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【発明の名称】 流量制御装置
【発明者】 【氏名】福田 僚

【要約】 【課題】弁体が弁座部材に着座した後、さらに操作軸を、着座させるまでと同じ方向に回転させても、弁体や弁座部材が損傷されることがない流量制御装置を提供する。

【解決手段】ケーシング本体11の弁座孔11bに、弁座部材40を上下方向にスライド可能に収容する。この弁座部材40をスプリング42によって上方に付勢し、弁座部材40の鍔40a(係止部)を弁座孔11bの段差11g(係止部)に突き当てる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】(イ)ケーシングと、(ロ)上記ケーシングに螺合された操作軸と、(ハ)上記操作軸の内端部に設けられた弁体と、(ニ)上記ケーシングに設けられ、上記操作軸の軸線上に配置されて上記弁体と対峙する弁座部材と、を備え、上記操作軸の回動に伴い上記弁体が上記弁座部材に対して接近,離間することにより、両者の間を流れる流体の流量を制御するようにした装置において、上記弁座部材が、上記ケーシングに対して上記操作軸の軸線方向にスライド可能に支持されるとともに、スプリングにより弁体に向かって付勢され、これらケーシングと弁座部材には、それぞれ係止部が設けられ、これら係止部は、互いに当たって弁座部材が弁体に向かって移動するのを禁じることにより、弁座部材をケーシングに対して位置決めすることを特徴とする流量制御装置。
【請求項2】(イ)ケーシングと、(ロ)上記ケーシングに螺合された操作軸と、(ハ)上記操作軸の内端部に設けられた弁体と、(ニ)上記ケーシングに設けられ、上記操作軸の軸線上に配置されて上記弁体と対峙する弁座部材と、を備え、上記操作軸の回動に伴い上記弁体が上記弁座部材に対して接近,離間することにより、両者の間を流れる流体の流量を制御するようにした装置において、上記弁体が、上記操作軸に対して、操作軸の軸線方向にスライド可能に支持されるとともに、スプリングにより弁座部材に向かって付勢され、これら操作軸と弁体には、それぞれ係止部が設けられ、これら係止部は、互いに当たって弁体が弁座部材に向かって移動するのを禁じることにより、弁体を操作軸に対して位置決めすることを特徴とする流量制御装置。
【請求項3】 上記弁体が、上記操作軸に対して回動可能に支持されていることを特徴とする請求項1または2に記載の流量制御装置。
【請求項4】 上記ケーシングが、上記操作軸を螺合させるための円筒形状のナットを有し、このナットの外周には、上記操作軸の外端部側に向かうにしたがって縮径するテーパー部が形成され、さらに上記ナットには、軸線に沿って延びる割り込みが、周方向に等間隔に複数形成され、上記テーパー部の外側に、内周面がこのテーパー部に対応したテーパーをなすリングがはめ込まれ、このリングの押し込みにより上記ナットが上記操作軸の外周に押し当てられていることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の流量制御装置。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、流量制御装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】一般に、流量制御装置は、ケーシングに操作軸が螺合されており、この操作軸の内端部に弁体が設けられている。また、ケーシングには、操作軸の軸線上に配置されて弁体と対峙する弁座部材が設けられている。操作軸を回動させると、弁体が弁座部材に接近、離間する。これによって、弁体と弁座部材との間を流れる流体の流量を制御することができる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】上記の構造において、弁体が弁座部材に突き当たり着座した後、さらに操作軸を、着座させるまでと同じ方向に回動させてしまうことがある。そうすると、弁体が弁座部材に強く押し当てられた状態でこすられるため、弁体や弁座部材が磨耗するおそれがあった。
