トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 流体流路切替器
【発明者】 【氏名】鳥居 滋

【要約】 【課題】複数の流路を併用する場合の流体流路切替に関し、従来の、例えば複数の三方コックのみを用いることに代えて、単一の機器で、複数の流路を同時に開閉し流路の切替えを可能とするような構造を有する流体流路切替器を提供すること。

【解決手段】流体流路に介在させる流体流路切替器であって、少なくとも一端が開口する中空部分3を有する固定筐体2と、上記固定筐体に相対的に移動自在に嵌入させる入れ子4と、上記固定筐体と上記入れ子とが流体流路切替器の内部で連通する部分と、を備え、上記入れ子を回転方向及び/又は軸方向に相対的に移動させることにより、複数の流路を同時に切替え得る流体流路切替器の構造とした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体流路に介在させる流体流路切替器であって、切替弁として働く入れ子4と、上記入れ子を相対的移動可能状態で嵌入させる開口3aが少なくとも1側面に形成された中空部分3を有する固定筐体2と、を備え上記固定筐体には、その外面に設けた流体ポート11、12等から上記中空部分内に至る複数の貫通孔を設けたことと、上記入れ子には、上記固定筐体の中空部分に貫通している任意の隣接した貫通孔に対して、上記相対的移動により選択的に連通させ得るようにその外表面に複数の連通溝21、22等を設けたことと、上記入れ子には、更に、上記固定筐体の中空部分に貫通している貫通孔の内の隣接していないものを選択的に連通させるためのバイパス的な連通貫通孔28を設けたことと、上記入れ子を回転方向及び/又は軸方向に相対的に移動させることにより、上記固定筐体の開口間の複数の流路を同時に切替えし得ることと、を特徴とする流体流路切替器。
【請求項2】 上記複数の流体ポートが、n個の流体導入用の流体ポート11、13等と、少なくともn個の流体導出用の流体ポート12、14等を含むことと、上記複数の連通溝が、上記入れ子が所定位置のとき隣接する貫通孔を連通させ、上記入れ子が所定の距離移動したとき隣接する別の組の貫通孔を連通させ得る溝長さを有する少なくともn個の連通溝21、22等を含むことと、を特徴とする請求項1に記載の流体流路切替器(ここで、nは3以上10以下の整数)。
【請求項3】 流体流路に介在させる流体流路切替器であって、少なくとも一端が開口する中空部分3と、外面に設けたn個の流体導入用の流体ポート11、13等と、(n+1)個の流体導出用の流体ポート12、14等と、を備え、上記流体ポートから上記中空部分内に至る貫通孔の導入用と導出用の開口部を、交互に、略等間隔で、及び1若しくは2以上の略同一直線上又は1若しくは2以上の略同一円周上に配設した固定筐体2と、外表面に、隣接する上記開口部を連通させ得る溝長さを有する(n+1)個の連通溝21、22等と、隣接していない上記開口部を連通させ得るように穿設した連通貫通孔28と、を備え、上記中空部分に相対的に移動自在に嵌入する入れ子4と、を含むことを特徴とする流体流路切替器(ここで、nは3以上10以下の整数)。
【請求項4】 上記nが、n=3又はn=4であることを特徴とする請求項2又は3に記載の流体流路切替器。
【請求項5】 流体流路に介在させる流体流路切替器であって、少なくとも一端が開口する中空部分3と、外面に設けた3個の流体導入用の流体ポート11、13、15と、4個の流体導出用の流体ポート12、14、16、20と、を備え、上記流体ポートから上記中空部分内に至る貫通孔の導入用と導出用の開口部を、交互に、略等間隔で、及び1若しくは2以上の略同一直線上又は1若しくは2以上の略同一円周上に配設した固定筐体2と、外表面に、隣接する上記開口部を連通させ得る溝長さを有する4個の連通溝21、22、23、24と、隣接していない上記開口部を連通させ得るように穿設した連通貫通孔28と、を備え、上記中空部分に相対的に移動自在に嵌入する入れ子4と、を含むことを特徴とする流体流路切替器。
