トップ :: F 機械工学 照明 加熱 武器 爆破 :: F16 機械要素または単位;機械または装置の効果的機能を生じ維持するための一般的手段




【発明の名称】 流量制御弁
【発明者】 【氏名】鎌倉 正則

【氏名】平松 基彦

【要約】 【課題】回動可能な弁体17を有するロータリー式流量制御弁において、パッキン40、41のシール面圧のばらつきを抑えて、シール性の安定化と弁体の操作力の低減を図る。

【解決手段】ハウジング18のパッキン取付面5a、8bを弁体17と同心の円弧状にして、弁体17の外周面と取付面5a、8bとの間隔を一定にしている。また、パッキン40、41におけるシール部40b、41bと他方の面40c、41cの間の厚さtを一定にしている。これにより、シール部40b、41bの面圧がシール位置にかかわらず略均等になり、シール性が安定する。また、シール面圧の均等化により、従来のように全体的にシール面圧を高める必要がなくなり、弁体17の操作力を低減することができる。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 流体の出入口通路(5、8a)を有するハウジング(8、18)と、このハウジング(8、18)の内部に回動可能に収納され、かつ流体通路(17a)が形成された円柱状の弁体(17)と、前記ハウジング(8、18)の内部に配置され、一方の面が前記弁体(17)の外周面に接すると共に、他方の面(40c、41c)が、前記出入口通路(5、8a)の周囲に形成されたハウジング(8、18)の取付面(5a、8b)に接するパッキン(40、41)とを備え、前記パッキン(40、41)は前記出入口通路(5、8a)のうち少なくとも一方と連通する穴部(40a、41a)を有し、前記弁体(17)の回動により前記流体通路(17a)と前記穴部(40a、41a)との連通面積を変化させる流量制御弁において、前記ハウジング(8、18)の取付面(5a、8b)を前記弁体(17)と略同心の円弧状としたことを特徴とする流量制御弁。
【請求項2】 前記パッキン(40、41)は、前記一方の面(40b、41b)および他方の面(40c、41c)が前記弁体(17)と略同心の円弧状に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の流量制御弁。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、出入口通路間の連通面積を回動可能な弁体により制御するロータリー式の流量制御弁に関し、例えば車両用空調装置における温水流量の制御弁として好適である。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の回動可能な弁体を有するロータリー式流量制御弁においては、図4に示すように、円柱状の弁体100の外周面とこれに対向するハウジング101の取付面102との間に、シール用のパッキン103が挿入されている。このパッキン103には円形の穴部104が形成され、この穴部104の周囲には弁体100側に突出する環状のシール部105が形成されている。そして、シール部105と弁体100の外周面との接触により、弁体100とパッキン103間をシールしている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、パッキン103は、弁体100側が曲面で、取付面102側が平面であるため、パッキン103においてシール部105から取付面102までの寸法(厚さ)が一定でなく、従ってシール部105の面圧がシール位置によってばらつきやすく、シール面圧の低い個所でシール不良が発生してしまう恐れがある。そして、シール不良に対処するために全体的にシール面圧を高めるようにすると、弁体100の操作力が大きくなってしまうという問題が新たに生じる。
【0004】本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、回動可能な弁体を有するロータリー式流量制御弁において、シール面圧のばらつきを抑えて、シール性の安定化と弁体の操作力の低減を図ることを目的とする。
【0005】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため、請求項1および2に記載の発明では、円柱状の弁体(17)の外周面とハウジング(8、18)の取付面(5a、8b)との間にパッキン(40、41)を備え、弁体(17)の回動により弁体(17)の流体通路(17a)とパッキン(40、41)の穴部(40a、41a)との連通面積を変化させる流量制御弁において、ハウジング(8、18)の取付面(5a、8b)を弁体(17)と略同心の円弧状にしたことを特徴としている。
【0006】これによると、弁体(17)の外周面とハウジング(8、18)の取付面(5a、8b)との間隔が略一定になり、パッキン(40、41)の厚さ(t)も略一定にできるため、シール部(40b、41b)の面圧がシール位置にかかわらず略均等になり、シール性が安定する。また、シール面圧の均等化により、従来のように全体的にシール面圧を高める必要がなくなり、弁体(17)の操作力を低減することができる。
