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【発明の名称】 電磁弁
【発明者】 【氏名】大石 健一

【氏名】安藤 元良

【要約】 【課題】支持部材で可動鉄心を支持する場合でも、油圧制御の精度低下を防止することができ、油圧制御特性のヒステリシスを低減することができる電磁弁を提供する。

【解決手段】コイル14に電流を印加することにより発生する磁気回路中に、磁気回路の磁束と同一方向の磁束を発生する永久磁石50を配設している。永久磁石50はコイル14に印加される電流が小さいとき板ばね17の付勢力を打ち消すことができるため、スプールバルブ30の移動量に対するコイル14の吸引力特性をスプリング40の付勢力特性に近づけることができる。したがって、特に印加電流が0.3A以下の低電流領域においてフィードバックされる油圧力の低下を防止することができ、油圧制御の精度低下を防止することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 通電することにより電磁力を発生するコイルと、第1固定子と、前記第1固定子に対向して設けられ、前記コイルに発生する電磁力により前記第1固定子方向に吸引される可動子と、前記第1固定子および前記可動子とともに磁気回路を構成する第2固定子と、前記可動子に連動し、往復移動する位置により出力圧を調整する可動部材と、前記コイルに発生する電磁力から前記可動部材が受ける力と反対方向に前記可動部材を付勢する付勢部材と、前記可動子の反可動部材側の端部を支持する板ばねとを備え、出力圧をフィードバックしたフィードバック圧により受ける力で前記可動部材の位置を規定する電磁弁であって、前記磁気回路中に、前記第1固定子と前記可動子との間に発生する磁束と同一方向の磁束を発生する永久磁石を備えることを特徴とする電磁弁。
【請求項2】 前記永久磁石は、前記磁気回路の磁路面積が大きい部位に設けられることを特徴とする請求項1記載の電磁弁。
【請求項3】 前記永久磁石は、形状が円環状であることを特徴とする請求項1記載の電磁弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、可動部材の位置に応じて出力圧を制御する電磁弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来より、オートマチックトランスミッションに供給される油圧を制御するための電磁弁として、図10に示すような電磁弁100が知られている。図10に示すような電磁弁100では、可動子としてのプランジャ101の摺動抵抗を低減しスプール102のストロークに対する吸引力のヒステリシスを小さくするために、第1固定子としてのステータコア103と一体に組み付けられている第2固定子としてのヨーク104の中空部104aにプランジャ101が支持されている。プランジャ101をヨーク104の中空部104aに支持するために、プランジャ101の反スプール側の端部101aは板ばね105により支持されている。プランジャ101の端部101aを板ばね105で支持することにより、プランジャ101とヨーク104の中空部104aとが接触するのを防止し、摺動抵抗および移動抵抗を低減する構造となっている。
【0003】図10に示す電磁弁100は、可動部材としてのスプール102が移動することにより油圧出力を制御している。スプール102は、第1固定子としてのステータコア103に巻回されたコイル106に通電されることによりプランジャ101に発生する電磁吸引力と板ばね105からプランジャ101に作用するばね力との合力、電磁吸引力によりスプール102が移動する方向とは逆方向にスプール102を付勢する付勢部材としてのスプリング107の付勢力、ならびに出力された油圧の一部がフィードバックして作用する力がつり合った位置で停止し、入力ポート108、出力ポート109、フィードバックポート110および排出ポート111をそれぞれ連通あるいは遮断することにより油圧出力を制御している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、図10に示すようにプランジャ101の端部101aを板ばね105により支持すると、例えばコイル106に流れる電流が0.3A以下の低電流領域において板ばね105のばね力がコイル106の電磁吸引力よりも大きくなる。そのため、スプール102のストロークに対する、プランジャ101に作用する電磁吸引力とばね力との合力の変化率が、図11に示すようにスプール102のストロークに対するスプリング107の付勢力の変化率と逆になる。そのため、特に低電流領域でコイル106への供給電流に対するスプール102の位置が所定の位置よりも反スプリング107側に位置してしまう。その結果、油圧制御の精度が低下するという問題がある。なお、図11の横軸に示すストロークは、スプール102の移動量を示したものであり、図10においてコイル106の電磁吸引力によりスプール102が最もスプリング107側に移動した位置を0としている。
