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【発明の名称】 バタフライ弁
【発明者】 【氏名】岩野 武範

【要約】 【課題】急冷やダストの吹き込みにより、弁軸等にクラックが発生してしまう。

【解決手段】弁体3に第1弁軸3aと第2弁軸3bとを備える。両弁軸3a,3bには、同弁軸よりも大径に形成された防熱・防温用のセラミックリング3c,3dを連設せしめる。セラミックリング3c,3dは、流路2に臨むべく弁体3と両弁軸3a,3bとの間に突設された環状突起からなる。この弁軸3a,3b及びセラミックリング3c,3dは、窒化珪素(Si34)約80重量%と、希土類酸化物(Y23、Yb23)約20重量%とを混合して1400〜2100℃の高温で焼成してなる窒化珪素焼結体から成形されている。従って、この窒化珪素焼結体は、曲げ強度(1000〜1400℃時)760〜800Mpa、耐熱衝撃性1200℃の材料特性を有するため、弁体方向への高温高熱の流入を有効的に減滅して、Oリング、Vリング、グランド部を防温防熱する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】高温流体の流路内に開閉自在に配設された弁体と、該弁体に突設された少なくとも一以上の弁軸と、該弁軸にスピンドル等を介して連動された弁回転手段とを備えてなるバタフライ弁において、前記弁軸は、同弁軸よりも大径に形成されて前記高温流体の流路に臨む防熱・防温用のセラミックリングを備えてなることを特徴とするバタフライ弁。
【請求項2】前記弁軸及び/又はセラミックリングは、窒化珪素(Si34)約80重量%と、希土類酸化物(Y23、Yb23)約20重量%とを混合して1400〜2100℃の高温で焼成してなる曲げ強度(1000〜1400℃時)760〜800Mpa、耐熱衝撃性1200℃の窒化珪素焼結体であることを特徴とする請求項1に記載のバタフライ弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、高温流体の流量を制御するバタフライ弁の改良に関し、更に詳しくは、弁体方向への高温高熱の流入を防止してセラミック弁及び弁軸の急冷に起因するクラック発生を防止した有用なバタフライ弁に関する。
【0002】
【従来の技術】一般に、高炉の羽口からは、高温高圧のエアー(例えば、1100〜1350℃、圧力4.5〜5.8kg/cm2(ケージ圧))が吹き込まれており、その空気流量を制御するため、羽口毎にそれぞれ独立してバタフライ弁が装着されている。
【0003】従来、斯かるバタフライ弁としては、例えば、図5に示す構成のものが従来例として既に周知である。この従来のバタフライ弁は、内周に断熱材と耐火材とからなる二重の耐火断熱層をもって形成した熱流体の流路2と、該流路2内に開閉自在に配設されたセラミック製の弁体3と、該弁体3に弁軸3aを介して連動された駆動モータ23とを備えている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上述した従来のバタフライ弁にあっては、弁体3がセラミック製であるため、摩耗が少ないといった利点を有するものの、急冷やダストの吹き込みにより、弁体3或いは弁軸3aにクラックが発生してしまうといった問題を有する。
【0005】特に、急冷によるクラックの発生例としては、高炉の休風時に、前述した1100〜1350℃の送風を瞬時にストップすると、休風後20分以内に、ブローパイプ(図示せず)より、視口カバー開口時に、雰囲気エアー(min)15℃を自然ドラフトにより吸い込んでしまうことに起因する。
【0006】これは、環状管或いは熱風炉内に装着されているブリーダバルブが、熱風炉から高炉内への空気流入を防止すると共に、炉内に残留しているガスの排出をするため、その瞬間に雰囲気エアー(外気)がセラミック弁の方向へと流れ、かつ、ブリーダー弁へとドラフト圧がかかることも相俟って、急冷される表面と内部の温度差による熱衝撃(以下、単に熱衝撃性という)により、セラミック弁や弁軸にクラックを発生させてしまうのである。
【0007】この場合は、1時間に約150℃の温度降下によりクラックが発生することになり、就中、600℃に下がるまでにクラックが発生するため、セラミック製の弁や弁軸を使用する場合、曲げ強度は勿論のこと高耐熱衝撃性も要求される。
