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【発明の名称】 燃料遮断弁
【発明者】 【氏名】中川 正幸

【氏名】杉崎 智弘

【氏名】青木 智英

【氏名】西 博

【要約】 【課題】燃料遮断弁20は、燃料タンクFTのタンク上壁FTaへの組付作業性をよくするとともに部品点数を減らすことを課題としている。

【解決手段】燃料遮断弁20は、ケース本体30と、フロート40と、蓋体50とを備えている。ケース本体30は、燃料タンクFTの取付穴FTcに挿入されるとともに、フランジ部32aでタンク上壁FTaに載置されている。蓋体50は、環状溶着部52aでタンク上壁FTaに溶着されることでケース本体30に組み付けられている。蓋体50には、突起52bが形成されており、ケース本体30の天井壁部32を押圧することで、フランジ部32aの下面とタンク上壁FTaの取付穴FTcの開口縁部との間でシール部を形成する。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 燃料タンクのタンク上壁に形成された取付穴に装着され、燃料タンク内と外部とを接続する接続通路を開閉することで燃料タンクと外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、上記取付穴に挿入される筒状の側壁部と、この側壁部と一体形成された天井壁部と、上記天井壁部の外周部に形成されかつ取付穴の外周側の上壁部に載置されるフランジ部とを備え、上記側壁部と天井壁部とによりカップ状に囲まれたフロート室を形成するケース本体と、上記フロート室に収納され、燃料タンクの燃料液位に応じて浮力を増減することで昇降して上記接続通路を開閉するフロートと、上記天井壁部を覆う蓋本体と、蓋本体と一体に形成され接続通路と外部とを連通する蓋側通路を有する蓋通路形成部と、上記蓋本体の外周部に設けられ上壁部に溶着される環状の環状溶着部とを有し、上記タンク上壁と同じ樹脂材料で形成された蓋体と、を備え、上記蓋本体または天井壁部の一方には、蓋本体または天井壁部の他方に密着する突起を形成し、該突起は、上記環状溶着部を燃料タンクのタンク上壁に溶着したときに、上記ケース本体と上記取付穴との接触面にシール部が形成されるように形成したこと、を特徴とする燃料遮断弁。
【請求項2】 請求項1において、上記突起は、上記天井壁部または蓋本体との間をシールするシール突条に形成した燃料遮断弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、車両の燃料タンクの上部に配置されて、給油時の燃料タンク内の燃料蒸気を流出させると共に燃料が所定液位になったときに燃料の流出を規制する燃料遮断弁に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の燃料遮断弁として、米国特許5,404,907号などが知られており、図7に示すような構成であった。図7において、燃料遮断弁100は、燃料タンクFTのタンク上壁FTaに装着されるものであり、ケース本体102と、蓋体110と、フロート120と、スプリング(図示省略)と、Oリング140とを備えている。ケース本体102は、上壁部103と、この上壁部103の外周部に一体に形成された側壁部104と、側壁部104の下端に取り付けられた底板105とを備え、その内側スペースをフロート室102Sとしている。ケース本体102の上壁部103には、その外周部に取付穴103aが形成され、その中央部には、上部突出部103bが形成されている。上部突出部103bの外周側壁にはOリング140を収納するための環状凹所103cが形成され、さらにその軸心にフロート室102Sに接続される接続通路103dが形成されている。
【0003】また、上記フロート室102Sには、その上部に弁部120aを有するフロート120が収納されている。この弁部120aは、上記接続通路103dを開閉するものである。フロート120は、底板105に載置されているスプリングで支持されている。
【0004】一方、蓋体110は、ケース本体102に組み付けられる蓋本体112と、蓋通路形成部114と、フランジ部115とを備え、これらを一体に形成している。上記蓋本体112には、取付凹所114aが形成され、この取付凹所114aにケース本体102の上壁部103の上部突出部103bを嵌合している。また、フランジ部115は、その接合端面115aで燃料タンクFTのタンク上壁FTaに熱融着されている。
