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【発明の名称】 弁駆動装置におけるストッパー
【発明者】 【氏名】佐治 照久

【氏名】山本 良三

【要約】 【課題】組立時に適正に調整されている弁体の全開位置および全閉位置にずれが生じたとしても、簡単に再調整することができる弁駆動装置におけるストッパーを提供する。

【解決手段】動力伝達系2における出力側回動部材20の全閉側当面20Bにストッパー5の補助体部51が当接しているのにもかかわらず、弁体3が全閉位置の手前に位置している場合には、弁操作軸1の閉方向への操作力を増大させ、補助体部51への負荷(軸方向の押圧力)を増大させる。この軸方向の押圧力が所定値を超えた時点で、結合ピン52を剪断し、補助体部51の軸方向への移動を可能にすることにより、出力側回動部材20の弁体閉じ方向への回動を許容して、弁体3を全閉位置まで適正に回動させる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 弁操作軸の正逆方向の回転が動力伝達系を介して弁棒および弁体の正逆方向の回動に変換されるとともに、前記弁体の全開位置と全閉位置の両位置で前記動力伝達系の出力側回動部材の全開側当面と全閉側当面に当接して、前記弁体を全開位置と全閉位置の両位置で停止させる弁駆動装置におけるストッパーであって、前記出力側回動部材の全開側当面と全閉側当面の少なくとも全閉側当面に当接するストッパーが、前記当面に対向して配置される主体部と、この主体部の当面対向側に突出して軸方向の移動を可能に挿し込まれ、かつ軸方向に交差する方向の結合ピンを介して該主体部に結合された少なくとも一つの補助体部とを備え、この補助体部に負荷される軸方向の押圧力が所定値を超えたときに剪断されるように、前記結合ピンの剪断応力値が設定されていることを特徴とする弁駆動装置におけるストッパー。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、弁駆動装置によって開閉される弁体を、その全開位置および全閉位置において適正に停止させる弁駆動装置におけるストッパーに関する。
【0002】
【従来の技術】図4および図5に示すように、弁操作軸1の正逆方向の回転が動力伝達系2を介して弁棒6および弁体3の正逆方向の回動に変換され、弁体3を二点鎖線で示す全開位置から実線で示す全閉位置の間で開閉させるように構成されている弁駆動装置においては、動力伝達系2の出力側回動部材20の全開側当面20Aと全閉側当面20Bの両面に、弁体3をその全開位置と全閉位置の両位置で当接して停止させるストッパー4,5が配置されている。
【0003】動力伝達系2は、鉛直方方向の弁操作軸1に対して、たとえば一対の傘歯車によってなる直交変換機構21を介して同時回転可能に設けられた水平方向の駆動軸22と、この駆動軸22に固着されたウオームおよびセクタウオームホイールによってなる出力側回動部材20によって構成され、出力側回動部材20が弁体3を取付けた弁棒6に固着されている。
【0004】一方、ストッパー4,5は、図6に示すように(ただし、図6では全閉側のストッパー5のみを示している)、ケーシング7にねじ込んだボルトによって構成されており、そのねじこみ量はロックナット8によって設定できるようになっている。また、外部突出端に袋ナット9を螺合して、外部突出端を保護している。
【0005】このように構成されている弁駆動装置におけるストッパーによれば、弁体3の開閉操作力が何等かの原因で大きくなると、弁棒6のねじれ角の増大、弁体3と弁棒6の間に介設されているキー結合箇所または出力側回動部材20と弁棒6の間に介設されているキー結合箇所などにがたつきが生じて、組立時の調整により適正に設定されている弁体3の全開位置および全閉位置にずれが発生する。
【0006】すなわち、動力伝達系2の出力側回動部材20における全開側当面20Aがストッパー4に当接しているのにもかかわらず、弁体3は未だ全開位置の手前にしか到達しておらず、また、出力側回動部材20における全閉側当面20Bがストッパー5に当接しているのにもかかわらず、弁体3は未だ全閉位置の手前にしか到達していないずれが発生する。
【0007】このようなずれが発生しても、全開位置でのずれは、実際上、さほどの悪影響をおよぼすことはない。しかし、全閉位置でのずれの発生によって弁体3の全閉状態が得られない場合には、弁機能が損なわれて流体漏れを生じるので、配管系および系外部に悪影響をおよぼすことになる。
