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【発明の名称】 電磁方向切換弁の電気駆動方法
【発明者】 【氏名】角龍 信之

【氏名】木原 和幸

【要約】 【課題】スプールとボディ間の異物の堆積を減少させて確実な切換えを可能にする。

【解決手段】相対向する一対の電磁アクチュエータをボディの両側に備え、ボディのスプール孔を摺動するスプールを互いに反対方向に駆動して流路を切り換える電磁方向切換弁の電磁アクチュエータの駆動時以外の待機時に、上記スプールをその切換ストローク以下の範囲内で常時正逆両方向に周波数0.5〜10Hzの方形波21で電気駆動することにより、スプールとスプール孔間に堆積した異物をシール部分以外へ掻き出し、スプールのロックを防止して安定した切換えを可能にする。
【特許請求の範囲】
【請求項1】 相対向する一対の電磁アクチュエータをボディの両側に備え、該ボディのスプール孔を摺動するスプールを互いに反対方向に駆動することにより、流路を切り換えるようにした電磁方向切換弁の電気駆動方法において、少なくとも前記電磁アクチュエータの待機時に、前記スプールをその切換ストローク以下の範囲内で常時正逆両方向に所定の周波数及び所定の波形で電気駆動することを特徴とする電磁方向切換弁の電気駆動方法。
【請求項2】 所定の周波数が0.5〜10Hzであることを特徴とする請求項1記載の電磁方向切換弁の電気駆動方法。
【請求項3】 所定の波形が方形波であることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁方向切換弁の電気駆動方法。
【請求項4】 所定の波形が三角波又は正弦波であることを特徴とする請求項1又は2記載の電磁方向切換弁の電気駆動方法。
【発明の詳細な説明】【0001】
【発明の属する技術分野】この発明は、電磁アクチュエータを用いて方向,流量,圧力等を制御する電磁方向切換弁の電気駆動方法に関する。
【0002】
【従来の技術】従来、この種の電磁方向切換弁としては、例えば図5に示すようなものが用いられている。これは、ボディ1の両側に一対の比例ソレノイド等からなる電磁アクチュエータ10A,10Bを備え、ボディ1のスプール孔1a内に、各ポートを開閉して流路を切り換えるスプール2を摺動自在に設け、このスプール2の両端部をセンタリングワッシャ3A,3Bを介して一対のセンタリングスプリング4A,4Bにより両側から押圧して図示の中立位置に保持し得るようにしたものである。
【0003】このような構成において、右側の電磁アクチュエータ10Aのコイルに電流を流すと、固定鉄心11Aが励磁されて可動鉄心12Aを吸着し、可動鉄心12Aが左行し、プッシュピン13Aを介してスプール2をセンタリングスプリング4Bの付勢力に抗して左行させ、ポートPをポートAに、ポートBをポートT1にそれぞれ連通させる。
【0004】また、電磁アクチュエータ10Aへの通電を遮断して非励磁状態にすると、スプール2はセンタリングスプリング4Bの復元力により図示の中立状態に復帰する。この状態で電磁アクチュエータ10Bへ通電すると、プッシュピン13Bを介してスプール2がセンタリングスプリング4Aの付勢力に抗して右行し、ポートPをポートBに、ポートAをポートT2にそれぞれ連通させ、通電を遮断するとセンタリングスプリング4Aの復元力によって図示の中立位置に復帰する。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、このような従来のスプールタイプの電磁方向切換弁にあっては、加圧したままにしておくと、次にスプールを動かそうとしても駆動できなくなるハイドロリックロック現象が生じることがあった。その理由は、ボディ内部の流体の流れの不等性等に起因する圧力分布の不平衡により、スプールがボディのスプール孔の内面に強く押し付けられ、スプールが固着してしまうからである。
【0006】このようなスプールの固着現象の発生を防止する手段として、スプールの円周上に多数条の溝を設けてスプールの周りの圧力平衡を保つようにし、スプールとスプール孔との間の油膜の切れを防ぐ方法が用いられている。しかし、このような対策がとられても、加圧状態が長時間続いた場合等には、作動油中に混入した塵埃等の異物がスプールとスプール孔との隙間に入り込んでその隙間を不均等にするため、流れの不平衡力が生じて同様の固着現象が起こるおそれがあった。
【0007】このような問題点を解決するため、電磁方向切換弁等のスプール弁において、摩擦や固着現象等の影響を減少させてその特性を改善する目的で、一般にディザと称される図9に示すような約100Hzの比較的高い周波数のディザ波22を電磁アクチュエータの電流に重ね合わせることにより、ヒステリシス現象や異物の堆積によるハイドロリックロック現象を減少させる電気駆動方法が知られている。
【0008】ところが、このような従来のディザの周波数は、シリンダや油圧モータ等の油圧アクチュエータや配管系の固有振動数より高い周波数となっており、それらに振動が伝搬しない程度のレベルに規制されているため、スプールとスプール孔間への異物の堆積によるハイドロリックロックに対して充分な効果を得ることは不可能であった。特に、図9から分かるように、電磁アクチュエータの待機中はスプールが静止状態に保たれているので、シリンダや油圧モータの使用頻度が低く、常にスプール弁へ圧力が導かれている場合には、作動油の汚染度が高いとスプールがロックしやすいという問題点があった。
