて、副弁用ヨークの溝は弁閉回転方向に45度傾いているため、その屈曲点にあるスライダの動きにつれ、スライダが溝内を摺動しながら、副弁用ヨークが回転して副弁軸が回り、副弁体が開放される。一方、主弁用ヨークの溝はスライドブロックの軸方向に延び、その溝内に主弁用スライダはあるため、そのスライダはその軸方向の溝内を摺動するだけで、主弁用ヨークに回転力は与えない。
【0012】副弁用ヨークが90度回転して副弁が開放すると、副弁用ヨークの上記直交方向の溝がスライドブロック(ねじ軸)の軸方向に沿い、以後、スライダはその溝内を摺動するのみで副弁ヨークには回転力を付与しない。すなわち、副弁の開放状態を維持する。
【0013】一方、主弁用スライダが主弁用ヨークの溝の屈曲点に至ると、主弁用ヨークをその溝内を摺動しながら回転させ、主弁軸が回り、主弁体が開放される。このとき、前記主弁用スライダの溝屈曲点に至る時点が、上記副弁体が全開する時点と同じかそれ以降であれば、主弁体は副弁体が全開した後に開放動作に移行することとなる。それ以前であれば、副弁体の開放動作中に開放動作に入ることとなる。このため、その作用を考慮して、上記軸方向の溝の長さを適宜に決定すればよいが、主弁と副弁の動作をラップさせれば、開閉所要時間を短くしたり、開閉装置の回転回数を少なくすることも可能である。また、副弁用ヨークの上記直交方向の溝の長さも主弁用スライダの主弁開放時の移動量を吸収し得る適当な長さとする。
【0014】この主弁体の開放時、副弁体は動かないため、弁全開時には主弁体内に副弁体が納まり(副弁体が全閉となり)、上記従来技術のように、副弁体が水流れに突出して大きな圧力損失が生じることはない。弁全閉動作は、ねじ軸を逆回転操作することにより上述と逆作用によって行われる。
【0015】この作用において、主弁及び副弁の全開又は全閉時の位置規制をすることが好ましく、例えば、上記ケーシングと主弁軸及び副弁軸の間に弁全開及び弁全閉用ストッパーをそれぞれ設け、このストッパは前記ケーシングにねじ込まれて両ヨークの突部に当接することにより弁全開位置及び全閉位置を定める構成を採用する。
【0016】このように、弁軸から横方向に突出するヨークを回転させて弁開閉する動作は、弁軸回動トルクが少なくてすみ、例えば、バタフライ弁にあっては、弁開閉時の弁軸トルクに近似した特性を持つこととなって、操作力又は操作トルクは軽減される。また、スコッチ・ヨーク機構とネジによる動力伝達なので、弁の自閉作用を防ぐ自己保持(セルフロック)機能を持っている。さらに、ねじによる動力伝達なので、ねじリードを変更することで、ねじ軸の一回転に対する弁軸回転数を容易に増減でき、中間開度でのセルフロック機能もあり、バラフライ弁等における流量・圧力調整が可能である。
【0017】
【実施例】一実施例を図1乃至図9に示し、この実施例は、副弁内蔵式バタフライ弁装置に係り、管路に介設される弁箱1内に主弁体2を設けてその主弁軸3を弁箱1外に導くとともに、主弁体2の中心部に副弁体4を設けてその副弁軸5を主弁軸3に貫通している。図中、6は主弁座、7は副弁座である。
【0018】弁箱1の上面には開閉装置Aのケーシング10がボルト止めされ、このケーシング10内に上述の主副弁軸3、5が至っている。ケーシング10内には、主弁軸3(副弁軸5)の直交方向のねじ軸11が回動自在に軸受12を介して架け渡されており、このねじ軸11の一端はかさ歯車機構13を介して入力軸(操作軸)14に連結されており、その操作軸14をキャップ15を介して回すと、ねじ軸11が回動する。ねじ軸11にはスライドブロック16がねじ込まれており、このスライドブロック16の両端の上下面にそれぞれピン17、18が突出して設けられている。この両ピン17、18にはガイドローラ17a、18aが設けられており、このローラ17a、18aはケーシング10内面のねじ軸11に平行なガイド溝17b、18bに嵌まっている。このため、ねじ軸11が回転すると、ローラ17a、18a及びガイド溝17b、18bを介してスライドブロック16がねじ軸11の軸方向に移動する。
【0019】上記主弁軸3及び副弁軸5にはキーを介してそれぞれ回動用ボス20、21が嵌着されており、両ボス20、21にはく字状のヨーク22、23が横方向に突出して設けられている。主弁回動用ボス20は軸受20aを介してケーシング10に回転自在に嵌着され、副弁回動用ボス21は軸受21a、21bを介して主弁回動用ボス20及びケーシング10に回転自在に嵌着されている。
