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【発明の名称】 弾性部材の固定構造
【発明者】 【氏名】安藤 佳史

【氏名】前川 久満

【氏名】岩下 哲也

【要約】 【課題】固定部分と可撓部分の境目部分に生じる亀裂破損を防止する弾性部材の固定構造を提供すること【解決手段】 本発明にかかる弾性部材の固定構造は、強固に挟み込まれて固定される固定部分34と、その固定部分34から連続して一体成形された可撓部分33とを有する流体機器に用いられる弾性部材3であって、流体機器の動作に従って可撓部分33が弾性変形を繰り返えして機能するように固定部分34を所定箇所27に取り付けるものであり、弾性変形の際に弾性部材3の可撓部分33の伸びによって引っ張られる固定部分34が、固定箇所27の固定面との間で滑るように固定部分34の表面と固定面との間に低摩擦部材36を介在させた。

【解決手段】本発明にかかる弾性部材の固定構造は、強固に挟み込まれて固定される固定部分34と、その固定部分34から連続して一体成形された可撓部分33とを有する流体機器に用いられる弾性部材3であって、流体機器の動作に従って可撓部分33が弾性変形を繰り返えして機能するように固定部分34を所定箇所27に取り付けるものであり、弾性変形の際に弾性部材3の可撓部分33の伸びによって引っ張られる固定部分34が、固定箇所27の固定面との間で滑るように固定部分34の表面と固定面との間に低摩擦部材36を介在させた。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 強固に挟み込まれて固定される固定部分と、その固定部分から連続して一体成形された可撓部分とを有する流体機器に用いられる弾性部材であって、流体機器の動作に従って可撓部分が弾性変形を繰り返えして機能するように固定部分を所定箇所に取り付ける弾性部材の固定構造において、弾性変形の際に前記弾性部材の可撓部分の伸びによって引っ張られる前記弾性部材の固定部分が、固定箇所の固定面との間で滑るように前記固定部分の表面と固定面との間に低摩擦部材を介在させたことを特徴とする弾性部材の固定構造。
【請求項2】 請求項1に記載する弾性部材の固定構造において、前記低摩擦部材は、前記弾性部材の固定部分と前記固定面との間に挿入された低摩擦シートであることを特徴とする弾性部材の固定構造。
【請求項3】 請求項1に記載する弾性部材の固定構造において、前記低摩擦部材は、前記弾性部材の固定部分に施したコーティング又は複合メッキであることを特徴とする弾性部材の固定構造。
【請求項4】 請求項1に記載する弾性部材の固定構造において、前記低摩擦部材は、前記流体機器の固定面に施したコーティング又は複合メッキであることを特徴とする弾性部材の固定構造。
【請求項5】 膜からなる可撓部分の周縁に環状の固定部分を有するダイアフラムを、流体機器の取り付け箇所に固定部分を強固に挟み込んで固定し、ダイアフラムを撓ませた際に可撓部分が伸びて引っ張られる固定部分が取り付け箇所の固定面との間で滑るように、ダイアフラムの固定部分と取り付け箇所の固定面との間に低摩擦シートを挟み込んだことを特徴とする弾性部材の固定構造。
【請求項6】 請求項5に記載の弾性部材の固定構造において、前記低摩擦シートは、前記固定部分から可撓部分にまで突き出され、可撓部分の撓みに従って撓むことを特徴とする弾性部材の固定構造。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、例えば、ダイアフラム弁に用いられる弾性部材であるダイアフラムを弁本体に固定させる等の弾性部材の固定構造に関し、更に詳細には、その弾性部材の固定部分を強固に固定するために、固定部分と可撓部分との境目部分にかかる内部応力によって生じる破損を防止する弾性部材の固定構造に関する。
【0002】
【従来の技術】弾性部材は、その弾性変形によって形状が自由に変化することなどから流体機器の各所に利用されている。具体的には、気密に仕切った空間の容積を変化させるためのダイアフラムや、仕切った空間の気密性を保ってピストンを移動させるためのパッキンなどである。このような流体機器に用いられる弾性部材は、流体機器内に直接固定する固定部分と、その固定部分から連続して弾性変形によって撓みを生じる可撓部分との少なくとも2つの部分からなり、その固定部分が強固に挟持されて固定されている。図6及び図7は、そのような弾性部材の一例であるダイアフラムを示した一部断面図であり、特に図7は変形状態での内部応力の分布を示したものである。
