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【発明の名称】 流量コントロ―ルバルブ
【発明者】 【氏名】松沢 広宣

【氏名】飛田 剛

【氏名】笹尾 起美仁

【要約】 【課題】流出側の負荷の増大に伴って発生するバルブの劣化、損傷あるいは塵の発生等の不具合を一挙に解消することができる流量コントロールバルブの構造を提供する。

【解決手段】流入部12を有し弁座16を介して流出部15が形成されたチャンバ20を有するボディ本体11と、前記弁座を開閉する弁部41と前記流入部側の第一ダイヤフラム部50と前記流出部側の第二ダイヤフラム部60とを有する弁機構体40とからなり、前記各ダイヤフラム部は、前記チャンバ内に取り付けられていて、該チャンバを第一加圧室21、弁室25、及び第二加圧室30に区分しており、第一加圧手段M1及び第二加圧手段M2によって前記第一ダイヤフラム部及び第二ダイヤフラム部を弁室方向に常時一定圧力を加えるように構成され、前記第一ダイヤフラム部50に弁部41を有する第一部材51を一体に設けるとともに、前記第二ダイヤフラム部60には前記第一部材と分離自在に遊嵌結合された第二部材61を一体に設けた流量コントロールバルブ10。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 一側に被制御流体の流入部(12)を有し弁座(16)を介して他側に被制御流体の流出部(15)が形成されたチャンバ(20)を有するボディ本体(11)と、前記弁座を開閉する弁部(41)と前記流入部側に配された第一ダイヤフラム部(50)と前記流出部側に配された第二ダイヤフラム部(60)とを有する弁機構体(40)とからなり、前記各ダイヤフラム部は、それらの外周部が前記ボディ本体に固定されて前記チャンバ内に取り付けられていて、該チャンバを第一ダイヤフラム部外側の第一加圧室(21)、前記第一ダイヤフラム部及び第二ダイヤフラム部に囲まれ前記流入部及び弁座ならびに流出部を有する弁室(25)、及び第二ダイヤフラム部外側の第二加圧室(30)に区分しており、前記第一加圧室及び第二加圧室に設けられた第一加圧手段(M1)及び第二加圧手段(M2)によって前記第一ダイヤフラム部及び第二ダイヤフラム部を常時弁室方向に一定圧力を加えるようにしてなる流量コントロールバルブ(10)において、前記弁機構体(40)の第一ダイヤフラム部(50)に弁部(41)を有する第一部材(51)を一体に設けるとともに、前記第二ダイヤフラム部(60)には前記第一部材と分離自在に遊嵌結合された第二部材(61)を一体に設けたことを特徴とする流量コントロールバルブ。
【請求項2】 請求項1において、前記弁機構体の第一部材と第二部材の結合部が円台錐形状の凸部(52)と凹部(62)によって形成されている流量コントロールバルブ。
【請求項3】 請求項1または2において、前記第一加圧室の加圧手段がバネ(S1)よりなる流量コントロールバルブ。
【請求項4】 請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記第二加圧室の加圧手段が加圧気体(A1)よりなる流量コントロールバルブ。
【請求項5】 請求項4において、前記第二加圧室の加圧気体の給気ポート(31)に逆止弁(35)が設けられている流量コントロールバルブ。
【請求項6】 請求項4または5において、前記第二加圧室の加圧気体の給気回路(36)に絞り機構(37)が配置されている流量コントロールバルブ。
【請求項7】 請求項4ないし6のいずれかにおいて、前記第二加圧室の排気回路(38)に絞り機構(39)が配置されている流量コントロールバルブ。
【請求項8】 請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記第二ダイヤフラム部にサックバック機構(70)が設けられている流量コントロールバルブ。
【請求項9】 請求項8おいて、前記サックバック機構が第二ダイヤフラム部を弁室方向と反対方向に付勢するバネ(S2)よりなる流量コントロールバルブ。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、流体(液体あるいは気体)の流量を一定に制御する流量コントロールバルブに関する。