【請求項6】 流体流路に介在させる流体流路切替器であって、少なくとも一端が開口する中空部分3と、外面に設けた4個の流体導入用の流体ポート11、13、15、17と、5個の流体導出用の流体ポート12、14、16、18、20と、を備え、上記流体ポートから上記中空部分内に至る貫通孔の導入用と導出用の開口部を、交互に、略等間隔で、及び1若しくは2以上の略同一直線上又は1若しくは2以上の略同一円周上に配設した固定筐体2と、外表面に、隣接する上記開口部を連通させ得る溝長さを有する5個の連通溝21、22、23、24、25と、隣接していない上記開口部を連通させ得るように穿設した連通貫通孔28と、を備え、上記中空部分に相対的に移動自在に嵌入する入れ子4と、を含むことを特徴とする流体流路切替器。
【請求項7】 上記入れ子が、円形の水平断面形状を有する円筒状部材であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の流体流路切替器。
【請求項8】 上記入れ子が、切頭円錐体の形状を有する部材であることを特徴とする請求項7に記載の流体流路切替器。
【請求項9】 上記入れ子が、角棒状部材又は水平断面形状が楕円形の棒状部材であることを特徴とする請求項1から6のいずれかに記載の流体流路切替器。
【請求項10】 上記固定筐体の中空部分3の内表面及び上記入れ子4の外表面にO−リング用の溝を含むことを特徴とする請求項1から9のいずれかに記載の流体流路切替器。
【請求項11】 上記固定筐体2及び上記入れ子4の少なくとも1つを構成する材料が耐食材料であることを特徴とする請求項1から10のいずれかに記載の流体流路切替器。
【請求項12】 上記固定筐体2を構成する耐食材料が、高分子材料又はアルミニウム若しくはマグネシウムの金属材料のいずれかであることを特徴とする請求項11に記載の流体流路切替器。
【請求項13】 上記入れ子4を構成する耐食材料が、フルオルカーボン樹脂であることを特徴とする請求項11に記載の流体流路切替器。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流体流路に介在させ流路を開閉することができる可動機構を有する弁又はコック等の機器に関し、特に単一の機器で、一つの切替操作により複数の流路切替を同時になし得る流体流路切替器の構造に関する。
【0002】
【従来の技術】気体、液体のような流体を複数の装置で処理する場合、一般的に各装置を配管で接続し、流路を加圧し又は減圧して流体を流通させている。例えば、有機溶媒蒸気を回収する場合は、通常はロータリーエバポレーター等の蒸発器で溶媒蒸気を発生させ、この溶媒蒸気を有機溶媒回収装置(例えば、特開平10−109001号公報)で冷却し回収しているが、溶媒を効率よく蒸発させるため、真空ポンプ、エジェクター等の気体吸引器により、気体を吸引し減圧する手段を講じている。
【0003】このとき、減圧を効率よく行なうために、気体吸引器を有機溶媒回収装置の後に設置することが多い。しかしながら、有機溶媒の沸点が低温の場合は、有機溶媒を減圧下で冷却凝縮させると効率が低下することから、常圧下で有機溶媒を回収する必要があり、この場合は、気体吸引器を有機溶媒回収装置の前に設置することになる。
【0004】すなわち、かかる有機溶媒回収系においては、有機溶媒の沸点に応じて、蒸発器−有機溶媒回収装置−気体吸引器という流路と、蒸発器−気体吸引器−有機溶媒回収装置という流路とを併用することが望ましい。
【0005】しかしながら、このような複数の流体流路を併用する場合に、従来は流体流路を簡便に切替え得る機器がなかったことから、以下に述べる方法が講じられていた。すなわち、第1は、気体吸引器を有機溶媒回収装置の前後に2台設置する方法である。しかしこの方法は、気体吸引器を増設するコストのみならず、増設に必要なスペースを確保する必要もあり、好ましい方法ではない。第2は、流体流路を切替えるたびごとに、配管を繋ぎ変える方法であるが、有機溶媒の処理は有機溶媒を大気に放出させないために密閉系にする、という大原則に反することから採用し難い。
【0006】したがって、従来は複数個の三方コックを使用して流路を切替えていた。しかしながら、上述した、蒸発器−有機溶媒回収装置−気体吸引器という流路と蒸発器−気体吸引器−有機溶媒回収装置という流路とを併用する場合には、図9に示すように、少なくとも5個の三方コック81、82、83、84、85を必要とし、流路を切替えるたびごとに、この5個の三方コックすべての流路を切替える必要がある。このことは、流路切替作業が極めて煩雑であり、また1個の三方コックの切替操作を誤るだけで有機溶媒回収装置が機能しなくなるという問題があった。
