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【発明の名称】 冷凍回路用電動ニードル弁及びこれを備えた冷凍装置
【発明者】 【氏名】矢嶋 龍三郎

【氏名】道明 伸夫

【氏名】江角 肇

【氏名】平良 繁治

【要約】 【課題】スラッジの付着を可及的に防止し得るようにした冷凍回路用電動ニードル弁及びこれを備えた冷凍装置を提案する。

【解決手段】弁本体1に、ニードル嵌挿孔16とこれに嵌挿されたニードル2との間に形成されるニードル嵌挿隙間17を通って冷媒流路9側からケース3の内部空間30側へ流入する冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段Pを設ける。かかる構成とすることで、冷媒圧力の上昇又は降下に伴って上記ニードル嵌挿隙間17を通って冷媒が流れる場合、その流量が少ない分だけ、該冷媒に混入しているスラッジのニードル嵌挿隙間17の壁面への付着が抑制され、スラッジの付着に起因するニードル2の作動不良が可及的に防止されその適正な作動が確保される。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ニードル(2)が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔(16)と該ニードル嵌挿孔(16)の一端側に臨んで設けられ上記ニードル(2)によって流路面積が調整される冷媒流路(9)とを備えた弁本体(1)と、上記弁本体(1)に対して上記ニードル嵌挿孔(16)の他端側をその内部空間(30)内に内包せしめた状態で取り付けられるとともに該内部空間(30)内には上記ニードル(2)を駆動する電動手段(X)の少なくとも一部が内装されたケース(3)とを備えた冷凍回路用電動ニードル弁であって、上記弁本体(1)に、上記ニードル嵌挿孔(16)とこれに嵌挿された上記ニードル(2)との間に形成されるニードル嵌挿隙間(17)を通って上記冷媒流路(9)側から上記内部空間(30)側へ流入する冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段(P)が設けられていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項2】 請求項1において、上記冷媒流量低下手段(P)が、上記冷媒流路(9)と上記内部空間(30)とを上記ニードル嵌挿孔(16)を介することなく連通させるように上記弁本体(1)に設けられた冷媒流路(41)であることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項3】 請求項1において、上記ニードル嵌挿孔(16)が上記冷媒流路(9)寄りに位置する大径孔部(16A)と上記電動手段(X)寄りに位置して上記ニードル(2)を摺動自在に支持する小径孔部(16B)とを備えるとともに、上記大径孔部(16A)には上記小径孔部(16B)を介することなく上記内部空間(30)に連通する均圧孔(18)が形成され、上記大径孔部(16A)と上記均圧孔(18)とによって上記冷媒流量低下手段(P)が構成されていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項4】 請求項3において、上記大径孔部(16A)には、上記ニードル(2)を摺動自在に支持するとともに該大径孔部(16A)の軸方向への冷媒の流通を許容し得る如く構成されたニードルガイド部材(42)が配置されていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項5】 請求項1において、上記ニードル嵌挿孔(16)が、上記冷媒流路(9)寄りに位置する第1小径孔部(16C)と上記電動手段(X)寄りに位置する第2小径孔部(16E)と該第1小径孔部(16C)と第2小径孔部(16E)の中間に位置し該第1小径孔部(16C)よりも大径で且つその軸方向長さが該第1小径孔部(16C)のそれよりも長く設定された大径孔部(16D)とを備え、上記ニードル(2)を上記第2小径孔部(16E)で又は上記第1小径孔部(16C)と第2小径孔部(16E)の双方で摺動自在に支持する構成とされる一方、上記大径孔部(16D)には上記第2小径孔部(16E)を介することなく上記内部空間(30)に連通する均圧孔(18)が形成され、上記大径孔部(16D)と上記均圧孔(18)とによって上記冷媒流量低下手段(P)が構成されていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項6】 請求項1において、上記冷媒流量低下手段(P)が、上記ニードル(2)の外周面又は上記ニードル嵌挿孔(16)の内周面に設けた溝(43,44)で構成されていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項7】 請求項3,4又は5において、上記弁本体(1)が、上記冷媒流路(9)を備えた基部(1A)と該基部(1A)とは別体の副部(1B)とで構成され、上記大径孔部(16A)又は上記第1小径孔部(16C)と大径孔部(16D)は上記基部(1A)に、上記小径孔部(16B)又は上記第2小径孔部(16E)は上記副部(1B)にそれぞれ設けられていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項8】 請求項3,4又は5において、上記均圧孔(18)が、丸孔で構成され且つその内径が1.2mm以上とされていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項9】 請求項8において、上記均圧孔(18)が、上記ニードル嵌挿孔(16)の周囲に複数個設けられていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項10】 請求項1,2,3,4,5,6,7,8又は9において、上記ニードル嵌挿隙間(17)の隙間間隔が0.2mm以上に設定されていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項11】 ニードル(2)が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔(16)と該ニードル嵌挿孔(16)の一端側に臨んで設けられ上記ニードル(2)によって流路面積が調整される冷媒流路(9)とを備えた弁本体(1)と、上記弁本体(1)に対して上記ニードル嵌挿孔(16)の他端側をその内部空間(30)内に内包せしめた状態で取り付けられ且つ該内部空間(30)内には上記ニードル(2)を駆動する電動手段(X)の少なくとも一部が内装されたケース(3)とを備えるとともに、上記電動手段(X)が上記ニードル嵌挿孔(16)の径方向外側において噛合し且つ該ニードル嵌挿孔(16)の軸方向に延びるネジ部を備えるとともにその噛合隙間(23)が上記ニードル嵌挿孔(16)の他端側において該ニードル嵌挿孔(16)と連通する構成をもつ冷凍回路用電動ニードル弁であって、上記冷媒流路(9)から上記ニードル嵌挿孔(16)を介して上記噛合隙間(23)に流入する冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段(Q)が設けられていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項12】 請求項11において、上記冷媒流量低下手段(Q)が、上記ニードル嵌挿孔(16)の他端側に対向して上記電動手段(X)側に設けられた連通孔(45)であることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項13】 請求項11において、上記冷媒流量低下手段(Q)が、上記ニードル嵌挿孔(16)に嵌挿された上記ニードル(2)の端部側に設けられて該ニードル(2)が上記電動手段(X)に対してその軸方向に相対変位した時に上記ニードル嵌挿孔(16)と上記内部空間(30)とを連通させる冷媒流路(49,50)であることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項14】 ニードル(2)が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔(16)と該ニードル嵌挿孔(16)の一端側に臨んで設けられ上記ニードル(2)によって流路面積が調整される冷媒流路(9)とを備えた弁本体(1)と、上記弁本体(1)に対して上記ニードル嵌挿孔(16)の他端側をその内部空間(30)内に内包せしめた状態で取り付けられ且つ該内部空間(30)内には上記ニードル(2)を駆動する電動手段(X)の少なくとも一部が内装されたケース(3)とを備えるとともに、上記電動手段(X)の外周面と上記ケース(3)の内周面との間に外周隙間(21)が形成された冷凍回路用電動ニードル弁であって、上記外周隙間(21)を介して上記内部空間(30)の上記電動手段(X)の一方側に位置する第1空間部(31)と他方側に位置する第2空間部(32)との間を流れる冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段(R)が設けられていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項15】 請求項14において、上記冷媒流量低下手段(R)が、上記電動手段(X)に備えられた永久磁石(4)の周壁部分をその軸方向に貫通して形成された冷媒流路(46)で構成されていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項16】 請求項14において、上記冷媒流量低下手段(R)が、上記電動手段(X)に備えられた永久磁石(4)の内周側にあってこれを保持するスペーサ(6)の周壁部分をその軸方向に貫通して形成された冷媒流路(47)で構成されていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項17】 請求項14において、上記冷媒流量低下手段(R)が、上記電動手段(X)に備えられた永久磁石(4)と該永久磁石(4)の内周側にあってこれを保持するスペーサ(6)との衝合部分に形成された冷媒流路(48)で構成されていることを特徴とする冷凍回路用電動ニードル弁。
