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【発明の名称】 自動給水弁のパッキン機構
【発明者】 【氏名】福山 信也

【氏名】上田 悟史

【要約】 【課題】自動給水が制御室の内圧変化によって発生する自動給水弁にあって、給水室と制御室とを区画形成するピストンの周壁面に埋設した環状パッキンの不測の摩耗劣化は予期せぬ幾多の損失を惹き起こす。この環状パッキンの劣化破損時、即ちその取替時期を的確に予知せしめることにより漏水事故の発生を未然に防止することにある。

【解決手段】給水弁本体1内を導水室7と給水室9とに区画する仕切壁10の導水口12を開閉するピストン14に設けたシートパッキン13および給水室9内を、さらに制御室30とに区分するピストン14の周壁面に埋設した環状パッキンにあって、環状パッキンを上下一対の環状パッキン25,26にて構成すると共に、上下両パッキン間にあって、ピストン14の周壁面に環状切欠き室27を設けると共に、弁本体1には該切欠き室27に連通する透孔28を穿設した構成にある。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 給水弁本体内を導水室と給水室とに区画する仕切壁に設けた導水口を開閉するシートパッキンと、さらに弁本体の内壁面に摺圧接して、前記給水室の一部に制御室を区画形成する環状パッキンを周壁面に埋設すると共に、周壁面に軸方向にのびるスリット状間隙を設けてなる調節弁を昇降可能に内挿せしめたピストンにあって、前記環状パッキンをして一対の上部および下部パッキンをもって構成し、かつこの一対のパッキン間にてピストンの周壁面に環状切欠き室を設けると共に、弁本体に該切欠き室に連通する透孔を穿設してなる自動給水弁のパッキン機構。
【請求項2】 透孔部分の横断面積は、ピストンと調節弁間に形成されたスリット状の間隙の横断面積より小さく設定されている請求項1の自動給水弁のパッキン機構。
【請求項3】 使用の過程において、下部環状パッキンは上部環状パッキンよりその摩耗破損が時間的に遅延発生するよう設計されている請求項1の自動給水弁のパッキン機構。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、自動給水弁のパッキン機構に関し、より詳しくはパッキンの摩耗破損の発生を外部的に予知せしめるパッキン機構に関する。
【0002】
【従来の技術】この種の自動給水弁の基本構造は、この発明に係る給水弁の縦断面を図1をもって説明するように、給水弁本体1の内部は仕切壁10をもって、水源部に連通する導水室7と受水槽などに連通する給水室9に区画形成され、この仕切壁には大径の導入口12が開口し、該導入口12は調節弁18を昇降可能に内挿せしめ、給水室9内を昇降するピストン14の下面に装着したシートパッキン13をもって開閉される。
【0003】また、前記ピストン14の周壁面には環状パッキンが埋込み状に装着され、該環状パッキンの一部は、常時給水弁本体1の内壁面に圧摺接している。この環状パッキンとしては一対の碗型パッキンの各底部同士を背中合わせに組立てたもの、あるいはスリーブ型のものなどがごく一般的である。この環状パッキンの存在により、給水弁本体1の給水室9の上方部分は、パイロットバルブの開閉操作にて、その内圧がコントロールされる制御室30が形成され、即ちこの制御室30と給水室9とはこの環状パッキンにて区画形成されているため、環状パッキンの予期せぬ破損は制御室30と給水室9との内圧変化を惹起せしめ、導水室7より給水室9の不測の給水となって現れる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】昇降動を繰り返すピストン14の周壁面に埋設され、かつ給水弁本体1の内壁面と常時圧摺接するこの種の環状パッキンは、制御室30と給水室9との確実なる区画形成のために、期待される役割は重大であり、ピストン14の昇降動に伴う給水弁本体1の内壁面との圧摺接、摩耗、さらに制御室30内に作用する高圧にて過酷な負荷が常時作用しており、この環状パッキンの疲労に伴う破損は制御室30内の水圧低下を伴い、延いてはピストン14の上昇動、即ちピストン14のシートパッキン13の導入口12よりの離反は、導水室7より給水室9への不測の流水となって現れる。
【0005】この懸念を解消するため、環状パッキンが破損する前段階にて、その状況が予知できる折には、不測の災害の発生およびその他の経済的損失をも未然に防止することができる。
【0006】この発明は該環状パッキンの給水弁本体の内壁面との摺接動に伴う摩耗と共に、常時高圧下にある制御室より受ける水圧のため、経験則上環状パッキンは制御室側に位置する環状パッキンの上側部分が下側部分に比べ、その疲労破損の度合が大きいことに着目して、環状パッキンの部分破損状況をいち早く察知し、不測の事態発生を未然に防止しうるパッキン機構を提供することを目的とするものである。
