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【発明の名称】 高圧液体の開閉栓及び消火栓
【発明者】 【氏名】井口 國大

【要約】 【課題】開閉初期の噴出流が弱められ、放水口金を覗きながら安全に点検することのできる、高圧液体の開閉栓及び消火栓を提供することである。

【解決手段】回転可能とされた弁体12と、この弁体12を収納する弁箱14とを備えた開閉栓10であって、弁体12にはその回転軸と交差して貫通孔28が設けられ、弁箱14には導水路32と放水路30とが設けられており、弁体12の回転に伴い、まず放水路30と貫通孔28とが連通し、次いで導水路32と貫通孔28とが連通することにより、導水路32と放水路30とが貫通孔28を介して連通されるように構成された開閉栓10とされることである。また、この開閉栓10の導水路32入口に消火用水道管が接続され、放水路30出口に放水ホースを接続するための口金が備えられた消火栓とされることである。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 回転可能とされた弁体と、この弁体を収納する弁箱とが備えられた開閉栓であって、該弁体にはその回転軸と交差して貫通孔が設けられ、該弁箱には導水路と放水路とが設けられており、該弁体の回転に伴い、まず前記放水路と貫通孔とが連通し、次いで前記導水路と貫通孔とが連通することにより、導水路と放水路とが貫通孔を介して連通されるように構成されたことを特徴とする高圧液体の開閉栓。
【請求項2】 前記放水路の、前記弁体の回転方向に沿った入口径が、前記導水路の、前記弁体の回転方向に沿った出口径より大とされたことを特徴とする前記請求項1に記載する高圧液体の開閉栓。
【請求項3】 前記貫通孔の形状が、前記導水路から放水路に向けて末広がりとされたことを特徴とする前記請求項1又は請求項2に記載する高圧液体の開閉栓。
【請求項4】 前記弁体が球状であることを特徴とする前記請求項1乃至請求項3に記載する高圧液体の開閉栓。
【請求項5】 前記請求項1乃至請求項4に記載される高圧液体の開閉栓の導水路入口に消火用水道管が接続され、放水路出口に放水ホースを接続するための口金を備えて構成されたことを特徴とする消火栓。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は高圧液体の開閉栓に関し、特に、開栓初期の水噴出が緩和された消火栓に関する。
【0002】
【発明が解決しようとする課題】従来、地下のマンホール内に設置された消火栓に対しては、1〜2カ月毎に放水機能の点検が行われている。点検は、消火ホースを接続する口金内を覗きながら徐々に弁を開き水の出方等を観察して行われる。ところが、弁が開き始めた時突如として水が強く噴出することがあり、覗き込んでる顔面に当たる等のトラブルが起こっていた。
【0003】図13は、従来の消火栓に用いられている開閉栓50の一例の要部を示すものであり、栓が閉じられた状態が示されている。開閉栓50は、回転可能な球状の弁体52、弁体52を支持しながら弁体52と弁箱54との間を水密に閉じている上下2個のリング状の弁座64、65等で構成されている。弁体52には貫通孔62が設けられ、弁箱54には放水路66と導水路68とが設けられ放水ホースを連結するための口金70が備えられている。
【0004】本従来例においては、貫通孔62は円筒状であり、弁座64、65はリング状で同形とされている。したがって、弁体52が閉状態から回転して開状態に変わる過程において、弁体52に設けられた貫通孔62は、放水路66と導水路68とに略同時に連通することになる。連通とは、空間が連続していて通水可能の状態を意味する。図14で説明すれば、弁体52が右回りに回転して行き、貫通孔62の右上端が弁座64の下を過ぎる時、貫通孔62と放水路66は連通されるが、略同時に、貫通孔62の左下端が弁座65の上を過ぎるため、貫通孔62と導水路68とも連通される。すなわち、導水路68と放水路66とは、このようにして貫通孔62を介して連通されるのであるが、消火用水道管が接続された消火栓では、この時、貫通孔62の右上端から放水路66に向け消火用水道管からの高圧水が噴出するのである。従来の消火栓では、図中矢印に示されるように上方に向かって噴出することが多く、上述したトラブル発生の原因になっていた。
【0005】消火栓において、貫通孔62と放水路66及び導水路68とが略同時に連通した時、放水路66内の圧力P0 (大気圧)、貫通孔62内の圧力P1 、導水路68内の圧力P2 (消火用水道管内の圧力)間は、P0 <P1 <P2 の関係にある。弁体52の回転精度、関係部材の製作精度等の影響により、貫通孔62と放水路66が少しでも早く連通されれば、P1 はP0 に近くなるし、貫通孔62と導水路68が少しでも早く連通されれば、P1 はP2 に近くなる。P1 がP2 に近づきP0 との差が大きくなるほど、初期の噴出流が強くなり好ましくない結果となる。