【請求項18】 請求項1ないし請求項17のいずれかに記載の冷凍回路用電動ニードル弁を膨張弁として適用して構成されたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項19】 請求項18において、上記冷媒として、理論吐出温度がR22よりも高いHFC冷媒又はHFC冷媒を含む混合冷媒を用いたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項20】 請求項18において、上記冷媒として、理論吐出温度がR12及びR502よりも高いHFC冷媒又はHFC冷媒を含む混合冷媒を用いたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項21】 請求項18において、上記冷媒として、R32のみ、又はR32を含む混合冷媒を用いたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項22】 請求項18において、冷凍機油として合成油を用いたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項23】 請求項22において、上記合成油の基油として、ポリオールエステル、炭酸エステル、ポリビニルエーテル、アルキンベンゼン又はポリアルキレングリコールを用いたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項24】 請求項19又は20において、冷凍機油として極圧添加剤を含んだ合成油を用いたことを特徴とする冷凍装置。
【請求項25】 請求項18,19,20,21,22,23又は24において、利用側熱交換器又は熱源側熱交換器が複数備えられていることを特徴とする冷凍装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本願発明は、冷凍回路において冷媒の流量制御に用いられる電動ニードル弁、及びこの電動ニードル弁を備えた冷凍装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】図14には、冷凍回路において冷媒の流量制御に使用されている電動膨張弁Z0の構造を示している。尚、後述する本願発明の説明の便宜上、この従来一般的な電動膨張弁Z0の構造を具体的に説明しておく。
【0003】図14において、符号1は弁本体、2はニードル、3はケースである。上記弁本体1は、その軸方向の一端側に位置する大径の流路形成部1aと他端側に位置する小径のネジ形成部1cとこれら両者の中間に位置する中径の肩部1bとをもつ異径体で構成され、上記肩部1bとネジ形成部1cとを上記ケース3の一方の端面に形成した開口33を通してその内部空間30内に挿入させた状態で該ケース3と一体化されている。
【0004】そして、上記弁本体1の上記流路形成部1aには、略直交する冷媒導入部11と冷媒導出部12とからなり且つ該冷媒導入部11の口縁部に弁座部15を形成した冷媒流路9が設けられている。尚、この冷媒導入部11には冷媒導入管13が、冷媒導出部12には冷媒導出管14がそれぞれ接続されている。
【0005】また、上記弁本体1の上記流路形成部1aの冷媒流路9部分から上記ネジ形成部1cの端部に至る部分には、所定径のニードル嵌挿孔16が貫設され、該ニードル嵌挿孔16の一端は上記冷媒流路9に開口し、他端は上記ネジ形成部1cの端面上に開口している。
【0006】上記ニードル嵌挿孔16には、その一端を弁頭部20としたニードル2が摺動自在に嵌挿配置されており、該ニードル2がその軸方向に移動して上記弁頭部20と弁座部15との間の通路面積を増減設定することで上記冷媒導入管13から冷媒導出管14側に流れる冷媒の流量制御が行われるとともに、上記弁頭部20が上記弁座部15に着座することで全閉とされ冷媒の流通が阻止される。
【0007】尚、上記ニードル2は、上記弁頭部20側に位置する大径の摺動軸部2aと小径の支持軸部2bとをもつ段付き軸体で構成され、上記ニードル嵌挿孔16によって上記摺動軸部2aが摺動自在に支持されその軸心位置の保持が行われる。この場合、上記ニードル嵌挿孔16の内周面と上記ニードル2の摺動軸部2aとの間には微小なニードル嵌挿隙間17が形成されるとともに、上記支持軸部2bとの間には上記ニードル嵌挿隙間17よりも隙間寸法の大きい内周隙間22が形成される。
【0008】一方、上記弁本体1の肩部1bには、その軸心部を通る上記ニードル嵌挿孔16(即ち、上記ニードル嵌挿隙間17)と上記ケース3の内部空間30の下端部(即ち、後述する第1空間部31)とを連通させる所定径の均圧孔18が形成されている。
【0009】さらに、上記弁本体1の上記ネジ形成部1cの外周面にはオネジが刻設されている。そして、このネジ形成部1cの径方向外側には、上記ニードル2を軸方向に駆動させる電動手段Xの一部を構成するロータ部10が配置されている。尚、上記電動手段Xは、所謂「ステッピングモータ」で構成されるものであって、上記ロータ部10と上記ケース3の外周側に配置された電磁石5とを備える。
【0010】上記ロータ部10は、有底筒状形態を有し且つその周壁部7aの内周面に上記弁本体1のネジ形成部1cに設けたオネジに噛合するメネジを刻設したネジ形成部材7と、両鍔付き筒状形態を有し且つその外周側には永久磁石4を保持するとともにその内周側には上記ネジ形成部材7の周壁部7aが無理嵌め嵌着されたスペーサ6とを備えて構成される。
【0011】そして、このロータ部10は、上記弁本体1のネジ形成部1cに対してその上方側(端部側)から上記ネジ形成部材7を螺入させることで該弁本体1側に取り付けられている。従って、上記ロータ部10は、上記電磁石5の通電量(パルス値)に対応してこれが一体的に回転することで、上記弁本体1のネジ形成部1cに対してその軸方向へ相対移動することになる。
【0012】このロータ部10の軸方向移動を利用して上記ニードル2をその開閉方向(即ち、軸方向)へ駆動させるべく、該ロータ部10に対して上記ニードル2が連結されている。即ち、上記ニードル2は、その他端側を上記端面部7bを貫通してその上方へ突出させ且つその突出端に止着部材34を設けることで下方への抜け止めが行われるとともに、上記ネジ形成部材7の端面部7bの下面と上記ニードル2の摺動軸部2aと支持軸部2bの段差部との間に縮装配置したバネ35によって上記止着部材34を上記ネジ形成部材7の端面部7bに当接させる方向に常時付勢されている。
【0013】従って、上記ニードル2は、上記弁頭部20が上記弁座部15に着座するまでの範囲においては上記ロータ部10の軸方向移動と一体的に移動して流路面積の増減を行うことになるが、上記弁頭部20が上記弁座部15に着座した後(即ち、上記ニードル2のそれ以上の下動が規制された状態)においては、上記ロータ部10は上記バネ35を縮小させながらさらに所定寸法だけ下動し、バネ35の付勢力によって上記ニードル2の閉弁状態を保持する。従って、この場合には、上記止着部材34と上記ネジ形成部材7の端面部7bとの間には所定の隙間が生じることになる(図9、図10を参照)。
【0014】また、上記ロータ部10は、上記永久磁石4と上記電磁石5との間における磁力効果を適正に保持すべく、該永久磁石4とその外側に位置するケース3の内周面との間隔を微小(例えば、0.2mm程度)に設定しており、従って上記ケース3の内部空間30は、上記ロータ部10によってその下側に位置する第1空間部31と上側に位置する第2空間部32とに区画されるとともに、これら両空間部31,32は、上記永久磁石4の外周面と上記ケース3の内周面との間に形成される外周隙間21を介して連通される。
【0015】以上が、従来一般的な電動膨張弁Z0の構造である。
【0016】この電動膨張弁Z0においては、圧縮機の駆動によって電動膨張弁Z0の上流側の冷媒圧力が上昇すると、この冷媒圧力の上昇を受けて、該電動膨張弁Z0の内部において差圧が生じ、冷媒の一部が上記冷媒流路9から上記ニードル嵌挿隙間17を通って上記ケース3の内部空間30側に流れ込む。即ち、上記ニードル嵌挿隙間17に流入する冷媒は、その一部は該ニードル嵌挿隙間17に連通する上記均圧孔18を通って上記第1空間部31に直接流入する。また、他の一部は、上記ニードル嵌挿隙間17を上昇し、該ニードル嵌挿隙間17からさらに上記ニードル2の他端寄り部分と上記弁本体1のニードル嵌挿孔16との間に形成される内周隙間22を通って上昇した後反転し、上記弁本体1のネジ形成部1cとこれに螺合された上記ネジ形成部材7との間の噛合部隙間23を通って流下し上記第1空間部31に至る。この二つの経路から上記第1空間部31に流入し且つ合流した冷媒は、さらに上記外周隙間21を通って上昇し、上記第2空間部32に流入することになる。
【0017】このように、上記ケース3の第1空間部31と第2空間部32に冷媒が流入することで上記ロータ部10の軸方向両側における差圧状態が解消され、該ロータ部10の円滑な移動が確保される。そして、この状態で、上記ニードル2が上記ロータ部10の移動に連動して一体的に移動することで冷媒流量が制御される。
【0018】一方、圧縮機が停止して電動膨張弁Z0の上流側の冷媒圧力が低下してくると、上記ケース3側の降圧の冷媒が上記場合とは逆の経路を辿って上記冷媒流路9側に還流される。
【0019】
【発明が解決しようとする課題】ところで、冷凍装置に使用される圧縮機の摺動部においては、厳しい運転条件下では金属接触によって高温となることから、冷凍機油とか回路中に残存した加工油が劣化して高粘度のスラッジが発生する。しかも、このスラッジは冷媒に溶けない、あるいは溶けにくい性状をもつことから、冷媒と溶け合わずに冷媒と分離したスラッジは冷媒とともに冷凍回路中を循環することになる。
【0020】この場合、電動膨張弁Z0においては、上述のように圧縮機の運転開始及び運転停止に伴って、冷媒が冷媒流路9とケース3の内部空間30との間を流れ、しかもこの冷媒は狭隘な上記ニードル嵌挿隙間17と噛合部隙間23及び外周隙間21を通って流れることから、これら各隙間17,23,21にスラッジが付着し易い。そして、これら各隙間17,23,21のうち、上記ニードル嵌挿隙間17にスラッジが付着しこれが溜まると、該スラッジが高粘度であることから、上記ニードル2の移動、即ち、冷媒の流量制御作用が阻害され、また、上記噛合部隙間23及び外周隙間21にスラッジが付着しこれが溜まると、上記ロータ部10の作動が阻害されるものであり、これら何れの場合においても、圧縮機での異常な液圧縮とか過熱を招来することになるため好ましくない。