【0002】
【従来の技術】本発明者らは、先に、日本特許第2671183号として、ダイヤフラムを利用して流入側(一次側)の圧力変動に対応して流出側(二次側)の流量を一定に保つことができる流量コントロールバルブを提案した。
【0003】この先行発明に係る流量コントロールバルブは、図10および図11に符号100として示したように、一側に被制御流体の流入部111を有し弁座113を介して他側に被制御流体の流出部112が形成されたチャンバ130を有するボディ本体110と、前記弁座113を開閉する弁部121と前記流入部側に配された第一ダイヤフラム部122と前記流出部側に配された第二ダイヤフラム部123を有する弁機構体120とからなり、前記第一ダイヤフラム部122および第二ダイヤフラム部123によって、前記ボディ本体110のチャンバ130を第一加圧室131、弁室135および第二加圧室140に区分して、前記第一加圧室131および第二加圧室140に設けられた第一加圧手段151及び第二加圧手段152によって前記第一ダイヤフラム部122および第二ダイヤフラム部123に対して常時弁室方向(内向き)に一定圧力を加えるようにしてなるものである。図示の例では、前記第一加圧手段151はバネ体で、前記第二加圧手段152は加圧気体である。図の符号141は加圧気体のための給気ポート、142は同じく排気ポートである。
【0004】上記先行技術に係る流量コントロールバルブ100によれば、流入部111側(一次側)の圧力変動は、常時内向きの一定圧力を加えられた第一ダイヤフラム部122および第二ダイヤフラム部123に対する背圧(外向きの圧力)変動として現れ、前記加圧手段151,152による一定の内向きの設定圧力と一次側の外向きの変動圧力とが釣合いを保とうとして、弁機構体120を移動させる。弁機構体120の移動によってその弁部121が移動し、該弁部121と弁座113間の開口量が変化して、被制御流体の流量が制御される。
【0005】この先行技術にあっては、二つのダイヤフラム部122,123を一体に有する弁機構体120を用いることによって、従来の機械的あるいは電気的手段では追従することができなかった瞬間的な圧力変化あるいは脈動のような変化に対し、瞬時に対応することができるという大きな有利性を備える。また、機構的にも簡単かつ単純で、設備および維持上の利点が大きい。
【0006】しかしながら、この先行技術においては、前記弁機構体120が第一ダイヤフラム部122側と第二ダイヤフラム部123側とが一体に結合されていることにより、次のような問題が新たに生ずることがわかった。すなわち、流出側(二次側)につまりや閉状態などの負荷の増大が生じ流出部112側の第二ダイヤフラム部123に大きな背圧が加わった場合には、弁機構体120に多大な負荷がかかるということである。弁機構体120に大きな負荷がかかると、まず、第一ダイヤフラム部122と第二ダイヤフラム部123の固着部(通常は螺着部)に劣化や損傷を生ずるするおそれがある。同時に、流出部112側の背圧により弁機構体120の弁部121が移動して弁座113を閉じる場合には、第一加圧手段151から第一ダイヤフラム部122側を介してかかる設定圧力のほかに第二ダイヤフラム部123側にかかる外向きの背圧が加わるので、当該弁機構体120の弁部121とボディ本体110の弁座113との間に大きな摩擦力が働き、それらの破損や塵(パーティクル)の発生を招くおそれがある。
【0007】これらの問題は流量コントロールバルブの故障の因となりその機能ならびに耐久性を低下させるのみならず、流量制御の信頼性を損ねることにもなりかねない。また、この種のバルブは超純水や薬液等に用いられることが多く、微細な塵の発生はそのような用途へのこの種バルブの適用を拒絶する。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】この発明は、このような問題に対処するために提案されたものであって、流出側(二次側)の負荷の増大に伴って発生するバルブの劣化、損傷あるいは塵の発生等の不具合を一挙に解消することができる新規な流量コントロールバルブの構造を提供することを目的とする。また、この発明は、さらに進んで、二次側を閉状態とすることができ、これによって新たな使用態様を可能にする流量コントロールバルブの構造を提供することを目的とする。もちろん、この発明は、機械的あるいは電気的な複雑かつ高価な機構を用いることなく、ダイヤフラム機構を採用することによって、瞬間的な負荷変動あるいは脈動のような変化に対しても、瞬時に対応することができ、機構的にも簡単かつ単純で、設備および維持上においても優れた流量コントロールバルブを提供することを目的とする。