【0005】また、板ばね105による支持を廃止し、プランジャ101の一部または両端部を例えば軸受けなどによって支持する構造とすると、上記のような油圧制御の精度が低下するという問題は解決できるものの、プランジャ101と軸受けなどとの間に摺動抵抗が生じ、図12に示すようにコイル106への供給電流に対する油圧制御特性のヒステリシスが増大するという問題がある。
【0006】そこで、本発明の目的は、板ばねで可動子を支持することにより油圧制御特性のヒステリシスを低減し、かつコイルに供給する電流が小さい場合でも油圧制御の精度低下を防止することができる電磁弁を提供することにある。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1記載の電磁弁によると、可動子の反可動部材側の端部は板ばねにより支持されている。また、電磁弁は第1固定子、可動子および第2固定子により構成される磁気回路中に永久磁石を有している。永久磁石は、コイルに通電することにより第1固定子と可動子との間に発生する磁束と同一方向の磁束を発生する。永久磁石により発生する磁気吸引力は、可動子が第1固定子に吸引される場合に板ばねから可動子に対し作用するばね力とは逆方向に作用し、板ばねから可動子に作用するばね力を相殺する。そのため、コイルに流れる電流が例えば0.3A以下の低電流時、可動部材の移動量に対する可動子へ作用するばね力と電磁力の合力の変化率と可動部材の移動量に対する付勢部材の変化率とを近づけることができる。したがって、低電流領域においてフィードバックされる油圧力の低下を防止することができ、油圧制御の精度低下を防止することができる。
【0008】また、可動子を板ばねで支持しているので、可動子と例えば軸受けなどとの接触による接触抵抗の発生を防止することができ、コイルへの供給電流に対する油圧制御特性のヒステリシスを低減することができる。
【0009】本発明の請求項2記載の電磁弁によると、永久磁石は両固定子および可動子により形成される磁気回路において磁路面積が大きい部位に設けられている。したがって、磁気回路中に永久磁石を設けても、磁束の飽和を防止することができる。本発明の請求項3記載の電磁弁によると、永久磁石は形状が円環状であるため、電磁弁への組付けが容易である。
【0010】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を示す複数の実施例を図に基づいて説明する。
(第1実施例)本発明の第1実施例による電磁弁を図1に示す。電磁弁1は、自動車のオートマチックトランスミッションの作動油の油圧制御に用いられるスプール型油圧制御弁である。
【0011】可動子としてのスプール30は、第1固定子としてのステータコア11、第2固定子としてのヨーク12、可動子としてのプランジャ13、コイル14、エンドプレート15、シャフト16などによって構成されるリニアソレノイド10によって駆動される。
【0012】磁性体からなる円筒形状のヨーク12は、円筒形状のステータコア11の端部にかしめ固定されている。コイル14は樹脂によって円筒形状にモールド成型され、ヨーク12およびステータコア11により固定されている。磁性体からなるエンドプレート15はステータコア11の端部にヨーク12とともにかしめ固定されている。磁性体からなるプランジャ13はステータコア11と同軸上で対向しており、反スプール側の端部13aが板ばね17によりヨーク12内部の中空部12a内を往復移動可能に支持されている。プランジャ13にはシャフト16が圧入固定され、シャフト16の一端がスプール30の一端に当接している。シャフト16はプランジャ13とともに一体に移動し、ステータコア11に設けられている軸受け部材18によって中空部11b内を往復摺動可能に支持されている。
【0013】コイル14に電気的に接続されている図示しないターミナルからコイル14に電流が供給されると、図2に示すようにヨーク12、プランジャ13、ステータコア11によって構成された磁気回路Mに磁束が発生し、ステータコア11とプランジャ13との間に磁気吸引力が発生する。
【0014】板ばね17は、プランジャ13の反スプール側の端部13aを支持している。プランジャ13の端部13aが板ばね17により支持されることでプランジャ13と中空部12aの内壁との接触を防止でき、プランジャ13を支持する軸受けなどを用いる必要がない。プランジャ13と中空部12aの内壁との接触を防止することで、プランジャ13の移動抵抗が低減され、スプール30のストロークに対する吸引力特性のヒステリシスを低減することが可能である。