【0007】以上述べたように、有機溶媒回収に関し、従来は、流路を2つに切替えるだけで少なくとも5個の三方コックを必要とし、流路をそれ以上に切替える場合や処理装置がさらに増加する場合には更なる三方コックの設置を必要としていた。したがって、全ての三方コックを適切に切替えることの煩雑性、困難性から、同種の処理装置、例えば気体吸引器を複数台設置して、三方コックの設置を最小限に止めているのが現状である。また、流路切替は、上述した溶媒蒸気のような気体の場合に限られず、液体の流路においても、例えば中和、合成等の処理と減圧又は加圧を組み合わせる場合にも行われる。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】本発明は、複数の流体流路を併用する場合の気体、液体の流路切替に関し、上記した従来技術の問題点の解決を図るためになされたものである。その目的とするところは、従来の、例えば三方コックを複数個設置することにのみ依存する方法に代えて、単一の機器を用いて、一つの切替操作で複数の流路切替を同時になし得るような構造を有する流体流路切替器を提供することにある。
【0009】また他の目的は、流体中に混入する不純物が往々にして切替器に付着して切替器の気密性を阻害することがあることから、取外し及び清掃が容易であるような構造を有する流体流路切替器を提供することにある。
【0010】さらに他の目的は、環境保全のために完全に回収することが求められる各種のハロゲン系の溶媒、腐食性の高い気体、液体に対しても使用することができるような、高耐食性を有する流体流路切替器を提供することである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明に係る流体流路切替器は、図8に例示するように、例えば有機溶媒蒸気発生器61、有機溶媒蒸気の冷却回収62、減圧ポンプ63の装置及びこれらの装置を接続する配管64、三つ又71から構成される流体の流路に介在し、一つの切替操作により流体の流路を同時に切替えし得る流体流路切替器1である。
【0012】第1の発明は、図1及び図2に示すように、流体流路に介在させる流体流路切替器であって、切替弁として働く入れ子4と、上記入れ子を相対的移動可能状態で嵌入させる開口3aが少なくとも1側面に形成された中空部分3を有する固定筐体2と、を備え上記固定筐体には、その外面に設けた流体ポート11、12等から上記中空部分内に至る複数の貫通孔を設けたことと、上記入れ子には、上記固定筐体の中空部分に貫通している任意の隣接した貫通孔に対して、上記相対的移動により選択的に連通させ得るようにその外表面に複数の連通溝21、22等を設けたことと、上記入れ子には、更に、上記固定筐体の中空部分に貫通している貫通孔の内の隣接していないものを選択的に連通させるためのバイパス的な連通貫通孔28を設けたことと、上記入れ子を回転方向及び/又は軸方向に相対的に移動させることにより、上記固定筐体の開口間の複数の流路を同時に切替えし得ることと、を特徴とする流体流路切替器である。なお、本発明において、固定筐体2とは、いわゆる箱型状の形状を意味するほか、中空円筒体、例えば管状体のものも含まれる広い概念を意味する。
【0013】第2の発明は、図1及び図2に示すように、上記複数の流体ポートが、n個の流体導入用の流体ポート11、13等と、少なくともn個の流体導出用の流体ポート12、14等を含むことと、上記複数の連通溝が、上記入れ子が所定位置のとき隣接する貫通孔を連通させ、上記入れ子が所定の距離移動したとき隣接する別の組の貫通孔を連通させ得る溝長さを有する少なくともn個の連通溝21、22等を含むことと、を特徴とする流体流路切替器である。ここで、nは3以上10以下の整数である。