【0008】本発明はこのような従来の問題点及び要求に鑑みてなされたもので、弁体方向への高温高熱の流入を防止して休風時における急冷との温度差によるセラミック弁及び弁軸のクラックの発生を防止した有用なバタフライ弁を提供することを目的としたものである。
【0009】
【課題を解決するための手段】上述の如き従来の問題点を解決し、所期の目的を達成するため本発明の要旨とする構成は、高温流体の流路内に開閉自在に配設された弁体と、該弁体に突設された少なくとも一以上の弁軸と、該弁軸にスピンドル等を介して連動された弁回転手段とを備えてなるバタフライ弁において、前記弁軸は、同弁軸よりも大径に形成されて前記高温流体の流路に臨む防熱・防温用のセラミックリングを備えてなるバタフライ弁に存する。
【0010】また、弁軸及び/又はセラミックリングは、窒化珪素(Si34)約80重量%と、希土類酸化物(Y23、Yb23)約20重量%とを混合して1400〜2100℃の高温で焼成してなる曲げ強度(1000〜1400℃時)760〜800Mpa、耐熱衝撃性1200℃の窒化珪素焼結体で成形するのが良い。
【0011】このように構成される本発明に係るリング付きバタフライ弁は、前記弁軸が、同弁軸よりも大径に形成されて前記高温流体の流路に臨む防熱・防温用のセラミックリングを備えていることによって、弁体方向への高温高熱の流入を有効的に減滅し得ることとなる。
【0012】また、前記弁軸及び/又はセラミックリングが、窒化珪素(Si34)約80重量%と、希土類酸化物(Y23、Yb23)約20重量%とを混合して1400〜2100℃の高温で焼成してなる曲げ強度(1000〜1400℃時)760〜800Mpa、耐熱衝撃性1200℃の窒化珪素焼結体で成形されることにより、仮令、高炉の休風時に、雰囲気エアーがセラミック弁の方向へと流れても、弁軸等にクラックが発生することがない。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明の実施の一例を図面を参照しながら説明する。尚、理解を容易にするため、前述した従来例と同一部分は同一符号で示し、構成の異なる処のみを新たな番号を付して以下に説明する。
【0014】図中Aは、本発明に係るバタフライ弁であり、このバタフライ弁Aは、図1乃至図2に示すように、左右両端が開放された円筒状のケーシング1と、該ケーシング1内に形成された熱流体の流路2と、該流路2内に回転可能に配設された弁体3とを備えている。
【0015】ケーシング1は、鋼板等の適宜素材から円筒状に形成されており、左右両端縁に突設された接続用の環状フランジ4,4と、上下方向にそれぞれ短パイプ5と軸受6とを介して装着された後述の弁回転手段8とを備えている。
【0016】また、流路2は、前記ケーシング1の内周に断熱材及び/又は耐火材からなる内張り7をもって長手方向に貫通すべく区画形成されている。尚、耐火材としては高アルミナ質等が挙げられる。
【0017】一方、前記弁体3は、セラミックで形成されており、この弁体3の周端面から上下方向に突出する第1弁軸3aと第2弁軸3bとを備えている。
【0018】また、これら両弁軸3a,3bには、同弁軸よりも大径に形成された防熱・防温用のセラミックリング3c,3dが連設されている。
【0019】このセラミックリング3c,3dは、前記熱流体の流路2に臨むべく弁体3と両弁軸3a,3bとの間に突設された環状突起からなり、換言すれば、流路2に臨む前記短パイプ5の解放端5a側を回転自在に閉塞すべく両弁軸3a,3bの基端側(付け根)に周設されている。
【0020】この弁軸3a,3b及びセラミックリング3c,3dは、窒化珪素(Si34)約80重量%と、希土類酸化物(Y23、Yb23)約20重量%とを混合して1400〜2100℃の高温で焼成してなる窒化珪素焼結体から成形されている。
【0021】従って、この窒化珪素焼結体は、下表1に示すように、曲げ強度(1000〜1400℃時)760〜800Mpa、耐熱衝撃性1200℃の材料特性を有しているため、弁体方向への高温高熱の流入を有効的に減滅して後述するOリング14、Vリング15、グランド部18の防温防熱の対策となると共に、極端な振動が発生した時、両軸5a,5bをサポートする軸承の働きも有するのである。
【表1】

【0022】また、このセラミックリング3c,3dの軸端は、ステンレス材(SUS)で構成されており、また、このステンレス材が冷却されることも相俟って、熱衝撃を遮る効果もある。
