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【発明の名称】 直動型切換弁およびその組立方法
【発明者】 【氏名】武石 敏男

【要約】 【課題】切換弁の製造歩留りを向上させる。

【解決手段】この切換弁は、流体が供給される供給ポート13、2つの給排ポート15a,15bおよび2つの排出ポート14a,14bが形成された弁ハウジング11を有し、弁ハウジング11内には弁軸16が軸方向に往復動自在に設けられ、この弁軸16はソレノイドによって駆動される。弁軸16は2つの弁軸部材16a,16bとを連結することにより形成され、弁軸16には供給ポート13と給排ポート15a,15bとの間の供給側弁座31a,31bに接触する供給側弁座シール部材46a,46bと、給排ポート15a,15bと排出ポート14a,14bとの間の排出側弁座シール部材34a,34bに接触する排出側接触面44a,44bとを備えた2つの弁体43a,43bが設けられ、それぞれはゴムを焼き付けることにより形成されている。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体が供給される供給ポート、前記供給ポートに連通される2つの給排ポートおよび前記給排ポートに連通される2つの排出ポートを有する弁ハウジングと、前記弁ハウジング内に前記それぞれのポートに連通して軸方向に貫通して形成された弁孔内に軸方向に往復動自在に設けられた弁軸と、前記弁ハウジングに取り付けられ前記弁軸を軸方向に駆動するソレノイドと、前記弁軸に設けられ、前記供給ポートと前記給排ポートの間の供給側弁座に接触する供給側弁座シール部材と、前記給排ポートと前記排出ポートの間の排出側弁座シール部材に接触する排出側接触面とを備えた2つの弁体とを有し、前記弁軸を端部で相互に連結される第1と第2の弁軸部材により形成し、それぞれの前記供給側弁座シール部材をゴムを焼き付けることにより形成し、前記排出側弁座シール部材をゴムを焼き付けることにより形成したことを特徴とする直動型切換弁。
【請求項2】 請求項1記載の直動型切換弁において、前記排出側弁座シール部材のゴムの硬度を前記供給側弁座シール部材のゴムの硬度よりも高くしたことを特徴とする直動型切換弁。
【請求項3】 請求項1または2記載の直動型切換弁において、前記弁体の前記排出側接触面の中心軸に対する傾斜角度を前記供給側弁座シール部材の傾斜角度よりも小さい角度としたことを特徴とする直動型切換弁。
【請求項4】 請求項1,2または3のいずれか1項に記載の直動型切換弁において、前記弁軸の外側に配置される2つのガイドスリーブを有し、前記それぞれのガイドスリーブの端面にゴム製の前記排出側弁座シール部材を設けたことを特徴とする直動型切換弁。
【請求項5】 流体が供給される供給ポート、前記供給ポートに連通される2つの給排ポートおよび前記給排ポートに連通される2つの排出ポートを有し、前記供給ポートと前記給排ポートの間に設けられた供給側弁座が形成された弁ハウジングを用意する工程と、前記供給側弁座に接触する供給側弁座シール部材と、これと反対側の排出側接触面を有する弁体がそれぞれ設けられた第1および第2の弁軸部材を用意する工程と、前記第1および第2の弁軸部材のそれぞれに、前記排出側接触面に接触するゴム製の排出側弁座シール部材が先端部に設けられたガイドスリーブを嵌合させる工程と、前記第1および第2の弁軸部材を前記ハウジング内に挿入しつつ、前記第1および第2の弁軸部材の先端部を相互に連結する工程と、前記弁ハウジングの一端に前記弁軸部材を駆動するソレノイドを取り付け、他端にエンドカバーを取り付ける工程とを有することを特徴とする直動型切換弁の組立方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は5つのポートを有する弁ハウジングと、ソレノイドにより作動する可動鉄心に連結された弁軸とを有し、ソレノイトに通電したときと通電を解いたときとの2つの位置に弁軸を作動させるようにした直動型切換弁およびその組立方法に関する。
【0002】
【従来の技術】流体の供給と供給停止を制御したり、流れの方向を変えるために使用される方向切換弁には、流体流路に接続されるポートを5つ有し、弁軸が2つの位置に移動するようになった5ポート2位置切換弁がある。
