| 【発明の名称】 |
ガス流量制御弁 |
| 【発明者】 |
【氏名】久保田 満繁
【氏名】松井 昭彦
【氏名】吉川 公人
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| 【要約】 |
【課題】ポペットとスリーブとの摺動面に焼き付きを起こし難く、極低温下でも安定して作動するガス流量制御弁を提供する。
【解決手段】ポペットと摺接するスリーブ2のエッジ部Aに滑らかな曲面をなす面取り部10を形成する。さらに、面取り部10の表面に二硫化モリブデンの硬質皮膜層11を形成する。これにより、ポペットとスリーブ2との強い接触が起こらなくなるとともにスリーブ2の内周面2aが強化されるので、ポペットとスリーブ2との焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることができ、ガス流量制御弁の作動精度と信頼性が高められる。 |
【特許請求の範囲】
【請求項1】 ポペットをスリーブ内で往復動させ、その往復動によってオリフィス部の隙間の大きさを調整することで該オリフィス部を通過するガスの流量を制御するガス流量制御弁であって、前記ポペットと摺接する前記スリーブの内周面の少なくとも一部に、二硫化モリブデンの硬質皮膜が形成されていることを特徴とするガス流量制御弁。 【請求項2】 前記スリーブにおける内周面と端面との間に形成されるエッジ部が、内周面から端面にかけて滑らかな曲面をなすように面取りされていることを特徴とする請求項1記載のガス流量制御弁。 【請求項3】 前記エッジ部が、前記スリーブの軸方向断面において曲率半径0.1mm以上の曲面をなすことを特徴とする請求項2記載のガス流量制御弁。 【請求項4】 前記スリーブの内径が、該スリーブの中央付近から両端に向けて漸次拡大されていることを特徴とする請求項1、2または3記載のガス流量制御弁。 【請求項5】 ポペットをスリーブ内で往復動させ、その往復動によってオリフィス部の隙間の大きさを調整することで該オリフィス部を通過するガスの流量を制御するガス流量制御弁であって、前記ポペットの表面に窒化クロムの硬質皮膜が形成され、さらにその上に二硫化モリブデンの硬質皮膜が形成されていることを特徴とするガス流量制御弁。
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【発明の詳細な説明】【0001】 【発明の属する技術分野】本発明は、エンジン燃料用水素などの極低温ガスの流量制御に適用されるガス流量制御弁に関するものである。 【0002】 【従来の技術】エンジン燃料用水素などの極低温ガスの流量制御に適用されるガス流量制御弁には、一般的に直動式の電磁弁が使用されている。図5は極低温用のガス流量制御弁の内部構成を示す断面図である。図において、符号1はポペット、2はスリーブ、3はオリフィス部、4はソレノイドである。 【0003】このガス流量制御弁は、ソレノイド4を駆動させてポペット1をスリーブ2内で往復動させ、その往復動によってオリフィス部3の隙間の大きさを調整することで、オリフィス部3を通過するガスの流量を調整または遮断するというもので、ソレノイド4を一体化されているためにコンパクトでかつ高性能なものとなっている。 【0004】図6はスリーブ2において内周面2aと端面2bとの間に形成されるエッジ部Aの形状を示す断面図である。エッジ部Aにはポペット1とスリーブ2とが摺接することで大きな負担がかかるので、図のように、エッジ部Aにはテーパ状の面取り部5が形成されている。 【0005】従来のガス流量制御弁は、上記のようにソレノイドによって駆動されるため、油圧ピストンなどに比べて駆動力が小さく、この形式の制御弁を低温、高圧用として使用する場合、ポペットの駆動力の増加や温度変化によるクリアランス変化の要因となるため、樹脂材料のシールや摺動材は使用できない。そこで、ポペットならびにスリーブには低温時にも高い強度を発揮しかつ変形し難い金属製の部材が使用されている。 【0006】ガス流量制御弁をエンジン燃料用水素などの低温ガスの流量制御に使用する場合には、部材の低温強度確保のためにニッケル基合金(例えばInconel718)が使用されている。しかしながら、ニッケル基合金の場合、鋼に比べて焼き付き対策となる表面処理の仕方が限定されていた。 【0007】すなわち、ニッケル基合金製のポペットがスリーブ内を摺動するとき、焼き付き(凝着)が発生して摩擦係数が増加するとポペットを駆動し難くなる。また、ポペットストッパ面とスリーブ端面またはシールフランジ端面が接触する際も同様に焼き付きが発生し、摩擦係数が増大し、制御弁の作動不良に通じる。制御弁の作動不良はエンジンそのもののトラブルにつながるため、ポペットとスリーブが焼き付くことなくポペットがスムーズに駆動されることが要求されるのである。 【0008】 【発明が解決しようとする課題】上記のように、ポペットなどの部品は低温強度上の要求からニッケル基合金とする必要があり、摺動面の焼き付き対策となる有効な表面処理が望まれていた。この表面処理には、特殊な作動環境中(低温水素ガス中)で要求される回数以上往復動させても低摩擦で焼き付かずに摺動すること、部品の強度低下や変形を起こさないこと、さらに処理後の加工が不要なことが要求されていた。 【0009】本発明は上記の事情に鑑みてなされたものであり、ポペットとスリーブとの摺動面に焼き付きを起こし難く、極低温下でも安定して作動するガス流量制御弁を提供することを目的としている。 【0010】 【課題を解決するための手段】上記の課題を解決するための手段として、次のような構成を有するガス流量制御弁を採用する。