| 【発明の名称】 |
電動膨張弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】高見 治
【氏名】豊田 和政
|
| 【要約】 |
【課題】
【解決手段】 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】下方の開口を拡開して段付き部(1a)を形成すると共に上面の中心部に軸受部(1b)を形成してなる筒状の密閉ケース(1)と、中心にシャフトの軸孔(2a)を設けると共に中心から離れた下面に弁体の上軸穴(2b)が設けられ前記ケースの段付き部(1a)に固定される円板状のプレート(2)と、下端部が前記シャフトの軸孔(2a)に嵌め込まれると共にその先端部に小さな歯車(3)が設けられ、シャフトの上端部が圧縮コイルばね(4)を介してケースの軸受部(1b)に嵌め込まれるロータシャフト(5)と、前記ロータシャフト(5)に回転保持されたロータ(6)と、前記プレート(2)に設けられた弁体の上軸穴(2b)と対応する位置に下軸穴(7a)を設けると共に該下軸穴(7a)より偏心させて第一通路(8)に連通する弁口(9)を設け、さらに適宜な位置に第二通路(10)に連通する連通孔(11)を設け、前記ケース下端の開口部に固定される円板状の弁座シート(7)と、軸(12a)の回りに前記シャフトの小さな歯車(3)と噛み合う歯車(12c)を設けると共に前記弁座シート(7)と接する面側には流量を制御する弁体(12d)を設け、軸(12a)の上端部が圧縮コイルばね(13)を介して弁体の上軸穴(2b)に嵌め込まれると共に、軸(12a)の下端部が前記弁座シートの下軸穴(7a)に嵌め込まれるようにした弁本体(12)と、前記密閉ケース(1)の外周部に固定される固定コイル(14)とにより構成し、前記ロータ(6)の回転を、シャフト(5)下端部の小さな歯車(3)と弁本体(12)の歯車(12c)とによって減速し、弁本体(12)の1回転未満にて弁口(9)の開度を制御するようにしたことを特徴とする電動膨張弁。 【請求項2】前記弁座シート(7)の上面に接する弁体(12d)の形状を、弁口(9)を全面覆うのに十分な半径から弁口を面開口するのに十分な半径まで変化させたカム板形状としたことを特徴とする請求項1記載の電動膨張弁。 【請求項3】前記の弁本体にカップ状の受け部(12a)を形成し、その内面にシャフトの小さな歯車(3)とかみ合う内歯車(12c’)を設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2記載の電動膨張弁。 【請求項4】前記カップ状の受け部(12a)上面の一部分を上方に延長させて係止片(12e)を設けると共に、該係止片(12e)の回転軌跡上に位置するプレート(2)の下面にはストッパー(2c)を設けたことを特徴とする請求項1、2および請求項3記載の電動膨張弁。 【請求項5】前記弁体(12d)の形状を円板状に形成し、該弁体(12d)の下面には、弁軸と弁口の距離を半径とし一端部を弁体の外周部に連通させるようにした円弧状の溝(14)を設け、その溝(14)が弁口(9)にかかっていない位置から、弁口(9)より大きい最大幅、深さの位置まで変化付けさせた流路としたことを特徴とする請求項1、3および請求項4記載の電動膨張弁。
|
【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、ルームエアコンやカーエアコンなどの冷凍サイクル中に用いられる電子制御膨張弁、あるいは一般の産業分野でマイコンと組合せて使用させる比例制御弁として利用される電動膨張弁に関し、特にステッピングモータに減速機構を取付けることにより電気的な分解能を向上させ、この減速機を介して駆動される弁体の形状を形成することにより、弁口の開度を制御する様にした電動膨張弁である。 【0002】従来、ステッピングモータと弁を組み合せてマイコンにより制御する電動膨張弁として、各種のものが考案されている。図9は、実公平3−36770号公報(以下、便宜的に直動ニードル弁ステッピングモータ方式という。)