【0009】
【課題を解決するための手段】すなわち、請求項1の発明は、一側に被制御流体の流入部(12)を有し弁座(16)を介して他側に被制御流体の流出部(15)が形成されたチャンバ(20)を有するボディ本体(11)と、前記弁座を開閉する弁部(41)と前記流入部側に配された第一ダイヤフラム部(50)と前記流出部側に配された第二ダイヤフラム部(60)とを有する弁機構体(40)とからなり、前記各ダイヤフラム部は、それらの外周部が前記ボディ本体に固定されて前記チャンバ内に取り付けられていて、該チャンバを第一ダイヤフラム部外側の第一加圧室(21)、前記第一ダイヤフラム部及び第二ダイヤフラム部に囲まれ前記流入部及び弁座ならびに流出部を有する弁室(25)、及び第二ダイヤフラム部外側の第二加圧室(30)に区分しており、前記第一加圧室及び第二加圧室に設けられた第一加圧手段(M1)及び第二加圧手段(M2)によって前記第一ダイヤフラム部及び第二ダイヤフラム部を常時弁室方向に一定圧力を加えるようにしてなる流量コントロールバルブ(10)において、前記弁機構体(40)の第一ダイヤフラム部(50)に弁部(41)を有する第一部材(51)を一体に設けるとともに、前記第二ダイヤフラム部(60)には前記第一部材と分離自在に遊嵌結合された第二部材(61)を一体に設けたことを特徴とする流量コントロールバルブに係る。
【0010】また、請求項2の発明は、請求項1において、前記弁機構体の第一部材と第二部材の結合部が円台錐形状の凸部(52)と凹部(62)によって形成されている流量コントロールバルブに係る。
【0011】請求項3の発明は、請求項1または2において、前記第一加圧室の加圧手段がバネ(S1)よりなる流量コントロールバルブに係る。
【0012】さらに、請求項4の発明は、請求項1ないし3のいずれかにおいて、前記第二加圧室の加圧手段が加圧気体(A1)よりなる流量コントロールバルブに係る。
【0013】請求項5の発明は、請求項4において、前記第二加圧室の加圧気体の給気ポート(31)に逆止弁(35)が設けられている流量コントロールバルブに係る。
【0014】請求項6の発明は、請求項4または5において、前記第二加圧室の加圧気体の給気回路(36)に絞り機構(37)が配置されている流量コントロールバルブに係る。
【0015】請求項7の発明は、請求項4ないし6のいずれかにおいて、前記第二加圧室の排気回路(38)に絞り機構(39)が配置されている流量コントロールバルブに係る。
【0016】請求項8の発明は、請求項1ないし7のいずれかにおいて、前記第二ダイヤフラム部にサックバック機構(70)が設けられている流量コントロールバルブに係る。
【0017】請求項9の発明は、請求項8おいて、前記サックバック機構が第二ダイヤフラム部を弁室方向と反対方向に付勢するバネ(S2)よりなる流量コントロールバルブに係る。
【0018】
【発明の実施の形態】以下添付の図面に従ってこの発明を詳細に説明する。図1はこの発明の一実施例に係る流量コントロールバルブの縦断面図、図2はその流量制御状態を示す縦断面図、図3は同じくその弁座閉状態を示す縦断面図、図4は第二加圧室の加圧気体の給気ポート部分を拡大して示す部分断面図、図5はこの発明の加圧手段の設定エアー圧力および被制御流体の圧力・流量変化を参考例と比較して示すグラフ図、図6はこの発明の流量コントロールバルブを複数同時に使用する状態を表す概略配置図、図7は参考例の流量コントロールバルブを複数同時に使用する状態を表す概略配置図、図8はこの発明の他の実施例に係る流量コントロールバルブの弁座閉状態を示す縦断面図、図9は図8の実施例における加圧手段の設定圧力と被制御流体の流量の関係を示すグラフ図である。
【0019】図1に示す流量コントロールバルブ10は、この発明の一実施例に係るもので、ボディ本体11と、該ボディ本体11に形成されたチャンバ20に装置される弁機構体40とからなる。