【0014】第3の発明は、図1〜図5に示すように、流体流路に介在させる流体流路切替器であって、少なくとも一端が開口する中空部分3と、外面に設けたn個の流体導入用の流体ポート11、13等と、(n+1)個の流体導出用の流体ポート12、14等と、を備え、上記流体ポートから上記中空部分内に至る貫通孔の導入用と導出用の開口部を、交互に、略等間隔で、及び1若しくは2以上の略同一直線上又は1若しくは2以上の略同一円周上に配設した固定筐体2と、外表面に、隣接する上記開口部を連通させ得る溝長さを有する(n+1)個の連通溝21、22等と、隣接していない上記開口部を連通させ得るように穿設した連通貫通孔28と、を備え、上記中空部分に相対的に移動自在に嵌入する入れ子4と、を含むことを特徴とする流体流路切替器である。ここで、nは3以上10以下の整数である。
【0015】第4の発明は、図1〜図5に示すように、上記nが、n=3又はn=4であることを特徴とする流体流路切替器である。
【0016】第5の発明は、図1、図3、図4に示すように、流体流路に介在させる流体流路切替器であって、少なくとも一端が開口する中空部分3と、外面に設けた3個の流体導入用の流体ポート11、13、15と、4個の流体導出用の流体ポート12、14、16、20と、を備え、上記流体ポートから上記中空部分内に至る貫通孔の導入用と導出用の開口部を、交互に、略等間隔で、及び1若しくは2以上の略同一直線上又は1若しくは2以上の略同一円周上に配設した固定筐体2と、外表面に、隣接する上記開口部を連通させ得る溝長さを有する4個の連通溝21、22、23、24と、隣接していない上記開口部を連通させ得るように穿設した連通貫通孔28と、を備え、上記中空部分に相対的に移動自在に嵌入する入れ子4と、を含むことを特徴とする流体流路切替器である。
【0017】第6の発明は、図2及び図5に示すように、流体流路に介在させる流体流路切替器であって、少なくとも一端が開口する中空部分3と、外面に設けた4個の流体導入用の流体ポート11、13、15、17と、5個の流体導出用の流体ポート12、14、16、18、20と、を備え、上記流体ポートから上記中空部分内に至る貫通孔の導入用と導出用の開口部を、交互に、略等間隔で、及び1若しくは2以上の略同一直線上又は1若しくは2以上の略同一円周上に配設した固定筐体2と、外表面に、隣接する上記開口部を連通させ得る溝長さを有する5個の連通溝21、22、23、24、25と、隣接していない上記開口部を連通させ得るように穿設した連通貫通孔28と、を備え、上記中空部分に相対的に移動自在に嵌入する入れ子4と、を含むことを特徴とする流体流路切替器である。
【0018】第7の発明は、図1〜図5に示すように、上記入れ子4が、円形の水平断面形状を有する円筒状部材であることを特徴とする流体流路切替器であり、第8の発明は、上記入れ子が、切頭円錐体の形状を有することを特徴とする流体流路切替器である。また、第9の発明は、上記入れ子が、角棒状部材又は水平断面形状が楕円形の棒状部材であることを特徴とする流体流路切替器である。さらに、第10の発明は、上記固定筐体の中空部分3の内表面及び上記入れ子4の外表面にO−リング用の溝を含むことを特徴とする流体流路切替器である。
【0019】第11の発明は、上記固定筐体2及び上記入れ子の少なくとも1つを構成する材料が耐食材料であることを特徴とする流体流路切替器である。また、第12の発明は、上記固定筐体2を構成する耐食材料が、高分子材料又はアルミニウム若しくはマグネシウムの金属材料のいずれかであることを特徴とする流体流路切替器であり、第13の発明は、上記入れ子4を構成する耐食材料が、フルオルカーボン樹脂であることを特徴とする流体流路切替器である。
【0020】
【発明の実施の形態】以下に本発明を図面に基いて説明する。図1及び図2に示すように、本発明の流体流路切替器1は、切替弁として働く入れ子4と、上記入れ子を相対的移動可能状態で嵌入させる開口3aが少なくとも1側面に形成された中空部分3を有する固定筐体2と、を備えている。上記固定筐体は、その外面に複数の流体ポート11、12、13、14、15、16、17、18、20と、上記流体ポートから上記中空部分内に至る複数の貫通孔を有する。また、上記入れ子は、上記固定筐体の中空部分に貫通している任意の隣接した貫通孔に対して、上記相対的移動により選択的に連通させ得るように、その外表面に複数の連通溝21、22、23、24、25と、上記固定筐体の中空部分に貫通している貫通孔の内の隣接していないものを選択的に連通させるためのバイパス的な連通貫通孔28とを有している。
