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【発明の名称】 電磁弁駆動装置
【発明者】 【氏名】小林 浩

【氏名】中村 稔

【氏名】鳥居 稔

【要約】 【課題】隣接して配置される電磁弁のそれぞれの電磁石の吸引力を十分に確保しつつ、小型化及び省電力化を図ることができる電磁弁駆動装置を提供する。

【解決手段】アーマチャ14を吸引するソレノイド16が隣接して配置されている。これらのソレノイド16は、付勢するときに生成される磁束φ1,φ2の方向が互いに逆方向となるように構成される。これにより、隣接するソレノイド16を同時に付勢したときに、両者が互いの磁気回路を共有することによる磁束の増加効果が得られ、互いの吸引力を強め合う効果を得ることができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 少なくとも2つの電磁弁が隣接して設けられた電磁弁駆動装置において、前記隣接して設けられた2つの電磁弁を付勢するときの、前記2つ電磁弁のそれぞれの電磁石における磁束の方向が互いに逆方向となるように構成したことを特徴とする電磁弁駆動装置。
【請求項2】 前記電磁弁は、内燃機関の吸気弁または排気弁であり、前記内燃機関の燃焼室の上側に設けられることを特徴とする請求項1に記載の電磁弁駆動装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、電磁力により弁体が駆動される電磁弁の駆動装置に関し、特に2つの電磁弁が隣接して設けられているものに関する。
【0002】
【従来の技術】内燃機関の吸気弁及び排気弁を電磁力により駆動する電磁弁で構成することは従来より知られている。このような電磁駆動式の吸気弁または排気弁を駆動するのに要する電力をできるだけ低減するためには、駆動装置の磁気回路断面積を増加させることが有効であるが、装置が大型化し、例えば1つ気筒に吸気弁と排気弁を2個ずつ設けるような場合には、その取り付けスペースが不足するという問題がある。この問題を解決するために、特開平9−256826号公報には、隣接する2つの駆動装置の互いに隣接する部分を平面状とし、2つの駆動装置の距離を短縮して、機関上部に収容可能とすることが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】例えば隣接する2つの吸気弁を作動させる場合、通常は2つの弁を同一のタイミングで作動させるため、駆動装置の磁束が相互に干渉することが想定されるが、上記公報に示された装置では、この点が全く考慮されていない。そのため、駆動装置をより小型化し、消費電力をより低減する上で、改善の余地が残されていた。
【0004】本発明は、この点に着目してなされものであり、隣接して配置される電磁弁のそれぞれの電磁石の吸引力を十分に確保しつつ、小型化及び省電力化を図ることができる電磁弁駆動装置を提供することを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため請求項1に記載の発明は、少なくとも2つの電磁弁が隣接して設けられた電磁弁駆動装置において、前記隣接して設けられた2つの電磁弁を付勢するときの、前記2つ電磁弁のそれぞれの電磁石における磁束の方向が互いに逆方向となるように構成したことを特徴とする。
【0006】この構成によれば、隣接して設けられた2つの電磁弁を付勢するときの、各電磁石における磁束の方向が互いに逆方向となるので、2つの電磁石が互いの磁気回路を共有することによる磁束の増加効果が得られ、2つの電磁石をほぼ同一のタイミングで付勢する場合に互いの電磁力を強め合う効果が得られる。その結果、必要とされる電磁力を得るための磁気回路断面積を低減して装置の小型化を図ったり、必要な電磁力を得るための電力を低減して省電力化を図ったりすることができる。
【0007】請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の電磁弁駆動装置において、前記電磁弁は、内燃機関の吸気弁または排気弁であり、前記内燃機関の燃焼室の上側に設けられることを特徴とする。