に開示された従来の電動膨張弁の構造であり、以下にその構成を説明する。従来の直動ニードル弁ステッピングモータ方式の電動膨張弁は、非磁性体からなる円筒状ケース21の外周部に固定した固定子コイル2への通電により、弁軸3と一体的に形成したモータの回転子24を回転させ、この回転を弁軸23に形成しおねじ25と、これに螺合する推進軸受26のめねじ27とにより弁軸23の直線運動に変換させて、弁軸23の先端に形成したニードル弁28により弁の開口度を制御させるようになっている。 【0003】また、弁本体29は、前記ケース21の下端部に設けられているものであり、該弁本体29は、第1の通路30、第2の通路31が設けられると共に両通路間にはオリフィス32と弁座33が設けられ、さらに弁本体29の中心部にはチャンバー34が設けられている。そして、該チャンバー34には前記の推進軸受26が圧入固定されるようになっている。 【0004】また、前記回転子24と一体的に形成されたロータースリーブ35は、その内周面に、一個所だけ半径方向に突出させて凸部36(板状のストッパー片)が設けられている。 【0005】蓋37は、前記ケース21の上端部に設けられているものであり、該蓋37の内面には、中心部より離して止めピン38が前記凸部36の中ほどに達する位置まで垂下させて固定されている。 【0006】そして、モータの回転子24の1回転未満の範囲において、前記止めピン38と凸部36の側面を当接させることにより弁軸23すなわち、ニードル弁28の動きを規制するようになっている。 【0007】 【発明が解決しようとする課題】ところで、前記した従来の直動ニードル弁ステッピングモーターは、弁軸23の1回転未満の回転にてニードル弁28を制御するものであるから、せいぜい数十パルス程度の電気的分解能しか得られなかった。たとえば回転子が12極に着磁された永久磁石だと、コイルへの通電制御を1−2相励磁にして分解能を大きくしても1回転/48パルスであるためストッパーの巾等を勘案するとせいぜい40パルス程度の分解能しか得られなかった。また、ニードル弁方式の為、精度が必要となる為、コスト高となる推進部のおねじ、めねじを形成しなければならなかった。 【0008】一方、ルームエアコン等ではコンプレッサーのインバータ化が進んでおりコンプレッサーの回転や、冷暖房負荷の変動に細かく追従してより低入力で冷暖房をする方向にあるが、そのためには膨張弁の弁開度を細かく制御すなわち分解能を高くすることが必要となり、分解能としては数百パルスたとえば500パルスくらいに設定して対応している。 【0009】その具体的手段としては前記ロータを用いた場合10回転させて500パルス近くの電気的な分解能を得る方法がとられている。その外の電気的な分解を高める手段としては、「マイクロステップ駆動」のように回転子が極間を移動する間のコイル通電をデューティー制御して分解能を高くする方法があり、カメラの焦点距離調整等に実用化されているが、常時通電となるため省エネルギーに反し、ルームエアコンのような制御としては適さない。 【0010】また、従来の構造ではステッピングモータの回転軸で直接ニードル弁を回転駆動させる為に推進力が必要で、その分モータ部の大型化になる問題があった。また、おねじ、推進軸受けのコスト高が問題であった。 【0011】 【課題を解決するための手段】本発明は、ロータのシャフトの下端部に形成した小さな歯車と弁本体に形成した歯車とによって減速機構を構成させ、また、前記弁本体の弁座シートと接する面側には回転のみで制御する弁体を設けて弁本体の1回転未満にて弁口の開度を制御するようにしたものである。その効果としては電気的・幾何学的な分解能を高く保ったまま、モータ部の小型化を実現させるとともに、ストッパー機構部を簡素化し、小型で廉価な制御弁の提供を目的とするものである。 