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【発明の名称】 電動膨張弁
【発明者】 【氏名】菅野 勝久

【氏名】梅澤 仁志

【要約】 【課題】構成が簡単で制御が容易であり、配管が容易に行える電動膨張弁を提供する。

【解決手段】弁本体に冷媒の流入する高圧側通路と冷媒が流出する低圧側通路とを設け、高圧側通路と低圧側通路とをオリフィスにより連通し、オリフィスを通過する冷媒量を調整する弁部材を備え、弁本体に低圧冷媒通路を貫通して設け、弁部材を開弁方向に付勢する押圧部材を設け、弁部材を移動機構を介して閉弁方向に移動するモータを備え、モータを回転させることによりオリフィスの開口面積を調整するように構成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 冷媒が流入する高圧側通路と冷媒が流出する低圧側通路とを連通するオリフィスを備えた弁本体と、前記オリフィスを流れる冷媒の量を調整する弁部材と、該弁部材を移動させる移動部材と、前記弁部材を開弁方向に付勢する押圧部材と、を備えた電動膨張弁において、前記移動部材は、電動モータにより駆動されて、前記弁部材を開閉移動させることを特徴とする電動膨張弁。
【請求項2】 前記押圧部材は、圧縮コイルばねで構成され、前記移動部材は、前記電動モータの回転運動を直進運動に変換するねじ機構により構成されていることを特徴とする請求項1に記載の電動膨張弁。
【請求項3】 前記電動モータは、ステッピングモータであることを特徴とする請求項1又は2に記載の電動膨張弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、自動車の空気調和装置等に使用される電動膨張弁に係り、特にオリフィスの開口面積をモータにより調整する電動膨張弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の膨張弁は、図3に示される自動車の空気調和装置等の冷凍サイクル1に使用されるものである。すなわち、冷凍サイクル1はエンジンにより駆動される冷媒圧縮機2と、冷媒圧縮機2の吐出側に接続される凝縮機3と、凝縮機3に接続される受液器4と、受液器4からの液相冷媒を気液2相冷媒へ断熱膨張させる膨張弁5と、膨張弁5に接続される蒸発器6とから構成され、膨張弁5は冷凍サイクル1内に位置している。
【0003】前記の膨張弁5は、弁本体5aに液相冷媒を流入する高圧側通路5bと断熱膨張された気液2相冷媒が流出する低圧側通路5cとを設けてあり、高圧側通路5bと低圧側通路5cとをオリフィス7により連通し、オリフィス7を通過する冷媒量を調整する弁部材8を備え、弁本体5aに低圧冷媒通路5dを貫通して形成し、低圧冷媒通路5d内にプランジャ9aが摺動可能に位置する感温駆動部材9を弁本体5aに固定し、弁部材8を閉弁方向に押圧する圧縮コイルばね8aを設け、プランジャ9aの摺動により弁部材8を開弁方向に押圧する作動棒9bを備えた構成からなる。
【0004】そして、感温駆動部材9のプランジャ9aが低圧冷媒通路5d内の温度を感温部の上部気密室9cへ伝達し、その温度に応じて上部気密室9cの圧力が変化し、例えば温度が高い場合は上部気密室の圧力が上昇し、感温部のダイヤフラム9dがプランジャ9aを押し下げ、弁部材8を開弁方向に移動してオリフィス7の冷媒通過量を多くして蒸発器6の温度を下げる。反対に温度が低い場合は上部気密室9cの圧力が下降し、感温部のダイヤフラム9dのプランジャ9aを押し下げる力が弱まり、プランジャ9aは閉弁方向に押圧する圧縮コイルばね8aにより上昇してオリフィス7の冷媒通過量が少なくなり、蒸発器の6温度は上昇する。
【0005】このように、膨張弁5は低圧冷媒通路5d内の温度により弁部材8を移動させてオリフィス7の開口面積を変化させ、冷媒通過量を調整して蒸発器6の温度を調整している。そして、この種の膨張弁5においては、液相冷媒から気液2相冷媒へ断熱膨張させるオリフィス7の開口面積は、生産段階において弁部材8を閉弁方向に押圧する圧縮コイルばね8aのばね圧を調整することにより行っている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】ところが、前記した膨張弁は、感温駆動部材により弁部材をオリフィスに接近あるいは離反させて冷媒通過量を調整し、蒸発器の温度を自動的に調整しているため、構成が複雑となるという問題点がある。