| 【発明の名称】 |
電磁駆動弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】西田 秀之
【氏名】岩下 義博
【氏名】松本 功
【氏名】勝間田 正司
【氏名】田中 正明
【氏名】四重田 啓二
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| 【要約】 |
【課題】本発明はゼロラッシュアジャスタを備えた電磁駆動弁に関し、起動時にアーマチャが中立位置からずれていても円滑に駆動させることを目的とする。
【解決手段】弁体12と、アッパコア60及びロアコア64に配設される電磁石58、62で交互に吸引されることにより弁体12を開閉駆動するアーマチャ56と、弁体12とアーマチャ56との間に介装され、油圧が供給されることにより弁体12とアーマチャ56との間隔変化に追従して伸長するゼロラッシュアジャスタ40を備え、アッパコア60及びロアコア64の少なくとも一方の位置を変位させる位置可変手段158を設けた電磁駆動弁10である。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 軸方向に変位可能な弁体と、開弁用電磁石及び閉弁用電磁石で交互に吸引されることにより前記弁体を開閉駆動するアーマチャと、前記弁体と前記アーマチャとの間に介装され、油圧が供給されることにより弁体とアーマチャとの間隔変化に追従して伸長するゼロラッシュアジャスタを備えた電磁駆動弁であって、前記開弁用電磁石及び前記閉弁用電磁石の少なくとも一方を前記軸方向に変位させる位置可変手段を設けたことを特徴とする電磁駆動弁。 【請求項2】 前記位置可変手段は前記アーマチャを前記開弁用電磁石及び前記閉弁用電磁石との略中央に位置にするように変位させることを特徴とする請求項1に記載の電磁駆動弁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は電磁駆動弁に係り、特に、弁体とアーマチャとの間に介装された油圧式ゼロラッシュアジャスタを備える電磁駆動弁に関する。 【0002】 【従来の技術】従来より、例えば特開平10−252426号に開示される電磁駆動弁が公知である。この電磁駆動弁は、内燃機関の吸気弁又は排気弁として機能する弁体と、弁体に連結されたアーマチャと、アーマチャに弁体の開弁方向及び閉弁方向の電磁力をそれぞれ付与するロアコアに配設される開弁用電磁石及びアッパコアに配設される閉弁用電磁石を備えている。従って、前記従来の電磁駆動弁によれば、各電磁石を交互に励磁することにより弁体を全開位置と全閉位置との間で開閉駆動することができる。 【0003】また、上記従来の電磁駆動弁は、アーマチャが閉弁用電磁石に吸引され、かつ弁体が弁座に着座した状態で、アーマチャと弁体との間に隙間が形成されるように構成されている。かかる構成によれば、弁体の膨張や、弁体と弁座との着座面の摩耗により弁体とアーマチャとの相対変位が生じた場合にも、上記隙間によりその相対変位を吸収することができる。 【0004】 【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記従来の電磁駆動弁の如く弁体とアーマチャとの間に隙間が形成されると、弁体を開弁させる際にアーマチャが弁体に衝突する際に衝突音が発生し、電磁駆動弁の作動音が増大してしまう。かかる作動音の増大を防止するため、弁体とアーマチャとの間に油圧式のゼロラッシュアジャスタを設けることが考えられている。ゼロラッシュアジャスタは、弁体とアーマチャとの相対変位に応じて伸縮する機構である。かかるゼロラッシュアジャスタを設けることで、弁体とアーマチャとの間に隙間が生じるのを防止して作動音を低減することができる。 【0005】しかし、内燃機関が駆動されていない時、すなわち弁体の休止時には、上記ゼロラッシュアジャスタへの給油は停止されており、駆動時よりも収縮した状態となっている。この影響はアーマチャにまで及んでおりアーマチャの停止位置が本来の中立位置からずれている。すなわち、アーマチャの位置がロアコア側に下がっている。 【0006】そのため、前記電磁石に励磁電流を供給してもアーマチャと電磁石との位置関係が変化しているため、アーマチャへの電磁力が過大となるか又は不足した状態になり、アーマチャを効率良く駆動することができなくなる。また、閉弁用電磁石と開弁用電磁石に通常時とは異なる励磁電流を印加することにより、アーマチャの位置ずれの影響を解消することも考えられるが、この場合は電磁駆動弁の駆動制御が複雑となり、更には消費電力が増大するといった新たな問題が生じてしまう。 