【0003】この5ポート2位置切換弁には、弁ハウジングの軸方向中央部に流体が供給される流入ポートが設けられ、これの両側に流体を外部に排出するための排出ポートが2つ設けられ、これらの流入ポートと排出ポートとはずれた位置に流入ポートからの流体を流体圧作動機器に対する流体の供給と排出とを行うための給排ポートが2つ設けられたものがある。
【0004】弁ハウジング内にはこれらのポートの開閉を行うために、弁体を有する弁軸が軸方向に往復動自在に組み込まれるようになっている。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】弁体のタイプとしては、スプール弁とポペット弁があり、スプール弁はその円筒形状の外周面が弁孔の内周面に接触するようにしたタイプであり、ポペット弁は弁ハウジング側の弁座に弁体が接近離反するようにしたタイプである。
【0006】直動型切換弁は、弁軸を電磁石つまりソレノイドにより直接駆動するようにしたタイプのものであり、ソレノイドに対して少ない消費電力によって弁軸を駆動し得るようにするためには、弁軸に設けられる弁体をポペット弁とすることが好ましい。なぜならば、スプール弁とすると、弁軸を駆動させる際にはスプールの外周面が常に弁孔の内周面に接触することから、摺動抵抗が大きくなり、ソレノイドに対して供給する電力を大きくしなければならなくなるからである。
【0007】弁軸に設けられる弁体をポペット弁とした場合には、それぞれの弁体の軸方向両側にそれぞれ弁座部に接触する接触面を設け、一方の弁体の接触面が弁座に接触したときには、他方の弁体の接触面が他の弁座部にほぼ同時に接触させるようにしなければならない。
【0008】しかしながら、特に、ソレノイドにより弁軸の往復動ストロークが1mm 以下の小型の切換弁にあっては、両方の接触面がほぼ同時に接触するようにするには、切換弁を構成する部材の加工精度を高めなければならず、製造コストを低減することが困難であった。また、加工精度のバラツキに起因して、同様の手順によって組み立てても、所望の精度を有する切換弁を製造することができず、組み立てられた切換弁の製造歩留りの向上には限度があった。
【0009】本発明の目的は、切換弁の製造歩留りを向上させて低コストで製造し得るようにすることにある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明の直動型切換弁は、流体が供給される供給ポート、前記供給ポートに連通される2つの給排ポートおよび前記給排ポートに連通される2つの排出ポートを有する弁ハウジングと、前記弁ハウジング内に前記それぞれのポートに連通して軸方向に貫通して形成された弁孔内に軸方向に往復動自在に設けられた弁軸と、前記弁ハウジングに取り付けられ前記弁軸を軸方向に駆動するソレノイドと、前記弁軸に設けられ、前記供給ポートと前記給排ポートの間の供給側弁座に接触する供給側弁座シール部材と、前記給排ポートと前記排出ポートの間の排出側弁座シール部材に接触する排出側接触面とを備えた2つの弁体とを有し、前記弁軸を端部で相互に連結される第1と第2の弁軸部材により形成し、それぞれの前記供給側弁座シール部材をゴムを焼き付けることにより形成し、前記排出側弁座シール部材をゴムを焼き付けることにより形成したことを特徴とする。
【0011】前記排出側弁座シール部材のゴムの硬度は前記供給側弁座シール部材のゴムの硬度よりも高く設定されている。前記弁体の前記排出側接触面の中心軸に対する傾斜角度を前記供給側弁座シール部材の傾斜角度よりも小さい角度に設定されている。前記弁軸の外側に配置される2つのガイドスリーブを有し、前記それぞれのガイドスリーブの端面にゴム製の前記排出側弁座シール部材が設けられている。
【0012】本発明の直動型切換弁の組立方法は、流体が供給される供給ポート、前記供給ポートに連通される2つの給排ポートおよび前記給排ポートに連通される2つの排出ポートを有し、前記供給ポートと前記給排ポートの間に設けられた供給側弁座が形成された弁ハウジングを用意する工程と、前記供給側弁座に接触する供給側弁座シール部材と、これと反対側の排出側接触面を有する弁体がそれぞれ設けられた第1および第2の弁軸部材を用意する工程と、前記第1および第2の弁軸部材のそれぞれに、前記排出側接触面に接触するゴム製の排出側弁座シール部材が先端部に設けられたガイドスリーブを嵌合させる工程と、前記第1および第2の弁軸部材を前記ハウジング内に挿入しつつ、前記第1および第2の弁軸部材の先端部を相互に連結する工程と、前記弁ハウジングの一端に前記弁軸部材を駆動するソレノイドを取り付け、他端にエンドカバーを取り付ける工程とを有することを特徴とする。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて詳細に説明する。