【0021】そこで、本願発明では、スラッジの付着を可及的に防止し得るようにした冷凍回路用電動ニードル弁及びこれを備えた冷凍装置を提案することを目的としてなされたものである。
【0022】
【課題を解決するための手段】本願発明ではかかる課題を解決するための具体的手段として次のような構成を採用している。
【0023】本願の第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁では、ニードル2が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔16と該ニードル嵌挿孔16の一端側に臨んで設けられ上記ニードル2によって流路面積が調整される冷媒流路9とを備えた弁本体1と、上記弁本体1に対して上記ニードル嵌挿孔16の他端側をその内部空間30内に内包せしめた状態で取り付けられるとともに該内部空間30内には上記ニードル2を駆動する電動手段Xの少なくとも一部が内装されたケース3とを備えたものにおいて、上記弁本体1に、上記ニードル嵌挿孔16とこれに嵌挿された上記ニードル2との間に形成されるニードル嵌挿隙間17を通って上記冷媒流路9側から上記内部空間30側へ流入する冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段Pを設けたことを特徴としている。
【0024】本願の第2の発明では、上記第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Yを、上記冷媒流路9と上記内部空間30とを上記ニードル嵌挿孔16を介することなく連通させるように上記弁本体1に設けられた冷媒流路41で構成したことを特徴としている。
【0025】本願の第3の発明では、上記第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記ニードル嵌挿孔16が上記冷媒流路9寄りに位置する大径孔部16Aと上記電動手段X寄りに位置して上記ニードル2を摺動自在に支持する小径孔部16Bとを備えるとともに、上記大径孔部16Aには上記小径孔部16Bを介することなく上記内部空間30に連通する均圧孔18を形成したもので、上記大径孔部16Aと上記均圧孔18とによって上記冷媒流量低下手段Pを構成したことを特徴としている。
【0026】本願の第4の発明では、上記第3の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記大径孔部16Aに、上記ニードル2を摺動自在に支持するとともに該大径孔部16Aの軸方向への冷媒の流通を許容し得る如く構成されたニードルガイド部材42を配置したことを特徴としている。
【0027】本願の第5の発明では、上記第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記ニードル嵌挿孔16が、上記冷媒流路9寄りに位置する第1小径孔部16Cと上記電動手段X寄りに位置する第2小径孔部16Eと該第1小径孔部16Cと第2小径孔部16Eの中間に位置し該第1小径孔部16Cよりも大径で且つその軸方向長さが該第1小径孔部16Cのそれよりも長く設定された大径孔部16Dとを備え、上記ニードル2を上記第2小径孔部16Eで又は上記第1小径孔部16Cと第2小径孔部16Eの双方で摺動自在に支持する構成とする一方、上記大径孔部16Dには上記第2小径孔部16Eを介することなく上記内部空間30に連通する均圧孔18を形成したもので、上記大径孔部16Dと上記均圧孔18とによって上記冷媒流量低下手段Pを構成したことを特徴としている。
【0028】本願の第6の発明では、上記第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Pを、上記ニードル2の外周面又は上記ニードル嵌挿孔16の内周面に設けた溝43,44で構成したことを特徴としている。
【0029】本願の第7の発明では、上記第3,第4又は第5の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記弁本体1を、上記冷媒流路9を備えた基部1Aと該基部1Aとは別体の副部1Bとで構成し、上記大径孔部16A又は上記第1小径孔部16Cと大径孔部16Dはこれを上記基部1Aに、上記小径孔部16B又は上記第2小径孔部16Eはこれを上記副部1Bにそれぞれ設けたことを特徴としている。
【0030】本願の第8の発明では、上記第3,第4又は第5の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記均圧孔18を、丸孔で構成し且つその内径を1.2mm以上としたことを特徴としている。
【0031】本願の第9の発明では、上記第8の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記均圧孔18を、上記ニードル嵌挿孔16の周囲に複数個設けたことを特徴としている。
【0032】本願の第10の発明では、上記第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8又は第9の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記ニードル嵌挿隙間17の隙間間隔を0.2mm以上に設定したことを特徴としている。
【0033】本願の第11の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁では、ニードル2が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔16と該ニードル嵌挿孔16の一端側に臨んで設けられ上記ニードル2によって流路面積が調整される冷媒流路9とを備えた弁本体1と、上記弁本体1に対して上記ニードル嵌挿孔16の他端側をその内部空間30内に内包せしめた状態で取り付けられ且つ該内部空間30内には上記ニードル2を駆動する電動手段Xの少なくとも一部が内装されたケース3とを備えるとともに、上記電動手段Xが上記ニードル嵌挿孔16の径方向外側において噛合し且つ該ニードル嵌挿孔16の軸方向に延びるネジ部を備えるとともにその噛合隙間23が上記ニードル嵌挿孔16の他端側において該ニードル嵌挿孔16と連通する構成をもつものにおいて、上記冷媒流路9から上記ニードル嵌挿孔16を介して上記噛合隙間23に流入する冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段Qを設けたことを特徴としている。
【0034】本願の第12の発明では、上記第11の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Qを、上記ニードル嵌挿孔16の他端側に対向して上記電動手段X側に設けられた連通孔45で構成したことを特徴としている。
【0035】本願の第13の発明では、上記第11の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Qを、上記ニードル嵌挿孔16に嵌挿された上記ニードル2の端部側に設けられて該ニードル2が上記電動手段Xに対してその軸方向に相対変位した時に上記ニードル嵌挿孔16と上記内部空間30とを連通させる冷媒流路49,50で構成したことを特徴としている。
【0036】本願の第14の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁では、ニードル2が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔16と該ニードル嵌挿孔16の一端側に臨んで設けられ上記ニードル2によって流路面積が調整される冷媒流路9とを備えた弁本体1と、上記弁本体1に対して上記ニードル嵌挿孔16の他端側をその内部空間30内に内包せしめた状態で取り付けられ且つ該内部空間30内には上記ニードル2を駆動する電動手段Xの少なくとも一部が内装されたケース3とを備えるとともに、上記電動手段Xの外周面と上記ケース3の内周面との間に外周隙間21が形成されたものにおいて、上記外周隙間21を介して上記内部空間30の上記電動手段Xの一方側に位置する第1空間部31と他方側に位置する第2空間部32との間を流れる冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段Rを設けたことを特徴としている。
【0037】本願の第15の発明では、上記第14の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Rを、上記電動手段Xに備えられた永久磁石4の周壁部分をその軸方向に貫通して形成された冷媒流路46で構成したことを特徴としている。
【0038】本願の第16の発明では、上記第14の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Rを、上記電動手段Xに備えられた永久磁石4の内周側にあってこれを保持するスペーサ6の周壁部分をその軸方向に貫通して形成された冷媒流路47で構成したことを特徴としている。
【0039】本願の第17の発明では、上記第14の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Rを、上記電動手段Xに備えられた永久磁石4と該永久磁石4の内周側にあってこれを保持するスペーサ6との衝合部分に形成された冷媒流路48で構成したことを特徴としている。
【0040】本願の第18の発明では、上記第1の発明ないし第17の発明のいずれか一つの冷凍回路用電動ニードル弁を膨張弁として適用したことを特徴としている。
【0041】本願の第19の発明では、上記第18の発明にかかる冷凍装置において、上記冷媒として、理論吐出温度がR22よりも高いHFC冷媒又はHFC冷媒を含む混合冷媒を用いたことを特徴としている。
【0042】本願の第20の発明では、上記第18の発明にかかる冷凍装置において、上記冷媒として、理論吐出温度がR12及びR502よりも高いHFC冷媒又はHFC冷媒を含む混合冷媒を用いたことを特徴としている。
【0043】本願の第21の発明では、上記第18の発明にかかる冷凍装置において、上記冷媒として、R32のみ、又はR32を含む混合冷媒を用いたことを特徴としている。