【0006】特開平9−140823では、この噴出流を遮る遮蔽体を放水路側に設けることが提案されている。遮蔽体にぶつけて噴出流の勢いを弱めることは確かに有効であるが、遮蔽体はややもすれば流動の障害物となりやすく、また製作コストのアップにつながるので、さらに有効な解決手段の開発が待たれている。
【0007】そこで本発明者は、上述した従来技術の問題点に鑑み、単純な構造であって製造コストの上昇や保全性の低下を招くことがなく、使用時の流動性が阻害されないで、開栓初期の噴出流を弱めることのできる、高圧液体の開閉栓及び消火栓について鋭意検討した結果本発明に至ったのである。
【0008】
【課題を解決するための手段】本発明は上記の課題を解決するため次の手段をとるものである。すなわち、本発明にかかわる高圧液体の開閉栓は、回転可能とされた弁体と、この弁体を収納する弁箱とが備えられ、弁体にはその回転軸と交差して貫通孔が設けられ、弁箱には導水路と放水路とが設けられており、弁体の回転に伴い、まず放水路と貫通孔とが連通し、次いで導水路と貫通孔とが連通することにより、導水路と放水路とが貫通孔を介して連通されるように構成される。
【0009】さらに、放水路の、弁体の回転方向に沿った入口径が、導水路の、弁体の回転方向に沿った出口径より大とされる。
【0010】さらに、貫通孔の形状が導水路から放水路に向けて末広がりとされる。
【0011】さらに、弁体が球状とされる。
【0012】また、本発明にかかわる消火栓は、請求項〜請求項4に記載される開閉栓の導水路入口に消火用水道管が接続され、放水路出口に放水ホースを接続するための口金を備えて構成される。
【0013】
【発明の実施の形態】次に、本発明に係る高圧液体の開閉栓及び消火栓の実施の形態を図面に基づいて詳しく説明する 。
【0014】図1、図2は本発明に係わる開閉栓10の一例の要部を示すものであり、開閉栓10が閉じられた状態を示している。開閉栓10は、回転可能な球状の弁体12、弁体12を収納する弁箱14、弁棒16とギア機構18を介して弁体12を回転させるための操作捍22、弁体12を支持しながら弁体12と弁箱14との間を水密に閉じている上下2個のリング状弁座24、26等で構成されている。弁体12には貫通孔28が設けられており、弁箱14には放水路30と導水路32とが設けられ放水ホースを連結するための口金34が備えられている。
【0015】本例の開閉栓10は、図13、図14に例示される従来例の開閉栓50と類似しているが、放水路30側のリング状弁座24の直径W2 が、導水路32側のリング状弁座26の直径W1 より大とされていることが異なっている。したがって、円筒状の貫通孔28が設けられた弁体12を、図2に示される閉状態から回転させていくと、貫通孔28の上端36が弁座24の下を通過するようになり、図3に示されるように、まず放水路30と貫通孔28とが連通する。この時、貫通孔28内の圧力P1 は、放水路30内の圧力P0 と等しくなる。
【0016】そして、さらに回転すれば、図4に示されるように、貫通孔28の下端38が弁座26の上を通過し、導水路32と貫通孔28とが連通するようになる。すなわち、放水路30と導水路32とが貫通孔28を介して連通される。導水路32の入口に消火用水道管(図中省略)が接続された消火栓では、導水路32と貫通孔28とが連通した瞬間、貫通孔28の下端38と弁座26との間の間隙から、弁箱14や貫通孔28の内壁に向かって高圧水が噴出する。
【0017】この噴出水は、導水路32内の水圧P2 と貫通孔28内の圧力P1 との差に略比例して激しく噴き出すが、放水路30に至る前に、弁箱14や貫通孔28の内壁と衝突を繰り返すうちに勢いを弱めてしまう。従来の開閉栓50では、貫通孔62内の圧力P1 と放水路66内の圧力P0 との差圧に基づき、貫通孔62出口側から放水路66内に直接強く噴出していた。ところが、本発明の開閉栓10では、P1 とP0 とが等しくなった後に導水路32と連通するようにされたので、噴出位置が貫通孔28の入り口側に移動し、貫通孔28の内壁が遮蔽壁の役割を果たすことになって、放水路30内への噴出が弱まったのである。図5は、弁体をさらに回転して栓を全開した状態を示す。導水路32と貫通孔28と放水路30とがスムーズに連通されているので、高圧液体の流れが阻害されることはなく、消火栓等に用いられれば十分な流量を確保できる。
【0018】上述してきた開閉栓10の構成は請求項2に係わる一例であるが、2個の弁座の大きさを異なるようにした以外は、図13に示される従来の開閉栓と同様の構造である。したがって、製作コストの増加や保全性の低下を招くことがないので、本発明の特に有用な実施態様である。しかしながら、請求項2に基づく実施態様は本例に限定されない。すなわち、放水路の、弁体の回転方向に沿った入口径が、導水路の、弁体の回転方向に沿った出口径より大とされればよく、種々の実施態様が可能である。例えば、弁体は球状でなくても、円筒状や楕円状などの軸対称体でありさえすればよい。また放水路30や導水路32の断面は円に限定されず方形や楕円等であってもよい。ここでいう、放水路の入口径、導水路の出口径とは、それぞれ弁座24、弁座26で仕切られる放水路入口や導水路出口の長さである。
