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【発明の名称】 冷熱水の切替バルブ
【発明者】 【氏名】加藤 勉

【氏名】三枝 岳夫

【要約】 【課題】予め設定されたリリーフ圧が変化しない冷熱水の切替バルブの提供。

【解決手段】連通する原水導入流路2と冷水流路3と熱水流路4を有するハウジング1内に、形状記憶合金ばね5とバイアスばね6のばね圧で冷水流路3と熱水流路4を切り替える弁体7を配置した冷熱水の切替バルブであって、上記弁体7の内部に冷水流路3と熱水流路4とに連通する貫通路10を開設すると共に、該貫通路10の冷水流路3側に弁口7aを形成して、当該弁口7aを安全ばね12で付勢された貫通路10内のリリーフ弁11により開閉することにより、リリーフ弁11は流路を切り替える弁体7に内蔵されているので、切替バルブ自体の小型化に大いに貢献できることは言うまでもないが、流路を切り替える通水温度に影響されることがないので、従来の如く、予め設定されたリリーフ圧が変化してしまう不都合もなくなる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 連通する原水導入流路と冷水流路と熱水流路を有するハウジング内に、形状記憶合金ばねとバイアスばねのばね圧で冷水流路と熱水流路を切り替える弁体を配置した冷熱水の切替バルブであって、上記弁体の内部に冷水流路と熱水流路とに連通する貫通路を開設すると共に、該貫通路の冷水流路側に弁口を形成して、当該弁口を安全ばねで付勢された貫通路内のリリーフ弁により開閉するように構成したことを特徴とする冷熱水の切替バルブ。
【請求項2】 弁体を、安全ばねとリリーフ弁を内蔵して安全ばねのばね座を兼ねる本体部と、弁口を有してバイアスばねのばね座を兼ねるキャップ部で構成して、本体部とキャップ部とを一体に係合させることを特徴とする請求項1記載の冷熱水の切替バルブ。
【請求項3】 本体部の外周に形状記憶合金ばねのばね座を形成し、キャップ部の弁口を囲む先端周囲にバイアスばねのばね座を形成したことを特徴とする請求項2記載の冷熱水の切替バルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、主に、水道水や井戸水を浄化する浄水器や、電気分解によってアルカリ性と酸性のイオン水を成水する成水器に使用される冷熱水の切替バルブに関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来のこの種切替バルブとして、例えば、実開平4−22089号公報に示すものが存する。該従来の切替バルブは、一応、浄水器に使用されるものとして開発されたもので、浄水器側と直に連通する原水導入流路と、該原水導入流路から分岐して外部と連通する熱水流路と、該熱水流路と原水導入流路との境にある弁口を開閉する弁体と、原水導入流路からの通水温度で伸縮することにより上記弁口を弁体で開閉して流路を切り替える形状記憶合金ばねと、弁体を常時弁口の閉じ方向へ付勢して浄水器側の内圧が上昇した時には弁体を弁口の開方向へ移動させる安全ばねとから構成されている。
【0003】そして、実際の作動に際して、原水導入流路から供給される原水が冷水の場合には、そのまま、冷水が原水導入流路を経て浄水器側に送られて、そこで、冷水が浄化されることとなるが、逆に、供給される原水が熱水の場合には、形状記憶合金ばねが当該通水温度を感知して伸長することにより、弁体を移動させて、原水導入流路と熱水流路との境にある弁口を開けて、熱水を熱水流路から外部に流出させるので、浄水器側に熱水が誤って侵入して、フィルターで既に吸着除去された有機物等が再離脱することを防止できる。