【0014】図1(A)は本発明の一実施の形態である直動型5ポート2位置切換弁を示す断面図であり、(B)は同図(A)の平面図である。
【0015】この切換弁10は、全体的に長方形の弁ハウジング11を有し、内部には一端から他端に向けて弁孔12が貫通して形成されている。図1(A)における下面には弁ハウジング11の長手方向中央部分に供給ポート13が形成され、その両側には第1の排出ポート14aと第2の排出ポート14bとが形成され、それぞれのポート13,14aおよび14bは弁孔12に連通している。
【0016】弁ハウジング11の上面には、第1の給排ポート15aと第2の給排ポート15bとがそれぞれ弁孔12に連通して形成されている。
【0017】それぞれのポートを切り換えるために、弁孔12内には弁軸16が軸方向に往復動自在に組み込まれ、弁ハウジング11の一端部に取り付けられるエンドカバー17と弁軸16との間に装着された圧縮コイルばね18によって弁軸16には他端部に向かうばね力が加えられている。図示する弁軸16の往復動ストロークは、0.35mm程度となっている。
【0018】弁軸16を駆動するために、弁ハウジング11の他端にはソレノイド20が取り付けられるようになっており、ソレノイド20はコイル21が巻き付けられたボビン22を有し、このボビン22内には固定鉄心23が固定されるとともに、可動鉄心24が軸方向に摺動自在に組み込まれている。この可動鉄心24の往復動ストロークは0.4 〜0.45mm程度となっており、弁軸16の移動ストロークよりも長く設定されている。コイル21は樹脂製のケース25により覆われており、ケース25の端面に取り付けられるカバー26には、手動で可動鉄心24を操作するための手動操作ボタン27が設けられている。可動鉄心24には作動ロッド28が取り付けられており、この作動ロッド28は弁ハウジング11の弁孔12内に突出して弁軸16にスペーサ19を介して当接するようになっている。
【0019】したがって、コイル21に通電しない状態では、圧縮コイルばね18のばね力により弁軸16はソレノイド20側に押し付けられ、供給ポート13と給排ポート15aとが連通状態となり、給排ポート15bと排出ポート14bとが連通状態となる。これにより、たとえば、図1(A)に示すように、空気圧シリンダ29の後退側の圧力室と給排ポート15aとを接続した場合には、ピストンロッド29aは後退移動することになる。
【0020】一方、コイル21に通電すると、ばね力に抗して弁軸16は可動鉄心24が弁軸16に向けて移動することから、作動ロッド28により弁軸16が駆動されて、供給ポート13と給排ポート15bとが連通状態となり、給排ポート15aと排出ポート14aとが連通状態となる。これにより、たとえば、空気圧シリンダ29のピストンロッド29aは前進移動することになる。
【0021】図2は弁ハウジング11を拡大して示す断面図であり、図3は弁軸16を拡大して示す断面図である。
【0022】弁ハウジング11内には供給ポート13と2つの給排ポート15a,15bとの間に位置させて供給側弁座31a,31bが設けられており、それぞれの供給側弁座31a,31bは弁ハウジング11と一体となった小径のフランジ部により形成されている。
【0023】弁ハウジング11の弁孔12内の両端部内には、それぞれガイドスリーブ32a,32bが嵌合されるようになっており、それぞれのガイドスリーブ32a,32bには排出ポート14a,14bと給排ポート15a,15bとをそれぞれ連通させるための連通孔33a,33bが形成され、先端部にはゴム製の排出側弁座シール部材34a,34bが焼付けられており、それぞれの排出側弁座シール部材34a,34bは、ガイドスリーブ32a,32bの先端部の内外両面と先端面を囲むように、断面コの字形状となっている。