【0004】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため、第1の発明は、(イ)ケーシングと、(ロ)上記ケーシングに螺合された操作軸と、(ハ)上記操作軸の内端部に設けられた弁体と、(ニ)上記ケーシングに設けられ、上記操作軸の軸線上に配置されて上記弁体と対峙する弁座部材と、を備え、上記操作軸の回動に伴い上記弁体が上記弁座部材に対して接近,離間することにより、両者の間を流れる流体の流量を制御するようにした装置において、上記弁座部材が、上記ケーシングに対して上記操作軸の軸線方向にスライド可能に支持されるとともに、スプリングにより弁体に向かって付勢され、これらケーシングと弁座部材には、それぞれ係止部が設けられ、これら係止部は、互いに当たって弁座部材が弁体に向かって移動するのを禁じることにより、弁座部材をケーシングに対して位置決めすることを特徴とする。
【0005】第2の発明は、(イ)ケーシングと、(ロ)上記ケーシングに螺合された操作軸と、(ハ)上記操作軸の内端部に設けられた弁体と、(ニ)上記ケーシングに設けられ、上記操作軸の軸線上に配置されて上記弁体と対峙する弁座部材と、を備え、上記操作軸の回動に伴い上記弁体が上記弁座部材に対して接近,離間することにより、両者の間を流れる流体の流量を制御するようにした装置において、上記弁体が、上記操作軸に対して、操作軸の軸線方向にスライド可能に支持されるとともに、スプリングにより弁座部材に向かって付勢され、これら操作軸と弁体には、それぞれ係止部が設けられ、これら係止部は、互いに当たって弁体が弁座部材に向かって移動するのを禁じることにより、弁体を操作軸に対して位置決めすることを特徴とする。
【0006】第3の発明は、第1または第2の発明において、上記弁体が、上記操作軸に対して回動可能に支持されていることを特徴とする。第4の発明は、第1〜第3の発明のいずれかにおいて、上記ケーシングが、上記操作軸を螺合させるための円筒形状のナットを有し、このナットの外周には、上記操作軸の外端部側に向かうにしたがって縮径するテーパー部が形成され、さらに上記ナットには、軸線に沿って延びる割り込みが、周方向に等間隔に複数形成され、上記テーパー部の外側に、内周面がこのテーパー部に対応したテーパーをなすリングがはめ込まれ、このリングの押し込みにより上記ナットが上記操作軸の外周に押し当てられていることを特徴とする。
【0007】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図面を参照して説明する。図1は、本発明の第1の実施の形態に係る流量制御装置Mを示したものである。装置Mは、操作軸20を回動操作することによって、弁体30を弁座部材40に対して接近、離間させ、流体源Sから入口通路11cに供給された流体を所望の流量に調節して、出口通路11dから取り出すものである。
【0008】詳述すると、装置Mは、ケーシング10を備えている。ケーシング10は、ケーシング本体11と、この本体11の上面に設けられたナット12とを有している。ケーシング本体11には、上面から下方に延びる軸孔11aと、下面から上方に延びる弁座孔11bとが、同一軸線上に形成されている。また、この本体11に上記入口通路11cと出口通路11dとが形成されている。入口通路11cは、上記流体源Sに接続されるとともに、弁座孔11bの中途部に連なっている。出口通路11dは、軸孔11aの下端部と弁座孔11bの上端部とに連なっている。
【0009】図1および図2に示すように、ナット12は、円筒形状をなし、上記孔11a,11bと同一軸線上に配置されており、その下端部には四角形状のフランジ13が一体に設けられている。ナット12の外周とフランジ13の上側とは、カバー部材14によって囲まれており、カバー部材14とフランジ13の四隅が、ボルト15によってケーシング本体11に固定されている。これによって、ナット12がケーシング本体11に固定されている。
【0010】ケーシング10に上記操作軸20が取り付けられている。操作軸20は、軸線を上下方向に向け、下端部(内端部)がケーシング本体11の軸孔11aに回動可能かつ上下にスライド可能に収容支持され、上端部(外端部)がカバー部材14の上端部の開口よりも上方に突出されている。この操作軸20の上端部には、つまみ21が設けられている。操作軸20の中途部には、雄ねじ20aが形成されており、この雄ねじ20aがナット12に螺合されている。
【0011】上記操作軸20の雄ねじ20aは、ナット12に対して上下方向にガタの無い状態になっている。すなわち、ナット12の外周における長さ方向の中途部には、上方へ向かうにしたがって縮径するテーパー部12aが形成されている。また、ナット12には、上端面からテーパー部12aより下方に延びる割り込み12bが、周方向に90度間隔で4つ形成されている。ナット12の外側には、リング16がはめ込まれている。このリング16の内周面は、テーパー部12aとほぼ同じ傾斜のテーパーをなしている。リング16は、この内周面がテーパー部12aに突き当てられ、さらにナット12に対して下方に押し下げられている。これによって、ナット12が径方向に収縮されて雄ねじ20aの外周に押し当てられ、ガタが解消されている。