【0044】本願の第22の発明では、上記第18の発明にかかる冷凍装置において、冷凍機油として合成油を用いたことを特徴としている。
【0045】本願の第23の発明では、上記第22の発明にかかる冷凍装置において、上記合成油の基油として、ポリオールエステル、炭酸エステル、ポリビニルエーテル、アルキンベンゼン又はポリアルキレングリコールを用いたことを特徴としている。
【0046】本願の第24の発明では、上記第19又は第20の発明にかかる冷凍装置において、冷凍機油として極圧添加剤を含んだ合成油を用いたことを特徴としている。
【0047】本願の第25の発明では、上記第18,第19,第20,第21,第22,第23又は第24にかかる冷凍装置において、利用側熱交換器又は熱源側熱交換器を複数備えたことを特徴としている。
【0048】
【発明の効果】本願発明ではかかる構成とすることにより次のような効果が得られる。
【0049】(ア) 本願の第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、ニードル2が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔16と該ニードル嵌挿孔16の一端側に臨んで設けられ上記ニードル2によって流路面積が調整される冷媒流路9とを備えた弁本体1と、上記弁本体1に対して上記ニードル嵌挿孔16の他端側をその内部空間30内に内包せしめた状態で取り付けられるとともに該内部空間30内には上記ニードル2を駆動する電動手段Xの少なくとも一部が内装されたケース3とを備えたものにおいて、上記弁本体1に、上記ニードル嵌挿孔16とこれに嵌挿された上記ニードル2との間に形成されるニードル嵌挿隙間17を通って上記冷媒流路9側から上記内部空間30側へ流入する冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段Pを設けているので、電動ニードル弁の上流側の冷媒圧力の上昇又は降下に伴って上記ニードル嵌挿隙間17を通って冷媒が流れる場合、上記冷媒流量低下手段Pによって上記ニードル嵌挿隙間17における冷媒流量が低下されている分だけ、該冷媒に混入しているスラッジのニードル嵌挿隙間17の壁面への付着量が減少し、スラッジの付着に起因する上記ニードル2の作動不良が可及的に防止され、該ニードル2の適正な作動の確保によって冷凍回路の圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱が未然に防止されその信頼性が向上することになる。
【0050】(イ) 本願の第2の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記冷媒流量低下手段Pを、上記冷媒流路9と上記内部空間30とを上記ニードル嵌挿孔16を介することなく連通させるように上記弁本体1に設けられた冷媒流路41で構成しているので、冷媒は通路抵抗の少ない上記冷媒流路41側を主として流れ、上記ニードル嵌挿隙間17側の冷媒流量が相対的に減少し、それだけ該ニードル嵌挿隙間17の壁面へのスラッジの付着が抑制されるものである。即ち、上記(ア)に記載の効果を、上記冷媒流路41の形成という簡単且つ安価な構成によって確実に達成できるものである。
【0051】(ウ) 本願の第3の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁は、上記第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記ニードル嵌挿孔16が上記冷媒流路9寄りに位置する大径孔部16Aと上記電動手段X寄りに位置して上記ニードル2を摺動自在に支持する小径孔部16Bとを備えるとともに、上記大径孔部16Aには上記小径孔部16Bを介することなく上記内部空間30に連通する均圧孔18を形成したもので、上記大径孔部16Aと上記均圧孔18とによって上記冷媒流量低下手段Pを構成している。
【0052】従って、本発明の冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記ニードル嵌挿孔16の内周面と上記ニードル2の外周面との間に形成される上記ニードル嵌挿隙間17のうち、上記冷媒流路9寄りに位置する上記大径孔部16Aに対応する部分では、上記小径孔部16Bに対応する部分よりもその通路面積が大きくその通路抵抗が小さくなっているのに加えて、この大径孔部16Aに上記均圧孔18が形成されていることから、上記冷媒流路9側からの冷媒は、主として、上記大径孔部16Aに対応する部分から上記均圧孔18を介して上記内部空間30側に流れ、それだけ上記小径孔部16B側を流れる冷媒の流量が相対的に減少することになる。この結果、上記ニードル嵌挿隙間17のうち、上記小径孔部16Bに対応する部分が狭隘な隙間であるにも拘わらず、この部位へのスラッジの付着が可及的に抑制されることになる。即ち、上記(ア)に記載の効果が、上記大径孔部16Aと均圧孔18を形成するという簡単且つ安価な構成によって確実に達成できるものである。
【0053】(エ) 本願の第4の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第3の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記大径孔部16Aに、上記ニードル2を摺動自在に支持するとともに上記冷媒流路9から上記均圧孔18側への冷媒の流通を許容する構造をもつニードルガイド部材42を配置しているので、上記ニードル嵌挿隙間17における冷媒の流通を確保しつつ、上記ニードルガイド部材42によって上記ニードル2の軸心をより確実に保持することができ、上記(ウ)に記載の効果がさらに促進されることになる。
【0054】(オ) 本願の第5の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁は、上記第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記ニードル嵌挿孔16が、上記冷媒流路9寄りに位置する第1小径孔部16Cと上記電動手段X寄りに位置する第2小径孔部16Eと該第1小径孔部16Cと第2小径孔部16Eの中間に位置し該第1小径孔部16Cよりも大径で且つその軸方向長さが該第1小径孔部16Cのそれよりも長く設定された大径孔部16Dとを備え、上記ニードル2を上記第2小径孔部16Eで又は上記第1小径孔部16Cと第2小径孔部16Eの双方で摺動自在に支持する構成とする一方、上記大径孔部16Dには上記第2小径孔部16Eを介することなく上記内部空間30に連通する均圧孔18を形成したもので、上記大径孔部16Dと上記均圧孔18とによって上記冷媒流量低下手段Pを構成したことを特徴としている。
【0055】従って、本発明の冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記ニードル嵌挿孔16の内周面と上記ニードル2の外周面との間に形成される上記ニードル嵌挿隙間17のうち、上記冷媒流路9寄りに位置する上記大径孔部16Aに対応する部分では、上記第1及び第2小径孔部16C,16Eに対応する部分よりもその通路面積が大きくその通路抵抗が小さくなっているとともにここに上記均圧孔18が形成されていることから、上記冷媒流路9側から上記第1小径孔部16Cを通って大径孔部16D側に流れる冷媒は、主として上記大径孔部16D側から上記均圧孔18を介して上記内部空間30側に流れ、相対的に上記第2小径孔部16E側を流れる冷媒の流量は減少し該第2小径孔部16E側へのスラッジの付着が可及的に抑制される。また、上記第1の小径孔部16C部分は冷媒が流れるものの、その長さが上記大径孔部16Dのそれに比して短いことからこの部分へのスラッジの付着量は少なく維持される。
【0056】これらの相乗的効果として、付着スラッジによる上記ニードル2の作動阻害が可及的に防止され、該ニードル2の適正な作動が確保されることで、上記(ア)に記載の効果が確実に達成されることになる。
【0057】(カ) 本願の第6の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第1の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Pを、上記ニードル2の外周面又は上記ニードル嵌挿孔16の内周面に設けた溝43,44で構成しているので、該ニードル2の外周面とニードル嵌挿孔16の内周面との間に形成されるニードル嵌挿隙間17を通って冷媒が流れる場合、冷媒は通路抵抗の少ない上記溝43,44部分を主として流れ、該溝43,44以外の狭隘な部分における冷媒流量が相対的に減少し、それだけ該ニードル嵌挿隙間17の壁面へのスラッジの付着が抑制されるものである。即ち、上記(ア)に記載の効果を、上記溝43,44の形成という簡単且つ安価な構成によって確実に達成できるものである。
【0058】(キ) 本願の第7の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第3,第4又は第5の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記弁本体1を、上記冷媒流路9を備えた基部1Aと該基部1Aとは別体の副部1Bとで構成し、上記大径孔部16A又は上記第1小径孔部16Cと大径孔部16Dはこれを上記基部1Aに、上記小径孔部16B又は上記第2小径孔部16Eはこれを上記副部1Bにそれぞれ設けているので、上記(ウ),(エ)又は(オ)に記載の効果が得られるのに加えて、例えば該弁本体1を一体構成とする場合に比して、上記各孔部の加工が容易であり、それだけ電動ニードル弁の製造コストの低廉化が期待できることになる。
【0059】(ク) 本願の第8の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第3又は第5の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記均圧孔18を、丸孔で構成し且つその内径を1.2mm以上としているので、該均圧孔18がスラッジの付着によって詰まりを生じることがほぼ確実に防止され、該均圧孔18による均圧作用が良好に維持される。