【0007】本発明は上述の点に鑑みてなされたものであり、アッパコア及びロアコアの少なくとも一方の位置を可変とすることにより、ゼロラッシュアジャスタに充分な油圧が供給されない状態でも弁体を適正に駆動することができる電磁駆動弁を提供することを目的とする。 【0008】 【課題を解決するための手段】上記の目的は、請求項1に記載する如く、軸方向に変位可能な弁体と、開弁用電磁石及び閉弁用電磁石で交互に吸引されることにより前記弁体を開閉駆動するアーマチャと、前記弁体と前記アーマチャとの間に介装され、油圧が供給されることにより弁体とアーマチャとの間隔変化に追従して伸長するゼロラッシュアジャスタを備えた電磁駆動弁であって、前記開弁用電磁石及び前記閉弁用電磁石の少なくとも一方を前記軸方向に変位させる位置可変手段を設けたことを特徴とする電磁駆動弁により達成される。 【0009】請求項1記載の発明において、前記開弁用電磁石及び前記閉弁用電磁石の少なくとも一方の位置を変位させることで、前記開弁用電磁石及び前記閉弁用電磁石とアーマチャとの位置関係を変えることができる。そのため、アーマチャとの位置関係がずれている時には、前記開弁用電磁石或いは前記閉弁用電磁石を変位させることでそのずれを解消できる。 【0010】また、請求項2に記載する如く、請求項1記載の発明において、前記位置可変手段は前記アーマチャを前記開弁用電磁石及び前記閉弁用電磁石との略中央に位置にするように変位させるこことすることができる。したがって、ゼロラッシュアジャスタへの油圧が不足している場合でも弁体を効率的に駆動することができる。 【0011】 【発明の実施の形態】図1は本発明の一実施例である電磁駆動弁10の全体構成を示す。図1に示す如く、電磁駆動弁10は弁体12を備えている。弁体12は内燃機関の吸気弁又は排気弁として構成されている。弁体12は、内燃機関の燃焼室14内に露出するようにロアヘッド16に配設されている。ロアヘッド16にはポート18が形成されている。ポート18の燃焼室14への開口部には、弁体12に対する弁座20が形成されている。ポート18は、弁体12が弁座20から離座することにより導通状態となり、また、弁体12が弁座20に着座することにより遮断状態となる。 【0012】ロアヘッド16の上部には、断熱プレート22を介してシリンダヘッドスペーサ24が配設されている。断熱プレート22は、例えばベークライト等の断熱材料から構成されたシート状の部材であり、燃焼室14で発生した高熱がロアヘッド16からシリンダヘッドスペーサ24へ伝達されるのを抑制する機能を有している。シリンダヘッドスペーサ24の更に上部には、アッパヘッド25が固定されている。 【0013】弁体12は上方に伸びる弁軸26を備えている。弁軸26はバルブガイド28により軸方向に摺動可能に保持されている。バルブガイド28はロアヘッド16に保持されている。ロアヘッド16の弁軸26の略上半分を囲む部位には、円筒状に形成されたスプリング保持空間30が設けられている。バルブガイド28の上端部はスプリング保持空間30の内部に露出している。スプリング保持空間30内のバルブガイド28の上端部近傍の周囲には、バルブステムシール31が装着されている。 【0014】弁軸26の上端部近傍には、コッタ32が装着されている。コッタ32は図1中上方ほど大径となるくさび状の外周面を有し、内周面には内向きの突起が設けられた略円筒状の部材である。コッタ32内周面の突起は、弁軸26の外周面に設けられた凹部に嵌合されている。また、コッタ32の外周にはロアリテーナ34が嵌着されている。 【0015】スプリング保持空間30の底面にはスプリングシート36が配設されている。スプリングシート36とロアリテーナ34との間には、両者を離間させる向きの付勢力を発生するロアスプリング38が配設されている。ロアスプリング38はロアリテーナ34を介して弁体12を上向き、即ち、弁座20に向かう方向に付勢している。以下、弁体12が弁座20に向かう方向を閉弁方向と称し、また、弁体12が弁座20から離れる方向を開弁方向と称する。 【0016】弁軸26の上方には、ゼロラッシュアジャスタ40を隔てて、アーマチャシャフト42が弁軸26と同軸に配設されている。すなわち、アーマチャシャフト42と弁軸26とは所定距離を持って離間され、この離間部分にゼロラッシュアジャスタ40が同軸的に介装されている。このゼロラッシュアジャスタ40の構成については後に詳細に説明する。アーマチャシャフト42の上端部には、上記コッタ32と上下対称の構成を有するコッタ44が装着されている。