【0012】操作軸20において雄ねじ20aの下側には、段差20bが形成されている。この段差20bがナット12の下端面に突き当たり、操作軸20がそれ以上上方に移動するのが禁じられている。
【0013】操作軸20の下端面には、収容孔20cが形成されており、この収容孔20cに、上記弁体30が収容されている。弁体30は、例えばテフロンなどの樹脂によって形成されている。
【0014】この弁体30と対峙するようにして、その真下に上記弁座部材40が配置されている。弁座部材40は、円筒形状をなし、その内部空間が上記入口通路11cと出口通路11dとを連ねる弁孔40xとなっている。弁座部材40は、ケーシング本体11の弁座孔11bに、上下方向(操作軸20の軸線方向)にスライド可能に支持収容されている。弁座部材40の下側部の外周には、鍔40a(係止部)が設けられている。弁座部材40とケーシング本体11に取り付けた受け部材41との間には、スプリング42が設けられている。このスプリング42によって、弁座部材40が上方、すなわち弁体30に向かって付勢されている。そして、鍔40aが弁座孔11bに形成された段差11g(係止部)に突き当たり、弁座部材40がそれ以上上方へ移動するのが禁じられている。これにより、弁座部材40がケーシング10に対して位置決めされている。
【0015】弁座部材40の上端面と弁体30の下端面との距離Dは、弁座部材40の鍔40aが弁座孔11bの段差11gに突き当たるとともに操作軸20の段差20aがナット12の下端面に突き当たった状態(以下、「最大離間状態」という)において、弁座部材40の弁孔40xの径φの4分の1になっている。また、最大離間状態における上記距離Dは、操作軸20の雄ねじ20aのリードと等しい。
【0016】上記のように構成された流量制御装置Mの作用について説明する。流体源Sから入口通路11cに導入された流体は、弁座孔11bおよび弁孔40xを経て、出口通路11dから取り出される。この流体の流量は、上記最大離間状態のとき最大である。この最大離間状態からつまみ21をつかんで、操作軸20を、例えば上から見て右回りに回動させていくと、弁体30が弁座部材40に接近する。これによって、弁体30と弁座部材40との間を流れる流体の流量、すなわち出口通路11dから取り出される流体の流量が減少されていく。この流体の流量は、弁体30の下端面と弁座部材40の上端面との距離Dと比例関係にある。しかも、操作軸20の雄ねじ20aとナット12との間にガタがないので、上記距離Dは、操作軸20の回転角度によって正確に決定することができる。これによって、流体の流量を正確に調節することができる。
【0017】なお、上記距離Dと流体の流量との比例関係は、0<D<φ/4の範囲で成立する。距離Dをφ/4より大きくさせることができたとしても、このD>φ/4の範囲ではリニアでなくなり、距離Dがφ/4より十分に大きくなると流量はほとんど変化しなくなる。
【0018】雄ねじ20aのリードは、φ/4、すなわち最大離間状態における距離Dと等しいので、最大離間状態から操作軸20を右回りにちょうど一回転させたとき、弁体30が弁座部材40に突き当たり、着座する。これによって、流量が0になる。操作軸20をさらに右回りに回動させていくと、弁体30によって弁座部材40がスプリング42の付勢力に抗して押し下げられ、上記鍔40aと段差11gとで決定された位置から後退する。したがって、弁体30が弁座部材40に強く押し当てられてこすられることはない。これによって、弁体30や弁座部材40が磨耗するのを防止することができる。また、上記の着座から操作軸20を若干量ねじ込むことにより、弁体30と弁座部材40とが、スプリング42の力で押し当てることができる。これによって、確実な流通遮断状態を確保することができる。
【0019】次に、本発明の他の実施の形態を、図3および図4に基づいて説明する。これら他の実施の形態において、上記第1の実施の形態と同一の構成に関しては、図面に同一符号を付して説明を省略する。図3は、本発明の第2の実施の形態に係る流量制御装置M′を示したものである。装置M′においては、弁体30がスプリング33により弁座部材40に向かって付勢され、弁座部材40はケーシング10に固定されている。