【0019】請求項3に係わる、本発明の特に有用な別の実施態様では、導水路から放水路に向けて末広がりとされた形状の貫通孔28とされる。その一例を図6を用いて説明すれば、弁座24の直径W2 と弁座26の直径W1 とが等しくされ、貫通孔28の放水路30と接する側の出口径L2 が、導水路32と接する側の入口径L1 より大とされている。本例の開閉栓10も、テーパー状に末広がりの貫通孔28とされた他は、従来の開閉栓と同様の簡単な構造であり、製作コストの増加や保全性の低下を招くことがないので実施しやすく特に有用である。
【0020】図6に示される閉状態から弁体12を回転していくと、図7に示されるように、まず放水路30と貫通孔28とが連通し、やがて、図8に示されるように、導水路32と貫通孔28とが連通して高圧液体が噴出することになる。噴出流は弁箱14や貫通孔28の内壁に向かって飛び出し、衝突を繰り返すうちに勢いを弱めてから放水路30にに出てくることになる。図9は、弁体をさらに回転して栓を全開した状態を示す。導水路32と貫通孔28と放水路30とはスムーズに連通されている。
【0021】貫通孔28の形状は必ずしも円柱状や円錐台状である必要はなく、例えば、図10(a)に示されるように曲面で形成されてもよく、また、同図(b)で示されるように、円柱と円錐台とで構成された形状とされてもよい。また、必ずしも軸対称の形状とされる必要はない。また、分割されたり分岐された貫通孔28とされてもよい。
【0022】放水路30の入口径が導水路32の出口径より大とされ、かつ、導水路から放水路に向けて末広がりの貫通孔28とされれば、導水路32と貫通孔28と放水路30とがさらにスムーズに連通される。図11(a)は円錐台状の貫通孔28が設けられた例であり、同図(b)は曲面でテーパー状に形成された貫通孔28が設けられた例であるが、いずれも、各弁座24、26と滑らかにつながっている。
【0023】放水路30と貫通孔28とを先に連通する手段は上述の例に限定されない。例えば図12に示されるように、貫通孔28の放水路側に開口する通気用の分岐孔40を設ければ、貫通孔28自体が円筒状であっても、弁体12の回転に伴いまず分岐孔40が放水路30と連通することになって、貫通孔28内の圧力P1 と放水路30内の圧力P0 と同一になる。その結果、上述した幾つかの例と同様に、放水路30内への噴出を弱めることができる。
【0024】本発明の開閉栓10は地下のマンホール等に設置される消火栓に特に好ましく用いられる。開閉栓の導水路入口に消火用水道管が接続され、放水路出口に放水ホースを接続するための口金を備えた消火栓とされれば、改良された開閉栓10が用いられているため、開閉初期において水が強く噴出することがないので、放水口金を覗きながら安心して点検できるようになる。
【0025】本発明はその趣旨を逸脱しない範囲内で、弁体や弁座や弁箱の形状や材質、放水路や導水路の形状等につき、当業者の知識に基づき種々なる改良、修正、変形を加えた態様で実施し得るものである。
【0026】
【発明の効果】本発明に係わる高圧液体の開閉栓によれば、まず放水路と貫通孔とが連通し、次いで導水路と貫通孔とが連通されるので、開閉初期に発生する噴出流が貫通孔内で衝突を繰り返して減衰し、放水路へ強く噴出しないようになる。
【0027】さらに、かかる開閉栓において、放水路の入口径が導水路の出口径より大とされれば、従来の開閉栓と大差ない構造なので、製造コストの上昇や保全性の低下を招くことのない、改善された開閉栓が容易に得られる。
【0028】さらに、かかる開閉栓において、導水路から放水路に向けて末広がりの貫通孔とされれば、従来の開閉栓と大差ない構造なので、製造コストの上昇や保全性の低下を招くことのない、改善された開閉栓が容易に得られる。
【0029】さらにまた、かかる開閉栓において弁体が球状とされれば、弁座をリング状にして水密性を向上できるし、導水路や放水路を一軸対称の形状とし開閉栓全体をコンパクトに纏めることができる。
【0030】また、本発明に係わる消火栓によれば、開閉初期に生じる噴出流が弱くされた開閉栓が用いられるので、放水口金を覗きながら安心して点検できるようになる。
【出願人】 【識別番号】598076993
【氏名又は名称】富士鉄工株式会社
【出願日】 平成11年4月1日(1999.4.1)
【代理人】 【識別番号】100094248
【弁理士】
【氏名又は名称】楠本 高義
【公開番号】 特開2000−291812(P2000−291812A)
【公開日】 平成12年10月20日(2000.10.20)
【出願番号】 特願平11−94651