【0060】(ケ) 本願の第9の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第8の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記均圧孔18を、上記ニードル嵌挿孔16の周囲に複数個設けているので、電動ニードル弁側における均圧作用がより一層促進され、該電動ニードル弁の適正な作動への移行がより迅速となる。
【0061】(コ) 本願の第10の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第1,第2,第3,第4,第5,第6,第7,第8又は第9の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記ニードル嵌挿隙間17の隙間間隔を0.2mm以上に設定することで、上記ニードル嵌挿孔16による上記ニードル2の軸心保持作用を維持しつつ、該ニードル嵌挿隙間17の壁面へのスラッジの付着を効果的に抑制することができ、これら両者の相乗効果によって、上記ニードル2の適正な作動状態が長期に亙って維持されるものである。
【0062】(サ) 本願の第11の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、ニードル2が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔16と該ニードル嵌挿孔16の一端側に臨んで設けられ上記ニードル2によって流路面積が調整される冷媒流路9とを備えた弁本体1と、上記弁本体1に対して上記ニードル嵌挿孔16の他端側をその内部空間30内に内包せしめた状態で取り付けられ且つ該内部空間30内には上記ニードル2を駆動する電動手段Xの少なくとも一部が内装されたケース3とを備えるとともに、上記電動手段Xが上記ニードル嵌挿孔16の径方向外側において噛合し且つ該ニードル嵌挿孔16の軸方向に延びるネジ部を備えるとともにその噛合隙間23が上記ニードル嵌挿孔16の他端側において該ニードル嵌挿孔16と連通する構成をもつものにおいて、上記冷媒流路9から上記ニードル嵌挿孔16を介して上記噛合隙間23に流入する冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段Qを設けているので、電動ニードル弁の上流側の冷媒圧力の上昇又は降下に伴って上記ニードル嵌挿隙間17を介して上記噛合隙間23側に冷媒が流れる場合、上記冷媒流量低下手段Qによって上記噛合隙間23に流入する冷媒の流量が低下されている分だけ、該冷媒に混入しているスラッジの上記噛合隙間23の壁面への付着量が減少し、スラッジの付着に起因する上記ネジ部の作動不良が可及的に防止され、延いては上記電動手段Xの適正な作動が確保によって冷凍回路の圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱が未然に防止されその信頼性が向上することになる。
【0063】(シ) 本願の第12の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第11の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記直接流出手段Qを、上記ニードル嵌挿孔16の他端側に対向して上記電動手段X側に設けられた連通孔45で構成しているので、上記ニードル嵌挿孔16とニードル2との間のニードル嵌挿隙間17を通って該ニードル嵌挿孔16の他端側に流入する冷媒は、上記噛合隙間23よりも通路抵抗の少ない上記連通孔45を主として流れ、該噛合隙間23側においては冷媒の流量が相対的に減少し、それだけ該噛合隙間23の壁面へのスラッジの付着が抑制される。即ち、この発明では、上記連通孔45を形成するという簡単且つ安価な構造によって上記(サ)に記載の効果が確実に得られるものである。
【0064】(ス) 本願の第13の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第11の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記直接流出手段Qを、上記ニードル嵌挿孔16に嵌挿された上記ニードル2の端部側に設けられて該ニードル2が上記電動手段Xに対してその軸方向に相対変位した時に上記ニードル嵌挿孔16と上記内部空間30とを連通させる冷媒流路49,50で構成しているので、上記ニードル2が上記電動手段Xに対してその軸方向に相対変位した時、即ち、上記ニードル2が閉弁された状態においては、上記ニードル嵌挿孔16とニードル2との間のニードル嵌挿隙間17を通って該ニードル嵌挿孔16の他端側に流入する冷媒は、上記噛合隙間23よりも通路抵抗の少ない上記冷媒流路49,50を主として流れ、該噛合隙間23側においては冷媒の流量が相対的に減少し、それだけ該噛合隙間23の壁面へのスラッジの付着が抑制される。即ち、この発明では、上記冷媒流路49,50を形成するという簡単且つ安価な構造によって上記(サ)に記載の効果が確実に得られるものである。
【0065】(セ) 本願の第14の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、ニードル2が摺動自在に貫通配置されるニードル嵌挿孔16と該ニードル嵌挿孔16の一端側に臨んで設けられ上記ニードル2によって流路面積が調整される冷媒流路9とを備えた弁本体1と、上記弁本体1に対して上記ニードル嵌挿孔16の他端側をその内部空間30内に内包せしめた状態で取り付けられ且つ該内部空間30内には上記ニードル2を駆動する電動手段Xの少なくとも一部が内装されたケース3とを備えるとともに、上記電動手段Xの外周面と上記ケース3の内周面との間に外周隙間21が形成されたものにおいて、上記外周隙間21を介して上記内部空間30の上記電動手段Xの一方側に位置する第1空間部31と他方側に位置する第2空間部32との間を流れる冷媒の流量を低下させる冷媒流量低下手段Rを設けているので、電動ニードル弁の上流側の冷媒圧力の上昇又は降下に伴って上記外周隙間21を介して上記第1空間部31と第2空間部32の間で冷媒が流れる場合、上記冷媒流量低下手段Rによって上記外周隙間21を流れる冷媒の流量が低下されている分だけ、該冷媒に混入しているスラッジの上記外周隙間21の壁面への付着量が減少し、スラッジの付着に起因する上記電動手段Xの作動不良が可及的に防止され、該電動手段Xの適正な作動が確保されることで冷凍回路の圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱が未然に防止されその信頼性が向上することになる。
【0066】(ソ) 本願の第15の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第14の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Rを、上記電動手段Xに備えられた永久磁石4の周壁部分をその軸方向に貫通して形成された冷媒流路46で構成しているので、上記第1空間部31と第2空間部32の間を流れる冷媒は、上記外周隙間21よりも通路抵抗の少ない上記冷媒流路46を主として流れ、該外周隙間21側においては冷媒の流量が相対的に減少し、それだけ該外周隙間21の壁面へのスラッジの付着が抑制される。即ち、この発明では、上記冷媒流路46を形成するという簡単且つ安価な構造によって上記(セ)に記載の効果が確実に得られるものである。
【0067】(タ) 本願の第16の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第14の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Rを、上記電動手段Xに備えられた永久磁石4の内周側にあってこれを保持するスペーサ6の周壁部分をその軸方向に貫通して形成された冷媒流路47で構成しているので、上記第1空間部31と第2空間部32の間を流れる冷媒は、上記外周隙間21よりも通路抵抗の少ない上記冷媒流路47を主として流れ、該外周隙間21側においては冷媒の流量が相対的に減少し、それだけ該外周隙間21の壁面へのスラッジの付着が抑制される。即ち、この発明では、上記冷媒流路47を形成するという簡単且つ安価な構造によって上記(セ)に記載の効果が確実に得られるものである。
【0068】(チ) 本願の第17の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁によれば、上記第14の発明にかかる冷凍回路用電動ニードル弁において、上記冷媒流量低下手段Rを、上記電動手段Xに備えられた永久磁石4と該永久磁石4の内周側にあってこれを保持するスペーサ6との衝合部分に形成された冷媒流路48で構成しているので、上記第1空間部31と第2空間部32の間を流れる冷媒は、上記外周隙間21よりも通路抵抗の少ない上記冷媒流路48を主として流れ、該外周隙間21側においては冷媒の流量が相対的に減少し、それだけ該外周隙間21の壁面へのスラッジの付着が抑制される。即ち、この発明では、上記冷媒流路48を形成するという簡単且つ安価な構造によって上記(セ)に記載の効果が確実に得られるものである。
【0069】(ツ) 本願の第18の発明にかかる冷凍装置によれば、上記第1の発明ないし第17の発明のいずれか一つの冷凍回路用電動ニードル弁を膨張弁として適用しているので、該電動ニードル弁がスラッジの付着による作動不良が生じにくい構成であることから、上記膨張弁はこれが比較的スラッジが発生し易い運転条件下において使用される場合でも、スラッジの付着による作動不良を生じることなく適正な作動を維持することとなり、それだけ冷凍装置の運転上の信頼性が向上することになる。
【0070】(テ) 本願の第19の発明にかかる冷凍装置は、上記第18の発明にかかる冷凍装置において、上記冷媒として、理論吐出温度がR22よりも高いHFC冷媒又はHFC冷媒を含む混合冷媒を用いたことを特徴としている。
【0071】この場合、圧縮機中で生成されるスラッジは、冷媒の吐出温度が高くなるほどその生成量が増加するという特性があるため、冷媒として理論吐出温度がR22よりも高いHFC冷媒又はHFC冷媒を含む混合冷媒を用いると、スラッジ生成量そのものが多くなり、それだけ電動膨張弁にスラッジの付着による作動不良が生じ易くなる。