【0003】ダイアフラム100は円盤形状をなし、その中心に厚肉な弁体部分101が、その外周には薄肉の可撓部分102が連続し、更にその外周には厚肉な固定部分103が連続して一体に成形されている。ダイアフラム100は、弁体部分101が可撓部分102の上方に凸状になるように、そして固定部分103が可撓部分102の下方に凸状になるように形成されている。一方、このダイアフラム100を備えるダイアフラム弁のボディ110は、弁座111を囲むように環状の固定溝112が形成され、そこにはめ込まれたダイアフラム100の固定部分103を上方から押圧部材121で押さえ込むように構成されている。そのため、ダイアフラム100は、その固定部分103がボディ110と押圧部材121とによって上下方向に加えられる力によって圧縮されて強固に固定されている。そこで、ダイアフラム100は、開弁時には可撓部分102が撓むことなく図6に示すように水平状態が保たれている。一方、ダイアフラム100の弁体部分101が下方へ加圧されるなどして押し下げられると、可撓部分102が図7に示すように下方へ撓められ、位置の下がった弁体部分101が弁座111へ当接して閉弁状態となる。一方、ダイアフラム100の弁体部分101が解放されて上方へ戻されると、弁体部分101が弁座111から離間して再び開弁状態となる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】ところで、このようなダイアフラム弁のダイアフラム100は、図6の開弁状態から図7の閉弁状態へと形状が変化するとき、その可撓部分102に撓みが生じる。ダイアフラム100は、開弁時の水平な状態でダイアフラムの寸法で形成されているため、図7のように撓められると弁体部分101と固定部分103との距離が広がり、可撓部分102に伸びが生じることとなる。その場合、可撓部分102は、湾曲して外側に膨らんだ部分が大きく伸ばされている。一方、ダイアフラム100の固定部分103は、ボディ110と押圧部材121とによって強く圧縮されて接触面の摩擦係数が大きくなって、変形が起こりにくくなっている。そのため、可撓部分102が撓んでも固定部分103には連続した弾性変形が起こらず、可撓部分102のみが伸ばされて図7に示すような引張応力が作用することとなる。ここで、図7で示す応力分布は、圧縮応力が作用する部分をクロス斜線とし、引張応力が作用する部分を斑点及び黒塗りとした。そして、応力の大きさに比例させてクロス斜線及び斑点の密度を高くした。図4で示す応力分布も同様である。
【0005】即ち、ダイアフラム100は、固定部分103がボディ110と押圧部材121とに強固に挟み込まれているため、固定部分103が可撓部分102側へ引っ張られても、その固定部分103には可撓部分102に連続した引っ張りによる変形が生じない。従って、可撓部分102の伸びによる変形が固定部分103との境目で途切れることから、そこに応力集中が生じて図7に示すP部に最も大きな引張応力が働いていた。そのため、これまではダイアフラム弁の開閉動作が数万〜数十万回繰り返えされると、P部に亀裂破損が生じてダイアフラム100が寿命となってしまっていた。
【0006】ところで、このような固定部分と可撓部分との境目部分に生じる亀裂破損は、ダイアフラムに限らず、例えばスプール弁に設けられるスプールパッキン等にも見られる問題であった。一方、ダイアフラム100に亀裂破損が生じると漏れを発生させるなどの問題が生じるため、従来のダイアフラムでは、強度を高めるために内部に基布などを補強材として一体成形するようなことが行われ、コストアップになるといった問題もあった。
【0007】そこで本発明は、かかる問題を解消すべく、固定部分と可撓部分との境目部分に生じる亀裂破損を防止する弾性部材の固定構造を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】そこで、本発明にかかる弾性部材の固定構造は、強固に挟み込まれて固定される固定部分と、その固定部分から連続して一体成形された可撓部分とを有する流体機器に用いられる弾性部材であって、流体機器の動作に従って可撓部分が弾性変形を繰り返えして機能するように固定部分を所定箇所に取り付けるものであり、弾性変形の際に前記弾性部材の可撓部分の伸びによって引っ張られる前記弾性部材の固定部分が、固定箇所の固定面との間で滑るように前記固定部分の表面と固定面との間に低摩擦部材を介在させたことを特徴とする。よって、本発明にかかる弾性部材の固定構造では、撓められた可撓部分に伸びが生じると、流体機器の固定箇所に挟まれた固定部分は、低摩擦部材によって可撓部分に連続する部分が引っ張られて滑るため、固定部分の弾性変形によって亀裂を起こさせる応力集中をなくし、弾性部材の固定部分と可撓部分との境目部分の亀裂破損を防止する。