【0007】請求項2に記載の発明では、パッキン(40、41)の一方の面(40b、41b)および他方の面(40c、41c)が弁体(17)と略同心の円弧状に形成されていることを特徴としている。これによると、弁体(17)の外周面とハウジング(8、18)の取付面(5a、8b)との間の空間形状と、パッキン(40、41)の形状が、共に円弧状で略同一になる。従って、平板状のパッキンを円弧状の空間に組付ける場合と比較すると、パッキン(40、41)の組付けが容易である。しかも、パッキン(40、41)組付け後においてパッキン(40、41)に曲げ応力が発生しにくいので、シール面圧の均等化が容易であり、シール性がより一層安定する。
【0008】なお、上記した括弧内の符号は、後述する実施形態記載の具体的手段との対応関係を示すものである。
【0009】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図に示す実施形態について説明する。図1〜3は本発明の実施形態を示すもので、車両用空調装置の温水式暖房装置において、自動車走行用の水冷式エンジン1から暖房用熱交換器2へ供給される温水流量を制御するための流量制御弁に本発明を適用した例を示す。なお、暖房用熱交換器2は、エンジン1から供給される温水と送風空気とを熱交換して、送風空気を加熱するものである。また、エンジン1により駆動されるウォータポンプ3により、エンジン1の冷却水回路(温水回路)に水を循環させるようになっている。
【0010】4は本発明による流量制御弁で、樹脂製のハウジング18内に第1、第2の室30、31が形成され、各室30、31にそれぞれ弁手段(詳細後述)が配置されている。5はエンジン1に対して暖房用熱交換器2と並列に設けられた円形穴のバイパス出口通路、6は第1の室30に配置されてバイパス出口通路5を開閉する定差圧弁(弁手段)であり、その前後の差圧が予め定めた所定値に達すると開弁するもので、エンジン1の回転数変動によりウオータポンプ3の吐出圧が変動しても、暖房用熱交換器2の前後圧を一定に近づける役割を果たすものである。
【0011】この定差圧弁6は樹脂により形成され、円錐状の弁部6aと軸部6bを有し、弁部6aがバイパス出口通路5と対向し、第1の室30内に配置したスペーサ7に軸部6bが摺動自在に挿入され、コイルばね6cにより図1の上方向(閉弁方向)に押されている。27は弁座を形成する隔壁で、その中心部に両室30、31を連通する前述のバイパス出口通路5が形成されている。この通路5の定差圧弁6側の端部にはテーパー面27aが形成されており、弁部6aが円錐状に形成されていることと相まって、定差圧弁6の閉弁時には定差圧弁6の弁部6aがバイパス出口通路5の中心位置に自動的に案内される。
【0012】ハウジング18には、エンジン1からの温水が流入する第1の温水入口パイプ19、エンジン1に温水を還流させる第1の温水出口パイプ20、熱交換器2の出口からの温水が流入する第2の温水入口パイプ21、前記第1の温水入口パイプ19から流入した温水を熱交換器2に向けて流出させる第2の温水出口パイプ22が一体成形されている。
【0013】弁体17(弁手段)は樹脂材料(例えばポリアセタール)にて円柱状に成形され、ハウジング18の第2の室31に回動可能に配置され、収納されている。この弁体17は図示しない3つの開口部を有する温水の通路17a(流体通路)が内部に形成されている。ハウジング18の第2の室31には、ハウジングの一部をなすスペーサ8が配置され、このスペーサ8には第1の温水入口パイプ19内の通路と連通する円形の入口通路8aが形成され、この入口通路8aの周囲に弁体17の中心点Oと同心の円弧状の第1の取付面8bが形成されている。また、バイパス出口通路5の周囲に弁体17の中心点Oと同心の円弧状の第2の取付面5aが形成されている。
【0014】なお、第1、第2の取付面5a、8bは弁体17の中心点Oと完全に同心でなくてもよく、製造上通常発生する誤差を含み、機能上問題ない範囲で略同心であればよい。この第1、第2の取付面5a、8bと弁体17の外周面との間に第1、第2のパッキン40、41が配置され、弁体17の底面側には第3のパッキン42が配置されている。この3つのパッキン40、41、42は、耐熱性に優れるゴム材(例えばEPDM…エチレン−プロピレン−ジエンモノマー)よりなる。
【0015】弁体17の外周面側に位置する第1および第2のパッキン40、41は、図3に詳細に示すように、温水の通路となる円形の穴部40a、41aが形成されており、これらの穴部40a、41aは弁体17内の温水通路17aを介して連通可能である。パッキン40、41の内周側(弁体17と対向する面)には、穴部40a、41aの周囲に弁体17に向かって突出する環状のシール部40b、41bが形成され、このシール部40b、41bは弁体17の中心点Oと同心の円弧状に形成されている。
【0016】また、パッキン40、41の外周側(取付面8b、5aと接する面)にも、穴部40a、41aの周囲に取付面5a、8bに向かって突出する環状のシール部40c、41cが形成され、このシール部40c、41cも弁体17の中心点Oと同心の円弧状に形成されている。そして、このシール部40c、41cは内周側のシール部40b、41bよりも幅が広くなっており、内周側のシール部40b、41bの周方向の範囲α内では、パッキン40、41の径方向厚さtは一定である。