【0072】しかし、かかる場合にあっても、この発明の冷凍装置のように、上記電動膨張弁として上記第1の発明ないし第17の発明のいずれか一つの冷凍回路用電動ニードル弁を適用することで、冷媒の特性上スラッジ生成量が多いにも拘わらず、上記電動膨張弁の適正な作動が確保され、冷凍装置の適正な運転が実現されることになる。
【0073】(ト) 本願の第20の発明にかかる冷凍装置は、上記第18の発明にかかる冷凍装置において、上記冷媒として、理論吐出温度がR12及びR502よりも高いHFC冷媒又はHFC冷媒を含む混合冷媒を用いたことを特徴としている。
【0074】この場合、圧縮機中で生成されるスラッジは、冷媒の吐出温度が高くなるほどその生成量が増加するという特性があるため、冷媒として理論吐出温度がR12及びR502よりも高いHFC冷媒又はHFC冷媒を含む混合冷媒を用いると、スラッジ生成量そのものが多くなり、それだけ電動膨張弁にスラッジの付着による作動不良が生じ易くなる。
【0075】しかし、かかる場合にあっても、この発明の冷凍装置のように、上記電動膨張弁として上記第1の発明ないし第17の発明のいずれか一つの冷凍回路用電動ニードル弁を適用することで、冷媒の特性上スラッジ生成量が多いにも拘わらず、上記電動膨張弁の適正な作動が確保され、冷凍装置の適正な運転が実現されることになる。
【0076】(ナ) 本願の第21の発明にかかる冷凍装置は、上記第18の発明にかかる冷凍装置において、上記冷媒として、R32のみ、又はR32を含む混合冷媒を用いたことを特徴としている。
【0077】この場合、R32は温暖化係数が低いこと、理論COPとか熱伝達効率が高く且つ冷媒圧力損失の少ないために冷凍装置で使用した場合にはエネルギー効率が高いこと、等の利点がある反面、例えばR22等に比較して吐出温度が高くスラッジの生成量が多いという欠点がある。
【0078】しかし、この発明の冷凍装置のように、冷媒として、R32のみ、又はR32を含む混合冷媒を用いるものにあっても、上記電動膨張弁として上記第1の発明ないし第17の発明のいずれか一つの冷凍回路用電動ニードル弁を適用することで、スラッジ生成量が多いにも拘わらず上記電動膨張弁の適正な作動が確保されるので、温暖化防止効果の高い冷凍装置を提供することが可能となる。
【0079】(ニ) 本願の第22の発明にかかる冷凍装置は、上記第18の発明にかかる冷凍装置において、冷凍機油として合成油を用いたことを特徴とし、また本願の第23の発明にかかる冷凍装置は、上記合成油の基油として、ポリオールエステル、炭酸エステル、ポリビニルエーテル、アルキンベンゼン又はポリアルキレングリコールを用いたことを特徴としている。
【0080】この場合、上記合成油は、例えばR22を冷媒とする冷凍装置において冷凍機油として用いられていた鉱油と異なり、狭い範囲の分子量で且つ単一に近い構造の分子で構成されているため、水分・空気・不純物などの影響を受けて化学的変化を生じた場合にはダメージを受け易く、またこの科学的なダメージはスラッジの発生増加につながるものである。従って、かかる合成油を冷凍機油として用いた冷凍装置においては、スラッジの付着による電動膨張弁の作動不良が生じ易いものとなる。
【0081】ところが、この発明の冷凍装置では、冷凍機油として上記ポリオールエステル等の合成油を用いたものにあっても、上記電動膨張弁として上記第1の発明ないし第17の発明のいずれか一つの冷凍回路用電動ニードル弁を適用することで、冷凍機油の性状からスラッジ生成量が多いにも拘わらず、上記電動膨張弁の適正な作動が確保され、作動上の信頼性の高い冷凍装置を提供することが可能となる。
【0082】(ヌ) 本願の第24の発明にかかる冷凍装置は、上記第19又は第20の発明にかかる冷凍装置において、冷凍機油として極圧添加剤を含んだ合成油を用いたことを特徴としている。
【0083】この場合、HFC冷媒は、一般にHCFC冷媒に比して自己潤滑性に劣るため、冷凍機油に極圧添加剤を添加する必要があるが、この極圧添加剤は高温の金属摺動面において鉄と反応してスラッジとなる。このため、HFC冷媒を用い且つ冷凍機油として極圧添加剤を添加した合成油を用いたものにおいては、スラッジの付着による電動膨張弁の作動不良が発生し易い。
【0084】しかし、この発明の冷凍装置のように、冷凍機油として極圧添加剤を含んだ合成油を用いたものにあっても、上記電動膨張弁として上記第1の発明ないし第17の発明のいずれか一つの冷凍回路用電動ニードル弁を適用することで、スラッジ生成量が多いにも拘わらず、上記電動膨張弁の適正な作動が確保され、作動上の信頼性の高い冷凍装置を提供することが可能となる。
【0085】(ネ) 本願の第25の発明にかかる冷凍装置は、上記第18,第19,第20,第21,第22,第23又は第24にかかる冷凍装置において、利用側熱交換器又は熱源側熱交換器を複数備えたことを特徴としている。
【0086】かかる熱交換器を複数備えた冷凍装置にあっては、例えば利用側熱交換器と熱源側熱交換器とが一対一で連結される構成の冷凍装置に比して、冷媒の配管長が長くなり、それだけ配管中の水分・空気・不純物も多く、これが冷凍回路中に混入してスラッジを発生する確率も高くなる。従って、利用側熱交換器又は熱源側熱交換器を複数備えた冷凍装置においては、スラッジの付着に起因する電動膨張弁の作動不良が問題となり易い。
【0087】しかし、かかる場合においても、上記第18,第19,第20,第21,第22,第23又は第24にかかる冷凍装置のように、電動膨張弁としてスラッジが付着しにくい構造の電動膨張弁を採用することで、熱交換器を複数備えた配管長の長い構成でありながら、電動膨張弁の作動不良の無い信頼性の高い冷凍装置を提供することができる。
【0088】
【発明の実施の形態】以下、本願発明を好適な実施形態に基づいて具体的に説明する。
【0089】尚、以下に述べる各実施形態の電動膨張弁Z1〜Z12は、上述の図14に示した従来の電動膨張弁Z0とその基本構造を同じくするものであり、従って、以下の各実施形態の電動膨張弁Z1〜Z12についてその構成部材のうち、図14に示した電動膨張弁Z0の各構成部材に対応する部材には図14に付した符号と同一の符号を付することでその説明を省略し、各実施形態に特有の構成部分のみを詳述することとする。
【0090】第1の実施形態図1には、第1の実施形態にかかる電動膨張弁Z1を示しており、同図において符号1は弁本体、2はニードル、3はケース、4は永久磁石、5は電磁石、6はスペーサ、7はネジ形成部材、10は上記永久磁石4とスペーサ6とネジ形成部材7とで構成されるロータ部であり、該ロータ部10と上記電磁石5とで電動手段Xが構成されている。
【0091】この実施形態の電動膨張弁Z1は、上記弁本体1に設けたニードル嵌挿孔16とこれに嵌装される上記ニードル2との間に形成される狭隘なニードル嵌挿隙間17の壁面におけるスラッジの付着を可及的に防止することをその主たる目的としたものであって、圧縮機(図示省略)の運転及び運転停止に伴う上記冷媒流路9側の冷媒圧力の上昇あるいは降下に対応して、該冷媒流路9と上記ケース3側の内部空間30との間を冷媒が流れる場合において、上記ニードル嵌挿隙間17を流れる冷媒量を低下させることで該ニードル嵌挿隙間17の壁面へのスラッジの付着を可及的に抑制するものである。
【0092】このための具体的手段として、この実施形態の電動膨張弁Z1においては、本願の請求項1及び請求項2に記載の発明を適用して、上記弁本体1の流路形成部1a部分に、上記ニードル嵌挿隙間17を介することなく、上記冷媒流路9と上記ケース3側の第1空間部31とを直接連通する冷媒流路41(特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段P」に該当する)を適数個形成したものである。
【0093】かかる構成とすれば、上記冷媒流路9側と上記内部空間30側との差圧によってこれら両者間を冷媒が流れる場合(即ち、圧縮機の運転開始時には上記冷媒流路9側から内部空間30側に、また圧縮機の運転停止時には内部空間30側から冷媒流路9側に、それぞれ流れる場合)、上記ニードル嵌挿隙間17と上記各冷媒流路41,41,・・との間における通路抵抗は該各冷媒流路41,41,・・側の方が上記ニードル嵌挿隙間17側よりも格段に小さいので、冷媒はその大部分が上記冷媒流路41,41,・・を通って流れ、その分だけ上記ニードル嵌挿隙間17を通って流れる冷媒量が相対的に減少することになる。
【0094】この結果、上記ニードル嵌挿隙間17側においては、ここを流れる冷媒量の相対的な低下により、例え冷媒とか冷凍機油としてスラッジ発生量が多くなるものを採用していたとしても、該ニードル嵌挿隙間17を流れる冷媒量の低下分だけ、該ニードル嵌挿隙間17の壁面へのスラッジ付着量が減少せしめられることになる。
【0095】従って、上記ニードル嵌挿隙間17の壁面への高粘度のスラッジの付着に起因して上記ニードル2の作動が阻害されることが可及的に防止され、該ニードル2の適正な作動が確保されることで、例えば圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱が未然に防止され、上記電動膨張弁Z1を備えた冷凍装置の作動上の信頼性が高められることになる。
【0096】尚、上記冷媒流路41は、その通路面積が大きいことから、ここへのスラッジ付着はほとんど生じない。また、この実施形態においては、上記各冷媒流路41,41,・・が、従来構造の電動膨張弁Z0における均圧孔18として同時に機能し得ることから、該均圧孔18は設けていない。
【0097】第2の実施形態図2には、本願発明の第2の実施形態にかかる電動膨張弁Z2を示している。この電動膨張弁Z2は、本願の請求項1,3,7,8及び9に記載の発明が適用されたもので、上記第1の実施形態にかかる電動膨張弁Z1と同様に、上記ニードル嵌挿隙間17の壁面へのスラッジの付着による上記ニードル2の作動不良の発生を防止することを目的とした構造をもつものである。