コッタ44の周囲には、アッパリテーナ46が嵌着されている。アッパリテーナ46の上面には、アッパスプリング48の下端部が当接している。アッパスプリング48の周囲には、円筒状のアッパケース50が配設されている。アッパケース50の上部にはアジャスタボルト52が螺着されている。アッパスプリング48の上端部はスプリングガイド54を介してアジャスタボルト52に当接している。アッパスプリング48はアッパリテーナ46を介してアーマチャシャフト42を下向きに付勢している。 【0017】アーマチャシャフト42の軸方向中央部の外周にはアーマチャ56が接合されている。アーマチャ56は軟磁性材料により構成された円盤状の部材である。アーマチャ56の上方にはアッパコイル58及びアッパコア60が配設されている。また、アーマチャ56の下方にはロアコイル62及びロアコア64が配設されている。アッパコイル58及びロアコイル62はそれぞれ、アッパコア60及びロアコア64に形成された環状溝60a及び64aに収容されている。 【0018】アッパコア60及びロアコア64はそれぞれ、その中央部を貫通する貫通穴60b及び64bを備えている。アッパコア60の貫通穴60bの上端にはアッパブッシュ66が配設されている。また、ロアコア64の貫通穴64bの下端にはロアブッシュ68が配設されている。アーマチャシャフト42はアッパブッシュ66及びロアブッシュ68により軸方向に摺動可能に保持されている。また、アッパコア60の上端部及びロアコア64の下端部には、それぞれ、フランジ部60c及び64cが設けられている。 【0019】シリンダヘッドスペーサ24には、その上下を貫通する円筒状のラッシュアジャスタ保持空間24aが、上記スプリング保持空間30と同軸に形成されている。ラッシュアジャスタ保持空間24aの内部には、上記したゼロラッシュアジャスタ40が保持されている。シリンダヘッドスペーサ24の上面のラッシュアジャスタ保持空間24aの開口部近傍には、上向きに隆起した隆起部24bが設けられており、更に、隆起部24bの頂部には円筒部24cが形成されている。 【0020】アッパヘッド25には、その上下を貫通する円筒状のコア保持空間25aが、上記スプリング保持空間30及びラッシュアジャスタ保持空間24aと同軸に形成されている。アッパコア60はそのフランジ部60cがシム70を介してアッパヘッド25に当接し、また、ロアコア64はそのフランジ部64cがアッパヘッド25に当接するように、それぞれコア保持空間25aに挿入されている。アッパコア60のフランジ部60cは、アッパヘッド25と、アッパケース50の下端部に形成されたフランジ部50aとの間に挟持されている。そして、アッパケース50及びロアブラケット72が固定ボルト74、76によりアッパヘッド25に固定されることで、アッパコア60はアッパヘッド25に固定されている。一方、ロアコア64のフランジ部64cは、アッパヘッド25とロアブラケット72との間を軸方向に変位可能に保持されている。この構成については後述する。なお、上記したアジャスタボルト52によって、アッパコア60とロアコア64との間のアーマチャ56の位置が調整可能にされている。 【0021】シリンダヘッドスペーサ24には、互いに連通する油供給路80及び82が設けられている。また、油供給路82はラッシュアジャスタ保持空間24aの所定位置に開口している。シリンダヘッドスペーサ24には、更に、油回収穴84が設けられている。油回収穴84は、その上端がシリンダヘッド24の隆起部24bの周囲近傍に開口し、下端がスプリング保持空間30内へ開口するように、シリンダヘッドスペーサ24を上下に貫通している。なお、油回収穴84の上部は、加工穴84a、84bにより構成されることで、シリンダヘッドスペーサ24上面への開口面積が大きく確保されている。 【0022】次に、電磁駆動弁10の通常の駆動時における動作について説明する。アッパコイル58に励磁電流が供給されると、アッパコイル58が発生する磁束によってアーマチャ56にはアッパコア60に向かう方向の電磁力が作用する。このため、図1に示されている如く、アーマチャ56はアッパスプリング48による付勢力に抗してアッパコア60に当接するまで変位する。以下、アーマチャ56がアッパコア60に当接する位置を、アーマチャ56、アーマチャシャフト42、又は弁体12の閉弁側変位端と称する。この状態では、弁体12が弁座20に着座することで、弁体12は閉弁状態となる。 【0023】このように弁体12が閉弁された状態で、アッパコイル58への励磁電流の供給が停止されると、アーマチャ56を閉弁側変位端に保持するのに必要な電磁力は消滅する。