すなわち、本発明に係る請求項1記載のガス流量制御弁は、ポペットをスリーブ内で往復動させ、その往復動によってオリフィス部の隙間の大きさを調整することで該オリフィス部を通過するガスの流量を制御するガス流量制御弁であって、前記ポペットと摺接する前記スリーブの内周面の少なくとも一部に、二硫化モリブデンの硬質皮膜が形成されていることを特徴としている。 【0011】このガス流量制御弁においては、スリーブの内周面に二硫化モリブデンの硬質皮膜を形成することでスリーブの内周面が強化される。これにより、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることが可能となる。 【0012】請求項2記載のガス流量制御弁は、請求項1記載のガス流量制御弁において、前記スリーブにおける内周面と端面との間に形成されるエッジ部が、内周面から端面にかけて滑らかな曲面をなすように面取りされていることを特徴としている。 【0013】ポペットとスリーブとが摺接することで大きな負担がかかる部分は、スリーブおける内周面と端面との間に形成されるエッジ部である。そこで、このガス流量制御弁においては、当該エッジ部に滑らかな面取りを施すことで、ポペットとスリーブとの強い接触が起こらなくなる。これにより、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることが可能となる。 【0014】請求項3記載のガス流量制御弁は、請求項2記載のガス流量制御弁において、前記エッジ部が、前記スリーブの軸方向断面において曲率半径0.1mm以上の曲面をなすことを特徴としている。 【0015】このガス流量制御弁においては、前記エッジ部を、曲率半径0.1mm以上の曲面をなすように形成することで、エッジ部においてポペットとの間に十分なスペースが確保される。これにより、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることが可能となる。 【0016】請求項4記載のガス流量制御弁は、請求項1、2または3記載のガス流量制御弁において、前記スリーブの内径が、該スリーブの中央付近から両端に向けて漸次拡大されていることを特徴としている。 【0017】エッジ部の他にポペットとスリーブとが強く接触し大きな負担がかかる部分は、両端に近いスリーブの内周面である。そこで、このガス流量制御弁においては、スリーブの内径を、中央付近から両端に向けて漸次拡大するように形成することで、ポペットとの間に逃げの空間が形成されるので、スリーブ内でポペットが回転以外の動きを生じても、スリーブの両端において両者が強く接触しなくなる。これにより、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減が図れる。 【0018】請求項5記載のガス流量制御弁は、ポペットをスリーブ内で往復動させ、その往復動によってオリフィス部の隙間の大きさを調整することで該オリフィス部を通過するガスの流量を制御するガス流量制御弁であって、前記ポペットの表面に窒化クロムの硬質皮膜が形成され、さらにその上に二硫化モリブデンの硬質皮膜が形成されていることを特徴としている。 【0019】窒化クロムの硬質皮膜を形成した場合、その母材への密着力は窒化チタンの薄膜皮膜に比べて2倍以上と大きく、さらに膜厚は、例えば窒化チタンが2〜3μmであるのに比べて10〜20μmと厚いことから、摺接面の摩耗寿命が延長される。さらに、二硫化モリブデンが摩耗しても、下層の窒化クロムが高い耐摩耗性を発揮する。これにより、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止することが可能である。 【0020】 【発明の実施の形態】本発明に係るガス流量制御弁の第1実施形態を図1および図2に示して説明する。なお、本発明に係るガス流量制御弁の構成は図5に示すものと同じであるので、本実施形態においては特徴的な部分のみを各図に示して説明を進める。図1はスリーブ2において内周面2aと端面2bとの間に形成されるエッジ部Aの形状を示す断面図である。図のように、エッジ部Aには、内周面2aから端面2bにかけて滑らかな曲面をなすように、断面視円弧状の面取り部10が形成されている。さらに、面取り部10の表面には、二硫化モリブデンの硬質皮膜層11が形成されている。 【0021】上記のように構成されたガス流量制御弁においては、エッジ部Aに滑らかな面取り部10を形成することで、エッジ部Aにおいてポペット1とスリーブ2との強い接触が起こらなくなる。また、面取り部10の表面に硬質皮膜層11を形成することで、面取り部10の耐摩耗性が向上する。 【0022】なお、面取り部10の曲率半径は0.1mm以上であることが望ましい。これにより、エッジ部Aにおいてポペット1との間に十分なスペースが確保されるからである。 【0023】したがって、上記のガス流量制御弁によれば、ポペット1とスリーブ2との焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることができ、これによって特殊な作動環境中においても正確な作動を行うようにガス流量制御弁の作動精度と信頼性を高めることができる。 【0024】本実施形態においては、面取り部10の表面に硬質皮膜層11を形成したが、考慮すべき作動環境によっては図2に示すように硬質皮膜層を形成せず、単にエッジ部Aに面取り部10を形成するだけでも構わない。また、硬質皮膜層11はエッジ部Aだけでなく、内周面2aその他の摺動面に形成してもよい。 【0025】次に、本発明に係るガス流量制御弁の第2実施形態を図3に示して説明する。本実施形態においても発明の特徴的な部分のみを図示して説明を進める。図3はスリーブ2の内周面2aの形状を示す断面図である。