また、モータにより冷媒通過量を調整する膨張弁があるが、例えば自動車の空気調和装置に用いる場合に、受液器、蒸発器、冷媒圧縮機との配管が煩雑になるという問題点がある。本発明は、このような問題に鑑みてなされたものであって、その目的とするところは、構成が簡単となり、蒸発器との配管や蒸発器、冷媒圧縮機との配管が容易に行える電動膨張弁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成すべく、本発明の電動膨張弁は、冷媒が流入する高圧側通路と冷媒が流出する低圧側通路とを連通するオリフィスを備えた弁本体と、前記オリフィスを流れる冷媒の量を調製する弁部材と、該弁部材を移動させる移動部材と、前記弁部材を開弁方向に付勢する押圧部材とを備え、前記移動部材が、電動モータにより駆動されて、前記弁部材を開閉移動させることを特徴としている。そして、前記押圧部材は圧縮コイルばねで構成され、前記移動機構は、前記電動モータの回転運動を直進運動に変換するねじ機構により構成されていることを特徴とする。
【0008】このように構成された電動膨張弁は、弁部材を電動モータで駆動し電動モータを一方に回転させて弁部材をオリフィスに接近させ、冷媒の通過流量を減少させることができ、電動モータを他方に回転させると弁部材は押圧部材の開弁方向の付勢により離反してオリフィスの開口面積を増加させ、冷媒の通過流量を増加させることができる。このように電動モータを使用して弁部材により冷媒の通過流量を容易に調整できるため、構成が簡単となり、弁本体に高圧側通路、低圧側通路および低圧冷媒通路を設けているので受液器、蒸発器および冷媒圧縮機との配管接続が容易に行える。また、押圧部材を圧縮コイルばねで構成し、移動機構は電動モータ即ちステッピングモータの回転を直進運動に変換するねじ機構により構成することにより、スペース効率を良くすることができ小型化が図れる。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明の電動膨張弁の一実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図1は、本実施形態の電動膨張弁の冷凍サイクルにおける断面図である。電動膨張弁10は、例えば自動車の空気調和装置における冷凍サイクル1に使用されるものであり、冷凍サイクル1はエンジンにより駆動される冷媒圧縮機2と、冷媒圧縮機2の吐出側に接続される凝縮機3と、凝縮機3に接続される受液器4と、受液器4からの液相冷媒を所定の開口面積のオリフィスで気液2相冷媒に減圧して断熱膨張させる電動膨張弁10と、電動膨張弁10に接続される蒸発器6とから構成され、蒸発器6の気相冷媒を冷媒圧縮機2に戻して循環させている。
【0010】電動膨張弁10は、弁本体11がアルミニウム等の直方体形状の金属から構成され、弁本体11の下部には液相冷媒の流入する高圧側通路12と、気液2相冷媒が流出する低圧側通路13とを設けてある。高圧側通路12は弁本体11の底面から穿設された穴部12aと、この穴部に連通し弁本体の一方の側面に開口する開口部12bとから構成されている。低圧側通路13は高圧側通路12の上部に位置し、弁本体11の他方の側面に開口している。また、弁本体11の上部には低圧冷媒通路14を水平方向に貫通して形成してある。
【0011】弁本体11の内部中心部には、高圧側通路12と低圧側通路13とを連通するオリフィス15が形成されている。オリフィス15は高圧側通路12の穴部12aから形成される小径の円形穴であり、高圧側通路12との接続部は円錐形にサライ加工した弁座15aが形成されている。オリフィス15における冷媒の通過量を調整する弁部材16は、弁座15aに着座してオリフィス15を開閉する球状の弁部17と、弁部17を溶接等により固着する受け軸18とから構成され、受け軸18の外周にはばね受け用の段部が形成されるとともに、中心には下方が開口している駆動雌ねじ部が形成されている。
【0012】高圧側通路12の下端開口部の内周には取付雌ねじ部が形成され、この取付雌ねじ部に高圧側通路12の下端開口部を閉塞するモータ取付部材20の中心突部外周の雄ねじ部が螺合して固定され、弁本体11とモータ取付部材20との間にOリング21が装着されている。モータ取付部材20には上部大径穴部22a、中央小径穴部22b、下部大径穴部22cを有する中心穴22が貫通して形成してあり、内部に調整軸23が位置している。