【0021】ここで、流体ポートとは、流体流路切替器へ流体が導入し、また当該切替器から流体が導出する接続口を意味しており、流体の導入用、導出用のいずれの機能も果している。エバポレーター等の蒸発器、有機溶媒回収器、減圧ポンプに配管を通して接続される有機溶媒回収系の例では、例えば、流体ポート11、13、15、17は流体を流路切替器に導入し、流体ポート12、14、16、18、20は流体を流路切替器から導出する。
【0022】上記流体ポートの個数は、流路切替に必要な装置の個数nに依存して定まり、導入用流体ポートはn個、導出用流体ポートは少なくともn個、好ましくは(n+1)個設けられている。したがって、例えば、蒸発器、蒸気冷却回収器、気体吸引器の3つの装置の流路を切替える場合は、流体ポートは導入用として3個、導出用として4個の計7個が設けられ、また、4つの装置の流路を切替える場合は、流体ポートは導入用として4個、導出用として5個の計9個が設けられる。
【0023】なお、nは3以上10以下の整数である。本発明の技術的思想としては、nについてはその上限下限を設ける必要はないが、本発明の流路切替器を流体流路に介在させることの利点を考慮すると、nが2以下では従来の三方コックを使用する場合と比べて利点が少なく、またnが11より大きいと全体の装置数が著しく増加し煩雑化するからである。
【0024】また、上記流体ポートから上記中空部分内に至る貫通孔の導入用及び導出用の開口部の位置は、基本的には、上記入れ子4の外表面に設けられる連通溝の位置との関係で定められる。入れ子をその軸方向に移動させて流路切替操作を行う場合には、上記開口部の位置は略同一直線上に配設することが好ましく、これは図2に示すように2以上の直線上に配設してもよい。一方、入れ子を回転させて流路切替操作を行う場合には、上記開口部の位置は略同一円周上に配設することが好ましく、これは図1に示すように2以上の円周上に配設してもよい。なお、上記固定筐体の外面に設けられる流体ポートの位置は、特に限定されないが、一般的には、貫通孔を穿削する容易さから、上記中空部分の開口部からできるだけ直線状に貫通していること、及び流路切替器のデザイン的な面を考慮して定めることが好ましい。また、上記固定筐体4を鋳造により製造する場合は、直線状に限らず曲線状の貫通孔を設けることも可能である。
【0025】さらに、上記入れ子を回転方向及び/又は軸方向に相対的に移動させることにより複数の流路を同時に切替えし得るためには、上記貫通孔の導入用と導出用の開口部を、上記中空部分3の内表面に交互に配設することが必要であり、またその開口部の位置も略等間隔に配設することが好ましい。さらに、開口部は、流体に必要とされる時間当たりの流量に依存して決定されるが、極めて微小の開口部でなければ流体を処理する上での問題はないと考えられる。
【0026】なお、上記固定筐体2は、上記中空部分3及び複数個の貫通孔を穿設できる形状のものであれば、特定の形状であることを必要とせず、中空円筒体、例えば管状体のものであってもよい。ただし、貫通孔を固定筐体外面から穿削加工して穿設する場合は、略直方体又は略正方体が加工容易性の点で好ましい。また、上記中空部分3は、上記入れ子4を嵌入させるために少なくとも一端が開口していることが必要である。
【0027】次に、上記入れ子4の外表面には、交互に配設した流体ポートから至る導入用と導出用の開口部を連通し得る溝長さを有する連通溝が少なくともn個、好ましくは(n+1)個設けられている。したがって、全体で3台の装置を有する場合は4個の連通溝が、4台の装置を有する場合は5個の連通溝が設けられる。
【0028】上記連通溝は、図1、図2に示すように、上記中空部分3の内表面に開口する貫通孔の開口部の位置と対応して、略同一直線上又は略同一円周上の位置に配設されている。また、連通溝は、任意の隣接した上記導入用と導出用の開口部を連通し得る溝長さを有していることが必要である。さらに、その深さは、流体に必要とされる時間当たりの流量に依存して決定されるが、極めて浅い溝でなければ流体を処理する上での問題はない。また、上記入れ子4には、隣接していない開口部同士を連通させるバイパスとしての役割を果す連通貫通孔28が、穿設して設けられている。
