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【発明の名称】 空気弁
【発明者】 【氏名】松崎 寿広

【氏名】上原 正行

【要約】 【課題】従来の空気弁における、送液管内の空気が多量に弁箱内に流入した場合に生じる大口径吸排気孔の閉鎖直前に多量の水を吹き上げたり、大口径吸排気孔を閉じるときに生じる急速な流れを瞬間的に遊動弁体により止めることによるウォーターハンマー現象の発生を防止する。

【解決手段】大口径吸排気孔31を開閉する遊導弁体をシステムプレート11に構成し、その作動を、大口径吸排気孔に向けて押し上げる機構2の付勢力と弁箱1内の内圧に対応して該大口径吸排気孔を開閉するように構成し、該システムプレートに設けられた小口径吸排気孔12と、弁箱内の水位に対応して開閉するフロート弁体4とを設けて吸排気孔を調整するとともに、大口径吸排気孔を開閉するシステムプレートの作動を、押し上げ機構の調整により変化させ、大口径吸排気孔の閉鎖基準圧の設定を調整可能に構成し設置環境にも対応できるようにした。
【特許請求の範囲】
【請求項1】弁箱の上面を、大口径吸排気孔を備えた弁蓋で覆蓋すると共に、その下部に大口径吸排気孔に向けて押し上げる機構の付勢力と弁箱内の内圧に対応して該大口径吸排気孔を開閉するシステムプレートと、該システムプレートに設けられた小口径吸排気孔を弁箱内の水位に対応して開閉するフロート弁体とを設け、大口径吸排気孔を開閉するシステムプレートの作動を押し上げ機構の調整により変化させ、大口径吸排気孔の閉鎖基準圧の設定を調整可能に構成したことを特徴とする空気弁【請求項2】フロート弁体の底部に傾斜面を形成し、該傾斜面にそって通水口に対応する凹陥部を設けるようにした「請求項1」記載の空気弁【請求項3】弁蓋の外周部に嵌合溝を設けると共に、該嵌合溝に嵌合して弁蓋の外周面に突面を形成する嵌合リングを嵌合し、該突面と嵌合する凹陥溝を嵌合部内径に設けた屈曲吸排気キャップを嵌合リングを介して回動可能に嵌着するようにした「請求項1」又は「請求項2」記載の空気弁
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、給水管等の液体輸送管の所要部、特に建物上階部への立ち上がり給水管の上部に取り付けて、工事などにより送水管内の水が抜かれて空状態になった時、再給水により管内に水が充満する際などに給送水中に混入したり滞留したりする空気を円滑に吸排するための空気弁に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の空気弁は、大口径吸排気孔と小口径吸排気孔とによって吸排気を行い、管内の水の排水によって発生する弁箱内の内圧が大気圧あるいはそれ以下のとき、大口径吸排気孔、小口径吸排気孔ともに開放されて吸排気状態にあるが、最初の送水時には空気の排出により弁箱内の水位が上昇すると、遊動弁体及びフロート弁体が押し上げられて2つの吸排気孔が閉鎖され、水の溢出を防止する構成となっている。
【0003】2つの吸排気孔が閉鎖され、弁箱内に送水がされると送水管内に滞留する空気が弁箱内に送られて弁箱内の水位が下がり、小口径吸排気孔を閉鎖していたフロート弁体が水面まで下がって小口径吸排気孔が開放されて空気が排出される。
【0004】この作動の中心となる遊動弁体を大口径吸排気孔に押し付ける作動は、弁箱内の水位とこれにかかる遊動弁体の浮力及び弁箱内の内圧に依存していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】従来の空気弁は、上記のように遊動弁体を大口径吸排気孔に押し付ける作動を、弁箱内の水位とこれにかかる遊動弁体の浮力及び弁箱内の内圧に依存しているため、遊動弁体の開閉基準圧を人為的に調整することができなかった。
【0006】そのため、充水時に送液管内の空気が多量に弁箱内に流入すると、弁箱内の気圧が一気に高まり、更に水が遊動弁体まで来て大口径吸排気孔を閉じるタイミングと、水が大口径吸排気孔を通るタイミングに時間的なずれを生じ、大口径吸排気孔の閉鎖直前に多量の水が吹き上げる現象を避けることができなかった。
【0007】また、大口径吸排気孔を閉じるとき、急速な流れを瞬間的に遊動弁体により止めるためにウォーターハンマー現象が起きやすい。特に建物内配管の場合には、ウォーターハンマー現象は使用器具の故障の原因となり、排気孔からの水の吹き上げ現象は周囲を水浸しにするため、吹き上げる水を受けてそれを下流側に流すための配管設備が必要となる等多くの問題がある。