【0015】スプール30のハウジング31はリニアソレノイド10のステータコア11の端部11aにかしめ固定されている。また、ハウジング31は、スプール30を往復移動自在に内包している。ハウジング31には、入力ポート32、出力ポート33、フィードバックポート34および排出ポート35が形成されている。入力ポート32は、図示しないタンクからポンプによって供給される作動油が流入するポートである。出力ポート33は図示しないオートマチックトランスミッションのクラッチに作動油を供給するポートである。出力ポート33とフィードバックポート34とは電磁弁1の外部で連通しており、出力ポート33から流出する作動油の一部がフィードバックポート34に導入される。フィードバック室36はフィードバックポート34と連通している。排出ポート35はタンクに作動油を排出するポートである。
【0016】スプール30には反リニアソレノイド側から大径ランド37、大径ランド38、小径ランド39がこの順で形成されている。小径ランド39は大径ランド37、38よりも外径が小さい。スプール30はリニアソレノイド10のシャフト16と常に当接し、シャフト16を介してプランジャ13の動きが伝達されハウジング31内を往復移動する。スプール30の反リニアソレノイド側に設けられている付勢部材としてのスプリング40は、スプール30をリニアソレノイド10方向へ付勢している。
【0017】フィードバック室36は大径ランド38と小径ランド39との間に形成されており、ランドの外径の差によりフィードバックされた油圧が作用する面積が異なる。そのため、フィードバック室36の油圧は反リニアソレノイド方向にスプール30を押圧するように作用する。スプール30は、スプリング40の付勢力と、コイル14に供給される電流によりステータコア11に発生する電磁吸引力および板ばね17のばね力の合力によりプランジャ13がスプール30を押す力と、フィードバック室36の油圧からスプール30が受ける力とがつり合う位置で静止する。
【0018】入力ポート32から出力ポート33へ流通する作動油の流量は、ハウジング31の内周壁と大径ランド38の外周壁との重なり部分の長さであるシール長によって決定される。シール長が短くなるとシール部を流通する作動油の流量が増大し、シール長が長くなるとシール部を流通する作動油の流量が減少する。同様に、出力ポート33から排出ポート35へ流通する作動油の流量は、ハウジング31の内周壁と大径ランド37の外周壁とのシール長によって決定される。そのため、コイル14に電流が供給されスプール30をスプリング40方向へ移動すると、ハウジング31と大径部38とのシール部のシール長が長くなりハウジング31と大径部37とのシール長が短くなるため、入力ポート32から出力ポート33へ流通する作動油の流量が減少し、出力ポート33から排出ポート35へ流通する作動油の流量が増大する。その結果、出力ポート33から流出する作動油の油圧が減少する。
【0019】一方、スプール30がリニアソレノイド10方向へ移動すると、ハウジング31と大径部38とのシール部のシール長が短くなりハウジング31と大径部37とのシール長が長くなるため、入力ポート32から出力ポート33へ流通する作動油の流量が増大し、出力ポート33から排出ポート35へ流通する作動油の流量が減少する。その結果、出力ポート33から流出する作動油の油圧が増大する。
【0020】電磁弁1は、コイル14に通電する電流値を制御することでリニアソレノイド10がスプール30を反リニアソレノイド10方向へ押す力を調整し、出力ポート33から流出する作動油の油圧を調整する。コイル14に通電する電流値を増大させると、電流値に比例してステータコア11の電磁吸引力が増大し、シャフト16がスプール30を反リニアソレノイド10方向に押す力が増大する。この電磁吸引力による力と板ばね17との合力によりプランジャ13からスプール30に作用する力、スプリング40の付勢力、ならびにフィードバックされる作動油の圧力によってスプール30が反リニアソレノイド10方向へ押される力とがつり合う位置でスプール30は静止する。したがって、コイル14に通電する電流値に比例して出力ポート33から流出する作動油の油圧が増大する。
【0021】以下、電磁弁1の油圧制御について詳細に説明する。電磁弁1において出力される油圧の一部をフィードバックするのは、供給される油圧すなわち入力圧の変動により出力圧が変動することを防止するためである。
【0022】コイル14に電流を供給することにより生じる電磁吸引力によってプランジャ13が吸引される力をFp、プランジャ13の移動によって生じる板ばね17のばね力をFi、スプリング40の付勢力をFs、ならびにフィードバックされる油圧により生じる力をFfとすると、スプール30の力のつり合いは以下の式■により表される。電磁弁1のスプール30の位置は、Fp、Fi、FsならびにFfの力がつり合う位置で決定される。すなわち、コイル14に供給する電流を制御することでFpを変化させ、スプール30の位置を制御することが可能である。
s=Fp+Fi+Ff ■【0023】プランジャ13にかかる総吸引力をFp+Fi=Fmとすると、つり合いの式■は式■のようになる。