【0029】上記入れ子4は、その軸方向に移動させて流路切替操作を行う場合には、上記固定筐体2に設けられた中空部分3に隙間を生ずることなく嵌入する断面形状のものであればよい。したがって、角形又は円形若しくは楕円形のいずれの断面形状であってもよい。一方、上記入れ子4を回転させて流路切替操作を行う場合には、上記入れ子4は、円形の水平断面形状を有する部材であることが必要であり、好ましくは切頭円錐体の形状を有する部材である。
【0030】また、流体流路切替器の気密性、シール性を高めるため、上記固定筐体の中空部分3の内表面及び上記入れ子4の外表面に、O−リング用の溝を設けることが好ましい。さらに、上記固定筐体の外面に設けた流体ポートには、装置に接続するための接続ジョイント(図示せず)を、また、上記入れ子4の一端には、流路切替操作を容易にするための握り部5を入れ子の一端に固着させてもよい。
【0031】さらに、本発明の流路切替器は、環境保全のために完全に回収することが求められる各種のハロゲン系の溶媒、腐食性の高い流体の流路切替に使用する場合もあることから、上記固定筐体2及び上記入れ子4を構成する材料は耐食材料であることが好ましい。特に、上記固定筐体2を構成する耐食材料は、強度と軽量性の点から高分子材料又はアルミニウム若しくはマグネシウムの金属材料のいずれかが好ましく、また、上記入れ子4を構成する耐食材料は、潤滑性、シール性及び汚れ落し性の点からフルオルカーボン樹脂が好ましい。なお、フルオルカーボン樹脂とは、テフロン(登録商標)樹脂(ポリテトラフルオルエチレン樹脂)に代表される耐薬品性に優れる共重合体樹脂をいう。
【0032】本発明は、上記のように構成されており、以下その作用について説明する。まず、流体流路が、装置A、装置B及び装置Cの3台の装置を流通する場合は、流体流路切替器の構造は図3〜図4に示すようになっている。ここで、図3及び図4は、入れ子を回転させて流路切替操作を行う切替器を示す図である。この場合に、流体は図6に示す流路を経由して流れる。また、流路には複数の流路から流体を導入するために、接続用の三つ又71を1個、図6に示す位置に設けている。なお、連通溝に隣接した円周上に微小な隙間が図4の図面上に認められるが、これは固定筐体と入れ子の相対的位置を明確にするためのものであり、実際は両者は密着嵌合しており、この部分において気体、液体のシールは完全になされている。
【0033】流体がA→C→Bの流路を流れるように入れ子4を所定位置にした場合、装置Aから導出した流体は、流体ポート11から連通溝21を経由して流体ポート12、そして三つ又71を経由して装置Cに入る。装置Cから導出した流体は、次に流体ポート13から連通溝23、連通貫通孔28、連通溝22を経由して流体ポート14から装置Bに入る。装置Bから導出した流体は、最後に流体ポート15から連通溝24を経由して流体ポート20から排出される。
【0034】次に、流体がA→B→Cの流路を流れるように入れ子4を所定の距離移動させたときは、装置Aから導出した流体は、流体ポート11から連通溝21を経由して流体ポート14から装置Bに入る。装置Bから導出した流体は、次に流体ポート15から連通溝24を経由して流体ポート16から装置Cに入る。装置Cから導出した流体は、最後に流体ポート13から連通溝23を経由して流体ポート20から排出される。なお、装置Bから装置Cに流体が入るとき、三つ又71から装置Bへは、当該流路先端の流体ポート12が閉じているため流体は流れない。
【0035】したがって、装置が3台の場合、入れ子4が所定位置のとき流体ポート16は流路に関与していない。また、流路切替のために入れ子4を所定の距離移動させたときは、連通貫通孔28はその先端が閉塞した状態になっており、流体ポート12及び連通溝22は流路には関与していないことになる。
【0036】また、装置が3台の場合に適合する流体流路切替器は、流体ポート11と12と14、流体ポート13と14と20、流体ポート15と20と16、の三方コックの役割を果たしており、流路に設けた1個の三つ又と併せて、1台の流路切替器で、従来使用していた5個の三方コックを一切使わずに、1回の流路切替操作で全ての流路を変更し得るように作用している。