【0098】即ち、この実施形態の電動膨張弁Z2は、■上記弁本体1の構造に関しては、上記第1の実施形態においては該弁本体1を流路形成部1aと肩部1bとネジ形成部1cとを一体的に備えた構造としていたのに対し、この実施形態では該弁本体1を、上記流路形成部1aと肩部1bのみを備えた基部1Aと、上記ネジ形成部1cに対応するネジ形成部材8で構成される副部1Bとからなる結合構造とし、■上記基部1Aと上記副部1Bとに跨がって形成される上記ニードル嵌挿孔16に関しては、該ニードル嵌挿孔16を、上記基部1A側に位置する大径孔部16Aと上記副部1B側に位置する小径孔部16Bとで構成し、且つ該小径孔部16Bはこれを上記ニードル2を摺動自在に支持し得るように該ニードル2の外径に近似した径寸法に設定し該ニードル2の外周面との隙間を上記ニードル嵌挿隙間17とする一方、上記大径孔部16Aは上記小径孔部16Bよりも大きな径寸法に設定し上記ニードル2の外周面との隙間を上記ニードル嵌挿隙間17よりも隙間寸法の大きい環状隙間24とし、■さらに、上記基部1Aには、上記環状隙間24と上記第1空間部31とを連通する均圧孔18を複数個形成した、ことを構造上の特徴としている。
【0099】この実施形態の電動膨張弁Z2では、上記■〜■の如き特有の構造を採用することで、次のような作用効果が得られる。
【0100】先ず、上記冷媒流路9側と上記内部空間30側との差圧によってこれら両者間を冷媒が流れる場合、上記副部1B側の上記ニードル嵌挿隙間17と上記基部1A側の上記環状隙間24との間における通路抵抗は該環状隙間24側の方が上記ニードル嵌挿隙間17側よりも格段に小さく、またこの環状隙間24に臨んで上記均圧孔18が形成されているので、例えば上記冷媒流路9側から上記内部空間30側へ冷媒が流れる場合についてみれば、上記冷媒流路9側から上記環状隙間24側に流入した冷媒は、該環状隙間24から直接上記均圧孔18を介して上記第1空間部31側に流れ、通路抵抗の大きい上記ニードル嵌挿隙間17側の冷媒量は相対的に低下することになる。
【0101】この結果、上記ニードル嵌挿隙間17側においては、ここを流れる冷媒量の相対的な低下により、例え冷媒とか冷凍機油としてスラッジ発生量が多くなるものを採用していたとしても、該ニードル嵌挿隙間17を流れる冷媒量の低下分だけ、該ニードル嵌挿隙間17の壁面へのスラッジ付着量が減少せしめられる。従って、上記ニードル嵌挿隙間17の壁面への高粘度のスラッジの付着に起因して上記ニードル2の作動が阻害されることが可及的に防止され、該ニードル2の適正な作動が確保されることで、例えば圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱が未然に防止され、上記電動膨張弁Z2を備えた冷凍装置の作動上の信頼性が高められることになる。
【0102】また、この場合、上記ニードル2は、上記ニードル嵌挿孔16のうち、上記副部1Bを構成する上記ネジ形成部材8側の小径孔部16Bによって支持されていることで、その軸心の保持が確実ならしめられ、該ニードル2による冷媒流量の制御が高い信頼性をもって行われることになる。
【0103】さらに、この実施形態の電動膨張弁Z2においては、上記弁本体1を、上記冷媒流路9を備えた基部1Aと該基部1Aとは別体の副部1Bとで構成しているので、例えば、上記弁本体1を一体構成とする場合に比して、上記各孔部の加工が容易であり、それだけ電動膨張弁Z2の製造コストの低廉化が期待できる。
【0104】また、例えば、上記均圧孔18を丸孔で構成し且つその内径を1.2mm以上に設定すれば、該均圧孔18がスラッジの付着によって詰まりを生じることがほぼ確実に防止され、該均圧孔18による均圧作用が良好に維持され、延いては電動膨張弁Z2の適正な作動が確保されることになる。
【0105】尚、この実施形態の電動膨張弁Z2では、上記環状隙間24と均圧孔18とで特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段P」が構成されている。
【0106】第3の実施形態図3には、本願発明の第3の実施形態にかかる電動膨張弁Z3を示している。この電動膨張弁Z3は、本願の請求項1,3,4,7,8及び9に記載の発明を適用して、上記第2の実施形態にかかる電動膨張弁Z2をさらに発展させたもので、該電動膨張弁Z2と同様の構造に加えて、上記環状隙間24部分に次述のニードルガイド部材42を装着した構造とされている。
【0107】上記ニードルガイド部材42は、その内周を上記ニードル2を摺動自在に支持し得るような内径寸法をもつニードル嵌挿孔42aとする一方、該ニードル嵌挿孔42aの外周側には複数の冷媒流路42b,42b,・・を設けている。
【0108】このようなニードルガイド部材42を備えた上記電動膨張弁Z3においては、上記第2の実施形態にかかる電動膨張弁Z2と同様の作用効果が得られるのに加えて、上記ニードルガイド部材42を設けて、該ニードルガイド部材42と上記ネジ形成部材8側の小径孔部16Bの両者によって上記ニードル2を摺動自在に支持することで、該ニードル2の軸心の保持がより一層確実となり、電動膨張弁Z3の作動上の信頼性がさらに高まるものである。
【0109】尚、この実施形態の電動膨張弁Z3では、上記環状隙間24と均圧孔18とで特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段P」が構成されている。
【0110】第4の実施形態図5には、本願発明の第4の実施形態にかかる電動膨張弁Z4を示している。この電動膨張弁Z4は、本願の請求項1,5,7,8及び9に記載の発明が適用されたもので、上記第3の実施形態にかかる電動膨張弁Z3の変形例として位置付けられるものであって、該第3の実施形態にかかる電動膨張弁Z3においては上記ニードルガイド部材42を備えこれによって上記ニードル2の下部側を支持していたのに対して、該ニードル2の下部側の支持を上記基部1A側において行うようにし、これによって上記ニードルガイド部材42の装着を不要としたものである。
【0111】即ち、この電動膨張弁Z4においては、上記基部1Aから上記副部1Bに跨がって形成される上記ニードル嵌挿孔16を、上記冷媒流路9寄りに位置して上記ニードル2の外径より僅かに大きい径寸法をもつ第1小径孔部16Cと、該第1小径孔部16Cよりも大径で且つ該第1小径孔部16Cに連続するとともに上記均圧孔18の一端が開口された大径孔部16Dと、上記副部1Bを構成するネジ形成部材8側に設けられ且つ上記第1小径孔部16Cと略同一の径寸法をもつ第2小径孔部16Eとで構成している。また、この場合、上記第1小径孔部16Cの軸方向長さを、上記大径孔部16Dのそれよりも短くなるように設定している。そして、上記第1小径孔部16Cと第2小径孔部16Bの双方によって上記ニードル2を支持する。
【0112】このような構成とすることで、上記第3の実施形態の電動膨張弁Z3の如き上記ニードルガイド部材42を設けずとも該第3の実施形態の電動膨張弁Z3と同様の作用効果が得られることは勿論のこと、これに加えて、上記該ニードルガイド部材42が不要である分だけ製造コストの低廉化も期待できるものである。
【0113】即ち、この電動膨張弁Z4においては、上記大径孔部16Dに対応する上記環状隙間24は、上記第1小径孔部16Cに形成されるニードル嵌挿隙間25及び上記第2小径孔部16Eに対応する上記ニードル嵌挿隙間17よりもその通路面積が大きくその通路抵抗が小さくなっており、しかも該環状隙間24部分には上記均圧孔18が形成されていることから、上記冷媒流路9側から上記第1小径孔部16Cを通って大径孔部16D側に流れる冷媒は、主として通路抵抗の小さい上記大径孔部16D側から上記均圧孔18を介して上記内部空間30側に流れ、相対的に上記ニードル嵌挿隙間17側を流れる冷媒の流量は減少することになる。
【0114】この結果、上記ニードル嵌挿隙間17側におけるスラッジの付着が可及的に抑制される。また、上記第1の小径孔部16Cに対応するニードル嵌挿隙間25部分も、冷媒が流れるものの、その長さが上記大径孔部16Dのそれに比して短いことからこの部分へのスラッジの付着量は少ない。これらの相乗的効果として、付着スラッジによる上記ニードル2の作動阻害が可及的に防止され、その適正な作動が確保されるものである。
【0115】尚、この実施形態の電動膨張弁Z4においては、上記環状隙間24と上記均圧孔18とで特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段P」が構成されている。
【0116】第5及び第6の実施形態図6は本願発明の第5の実施形態にかかる電動膨張弁Z5が、また図7には本願発明の第6実施形態にかかる電動膨張弁Z6が、それぞれ示されている。これら各実施形態の電動膨張弁Z5,Z6は、本願の請求項1及び請求項6に記載の発明が適用されたものであって、上記各実施形態の電動膨張弁Z1〜Z4と同様に、上記ニードル嵌挿隙間17部分におけるスラッジの付着を防止することを目的とするものであるが、これを実現するための具体例な構造は上記各電動膨張弁Z1〜Z4とは異なっている。
【0117】即ち、この第5及び第6の実施形態にかかる電動膨張弁Z5,Z6においては、図14に示した従来の電動膨張弁Z0の構造を基本とし、その上で、上記ニードル2の摺動軸部2aの外周面に、螺旋状に延びる溝43(電動膨張弁Z5の場合)あるいはニードル2の軸方向に延びる複数本の溝44,44,・・(電動膨張弁Z6の場合)を形成したものである。
【0118】かかる構造によれば、上記冷媒流路9と上記内部空間30との間を冷媒が流れる冷媒は上記ニードル嵌挿隙間17を通るが、その場合、該ニードル嵌挿隙間17に臨む上記ニードル2の外周面に上記溝43又は溝44が形成されていることで、該ニードル嵌挿隙間17はこれら各溝43,44に臨む部位においては、それ以外の部位に比して、その通路面積が大きくなっている。このため、上記ニードル嵌挿隙間17を通って流れる冷媒は、主として上記各溝43,44に対応する通路面積の大きい部位を通って流れ、該各溝43,44に対応する部位以外の部分における冷媒流量は相対的に減少することになる。そして、上記各溝43,44に対応する部位ではその通路面積が大きいことから、ここへのスラッジの付着はほとんどなく、また該各溝43,44に対応する部位以外の部位においてもここを流れる冷媒量が少ないことから、その隙間が狭隘であったとしてもここへのスラッジの付着は極めて少なく維持される。
【0119】この結果、例え冷媒とか冷凍機油としてスラッジ発生量が多くなるものを採用していたとしても、上記ニードル嵌挿隙間17の狭隘な隙間部分におけるスラッジ付着が可及的に防止され、上記ニードル2の適正な作動が確保されることで、例えば圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱が未然に防止され、上記電動膨張弁Z5,Z6を備えた冷凍装置の作動上の信頼性が高められることになる。