【0007】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するために、この発明は下記の構成を採用している。給水弁本体内を、水源部に連通する導水室と受水槽などに連通する給水室とに区分する仕切壁に、開設した大径の導入口を、給水室内にあって、同室内を昇降するピストンの下面に装着したシートパッキンにて開閉し、同ピストンの軸心部には昇降可能に調節弁を内挿せしめ、同調節弁の表面軸方向に設けた切欠き状スリットにてピストンと調節弁間に間隙を形成せしめている。
【0008】またピストンの周壁面に装着され、給水弁本体の内壁面と圧摺接して給水室の上方部に制御室を区画形成する環状パッキンを含むパッキン機構は、ピストンの周壁面にその一部を埋込んでなる上下一対の環状パッキンと、該パッキン間にあってピストンの周壁面には環状切欠き室が形成されると共に、ピストンの昇降動に伴い上下動する切欠き室と常時連通するよう給水弁本体には大気と連通する透孔が穿設されている。
【0009】なお本体に穿設された透孔部分の横断面積はピストンとピストンに内挿され同じく昇降動する調節弁との間に設けたスリット状の間隙の横断面積より小さいことが要求され、また上下一対の環状パッキンにあって、上部環状パッキンの使用に伴う劣化の進行度は下部環状パッキンのそれとの比較にて常に先んじていることが要求されている。
【0010】
【作用】源水部よりこの給水弁を介して、受水槽などに水が自動的に供給されるのは、受水槽の水位の降下に伴って、受水槽の水面上に浮いていたフロートも降下し、フロートの降下により、パイロットバルブが開放される。すると給水弁本体の制御室の圧力が下がり、ピストン部が調節弁と共に押し上げられ、給水弁本体の導入口のピストンのシートパッキンによる閉塞が解除され、導水室つぎに給水室より受水槽へ水の連続供給が継続する。
【0011】反対に受水槽などへの水の十分の供給があり、受水槽の水面が上昇すると水面上に浮いているフロートも上昇し、パイロットバルブが閉止される。すると制御室の圧力が上昇しピストン部が徐々に降下し、ピストン下面に装着したシートパッキンが仕切壁に開口する導入口を塞ぎ止水が完了する。
【0012】パイロットバルブの開閉により、ピストンとピストンに内挿された調節弁との間のスリット状間隙を通過して制御室の水の流入出による同室に圧力変化によりピストンの上下方向への摺動、延いては給水弁の開閉動も繰り返されるも、該ピストンの昇降動に伴う上下一対の環状パッキンは給水弁本体内壁面との圧摺動により経時と共にその劣化は進行し、上部環状パッキンと下部環状パッキンを同等同品質のものを用いた場合、大きい加圧状態にある制御室側に位置する上部環状パッキンの方が当然負荷も大きく、下部環状パッキンと比較して損傷度の進行は早い。
【0013】上下両環状パッキンが劣化する以前の場合、ピストンの外周面に設けた環状切欠き室は、その上下を両環状パッキンにて閉塞されているので、該切欠き室への給水の圧入はないが、経時と共に両パッキンが劣化し、特に上部環状パッキンの劣化破損が進んだ場合、その止水力は後退し、制御室より環状切欠き室への浸水が進む。
【0014】この時点にては未だ下部環状パッキンは十分の止水力を保有しているので、制御室より給水室への滲水は十分抑止され、ピストンの上昇動は阻止されている。次第に上部環状パッキンの劣化破損により環状切欠き室への抑制室よりの加圧水の流下が進行する折、制御室へピストンと調節弁間のスリット状間隙を介して流れ込む圧力はピストン部の切欠き状の間隙の横断面積が大気側に開放される透孔部分の横断面積よりも大きく設定されているため、給水弁本来の作動には影響はない。さらに切欠き室の水圧が大気圧より大きくなるに従い、透孔よりの流水となって現れる。
【0015】尚、前記透孔部分の横断面積という度々用いる表現は、透孔自体の横断面積を間隙の横断面積より小さく設定することの他に、透孔の出口部分に、後述する各種容器、センサー等を取付ける折に、容器、センサーなどの流出入孔自体の横断面積を、間隙の横断面積より小さく設定する場合も含ませるために、あえて用いたものである。
【0016】この透孔よりの流水の存在は目視により、あるいは透孔と連絡する受け容器などへの溜り具合により確認できるも、必要とあれば適宜のセンサーを介して、ブザーなどによる音的警告手段、点灯ランプなどによる光的警告手段を用いて、その流水の発生、即ち上部環状パッキンの摩耗劣化によるパッキン材の取換え時期の到来を、給水弁の故障の発生の危険性を事前に予告することができる。
【0017】