【0013】調整軸23は、上部の大径ねじ部23aと下部の小径軸部23bとを有し、下端にはすり割り状の係合溝部23cが形成されている。モータ取付部材20の中央小径穴部22bと調整軸23の小径軸部23bとの間に2重にOリング24が嵌合され、気密が確保されている。Oリング24は、その下方の止め輪により脱落が防止されている。調整軸23の大径ねじ部23aには受け軸18が螺合しており、受け軸18の外径はモータ取付部材20の上部大径穴部22aの内径より小さく設定され、受け軸18は上部大径穴部22a内に位置している。
【0014】そして、調整軸23の大径ねじ部23aと小径軸部23bとの段部が、モータ取付部材20の中央小径穴部22bの端面に当接し、調整軸23の下方移動を阻止している。受け軸18の外周のばね受け用の段部と高圧側通路12の上部角部との間には押圧部材である圧縮コイルばね26が配設され、弁部材16をオリフィス15と離反する方向に、すなわち開弁方向に付勢している。高圧側通路12は、前記のように弁部材16および弁部材を開弁方向に付勢する圧縮コイルばね26が位置する弁室として構成されている。
【0015】モータ取付部材20の下面には弁部材16を移動機構を介して閉弁方向に移動するパルスモータ30が固定され、パルスモータ30の出力軸31には調整軸23の下端の係合溝部23cに挿入される係合片31aが形成されている。このようにパルスモータ30の出力軸31の回転が調整軸23に伝達され、調整軸23が回転すると弁部材16が大径ねじ部23aにより直進運動に変換されて上昇または下降し、弁部材16をオリフィス15に対して接近あるいは離反させて、閉弁あるいは開弁するように構成されている。
【0016】モータとして、本実施形態ではパルスモータ30を使用している。パルスモータ30はモータドライバを有するコントローラ(図示せず)により制御され、コントローラには蒸発器等に設置された温度センサ(図示せず)からの出力が供給される。なお、モータはパルスモータに限られるものでなくサーボモータ等適宜のものを用いてもよく、また出力軸はモータから直結されたものではなく、減速機構を介して減速されたものでもよい。
【0017】前記の如く構成された電動膨張弁10の動作について以下に説明する。冷凍サイクル1において、エンジンにより駆動される冷媒圧縮機2で圧縮された高圧の冷媒は凝縮機3に吐出され、凝縮機3で放熱、凝縮されて受液器4に液相冷媒が貯留され、受液器4からの液相冷媒は電動膨張弁10の高圧側通路12に供給される。電動膨張弁10において、液相冷媒はオリフィス15を通過するときに断熱膨張して気液2相冷媒となり低圧側通路13から蒸発器6に供給される。気液2相冷媒は蒸発器6内で蒸発して気相冷媒となり蒸発器6を低温状態とする。そして、蒸発器6内の気相冷媒は低圧冷媒通路14を通って冷媒圧縮機2に戻り、冷媒は冷凍サイクル1内で循環する。
【0018】このように構成される冷凍サイクル1において、蒸発器6の温度を高温側、あるいは低温側へ調整したい場合には、パルスモータ30を回転駆動させて調整を行う。例えば、パルスモータ30をX方向に正転させると、出力軸31の係合片31aが回転して調整軸23を正転させる。そして、調整軸23の大径ねじ部23aに螺合している例えば外径六角で回転しない弁部材16が圧縮コイルばね26に押されて下降し、オリフィス15の開口面積を大きくする。これによりオリフィス15を通過する冷媒の通過量が増加し、蒸発器6の温度は低温側に調整される。
【0019】パルスモータ30を反対に逆転させると、出力軸31の係合片31aが回転して調整軸23を逆転させ、調整軸23に螺合している弁部材16が圧縮コイルばね26に抗して上昇し、オリフィス15の開口面積を小さくする。これによりオリフィス15を通過する冷媒の通過量が減少し、蒸発器6の温度は高温側に調整される。なお、弁部材16をオリフィス15に当接させて閉弁することも可能である。
【0020】このようにして、パルスモータ30を作動させることにより弁部材16を上昇あるいは下降させ、オリフィス15の開口面積を増減させて冷媒の通過流量を変化させ、蒸発器6の温度を調整することができる。パルスモータ30は、その回転をパルスにより正確に制御できるため、冷媒の相対的な通過流量を正確に調整することができる。また、本発明の電動膨張弁は、弁本体11に高圧側通路12、低圧側通路13および低圧冷媒通路14を設けているため構成が簡単となり、受液器4、蒸発器6および冷媒圧縮機2との配管接続が容易に行える。
【0021】つぎに本発明の電動膨張弁の他の実施形態を図面に基づき詳細に説明する。図2は他の実施形態の冷凍サイクルにおける断面図である。この実施形態は前記した実施形態に対して、弁部材を閉弁方向に移動する移動機構が変更されているので、その構成について詳細に述べるとともに、他の実質的に同等な構成については前記の実施形態と同じ参照符号を付して詳細な説明は省略する。