【0009】また、本発明にかかる弾性部材の固定構造は、前記低摩擦部材が、前記弾性部材の固定部分と前記固定面との間に挿入された低摩擦シートであることを特徴とする。また、本発明にかかる弾性部材の固定構造は、前記低摩擦部材が前記弾性部材の固定部分に施したコーティング又は複合メッキであることを特徴とする。また、本発明にかかる弾性部材の固定構造は、前記低摩擦部材が、前記流体機器の固定面に施したコーティング又は複合メッキであることを特徴とする。よって、本発明にかかる弾性部材の固定構造では、低摩擦シートやコーティング或いは複合メッキといった簡易な構成によって、固定部分と可撓部分との境目部分に生じる亀裂破損を防止することができる。
【0010】また、本発明にかかる弾性部材の固定構造は、膜からなる可撓部分の周縁に環状の固定部分を有するダイアフラムを、流体機器の取り付け箇所に固定部分を強固に挟み込んで固定し、ダイアフラムを撓ませた際に可撓部分が伸びて引っ張られる固定部分が取り付け箇所の固定面との間で滑るように、ダイアフラムの固定部分と取り付け箇所の固定面との間に低摩擦シートを挟み込んだことを特徴とする。よって、本発明にかかる弾性部材の固定構造では、撓められたダイアフラムの可撓部分に伸びが生じると、流体機器の固定箇所に挟まれたダイアフラムの固定部分は、低摩擦部材によって可撓部分に連続する部分が引っ張られて滑るため、その固定部分の弾性変形によって亀裂を起こさせる応力集中をなくし、ダイアフラムの可撓部分と固定部分との境目部分の亀裂破損を防止する。また、本発明にかかる弾性部材の固定構造は、前記低摩擦シートが、前記固定部分から可撓部分にまで突き出され、可撓部分の撓みに従って撓むことを特徴とする。よって、ダイアフラムを固定する固定箇所の角部にダイアフラムの可撓部分が擦れることがなくなり、寿命を延ばすことができる。
【0011】
【発明の実施の形態】次に、本発明にかかる弾性部材の固定構造の第一実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態は、流体機器としてダイアフラム弁を挙げ、そこに設けられる弾性部材であるダイアフラムの固定構造を例に挙げて説明する。図1及び図2は、ダイアフラム弁を示した断面図であり、図1は閉弁状態を示し、図2は開弁状態を示している。このダイアフラム弁1は、駆動手段としてソレノイドを有している。ヨーク11に画設された中心にはコア12が垂設固定され、その周りにコイル13がヨーク11内で巻回されている。コア12は、コイル13のほぼ中間位置にまで上方から挿入されており、その下方からはプランジャ14が挿入されている。また、コア12とプランジャ14との間にはスプリング15が設けられ、プランジャ14が下方へ付勢されている。プランジャ14は、底板ヨーク16の中心に形成されたガイド孔16aを上下に摺動するように嵌挿されている。そして、底板ヨーク16の外周には環状に凹部が形成され、底板ヨーク16にはめ込んだヨーク11の端部を凹部側に押し潰して位置決めし、ソレノイドが一体に構成されている。
【0012】底板ヨーク16には、下方にボディ21が固定されて駆動手段のソレノイドと弁部とが一体になっている。そのボディ21には、側面のほぼ対称位置に入力ポート22と出力ポート23とが開設され、共に上面へ開設された流路24,25につながっている。入力ポート22側の流路24開口部分には、ボディ21上面に環状に隆起した弁座26が形成されている。そして、ボディ21の上面には、流路24,25の開口を囲んだ環状の固定溝27が形成されている。固定溝27の周りには更に突設されたガイド28が形成され、そのガイド28内に環形状の押圧部材29がはめ込まれるよう構成されている。そして、このダイアフラム弁1のダイアフラム3は、プランジャ14の下端に一体に設けられている。図3は、ダイアフラム弁1の弁部を示した拡大断面図である。ダイアフラム3は、円盤形状をなし、その中心には弁座26より広径の厚肉な弁体部分31が形成されている。弁体部分31は、プランジャ14下端に連結できるように、嵌合可能な連結部分32が形成されている。そして、弁体部分31の外周には薄肉な可撓部分33が連続し、更に可撓部分33の外周には厚肉な固定部分34が連続して成形されている。