【0020】ボディ本体11は、フッ素樹脂等の耐蝕性及び耐薬品性の高い樹脂から形成されてなり、一側に被制御流体のための流入部12を有し、弁座16を介して他側に被制御流体のための流出部15が形成されたチャンバ20を有している。本実施例のボディ本体11は、図示のように、第1ブロック11a,第2ブロック11b,第3ブロック11cに分割され、これらを一体に組み付けて構成されている。なお、前記流出部15には適宜の口径を有するオリフィス(図示せず)が取り付けられることもある。また、前記流入部12には流入用配管(図示せず)、流出部15には流出用配管P(図2及び図3参照)がそれぞれ接続される。
【0021】弁機構体40は、ボディ本体11と同様に、フッ素樹脂等の耐蝕性及び耐薬品性の高い樹脂から形成され、弁部41と、第一ダイヤフラム部50と、第二ダイヤフラム部60とを有する。
【0022】弁機構体40の各部について説明する。前記弁部41は前記弁座16を開閉するとともに、弁座16に接近離間して両者間に形成される開口を制御する流通制御部を構成するものである。本実施例では、当該弁部41の表面はテーパ面42にて形成され、流通制御部を線状に制御するように構成されている。
【0023】第一ダイヤフラム部50は、前記弁部41と一体に形成されており、ダイヤフラム面である薄肉の可動部50aと、その外周側の外周部50bを有する。第二ダイヤフラム部60は、ダイヤフラム面である薄肉の可動部60aと、その外周側の外周部60bを有する。なお、各ダイヤフラム部50,60の薄肉可動部50a,60aの面積(ダイヤフラム有効面積)は、制御性が良好となるよう、つまり、瞬間的な負荷変動あるいは脈動のような変化に対しても、瞬時に対応することができるよう、それぞれ所定値に設定される。
【0024】この発明構造においては、前記弁機構体40の第一ダイヤフラム部50には弁部41を有する第一部材51が一体に設けられるとともに、前記第二ダイヤフラム部60には前記第一部材51と分離自在に遊嵌結合された第二部材61が一体に設けられている。図示した実施例では、請求項2に記載の発明のように、前記第一部材51と第二部材61の遊嵌結合部は、第一部材51に形成された円台錘形状の凸部52と第二部材61に形成された円台錘形状の凹部62によって構成されている。この例とは逆に第一部材51に円台錘形状の凹部を、第二部材61に円台錘形状の凸部が形成されてもよい。このように構成することによって、第一部材51と第二部材61の結合時における位置決めが確実に行える利点がある。なお、第一部材51及び第二部材61は、それぞれ、第一ダイヤフラム部50及び第二ダイヤフラム部60と一体に形成してもよく、あるいは独立して形成して螺着等によって一体に結合してもよい。図示の符号80は後述する第一加圧手段であるバネS1のためのバネ受け部であって、第一ダイヤフラム部50に螺着や遊嵌等、適宜手段により係着されている。バネを用いない場合にはこのバネ受け部80は不要である。
【0025】前記各ダイヤフラム部50,60は、それらの外周部50b,60bがボディ本体11に固定されて、前記チャンバ20内に取り付けられる。実施例では、図のように、第一ダイヤフラム部50の外周部50bがボディ本体11を構成する第1ブロック11aと第2ブロック11b間に、第二ダイヤフラム部60の外周部60bが第2ブロック11bと第3ブロック11c間に、それぞれ挟着されて固定されている。図示の符号81はボディ本体11と第一ダイヤフラム部50間をシールするためのシール部材、82はボディ本体11と第二ダイヤフラム部60間をシールするためのシール部材である。そして、これらの第一ダイヤフラム部50及び第二ダイヤフラム部60の取付によって、前記チャンバ20は、順に第一加圧室21,弁室25,第二加圧室30に区分される。