【0120】尚、第5の実施形態における電動膨張弁Z5では、上記溝43が特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段P」に該当し、また第6の実施形態における電動膨張弁Z6では、上記溝44が特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段P」に該当する。
【0121】また、上記溝43,44は、上記第5、第6の実施形態のように、上記ニードル2の外周面に設ける構成に限定されるものではなく、例えばこれを上記弁本体1のニードル嵌挿孔16の内周面に形成したり、あるいは上記ニードル2の外周面と上記ニードル嵌挿孔16の内周面の双方に形成することもできることは勿論である。
【0122】第7の実施形態図8には、本願の第7の実施形態にかかる電動膨張弁Z7を示している。この実施形態の電動膨張弁Z7は、本願の請求項11及び12に記載の発明を適用したもので、冷媒が上記弁本体1のネジ形成部1cと上記ネジ形成部材7との間の噛合隙間23を通って流れる場合において該噛合隙間23におけるスラッジの付着を防止することを目的とし、そのために、該噛合隙間23を通る冷媒流量を低下させる冷媒流量低下手段Qを設けたものである。尚、この第7の実施形態から後述する第9の実施形態は、この冷媒流量低下手段Qの具体的構成をそれぞれ特定するものである。
【0123】この第7の実施形態にかかる電動膨張弁Z7においては、上記冷媒流路9から上記ニードル嵌挿隙間17を通って上記弁本体1のネジ形成部1cの端面側に流出する冷媒のうち、上記噛合隙間23側に流入する冷媒量を低下させることを狙ったものであって、そのために、上記弁本体1のネジ形成部1cの端面側を覆うように配置された上記ネジ形成部材7の端面部7bに適数個の連通孔45,45,・・を形成している。そして、上記ニードル嵌挿隙間17を通って上記端面部7b側に流入する冷媒を、上記各連通孔45,45,・・を通してそのまま上記第2空間部32側に流出させ、これによって上記噛合隙間23側に流入する冷媒流量を相対的に低下させるように構成したものである。尚、この実施形態の電動膨張弁Z7においては、上記連通孔45が特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段Q」に該当する。
【0124】以上の如く構成して上記噛合隙間23を通る冷媒の流量を低下させることで、例え冷媒とか冷凍機油としてスラッジ発生量が多くなるものを採用していたとしても、狭隘な上記噛合隙間23部分においては、ここを流れる冷媒の流量そのものが少ないことからスラッジの付着が可及的に防止されることになる。この結果、上記ロータ部10の適正な作動(回転動及び軸方向動)、延いては上記電動膨張弁Z7の適正な作動が確保され、該電動膨張弁Z7を備えた冷凍装置においては圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱の発生が未然に防止され、高い作動上の信頼性が得られるものである。
【0125】第8及び第9の実施形態図9には本願の第8の実施形態にかかる電動膨張弁Z8を、また図10には本願の第9の実施形態にかかる電動膨張弁Z9を、それぞれ示している。これら各実施形態の電動膨張弁Z8,Z9は、共に本願の請求項11及び請求項12に記載の発明が適用されたもので、上記第7の実施形態にかかる電動膨張弁Z7と同様に、上記噛合隙間23におけるスラッジの付着を防止せんとするものであるが、これを実現するための具体的構造(即ち、冷媒流量低下手段Qの構成)は上記第7の実施形態の電動膨張弁Z7のそれとは異なっている。
【0126】即ち、これら各実施形態にかかる電動膨張弁Z8,Z9は、上記ニードル2の全閉状態(即ち、図9及び図10に示すように、上記ニードル2の弁頭部20が上記冷媒流路9側の弁座部15に着座してそれ以上の下動が規制された状態)においては、該ニードル2に所定の閉弁方向への押圧力をかけるために上記ロータ部10が上記バネ35の付勢力に抗してさらに下動し上記ニードル2と相対変位し、該ニードル2の支持軸部2bの端部に設けた上記止着部材34と上記ネジ形成部材7の端面部7bとの間に所定の隙間が生じ、該ニードル2の支持軸部2bの端部が上記第2空間部32内に突出することを利用し、該ニードル2の支持軸部2bの端部寄りの外周面に複数の縦溝でなる冷媒流路49(第8の実施形態にかかる電動膨張弁Z8の場合)、又は複数本の螺旋溝でなる冷媒流路50(第9の実施形態にかかる電動膨張弁Z9の場合)を形成したものである。
【0127】かかる構成とすると、上記ニードル2の全閉状態においては、上記ニードル嵌挿隙間17がその上端側(即ち、上記噛合隙間23への連通側)において上記各冷媒流路49,50を介して直接に上記第2空間部32に連通することから、該ニードル嵌挿隙間17を上昇してきた冷媒は、その大部分が通路抵抗の少ない上記冷媒流路49,50を通って直接的に上記第2空間部32に流出し、それだけ上記噛合隙間23側における冷媒の流量が相対的に減少することになる。
【0128】この結果、上記第7の実施形態にかかる電動膨張弁Z7の場合と同様に、例え冷媒とか冷凍機油としてスラッジ発生量が多くなるものを採用していたとしても、狭隘な上記噛合隙間23部分におけるスラッジ付着が可及的に防止され、上記ロータ部10の適正な作動(回転動及び軸方向動)、延いては上記電動膨張弁Z8,Z9の適正な作動が確保され、該電動膨張弁Z8,Z9を備えた冷凍装置においては圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱の発生が未然に防止され、高い作動上の信頼性が得られるものである。
【0129】尚、第8の実施形態における電動膨張弁Z8では上記冷媒流路49が、また第9の実施形態における電動膨張弁Z9では上記冷媒流路5が、それぞれ特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段Q」に該当する。
【0130】第10,第11及び第12の実施形態図11には本願の第10の実施形態にかかる電動膨張弁Z10を、また図12には本願の第11の実施形態にかかる電動膨張弁Z11を、さらに図13には本願の第12の実施形態にかかる電動膨張弁Z12を、それぞれ示している。これら各実施形態の電動膨張弁Z10,Z11,Z12は、共に本願の請求項14及び請求項15に記載の発明が適用されたもので、上記ケース3の外周壁と、上記ロータ部10の最外周に位置して上記外周壁に近接対向する上記永久磁石4の外周面との間に形成される狭隘な外周隙間21におけるスラッジの付着を防止することを目的とし、そのために該外周隙間21における冷媒流量を低下させる冷媒流量低下手段Rを備えたものである。
【0131】先ず、図11に示す第10の実施形態にかかる電動膨張弁Z10においては、上記永久磁石4の周壁部分にこれを軸方向に貫通する冷媒流路46,46,・・を形成し、該各冷媒流路46,46,・・によって上記第1空間部31と第2空間部32とを連通させたものである。
【0132】また、図12に示す第11の実施形態にかかる電動膨張弁Z11においては、上記永久磁石4を抱持する上記スペーサ6の周壁部分にこれを軸方向に貫通する冷媒流路47,47,・・を形成し、該各冷媒流路47,47,・・によって上記第1空間部31と第2空間部32とを連通させたものである。
【0133】さらに、図13に示す第12の実施形態にかかる電動膨張弁Z12においては、上記永久磁石4とこれを抱持する上記スペーサ6との衝合面部分にこれを軸方向に貫通する冷媒流路48,48,・・を形成し、該各冷媒流路48,48,・・によって上記第1空間部31と第2空間部32とを連通させたものである。尚、この場合、上記冷媒流路48はこの第12の実施形態のように上記スペーサ6の外周面に設けるものに限定されるものではなく、例えば上記永久磁石4の内周面に設けたり、あるいはこれら両者にそれぞれ設けたりすることができるものである。
【0134】かかる構成とすれば、上記冷媒流路9側と上記内部空間30側との差圧によって上記第1空間部31側から第2空間部32側に冷媒が流れる場合、上記外周隙間21と上記各冷媒流路46,47,48との間における通路抵抗は、該各冷媒流路46,47,48側の方が上記外周隙間21側よりも小さいので、上記冷媒はその大部分が上記冷媒流路46,47,48を通って流れ、その分だけ上記外周隙間21を通って流れる冷媒量が相対的に減少することになる。
【0135】この結果、上記外周隙間21側においては、ここを流れる冷媒量の相対的な低下により、例え冷媒とか冷凍機油としてスラッジ発生量が多くなるものを採用していたとしても、冷媒流量の低下分だけ、該外周隙間21の壁面(即ち、上記ケース3の内周面及び上記永久磁石4の外周面)へのスラッジ付着量が減少することになる。従って、上記外周隙間21へのスラッジの付着に起因して上記ロータ部10の作動が阻害されることが可及的に防止され、上記ニードル2の適正な作動が確保され、結果的に、例えば圧縮機における異常な液圧縮あるいは過熱が未然に防止され、上記電動膨張弁Z10,Z11,Z12を備えた冷凍装置の作動上の信頼性が高められることになる。
【0136】尚、上記第10〜第12の実施形態においては、上記各冷媒流路46,47,48がそれぞれ特許請求の範囲中の「冷媒流量低下手段R」に該当する。
【0137】その他上記各実施形態の電動膨張弁Z1〜Z12は、電動膨張弁においてスラッジ付着が懸念される狭隘な隙間(即ち、上記ニードル嵌挿隙間17と上記外周隙間21及び上記噛合隙間23)のそれぞれにおけるスラッジ付着を個別に防止する具体例を示しているが、電動膨張弁全体としてスラッジの付着による不具合をより確実に防止するという観点からは、上記各実施形態の電動膨張弁Z1〜Z12にそれぞれ示した構成を適宜組み合わせた複合的な構造として実施することができることは勿論である。
【出願人】 【識別番号】000002853
【氏名又は名称】ダイキン工業株式会社
【出願日】 平成11年5月12日(1999.5.12)
【代理人】 【識別番号】100075731
【弁理士】
【氏名又は名称】大浜 博
【公開番号】 特開2000−320712(P2000−320712A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−130699