【0024】それぞれのガイドスリーブ32a,32bを挿入してこれらを弁孔12内に嵌合させる際に、挿入限位置を規制するために、弁ハウジング11内にはストッパ35a,35bが設けられている。また、それぞれのガイドスリーブ32a,32bの外側には、これの外面と弁孔12の内面との間をシールするために、ゴム製のOリング36a,36bが設けられている。
【0025】弁軸16は、図3に示すように、第1の弁軸部材16aと第2の弁軸部材16bとの2つの部材から構成されており、これらをそれぞれの連結端の部分で連結することにより、弁軸16が組み立てられるようになっている。第1の弁軸部材16aはその連結端に突起部41を有し、第2の弁軸部材16bは突起部41が嵌合される嵌合穴42を有している。
【0026】第1の弁軸部材16aは供給ポート13と給排ポート15aと排出ポート14aとのポート切換を行う第1の弁体43aを有し、この弁体43aはポペット型の弁体となり、ガイドスリーブ32aに設けられた排出側弁座シール部材34aに接触して排気ポート14aと給排ポート15aとの連通を閉じる排出側接触面44aを有している。この弁体43aには、図3に示すように、焼付け段部45aが形成されており、この焼付け段部45aには供給側弁座シール部材46aが焼付けられて弁軸部材16aの全周を覆うように取り付けられるようになっている。この供給側弁座シール部材46aは、弁ハウジング11に設けられた供給側弁座31aに接触する接触面47aを有し、この接触面47aが供給側弁座31aに接触することによって、供給ポート13と給排ポート15aとの連通が閉じられる。
【0027】第2の弁軸部材16bは、嵌合穴42が設けられていることを除き、第1の弁軸部材16aとほぼ同一の構造となっており、図2および図3に示すように、第2の弁軸部材16bにあっては、第1の弁軸部材16aを構成する部材と共通する部材には同一の番号に符号bを付して示されている。
【0028】このように、弁軸16は2つの弁軸部材16a,16bを連結することによって形成されているので、弁体43a,43bの外径よりも小さい内径を有する供給側弁座31a,31bが弁ハウジング11に設けられていても、弁軸16を弁孔12内に組み込むことができる。
【0029】それぞれの弁軸部材16a,16bには、ガイドスリーブ32a,32bの内周面との間をシールするためにVパッキン48a,48bが設けられ、それぞれのVパッキン48a,48bに隣接されてウエアリング49a,49bが設けられるようになっている。
【0030】図4は弁軸部材16aに供給側弁座シール部材46aを焼き付けるための金型を示す図であり、下側の第1金型51とこれに対して弁軸部材16aの軸方向に接近離反移動自在となった上側の第2金型52とを有し、第1金型51には弁軸部材16aとの間で供給側弁座シール部材46aの断面形状に対応したキャビティ53が形成されている。したがって、ゴム材料を溶融状態として、キャビティ53内に注入口54から注入すると、弁軸部材16aの外周に供給側弁座シール部材46aが焼付けられることになる。第2の弁軸部材16bに供給側弁座シール部材46bを焼き付ける場合にも同一の金型を用いることができ、それぞれの弁軸部材16a,16bにおける供給側弁座シール部材46a,46bの寸法を一定に安定させることができる。
【0031】供給側弁座シール部材46a,46bを弁軸部材16a,16bに焼き付ける際には、弁軸16が2つの弁軸部材16a,16bから構成されており、両方の金型51,52を軸方向に型抜きすることができるので、両方の金型51,52の合わせ面が接触面47aの位置となることを防止できる。これにより、金型を離した後には金型51,52の型合わせ面、つまり型分離面によるビード状の突起部分が接触面47aに形成されることが防止される。
【0032】供給側弁座31a,31bの内径よりも大径の弁体43a,43bを有する弁軸16を1つの部材によって形成した場合には、供給側弁座シール部材46a,46bを成形するための2つの金型を径方向に分割するようにしなければならないが、その場合には接触面47aに型合わせ面が位置するとになり、その部分には焼付け後にビード状の突起部分が形成されることになる。このため、後工程においてその部分を研磨加工する必要があるが、本発明にあっては、弁軸16を2つの弁軸部材16a,16bを連結して形成するようにしたことから、それぞれの弁軸部材16a,16bは金型を軸方向に分割することによって焼付けを行うことが可能となり、接触面47aには型合わせ面によるビード状の突起部分が形成されることがない。これにより、後に接触面47aを研磨加工する工程が不要となる。