【0020】両ヨーク22、23にはく字状の溝24、25が形成され、この溝24、25に上記スライドブロック16のピン17、18に嵌合したローラ(スライダ)26、27がそれぞれ摺動自在に嵌着されている。両ヨーク溝24、25は、両く字状が逆向きになっており、弁全閉状態において、図4(b)に示すように、それぞれ主副弁軸側からその弁軸の弁閉回転方向に上記ねじ軸11に対し45度傾いて上記スライドブロック16まで至り、その後、主弁用ヨーク溝25は前記ねじ軸11の軸方向に延びるとともに、副弁用ヨーク溝26は前記ねじ軸11に直交する方向に延びている。このとき、上記主弁用ローラ26は前記溝24の屈曲点24aから離れた軸方向の溝24内に位置するとともに、副弁用ローラ27は前記溝25の屈曲点25aに位置するようになっている。また、弁全開状態においては、図8に示すように、主弁用ローラ26は溝24の屈曲点24aに位置するとともに、副弁用ローラ27は溝25の屈曲点25aから離れた上記直交方向の溝25内に位置するようになっている。
【0021】ケーシング10には主弁軸3、5の回転規制用ストッパー30a、30b、31a、31bがそれぞれ外面からねじ通されており、図4乃至図8に示すように、その各ストッパーに両ヨーク22、23の突部32a、32b、33a、33bが当接することにより、弁軸3、5のそれ以上の回動、すなわち、弁体2、4の全開、全閉位置が規制される。このため、各ストッパーのねじ込み量を調整することにより、弁体2、4の全開、全閉位置の調整が単独で外部から可能である。なお、図中、ストッパー30aと31a、30bと31bは上下に重なっている。
【0022】この実施例は以上の構成であり、つぎにその作用について図4乃至図9に基づいて説明すると、全閉時には、図4に示すように、主弁用ヨーク溝24はねじ軸11の軸方向に延びるとともに、副弁用ヨーク溝25はねじ軸11に直交する方向に延び、主弁用ローラ26は溝24の屈曲点24aから離れた軸方向の溝24内に位置するとともに、副弁用ローラ27は溝25の屈曲点25aに位置する。
【0023】この弁全閉状態から、ねじ軸11を弁開放方向に回転操作すると、スライドブロック16の移動につれてその上の両ローラ26、27も動く。この動きにおいて、副弁用ヨーク溝25は弁閉回転方向に45度傾いているため、図4から図5に示すように、その屈曲点25aにあるローラ27の動きにつれ、ローラ27が溝25内を摺動しながら、副弁用ヨーク23が回転して副弁軸5が回り、図6に示すように副弁体4が開放される。一方、主弁用ヨーク溝24はスライダブロック16の軸方向に延び、その溝24内に主弁用ローラ26はあるため、そのローラ26はその軸方向の溝24内を摺動するだけで、主弁用ヨーク22に回転力は与えない。
【0024】副弁用ヨークが90度回転して副弁が開放すると(図6の状態)、副弁用ヨーク23の上記直交方向の溝25がスライドブロック16(ねじ軸11)の軸方向に沿い、以後、図7に示すようにローラ27はその溝25内を摺動するのみで副弁ヨーク23には回転力を付与しない。すなわち、副弁の開放状態を維持する。
【0025】一方、図6に示すように、主弁用ローラ26が主弁用ヨーク溝24の屈曲点24aに至ると、主弁用ヨーク22をその溝24内を摺動しながら回転させ、主弁軸3が回り、図8に示すように、主弁体2が開放される。この弁全開時、上記主弁用ローラ26は上記溝24の屈曲点24aに位置するとともに、上記副弁用ローラ27は上記溝25の屈曲点25aから離れた上記直交方向の溝25内に位置する。
【0026】この弁全開状態から、ねじ軸11を逆方向に回せば、上述の逆作用により、図8→図7→図6→図5の状態を経て図4の弁全閉状態になる。以上の作用を図9に示す。
【0027】
【発明の効果】この発明は、歯車機構によらずに、一操作軸により主弁軸及び副弁軸を回転し得るようにしたので、歯車加工などの特殊加工が不要であり、安価なものとなる。また、セルフロック機能を有するため、ウォーム減速機構などのセルフロック機構も不要である。
【出願人】 【識別番号】000142595
【氏名又は名称】株式会社栗本鐵工所
【出願日】 平成11年6月8日(1999.6.8)
【代理人】 【識別番号】100074206
【弁理士】
【氏名又は名称】鎌田 文二 (外2名)
【公開番号】 特開2000−346234(P2000−346234A)
【公開日】 平成12年12月15日(2000.12.15)
【出願番号】 特願平11−161576