【0004】又、浄水器側の内圧が異常に上昇した場合には、今度は、安全ばねが当該水圧で収縮して、同様に、弁体を移動させて、原水導入流路と熱水流路との境にある弁口を開けて、水圧を熱水流路から外部に逃がすので、浄水器側のシール部や薄肉部の破損を防止できる。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従って、従来の切替バルブにあっては、弁体自体が、流路の切り替えに加えて、内圧上昇を回避するリリーフ弁としても作用することとなるので、一見すると、合理的で且つ構造が簡素化される利点を有しているようにも思えるが、内圧上昇で収縮する弁体の安全ばねは形状記憶合金ばねのバイアスばねをも兼用している関係で、通水温度によっては、予め設定されているリリーフ圧が変化してしまう不都合があった。特に、リリーフ圧が変化して低くなると、有効稼働率が落ちてしまうので、この為には、バイアスばねや形状記憶合金ばねに高荷重のものを用いることとが余儀なくされる。
【0006】そこで、特開平9-78645号公報に示すように、通水温度には影響されない独立したリリーフ弁を設けることも考えられるが、独立するリリーフ弁を設けることは、部品点数が増大して、切替バルブ自体が大型化してしまうことは言うまでもないが、これに加えて、リリーフ専用の流出流路も更に必要となるので、使い勝手も決して好ましいものではない。
【0007】
【課題を解決するための手段】本発明は、斯かる実情に鑑み開発されたもので、請求項1記載の発明は、連通する原水導入流路と冷水流路と熱水流路を有するハウジング内に、形状記憶合金ばねとバイアスばねのばね圧で冷水流路と熱水流路を切り替える弁体を配置した冷熱水の切替バルブであって、上記弁体の内部に冷水流路と熱水流路とに連通する貫通路を開設すると共に、該貫通路の冷水流路側に弁口を形成して、当該弁口を安全ばねで付勢された貫通路内のリリーフ弁により開閉する構成を採用した。
【0008】請求項2記載の発明は、請求項1を前提として、弁体を、安全ばねとリリーフ弁を内蔵して安全ばねのばね座を兼ねる本体部と、弁口を有してバイアスばねのばね座を兼ねるキャップ部で構成して、本体部とキャップ部とを一体に係合させる構成を採用した。
【0009】請求項3記載の発明は、請求項2を前提として、本体部の外周に形状記憶合金ばねのばね座を形成し、キャップ部の弁口を囲む先端周囲にバイアスばねのばね座を形成する構成を採用した。
【0010】依って、請求項1記載の発明にあっては、特に、浄水器や成水器側に通じる冷水流路側で内圧が上昇した場合には、リリーフ弁が安全ばねのばね圧に抗して弁体側の弁口を開けて、当該水圧を弁体の貫通路から熱水流路を経て外部に逃がすので、浄水器や成水器側のシール部や電解槽等の破損を有効に防止できる。しかも、この場合には、リリーフされた水圧は、弁体の貫通路から熱水流路を利用して外部に流出することとなるので、専用の流出流路を設ける必要がなくなると共に、リリーフ弁は流路を切り替える弁体に内蔵されているので、切替バルブ自体の小型化に大いに貢献でき、且つ、流路を切り替える通水温度に影響されることがないので、従来の如く、予め設定されたリリーフ圧が変化してしまう不都合もなくなる。
【0011】又、請求項2記載の発明にあっては、弁体を本体部とキャップ部とから成るユニットとなした関係で、本体部内に安全ばねとリリーフ弁を順に差し入れて、当該本体部とキャップ部とを一体的に係合させるだけで良いので、その組み立てが容易となると共に、安全ばねが捩じれたりする心配がないので、リリーフ圧も安定する。請求項3記載の発明にあっては、弁体の本体部とキャップ部の係合部位に対しては、形状記憶合金ばねとバイアスばねのばね圧が常に反対方向から加わるので、作動中に、本体部とキャップ部とが抜け外れる心配がない。