【0013】そこで、このダイアフラム弁1の組み付けには、先ずボディ21の固定溝27にダイアフラム3の固定部分34をはめ込んで配置させる。よって、ボディ21の上面に開設された流路24,25の開口は、ダイアフラム3によって塞がれることとなる。そして、押圧部材29をガイド28内にはめ込んでダイアフラム3の固定部分34を上方から挟み込む。そこで、ボディ21にソレノイドを固定させれば、押圧部材29が底板ヨーク16によってボディ21側へ加圧されるので、ダイアフラム3の固定部分34がボディ21との間で強固に挟み込まれることになる。ところで、本実施の形態では、ダイアフラム3が前述したように固定する際には、固定部分34と押圧部材29との間にシート36を挟み込む。シート36は、フッ素樹脂で成形された厚さ0.1mmの環状シートであり、ダイアフラム3の固定部分34との外径がほぼ一致する大きさのものである。また、シート36の内径は、シート36がダイアフラム3の固定部分34と押圧部材29とが当接し合う部分より内側に突出する大きさで形成されている。
【0014】そこで、このような構成からなるダイアフラム弁1は、コイル13への非通電時にはプランジャ14がスプリング15の弾性力によって下方に押し下げられている。そのため、プランジャ14の下端に嵌合したダイアフラム3は、その弁体部分31が弁座26へ当接されて図1に示すように閉弁状態となる。従って、入力ポート22から流入した流体は、ダイアフラム3の弁体部分31によって遮断され、流路24から流路25へと流れることはない。一方、コイル13が通電されると、発生する磁界によってコア12が励磁され、プランジャ14がスプリング15の付勢力に抗して上昇し、コア12へと吸着される。そのとき、ダイアフラム3は、弁体部分31が持ち上げられて弁座26から離間し、ダイアフラム弁1は開弁状態となる。従って、入力ポート22から流入した流体は、流路24を流れてダイアフラム3の下方の弁室へと流入し、更にそこから流路25へと流れ込んで出力ポート23から排出される。
【0015】このダイアフラム弁1は、プランジャ14が上下動すると、ダイアフラム3の弁体部分31がプランジャ14に従って上下に移動する。そして、ダイアフラム3は、固定部分34が位置決めされているので、その固定部分34と弁体部分31との間では、弁の開閉に伴って可撓部分33が撓められる。特に、可撓部分33は、閉弁時に大きく撓められる。ところが本実施の形態では、ダイアフラム3の固定部分34が強固に挟み込まれているものの、その上面にはシート36が同時に挟み込まれているため、可撓部分33と固定部分34との境目に亀裂破損を起こさせる応力集中が生じないようになっている。即ち、ダイアフラム3の固定部分34の上面にはシート36が挟み込まれているため、固定部分34は、シート36との接触面の静摩擦係数が非常に小さくなっている。例えば、シートのない前記従来例の場合には、静摩擦係数μが0.5程度であったものが、本意実施の形態では0.05程度にまで低下している。
【0016】従って、シート36によって固定部分34の上面が滑りやすくなっているため、閉弁時にダイアフラム3の可撓部分33が大きく撓められて固定部分33と連続する部分に伸びが生じると、その可撓部分33を伸ばそうとする力によって固定部分34もシート36との接触面で滑って変形することとなる。ここで図4は、本実施の形態のダイアフラム弁1におけるダイアフラム3に生じる応力分布を示した一部断面図である。ダイアフラム3が閉弁時に撓められると、シート36に接する固定部分34の上面側に、可撓部分33が伸ばされる力によって矢印A方向への肉流れを生じる。そのため、これまで可撓部分と固定部分との境目部分(図7のP部分)に加わっていた力が、固定部分34の変形に消費され応力集中がなくなった。