【0008】したがって、前述のような状態が発生した場合には、据付現場において袋ナット9を取外し、ロックナット8をゆるめてストッパー4もしくは5を若干後退させて位置合せしたのち、ロックナット8を締め込み、袋ナット9を螺合する煩雑な再調整が要求される。
【0009】しかし、地中に埋設されている弁駆動装置では、前記の再調整がさらに煩雑となり、また、緊急時には対応遅れとなる問題点を有している。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】従来の弁駆動装置におけるストッパーでは、出力側回動部材における全開側当面または全閉側当面がストッパーに当接しているのにもかかわらず、弁体は未だ全開位置もしくは全閉位置の手前にしか到達していないずれが発生した場合には、煩雑な再調整が要求されるとともに、地中に埋設されている弁駆動装置では、再調整がさらに煩雑となる上に、緊急時には対応遅れとなるなどの問題点を有している。
【0011】そこで、本発明は、組立時に適正に調整されている弁体の全開位置および全閉位置にずれが生じたとしても、簡単に再調整することができる弁駆動装置におけるストッパーを提供することを目的としている。
【0012】
【課題を解決するための手段】前記目的を達成するために、本発明に係る弁駆動装置におけるストッパーは、弁操作軸1の正逆方向の回転が動力伝達系2を介して弁棒6および弁体3の正逆方向の回動に変換されるとともに、前記弁体3の全開位置と全閉位置の両位置で前記動力伝達系2の出力側回動部材20の全開側当面20Aと全閉側当面20Bに当接して、前記弁体3を全開位置と全閉位置の両位置で停止させる弁駆動装置におけるストッパーであって、前記出力側回動部材20の全開側当面20Aと全閉側当面20Bの少なくとも全閉側当面20Bに当接するストッパー5が、前記当面20Bに対向して配置される主体部50と、この主体部50の当面対向側に突出して軸方向の移動を可能に挿し込まれ、かつ軸方向に交差する方向の結合ピン52を介して該主体部50に結合された少なくとも一つの補助体部51とを備え、この補助体部51に負荷される軸方向の押圧力が所定値を超えたときに剪断されるように、前記結合ピン52の剪断応力値が設定されていることを特徴としている。
【0013】本発明によれば、動力伝達系における出力側回動部材の全閉側当面にストッパーの補助体部が当接しているのにもかかわらず、弁体が全閉位置の手前に位置している不適性な状態が発生した場合には、弁操作軸の閉方向への操作力を増大させ、補助体部への負荷(軸方向の押圧力)を増大させる。この軸方向の押圧力が所定値を超えた時点で、結合ピンは剪断され、補助体部は主体部に対して軸方向の移動が可能になる。このため、出力側回動部材の弁体閉じ方向への回動が許容され、弁体を全閉位置まで適正に回動させることができる。
【0014】一方、動力伝達系における出力側回動部材の全開側当面にストッパーの補助体部が当接しているのにもかかわらず、弁体が全開位置の手前に位置している不適性な状態が発生した場合には、弁操作軸の開方向への操作力を増大させ、補助体部への負荷(軸方向の押圧力)を増大させる。この軸方向の押圧力が所定値を超えた時点で、結合ピンは剪断され、補助体部は主体部に対して軸方向の移動が可能になる。このため、出力側回動部材の弁体開き方向への回動が許容され、弁体を全開位置まで適正に回動させることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以下、本発明の一実施の形態を図面に基づいて説明する。なお、前記従来例と同一もしくは相当部分には、同一符号を付して詳しい説明は省略する。図1は本発明の一実施の形態を示す要部の拡大断面図である。図1において、ストッパー5は、ケーシング7にねじ込まれ、そのねじこみ量をロックナット8によって設定され、かつ外部突出端に袋ナット9を螺合して保護しているボルトによってなる主体部50と、この主体部50における出力側回動部材20の全閉側当面20Bの対向側に突出して挿し込まれた一つの補助体部51および該補助体部51を主体部50に結合している結合ピン52とを備えている。