【0023】他方、弁回転機構8は、基端側が前記短パイプ5及び軸受6内に挿通されて前記弁体3の両弁軸3a,3bにそれぞれ接続される上下スピンドル9,10と、上スピンドル9の上位にスタンド11を介して突設されたオペレータ12と、下スピンドル10を回転自在に支持するパッキングボックス13とを備えている。
【0024】上下スピンドル9,10は、ステンレス(SUS)等の適宜素材から形成されており、それぞれ前記軸受6内に環状プラグ14とV型パッキング15とを介して気密に挿着されると共に、同軸受6の解放端に詰め部材(Shim)16並びに摩擦防止材(scraper)17とを介してドーナツ状のグランド部(gland)18がボルト締めされている。
【0025】因に、このスピンドル9,10は、図4に示すように、外周面に螺旋溝9aを周設して短パイプ5内に突出する螺合突起5bに気密かつ回転可能状態に接合させるのが良い。
【0026】また、スタンド11はSS400等の適宜素材からなり、取付プレート19と、ボルト20を介して前記オペレータ12を着脱自在に螺着している。
【0027】オペレータ12は、縦方向に回転自在な手動ハンドル12aと、該手動ハンドル12の回転(縦回転)をスピンドル9の周回転(横回転)に連動する変換シャフト21と、該変換シャフト21とスピンドル9とを同心状に連結するストッパー22とを備えている。
【0028】因に、このスピンドル9,10を自動的に回転させる駆動モータ(図示せず)と制御機構(図示せず)とを付設することにより、同制御機構からの制御信号によって弁体3を回転駆動させるのが好ましい。この場合、この手動ハンドル12aは駆動モータが故障した際、手動で弁体3を開閉することができることは云うまでもない。
【0029】このように構成される本発明のバタフライ弁は、手動ハンドル12若しくは駆動モータにより、上スピンドル9、弁軸3aを介して弁体3の開閉操作ができるものであるが、弁体3の上下両端に配設された弁軸3a,3bは、前述した耐熱衝撃性1200℃の窒化珪素焼結体からなるセラミックリング3c,3dで防温防熱されているので、高温ガスにより加熱されても焼き付き等を起こすことがなく、円滑に操作することができると共に、弁体方向への高温高熱の流入をも防止するため、高炉の休風時に急冷される表面と内部との温度差による弁体3及び弁軸3a,3bのクラック発生を防止できる。
【0030】尚、本発明に係るリング付きバタフライ弁は、本実施例に限定されることなく、本発明の目的の範囲内で自由に設計変更し得るものであり、本発明はそれらの全てを包摂するものである。
【0031】例えば、バタフライ弁の周囲をほぼ箱状の衝撃防止カバー(図示せず)で被装すれば、仮令、衝撃防止カバーに何等かの衝撃が加わっても、駆動モータやスピンドル9,10等に直接伝達されることがないため、衝撃に弱いセラミック製の弁体3及び弁軸3a,3bを保護することができる。
【0032】
【発明の効果】本発明は上述のように構成され、本発明に係るリング付きバタフライ弁によれば、前記弁軸が、同弁軸よりも大径に形成されて前記高温流体の流路に臨む防熱・防温用のセラミックリングを備えていることによって、弁体方向への高温高熱の流入を有効的に減滅できるといった効果を奏するものである。
【0033】また、前記弁軸及び/又はセラミックリングが、窒化珪素(Si34)約80重量%と、希土類酸化物(Y23、Yb23)約20重量%とを混合して1400〜2100℃の高温で焼成してなる曲げ強度(1000〜1400℃時)760〜800Mpa、耐熱衝撃性1200℃の窒化珪素焼結体で成形されることによって、高温ガスにより加熱されても焼き付き等を起こすことがなく、円滑に操作することができると共に、休風時、急冷される表面と内部との温度差による弁軸等のクラック発生を阻止できるといった効果を奏するものである。
【0034】このように本発明のバタフライ弁は、弁体方向への高温高熱の流入を防止して休風時における急冷との温度差によるセラミック弁及び弁軸のクラック発生を防止できる他、構成が単純であるため、大量生産に適し価格も低廉なものとして需要者に供給できる等、本発明を実施することはその実益的価値が甚だ大である。
【出願人】 【識別番号】000221524
【氏名又は名称】東鉄工株式会社
【出願日】 平成11年5月10日(1999.5.10)
【代理人】 【識別番号】100063174
【弁理士】
【氏名又は名称】佐々木 功 (外1名)
【公開番号】 特開2000−320691(P2000−320691A)
【公開日】 平成12年11月24日(2000.11.24)
【出願番号】 特願平11−128600