【0008】更に、フロート弁体の浮動規制機構は、フロート弁体が遊動弁体の下部で可なり自由な遊動状態を必要とする関係とフロート弁体の下降時に本管からの通水吸排気構造の閉塞を防止するため、大枠の弁体ケースのほかに、フロート弁体受けが必要であり構造を更に複雑なものとしていた。
【0009】弁箱の上面を覆蓋する弁蓋は、大口径吸排気孔を備えると共に吸排気を特定方向に導くために屈曲吸排気キャップと連結されるが、螺合などの通常の連結手段によると方向性が固定され、設置環境に対応することができないため、屈曲方向ごとに複数の吸排気キャップを用意しなければならないという問題もある。
【0010】
【課題を解決するための手段】本発明は上記した事情に鑑みこれに対応しようとするものであり、大口径吸排気孔を開閉する遊導弁体をシステムプレートに構成し、システムプレートを大口径吸排気孔に押し付ける作動を、システムプレートの自重のほかシステムプレートを大口径吸排気孔に向けて押し上げる付勢機構の力により、弁箱内の内圧と外気圧とのバランスを人為的に調整し、システムプレートによる大口径吸排気孔の閉鎖基準圧を大気圧と内圧との均衡点に設定して、弁箱内に大気圧を超える内圧がある限り大口径吸排気孔は閉じたままとした。
【0011】また、フロート弁体の底部に傾斜面を形成し、該傾斜面にそって通水口に対応する凹陥部を設けるようにして、フロート弁体の下降時に本管からの通水吸排気構造の閉塞を防止すると共に、通水吸排気が凹陥部に案内されて円滑に上昇できるようにした。これにより、フロート弁体について弁体ケースやフロート弁体受けを設ける必要がなくなり、フロート弁体の自由な遊動状態を確保することができた。
【0012】更に、弁蓋の外周部に嵌合溝を設けると共に、該嵌合溝に嵌合して弁蓋の外周面に突面を形成する嵌合リングを嵌合し、該突面と嵌合する凹陥溝を嵌合部内径に設けた屈曲吸排気キャップを嵌合リングを介して回動可能に嵌着するようにして、空気弁の設定後に吸排気を特定方向に導くためのキャップの屈曲方向を自由に設定したり変更したりできるようにした。
【0013】
【作用】システムプレート11は、大口径吸排気孔31に向けて押し上げる方向に付勢された付勢機構2と自重とのバランスによって基準圧を大気圧と内圧との均衡点に設定され、弁内に負圧を生じると大口径吸排気孔31は負圧の値に応じて適度に開放され、弁箱内に大気圧と同一、若しくはそれを超える内圧がある限り大口径吸排気孔は閉じたままの状態にある。
【0014】したがって、充水時に送水管内にある空気が弁内に送られても大口径吸排気孔31はそのまま閉鎖状態にあり、開放状態にある小口径吸排気孔12から、弁内に送られた空気は排出される。
【0015】そのため、大口径吸排気孔31が閉鎖しているから大口径吸排気孔31が閉鎖するときに起こる通水の外部への流出がなく、システムプレート11の下面に設けられた凹陥溝18や凹陥19によって排気流速も制限されるのでウォーターハンマー現象も起き難くなる。
【0016】一方、大口径吸排気孔31が閉じ弁箱内に内圧がある場合には、送水管から入る空気によって弁箱内の水位が下がり、フロート弁体4は下降して遊動弁体11に設けられた小口径吸排気孔12を開放し、弁箱内に充満した空気は小口径吸排気孔から外部に排出される。
【0017】送水管の水抜き時や、何らかの理由で弁箱内の内圧が負圧となった場合には、付勢機構2の押し上げ力より負圧とシステムプレート11の重量が勝り、負圧の大きさに比例して大口径吸排気孔31を排気時より大きく開き、負圧の力が無くなると大気圧及び内圧ともにゼロとなるので、付勢機構2により大口径吸排気孔31は閉鎖状態となる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、図面を参照して本発明にかかる空気弁の実施例を説明する。1は弁箱本体で、上面は大口径吸排気孔31を備えた弁蓋3で覆蓋されており、弁蓋3の下部には小口径吸排気孔12を備えたシステムプレート11がスプリングなどの付勢機構2によって支持されている。
【0019】弁蓋3の下面には、Oリング32が設定され、弁箱内の内圧により付勢機構2の押し上げ力がシステムプレート11の重量を凌ぐと、システムプレート11が押し上げられてその上面がOリング32と密着して大口径吸排気孔を閉塞密閉するようになっている。