【0026】次に前記チャンバ20の各室について、さらに説明する。第一加圧室21は、第一ダイヤフラム部50の外側(図では下側)に位置し、第一ダイヤフラム部50に対して常時弁室方向(内向き、図では上向き)に一定圧力(第一設定圧力)を加える第一加圧手段M1を備える。実施例における前記第一加圧手段M1は、請求項3に記載の発明のように、バネS1よりなり、所定バネ定数のバネS1は第一加圧室21の底部と第一ダイヤフラム部50に形成されたバネ受け部80との間に装着される。このように加圧手段M1をバネS1とすれば、構造が簡単となり、コスト的に有利である。もちろん、前記加圧手段M1はバネS1に限定されることはなく、加圧気体を採用したり、あるいは、バネと加圧気体の両方を採用したり、さらにはソレノイド(電磁石)等を採用してもよい。なお、バネ単独で使用する場合には、図示しないが、バネ押え部材を螺着して荷重調節自在なバネ装置とすることが望ましい。また、該荷重調節自在なバネ装置にサーボモータ等を接続してバネ定数を自動制御できるように構成してもよい。図示の符号22は第一加圧室21内の空気の出入りを行う呼吸路を表す。
【0027】弁室25は、第一ダイヤフラム部50及び第二ダイヤフラム部60に囲まれ、前記流入部12、及び前記弁機構体40の弁部41に対応する弁座16、並びに前記流出部15を有している。この実施例の弁座16はボディ本体11の第2ブロック11bの角部がこの機能を果している。この弁室25において、弁機構体40の弁部41の移動によって、弁部41と弁座16との間の開口量が変化して流入部12側から流出部15側へ流通する被制御流体の流量が制御される。
【0028】第二加圧室30は、第二ダイヤフラム部60の外側(図では上側)に位置し、第二ダイヤフラム部60に対して常時弁室方向(内向き、図では下向き)に一定圧力(第二設定圧力)を加える第二加圧手段M2を備える。図示の実施例では、請求項4に記載した発明のように、第二加圧手段M2を加圧気体A1より構成している。第二加圧手段M2を加圧気体A1とする場合には、その設定圧力の調整が容易であるとともに、大きな設定圧力が要求される場合に有効であるという利点を有する。図示の第二加圧室30に関し、符号31は加圧気体のための給気ポート、32はその排気ポートである。気体の加圧装置は図示が省略されている。なお、第二加圧手段M2として、前記した荷重調節自在なバネ装置やソレノイド等を採用してもよい。
【0029】次に、上記した発明に係る流量コントロールバルブ10の作用について、図2及び図3を参照しつつ説明する。この発明の流量コントロールバルブ10によれば、前記第一加圧室21および第二加圧室30の加圧手段M1,M2によって、弁機構体40に対して、その第一ダイヤフラム部50および第二ダイヤフラム部60を介して、常時弁室方向、つまり内向きの第一設定圧力および第二設定圧力が加えられている。通常の制御状態(通水状態)では、図2に示したように、前記第一設定圧力および第二設定圧力は被制御流体が所定流量のとき釣合いを保つように構成されていて、弁機構体40の弁部41と弁室25の弁座16との間の開口量は一定間隔に保たれている。これによって、流入部12側(一次側)から弁室25内に流入した被制御流体は所定の流量だけ流出部15側(二次側)へ流出される。
【0030】流入部12側(一次側)において被制御流体に何らかの変化があると、その変化は一次側の圧力変動として現れ、前記第二設定圧力が加えられている弁機構体40の第二ダイヤフラム部60に対する背圧(外向きの圧力)変動として現れる。この一次側の外向きの変動圧力と前記各加圧手段M1,M2による内向きの設定圧力とが釣合いを保とうとして、弁機構体40を変動させる。弁機構体40の変動に伴ってその弁部41が位置移動を生じ、弁部41と弁座16間の開口量が変化して、被制御流体の流量が制御される。この通常の制御状態では内向きの設定圧力と外向きの背圧とが釣り合いを保っているので、前記弁機構体40の第一部材51と第二部材61とは一体の結合状態で作動する。
【0031】これに対して、流出部15側の圧力が高くなった場合、例えばその一例として図3に示すような流出側の配管Pのバルブを閉じた場合には、背圧すなわち弁機構体40の各ダイヤフラム部50,60(特には第二ダイヤフラム部60)に作用する外向きの圧力は、図2の通常制御状態に比して高くなる。その結果、第二ダイヤフラム部60は外向き(図の上向き)に移動し、それに伴って弁部41および第一ダイヤフラム部50は第二ダイヤフラム部60側に移動し、弁座16が弁部41により閉じられる。このとき、弁部41および第一ダイヤフラム部50を弁室方向に移動させる力は前記第一加圧手段M1による圧力のみである。