【0020】詳述すると、装置M′の操作軸20における収容孔20cは、上記装置Mのものよりも深く形成されている。この収容孔20cの下側部に、弁体30が上下方向にスライド可能かつ回動可能に支持収容されている。弁体30の上側には、ばね座31が配置されている。弁体30の上面の中央部とばね座31の下面の中央部とには、それぞれ円錐形状の凹部30a,31aが形成されており、これら凹部30a,31aの間に球32が挟まれている。これによって、弁体30がばね座31から摩擦抵抗を受けることなく回動されるようになっている。
【0021】収容孔20cの上側部には、上記スプリング33が収容されており、このスプリング31が、ばね座32に突き当たり、ばね座31および球32を介して、弁体30を下方に付勢している。収容孔20cの下端の開口には、リング状のストッパ34(係止部)が設けられ、このストッパ34に弁体30の下端面の周縁部(係止部)が突き当てられている。これによって、弁体30が収容孔20cから下方に突出するのが、すなわち弁座部材40に向かって移動するのが禁じられ、弁体30が操作軸20に対して位置決めされている。この位置決め状態におけるスプリング31のばね力は、流体が弁体30を押し上げようとする力の最大値(弁体30が弁座部材40に着座したときの値)よりも大きい。
【0022】装置M′の弁座部材40の周壁には、弁孔40xと入口通路11cとを連通する連通孔40bが形成されている。
【0023】装置M′において、操作軸20を右回りに回動させることによって、弁体30を下降させて弁座部材40に突き当て着座させた後、さらに操作軸20を右回りに回動させると、操作軸20は下方に移動する一方、弁体30は弁座部材40に突き当たった位置にとどまる。すなわち、弁体30がスプリング33の付勢力に抗して操作軸20に対し上記ストッパ34で決定された位置から後退する。したがって、上記装置Mと同様に、弁体30が弁座部材40に強く押し当てられてこすられることはない。しかも、操作軸20は回転する一方、弁体30は弁座部材40との間の摩擦力によって静止される。したがって、弁体30や弁座部材40の磨耗を一層確実に防止することができる。
【0024】図4は、上記装置M′を変形した実施形態を示したものであり、ばね座31の下面の中央部に円錐形状の突起31bが設けられ、この突起31bが弁体30の凹部30aに挿入支持されている。
【0025】本発明は、上記の実施の形態に限定されず種々の形態を採用することができる。例えば、弁体30を操作軸20に対して回動可能にするのに代えて、弁座部材40をケーシング本体11に対して回動可能にしてもよい。上記の実施の形態では、弁体30と弁座部材40との最大離間状態における距離Dを弁孔40xの径φの4分の1にし、操作軸20の雄ねじ20aのリードと等しくすることにより、操作軸20の1回転の範囲で流量を0から最大値までリニアに変化させるようにしたが、複数回転で流量を0から最大値までリニアに変化させてもよい。この場合、つぎの式を満たすように設計する。
Dmax=φ/4=n・Lここで、Dmaxは最大離間状態における距離D、Lは雄ねじ20aのリード、nは整数である。このようにすれば、着座するまでの回転数が増えるので、流量の微調節が容易になる。
【0026】
【発明の効果】以上説明したように、第1の発明は、弁体が弁座部材に着座した後、さらに操作軸を回転させると、弁座部材がスプリングに抗して後退する。これによって、弁体や弁座部材が磨耗するのを防止することができる。第2の発明は、弁体が弁座部材に着座した後、さらに操作軸を回転させると、弁体がスプリングに抗して操作軸に対して後退する。これによって、弁体や弁座部材が磨耗するのを防止することができる。第3の発明は、弁座部材または弁体が後退する際、操作軸の回動にかかわらず、弁体を静止させることができ、弁体や弁座部材の磨耗を一層確実に防止することができる。第4の発明は、操作軸のガタをなくすことができ、流量を正確に調節することができる。
【出願人】 【識別番号】390019035
【氏名又は名称】株式会社フクダ
【出願日】 平成11年2月19日(1999.2.19)
【代理人】 【識別番号】100085556
【弁理士】
【氏名又は名称】渡辺 昇
【公開番号】 特開2000−240818(P2000−240818A)
【公開日】 平成12年9月8日(2000.9.8)
【出願番号】 特願平11−41115