【0020】システムプレート11は四方に張出部14が張り出して付勢機構2のスプリングを弁箱1の内壁段部15と共に支持するとともに、これによって形成される間隙16が大口径吸排気孔31への通路を形成する。また、その上面は小口径吸排気孔12からの吸排気等を排気路に導く排気溝13を除いて平滑に構成され、弁蓋3の下面に設定されたOリング32が圧接されると密着するようになっている。
【0021】システムプレート11の下面にはユニット化された小口径吸排気孔12を螺合する螺合部17が設けられるとともに、多量の空気や水勢をブロックする凹陥溝18と凹陥19が設定され、過度な圧力がシステムプレート11に掛からないようになっている。
【0022】また、弁蓋3の外周部には嵌合溝33が設けられ、外周面に突面を形成する嵌合リング34が嵌合され、これによって形成された突面と嵌合する凹陥溝52を嵌合部51の内径に設けた屈曲吸排気キャップ5を嵌合リング34を介して回動可能に嵌着するようになっている。
【0023】嵌合リング34には、断裂部が設けられて凹陥溝52への嵌合がし易く構成されると共に、素材としてリン青銅などが用いられて嵌着される屈曲吸排気キャップ5の抜け防止と円滑な回動効果を付与するようになっている。また、嵌合リング34の上部にはOリング35が付設されて弁蓋3とキャップ5の嵌着に気密性を保つようにしている。
【0024】更に、システムプレート11の偏心位置には小口径吸排気孔12が設けられ、小口径吸排気孔12の下端はフロート弁体4の着座する弁座41に構成され、その弁箱内壁側一側にフロート弁体4の浮動を案内するガイド杆42が植設されている。
【0025】フロート弁体4は逆円錐台形状など浮動作動に影響のない形状に構成され、上部一側にはガイド杆42と嵌合する嵌合孔ないし溝に構成された嵌合部43が設けられ、弁箱内の水位により弁座41とフロート弁体4の接触部を支点としてフロート弁体4が傾斜し、或いは昇降して小口径吸排気孔12の開閉を行う。
【0026】44はフロート弁体4の底部に形成された傾斜面で、この傾斜面44にそって送水管からの通水口6に対応する凹陥部45を設けることにより、フロート弁体4の下降時に傾斜面44が底面に間隙を形成して本管からの通水吸排気構造の閉塞を防止すると共に、通水口6からの通水吸排気が凹陥部45に案内されて円滑に上昇できるものである。
【0027】
【発明の効果】本発明は上記のように構成したので、送水管からの通水口6から通水と共に導入される混入空気は弁箱上部に貯留されて弁箱内の水位を下げ、水位がフロート弁体4をガイド杆42を支点に傾斜下降させて小口径吸排気孔12を開口してそこから貯留された混入空気は排出され、給気等により弁箱1内に負圧を生じると大口径吸排気孔31が負圧の大きさに応じて開口される。
【0028】また、送水管の水抜き後の再給水時など多量の空気が弁箱内に導入されたときは、弁箱1への充水時に充水に対応して小口径吸排気孔12により排出され、弁箱内の内圧に応じて吸排気孔の開閉、開口面積の制御が行われるので、排出時における空気の流速を抑えることができ、また、外部への水の流出を防止できる。
【0029】弁箱内の水位が低下した場合に生ずる弁箱内の気圧低下は、上記の大口径吸排気孔31が空気の排出時より大きく開口する吸気作用によって回復されるから、弁箱内の急激な気圧変化が回避できる。
【0030】大口径吸排気孔31が閉鎖されるのは、弁箱内に水がある状態或いは一度閉鎖された後、弁箱内に内圧がある場合であるが、その時点では弁箱内に空気が入ると水位が低下するのでフロート弁体4が下降し小口径吸排気孔12が開口して弁箱内の空気を排出する。
【0031】以上により、従来問題となっていた急速排気時における水の噴き上げ現象、管内滞留空気によるウォーターハンマー現象の増幅及び大口径吸排気孔閉鎖時に起こるウォーターハンマー現象を回避でき、更に大きな吸気性能を持つことができるものである。
【出願人】 【識別番号】000201593
【氏名又は名称】前澤給装工業株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100073623
【弁理士】
【氏名又は名称】石川 幸吉
【公開番号】 特開2000−193117(P2000−193117A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−369030