【0032】そして、前記弁座16が閉じた後、さらに背圧が第二ダイヤフラム部60に作用すると、図3に示したように、前記弁機構体40の第一ダイヤフラム部50側の第一部材51と第二ダイヤフラム部60側の第二部材61は分離する。このことは、第二ダイヤフラム部60に大きな背圧がかかっても、弁機構体40全体にはその負荷がかからないことを意味する。すなわち、第一部材51と第二部材61とが遊離することによって、弁機構体40は第一ダイヤフラム部50側と第二ダイヤフラム部60側に分離し、第一ダイヤフラム部50の弁部41は第一加圧手段M1による圧力のみによって弁座16を閉じる一方、第二ダイヤフラム部60のダイヤフラム面60aはそれ以上の背圧を吸収するのである。
【0033】このように、この発明構造にあっては、従来のこの種バルブの問題点であった、弁機構体40全体に多大な負荷がかかって弁機構体40の固着部が劣化、損傷したり、あるいは弁機構体40の弁部41やボディ本体11の弁座16が破損したり、塵が発生することをことごとく防止することができるのである。
【0034】さらに進んで、この発明構造にあっては、上に述べた図2の例のように、二次側を閉状態とすることが問題なくできるので、流量を制御しつつその開閉の切り替えも可能になるという、この種流量コントロールバルブにおける全く新たな使用態様が可能となる。この使用態様は、例えば積算流量計の信号によって二次側配管を閉じるという、従来のこの種バルブでは全く不可能であったことを可能にする。さらにまた、同様に、第二加圧室の第二加圧手段M2の作用を停止することによっても、二次側を閉状態とするができるようになった。
【0035】次に、この発明のバリエーションについて、さらに説明する。図1ないし図3に図示した実施例では、請求項5の発明として規定し、図4の拡大図に示したように、前記第二加圧室30の加圧気体A1の給気ポート31にゴム等の弾性(可撓性)を有する弁体35aを備えた逆止弁35が設けられている。このような逆止弁35を設置することにより、万一第二ダイヤフラム部60が破れた場合でも、被制御流体の給気ポート31への逆流を逆止弁35により阻止することができ、逆流によって発生する給気側の電磁弁等の制御機器若しくは圧力調整機器等の故障、破損を防止することができる。なお、図4の(4A)は通常の制御状態を表し、加圧気体の圧力により前記逆止弁35の弁体35aは気体流路36bを開放している。他方、図4の(4B)は第二ダイヤフラム部60が破れて第二加圧室30側へ被制御流体が漏れた状態を表し、該被制御流体の圧力により前記逆止弁35の弁体35aは弾性変形して気体流路36bを塞いでいる。
【0036】また、この実施例では、請求項6の発明として規定したように、前記第二加圧室30の加圧気体A1の給気回路36(前記給気ポート31を含む。)の所定位置に絞り弁等の絞り機構37が配置されている。この絞り機構37により、図5の(5A)の実線で示したように、第二加圧手段M2の第二設定エアー圧力を徐々に(緩やかに)変化させることができ、図の点線に示されるように被制御流体の圧力および流量も急激ではなく徐々に変化させることができる。これによって、水激現象(ウォーターハンマー)を防ぐことができる。なお、図5の(5B)は、参考例として前記第二加圧室の加圧気体の給気回路に絞り機構がない場合における第二加圧手段の設定エアー圧力および被制御流体の圧力・流量変化を示すもので、図から明らかなように、この場合には、第二設定エアー圧力が急激に変化し、これに伴い被制御流体の流量も急激に変化し、ウォーターハンマーが生ずるおそれがある。
【0037】さらに、この実施例では、請求項7の発明として規定したように、前記第二加圧室30の加圧気体A1の排気回路38(前記排気ポート32を含む。)の所定位置にも絞り機構39が配置されている。この絞り機構39により、前記加圧気体A1の排気量を前記絞り機構39により制御することができ、図6に示すように、例えば、一の供給部から複数の配給部へ分けて被制御流体を配給する等、当該流量コントロールバルブ10を複数同時に使用する場合、特には各バルブ10A,10B,10Cの加圧気体A1の第二設定エアー圧力を同圧力として使用する際、仮に各バルブ10A,10B,10C間に個体差があったとしても、前記絞り機構39を調整することにより、前記給気ポート31への給気圧力を調整しなくても、各々のバルブに合わせて目的の被制御流体の流量及び圧力を得ることができる。従って、単一の圧力調整機器C(通常、各バルブ10A,10B,10Cの給気回路36に設置される。)を用いた場合にも、各バルブ10A,10B,10Cにおける被制御流体の流量及び圧力のバラツキを解消することができる。また、前記絞り機構39の調節によって、被制御流体の流量を設定することも可能となる利点がある。