このため、アッパコイル58への励磁電流の供給が停止されると、アーマチャシャフト42は弁体12と共に、アッパスプリング48に付勢されることにより下方へ向けて変位を開始する。このため、弁体12が弁座20から離座することで弁体12は開弁される。アーマチャシャフト42の変位量が所定値に達した時点でロアコイル62に励磁電流が供給されると、アーマチャ56をロアコア64に向けて付勢する電磁力が発生する。 【0024】アーマチャ56に対して上記電磁力が作用すると、アーマチャ56はロアスプリング38の発する付勢力に抗してロアコア64に当接するまで変位し、弁体12の開弁方向への変位量は最大となる。以下、アーマチャ56がロアコア64に当接した位置を、アーマチャ56、アーマチャシャフト42、又は弁体12の開弁側変位端と称す。かかる状態で、ロアコイル62への励磁電流の供給が停止されると、アーマチャ56を開弁側変位端に保持するのに必要な電磁力が消滅する。このため、弁体12及びアーマチャシャフト42はロアスプリング38の発する付勢力により上方へ変位を開始する。これらの変位量が所定値に達した時点でアッパコイル58に励磁電流が供給されると、アッパコイル58が発する電磁力によりアーマチャ56はアッパコア60へ向けて、アッパコア60に当接するまで変位する。アーマチャ56がアッパコア60に当接した状態では、弁体12が弁座20に着座することで、弁体12は再び閉弁状態となる。 【0025】このように、本実施例の電磁駆動弁によれば、アッパコイル58とロアコイル62とに、交互に適当なタイミングで励磁電流を供給することにより、弁体12を閉弁側変位端と開弁側変位端との間で繰り返し往復駆動させることができる。本実施例において、ゼロラッシュアジャスタ40は油供給路80,82から油圧を受けて、アーマチャシャフト42と弁軸26の間隔変化に追従して伸長し、両者の間に隙間が発生するのを防止する機能を有している。以下、ゼロラッシュアジャスタ40について説明する。 【0026】図2は、ゼロラッシュアジャスタ40及びその周辺部分を示す拡大断面図である。なお、図2は、アーマチャ56がアッパコア60に当接した(すなわち、弁体12が閉弁した)状況下で実現される状態を示す。図2に示す如く、ゼロラッシュアジャスタ40は、プランジャボディ100を備えている。プランジャボデイ100は、ラッシュアジャスタ保持空間24a内に軸方向に摺動可能に配設されている。プランジャボディ100は一端(図2においては下端)が閉じた略円筒状の部材である。プランジャボディ100は、その内部に、下端部に設けられたスプリング保持部100aと、スプリング保持部100aに比して大径に形成されたプランジャ保持部100bとを備えている。 【0027】プランジャボディ100のプランジャ保持部100bには、プランジャ102が軸方向に摺動可能に配設されている。プランジャ102の図2における下底面と、スプリング保持部100aの下底面との間には、油圧室104が画成されている。プランジャ102は、その外周面に、プランジャ保持部100bの内周面に対して摺動する大径部102aと、図2における上端部に設けられた小径部102bとを備えている。一方、プランジャ収容部100bの内周面の上端には、ストッパリング106が圧入されている。ストッパリング106は、プランジャ102の大径部102aの外径に比して小さな内径を有している。従って、プランジャ102のプランジャ保持部100b内部における上向きの変位は、大径部102aと小径部102bとの間の段差と、ストッパリング106とが当接することにより規制される。プランジャ102は、また、上方に向けて開口するリザーバ室108、及び、リザーバ室108と油圧室104とを連通する連通路110を備えている。 【0028】油圧室104には、リテーナ112及びプランジャスプリング114が配設されている。プランジャスプリング114は、リテーナ112を介してプランジャ102を上向きに付勢している。リテーナ112の内側にはチェックボール116及びチェックボールスプリング118が配設されている。チェックボールスプリング118は、チェックボール116を連通路110の開口部に向けて付勢している。チェックボール116及びチェックボールスプリング118は、油圧室104側がリザーバ室108側に比して低圧になった場合にのみ開弁するチェックバルブとして機能する。 【0029】ゼロラッシュアジャスタ40は、また、リザーバキャップ120を備えている。リザーバキャップ120は一端(図1における下端)が閉じた円筒状の部材である。