【0012】請求項1記載の電動膨張弁は、下方の開口を拡開して段付き部1aを形成すると共に上面の中心部に軸受部1bを形成してなる筒状の密閉ケース1と、中心にシャフトの軸孔2aを設けると共に中心から離れた下面に弁体の上軸穴2bが設けられ前記ケースの段付き部1aに固定される円板状のプレート2と、下端部が前記シャフトの軸孔2aに嵌め込まれると共にその先端部に小さな歯車3が設けられ、シャフトの上端部が圧縮コイルばね4を介してケースの軸受部1bに嵌め込まれるロータシャフト5と、前記ロータシャフト5に回転保持されたロータ6と、前記プレート2に設けられた弁体の上軸穴2bと対応する位置に下軸穴7aを設けると共に該下軸穴7aより偏心させて第一通路(8)に連通する弁口9を設け、さらに適宜な位置に第二通路10に連通する連通孔11を設け、前記ケース下端の開口部に固定される円板状の弁座シート7と、軸12aの回りに前記シャフトの小さな歯車3と噛み合う歯車12cを設けると共に前記弁座シート7と接する面側には流量を制御する弁体12dを設け、軸12aの上端部が圧縮コイルばね13を介して弁体の上軸穴2bに嵌め込まれると共に、軸12aの下端部が前記弁座シートの下軸穴7aに嵌め込まれるようにした弁本体12と、前記密閉ケース1の外周部に固定される固定コイル14とにより構成し、前記ロータ6の回転を、シャフト5下端部の小さな歯車3と弁本体12の歯車12cとによって減速し、弁本体12の1回転未満にて弁口9の開度を制御するようにしたことを特徴とするものである。 【0013】また、請求項2記載の電動膨張弁は、前記弁座シート7の上面に接する弁体12dの形状を、弁口9を全面覆うのに十分な半径から弁口を面開口するのに十分な半径まで変化させたカム板形状としたことを特徴とする請求項1記載のものである。 【0014】また、請求項3記載の電動膨張弁は、前記の弁本体にカップ状の受け部12aを形成し、その内面にシャフトの小さな歯車3とかみ合う内歯車12c’を設けたことを特徴とする請求項1及び請求項2記載のものである。 【0015】また、請求項4記載の電動膨張弁は、前記カップ状の受け部(12a)上面の一部分を上方に延長させて係止片(12e)を設けると共に、該係止片(12e)の回転軌跡上に位置するプレート(2)の下面にはストッパー(2c)を設けたことを特徴とする請求項1、2および請求項3記載のものである。 【0016】また、請求項5記載の電動膨張弁は、弁体12dの形状を円板状に形成し、該弁体12dの下面には、弁軸と弁口の距離を半径とし一端部を弁体の外周部に連通させるようにした円弧状の溝14を設け、その溝14が弁口9にかかっていない位置から、弁口9より大きい最大幅、深さの位置まで変化付けさせた流路としたことを特徴とする請求項1、3および請求項4記載のものである。 【0017】 【発明の実施の形態】本発明の一実施例を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本発明の電動膨張弁の縦断側面図を示すものであり、図2は、図1のA−A断面図、図3は、図1のB−B断面図、図4は、弁体の斜視図である。本発明の電動膨張弁は、密閉ケース1と円板状のプレート2とロータシャフト5とロータ6と弁座シート7と弁本体12と固定コイル14とにより構成される。 【0018】前記密閉ケース1は、非磁性体の筒状のケースであり、下方の開口部分が拡開されて段付き部1aが形成され、また、ケース1上面の中心部には軸受部1bが形成されている。 【0019】円板状のプレート2は、前記ケースの段付き部1aに圧入等で固定され、後述のロータのシャフト5並びに弁本体12の軸受機能を果たすためのものであり、このプレート2の中心にはロータシャフトを軸支するための軸孔2aが設けられ、また、プレート2の下面側には、中心から離れた位置に弁本体の上軸穴2bが設けられている。なお、図中、11は連通孔である。 【0020】ロータシャフト5は、その下端部が前記の軸孔2aに嵌め込まれると共に、前記のプレート2の下面より突出する先端部には小さな歯車3が設けられている。また、シャフトの上端部は、圧縮コイルばね4を介してケースの軸受部1bに嵌め込まれ、この圧縮コイルばね4によってロータシャフト5が円板状のプレート2側に押し付けられるようになっている。 