【0038】なお、図7に参考例として示す前記第二加圧室の加圧気体の排気回路38Dに絞り機構を設けない流量コントロールバルブを複数同時に使用する場合には、各バルブ10D,10E,10F間の個体差に起因して各バルブ10D,10E,10F間に生じる被制御流体の流量及び圧力のバラツキを解消するため、各バルブ10D,10E,10Fについてそれぞれ圧力調整機器C1,C2,C3および計測器(図示せず)を設置する必要がある。図7中の符号31Dは加圧気体の給気ポート、32Dは加圧気体の排気ポート、36Dは加圧気体の給気回路、37Dは前記給気回路に配置された絞り機構である。
【0039】図8には、この発明の他の実施例に係る流量コントロールバルブ10Yが示されている。なお、以下の説明および図8において先に説明した実施例の流量コントロールバルブ10の部材と同一部材については同一符号を付して、説明を省略する。この例の流量コントロールバルブ10Yは、請求項8の発明として規定したように、前記第二ダイヤフラム部60にサックバック機構70を設けたものである。図示の例では、さらに請求項9の発明として規定したように、前記サックバック機構70は第二ダイヤフラム部60を弁室方向と反対方向、つまり前記第二加圧手段M2とは反対の外向きに付勢する所定バネ定数のバネS2より構成されている。該バネS2は第二ダイヤフラム部60に取り付けられたバネ受け部71を介して第二ダイヤフラム部60を弁室方向と反対方向に付勢している。サックバック機構70はこのバネS2に限定されず、他の駆動装置等を採用してもよい。
【0040】上のサックバック機構70を設けた場合には、流量コントロールバルブ10Yの第二加圧手段M2の設定圧力を所定値以下に下げて弁座16の開閉を行うときに、該サックバック機構70が働いて、弁座16が閉じた後弁室25の流出部15側の容積が大きくなり、バルブ10Y内の圧力が下がり、バルブ10Yの流出部15と接続される流出用配管P内の液体をバルブ10Y内へ引き戻し、いわゆる液だれを防ぐことができる。なお、図9にはこの例における第二加圧手段M2の設定圧力と被制御流体の流量の関係が示され、図から理解されるように、前記第二加圧手段M2の設定圧力をa値以下に下げると被制御流体の流量の値は0になる。なお、図9中の符号bはサックバック予定量を示す。
【0041】
【発明の効果】以上図示し説明したように、この発明の流量コントロールバルブにあっては、流出側(二次側)の負荷の増大に伴って発生するバルブの劣化、損傷あるいは塵の発生等の不具合を一挙に解消することができ、その機能ならびに耐久性を向上させ、流量制御の信頼性を高めることができる。特に、被制御流体が超純水や薬液等である場合には、高い適用性を有する。
【0042】また、さらに進んで、この発明に係る流量コントロールバルブにあっては、従来のこの種バルブには不可能とされていた二次側を閉状態とすることが可能となり、これによって前述したような新たな使用態様が作出され、この種コントロールバルブの利便性が大幅に向上する。
【0043】加えて、この発明構造によれば、ダイヤフラム機構を採用することによって、瞬間的な負荷変動あるいは脈動のような変化に対しても、瞬時に対応することができ、さらに、機械的あるいは電気的な複雑かつ高価な機構を用いるものではないので、機構的にも簡単かつ単純で、設備および維持上においても大きな有利性を備える。
【出願人】 【識別番号】000101514
【氏名又は名称】アドバンス電気工業株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100079050
【弁理士】
【氏名又は名称】後藤 憲秋 (外1名)
【公開番号】 特開2000−193106(P2000−193106A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−370486