s=Fm+Ff ■【0024】また、スプリング40の付勢力Fsは、コイル14に電流が供給されずスプール30の移動がない状態での付勢力である初期付勢力fsに、スプリング40のばね定数kとスプール30の移動量xとの積を加えたもの、すなわち式■で表すことができる。
s=fs+k・x ■【0025】さらに、フィードバックされる油圧により生じる力Ffは、フィードバック室36の大径ランド38と小径ランド39の受圧面積の差Sとフィードバックされる油圧力をPとの積、すなわち式■となる。
f=S・P ■【0026】以上より、式■および式■を式■に代入すると、以下の式■が得られる。
(fs+k・x)=Fm+(S・P) ■【0027】ここで、出力圧の変動が生じないようにフィードバックされる油圧力Pの制御が確実に行なわれていると仮定すると、油圧力Pは一定と考えることができる。また、スプリング40の初期付勢力fsおよびばね定数k、ならびにフィードバック室36の受圧面積の差Sは一定であるため、入力圧が変動するとき、スプール30のつり合いは、kΔx=ΔFm ■であり、すなわちΔFs=ΔFm ■となる。
【0028】式■および■は、スプール30の移動量xの変化率、ならびにスプール30の移動量xに対するスプリング40の付勢力Fsの変化率は、プランジャ13にかかる総吸引力Fmの変化率に等しくなることを示している。
【0029】すなわち、図3および図11に示すグラフにおいて、スプール30のストロークに対するスプリング40の付勢力の変化率と、プランジャ13に作用する電磁吸引力および板ばね17のばね力の合力の変化率とが等しければ、精密なフィードバック制御が可能であることを示している。なお、図3の横軸に示すストロークは、スプール30の移動量を示したものであり、図1においてコイル14の電磁吸引力によりスプール30が最もスプリング40側に移動した位置を0としている。
【0030】ところが、プランジャ13の反スプール側の端部13aを板ばね17で支持すると、図11に示すようにスプール30のストロークに対する、スプリング40の付勢力の変化量とプランジャ13に作用する合力の変化量とが、特にコイル14への供給電流が小さな低電流領域(0.3A、0A)で逆になってしまう。これは、板ばね17によるばね力がスプリング40による付勢力の方向と同じ方向、すなわちコイル14に生じる電磁吸引力によりプランジャ13が吸引される方向とは逆方向に作用しているためである。特にコイル14への供給電流が小さくコイル14で生じる電磁吸引力が小さいとき、プランジャ13に作用する板ばね17のばね力がコイル14による電磁吸引力よりも大きいため、フィードバックの力関係が崩れ、所望の油圧制御を行なうことができず油圧制御の精度が低下する。
【0031】そこで、本実施例では図2に示すように磁気回路M中に、ステータコア11とプランジャ13との間に磁力を発生するように永久磁石50を配設することで、プランジャ13に作用する板ばね17のばね力を相殺している。そして、スプール30のストロークに対するスプリング40の付勢力の変化率とプランジャ13に作用する合力の変化率とを近似させている。
【0032】本実施例では、図1に示すようにプランジャ13の板ばね17側の端部13aに永久磁石50を配設している。図4に示すように永久磁石50は、円環形状の永久磁石である。コイル14に通電することにより磁気回路Mに生じる磁束が図2の矢印に示すような方向である場合、永久磁石50の磁極もコイル14により生じる磁束の方向と同一の方向の磁束を発生するように配設されている。磁気回路Mおよび永久磁石50の磁束の方向は、図2に示す方向と逆であってもよい。
【0033】図1に示すように永久磁石50は、磁気回路Mの磁路面積が大きいプランジャ13の板ばね17側の端部13aに配設されており、コイル14および永久磁石50によって生じる磁束が磁気回路M中で飽和するのを防止している。上記のようにコイル14によって生じる磁気回路M中に永久磁石50を配設することで、図3に示すようにスプリング40の付勢力の変化率と低電流領域でプランジャ13に作用する合力とを従来と比較して近似することが可能である。
【0034】次に、図1に示す電磁弁1の作動について説明する。
■ コイル非通電時コイル14に供給される電流が0のとき、図5(A)に示すようにスプリング40の付勢力、板ばね17のばね力、永久磁石50の磁力、および油圧フィードバックにより作用する力がつり合った位置でスプール30は停止する。すると、入力ポート32と出力ポート33とが連通し入力ポート32から出力ポート33へ流れる作動油の流量が増加するとともに、排出ポート35が閉塞されるので、トランスミッションへの供給油圧出力は最大となる。
【0035】■ コイル通電時(作動油排出時)
コイル14に供給される電流が最大になると、プランジャ13とステータコア11との間に生じる電磁吸引力が最大となり、プランジャ13がステータコア11に吸引されスプリング40の付勢力に抗しスプール30とともに図5(B)に示す位置に移動する。すると、入力ポート32が閉塞され、かつ出力ポート33から排出ポート35へ流れる作動油の流量が増加するので、トランスミッションへの供給油圧出力は0となる。