【0017】これによって、従来例で可撓部分と固定部分との境目部分に働いていた力は、本実施の形態では固定部分34を引っ張って変形させることによって消費され、可撓部分33内に作用する引張応力が小さくなる。そのため、弁の開閉が繰り返されても、ダイアフラム3の可撓部分33と固定部分34との境目部分には亀裂破損が生じることがなくなり、これまでは数万〜数十万回で寿命となっていたダイアフラムが、数百万回でも亀裂破損が生じなくなり、ダイアフラムの長寿命化を実現することができた。また、これまでダイアフラムの可撓部分が撓む時、押圧部材の角部に当たって擦れてしまい、そこの摩耗によって寿命となるケースもあったが、本実施の形態では、シート36が押えとなって押圧部材29の角部との擦れを生じさせないようになった。そのため擦れによる摩耗がなくなり、この点からもダイアフラム3の長寿を延ばすことができた。
【0018】ところで、前記実施の形態ではダイアフラム3の固定部分34に滑りを生じさせるためにシート36を設けたが、この目的を達成するためには、他にもダイアフラム3の固定部分をコーティングしたり複合メッキを施すなどしてもよい。また、このコーティングや複合メッキは、ダイアフラム側でなくと押圧部材29側に施すようにしてもよい。なお、コーティングは、例えばPTFEコーティングやPFAコーティングなどで、接触面に厚さ10〜50μmの膜を形成する。また、複合メッキには、例えばPTFEパウダを混合させた無電解ニッケルメッキを施し、その厚さは5〜20μm程度である。そして、このようなコーティングや複合メッキは、ダイアフラム3の可撓部分33と押圧部材29とが擦れる部分の摩擦を抑え、ダイアフラムの摩耗防止といった効果も奏する。
【0019】次に、本発明にかかる弾性部材の固定構造の第二実施の形態について、図面を参照して説明する。本実施の形態では流体機器としてスプール弁を挙げ、これに用いられる弾性部材であるスプールパッキンの固定構造について説明する。図5は、スプール弁を示した一部断面図である。これは、スプール51が不図示のソレノイドなどによって、ボディ52内に大径部及び小径部とからなる流路切替空間53内を軸方向に移動するよう構成されている。そして、スプール51には、流路切替空間53の小径部分を摺接して気密に遮断させるスプールパッキン54が、環状の固定溝55内に嵌合されている。そこで、スプール51が軸方向へ移動し、スプールパッキン54が流路切替空間53の大径部分に位置すると、遮断が解除されて例えば矢印Bで示すように流体が流れる。すると、スプールパッキン54の固定溝55から突出した部分が、流体圧力で撓められる。そのため、前記従来例のダイアフラムのように、固定溝55内に固定された固定部分と突出して撓みが生じる可撓部分との境目部分で亀裂破損が生じないようにする必要がある。そこで、本実施の形態でも、スプールパッキン54が固定溝55内を滑るようにコーティングが施されている。なお、本実施の形態の場合にも、シートを挟んだり、複合メッキを施すようにしてもよい。従って、スプールパッキンは、固定部分と撓みが生じる部分との境目部分の亀裂破損を防止することができた。
【0020】以上、本発明にかかる弾性部材の固定構造について一実施の形態を示しが、本発明はこれらに限定されるわけではなく、その趣旨を逸脱しない範囲で様々な変更が可能である。例えば、前記実施の形態では、流体機器としてダイアフラム弁及びスプール弁を例に挙げて、そこに使用されるダイアフラムやスプールパッキンについて説明したが、これ以外の流体機器であって、強固に固定された固定部分と撓みが生じる可撓部分とがある弾性部材を備えるものであってよい。
【0021】
【発明の効果】本発明は、強固に挟み込まれて固定される固定部分と、その固定部分から連続して一体成形された可撓部分とを有する流体機器に用いられる弾性部材であって、流体機器の動作に従って可撓部分が弾性変形を繰り返えして機能するように固定部分を所定箇所に取り付けるものであり、弾性変形の際に前記弾性部材の可撓部分の伸びによって引っ張られる前記弾性部材の固定部分が、固定箇所の固定面との間で滑るように前記固定部分の表面と固定面との間に低摩擦部材を介在させた構成としたので、固定部分と可撓部分の境目部分に生じる亀裂破損を防止する弾性部材の固定構造を提供することができるようになった。
【出願人】 【識別番号】000106760
【氏名又は名称】シーケーディ株式会社
【出願日】 平成10年12月25日(1998.12.25)
【代理人】 【識別番号】100097009
【弁理士】
【氏名又は名称】富澤 孝 (外2名)
【公開番号】 特開2000−193105(P2000−193105A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−369043