【0037】次に、流体流路が、装置A、装置B、装置C及び装置Dの4台の装置を流通する場合、流体流路切替器の構造は図5に示すようになっている。ここで、図5は、入れ子の押込み・引出し方式により流路切替操作を行う切替器を示す。この場合に、流体は図7に示す流路を経由して流れる。また、流路の開閉を容易にするために最小限の2個の三方コック73、74と三つ又75とを、図7に示す位置に設けている。なお、図5において認められる連通溝に隣接した微小な隙間は、固定筐体と入れ子の相対的位置を明確にするためのものである。
【0038】流体がA→B→C→Dの流路を流れるように入れ子4が所定位置をとる場合は、装置Aから導出した流体は、流体ポート11から連通溝21を経由して流体ポート12から装置Bに入る。装置Bから導出した流体は、次に流体ポート13から連通溝24、連通貫通孔28、連通溝23を経由して流体ポート18から装置Cに入る。装置Cから導出した流体は、流体ポート17から連通溝22を経由して流体ポート14から装置Dに入る。装置Dから導出した流体は、最後に流体ポート15から連通溝25を経由して流体ポート20から排出される。
【0039】次に、流体がA→C→D→Bの流路を流れるように入れ子4を所定の距離移動させた場合は、装置Aから導出した流体は、流体ポート11から連通溝21を経由して流体ポート14から装置Cに入る。装置Cから導出した流体は、次に流体ポート17から連通溝22を経由して流体ポート18から装置Dに入る。装置Dから導出した流体は、流体ポート15から連通溝25を経由して流体ポート16から装置Bに入る。装置Bから導出した流体は、最後に流体ポート13から連通溝24を経由して流体ポート20から排出される。
【0040】したがって装置が4台の場合、入れ子4が所定位置のとき流体ポート16は流路に関与していない。入れ子4を所定の距離移動させたときは、連通貫通孔28はその先端が閉塞した状態になっており、流体ポート12及び連通溝23は流路には関与していないことになる。
【0041】また、装置が4台の場合に適合する流体流路切替器は、1台の流路切替器で、流体ポート11と12と14、流体ポート13と18と20、流体ポート17と14と18、流体ポート15と20と16、の三方コックの役割を果すように作用している。
【0042】
【実施例】実施例1材料として、変形を生じ難い高分子プラスチック(エポキシ樹脂)を固定筐体に、テフロン(登録商標)樹脂を入れ子に使用した。流体流路切替器は、図1に示す形状のもので、幅86mm、高さ86mm、奥行き60mmの直方体の正面側(入れ子を回転させる握り部取付け側と反対側)に直径40mmの開口部、後面側(入れ子握り部側)に直径50mm開口部を有する切頭円錐状の中空部分を設けた固定筐体と、上記中空部分に嵌入する長さ65mm、直径20mm、25mmの切頭円錐状の入れ子とを含んでいる。
【0043】図4(a)に示したように、上記中空部分の正面側14mm位置の同一円周上90°位置、135°位置、180°位置に、中心間距離16.7mmで直径8mmの開口部を設け、これらは各々上記直方体の正面外面に設けた流体ポート12、11及び底面外面に設けた流体ポート14と貫通している。また、図4(b)に示すように、上記中空部分の正面側46mm位置の同一円周上90°位置、135°位置、180°位置、225°位置に、中心間距離18.7mmで直径8mmの開口部を設け、これらは各々上記直方体の右側面外面に設けた流体ポート13、20、底面外面に設けた流体ポート15及び正面外面に設けた流体ポート16と貫通している。
【0044】また、図4(a)に示すように、切頭円錐状をした入れ子の外表面には、正面側14mm位置の同一円周上の90°〜135°位置及び180°〜225°位置に、短辺が直径8mmの円弧を有する周長24mm、深さ8mmの連通溝21、22を、間隔8mm離して設け、また、図4(b)に示すように、正面側46mm位置の同一円周上の45°〜90°位置及び135°〜180°位置に、短辺が直径8mmの円弧を有する周長26mm、深さ8mmの連通溝23、24を、間隔10mm離して設けた。また、連通溝22の225°位置と連通溝23の45°位置は連通貫通孔28により連通している。上記した位置及び形状の開口部及び連通溝を有する流体流路切替器を使用し流路に1個の三つ又を設けることにより、入れ子を所定位置より45°回転させる操作だけで、図4(c)、(d)に示すように、流路を同時に切替えることができた。