リザーバキャップ120は、その底面がプランジャ102の上端面に当接するように、ラッシュアジャスタ保持空間24a内に摺動可能に配設されている。リザーバキャップ120の下底面には、その一部が切り欠かれてなるオーバフローリセス122が設けられている。オーバーフローリセス122は、リザーバ室108と常時連通している。 【0030】アーマチャシャフト42の下端面は、リザーバキャップ120の内側底面に当接している。一方、弁軸26の上端面は、プランジャボディ100の外側底面に当接している。また、油供給路82は、図2に示す状態(すなわち、アーマチャ56がアッパコア60に当接し、弁体12が閉弁した状態)で、オーバフローリセス122と最適状態で連通するように、ラッシュアジャスタ保持空間24aの内周面に開口している。 【0031】次に、ゼロラッシュアジャスタ40の動作を説明する。図2に示す状態において、アッパコイル58への通電が遮断されると、上記の如く、アーマチャシャフト42には開弁方向の付勢力が作用する。この開弁方向の力はリザーバキャップ120からプランジャ102に伝達される。プランジャ102に伝達される力がプランジャスプリング114の付勢力を越えると、プランジャ102が下向きに押圧されることで、油圧室104内の油が加圧される。このため、油圧室104の油圧がリザーバ室108の油圧に比して高圧となり、連通路110はチェックボール116により閉塞される。連通路110が閉塞されると、油圧室104とリザーバ室108との間の油の授受は禁止される。このため、プランジャ102に伝達された駆動力は油圧室104を介してプランジャボディ100に伝達され、アーマチャシャフト42及び弁体12と共に開弁方向に変位する。ゼロラッシュアジャスタ40が開弁方向に変位する過程では、油圧室104の油が加圧されることで、プランジャ102とプランジャボディ100との摺動面を介して油圧室104から油が徐々に漏出し、ラッシュアジャスタ40は油の漏出分に相当する僅かな量だけ収縮する。 【0032】アーマチャ56がロアコア64に当接するまで変位し、ロアコイル62への通電が停止されると、アーマチャ56は閉弁方向に変位を開始する。そして、弁体12が弁座20に着座すると、プランジャボディ100にロアスプリング38の付勢力は作用しなくなる。一方、弁体12が弁座20に着座した後も、アーマチャ56は、弁体12が開弁方向に変位する過程でのラッシュアジャスタ40の収縮分に相当する微小量だけ更に閉弁方向に変位するのでここに僅かな隙間が発生する。この場合、プランジャ102はプランジャスプリング114の付勢力によりリザーバキャップ120に追従して、プランジャボディ100に対して上向きに摺動しようとし、油圧室104内の油圧は低下する。そして、油圧室104がリザーバ室108よりも低圧になると、チェックボール116が連通路110の開口部から離座することで、油圧室104とリザーバ室108とが連通する。上述の如く、弁体12が弁座20に着座した状態では、油供給路82とオーバーフローリセス122とが連通する。このため、油圧室104とリザーバ室108とが連通すると、油供給路82からリザーバ室108を経て油圧室104に油が供給されることで、プランジャ102はリザーバキャップ120に当接した状態を維持しながら上向きに摺動するようになっている。 【0033】上述の如く、ゼロラッシュアジャスタ40は、弁体12が開弁し、ロアスプリング38の付勢力に対する反力としてリザーバキャップ120からプランジャボディイ100に開弁方向の力が作用する状態、つまり、ゼロラッシュアジャスタ40に圧縮力が作用する状態では、僅かずつ収縮しながらアーマチャシャフト42及び弁体12と共に変位し、弁体12が弁座20に着座し、プランジャボディイ100に閉弁方向の力が付与されない状態、つまり、ゼロラッシュアジャスタ40に圧縮力が作用しない状態では、プランジャ102がプランジャボディイ100に対して摺動するのを許容する機能を有する機構である。かかるゼロラッシュアジャスタ40の機能により、弁体12は閉弁した際に弁体12とアーマチャシャフト42との間に隙間が生ずることが防止される。 【0034】また、弁体12とロアヘッド16との熱膨張差や弁体12と弁座20との着座面の摩擦に起因して生ずる弁軸26とアーマチャシャフト42との間隔変化は、時間的に穏やかに生ずるものであり、弁体12が全閉位置と全開位置とを一往復する間に生ずる間隔変化量は極く僅かである。このため、かかる間隔変化は弁体12が開弁している状態で僅かに収縮したゼロラッシュアジャスタ40が弁体12が閉弁した際に伸長する過程で吸収されることとなる。 