【0017】さらに、パッキン40、41の両端にはリップ部40d、41dが形成され、このリップ部40d、41dは、ハウジング18に組付け後のパッキン40、41の図1左右方向の位置決めに利用される。なお、各シール部40b、41b、40c、41cは弁体17の中心点Oと完全に同心でなくてもよく、製造上通常発生する誤差を含み、機能上問題ない範囲で略同心であればよい。また、パッキン40、41の径方向厚さtも、機能上問題ない範囲で略一定であればよい。
【0018】一方、弁体17の底面側に位置する第3のパッキン42の平面形状は矩形状に成形されている。このパッキン42には、温水の通路となる穴部42aが形成されており、この穴部42aは弁体17内の温水通路17aを介して他の穴部40a、41aと連通可能である。そして、第1のパッキン40の穴部40aが入口通路8aと連通し、第2のパッキン41の穴部41aがバイパス出口通路5と連通し、第3のパッキン42の穴部42aが第2の温水出口パイプ22側の通路と連通するように位置決めして組付けられる。
【0019】なお、3つのパッキン40、41、42は、弁体17内の温水通路17aを介することなく、入口通路8a、バイパス出口通路5および第2の温水出口パイプ22間で温水が直接流通してしまうことを防ぐために、弁体17の周囲に配置される。ハウジング18の端面(図1紙面手前側)には、シール部材50が組み込まれるシール溝51が形成されている。このシール溝51は、第1、第2の室30、31の開口部の外周側を囲む略長円状の外周溝部51aと、第1、第2の室30、31の間を仕切る直線状の仕切り溝部51bとからなる。
【0020】シール部材50は耐熱性に優れるゴム材(例えばEPDM)よりなり、平面形状はシール溝51と同形状で、断面は円形である。そして、ハウジング18の第1、第2の室30、31内に、定差圧弁6や弁体17等の構成部品を組み付けると共に、シール溝51にシール部材50を嵌め込む。次に、ハウジング18の端面形状と略同形状の樹脂製のカバー52を、ハウジング18との間にシール部材50を挟んだ状態で、図示しない止めネジにてハウジング18に固定する。これにより、第1、第2の室30、31の開口部を密封する。
【0021】このように組付けられた流量制御弁4は、弁体17が図示しないサーボモータまたは手動操作で回動されることにより、弁体17の各開口部と第1〜第3のパッキン40、41、42の穴部40a、41a、42aとの連通面積(開口面積)が変化する。この開口面積と弁体17の回動量(開度)との関係については、特開平10−44747号公報に詳しく述べられているので簡単に説明する。エンジン1からの温水の入口となる弁体17の開口部(第1のパッキン40の穴部40aと連通)、および暖房用熱交換器2への温水の出口となる弁体17の開口部(第3のパッキン42の穴部42aと連通)は、弁体17の開度の増加に伴って開口面積が増加する。一方、暖房用熱交換器2の温水出口側と連通する弁体17の開口部(第2のパッキン41の穴部41aと連通)は、弁体17の開度の増加に伴って開口面積が減少する。従って、弁体17の開度の調整により暖房用熱交換器2に流入する温水流量を制御して、暖房能力を調整することができる。
【0022】上記実施形態によると、弁体17の外周面とハウジング18の取付面5a、8bとの間隔が一定になり、また第1、第2のパッキン40、41の径方向厚さtも一定であるから、内周側シール部40b、41bの面圧がシール位置にかかわらず略均等になり、シール性が安定する。また、シール面圧の均等化により、従来のように全体的にシール面圧を高める必要がなくなり、弁体17の操作力を低減することができる。
【0023】さらに、弁体17の外周面とハウジング18の取付面5a、8bとの間の空間形状と、第1、第2のパッキン40、41の形状が、共に円弧状で略同一になるため、平板状のパッキンを円弧状の空間に組付ける場合と比較すると、パッキン40、41の組付けが容易である。しかも、パッキン40、41組付け後においてパッキン40、41に曲げ応力が発生しにくいので、シール面圧の均等化が容易であり、シール性がより一層安定する。
【0024】なお、各パッキン40、41、42において弁体17に接する側に、低摩擦係数のフッ素樹脂シートを溶着等にて固着することにより、弁体17の操作力をさらに低減できる。なお、上記実施形態では、本発明を車両用空調装置の温水流量を制御する流量制御弁に適用した例について説明したが、温水流量の制御に限定されることなく、種々な用途の流量制御弁に本発明は適用可能である。
【出願人】 【識別番号】000004260
【氏名又は名称】株式会社デンソー
【識別番号】592077431
【氏名又は名称】株式会社東海理機製作所
【出願日】 平成10年12月24日(1998.12.24)
【代理人】 【識別番号】100100022
【弁理士】
【氏名又は名称】伊藤 洋二 (外1名)
【公開番号】 特開2000−193104(P2000−193104A)
【公開日】 平成12年7月14日(2000.7.14)
【出願番号】 特願平10−367411