【0045】実施例2実施例1と同様の材料を使用した。流体流路切替器は、図2に示す形状のもので、外径60mm、長さ90mmの円筒体に、直径30mm、深さ75mm、一端が閉塞した円筒状の中空部分を設けた固定筐体と、上記中空部分に嵌入する直径30mm、長さ85mmの円筒状の入れ子とを含む。
【0046】図5(a)に示すように、円筒状の中空部分の頂点(0°)位置において、底部17.5mmの位置から、中心間距離10mm間隔で直径5mmの開口部を4個設け、これらは各々上記円筒体の頂点(0°)位置に直線状に設けた流体ポート13、20、15及び16と貫通している。また、上記円筒状の中空部分の最下点(180°)位置において、底部12.5mmの位置から、中心間距離10mm間隔で直径5mmの開孔部を5個設け、これらは各々上記円筒体の最下点(180°)位置に直線状に設けた流体ポート12、11、14、17、18と貫通している。
【0047】また、図5(a)に示すように、上記円筒状の入れ子の頂点(0°)位置に、端面4mmの位置から、短辺が直径5mmの円弧を有する長さ17mm、深さ5mmの連通溝24、25を、間隔3mm離して設け、また、最下点(180°)位置に、端面9mmの位置から短辺が直径5mmの円弧を有する長さ17mm、深さ5mmの連通溝21、22、23を、間隔3mm離して設けた。また、連通溝23と連通溝24とは連通貫通孔28とにより連通している。上記した位置及び形状の開口部及び連通溝を有する流体流路切替器を使用すると、入れ子をその軸方向に10mm移動させると、流路を切替えることができた。
【0048】
【発明の効果】本発明の流体流路切替器は、上記したように、単一の機器で、同時に複数の流路の切替えを可能とする。特に、3台の装置に適合する流路切替器では、流路の途中に設けた常時開いている三つ又を1個設けるだけで、三方コックを全て削減することができできるという効果が得られる。また4台の装置に適合する流路切替器でも、最小限の三方コックを使用するだけで流路の切替が可能となるという効果が得られる。従って、従来の数多くの三方コックを用いて流路切替を行なっていた場合と比較して、流路切替作業が極めて容易となる。
【0049】しかも、本発明では、3台の装置に適合する流路切替器では、計7個の出入孔で、3つの三方コックを使用する場合の計9個の出入孔の役割を果し、また、4台の装置に適合する流路切替器では、計9個の出入孔で、4つの三方コックを使用する場合の計12個の出入孔の役割を果している。このため、本発明の装置の構造は、非常に簡易なものであり、この種の流体の取扱いにおいて往々に遭遇する流体中の混入不純物の機器への付着に対して、清掃が容易であるという効果が得られる。
【0050】さらに、本発明の流体流路切替器は、その構成する材料を選択することにより、環境保全のために完全に回収することが求められる各種のハロゲン系の溶媒、腐食性の高い気体、液体に対しても使用することができるという効果が得られる。
【0051】以上のように、本発明の流体流路切替器を使用すれば、流路切替が容易である。このため、例えば沸点の低い有機溶媒と沸点の高い有機溶媒とが混合した溶媒に対して、配管を繋ぎかえることなく、また三方コックを全く使用することなく、気体吸引器を有機溶媒回収器の前後に接続することが可能となる。このため、低沸点の溶媒を100%回収することができるという効果が得られるので、環境に与える効果が極めて大きい。また、本発明の切替器は、例えば電磁弁で作動させることも可能であり、装置の自動化にも寄与し得るものであり、産業上その効果が極めて大きい発明である。更に、本発明では触れなかったが、本発明の技術的思想を用いれば、四方コックに対しても適用可能である。
【出願人】 【識別番号】598173915
【氏名又は名称】株式会社創造化学研究所
【出願日】 平成11年5月7日(1999.5.7)
【代理人】 【識別番号】100078662
【弁理士】
【氏名又は名称】津国 肇 (外2名)
【公開番号】 特開2000−320698(P2000−320698A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−127687