【0035】従って、本実施例の電磁駆動弁10によれば、アーマチャシャフト42と弁軸26との間に隙間を生じさせることなく、弁体12を全閉位置と全開位置との間で確実に駆動することができる。このように、ゼロラッシュアジャスタ40は、弁体12が全閉位置近傍に達した際に、油圧量給路80、82から油が供給されることでプランジャボディイ100がプランジャ102に対して摺動し、アーマチャ56及び弁体12が全閉位置に達した際に弁体12とアーマチャシャフト42との間に生ずるのを防止する。なお、アーマチャ56及び弁体12が全閉位置に達した際に弁体12とアーマチャシャフト42との間に生ずる隙間がゼロラッシュアジャスタ40により解消された状態を、ゼロラッシュ状態と称す。また、ゼロラッシュ状態においてアッパコイル58及びロアコイル62への通電が中止され、アーマチャ56がアッパスプリング48とロアスプリング38とに保持される状態でのアーマチャ56の位置を、以下、アーマチャ56の中立基準位置と称す。 【0036】しかしながら、内燃機関のイグニッションスイッチがオフの状態ではアッパコイル58及びロアコイル62の何れにも通電が行われないため、アーマチャ56は中立位置に保持され、ゼロラッシュアジャスタ40に対する油圧供給は行われない。一方、アーマチャ56が中立位置に保持された状態では、ゼロラッシュアジャスタ40にはアッパスプリング48及びロアスプリング38により圧縮力が作用する。このため、プランジャボディイ102とプランジャ100との間の摺動面を経て油圧室104から油が漏出することで、ゼロラッシュアジャスタ40は軸方向に次第に収縮することになる。この場合、アーマチャ56の位置は中立基準位置からロアコア64側に変化することになる。 【0037】ところで、内燃機関の始動時には弁体の開閉駆動を開始するための準備として、初期駆動制御と称される初期の駆動準備が行われる。この初期駆動制御は閉弁用のロアコイル62及び開弁用のアッパコイル58を交互に励磁することによりバネ質量系の固有振動を励磁することで、中立位置にあるアーマチャ56を全閉位置又は全開位置まで変位させるものある。 【0038】しかし、上述の如くのアーマチャ56が中立基準位置からロアコア64側に変化した状態で、アーマチャ56が中立基準位置にある時と同様にアッパコイル58及びロアコイル62に励磁電流を供給してもアーマチャ56とアッパコア60及びロアコア64との位置関係が変化しているため、アーマチャへの電磁力が過大となるか又は不足した状態になり、アーマチャ56を確実に閉弁又は開弁位置に変位させることができない。さらに、アーマチャ56が中立基準位置からずれた状態では、アーマチャ56を効率良く駆動できず、通常動作を行うことも困難となる。その結果、弁体12の開閉動作が不充分となるばかりか、作動音の発生、周辺部材の磨耗といった問題を生じる原因ともなる。 【0039】そこで、本実施例の電磁駆動弁10は、ロアコア64及びアッパコア60の少なくとも一方を位置可変として、かかる問題を解消している。すなわち、本電磁駆動弁10はアーマチャ56の位置ずれを修正する機能を有し、初期駆動制御及びこれに続く通常駆動が円滑になされ得る点に特徴を有している。図3は図1のアーマチャ56の周辺の要部を模式的に示す拡大図である。なお、図3において図1と同一部分には同一符号が付されている。また、図3は電磁駆動弁10のゼロラッシュ状態を示している。 【0040】図3に示す如く、アッパヘッド25の下部には環状溝150がコア保持空間25aを取り囲むように形成されている。環状溝150の開口部はロアコア64のフランジ部64cにその上方から対向している。環状溝150内には環状のリングピストン160が収容されている。リングピストン160の外周面及び内周面にはそれぞれ2個ずつのシールリング162、163が配置されている。これらシールリング162、163により、リングピストン160は環状溝150に対して液密状態で軸方向に摺動することができる。リングピストン160は下方に突出したときにフランジ部64cに当接して、フランジ部64cを下方に押圧する。環状溝150の上底面には油圧供給路152が開口している。油圧供給路152は油圧供給源154からの油圧を環状溝150のリングピストン160より上部側に供給する。環状溝150に油圧が供給されるとリングピストン160を下方に押し出す押圧力が発生する。 【0041】ロアブラケット72はロアコア64の上記フランジ部64cの下底面に対向するリング状のアーム部72aを供えている。