【0008】内燃機関の吸気弁または排気弁は、1つの気筒においては常にほぼ同一のタイミングで開弁また閉弁駆動されるため、請求項1に示した構成による効果がより顕著となる。また、内燃機関上部の限られたスペースに配置する上で非常に有効である。
【0009】前記隣接して設けられる電磁弁の電磁石は、磁気回路の一部を共有できるように構成する、すなわち、隣接する2つの電磁石の外周部のヨークが接触平面を介して当接するように構成することが望ましい。
【0010】
【発明の実施の形態】以下本発明の実施の形態を図面を参照して説明する。図1は、本発明の一実施形態にかかる電磁弁駆動装置を内燃機関(以下「エンジン」という)の吸気弁に適用した場合の構造を示す断面図である。本実施形態では、図2に示すように1つの気筒に吸気弁1と排気弁2とが2個ずつ設けられており、図1は吸気弁1の構成を示すが、排気弁2の構成もこれと同様である。吸気弁1は、アーマチャ14が固定された弁体12とこれを駆動するアクチュエータ11とからなり、エンジン10の燃焼室の吸気口18を開閉すべく、燃焼室上部に装着される。
【0011】図2において、シリンダ3の内径、すなわちボアD1及び2つの吸気弁の間隔、すなわちバルブピッチD2は、エンジンの仕様で決められため、アクチュエータ11は、その制約条件を満たす大きさとする必要がある。本実施形態では、隣接する吸気弁同士及び排気弁同士のソレノイド15,16の径を大きくし、両者が接触する部分では磁気回路を共有するような構成を採用することにより、消費電力を低減している。
【0012】アクチュエータ11は、対向する2つのソレノイド(電磁石)、すなわち弁体12を閉弁方向に付勢する閉弁ソレノイド15及び弁体12を開弁方向に付勢する開弁ソレノイド16と、スプリング17とを主たる構成要素とする。閉弁ソレノイド15は、コイル15a、アウタヨーク15b、インナヨーク15c及び水平ヨーク15dからなり、開弁ソレノイド16は、コイル16a、アウタヨーク16b、インナヨーク16c及び水平ヨーク16dからなる。閉弁ソレノイド15のアウタヨーク15b、インナヨーク15c及び水平ヨーク15dは相互に当接しており、アーマチャ14を吸引した状態では、これらのヨークとアーマチャ14とで磁気回路が構成される。また開弁ソレノイド16のアウタヨーク16b、インナヨーク16c及び水平ヨーク16dも同様に構成されており、アーマチャ14を吸引した状態では、これらのヨークとアーマチャ14とで磁気回路が構成される。
【0013】スプリング17は、アーマチャ14が中立位置(図示の位置)にあるとき、弁体12に対する付勢力がゼロとなり、中立位置より上に位置するときは弁体12を開弁方向に付勢し、中立位置より下に位置するときは弁体12を閉弁方向に付勢するように構成されている。アクチュエータ11のコイル15a,16aは、電子コントロールユニット(図示せず)に接続されており、この電子コントロールユニットから供給される駆動信号により駆動される。
【0014】この構成によれば、閉弁ソレノイド15または開弁ソレノイド16に通電することにより、弁体12が、吸気口18を閉塞する全閉位置と弁体のリフト量が最大となる全開位置との間を移動させ、吸気弁1を開閉作動させることができる。なお、ソレノイド15,16に通電していないときは、弁体12は、全閉位置と全開位置の間の中立位置に位置する。
【0015】開弁ソレノイド16の断面は、図3(a)に示すようにほぼ円形であり、隣接する吸気弁の閉弁ソレノイド16に接する部分には、接触平面19が形成され、アウタヨーク16bの水平方向の寸法が小さくなっている。図3(b)は比較のために示す図であり、バルブピッチD2を同図(a)と同一とし、隣接するソレノイドがアウタヨークの外周面で互いに接するように、すなわち接触平面19を形成せずに構成した例を示す。本実施形態では、ソレノイドの消費電力を低減するために、磁気回路を構成するヨーク16b,16cの断面積を増加させるとともに、バルブピッチD2を変えないようにするために、互いに接するアウタヨーク16bの一部を削除して接触平面19を形成し、この接触平面19を介して2つアウタヨーク16bが当接する構成としている。これにより、アウタヨーク17bの接触平面19の近傍の部分は、接触する2つのソレノイドの磁気回路を構成する、すなわち2つのソレノイドは、接触平面19を介して互いの磁気回路を共有可能に構成されることとなる。