【0022】弁本体11の高圧側通路12の下端開口の穴部12aの内周に形成された取付雌ねじ部には、下端開口部を閉塞する円柱状のモータ取付部材40が外周ねじ部により螺着されており、Oリング40aにより気密が保たれている。モータ取付部材40は上半部が弁本体11内に位置しており、下半部は弁本体11から突出してその外周ねじ部にパルスモータ50がナット50aを介して取付けられている。
【0023】モータ取付部材40は中心に貫通穴41が穿設されており、貫通穴41にはOリング42を介して上下方向に摺動可能に調整軸43が装着されている。また、モータ取付部材40の下面には六角穴44が形成され、この六角穴に六角レンチを挿入してモータ取付部材40を弁本体11に取付けることができる。調整軸43の上端には弁部材16の受け軸18の下方開口の円錐穴45が挿入され対接している。そして、弁部材16の受け軸18の段部と高圧側通路12の上部角部との間に圧縮コイルばね26が配設されている。
【0024】パルスモータ50は上方に取付軸部51が突出しており、この取付軸部の中心には軸穴52aとねじ穴52bとから構成される中心穴52が形成されている。パルスモータ50の出力軸に連動する駆動軸53は上部の軸部、下部の駆動ねじ部および上端に溶着された駆動球部から構成され、軸部は中心穴52の軸穴52aに挿入され、駆動ねじ部はねじ穴52bに螺合している。そして、パルスモータ50の出力軸が回転すると駆動軸53は駆動ねじ部とねじ穴52bとにより上下方向に移動し、上端の駆動球部を介して調整軸43を上下動させる構成である。なお、図示していないが、パルスモータ50の出力軸と駆動軸53とは、前記した実施形態と同様に係合片と係合溝のような構成を用いてもよい。
【0025】前記のように構成される図2の実施形態においては、パルスモータ50の出力軸が回転すると駆動軸53が連動して回転され、駆動軸53は駆動ねじ部により上下動して駆動球部が調整軸43を上下動させる。これにより弁部材16が上下動してオリフィス15に接離し、オリフィス15の開口面積を変化させて冷媒の通過流量を調整する。
【0026】パルスモータ50がX方向に正転すると駆動軸53は上方に移動し、調整軸43は圧縮コイルばね26の付勢力に抗してを上方に移動し、弁部材16がオリフィス15に接近するためオリフィス15の開口面積は小さくなり、冷媒の通過流量が少なくなって蒸発器6は高温側に調整される。反対にパルスモータ50が逆転すると駆動軸53は下方に移動し、調整軸43は圧縮コイルばね26の付勢力に押されて下方に移動し、弁部材16がオリフィス15から離反するためオリフィス15の開口面積は大きくなり、冷媒の通過流量が増加して蒸発器6は低温側に調整される。
【0027】このようにパルスモータ50と圧縮コイルばね26により弁部材16をオリフィス15に接離させてオリフィスの開口面積を調整し、冷媒の通過流量を調整することができるため、構成を簡単にすることができる。開口面積の調整は、パルスモータ50をパルスにより制御するため、正確に行うことができる。
【0028】また、この実施形態の電動膨張弁も、弁本体11に高圧側通路12、低圧側通路13および低圧冷媒通路14を設けているため、受液器4、蒸発器6および冷媒圧縮機2との配管接続が容易に行える。押圧部材を圧縮コイルばねで構成して内部にモータの回転を直進運動に変換するねじ機構を設けているので、スペース効率を良くすることができ小型化が図れる。
【0029】
【発明の効果】以上の説明から理解できるように、本発明の電動膨張弁は、電動モータを一方に回転させて弁部材を接近させてオリフィスの開口面積を減少させ、他方に回転させることにより開弁方向に付勢された押圧部材により弁部材を離反させてオリフィスの開口面積を増加させることができるため、構成を簡単にすることができる。また、弁本体には高圧側通路、低圧側通路および低圧冷媒通路を設けているため、受液器、蒸発器および冷媒圧縮機との配管接続が容易に行える。
【出願人】 【識別番号】391002166
【氏名又は名称】株式会社不二工機
【出願日】 平成11年5月19日(1999.5.19)
【代理人】 【識別番号】100091096
【弁理士】
【氏名又は名称】平木 祐輔 (外1名)
【公開番号】 特開2000−329247(P2000−329247A)
【公開日】 平成12年11月30日(2000.11.30)
【出願番号】 特願平11−138855