【0033】排出側弁座シール部材34a,34bをそれぞれのガイドスリーブ32a,32bの先端部に設ける場合にも、金型を用いて型合わせした状態のもとで、ゴム材料を溶融して焼き付けることになる。その場合にも、排出側弁座シール部材34a,34bのうち排出側接触面44a,44bに接触する部分には、型合わせ面を形成しないようにすることができ、焼付け成形の後にその接触面を研磨加工することが不要となる。
【0034】焼付けに使用されるゴム材料は、排出側弁座シール部材34a,34bの方のゴム材料の硬度が供給側弁座シール部材46a,46bのゴム材料の硬度よりも高い硬度のものが使用されている。たとえば、排出側弁座シール部材34a,34bのゴム材料は硬度が80度のものが使用され、供給側弁座シール部材46a,46bのゴム材料は硬度が70度のものが使用されている。
【0035】弁体43a,43bの供給側弁座シール部材46a,46bにはその内側から圧縮空気の圧力が加わることになるのに対して、排出側弁座シール部材34a,35bには、外側から圧力が加わることになり、それぞれに作用する流体による押し付け力は排出側弁座シール部材34a,34bの方が供給側弁座シール部材46a,46bよりも大きくなるが、排出側弁座シール部材34a,34bの方が硬度が高く設定されているので、それぞれのシール部材に加わる流体の押し付け力に起因する変形量をほぼ同一にすることができる。
【0036】弁体43a,43bの排出側接触面44a,44bの弁軸16の中心軸に対する傾斜角度θaは45度となっており、供給側弁座シール部材46a,46bの接触面47a,47bの傾斜角度θbは60度となっており、排出側接触面44a,44bの傾斜角度θaの方が接触面47a,47bの傾斜角度θbよりも小さく設定されている。
【0037】傾斜角度が小さい方が同一のストロークだけ軸方向に移動した場合における接触面の径方向の変位量は多いので、弁軸16の軸方向の移動力が径方向に変換されて弁座側に加えられる押し付け分力は大きくすることができる。つまり、排出側接触面44a,44bにより排出側弁座シール部材34a,34bに径方向に加えられる押し付け分力の方が、接触面47a,47bにより供給側弁座31a,31bに径方向に加えられる押し付け分力よりも大きくなり、硬度が高く変形しにくいゴム製の排出側弁座シール部材34a,34bに対して大きな分力により確実に排出側接触面44a,44bを排出側弁座シール部材34a,34bに押し付けてポートの切換を行うことができる。
【0038】次に、図1に示す切換弁の組立手順について説明すると、図1に示す切換弁を構成する部材は、予めそれぞれの製造工程において製造される。2つの弁軸部材16a,16bに対する供給側弁座シール部材46a,46bの取付は、図4に示す金型を用いてゴムを焼き付けることにより行われる。これらの部材が用意された状態のもとで、ガイドスリーブ32aを弁軸部材16aの外側に嵌合し、ガイドスリーブ32bを弁軸部材16bの外側に嵌合する。そのときには、ガイドスリーブ32a,32bの先端に設けられた排出側弁座シール部材34a,34bが、排出側接触面44a,44bに対向するようにする。
【0039】2つの弁軸部材16a,16bをそれぞれの弁ハウジング11の両端部から弁軸16内に挿入しつつ、弁軸部材16aの先端の突起部41を弁軸部材16bの嵌合穴42内に嵌合させて、両方の弁軸部材16a,16bを相互に連結する。これにより、弁孔12の中央部に弁体43a,43bよりも小径の連通孔を有する供給側弁座31a,31bが設けられていても、弁孔12内に弁軸16を組み込むことができる。
【0040】2つの弁軸部材16a,16bをそれぞれの連結部により相互に連結した後に、前記それぞれのガイドスリーブ32a,32bを弁軸部材16a,16bの外側に嵌合させるようにしても良い。
【0041】その後に、弁ハウジング11の一端にソレノイド20をねじ部材を用いて取り付け、他端にエンドカバー17をねじ部材を用いて取り付けることになる。ソレノイド20を取り付けるねじ部材のねじ孔と、エンドカバー17を取り付けるねじ部材のねじ孔とを同一径として同一の位置に形成すると、弁ハウジング11のいずれの端面にソレノイド20やエンドカバー17を取り付けることができ、製造作業が容易となる。