図のように、スリーブ2の内径は、中央付近で直径d1と小さいが、両端に向けて漸次拡大され、両端面2a,2cではd2(>d1)となっており、その断面形状が中央付近ほど盛り上がったいわゆるクラウニング形状をなしている。また、内周面2aならびに両端面2b,2cには二硫化モリブデンの硬質皮膜層11が形成されている。 【0026】上記のように構成されたガス流量制御弁においては、スリーブ2の内周面2aの断面形状をクラウニング形状とすることで、ポペット1との間に逃げの空間が形成されるので、スリーブ2内でポペット1が回転以外の動きを生じても、スリーブ2の両端において両者が強く接触しなくなる。 【0027】したがって、上記のガス流量制御弁によれば、ポペット1とスリーブ2との焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることができ、これによって特殊な作動環境中においても正確な作動を行うようにガス流量制御弁の作動精度と信頼性を高めることができる。 【0028】次に、本発明に係るガス流量制御弁の第3実施形態を図4に示して説明する。本実施形態においても発明の特徴的な部分のみを図示して説明を進める。図4はポペット1の表面の状態を示す断面図である。ポペット1の表面には窒化クロムの硬質皮膜層12が形成されており、さらにその上には二硫化モリブデンの硬質皮膜層13が形成されている。なお、これら硬質皮膜層12,13は、スリーブ2との摺動面に全体にわたって設けられることが望ましい。 【0029】窒化クロムの硬質皮膜は、一般にその母材(ポペット)への密着力が窒化チタンの薄膜皮膜に比べて2倍以上と大きく、さらに膜厚は、例えば窒化チタンが2〜3μmであるのに比べて10〜20μmと厚いことがわかっている。 【0030】このことから、上記のように構成されたガス流量制御弁においては、ポペット1の表面に窒化クロムの硬質皮膜層12を形成し、その上に二硫化モリブデンの硬質皮膜層13を形成することで、摺接面の摩耗寿命が延長される。さらに、二硫化モリブデンが摩耗しても、下層の窒化クロムが高い耐摩耗性を発揮する。 【0031】したがって、上記のガス流量制御弁によれば、ポペット1とスリーブ2との焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることができ、これによって特殊な作動環境中においても正確な作動を行うようにガス流量制御弁の作動精度と信頼性を高めることができる。 【0032】 【発明の効果】以上説明したように、本発明に係る請求項1記載のガス流量制御弁によれば、スリーブの内周面に二硫化モリブデンの硬質皮膜を形成することでスリーブの内周面が強化されるので、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることができ、これによって特殊な作動環境中においても正確な作動を行うようにガス流量制御弁の作動精度と信頼性を高めることができる。 【0033】請求項2記載のガス流量制御弁によれば、ポペットとスリーブとが摺接することで大きな負担がかかるエッジ部に滑らかな面取りを施すことで、ポペットとスリーブとの強い接触が起こらなくなるので、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることができ、これによってガス流量制御弁の作動精度と信頼性を高めることができる。 【0034】請求項3記載のガス流量制御弁によれば、エッジ部を曲率半径0.1mm以上の曲面をなすように形成することで、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることができ、これによってガス流量制御弁の作動精度と信頼性を高めることができる。 【0035】請求項4記載のガス流量制御弁によれば、スリーブの内径を、中央付近から両端に向けて漸次拡大するように形成することで、ポペットとの間に逃げの空間が形成され、スリーブ内でポペットが回転以外の動きを生じても、スリーブの両端において両者が強く接触しなくなるので、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止するとともに摩擦係数の低減を図ることができ、これによってガス流量制御弁の作動精度と信頼性を高めることができる。 【0036】請求項5記載のガス流量制御弁によれば、膜厚の厚い窒化クロムを被覆することにより、摺接面の摩耗寿命を延長させることができる。さらに、二硫化モリブデンが摩耗しても、下層の窒化クロムが耐摩耗性を発揮するので、ポペットとスリーブとの焼き付きを防止することができ、これによってガス流量制御弁の作動精度と信頼性を高めることができる。
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| 【出願人】 |
【識別番号】000006208 【氏名又は名称】三菱重工業株式会社
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| 【出願日】 |
平成11年2月24日(1999.2.24) |
| 【代理人】 |
【識別番号】100112737 【弁理士】 【氏名又は名称】藤田 考晴 (外3名)
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| 【公開番号】 |
特開2000−240841(P2000−240841A) |
| 【公開日】 |
平成12年9月8日(2000.9.8) |
| 【出願番号】 |
特願平11−47182 |
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