【0009】この発明は上記の点に鑑みてなされたものであり、スプールとボディ間の異物の堆積を減少させて確実な切換えが可能な電磁方向切換弁の電気駆動方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】この発明は上記の目的を達成するため、相対向する一対の電磁アクチュエータをボディの両側に備え、このボディのスプール孔を摺動するスプールを互いに反対方向に駆動することにより、流路を切り換えるようにした電磁方向切換弁の電気駆動方法において、少なくとも上記電磁アクチュエータの待機時に、上記スプールをその切換ストローク以下の範囲内で常時正逆両方向に所定の周波数及び所定の波形で電気駆動する電磁方向切換弁の電気駆動方法を提供するものである。
【0011】そして、上記の電気駆動方法において、所定の周波数が0.5〜10Hzであるようにするのが好ましく、所定の波形は方形波であってもよく、三角波又は正弦波であっても差支えない。
【0012】この発明による電磁方向切換弁の電気駆動方法は上記のようにすることにより、電磁アクチュエータの駆動時間以外の待機時に所定のストロークで常時スプールを往復駆動しているので、スプールとボディ間への異物の堆積を減少させて切換えを確実にすることが可能になる。
【0013】
【発明の実施の形態】以下、この発明の実施形態を図面に基づいて具体的に説明する。図1は、この発明の一実施形態における電流印加パターンを示す波形図である。
【0014】この実施形態では、図5に示した電磁方向切換弁の電磁アクチュエータ10A,10Bの駆動時以外の待機時に、周波数0.5〜10Hzの方形波21を印加することにより、スプール2をその切換ストローク以下の範囲内のストロークで常時正逆両方向に往復動させるようにし、電磁アクチュエータ10A,10Bにそれぞれ駆動電流が供給されたときには、ディザ波22を上記駆動電流に重ね合わせるようにしている。
【0015】このように、スプール2を0.5〜10Hzの周波数で駆動するようにした理由は、それ以上の周波数で急速に駆動すると、スプール2とスプール孔1a間に異常摩擦を生じて電磁方向切換弁の寿命が短くなり、それ以下の周波数では、異物の除去効果が充分でなくなるからである。
【0016】この実施形態によれば、電磁アクチュエータ10A,10Bに電流が供給されていず、全ポートP,A,B,Tがいずれもブロックされている図5に示す状態(図6はそのスプール部分の拡大図)で、電磁アクチュエータ10Aに、図1に示す方形波21が印加されると、スプール2が図5で左方に所定距離移動して図7に示す位置となるが、この状態でもまだポートP,A間及びポートB,T1間は連通していない。
【0017】逆に、電磁アクチュエータ10Bに方形波21が印加されると、スプール2が図5で右方に所定距離移動して図8に示す位置となるが、この状態でもまだポートP,B間及びポートA,T2間は連通していない。
【0018】すなわち、電磁アクチュエータ10A,10Bの駆動時以外の待機時にスプール2を切換ストローク以下の範囲内で常時正逆両方向に電気駆動して頻繁にその位置を切り換えることにより、電磁方向切換弁を切り換えることなくスプール2を往復移動させ、スプール2とボディ1のスプール孔1aの間に堆積した異物をシール部分以外へ掻き出してスプールのロックを有効に防止することが可能になる。また、上記の電磁アクチュエータ10A,10Bに印加する方形波はそのパルス間隔を長くして図2に示すような方形波21′としてもよい。
【0019】次に、図3及び図4は、電磁アクチュエータ10A,10Bに印加する電流のパターンを変更したこの発明の他の実施形態を示すものであり、図3は三角波23、図4は正弦波24のパターンをそれぞれ示している。このような実施形態によれば、切換信号はやや複雑になるが、図7及び図8に示したスプール2の両移動端において、そのランド部とスプール孔1aとの重なり度が少なくなる時間が短くなり、前実施形態の効果に加えて、中立時の内部リーク量が減少する。
【0020】なお、上記の各実施形態においては、スプール2を中立時にのみに往復駆動するようにしたが、これは必らずしも中立時に限るものではなく、回路切換中に所定の範囲内で往復駆動しても差支えない。ただ、回路切換中に往復移動させる場合には、油圧的に脈動が発生しやすくなり、その脈動の大きさによっては回路全体が振動を誘発するおそれがあるので、その点に注意する必要がある。
【0021】また、上記の実施形態においては、この発明を電磁方向切換弁に適用した場合について説明したが、この発明はそれに限るものではなく、一般のスプールタイプの電磁アクチュエータで駆動される方向流量制御弁等にも何等支障なく適用することができる。
【0022】
【発明の効果】以上述べたように、この発明による電磁方向切換弁の電気駆動方法は、電磁アクチュエータの待機時に、スプールをその切換ストローク以下の範囲内で常時正逆両方向に所定の周波数で電気駆動することにより、スプールとボディ間に堆積する異物を減少させて確実な回路切換を行うことができる。
【0023】そして、上記の電磁方向切換弁の電気駆動方法において、所定の周波数が0.5〜10Hzであるようにすると、スプールとボディとの異常摩耗が生じるおそれがなく、長期に亘る使用が可能となる。
【0024】また、所定の波形が方形波であるようにすると、簡単な切換信号で安定した回路切換動作が可能となり、所定の波形が三角波又は正弦波であるようにすると、上記の効果に加えて中立時の内部リークを少なくすることができる。
【出願人】 【識別番号】000003388
【氏名又は名称】株式会社トキメック
【出願日】 平成10年12月10日(1998.12.10)
【代理人】 【識別番号】100080931
【弁理士】
【氏名又は名称】大澤 敬
【公開番号】 特開2000−170950(P2000−170950A)
【公開日】 平成12年6月23日(2000.6.23)
【出願番号】 特願平10−351448