【0005】上記構成の燃料遮断弁100では、燃料タンクFTへの給油時に、燃料タンクFT内の燃料蒸気は、ケース本体102の底板105に形成された透孔105a、フロート室102S、接続通路103d、蓋体110の通路114aを通じて外部(キャニスタ)へ流出する。そして、燃料タンクFTへの燃料が所定液位FL1に達すると、透孔105aを通じて、燃料がフロート室102Sに流入し、フロート120を浮上させる浮力を与える。フロート120の上昇によりフロート120の上部に形成した弁部120aが接続通路103dを閉塞することにより、燃料タンクFTからの燃料の流出を防止する。
【0006】上記燃料遮断弁100を燃料タンクFTのタンク上壁FTaに取り付けるには、まず、ケース本体102内にフロート120、スプリングを組み付けて底板105で閉じる。そして、ケース本体102を蓋体110に組み付ける。つまり、ケース本体102の上部突出部103bの環状凹所103cにOリング140を装着した後に、上部突出部103bを蓋体110の取付凹所114a内に嵌合する。さらに、フランジ部115の接合端面115aを熱融着板(図示省略)で加熱するとともに、燃料タンクFTのタンク取付穴FTcの周縁部も熱融着板(図示省略)で加熱する。そして、両溶融した部分を合わせることにより、両者を熱溶着する。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】しかし、ケース本体102と、蓋体110と、Oリング140で構成されている燃料遮断弁100において、一層部品点数を減少することが要請されていた。すなわち、Oリング140を使用することは、その取付作業性がよくないだけでなく、その部品点数が増え、コストアップの要因になっていた。
【0008】本発明は、上記従来の技術の問題を解決するものであり、燃料タンクのタンク上壁への組付作業性に優れるとともに部品点数を減らした燃料遮断弁を提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段およびその作用・効果】上記課題を解決するためになされた本発明は、燃料タンクのタンク上壁に形成された取付穴に装着され、燃料タンク内と外部とを接続する接続通路を開閉することで燃料タンクと外部とを連通遮断する燃料遮断弁において、上記取付穴に挿入される筒状の側壁部と、この側壁部と一体形成された天井壁部と、上記天井壁部の外周部に形成されかつ取付穴の外周側の上壁部に載置されるフランジ部とを備え、上記側壁部と天井壁部とによりカップ状に囲まれたフロート室を形成するケース本体と、上記フロート室に収納され、燃料タンクの燃料液位に応じて浮力を増減することで昇降して上記接続通路を開閉するフロートと、上記天井壁部を覆う蓋本体と、蓋本体と一体に形成され接続通路と外部とを連通する蓋側通路を有する蓋通路形成部と、上記蓋本体の外周部に設けられ上壁部に溶着される環状の環状溶着部とを有し、上記タンク上壁と同じ樹脂材料で形成された蓋体と、を備え、上記蓋本体または天井壁部の一方には、蓋本体または天井壁部の他方に密着する突起を形成し、該突起は、上記環状溶着部を燃料タンクのタンク上壁に溶着したときに、上記ケース本体と上記取付穴との接触面にシール部が形成されるように形成したこと、を特徴とする。
【0010】本発明にかかる燃料遮断弁は、燃料タンクのタンク上壁に装着されており、燃料タンクへの給油により燃料液位が上昇すると、燃料タンク内の燃料蒸気がフロート室、接続通路、蓋体の蓋側通路を通じて外部へ流出する。そして、燃料タンク内に燃料が所定の液位に達すると、フロートが浮力を増すことで上昇して接続通路を閉じ、これにより、燃料タンクから燃料が流出するのを防止する。
【0011】この燃料遮断弁を構成するケース本体は、側壁部と天井壁部とによりカップ状に形成されており、その側壁部を取付穴に挿入した状態にて、天井壁部の外周側に設けたフランジ部がタンク上壁に載置されている。そして、ケース本体に蓋体を組み付ける際に、蓋体の環状溶着部と燃料タンクのタンク上壁とを溶着すると、蓋本体またはタンク上壁の一方に形成された突起が他方を押圧して、ケース本体と取付穴との接触面にシール部が形成されて、燃料タンク内と外部とをシールする。
【0012】このように、蓋体をケース本体に組み付けるために、燃料タンクのタンク上壁に蓋体の環状溶着部を溶着すると、ケース本体と取付穴との接触面も同時にシールされることになり、Oリングなどの別のシール部材を必要とせず、部品点数を減らすことができる。