【0016】開弁ソレノイド16のコイル16aの通電は、隣接するソレノイドにより生成される磁界が互いに逆方向となるように行う。すなわち、図4(a)に示すように、ヨーク16b,16c,16d及びアーマチャ14により構成される磁気回路に生成される磁束φ1,φ2が互いに逆方向となるようにコイル16aに電流を供給する。このように通電することにより、隣接するソレノイドに対して同時に通電したときに、同図に太い破線で示すように2つのソレノイドが互いの磁気回路を共有することにより、換言すれば図のA部以外にも磁束の通り道が形成されることにより、磁束が増加する効果が得られる。
【0017】図4(b)は、隣接するソレノイドにより生成される磁界が同一方向となるように同時に通電した場合の磁束φ1及びφ2aを示す。この場合には、接触平面19近傍の磁界が同一方向となって強め合う結果、A部で磁気飽和状態、すなわち、磁界Hが増加しても磁束φが増加しない状態となり、アーマチャ14を吸引する吸引力を弱めてしまうこととなる。なお、同図(c)は、隣接するソレノイドの一方のみに通電する場合であり、この場合は、磁束の方向はどのように設定してもよい。
【0018】図4(a)に示すように磁束φ1,φ2を生成する構成を採用することにより、本実施形態では、同図(b)に示す場合に比べて最大で20%程度吸引力を増加させ、また同図(c)に示す単独通電の場合に比べても5%程度吸引力を増加させる効果が得られる。したがって、必要な吸引力を得るために必要な電流値を同図(b)に示す場合に比べて約20%低減することができ、ソレノイドの消費電力を低減する効果が得られる。なお、上記20%あるいは5%という吸引力増加効果は、ソレノイドの形状によって変化するものであり、これより大きくなることも小さくなることもある。閉弁ソレノイド15の構成及び通電方法も上述した開弁ソレノイド16と同様である。
【0019】なお本発明は上述した実施形態に限るものではなく、種々の変形が可能である。例えば、上述した実施形態では、内燃機関の吸気弁及び排気弁に本発明の駆動装置を適用したものを示したが、隣接して配置され、しかも同時に駆動される場合がある複数の電磁弁の駆動装置に適用可能である。例えば電磁弁が3個以上並んで配置される場合でも、互いに隣接する電磁弁の電磁石について本発明の構成を採用することにより、同様の効果を得ることができる。また、ソレノイドの断面形状は、円形に限るものではなく、楕円、正方形や長方形など、どのような形状であってもよい。
【0020】
【発明の効果】以上詳述したように請求項1に記載の発明によれば、隣接して設けられた2つの電磁弁を付勢するときの、各電磁石における磁束の方向が互いに逆方向となるので、2つの電磁石が互いの磁気回路を共有することによる磁束の増加効果が得られ、2つの電磁石をほぼ同一のタイミングで付勢する場合に互いの電磁力を強め合う効果が得られる。その結果、必要とされる電磁力を得るための磁気回路断面積を低減して装置の小型化を図ったり、必要な電磁力を得るための電力を低減して省電力化を図ったりすることができる。
【0021】請求項2に記載の発明によれば、内燃機関の吸気弁または排気弁を電磁弁として請求項1の構成が採用されるので、内燃機関の吸気弁または排気弁は、1つの気筒においては常にほぼ同一のタイミングで開弁また閉弁駆動されるため、請求項1に示した構成による効果がより顕著となる。また、内燃機関上部の限られたスペースに配置する上で非常に有効である。
【出願人】 【識別番号】000005326
【氏名又は名称】本田技研工業株式会社
【出願日】 平成11年3月29日(1999.3.29)
【代理人】 【識別番号】100105119
【弁理士】
【氏名又は名称】新井 孝治
【公開番号】 特開2000−283316(P2000−283316A)
【公開日】 平成12年10月13日(2000.10.13)
【出願番号】 特願平11−85350