【0036】■ コイル通電時(作動油出力制御時)
コイル14に供給される電流が■の状態よりも小さくなるように制御されているとき、プランジャ13とステータコア11との間に生じる電磁吸引力が小さくなり、プランジャ13およびスプール30は図5(A)に示す位置と図5の(B)に示す位置との中間に位置する。スプール30が移動することにより前述したシール部のシール長が変化するため、トランスミッションへの供給油圧出力が変化する。コイル14に供給する電流を制御することにより、スプール30の位置が変化しトランスミッションへの供給油圧出力を変化することが可能である。
【0037】以上説明したように第1実施例では、コイル14に電流を供給することにより磁気回路Mを流れる磁束と同一方向の磁束を発生する永久磁石50を配設している。永久磁石50はコイル14に供給される電流が小さいときプランジャ13に作用する板ばね17のばね力を相殺することができるため、スプール30のストロークに対しプランジャ13に作用する合力の変化率をスプリング40の付勢力の変化率に近づけることができる。したがって、特に供給電流が0.3A以下の低電流領域において、油圧制御の精度低下を防止することができる。
【0038】また、プランジャ13を中空部12aに板ばね17で支持しているのでプランジャ13とヨーク12との接触による接触抵抗の発生を防止することができ、かつプランジャ13を軸受けなどにより支持する必要がないのでプランジャ13と軸受けなどとによる摺動抵抗の発生を防止することができる。プランジャ13とヨーク12との間に生じる接触抵抗および摺動抵抗を防止することができるので、図6に示すようにコイル14への供給電流に対する油圧制御特性のヒステリシスを低減することができる。
【0039】(第2実施例)図7は、本発明の第2実施例を示している。第1実施例と実質的に同一の構成部位には、同一の符号を付している。図7に示すように第2実施例では、シャフト16とプランジャ13との接続部に永久磁石60を配設している。永久磁石60は、第1実施例と同様にコイル14により発生する磁束の方向と同一の磁束の方向となるように配設されている。永久磁石60の組付けは、シャフト16とプランジャ13とを組付けるとき、プランジャ13の内孔部13bに永久磁石60を圧入した後、シャフト16を圧入することにより行なうことができる。
【0040】第2実施例では、永久磁石60の形状は円環状に限らず円柱状であってもよい。第2実施例では、第1実施例と同様に磁気回路Mの磁路面積が大きな部位に永久磁石60が配設されているので、磁気回路M中での磁束の飽和を防止することができる。
【0041】(第3実施例)図8は、本発明の第3実施例を示している。第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付している。図8に示すように第3実施例では、ヨーク12のつば部12bに永久磁石70を配設している。永久磁石70は第1実施例と同様に形状が円環状であり、コイル14により発生する磁束の方向と同一の磁束の方向となるように配設されている。
【0042】第3実施例では、永久磁石70をヨーク12のつば部12bに配設しているので、永久磁石70の組付けが容易である。また、上記の複数の実施例と同様に磁気回路Mの磁路面積が大きな部位に永久磁石70が配設されているので、磁気回路M中での磁束の飽和を防止することができる。
【0043】(第4実施例)図9は、本発明の第4実施例を示している。第1実施例と実質的に同一の構成部位には同一の符号を付している。図9に示すように第4実施例では、ステータコア11の中空部11b内周側のスプール側端部11cに永久磁石80を配設している。永久磁石80は第1実施例および第3実施例と同様に形状が円環状であり、コイル14により発生する磁束の方向と同一の磁束の方向となるように配設されている。
【0044】第4実施例では、永久磁石80をステータコア11の中空部11b内周側に配設しているので、永久磁石80の組付けが容易である。永久磁石80の組付けは、ハウジング31をステータコア11にかしめ固定する前に行なう。また、上記の複数の実施例と同様に磁気回路Mの磁路面積が大きな部位に永久磁石80が配設されているので、磁気回路M中での磁束の飽和を防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【出願日】 平成11年4月13日(1999.4.13)
【代理人】 【識別番号】100093779
【弁理士】
【氏名又は名称】服部 雅紀
【公開番号】 特開2000−291820(P2000−291820A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−105063