【0013】また、蓋体は、燃料タンクのタンク上壁と同じ材料で形成されているので、フランジ部とタンク上壁とを互いに簡単に溶着することができ、この部分でも高いシール性を確保することができる。
【0014】なお、本発明の好適な態様として、上記突起を、上記天井壁部または蓋本体との間をシールするシール突条に形成することにより、シール箇所が2カ所となり、一層、シール性を高めることができる。
【0015】
【発明の実施の形態】以上説明した本発明の構成・作用を一層明らかにするために、以下本発明の好適な実施例について説明する。
【0016】図1は本発明の一実施の形態にかかる自動車の燃料タンクFTの上部に取り付けられる燃料遮断弁20を示す断面図である。図1において、燃料タンクFTは、表面をポリエチレン層とするとともにナイロン層などを含んだ多層の樹脂材料から形成されており、そのタンク上壁FTaには、段部FTbになった取付穴FTcが形成されて、この取付穴FTcに燃料遮断弁20が取り付けられている。燃料遮断弁20は、給油時に燃料タンクFT内の燃料が所定の液位FL1まで上昇したときに、外部(キャニスタ)への流出を規制するものである。
【0017】図2は燃料遮断弁20を分解した断面図である。燃料遮断弁20は、ケース本体30と、底板35と、フロート40と、スプリング46と、蓋体50とを主要な構成として備えている。ケース本体30、底板35及びフロート40は、耐燃料油性を有した合成樹脂ポリアセタールやナイロンなどから形成されている。蓋体50は、ポリエチレンを主体とする複合材料で形成されている。
【0018】上記ケース本体30は、天井壁部32と、この天井壁部32から下方へ円筒状に延設された側壁部33とを備え、天井壁部32と側壁部33とに囲まれたカップ状のフロート室30Sを形成し、その下部を下開口30aとしている。
【0019】上記天井壁部32の外周部は、側壁部33の外径より大きい円板状のフランジ部32aになっている。このフランジ部32aは、燃料タンクFTの取付穴FTcの段部FTbに載置されている。また、天井壁部32の中央部には、接続通路32bを有する連通管部32cが形成されている。この接続通路32bは、フロート室30Sと蓋体50を介して外部に連通している。この連通管部32cのフロート室30S側は、円錐状のシート部32dになっている。
【0020】また、側壁部33の下部には、係合穴33aが形成されている。この係合穴33aは、後述するように底板35を取り付けるためのものである。さらに、側壁部33の内周部には、上下方向に延びるフロート40をガイドするためのガイド突条33bが形成されている。
【0021】上記底板35は、ケース本体30の下開口30aを閉じる部材であり、その外周部に形成された係合部35aが上記係合穴33aに係合することにより、ケース本体30の下開口30aを閉じるように装着される。この底板35には、フロート室30Sと燃料タンクFT内とを連通する連通孔35bが形成されている。したがって、連通孔35bを通じて、燃料タンクFT内がフロート室30Sに連通している。また、蓋体50の中央上部には、スプリング支持部35cが形成されている。このスプリング支持部35cは、フロート40の内側下面との間でスプリング46を支持している。
【0022】また、上記フロート室30Sに収納されるフロート40は、上壁部41と、その上壁部41の外周から下方に形成された筒状の側壁部42とを備えた容器形状に構成されており、その内側スペースが浮力を生じるための浮力室40Sになっている。
【0023】一方、蓋体50は、蓋本体52と、蓋本体52の中央からL字形に突出した蓋通路形成部54とから形成されている。蓋本体52の外周部には、燃料タンクFTのタンク上壁FTaに溶着される環状溶着部52aが形成されている。蓋通路形成部54には、蓋側通路54aが形成されている。この蓋側通路54aの一端部は、フロート室30S側に連通する連通口54bになっており、他端部は、キャニスタ側に接続されるように構成されている。また、蓋本体52の内周側には、突起52bが形成されている。この突起52bは、ケース本体30の天井壁部32を押圧することにより、フランジ部32aの下面と取付穴FTcの段部FTbとの間にシール圧力を発生させるための突起である。
【0024】次に、燃料遮断弁20の動作について説明する。給油により燃料タンクFT内に燃料が供給されると、燃料タンクFT内の燃料液位の上昇につれて燃料タンクFT内の上部に溜まっていた燃料蒸気は、通路を通じてキャニスタ側へ逃がされる。