フランジ部64cの下底面とアーム部72aとの間には支持スプリング170が配設されている。上記リングピストン160が環状溝150内から突出していない時には、支持スプリング170とアッパコア25との間でフランジ部64cが挟持される。この状態でのロアコア64の位置を、以下、ロアコア64の原位置と称す。図3に示す如く、ゼロラッシュ状態ではロアコア64は原位置に保持されている。一方、油圧が環状溝150に供給されリングピストン160が下方に突出した時には、リングピストン160の押圧力を受け縮んだ支持スプリング170とリングピストン160との間でフランジ部64cが挟持される。 【0042】また、油圧供給路152には油圧を検出する油圧センサ156が配設されている。電子制御ユニット(ECU)158は油圧センサ156の出力信号を受けて油圧供給源154から油圧供給路152に供給される油圧を監視し、リングピストン160に必要な押圧力が付与されるように制御を行う。ところで、上記支持スプリング170のバネ定数Kとすると、バネの変位量Xとバネに加えられる力Fとの関係はF=K×Xである。リングピストン160が支持スプリング170に抗してフランジ部64cを下方に押圧する力Fは、油圧供給路152からの油圧を受ける上記リングピストン160の上面の面積と油圧供給路152の油圧値から求められる。バネ定数Kを予め確認しておけば、上記油圧値とバネ定数Kに基づいて変位量Xを求めることができる。この変位量Xはリングピストン160がフランジ部64cを介してロアコア64を押し下げた量となる。したがって、ECU158は油圧供給源154からの油圧値により、ロアコア64の変位量を制御できることになる。 【0043】次に、上記図3及び図4により、ゼロラッシュアジャスタ40がゼロラッシュ状態から縮んだためにアーマチャ56が中立基準位置からずれた状態から本発明の電磁駆動弁10を起動する動作について説明する。なお、図4はゼロラッシュアジャスタ40がゼロラッシュ状態から収縮するのに応じて、リングピストン160がロアコア64を下方に押し下げた状態を示す図である。 【0044】内燃機関のイグニッションスイッチがオフされると、電磁駆動弁10のアッパコイル58及びロアコイル62のへの通電が止まり、ゼロラッシュアジャスタ40への油圧供給も止まる。この場合、上述の如くゼロラッシュアジャスタ40は、軸方向に圧縮力を受けることにより収縮し、かかるゼロラッシュアジャスタ40の収縮に伴って、アーマチャ56は中立基準位置からロアコア64側へ変位する。 【0045】そこで、本実施例では、電磁駆動弁10が図4に示されるようにアーマチャ56の中立ずれを解消することとしている。すなわち、本実施例において内燃機関のイグニッションスイッチがオンされると、速やかに油圧供給源154から所定圧の油を油圧供給路152を介して環状溝150の上部側に供給する。これによりリングピストン160が下方に突出して、フランジ部64cに当接し、ロアコア64を下方に所定量だけ変位させる。 【0046】なお、アーマチャ−56が中立基準位置から距離Lだけ下方に変位をしたとすると、ここでのロアコア64の下方への変位量は2Lとなる。この距離Lは、例えば実験的に又はゼロラッシュアジャスタ40の構成に基づいて予め知ることができる値であるから、電磁駆動弁10の駆動開始持にロアコア64が下方に変位すべき変位量2Lを設定できる。 【0047】上述したように、支持スプリング170のバネ定数Kと、ここでのロアコア64の変位量2Lから必要とされる押圧力Fを定めることができる。そして、この押圧力Fを発生させるために、油圧を受けるリングピストン160の上面の面積から、油圧供給路152から供給されるべき油圧を決定できる。本実施例では、油圧センサ156及びECU158が配設されている。ECU158は油圧供給路152からの油圧が上記押圧力Fを生じる所定圧に達したとき、これを保持するように制御する。すなわち、ECU158はフランジ部64cを下方に押圧するのに必要な押圧力Fが生じる油圧値が検出された時にこれを保持するように油圧制御を行う。したがって、図4で示す如く、アーマチャ56をアッパコイル58とロアコイル62の略中央位置で維持できる。 【0048】図4に示される状態では、アッパコイル58とロアコイル62からの距離が等しくなるので、前述した初期駆動制御を適正に実行することが可能となる。この後、ECU158により油圧供給路152から環状溝150への油圧の供給が停止されると、支持スプリング170の付勢力によりロアコア64は原位置に戻される。