【0021】ロータ6は、中心部にロータシャフト7が回転保持され、この状態にて前記密閉ケース1に収納されるようになっている。 【0022】円板状の弁座シート7は、前記ケース下端の開口部に固定されるものであり、該弁座シート7は、前記プレート2に設けられた弁本体の上軸穴2bと対応する位置に下軸穴7aが設けられている。さらに弁座シート7の適宜な位置には連通孔11が設けられ、該連通孔11は第二通路10に連通するようになっている。 【0023】弁本体12は、軸12aの回りに前記の小さな歯車3と噛み合う歯車12cが形成されている。また、前記弁本体12の弁座シート7と接する面側には弁口を全面覆うのに十分な半径から、弁口を全面開口するのに十分な半径まで変化付けさせたカム板形状の弁体12dが設けられている。また、前記弁本体の軸12aは、その上端部が圧縮コイルばね13を介して弁体の上軸穴2bに嵌め込まれると共に、軸12aの下端部が前記弁座シートの下軸穴7aに嵌め込まれるようになっている。この弁本体12は、例えば樹脂成形により一体的に成形したものである。なお、前記の歯車12cは、前記シャフトの小さな歯車3と噛み合わせることによって、前記ロータ6の回転を弁本体12に伝達するに際し減速できるようになっている。 【0024】固定コイル15は、前記密閉ケース1の外周部に固定されている。なお、この固定コイル15の励磁によって、前記ロータ6が回転し、ロータシャフト5下端部の小さな歯車3と弁本体12の歯車12cが噛み合って弁本体12が減速して回転し、弁本体12の1回転未満にて弁口9の開度が制御できるようになっている。 【0025】また、本発明の電動膨張弁においては、必要に応じてストッパー機構を設けることができる。例えば、前記の弁本体12側の上面に一部分を上方に延長させて係止片12eを形成する。一方、前記係止片12eの回転軌跡上に位置するプレート2の下面にはストッパー2cを設ける。そうすると、歯車12cの1回転未満で弁本体12の回転を停止させることができる。 【0026】図5は、本発明の他の実施例を示す電動膨張弁の縦断面側面図を示すものであり、第6図は、図5のC−C断面図であ。図5に示す電動膨張弁では、弁本体12を除く他の部品構成は図1に示したものと同一である。弁本体12は、軸12aの回りにカップ状の受け部12bが形成され、該カップ状の受け部12bの内面には、内歯車12c’が形成されている。このように歯車を内歯車とすることによりケース内のスペースが有効に活用でき、密閉ケース1の外形寸法を小さくすることができる。 【0027】また、弁体12dは円板状に形成されており、この円板状の弁体12dは、図7の弁座シート部7と接する面側の弁体形状図に示すように、その下面に、弁軸12aと弁口9の距離を半径とし一端部を弁体の外周部に連通させるようにした円弧状の溝14を設け、その溝14の流路が弁口9にかかっていない位置から、弁口9より大きい最大幅、深さの位置まで変化するようになっている。また、ストッパー機構としては、前記カップ状の受け部12b上面の一部分を上方の延長させて係止片12eを形成させている。 【0028】 【発明の効果】以上のように、本発明の電動膨張弁で用いるモータは、ステッピングモータに他の部品と共用できる減速機構を取付けることにより電気的な分解能やモーターのトルクを向上させるものであるから、モーターが小型化できコストの低減を図ることができる。また、減速機を介して駆動される弁体の形状を樹脂成形等により一体的形成して、弁口の開度を制御する様にしたことにより、おねじ、軸受めねじ、ニードルがいらなくなり、コスト低減ができるのである。
|
| 【出願人】 |
【識別番号】000204033 【氏名又は名称】太平洋工業株式会社
|
| 【出願日】 |
平成11年6月9日(1999.6.9) |
| 【代理人】 |
|
| 【公開番号】 |
特開2000−346227(P2000−346227A) |
| 【公開日】 |
平成12年12月15日(2000.12.15) |
| 【出願番号】 |
特願平11−161879 |
|