【0025】そして、燃料タンクFT内の燃料液位が所定の液位FL1に達すると、燃料は、底板35の連通孔35bを通じてフロート室30Sに流入する。これにより、フロート40に浮力が生じて上昇し、弁部41aで接続通路32bを閉塞して燃料がキャニスタ側へ流出しないようにしている。したがって、燃料タンクFTへの給油の際等に、燃料タンクFTから燃料蒸気を逃がすとともに燃料が燃料タンクFT外へ流出するのを防止することができる。
【0026】次に、燃料遮断弁20を燃料タンクFTのタンク上壁FTaに取り付ける作業について説明する。図2において、ケース本体30のフロート室30S内に、フロート40及びスプリング46を収納し、さらに、スプリング46の下端を底板35のスプリング支持部35cに位置合わせするとともに、底板35の係合部35aを側壁部33の係合穴33aに係合させて、底板35をケース本体30に取り付ける。
【0027】続いて、図3に示すように、燃料タンクFTのタンク上壁FTaの取付穴FTcに、ケース本体30の側壁部33を挿入して、さらに天井壁部32のフランジ部32aをタンク上壁FTaの段部FTbに載置する。このとき、ケース本体30のフランジ部32aは、タンク上壁FTaの段部FTbに位置決めされた状態で載置される。
【0028】その後、蓋体50の環状溶着部52aの下端部を熱板Hp1により溶融するとともに、燃料タンクFTの取付穴FTcの周囲に沿って熱板Hp2により溶融して溶着部FTdとする。そして、蓋体50をケース本体30に位置合わせして、環状溶着部52aを溶着部FTdに押しつけ、環状溶着部52aと溶着部FTdとが冷却固化すると両者が互いに溶着する。このとき、突起52bがケース本体30の天井壁部32に押圧されて、フランジ部32aの下面と取付穴FTcの開口縁部との間で第1シール部が形成される。この押圧により、天井壁部32は、弾性変形するためにその復元力によりシール圧は長期にわたって保たれる。
【0029】したがって、蓋体50を燃料タンクFTのタンク上壁FTaに装着すれば、蓋体50に一体に設けた突起52bにより、燃料タンクFTと外部とのシールも同時に行なうことができる。この突起52bは、蓋体50に一体に形成され、従来の技術で説明したようなOリングを必要としないから、部品点数を減らすことができる。
【0030】また、蓋体50は、燃料タンクFTのタンク上壁FTaと同じ樹脂材料で形成されているので、互いに確実かつ簡単に溶着することができ、しかもこの部分において高いシール性を確保することができる。
【0031】なお、この発明は上記実施例に限られるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲において種々の態様において実施することが可能であり、例えば次のような変形も可能である。
【0032】(1) 図4は他の実施の形態にかかるケース本体30と蓋体50Aとの接合部分を示す断面図である。蓋体50Aの蓋本体52Aの下面には、突起52Abが形成されている。この突起52Abは、可撓性のある突起であり、ケース本体30の天井壁部32に押圧されると撓んで、その復元力により第1シール部のシール性を長期にわたって、より確実に保つことができる。
【0033】(2) 図5はさらに他の実施の形態にかかるケース本体30Bと蓋体50Bとの接合部分を示す断面図である。すなわち、図1の実施の形態では、蓋体50に突起52bを形成したが、図5に示す実施の形態は、ケース本体30Bの天井壁部32B側に突起52Bbを設けた例であり、図1と同様な作用効果を得ることができる。
【0034】(3) 図6は別の実施の形態にかかるケース本体30Cと蓋体50Cとの接合部分を示す断面図である。すなわち、天井壁部32Cのフランジ部32aの下面に、第1シール突条32Caを形成して第1シール部とするとともに、蓋体50Cの突起52Cbをリング状突起として第2シール部とし、2カ所のシール部を設けた構成である。この実施の形態によれば、蓋体50Cとケース本体30Cとの間が突起52Cbによりシールされるとともに、第1シール突条32Caがタンク上壁FTaの段部FTbの接触面に強く押しつけられるからシール性を一層高めることができる。
【出願人】 【識別番号】000241463
【氏名又は名称】豊田合成株式会社
【出願日】 平成11年2月23日(1999.2.23)
【代理人】 【識別番号】100096817
【弁理士】
【氏名又は名称】五十嵐 孝雄 (外1名)
【公開番号】 特開2000−240833(P2000−240833A)
【公開日】 平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願番号】 特願平11−44140