【0042】弁軸16を構成する2つの弁軸部材16a,16bは、一方が突起部41を有し、他方が嵌合穴42とを有しており、相互に相違した形状となっているが、たとえば、両方の弁軸部材を嵌合穴42が形成された弁軸部材16bとし、両方の弁軸部材16bの嵌合穴42にピンを嵌合させるようにしても良い。その場合には、同一形状の2つの弁軸部材16bによって弁軸16を組み立てることができる。
【0043】図5は本発明の他の実施の形態である切換弁の弁ハウジング11を示す図であり、図5にあっては、図2における部材と共通する部材には同一の符号が付されている。
【0044】この弁ハウジング11の形成された弁孔12の軸方向中央部分には、円筒形状のスペーサ61が配置されるようになっており、このスペーサ61には径方向内方に突出する突起部により供給側弁座31a,31bが形成されている。なお、このスペーサ61の外周には、弁孔12との間をシールするOリング62が装着されるようになっている。
【0045】スペーサ61は弁ハウジング11の一部を構成しており、スペーサ61に対して2つの弁軸部材16a,16bを組み付ける際には、その両端部から弁軸部材16a,16bを挿入しながら、これらを連結端部において相互に連結することになる。両方の弁軸部材16a,16bをこのようにして相互に連結した後に弁孔12内に挿入するようにしても良く、予めスペーサ61を弁孔12内に挿入した後にガイドスリーブ32a,32bと弁軸部材16a,16bとを嵌合するようにしても良い。
【0046】本発明は前記実施の形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能であることはいうまでもない。
【0047】たとえば、排出側弁座シール部材34a,34bのゴムの硬度が供給側弁座シール部材46a,46bのゴムの硬度よりも大きければ、それぞれを前述した硬度と相違させても良い。また、排出側接触面44a,44bの傾斜角度が接触面47a,47bの傾斜角度よりも小さく設定されていれば、前述した角度と相違させても良い。
【0048】
【発明の効果】本発明にあっては、2つの弁体の軸方向両側に接触面が形成された弁軸を有し、弁体の外径よりも小さい内径を有し弁体の接触面に接触する弁座が弁ハウジング側に設けられているが、弁軸を2つの弁軸部材を両方の弁座の間に対応する位置で連結することによって、弁ハウジング内に貫通させることができない弁軸を弁ハウジング内に組み込むことができる。
【0049】弁軸を2つの弁軸部材によって形成するようにしたので、それぞれの弁軸部材に対するゴム製の供給側弁座シール部材を金型を用いて焼き付ける際に、型合わせ面を接触面に位置させることなく、供給側弁座シール部材にパーティングラインが形成されることを防止できる。
【0050】排出側弁座シール部材のゴムの硬度を供給側弁座シール部材のゴムの硬度よりも高い硬度としたので、径方向外方に位置して大きな押し付け力が加えられる排出側弁座シール部材と、これよりも小さな押し付け力が加えられる供給側弁座シール部材との変形量をバランスさせて、それぞれのシール部材のシール性をバランスさせることができる。
【0051】排出側接触面の傾斜角度を供給側弁座シール部材の接触面の傾斜角度よりも小さい角度としたので、それぞれの接触面が弁座側に対して径方向に押し付けられる押し付け力に差を持たせることにより、それぞれの接触面のシール性をバランスさせることができる。
【0052】このようにして、切換弁を構成する各部材に加工誤差が存在していても、所望の作動性能を有する切換弁を歩留り良く組み立てることができ、製造歩留りを向上させて製造コストを低減することが可能となる。
【出願人】 【識別番号】000145611
【氏名又は名称】株式会社コガネイ
【出願日】 平成11年2月18日(1999.2.18)
【代理人】 【識別番号】100080001
【弁理士】
【氏名又は名称】筒井 大和 (外2名)
【公開番号】 特開2000−240836(P2000−240836A)
【公開日】 平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願番号】 特願平11−40332