【0016】主体部50は、図2に示すように、先端部に外ねじがなく、かつ軸心上に縦孔50Aを設けたボルトによってなり、縦孔50Aに補助体部51を軸方向の移動を可能に嵌合したのち、補助体部51を横断貫通して設けられているピン孔51Aを主体部50先端部のピン孔50B,50Bに同心に対応させて、結合ピン52を圧入嵌合することで、補助体部51を主体部50に一体に結合してある。また、結合ピン52の横断方向の剪断応力は、補助体部51に負荷される軸方向の押圧力(矢印F)が所定値を超えたときに剪断される大きさに設定されている。
【0017】このような構成であれば、たとえば、動力伝達系2における出力側回動部材20の全閉側当面20Bに、ストッパー5における補助体部51の先端が当接しているのにもかかわらず、弁体3が全閉位置の手前に位置している不適性な状態が発生した場合には、弁操作軸1の閉方向への操作力を増大させ、出力側回動部材20の全閉側当面20Bによって補助体部51を強く押圧し、補助体部51に負荷される軸方向の押圧力Fを増大させる。
【0018】この軸方向の押圧力Fが所定値を超えた時点で、結合ピン52は剪断され、補助体部51は主体部50の縦孔50A内に押し込まれる。このため、出力側回動部材20の弁体閉じ方向への回動が許容され、弁体3を全閉位置まで適正に回動させて全閉状態を得ることができる。
【0019】すなわち、従来のように、据付現場において袋ナット9を取外し、ロックナット8をゆるめてストッパー5を若干後退させて位置合せしたのち、ロックナット8を締め込み、袋ナット9を螺合する煩雑な作業を行わず緊急時にも直ちに対応して流体の漏洩を確実に防止することができるので、配管系および系外部に悪影響をおよぶ不都合の発生を確実に避けることができる。
【0020】一方、ストッパー4をストッパー5と同様に構成することで、動力伝達系2における出力側回動部材20の全開側当面20Aに、ストッパー4における補助体部51の先端が当接しているのにもかかわらず、弁体3が全開位置の手前に位置している不適性な状態が発生した場合には、弁操作軸1の開方向への操作力を増大させ、出力側回動部材20の全開側当面20Aによって補助体部51を強く押圧し、補助体部51に負荷される軸方向の押圧力Fを増大させ、この軸方向の押圧力Fが所定値を超えた時点で、結合ピン52を剪断し、補助体部51を主体部50の縦孔50A内に押し込んで、出力側回動部材20の弁体開き方向への回動を許容して、弁体3を全開位置まで適正に回動させて全開状態を得ることができる。
【0021】図3は、本発明の他の実施の形態を示し、補助体部51に対して第2の結合ピン53により第2の補助体部54を結合するとともに、第2の結合ピン53の剪断応力を結合ピン52の剪断応力よりも小さく設定した二段構造にしてある。このように、軸方向に二つの補助体部51,54を備えた構造にすることで、第2の結合ピン53を剪断して調整を行っても、適正な全閉または全開が得られない場合、あるいは第2の結合ピン53を剪断した時点では適正に調整されていても、経時的に不適正な状態が発生した場合に、結合ピン52を剪断することによって再度調整することができる。
【0022】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、動力伝達系における出力側回動部材の全閉側当面もしくは全開側当面にストッパーの補助体部が当接しているのにもかかわらず、弁体が全閉位置または全開位置の手前に位置している不適性な状態が発生した場合には、弁操作軸の閉方向、開方向への操作力を増大させ、出力側回動部材の全閉側当面もしくは全開側当面による補助体部への負荷(軸方向の押圧力)を増大させることによって結合ピンを剪断し、出力側回動部材の弁体閉じ方向または開き方向への回動を許容して、弁体を全閉位置あるいは全開位置まで適正に回動させることができるので、据付現場において従来のような煩雑な作業を行う必要がなく、緊急時にも直ちに対応して流体の漏洩を確実に防止することができる。特に、弁体を適正に全閉させることにより、配管系および系外部に悪影響をおよぶ不都合の発生を確実に避けることができる。
【出願人】 【識別番号】000001052
【氏名又は名称】株式会社クボタ
【出願日】 平成11年4月5日(1999.4.5)
【代理人】 【識別番号】100072338
【弁理士】
【氏名又は名称】鈴江 孝一 (外1名)
【公開番号】 特開2000−291824(P2000−291824A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−98096