【0012】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する好適な実施の形態に基づいて詳述すれば、該実施の形態に係る切替バルブは、図示する如く、三方弁の如き内部で連通する原水導入流路2と冷水流路3と熱水流路4を一体に有するT字状のハウジング1を備えて、当該ハウジング1内に形状記憶合金ばね5とバイアスばね6のばね圧で上記した冷水流路3と熱水流路4を切り替える弁体7を移動可能に配置する構成となっている。
【0013】これを具体的に説明すると、熱水流路4側の弁口4a近傍と弁体7の外周鍔部8との各ばね座間に、原水導入流路2から供給される通水温度によって伸縮するコイル状の形状記憶合金ばね5を装着し、冷水流路3側の弁口3a内側に形成された段部9と後述する弁体7のキャップ部7Bの弁口7aを囲む先端周囲との各ばね座間に、コイル状のバイアスばね6を装着して、原水導入流路2から供給される原水が冷水の場合には、上記形状記憶合金ばね5が収縮してバイアスばね6のばね圧が打ち勝つので、これに伴い、弁体7が移動して、冷水流路3側の弁口3aを開き、熱水流路4側の弁口4aを閉じて、冷水が冷水流路3を経て図外の浄水器或いは成水器側に送られる構成となっている。
【0014】又、逆に、原水導入流路2から供給される原水が熱水の場合には、今度は、形状記憶合金ばね5が伸長してバイアスばね6のばね圧に打ち勝つので、これに伴い、弁体7が逆方向に移動して、冷水流路3側の弁口3aを閉じ、熱水流路4側の弁口4aを開いて、熱水が熱水流路4を経て外部に流出される構成となっている。
【0015】そして、本実施の形態にあっては、斯かる構成を前提として、上記弁体7の軸線方向内部に冷水流路3と熱水流路4とに連通する貫通路10を開設すると共に、該貫通路10の冷水流路3側に弁口7aを形成する一方、貫通路10内に球形のリリーフ弁11をコイル状の安全ばね12と一緒に配置して、浄水器又は成水器側の内圧が設定リリーフ圧以下であれば、安全ばね12のばね圧で、当該リリーフ弁11により上記弁口7aを閉じ、浄水器又は成水器側の内圧が設定リリーフ圧以上であれば、安全ばね12のばね圧に抗して、リリーフ弁11により弁口7aを開けて、冷水流路3側の水圧を上記熱水流路4を経て外部に逃がす構成を採用している。
【0016】尚、弁体7に関しては、図示する如く、上記安全ばね12とリリーフ弁11を内蔵して安全ばね12のばね座を兼ねる筒状の本体部7Aと、弁口7aを有してバイアスばね6のばね座を兼ねる半球状のキャップ部7Bとから構成して、本体部7Aの内部にリリーフ弁11と安全ばね12を同一方向から差し入れて、後は、本体部7Aとキャップ部7Bを直線的に係合させることにより、弁体7自体を簡単にユニット化できる構造となっている。従って、本実施の形態の下では、弁体7の組み付け作業が容易となると共に、組み付け時に、安全ばね12が捩じれたりする心配がない。
【0017】依って、斯かる構成の切替バルブの下でも、実際の作動に際して、混合水栓の蛇口を経て原水導入流路2から供給される原水が冷水の場合には、図1に示す如く、形状記憶合金ばね5が当該通水温度を感知して収縮して、弁体7を熱水流路4方向に移動させることにより、熱水流路4側の弁口4aを閉じ、冷水流路3側の弁口3aを開けるので、冷水が原水導入流路2から冷水流路3を経て浄水器又は成水器側に送られて、そこで、冷水が浄化又はイオン水に成水されることとなる。
【0018】逆に、供給される原水が熱水の場合には、図2に示す如く、形状記憶合金ばね5が当該通水温度を感知して伸長して、今度は、弁体7を冷水流路3方向に移動させることにより、冷水流路3側の弁口3aを閉じ、熱水流路4側の弁口4aを開けるので、熱水は熱水流路4から外部に流出させられ、浄水器や成水器の内部に侵入して、フィルターで既に吸着除去された有機物等が再離脱することやシール部が劣化して漏電を引き起こすこと等を有効に防止することが可能となる。