この時にゼロラッシュアジャスタ40に十分な油圧が供給されていれば、アーマチャ56は中立基準位置になるので直ちに通常の弁体12の開閉駆動を開始することができる。 【0049】ところで、上記のように初期駆動制御が完了したときに、ゼロラッシュアジャスタ40へ供給される油圧が所定値まで上昇していない場合も想定される。この場合に、ロアコア64を原位置に戻すと、ゼロラッシュアジャスタ40の伸長不足で再びアーマチャ56が中立基準位置からずれた状態となる。この状態で弁体12の開閉駆動を開始しても、前述したアーマチャ56の駆動不良の問題が発生する虞がある。 【0050】そこで、上記ECU158がゼロラッシュアジャスタ40への油圧をも合わせて監視して、ゼロラッシュアジャスタ40へ供給される油圧が所定値に達するまではロアコア64を下方に変位させた状態を保持するようにしてもよい。ECU158がこのような制御を行えば、ゼロラッシュアジャスタ40への油圧が不足している場合でも、初期駆動制御に続いて弁体12の開閉駆動を適正に開始できる。そして、ゼロラッシュアジャスタ40への油圧が所定値に達した時に、ECU158により油圧供給路152から環状溝150への油圧の供給が停止され、支持スプリング170がフランジ部64cを介してロアコア64を定位置に戻される。この時にはゼロラッシュアジャスタ40は十分な油圧を供給されて伸長しているのでアーマチャ56は中立基準位置となり弁体の開閉駆動が適正に継続できる。 【0051】また、内燃機関のイグニッションスイッチがオンされてからゼロラッシュアジャスタ40へ所定油圧が供給可能となるまでの所要時間は例えば実験的予め知ることが可能である。ECU158がこの所要時間の間継続して、ロアコア64を下方に変位させた状態を保持するように制御してもよい。ECU158がこのような制御を行えば、ゼロラッシュアジャスタ40への油圧供給状態を逐次監視することなく初期駆動制御に続いて弁体12の通常開閉駆動を開始できる。 【0052】上記実施例はロアコア64の位置を下方に可変とした例であるが、アッパコア60の位置を下方に可変とすることも可能である。この場合は、環状溝150、リングピストン160等の各部を上記実施例と上下同じに配置すればよい。すなわち、上記リングピストン160はアッパコア60の上方に位置して下方に突出可能とされ、アッパコア60のフランジ部60C を下方に押し下げる構成とすればよい。 【0053】また、かかる構成を上下ともに設ければ、上記ロアコア64及びアッパコア60の両方を位置可変とすることができる。この場合、アーマチャ56はロアコア64及びアッパコア60との距離を一定に保つことができる。以上、本発明の好ましい実施例について詳述したが、本発明は係る特定の実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された本発明の要旨の範囲内において、種々の変形・変更が可能である。 【0054】なお、前述実施例においては、アーマチャ56及びアーマチャシャフト42が特許請求の範囲に記載したアーマチャに、環状溝150、油圧供給源154、ECU158及びリングピストン160が特許請求の範囲に記載した位置可変手段に、ロアコア64及びロアコイル62が特許請求の範囲に記載した開弁用電磁石に、アッパコア60及びアッパコイル58が特許請求の範囲に記載した閉弁用電磁石に、それぞれ相当している。 【0055】 【発明の効果】上述の如く、請求項1及び請求孔2に記載の発明によれば、ゼロラッシュアジャスタに充分な油圧が供給されていない状態でもアーマチャの位置ずれを修正して、弁体を効率よく開閉駆動させることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000003207 【氏名又は名称】トヨタ自動車株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年4月9日(1999.4.9) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100070150 【弁理士】 【氏名又は名称】伊東 忠彦
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| 【公開番号】 |
特開2000−291818(P2000−291818A) |
| 【公開日】 |
平成12年10月20日(2000.10.20) |
| 【出願番号】 |
特願平11−103151 |
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