【発明の実施の形態】図中、1は自動給水弁本体で、その下方部には排水キャップ2がOリング3を介して、またその上方部にはカバー4がOリング5を介して密閉状態を保って組立てられている。本体1の下方側一端には水源部に通ずる開口部6を有する導水室7が、また下方側他端には、受水槽などに通ずる開口部8を有する給水室9が、本体1内を区画する仕切壁10を介して形成されている。そしてこの仕切壁10には、上向き山形環状フランジ11をその周縁に設けた大径の導入口12が開口している。
【0018】14は給水室9内を昇降するその下面部分に、前記導入口12の周縁に設けた山形フランジ11と接して導入口12を開閉するシートパッキン13を装備したピストンで、その下端部には導入口12内を昇降する筒状支持部材15が固着されている。この筒状支持部材15の下端には、後述する調節弁のためのストレーナ16が装着され、該支持部材15は導入口12と接触する複数のガイド片17,17を用いて、導入口12内を横振れすることなく昇降し、延いてはピストン14の円滑な昇降動を助けている。
【0019】ピストン14の中空軸心部には、調節弁18が、その下端部を筒状支持部材15上方に装備せしめたスプリング19を介して昇降可能に内挿されており、ピストン14と調節弁18間には、調節弁18の周面にて軸方向にのびる切欠き状スリットを設けることにより間隙20が形成されている。ピストン14より上方に突出する調節弁18の上端部に設置されたパッキン押え22は、本体1の上端を覆うカバー4に設置された流量調整スピンドル23と共働して、ピストン14および調節弁18の各々の昇降幅を制御している。
【0020】一方、ピストン14の周壁面には、十分の間隔を保って一対のパッキン、即ち上部環状パッキン25と下部環状パッキン26が埋設されている。これら上下一対の環状パッキン25,26は給水弁本体1の内壁面と常時圧摺接しており、また一対の環状パッキン25,26間にあって、ピストン14の周壁面には環状の切欠き室27が形成されている。そして、ピストン14の昇降動に伴う上下一対の環状パッキンのストローク範囲内の位置にあって、給水弁本体1には、前記昇降する切欠き室27と常に連通する大気開放型の小径の透孔28が穿設されている。そしてこの透孔28自体、又は透孔28に取付けられる各種容器、センサーなどの流出孔の横断面積は前記ピストン部の間隙20の横断面積より常に小さく設定されている。
【0021】給水弁本体1、より詳しくは給水室内は、同室内を昇降するピストン14の周壁面に埋設せしめた上部環状パッキン25をもって、給水室の上方一部を区切り制御室30が区画形成されている。そしてこの制御室30の一部には、受水槽の上下動する水面上に浮かぶフロートを端部に装備したパイロットバルブをその中途に介在せしめた操作パイプ31が連通接続されている。
【0022】尚、ピストン14の昇降動に伴い、共に疲労する上下一対の環状パッキンは上部パッキン25の方が、摩耗に加えて、制御室30側の水圧による負荷も大きく、下部環状パッキン26との比較において早期に破損し、環状切欠き室27への制御室30よりの漏水が始まった時点にても、下部環状パッキン26にて制御室30と給水室9との間の遮水状態を十分持続せしめていることが要求されるため、上下両環状パッキンは少なくとも同材質のものが選択されることが望まれ、場合によって下部パッキン26の方が耐久性の点で上質のものが選択される場合もある。
【0023】
【効果】自動給水弁の止水効果は給水室と制御室との遮水が第一である。即ち両室間を遮断せしめる環状パッキンの破損の度合を早期かつ適確に予知せしめることが重要である。しかし、環状パッキンの破損状況は水の実際の使用量に大きく左右されるため、パッキンの余りに早期の取換えは不経済であり、また度々の給水弁本体の分解検査は手数と時間もかかりこれまたその保守作業は直接コスト高に結び付く。さりとて、パッキンの完全破損にあっては、その発生時期、即ちその異常事態が人目に付きにくい夜間時に発生した折などには、さらに手数と不経済であること以上に、大事の原因ともなる。
【0024】この発明にあっては、近々発生をみるであろう大事の前の環状パッキンの局部的破損状況を給水弁本体に設けた透孔よりの異常漏水にて的確に予知することができ、またこの時期にあっても、下部環状パッキンにて給水室よりの不測の流出は完全に阻止できている状況にあるので、経済的な無駄もなく、早急にパッキン材の取換えにて、非常事態の発生を未然に防止することができる。
【出願人】 【識別番号】000126296
【氏名又は名称】株式会社アイエス工業所
【出願日】 平成11年3月29日(1999.3.29)
【代理人】 【識別番号】100066577
【弁理士】
【氏名又は名称】岡田 収司
【公開番号】 特開2000−283330(P2000−283330A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−127499