【0019】又、原水導入流路2から冷水が供給されている状態で、浄水器や成水器側の内圧が異常に上昇した場合には、図3に示す如く、リリーフ弁11が独立して安全ばね12のばね圧に抗して弁体7側の弁口7aを開けて、異常水圧を弁体7の貫通路10から熱水流路4を経て外部に逃がすので、浄水器や成水器側のシール部や電解槽等の破損を有効に防止できる。
【0020】しかも、この場合には、リリーフされた水圧は、弁体7の貫通路10から熱水流路4を利用して外部に流出されることとなるので、専用の流出流路を設ける必要がなくなると共に、リリーフ弁11は流路を切り替える弁体7に内蔵されているので、切替バルブ自体の小型化に大いに貢献できることは言うまでもないが、流路を切り替える通水温度に影響されることがないので、従来の如く、予め設定されたリリーフ圧が変化してしまう不都合も全くなくなる。従って、常に、設定リリーフ圧を維持することが可能となって、浄化又は成水の有効稼動率が低下する心配もない。
【0021】その上、弁体7は本体部7Aとキャップ部7Bとで構成されている訳であるが、弁体7の本体部7Aとキャップ部7Bの係合部位に対しては、直列状態に配された形状記憶合金ばね5とバイアスばね6のばね圧が常に反対方向から加わることとなるので、作動中に、本体部7Aとキャップ部7Bとが抜け外れる心配も決してない。
【0022】尚、浄水器や成水器側の内圧が異常に上昇した状態において、誤って、熱水が原水導入流路2から供給された場合には、具体的には図示しないが、今度も、リリーフ弁11が安全ばね12のばね圧に抗して弁体7側の弁口7aを開けて、異常水圧を弁体7の貫通路10から熱水流路4を経て外部に逃がすので、形状記憶合金ばね5は内圧の上昇に影響されずに容易に伸長して、冷水流路3側の弁口3aを即座に閉じる。従って、これにより、ハウジング1内においては、速やかに、熱水流路4に切り替わって、熱水を外部に流出させることが可能となる。
【0023】
【発明の効果】以上の如く、本発明は、上記構成の採用により、請求項1の下では、特に、浄水器や成水器側に通じる冷水流路側で内圧が上昇した場合には、リリーフ弁が安全ばねのばね圧に抗して弁体側の弁口を開けて、当該水圧を弁体の貫通路から熱水流路を経て外部に逃がすので、浄水器や成水器側のシール部や電解槽等の破損を有効に防止できる。しかも、この場合には、リリーフされた水圧は、弁体の貫通路から熱水流路を利用して外部に流出することとなるので、専用の流出流路を設ける必要がなくなると共に、リリーフ弁は流路を切り替える弁体に内蔵されているので、切替バルブ自体の小型化に大いに貢献でき、且つ、流路を切り替える通水温度に影響されることがないので、従来の如く、予め設定されたリリーフ圧が変化してしまう不都合もなくなる。
【0024】又、請求項2の下では、弁体を本体部とキャップ部とから成るユニットとなした関係で、本体部内に安全ばねとリリーフ弁を順に差し入れて、当該本体部とキャップ部とを一体的に係合させるだけで良いので、その組み立てが容易となると共に、安全ばねが捩じれたりする心配がないので、リリーフ圧も安定する。請求項3の下では、弁体の本体部とキャップ部の係合部位に対しては、形状記憶合金ばねとバイアスばねのばね圧が常に反対方向から加わるので、作動中に、本体部とキャップ部とが抜け外れる心配がない。
【出願人】 【識別番号】000124096
【氏名又は名称】株式会社パイオラックス
【出願日】 平成10年12月24日(1998.12.24)
【代理人】 【識別番号】100077735
【弁理士】
【氏名又は名称】市橋 俊一郎
【公開番号】 特開2000−193132(P2000−193132A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−366729